メソトレキセート錠・注射用・点滴静注液 - 薬剤部

−医薬品の適正使用に欠かせない情報です。必ずお読みください。−
No. 11 - 23
使用上の注意改訂のお知らせ
2011年 8 月
ファイザー株式会社
葉酸代謝拮抗剤
劇薬、処方せん医薬品(注意−医師等の処方せんにより使用すること)
この度、厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡により、標記製品の添付文書の「使
用上の注意」を改訂致しますのでご案内申し上げます。また、併せて自主改訂致します。
今後のご使用に際しましては、下記内容をご参照くださいますようお願い申し上げます。
【改訂内容】
改訂後(下線部は改訂箇所)
3
【使用上の注意】
相互作用
併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等
ペニシリン
(ピペラシリ
ンナトリウム
等)
プロベネシド
シプロフロキ
サシン
MED27B028
改訂前(波線部は削除)
3
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
メ ト ト レ キ サ ー ト の 併用薬剤がメトト
副 作 用( 骨 髄 抑 制、 レキサートの腎排
肝・腎・消化管障害、 泄を競合的に阻害
血 液 障 害 等 ) が 増 強 するためと考えら
さ れ る こ と が あ る。 れている。
頻 回 に 臨 床 検 査 を 行 発現機序の詳細は
う な ど 観 察 を 十 分 に 不 明 で あ る が、 メ
行 い、 異 常 が 認 め ら トトレキサートの
れ た 場 合 に は、 メ ト 腎尿細管からの排
トレキサートの減量、 泄が阻害されるた
休 薬 等 適 切 な 処 置 を めと考えられてい
行 う こ と。 ま た、 メ る。
トトレキサートの拮
抗剤であるロイコボ
リンカルシウムを投
与すること。
薬剤名等
ペニシリン
(ピペラシリ
ンナトリウム
等)
プロベネシド
−1−
【使用上の注意】
相互作用
併用注意(併用に注意すること)
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
メ ト ト レ キ サ ー ト の 併用薬剤がメトト
副 作 用( 骨 髄 抑 制、 レキサートの腎排
肝・腎・消化管障害、 泄を競合的に阻害
血 液 障 害 等 ) が 増 強 するためと考えら
さ れ る こ と が あ る。 れている。
頻回に臨床検査を行
うなど観察を十分に
行 い、 異 常 が 認 め ら
れ た 場 合 に は、 メ ト
トレキサートの減量、
休薬等適切な処置を
行 う こ と。 ま た、 メ
トトレキサートの拮
抗剤であるロイコボ
リンカルシウムを投
与すること。
改訂後(下線部は改訂箇所)
改訂前(波線部は削除)
副作用
⑴重大な副作用
3)感染症
呼吸不全にいたるような肺炎(ニューモシスティス肺炎
等を含む)
、敗血症、サイトメガロウイルス感染症、帯
状疱疹等の重篤な感染症(日和見感染症を含む)があら
われることがあるので、患者の状態を十分観察し、異常
が認められた場合には投与を中止し、抗生剤、抗菌剤の
投与等の適切な処置を行うこと。
4 副作用
⑴重大な副作用
3)感染症
呼吸不全にいたるような肺炎(カリニ肺炎等を含む)
、
敗血症、サイトメガロウイルス感染症、帯状疱疹等の重
篤な感染症(日和見感染症を含む)があらわれることが
あるので、患者の状態を十分観察し、異常が認められた
場合には投与を中止し、抗生剤、抗菌剤の投与等の適切
な処置を行うこと。
6)間質性肺炎、肺線維症、胸水
間質性肺炎、肺線維症、胸水等があらわれ、呼吸不全に
いたることがあるので、観察を十分に行い、発熱、咳嗽、
呼吸困難等の呼吸器症状があらわれた場合には、速やか
に胸部X線等の検査を行い、本剤の投与を中止するとと
もに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこ
と。
6)間質性肺炎、肺線維症
間質性肺炎、肺線維症等があらわれ、呼吸不全にいたる
ことがあるので、観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼吸
困難等の呼吸器症状があらわれた場合には、速やかに胸
部X線等の検査を行い、本剤の投与を中止するとともに
副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
7)中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:
TEN)
、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群等の重篤な皮
膚障害があらわれることがあるので、観察を十分に行
い、発熱、紅斑、瘙痒感、眼充血、口内炎等があらわれ
た場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
7)皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性
表皮壊死症(Lyell症候群)
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性
表皮壊死症(Lyell症候群)等の重篤な皮膚障害があら
われることがあるので、観察を十分に行い、発熱、紅
斑、瘙痒感、眼充血、口内炎等があらわれた場合には投
与を中止し、適切な処置を行うこと。
4
注)発現頻度については、製剤ごとに以下のとおりです。
メソトレキセート錠2.5mg:重大な副作用(頻度不明)
注射用メソトレキセート 5 mg:重大な副作用(メトトレキサート通常療法、CMF療法及びM-VAC療法いず
れも頻度不明)
注射用メソトレキセート50mg:感染症(いずれの療法においても頻度不明)
、間質性肺炎(メトトレキサー
ト・フルオロウラシル交代療法で0.1%未満、その他の療法では頻度不明)
、肺線維症、胸水(いずれの療法
においても頻度不明)
、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群
(Stevens-Johnson症候群)(いずれの療法においても頻度不明)
メソトレキセート点滴静注液200mg:感染症(頻度不明)、間質性肺炎、肺線維症、胸水(いずれも頻度不明)
、
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
(いずれも頻度不明)
改訂後(下線部は改訂箇所)
改訂前
4 副作用
⑵その他の副作用
4
副作用
⑵その他の副作用
<メソトレキセート錠2.5mg>
◇メトトレキサート通常療法
<メソトレキセート錠2.5mg>
◇メトトレキサート通常療法
精 神
神経系
頻 度 不 明
頭痛、眠気、目のかすみ、項部緊張、背部痛、
しびれ感、味覚異常、意識障害、めまい、錯
感覚
<注射用メソトレキセート 5 mg>
◇メトトレキサート通常療法及びM-VAC療法
精 神
神経系
精 神
神経系
頻 度 不 明
頭痛、眠気、目のかすみ、項部緊張、背部痛、
しびれ感、味覚異常、意識障害、めまい
<注射用メソトレキセート 5 mg>
◇メトトレキサート通常療法及びM-VAC療法
頻 度 不 明
頭痛、眠気、目のかすみ、項部緊張、背部痛、
しびれ感、味覚異常、意識障害、めまい、錯
感覚
精 神
神経系
−2−
頻 度 不 明
頭痛、眠気、目のかすみ、項部緊張、背部痛、
しびれ感、味覚異常、意識障害、めまい
改訂後(下線部は改訂箇所)
改訂前
◇CMF療法
◇CMF療法
50%
以上
副作用の頻度
5 ∼50%
5%
未満
未満
精 神
神経系
頻 度 不 明
頭 痛、 眠 気、
目 の か す み、
項部緊張、背
部痛、しびれ
感、味覚異常、
意識障害、め
まい、錯感覚
<注射用メソトレキセート50mg>
◇メトトレキサート通常療法及びM-VAC療法
精 神
神経系
50%
以上
精 神
神経系
精 神
神経系
副作用の頻度
5 ∼50%
5%
未満
未満
精 神
神経系
頻 度 不 明
頭 痛、 眠 気、
目 の か す み、
項部緊張、背
部痛、しびれ
感、味覚異常、
意識障害、め
まい、錯感覚
精 神
神経系
精 神
神経系
頭 痛、 眠 気、
目 の か す み、
項部緊張、背
部痛、しびれ
感、味覚異常、
意識障害、め
まい
50%
以上
精 神
神経系
副作用の頻度
5 ∼50%
5%
頻 度 不 明
未満
未満
頭痛
意識障害、 眠気、目のか
しびれ感 すみ、項部緊
張、 背 部 痛、
味覚異常、め
まい
◇メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法
5%
以上
頻 度 不 明
目 の か す み、
項部緊張、め
まい、錯感覚
<メソトレキセート点滴静注液200mg>
メトトレキサート・ロイコボリン救援療法
50%
以上
頻 度 不 明
◇メトトレキサート・ロイコボリン救援療法
副作用の頻度
5 ∼50%
5%
頻 度 不 明
未満
未満
頭痛
意識障害、 眠気、目のか
しびれ感 すみ、項部緊
張、 背 部 痛、
味覚異常、め
まい、錯感覚
副作用の頻度
0.1∼ 5 %
0.1%
未満
未満
し び れ 感、 背部痛
頭痛、味覚
異常、眠気、
意識障害
副作用の頻度
5 ∼50%
5%
未満
未満
精 神
神経系
◇メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法
5%
以上
頻 度 不 明
頭痛、眠気、目のかすみ、項部緊張、背部痛、
しびれ感、味覚異常、意識障害、めまい
50%
以上
◇メトトレキサート・ロイコボリン救援療法
精 神
神経系
頭 痛、 眠 気、
目 の か す み、
項部緊張、背
部痛、しびれ
感、味覚異常、
意識障害、め
まい
◇CMF療法
◇CMF療法
50%
以上
頻 度 不 明
<注射用メソトレキセート50mg>
◇メトトレキサート通常療法及びM-VAC療法
頻 度 不 明
頭痛、眠気、目のかすみ、項部緊張、背部痛、
しびれ感、味覚異常、意識障害、めまい、錯
感覚
50%
以上
副作用の頻度
5 ∼50%
5%
未満
未満
精 神
神経系
副作用の頻度
0.1∼ 5 %
0.1%
未満
未満
し び れ 感、 背部痛
頭痛、味覚
異常、眠気、
意識障害
頻 度 不 明
目 の か す み、
項部緊張、め
まい
<メソトレキセート点滴静注液200mg>
メトトレキサート・ロイコボリン救援療法
副作用の頻度
5 ∼50%
5%
頻 度 不 明
未満
未満
頭痛
意識障害、 眠気、目のか
しびれ感 すみ、項部緊
張、 背 部 痛、
味覚異常、め
まい、錯感覚
−3−
50%
以上
精 神
神経系
副作用の頻度
5 ∼50%
5%
頻 度 不 明
未満
未満
頭痛
意識障害、 眠気、目のか
しびれ感 すみ、項部緊
張、 背 部 痛、
味覚異常、め
まい
【改訂理由】
1.厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡による改訂
「重大な副作用」の項
胸水
CCDS(Company Core Data Sheet:企業中核データシート)との整合性及び国内症例報告
の集積状況に基づき追記することと致しました。症例の概要を添付致しますのでご参照く
ださい。
2.自主改訂
1)
「相互作用」の項
シプロフロキサシン
CCDSとの整合性及び文献報告に基づき追記することと致しました。
引用文献:Dalle J-H, et al;J Pediatr Hematol Oncol 2002;24:321-2[L70020015437]
2)
「その他の副作用」の項
錯感覚
CCDSとの整合性及び国内症例報告の集積状況に基づき追記することと致しました。症例
の概要を添付致しますのでご参照ください。
3)
「重大な副作用」の項
「ニューモシスティス肺炎」
、「中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:
TEN)
」
疾患名「カリニ肺炎」
、「中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)
」を各々「ニューモシスティス
肺炎」、
「中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)
」に変更する記載
整備を行いました。
CCDS:安全性情報に加えて、効能・効果、用法・用量、薬理学及び製品に関するその他の情報が含まれてい
る米国ファイザー社が作成する文書
−4−
【症例概要】
・胸水
患者
性
年齢
使用理由
女
80歳代
関節リウマチ
基礎疾患
副作用
投与量
投与期間
6 mg/週
約 1 年間
心房細動
心不全
高血圧
胆石症
便秘
骨粗鬆症
逆流性食道炎
不安神経症
転帰
経過及び処置
軽快
事象名:胸水
投与前
関節リウマチの治療に関しては他整形外科医院で行われてい
た。カルテ上ではメトトレキサート投与開始前月まではブシ
ラミンを投与していた。
開始日
来院時にメトトレキサート 6 mg/週を投与していたとの記載
があった。
投与約185日目
(発現日)
夜間、呼吸苦を認めた。
投与約227日目
外 来 を 受 診 し た。 両 側 に 胸 水 貯 留 を 認 め た。 フ ロ セ ミ ド
20mg/日の投与を開始した。
投与約235日目
自覚症状は消長したが、胸水に変化はなかった。
投与約264日目
心エコー上、軽度の大動脈弁逆流(閉鎖不全)
、軽度の僧帽弁
逆流、左心室の拡大は減少したが、胸水に変化はなかった。
投与約312日目
胸水に変化はなかった。BNP:27 2pg/mL。
投与約334日目
心 エ コ ー 上、 著 変 は 認 め な か っ た。CRP:0 27mg/dL、 赤
血 球 沈 降 速 度(ESR)30 分: 9 mm、ESR 1 時 間:25mm、
ESR 2 時間:28mmであった。
投与約340日目
CT上、両側胸水、及び間質性に変化はなかった。腫瘍マーカ
ーであるSLX:19 7U/mL、CYFRA:1 6ng/mL、pro-GRP:
26 8pg/mLと正常値であった。
投与約368日目
抗CCP抗体:188 1U/mLと上昇するもMMP-3:57 8ng/mL
と 安 定 し て い た。KL-6:33 3U/mL、SP-D:31 2ng/mLと
間質性肺炎も否定的であった。
投与約380日目
両側胸水の増悪を認め、入院となった。左胸腔より穿刺し、
血性胸水400mLを排液した。胸水細胞診:classⅡ、胸水中、
CEA:3 0ng/mL、CA19-9:1 5U/mL、ADA:22 8U/L、
結核菌及び非定型抗酸菌:PCR陰性、胸水細菌培養:発育なし。
投与約382日目
再度、左胸腔より胸水600mLを排液した。排液は合計1000mL
となった。排液後、CT上で特に所見はなかった。
投与約389日目
(投与中止日)
気管支鏡検査を施行したが、特に所見はなかった。メトトレ
キサートの投与を中止した。
中止 1 日後
上部内視鏡検査を施行したが、特に所見はなかった。
中止 2 日後
日中SpO2が低下した。胸部X線上、胸水の再貯留を認めた。
再穿刺を施行し、600mLを排液した。
中止 5 日後
胸水の再貯留は認めなかった。
中止 8 日後
胸水の再貯留は認めなかった。一旦退院とし、外来受診とな
った。
臨床検査値
開始約21ヵ月前
投与約179日目
投与約235日目
投与約334日目
中止60日後
RBC(/mm3)
検査項目名
5470000
4930000
5320000
−
4460000
WBC(/mm3)
7000
5500
6200
−
6200
PLT(/mm3)
179000
141000
147000
−
122000
AST(GOT)(IU/L)
31
38
40
−
15
ALT(GPT)(IU/L)
27
26
25
−
9
Al-P(IU/L)
299
294
395
−
201
LDH(IU/L)
216
253
273
−
164
γ-GTP(IU/L)
40
35
33
−
19
T-Bil(mg/dL)
0 8
0 9
0 7
−
0 8
TP(g/dL)
6 3
6 2
6 6
−
5 4
Alb(g/dL)
3 9
3 7
3 9
−
3 1
BUN(mg/dl)
13 6
7 6
12 5
−
11 6
Serum Cr(mg/dl)
0 68
0 61
0 63
−
0 58
CRP(mg/dl)
0 89
−
−
0 27
−
併用薬:重質酸化マグネシウム、アルファカルシドール、乳酸カルシウム、オメプラゾール、メチルジゴキシン、ウルソデオキシコール酸、トラセミド、
クロキサゾラム
A20100414_RMs-04457
−5−
・錯感覚
症例
番号
副作用
性 年齢
使用理由
(合併症又は既往歴)
製品名
投与量
発現までの
投与期間
リウマトレック
スカプセル 2 mg
6 mg/週
約 5 ヵ月
不明
62日
ブシラミン、プレドニ 投与
ゾロン、スリンダク他 中止
回復
併用薬
処置
転帰
症例 1
口の錯感覚、下
女 60代 関節リウマチ
痢
ジクロフェナクナトリ 投与
未回復/不変
ウム
中止
症例 2
関節リウマチ
錯感覚、感覚減
( 慢性気管支炎、成 リ ウ マ ト レ ッ ク
女 50代
退、疼痛
人T細胞リンパ腫・ スカプセル 2 mg
白血病)
症例 3
感覚障害、筋力
男 70代 関節リウマチ
低下
リウマトレック
スカプセル 2 mg
4 mg/週
9日
アレンドロン酸ナトリ
投与
ウム水和物、アルジオ
中止
キサ、メコバラミン他
回復
症例 4
異常感覚、不全
男 10代 不明
麻痺、転移性癌
注射用メソトレ
キセート50mg
不明
不明
不明
不明
不明
A20000172
A20030843
A20040824
A20001031
次頁に改訂後の使用上の注意の全文が記載されていますので併せてご参照ください。
≪改訂内容につきましては医薬品安全対策情報(DSU)No.202(2011年 9 月)に掲載される予定です。
≫
お問い合わせ先:ファイザー株式会社 製品情報センター 学術情報ダイヤル:0120-664-467
〒151-8589 東京都渋谷区代々木3-22-7 新宿文化クイントビル
医薬品添付文書改訂情報は「医薬品医療機器情報提供ホームページ」(http://www.info.pmda.go.jp/)に最新添付文
書並びに医薬品安全対策情報(DSU)が掲載されます。
−6−
〔使用上の注意〕
〈改訂後〉
**2011年 8 月改訂
*2010年 6 月改訂
3.相互作用
併用注意(併用に注意すること)
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
1 .本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
2 .肝障害のある患者
[肝障害を増悪させるおそれがある。]
3 .腎障害のある患者
[本剤の排泄遅延により副作用が強くあらわれるおそれが
ある。]
4 .胸水、腹水等のある患者
[胸水、腹水等に長時間貯留して毒性が増強されることが
ある。]
薬剤名等
【使用上の注意】
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1)骨髄機能抑制のある患者
[骨髄機能抑制を増悪させるおそれがある。]
(2)感染症を合併している患者
[骨髄機能抑制により感染を増悪させるおそれがある。]
(3)水痘患者
[致命的全身障害があらわれることがある。]
2.重要な基本的注意
(1)骨髄機能抑制、肝・腎機能障害等の重篤な副作用が起こるこ
とがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能
検査、尿検査等)
を行うなど、患者の状態を十分観察すること。
異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行う
こと。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、
遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。
(2)出血性腸炎、消化管潰瘍・出血等の消化管障害があらわれる
ことがあるので、口内炎、激しい腹痛、嘔吐、下痢等の症状
があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
また、患者に対し、口内炎があらわれた場合には、直ちに連
絡するよう注意を与えること。
(3)感染症、出血傾向の発現又は増悪に十分注意し、異常が認め
られたときには投与を中止し、適切な処置を行うこと。
また、患者に対し発熱、 怠感があらわれた場合には、直ち
に連絡するよう注意を与えること。
(4)小児及び高齢者に投与する場合には、副作用の発現に特に注
意し、慎重に投与すること。
(5)小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合に
は、性腺に対する影響を考慮すること。
(6)本剤と放射線療法の併用により軟部組織壊死及び骨壊死の発
現頻度が高まるという報告がある。併用治療を行う場合には
当該症状の発現を考慮すること。また、併用治療後は観察を十
分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
(7)副作用が発現した場合には、適切な処置を行いながら、本剤
の拮抗剤であるロイコボリンカルシウムを投与すること。
[…その他の注意æの項参照]
(8)免疫機能が抑制された患者への生ワクチン接種により、ワク
チン由来の感染を増強又は持続させるおそれがあるので、本
剤投与中に生ワクチンを接種しないこと。
(9)B 型又は C 型肝炎ウイルスキャリアの患者に対する本剤の投
与により、重篤な肝炎や肝障害の発現が報告されており、死
亡例が認められている。また本剤投与終了後に B 型肝炎ウ
イルスが活性化することによる肝炎等の発現も報告されてい
る。B 型又は C 型肝炎ウイルスキャリアの患者に対し本剤を
投与する場合、投与期間中及び投与終了後は継続して肝機能
検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B
型又は C 型肝炎ウイルス増殖の徴候や症状の発現に注意す
ること。
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
サリチル酸等の メトトレキサートの副 主として、非ステロ
非ステロイド性 作用(骨髄抑制、肝・ イド性抗炎症剤の腎
抗炎症剤
腎・消化管障害等)が におけるプロスタグ
増 強 さ れ る こ と が あ ランジン合成阻害作
る。頻回に臨床検査を 用による腎血流量の
行うなど観察を十分に 低 下 及 び ナ ト リ ウ
行い、異常が認められ ム、水分貯留傾向の
た場合には、メトトレ ためメトトレキサー
キサートの減量、休薬 トの排泄が遅延する
等適切な処置を行うこ ためと考えられてい
と。また、メトトレキ る。
サートの拮抗剤である
ロイコボリンカルシウ
ムを投与すること。
メトトレキサートの副
作用(骨髄抑制、肝・
腎・消化管障害、血液
障害等)が増強される
ことがある。頻回に臨
床検査を行うなど観察
を十分に行い、異常が
認められた場合には、
スルファメトキ メトトレキサートの減
サゾール・トリ 量、休薬等適切な処置
を行うこと。また、メ
メトプリム
トトレキサートの拮抗
剤であるロイコボリン
ペニシリン
カルシウムを投与する
(ピペラシリン こと。
ナトリウム等)
プロベネシド
スルホンアミド
系薬剤
テトラサイクリン
クロラムフェニ
コール
フェニトイン
バルビツール酸
誘導体
**
併用薬剤が血漿蛋白
と結合しているメト
トレキサートを競合
的に置換遊離し、メ
トトレキサートの濃
度を上昇させ、その
毒性を増強させる。
両薬剤の葉酸代謝阻
害作用が協力的に作
用するためと考えら
れている。
併用薬剤がメトトレ
キサートの腎排泄を
競合的に阻害するた
めと考えられている。
シプロフロキサ
シン
発現機序の詳細は不
明であるが、メトト
レキサートの腎尿細
管からの排泄が阻害
されるためと考えら
れている。
レフルノミド
併用により骨髄抑制
等の副作用を増強す
るためと考えられて
いる。
ポルフィマーナ 光線過敏症を起こすこ
トリウム
とがある。
ポルフィマーナトリ
ウムは光感受性を高
める作用があるた
め、光線過敏症を起
こしやすい薬剤の作
用を増強する。
4.副作用
メトトレキサート通常療法(本剤の効能・効果及び用法・用量
に基づく療法)においては、使用成績調査等の副作用発現頻
度が明確となる調査を実施していない。
(1)重大な副作用(頻度不明)
1)ショック、アナフィラキシー様症状
ショック、アナフィラキシー様症状
(冷感、呼吸困難、血圧低
下等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常
が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2)骨髄抑制
汎血球減少、無顆粒球症(前駆症状として発熱、咽頭痛、イ
ンフルエンザ様症状等があらわれる場合がある)、白血球減
少、血小板減少、貧血等の骨髄抑制、再生不良性貧血があら
われることがあるので、頻回に血液検査を行うなど患者の状
態を十分に観察し、異常が認められた場合には減量、休薬等
の適切な処置を行うこと。
-7-
3)感染症
呼吸不全にいたるような肺炎(ニューモシスティス肺炎等を
含む)、敗血症、サイトメガロウイルス感染症、帯状疱疹等
の重篤な感染症(日和見感染症を含む)があらわれることが
あるので、患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合
には投与を中止し、抗生剤、抗菌剤の投与等の適切な処置を
行うこと。
4)劇症肝炎、肝不全
劇症肝炎、肝不全、肝組織の壊死・線維化、肝硬変等の重篤
な肝障害(B型又はC型肝炎ウイルスによるものを含む)が
あらわれることがあるので、頻回に肝機能検査を行うなど患
者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を
中止するなど適切な処置を行うこと。
5)急性腎不全、尿細管壊死、重症ネフロパチー
急性腎不全、尿細管壊死、重症ネフロパチー等の重篤な腎障
害があらわれることがあるので、頻回に腎機能検査を行うな
ど患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投
与を中止し、適切な処置を行うこと。
** 6)間質性肺炎、肺線維症、胸水
間質性肺炎、肺線維症、胸水等があらわれ、呼吸不全にいた
ることがあるので、観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼吸困
難等の呼吸器症状があらわれた場合には、速やかに胸部X線
等の検査を行い、本剤の投与を中止するとともに副腎皮質ホ
ルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
7)中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群等の重篤な皮膚障
害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、
紅斑、痒感、眼充血、口内炎等があらわれた場合には投与
を中止し、適切な処置を行うこと。
8)出血性腸炎、壊死性腸炎
出血性腸炎、壊死性腸炎等の重篤な腸炎があらわれることが
あるので、観察を十分に行い、激しい腹痛、下痢等の症状が
あらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
9)膵炎
膵炎があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察
し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を
行うこと。
10)骨粗鬆症
骨粗鬆症があらわれることがあるので、患者の状態を十分に
観察し、骨塩量減少等の異常が認められた場合には、投与を
中止するなど適切な処置を行うこと。
11)脳症(白質脳症を含む)
脳症(白質脳症を含む)があらわれることがあるので、患者
の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中
止し、適切な処置を行うこと。
(2)その他の副作用
以下のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適
切な処置を行うこと。
◇メトトレキサート通常療法
頻 度 不 明
過敏症注2)
血 液
発疹、蕁麻疹、痒、発熱
出血、低ガンマグロブリン血症、好酸球増多、
リンパ節腫脹
肝 臓
黄疸、脂肪肝、AST
(GOT)、ALT
(GPT)、AL−P、
LDHの上昇
腎 臓
血尿、BUN、クレアチニンの上昇、蛋白尿
消 化 器
消化管潰瘍・出血、口内炎、腹痛、下痢、食欲不振、
嘔気・嘔吐、メレナ、イレウス、舌炎、口唇腫脹
頻 度 不 明
**
皮 膚
光線過敏症注3)、紅斑、色素沈着、色素脱出、皮下
斑状出血、瘡、脱毛、結節、皮膚潰瘍
精 神
神 経 系
頭痛、
眠気、
目のかすみ、
項部緊張、
背部痛、
しびれ感、
味覚異常、意識障害、めまい、錯感覚
呼 吸 器
咳嗽、呼吸困難
生 殖 器
無精子症、卵巣機能不全、月経不全、流産
膀胱炎、 怠感、耳下腺炎、結膜炎、低蛋白血症、
血清アルブミン減少、関節痛、動悸、胸部圧迫感、
浮腫
注2)投与を中止すること。
注3)投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
そ の 他
5.高齢者への投与
高齢者では腎機能等生理機能が低下していることが多く、メ
トトレキサートの排泄遅延により副作用があらわれやすいの
で、腎機能検査値に十分注意し、患者の状態を観察しながら
慎重に投与すること。
6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与
(1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと
が望ましい。
[催奇形性を疑う症例報告があり、また、動物実験(マウス、
ラット及びウサギ)で催奇形作用が報告されている。]
(2)母乳中への移行が報告されているので、授乳中の婦人には投
与しないこと。
7.小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児(1歳未満)に対する安全性は
確立していない(使用経験が少ない)。
8.臨床検査結果に及ぼす影響
トリメトプリム(スルファメトキサゾール・トリメトプリム
配合剤)を併用した場合、2水素葉酸還元酵素(dihydrofolate reductase:DHFR)を用いたメトトレキサート濃度の測
定で見かけ上高値を呈することがあるので注意すること。
9. 過量投与
徴候・症状:
外国で過量投与時に報告された主な症状は血液障害及び消化
管障害であった。また、重篤な副作用を発現し、致命的な経
過をたどった症例が報告されている。
処置:
過量投与したときは、すみやかに本剤の拮抗剤であるロイコ
ボリンカルシウムを投与するとともに、本剤の排泄を促進す
るために水分補給と尿のアルカリ化を行うこと。本剤とロイ
コボリンカルシウムの投与間隔が長いほど、ロイコボリンカ
ルシウムの効果が低下することがある。
[「その他の注意」の
項参照]
10.その他の注意
(1)本剤を長期使用した患者あるいは本剤と他の抗悪性腫瘍剤
を併用した患者に、悪性リンパ腫、急性白血病、骨髄異形
成症候群(MDS)等の二次発癌が発生したとの報告がある。
(2)免疫機能が抑制された患者にワクチンを接種した場合、抗体
反応の欠如が報告されている。
(3)メトトレキサート通常療法で副作用が発現した場合には、
適切な処置を行いながら、本剤の拮抗剤であるロイコボリン
カルシウムをロイコボリンとして、通常、成人1回6∼
12mgを6時間間隔で4回筋肉内注射する。あるいはロイコ
ボリンとして、通常、成人1回10mgを6時間間隔で4回経
口投与する。なお、過剰投与した場合には、投与した本剤
と同量のロイコボリンを投与する。
*
【製造販売】
【販売】
-8-
〔使用上の注意〕
〈改訂後〉
**2011年 8 月改訂
*2010年 6 月改訂
【警 告】
M-VAC療法:
M-VAC療法は毒性を有する薬剤の併用療法であるので、緊急
時に十分対応できる医療施設において、癌化学療法に十分な
経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例に
ついてのみ本療法を実施すること。また、各併用薬剤の添付
文書を参照して適応患者の選択に十分注意すること。
【禁忌
(次の患者には投与しないこと)】
1 .本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
2 .肝障害のある患者
[肝障害を増悪させるおそれがある。
]
3 .腎障害のある患者
[本剤の排泄遅延により副作用が強くあらわれるおそれがある。]
4 .胸水、腹水等のある患者
[胸水、腹水等に長時間貯留して毒性が増強されることがある。]
◇メトトレキサート通常療法:
【用法・用量に関連する使用上の注意】
(注射液の調製法)
通常、本剤に注射用蒸留水2mLを加えて溶解し、1mL中メト
トレキサートとして2 . 5mgになるように調製する。
本剤は防腐剤を含有しないので、調製にあたっては細菌汚染
に注意すること。
なお、調製後は速やかに使用すること。
◇CMF療法:
【用法・用量に関連する使用上の注意】
(注射液の調製法)
通常、本剤に注射用蒸留水2mLを加えて溶解し用いるか、ある
いは生理食塩液又は5%ブドウ糖液20mLを加え溶解して用いる。
本剤は防腐剤を含有しないので、調製にあたっては細菌汚染に注
意すること。
なお、調製後は速やかに使用すること。
◇M-VAC療法:
【用法・用量に関連する使用上の注意】
(注射液の調製法)
通常、本剤に注射用蒸留水2mLを加えて溶解し用いるか、あ
るいは生理食塩液又は5%ブドウ糖液20mLを加え溶解して用
いる。
本剤は防腐剤を含有しないので、調製にあたっては細菌汚染
に注意すること。
なお、調製後は速やかに使用すること。
2 .重要な基本的注意
(1)骨髄機能抑制、肝・腎機能障害等の重篤な副作用が起こること
があるので、頻回に臨床検査
(血液検査、肝機能・腎機能検
査、尿検査等)を行うなど、患者の状態を十分観察すること。
異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行う
こと。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、
遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。
(2)出血性腸炎、消化管潰瘍・出血等の消化管障害があらわれる
ことがあるので、口内炎、激しい腹痛、嘔吐、下痢等の症状
があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
また、患者に対し、口内炎があらわれた場合には、直ちに連
絡するよう注意を与えること。
(3)感染症、出血傾向の発現又は増悪に十分注意し、異常が認め
られたときには投与を中止し、適切な処置を行うこと。
また、患者に対し発熱、倦怠感があらわれた場合には、直ち
に連絡するよう注意を与えること。
(4)小児及び高齢者に投与する場合には、副作用の発現に特に注
意し、慎重に投与すること。
(5)小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合に
は、性腺に対する影響を考慮すること。
(6)本剤と放射線療法の併用により軟部組織壊死及び骨壊死の発
現頻度が高まるという報告がある。併用治療を行う場合には
当該症状の発現を考慮すること。また、併用治療後は観察を
十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
(7)メトトレキサート通常 療法、CMF療法、M-VAC療法で本剤
によると思われる副作用が発現した場合には、適切な処置を
行いながら、本剤の拮抗剤であるロイコボリンカルシウムを
投与すること。
[
「その他の注意」の項参照]
(8)免疫機能が抑制された患者への生ワクチン接種により、ワク
チン由来の感染を増強又は持続させるおそれがあるので、本
剤投与中に生ワクチンを接種しないこと。
(9)
B型又はC型肝炎ウイルスキャリアの患者に対する本剤の投与
により、重篤な肝炎や肝障害の発現が報告されており、死亡
例が認められている。また本剤投与終了後にB型肝炎ウイル
スが活性化することによる肝炎等の発現も報告されている。
B型又はC型肝炎ウイルスキャリアの患者に対し本剤を投与す
る場合、投与期間中及び投与終了後は継続して肝機能検査や
肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型又はC
型肝炎ウイルス増殖の徴候や症状の発現に注意すること。
(10)
CMF療法
骨髄機能抑制
(白血球、血小板減少等)、肝・腎機能障害等
の重篤な副作用が発現した場合には、減量、休薬等の適切な
処置を行うこと。
3 .相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
サリチル酸等の
非ステロイド性
抗炎症剤
【使用上の注意】
1 .慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
(1)骨髄機能抑制のある患者
[骨髄機能抑制を増悪させるおそれがある。
]
(2)感染症を合併している患者
[骨髄機能抑制により感染を増悪させるおそれがある。
]
(3)水痘患者
[致命的全身障害があらわれることがある。
]
-9-
臨床症状・措置方法
メトトレキサートの副
作用
( 骨 髄 抑 制、 肝・
腎・消化管障害等)が
増強されることがあ
る。頻回に臨床検査を
行うなど観察を十分に
行い、異常が認められ
た場合には、メトトレ
キサートの減量、休薬
等適切な処置を行うこ
と。また、メトトレキ
サートの拮抗剤である
ロイコボリンカルシウ
ムを投与すること。
機序・危険因子
主として、非ステロ
イド性抗炎症剤の腎
におけるプロスタグ
ランジン合成阻害作
用による腎血流量の
低下及びナトリウ
ム、水分貯留傾向の
ためメトトレキサー
トの排泄が遅延する
ためと考えられてい
る。
薬剤名等
スルホンアミド
系薬剤
テトラサイクリン
クロラムフェニ
コール
フェニトイン
バルビツール酸
誘導体
スルファメトキ
サゾール・トリ
メトプリム
ペニシリン
(ピペラシリン
ナトリウム等)
プロベネシド
** シプロフロキサ
シン
レフルノミド
ポルフィマーナ
トリウム
臨床症状・措置方法
メトトレキサートの副
作 用( 骨 髄 抑 制、 肝・
腎・消化管障害、血液
障害等)が増強される
ことがある。頻回に臨
床検査を行うなど観察
を十分に行い、異常が
認められた場合には、
メトトレキサートの減
量、休薬等適切な処置
を行うこと。また、メ
トトレキサートの拮抗
剤であるロイコボリン
カルシウムを投与する
こと。
機序・危険因子
併用薬剤が血漿蛋白
と結合しているメト
トレキサートを競合
的に置換遊離し、メ
トトレキサートの濃
度を上昇させ、その
毒性を増強させる。
両薬剤の葉酸代謝阻
害作用が協力的に作
用するためと考えら
れている。
併用薬剤がメトトレ
キサートの腎排泄を
競合的に阻害するた
めと考えられている。
発現機序の詳細は不
明であるが、メトト
レキサートの腎尿細
管からの排泄が阻害
されるためと考えら
れている。
併用により骨髄抑制
等の副作用を増強す
るためと考えられて
いる。
光線過敏症を起こすこ ポルフィマーナトリ
とがある。
ウムは光感受性を高
める作用があるた
め、光線過敏症を起
こしやすい薬剤の作
用を増強する。
4 .副作用
メトトレキサート通常療法及びM-VAC療法においては、使
用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施してい
ない。
CMF療 法 に お い て 副 作 用 集 計 対 象 と な っ た62例 中、49例
(79 . 0%)に副作用が認められた。その主なものは嘔気・嘔吐
(67 . 7%)
、食欲不振(58 . 1%)、脱毛(35 . 5%)
、口内炎
(17 . 7%)
等であった。臨床検査値異常は61例中、56例(91 . 8%)に認め
られた。その主なものは白血球減少(88 . 5%)
、貧血
(37.7%)
、
ALT(GPT)上 昇
(37 . 7 %)、AST(GOT)上 昇
(36 . 1 %)等 で
あった。
[承認時の集計]
なお、本項には自発報告等副作用発現頻度が算出できない副
作用報告を含む。
(1)重大な副作用(メ トトレキサート通常療法、CMF療法及び
M-VAC療法いずれも頻度不明)
1)
ショック、アナフィラキシー様症状
ショック、アナフィラキシー様症状(冷感、呼吸困難、血圧
低下等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、
異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う
こと。
2)
骨髄抑制
汎血球減少、無顆粒球症(前駆症状として発熱、咽頭痛、イ
ンフルエンザ様症状等があらわれる場合がある)
、白血球減
少、血小板減少、貧血等の骨髄抑制、再生不良性貧血があら
われることがあるので、頻回に血液検査を行うなど患者の状
態を十分に観察し、異常が認められた場合には減量、休薬等
の適切な処置を行うこと。
3)
感染症
呼吸不全にいたるような肺炎
(ニューモシスティス肺炎等を
含む)、敗血症、サイトメガロウイルス感染症、帯状疱疹等
の重篤な感染症
(日和見感染症を含む)があらわれることがあ
るので、患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合に
は投与を中止し、抗生剤、抗菌剤の投与等の適切な処置を行
うこと。
4)
劇症肝炎、肝不全
劇症肝炎、肝不全、肝組織の壊死・線維化、肝硬変等の重篤
な肝障害(B型又はC型肝炎ウイルスによるものを含む)が
あらわれることがあるので、頻回に肝機能検査を行うなど患
者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を
中止するなど適切な処置を行うこと。
5)
急性腎不全、尿細管壊死、重症ネフロパチー
急性腎不全、尿細管壊死、重症ネフロパチー等の重篤な腎障
害があらわれることがあるので、頻回に腎機能検査を行うな
ど患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投
与を中止し、適切な処置を行うこと。
**6)
間質性肺炎、肺線維症、胸水
間質性肺炎、肺線維症、胸水等があらわれ、呼吸不全にいた
ることがあるので、観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼吸困
難等の呼吸器症状があらわれた場合には、速やかに胸部X線
等の検査を行い、本剤の投与を中止するとともに副腎皮質ホ
ルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
7)
中
毒性表皮壊死融解症
(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)
、
皮膚粘膜眼症候群
(Stevens-Johnson症候群)
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群等の重篤な皮膚
障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、
紅斑、瘙痒感、眼充血、口内炎等があらわれた場合には投
与を中止し、適切な処置を行うこと。
8)
出血性腸炎、壊死性腸炎
出血性腸炎、壊死性腸炎等の重篤な腸炎があらわれることが
あるので、観察を十分に行い、激しい腹痛、下痢等の症状が
あらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
9)
膵炎
膵炎があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察
し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を
行うこと。
10)
骨粗鬆症
骨粗鬆症があらわれることがあるので、患者の状態を十分に
観察し、骨塩量減少等の異常が認められた場合には、投与を
中止するなど適切な処置を行うこと。
11)
脳 症(白質脳症を含む)
、その他の中枢神経障害、ギランバ
レー症候群
脳症(白質脳症を含む)
、その他の中枢神経障害
(痙攣、麻
痺、失語、認知症、昏睡)、ギランバレー症候群があらわれ
ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場
合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
(2)
その他の副作用
以下のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適
切な処置を行うこと。
◇メトトレキサート通常療法及びM-VAC療法
-10-
頻 度 不 明
過敏症 注2) 発疹、蕁麻疹、瘙痒、発熱
出血、低ガンマグロブリン血症、好酸球増多、リ
血
液
ンパ節腫脹
黄疸、脂肪肝、AST(GOT)、ALT(GPT)、AL-P、
肝
臓
LDHの上昇
腎
臓 血尿、BUN、クレアチニンの上昇、蛋白尿
消化管潰瘍・出血、口内炎、腹痛、下痢、食欲不
消 化 器 振、嘔気・嘔吐、メレナ、イレウス、舌炎、口唇
腫脹
光線過敏症注3)、紅斑、色素沈着、色素脱出、皮下
皮
膚
斑状出血、痤瘡、脱毛、結節、皮膚潰瘍
**
精
神 経
呼 吸
生 殖
そ の
頻 度 不 明
神 頭痛、眠気、目のかすみ、項部緊張、背部痛、し
系 びれ感、味覚異常、意識障害、めまい、錯感覚
器 咳嗽、呼吸困難
器 無精子症、卵巣機能不全、月経不全、流産
膀胱炎、倦怠感、耳下腺炎、結膜炎、低蛋白血症、
他 血清アルブミン減少、関節痛、動悸、胸部圧迫感、
浮腫
注2)投与を中止すること。
注3)投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
◇CMF療法
過敏症 注2)
血
液
肝
臓
腎
臓
消 化 器
皮
**
膚
精
神
神 経 系
呼 吸 器
生 殖 器
そ の 他
副 作 用 の 頻 度
5〜50%
5%
頻 度 不 明
未満
未満
発熱
発疹、蕁麻疹、瘙痒
出血、低ガンマグロブ
リ ン 血 症、 好 酸 球 増
多、リンパ節腫脹
AL-Pの 黄疸、脂肪肝
ALT
(GPT)
、 上昇
AST
(GOT)
、
LDHの
上昇
血尿、BUN、クレアチ
ニンの上昇、蛋白尿
消化管潰瘍・出血、腹
嘔気・嘔 口内炎、
痛、 メ レ ナ、 イ レ ウ
吐、食欲 下痢
ス、舌炎、口唇腫脹
不振
脱毛
光線過敏症 注3)、紅斑、
色素沈着、色素脱出、
皮下斑状出血、痤瘡、
結節、皮膚潰瘍
頭痛、眠気、目のかす
み、項部緊張、背部痛、
しびれ 感、味 覚異常、
意識障害、めまい、錯
感覚
咳嗽、呼吸困難
無精子症、卵巣機能不
全、月経不全、流産
低 蛋 白 膀胱炎、耳下腺炎、結膜炎、血
血症
倦怠感 清アルブミン減少、関
節痛、動悸、胸部圧迫
感、浮腫
50%
以上
注2)投与を中止すること。
注3)投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5 .高齢者への投与
高齢者では腎機能等生理機能が低下していることが多く、メ
トトレキサートの排泄遅延により副作用があらわれやすいの
で、腎機能検査値に十分注意し、患者の状態を観察しながら
慎重に投与すること。
6 .妊婦、産婦、授乳婦等への投与
(1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと
が望ましい。
[催奇形性を疑う症例報告があり、また、動物実験(マウス、
ラット及びウサギ)で催奇形作用が報告されている。
]
(2)母乳中への移行が報告されているので、授乳中の婦人には投
与しないこと。
7 .小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児
(1歳未満)に対する安全性は確
立していない
(使用経験が少ない)。
8 .臨床検査結果に及ぼす影響
トリメトプリム
(スルファメトキサゾール・トリメトプリム
配合剤)を併用した場合、2水素葉酸還元酵素(dihydrofolate
reductase:DHFR)を用いたメトトレキサート濃度の測定で
見かけ上高値を呈することがあるので注意すること。
9 .過量投与
徴候・症状:
外国で過量投与時に報告された主な症状は血液障害及び消化
管障害であった。また、重篤な副作用を発現し、致命的な経
過をたどった症例が報告されている。
また、髄腔内への過量投与の主な症状は、頭痛、悪心・嘔吐、
痙攣、急性中毒性脳症等の中枢神経症状であり、また頭蓋内
圧上昇による小脳ヘルニアを起こし、致命的な経過をたどっ
た症例も報告されている。
処置:
過量投与したときは、すみやかに本剤の拮抗剤であるロイコ
ボリンカルシウムを投与するとともに、本剤の排泄を促進す
るために水分補給と尿のアルカリ化を行うこと。本剤とロイ
コボリンカルシウムの投与間隔が長いほど、ロイコボリンカ
ルシウムの効果が低下することがある。
[
「その他の注意」の
項参照]
また、髄腔内へ過量投与した場合には、ロイコボリンカルシ
ウムの投与、尿のアルカリ化に加え、必要により、支持療法
等の適切な処置を行うこと。
10.適用上の注意
(1)投与時
筋肉内注射にあたっては、組織・神経などへの影響を避ける
ため下記の点に注意すること。
1)筋肉内投与はやむを得ない場合にのみ、必要最小限に行うこと。
なお、特に同一部位への反復注射は行わないこと。
また、新生児、低出生体重児、乳児、小児には特に注意すること。
2)
神経走行部位を避けるよう注意すること。
3)
注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた
場合は、直ちに針を抜き、部位を変えて注射すること。
(2)調製方法
調製した注射液は速やかに使用し、残液は廃棄すること。
なお、調製にあたっては細菌汚染に注意すること。
11.その他の注意
(1)本剤を長期使用した患者あるいは本剤と他の抗悪性腫瘍剤を
併用した患者に、悪性リンパ腫、急性白血病、骨髄異形成症
候群
(MDS)
等の二次発癌が発生したとの報告がある。
(2)免疫機能が抑制された患者にワクチンを接種した場合、抗体
反応の欠如が報告されている。
(3)メトトレキサート通常療法
メトトレキサート通常療法で副作用が発現した場合には、適
切な処置を行いながら、本剤の拮抗剤であるロイコボリンカ
ルシウムをロイコボリンとして、通常、成人1回6〜12mgを
6時間間隔で4回筋肉内注射する。あるいはロイコボリンと
して、通常、成人1回10mgを6時間間隔で4回経口投与する。
なお、過剰投与した場合には、投与した本剤と同量のロイコ
ボリンを投与する。
(4)CMF療法 、M-VAC療法
CMF療法、M-VAC療法で本剤によると思われる副作用が発
現した場合には、適切な処置を行いながら、本剤の拮抗剤で
あるロイコボリンカルシウムをロイコボリンとして、通常、
成人1回6〜12mgを6時間間隔で4回筋肉内注射する。あるいは
ロイコボリンとして、通常、成人1回10mgを6時間間隔で4回
経口投与する。なお、過剰投与した場合には、投与した本剤
と同量のロイコボリンを投与する。
-11-
*
【製造販売】
【販売】
-12-
〔使用上の注意〕
〈改訂後〉
**2011年 8 月改訂
*2010年 6 月改訂
【警
告】
1 .メトトレキサート・ロイコボリン救援療法、
メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法:
メトトレキサート・ロイコボリン救援療法及びメトトレ
キサート・フルオロウラシル交代療法は高度の危険性を
伴うので、投与中及び投与後の一定期間は患者を医師の
監督下に置くこと。
また、緊急時に十分に措置できる医療施設及び癌化学療
法に十分な経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判
断される症例についてのみ行うこと。
なお、本療法の開始にあたっては、添付文書を熟読のこ
と。
2 .M-VAC療法:
M-VAC療法は毒性を有する薬剤の併用療法であるので、
緊急時に十分対応できる医療施設において、癌化学療法
に十分な経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断
される症例についてのみ本療法を実施すること。また、
各併用薬剤の添付文書を参照して適応患者の選択に十分
注意すること。
【禁忌
(次の患者には投与しないこと)】
1 .本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
2 .肝障害のある患者
[肝障害を増悪させるおそれがある。]
3 .腎障害のある患者
[本剤の排泄遅延により副作用が強くあらわれるおそれがある。
]
4 .胸水、腹水等のある患者
[胸水、腹水等に長時間貯留して毒性が増強されることがある。]
◇メトトレキサート通常療法:
【用法・用量に関連する使用上の注意】
(注射液の調製法)
通常、本剤に生理食塩液20mLを加えて溶解し、1mL中メトトレ
キサートとして2.5mgになるように調製する。高濃度溶液が必要
な場合には、注射用蒸留水2mLを加えて溶解し、1mL中メトト
レキサートとして25mgになるように調製する。
本剤は防腐剤を含有しないので、調製にあたっては細菌汚染に
注意すること。
なお、調製後は速やかに使用すること。
◇CMF療法:
【用法・用量に関連する使用上の注意】
(注射液の調製法)
通常、メトトレキサートを生理食塩液又は5%ブドウ糖液20mL
に溶解して用いる。
本剤は防腐剤を含有しないので、調製にあたっては細菌汚染に
注意すること。
なお、調製後は速やかに使用すること。
◇メトトレキサート・ロイコボリン救援療法:
【用法・用量に関連する使用上の注意】
(注射液の調製法)
通常、メトトレキサートを生理食塩液又は5%ブドウ糖液250〜
500mLに溶解して用いる。
本剤は防腐剤を含有しないので、調製にあたっては細菌汚染に
注意すること。
なお、調製後は速やかに使用すること。
◇メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法:
【用法・用量に関連する使用上の注意】
(注射液の調製法)
通常、メトトレキサートを生理食塩液又は5%ブドウ糖液20mL
に溶解して用いる。
本剤は防腐剤を含有しないので、調製にあたっては細菌汚染に
注意すること。
なお、調製後は速やかに使用すること。
◇M-VAC療法:
【用法・用量に関連する使用上の注意】
(注射液の調製法)
通常、メトトレキサートを生理食塩液又は5%ブドウ糖液20mL
に溶解して用いる。
本剤は防腐剤を含有しないので、調製にあたっては細菌汚染に
注意すること。
なお、調製後は速やかに使用すること。
【使用上の注意】
1 .慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1)骨髄機能抑制のある患者
[骨髄機能抑制を増悪させるおそれがある。]
(2)感染症を合併している患者
[骨髄機能抑制により感染を増悪させるおそれがある。]
(3)水痘患者
[致命的全身障害があらわれることがある。]
2 .重要な基本的注意
(1)骨髄機能抑制、肝・腎機能障害等の重篤な副作用が起こること
があるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査、
尿検査等)を行うなど、患者の状態を十分観察すること。異常が
認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。ま
た、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に
推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。
(2)出血性腸炎、消化管潰瘍・出血等の消化管障害があらわれるこ
とがあるので、口内炎、激しい腹痛、嘔吐、下痢等の症状があ
らわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
また、患者に対し、口内炎があらわれた場合には、直ちに連絡
するよう注意を与えること。
(3)感染症、出血傾向の発現又は増悪に十分注意し、異常が認めら
れたときには投与を中止し、適切な処置を行うこと。
また、患者に対し発熱、倦怠感があらわれた場合には、直ちに
連絡するよう注意を与えること。
(4)小児及び高齢者に投与する場合には、副作用の発現に特に注意
し、慎重に投与すること。
(5)小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、
性腺に対する影響を考慮すること。
(6)本剤と放射線療法の併用により軟部組織壊死及び骨壊死の発現
頻度が高まるという報告がある。併用治療を行う場合には当該
症状の発現を考慮すること。また、併用治療後は観察を十分に
行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
(7)メトトレキサート通常療法、CMF療法、M-VAC療法で本剤によ
ると思われる副作用が発現した場合には、適切な処置を行いな
がら、本剤の拮抗剤であるロイコボリンカルシウムを投与する
こと。
[「その他の注意」の項参照]
(8)免疫機能が抑制された患者への生ワクチン接種により、ワクチ
ン由来の感染を増強又は持続させるおそれがあるので、本剤投
与中に生ワクチンを接種しないこと。
(9)B型又はC型肝炎ウイルスキャリアの患者に対する本剤の投与に
より、重篤な肝炎や肝障害の発現が報告されており、死亡例が
認められている。また本剤投与終了後にB型肝炎ウイルスが活
性化することによる肝炎等の発現も報告されている。B型又はC
型肝炎ウイルスキャリアの患者に対し本剤を投与する場合、投
与期間中及び投与終了後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルス
マーカーのモニタリングを行うなど、B型又はC型肝炎ウイルス
増殖の徴候や症状の発現に注意すること。
-13-
(10)CMF療法
骨髄機能抑制(白血球、血小板減少等)、肝・腎機能障害等の重
篤な副作用が発現した場合には、減量、休薬等の適切な処置を
行うこと。
(11)メトトレキサート・ロイコボリン救援療法
1)投与後一定期間は頻回にメトトレキサートの血中濃度を測定し、
メトトレキサート投与開始後
24時間のメトトレキサートの濃度が1×10−5モル濃度、
48時間の濃度が1×10−6モル濃度、
72時間の濃度が1×10−7モル濃度以上の時、
重篤な副作用が発現する危険性が高いので、ロイコボリンの増
量投与・ロイコボリン救援投与の延長等の処置を行うこと。
2)尿 が酸性側に傾くと、メトトレキサートの結晶が尿細管に沈着
するおそれがあるので、尿のアルカリ化と同時に、十分な水分
の補給を行い、メトトレキサートの尿への排泄を促すよう考慮
すること。
なお、利尿剤の選択にあたっては、尿を酸性化する薬剤(例え
ば、フロセミド、エタクリン酸、チアジド系利尿剤等)の使用を
避けること。
(12)メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法
1)メトトレキサートはフルオロウラシルによる消化器症状(消化管
潰瘍・出血・食欲不振等)及び血液障害(白血球減少、血小板減
少等)を増強させることがあるので、これらの副作用の発現に特
に注意すること。
2)メ トトレキサートによる腎障害予防のため、尿のアルカリ化と
同時に、十分な水分の補給を行い、メトトレキサートの排泄を
促すよう考慮すること。
なお、利尿剤の選択にあたっては、尿を酸性化する薬剤(例えば、
フロセミド、エタクリン酸、チアジド系利尿剤等)の使用を避け
ること。
3 .相互作用
併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
サリチル酸等の
非ステロイド性
抗炎症剤
メトトレキサートの副
作 用( 骨 髄 抑 制、 肝・
腎・消化管障害等)が増
強 さ れ る こ と が あ る。
頻回に臨床検査を行う
など観察を十分に行い、
異常が認められた場合
には、メトトレキサー
トの減量、休薬等適切
な処置を行うこと。ま
た、メトトレキサート
の拮抗剤であるロイコ
ボリンカルシウムを投
与すること。
主として、非ステロ
イド性抗炎症剤の腎
におけるプロスタグ
ランジン合成阻害作
用による腎血流量の
低下及びナトリウム、
水分貯留傾向のため
メトトレキサートの
排泄が遅延するため
と考えられている。
スルホンアミド
系薬剤
テトラサイクリン
クロラムフェニ
コール
フェニトイン
バルビツール酸
誘導体
メトトレキサートの副
作 用( 骨 髄 抑 制、 肝・
腎・消化管障害、血液
障害等)が増強されるこ
とがある。頻回に臨床
検査を行うなど観察を
十分に行い、異常が認
められた場合には、メ
トトレキサートの減量、
休薬等適切な処置を行
うこと。また、メトト
レキサートの拮抗剤で
あるロイコボリンカル
シウムを投与すること。
併用薬剤が血漿蛋白
と結合しているメト
トレキサートを競合
的に置換遊離し、メ
トトレキサートの濃
度を上昇させ、その
毒性を増強させる。
スルファメトキ
サ ゾ ー ル ・ト リ
メトプリム
ペニシリン
(ピペラシリン
ナトリウム等)
プロベネシド
**
両薬剤の葉酸代謝阻
害作用が協力的に作
用するためと考えら
れている。
併用薬剤がメトトレ
キサートの腎排泄を
競合的に阻害するた
めと考えられている。
シプロフロキサ
シン
発現機序の詳細は不
明であるが、メトト
レキサートの腎尿細
管からの排泄が阻害
されるためと考えら
れている。
レフルノミド
併用により骨髄抑制
等の副作用を増強す
るためと考えられて
いる。
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
ポルフィマーナ
トリウム
光線過敏症を起こすこ
とがある。
ポルフィマーナトリ
ウムは光感受性を高
める作用があるため、
光線過敏症を起こし
やすい薬剤の作用を
増強する。
4 .副作用
メトトレキサート通常療法及びM-VAC療法においては、使用成
績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
CMF療法において副作用集計対象となった62例中、49例(79.0%)
に副作用が認められた。その主なものは嘔気・嘔吐(67.7%)、食
欲不振(58.1%)、脱毛(35.5%)、口内炎(17.7%)等であった。臨
床 検 査 値 異 常 は61例 中、56例(91.8 %)に 認 め ら れ た。 そ の 主
なものは白血球減少(88.5%)、貧血(37.7%)、ALT(GPT)上昇
(37.7%)、AST(GOT)上昇(36.1%)等であった。
[承認時の集計]
メトトレキサート・ロイコボリン救援療法において副作用集計
対象となった222例中、212例(95.5%)に臨床検査値異常を含む副
作用が認められた。その主なものは食欲不振(77.0%)、嘔気・嘔
吐(71.2%)、ALT(GPT)上昇(43.7%)、AST(GOT)上昇(35.6%)
等であった。
[再審査終了時の集計]
メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法において副作
用 集 計 対 象 と な っ た1,854例 中、1,077例(58.1 %)に 臨 床 検 査 値
異常を含む副作用が認められた。その主なものは嘔気・嘔吐
(27.6%)、白血球減少(24.7%)、食欲不振(20.0%)、貧血(11.2%)
等であった。
[再審査申請時の集計]
なお、本項には自発報告等副作用発現頻度が算出できない副作
用報告を含む。
(1)重大な副作用
1)ショック、アナフィラキシー様症状(いずれの療法においても頻
度不明)
ショック、アナフィラキシー様症状(冷感、呼吸困難、血圧低下
等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認
められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2)骨髄抑制(メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法で0.1〜
5%未満、その他の療法では頻度不明)
汎血球減少、無顆粒球症(前駆症状として発熱、咽頭痛、インフ
ルエンザ様症状等があらわれる場合がある)、白血球減少、血小
板減少、貧血等の骨髄抑制、再生不良性貧血があらわれること
があるので、頻回に血液検査を行うなど患者の状態を十分に観
察し、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を
行うこと。
3)感染症(いずれの療法においても頻度不明)
呼吸不全にいたるような肺炎(ニューモシスティス肺炎等を含
む)、敗血症、サイトメガロウイルス感染症、帯状疱疹等の重
篤な感染症(日和見感染症を含む)があらわれることがあるので、
患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合には投与を中
止し、抗生剤、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと。
4)劇症肝炎、肝不全(いずれの療法においても頻度不明)
劇症肝炎、肝不全、肝組織の壊死・線維化、肝硬変等の重篤な
肝障害(B型又はC型肝炎ウイルスによるものを含む)があらわれ
ることがあるので、頻回に肝機能検査を行うなど患者の状態を
十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止するなど
適切な処置を行うこと。
5)急 性腎不全
(メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法で
0.1%未満、その他の療法では頻度不明)、尿細管壊死、重症ネフ
ロパチー(いずれの療法においても頻度不明)
急性腎不全、尿細管壊死、重症ネフロパチー等の重篤な腎障害
があらわれることがあるので、頻回に腎機能検査を行うなど患
者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中
止し、適切な処置を行うこと。
**6)
間 質性肺炎
(メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法で
0.1%未満、その他の療法では頻度不明)、肺線維症、胸水(いず
れの療法においても頻度不明)
間質性肺炎、肺線維症、胸水等があらわれ、呼吸不全にいたる
ことがあるので、観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼吸困難等
の呼吸器症状があらわれた場合には、速やかに胸部X線等の検
査を行い、本剤の投与を中止するとともに副腎皮質ホルモン剤
の投与等の適切な処置を行うこと。
-14-
7)中毒性表皮壊死融解症(ToxicEpidermalNecrolysis:TEN)、皮
膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
(いずれの療法におい
ても頻度不明)
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群等の重篤な皮膚障害
があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、紅斑、
瘙痒感、眼充血、口内炎等があらわれた場合には投与を中止し、
適切な処置を行うこと。
8)出 血性腸炎
(メトトレキサート・ロイコボリン救援療法で5%未
満、その他の療法では頻度不明)
、壊死性腸炎
(いずれの療法に
おいても頻度不明)
出血性腸炎、壊死性腸炎等の重篤な腸炎があらわれることがあ
るので、観察を十分に行い、激しい腹痛、下痢等の症状があら
われた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
9)膵炎(いずれの療法においても頻度不明)
膵炎があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、
異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこ
と。
10)骨粗鬆症(いずれの療法においても頻度不明)
骨粗鬆症があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観
察し、骨塩量減少等の異常が認められた場合には、投与を中止
するなど適切な処置を行うこと。
11)脳 症(白質脳症を含む)、その他の中枢神経障害、ギランバレー
症候群(いずれの療法においても頻度不明)
脳症(白質脳症を含む)、その他の中枢神経障害(痙攣、麻痺、失
語、認知症、昏睡)、ギランバレー症候群があらわれることがあ
るので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を
中止するなど適切な処置を行うこと。
(2)その他の副作用
以下のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切
な処置を行うこと。
副 作 用 の 頻 度
50%
以上
**
膚
精
神
神 経 系
頭痛、眠気、目のかす
み、項部緊張、背部痛、
し び れ 感、 味 覚 異 常、
意識障害、めまい、錯
感覚
呼 吸 器
咳嗽、呼吸困難
生 殖 器
無精子症、卵巣機能不
全、月経不全、流産
そ の 他
低 蛋 白 膀 胱 炎、 耳下腺炎、結膜炎、血
血症
倦怠感
清アルブミン減少、関
節痛、動悸、胸部圧迫
感、浮腫
注4)投与を中止すること。
注5)投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
◇メトトレキサート・ロイコボリン救援療法
副 作 用 の 頻 度
50%
以上
過 敏 症 注4)
血
液
過 敏 症 注4) 発疹、蕁麻疹、瘙痒、発熱
**
出血、低ガンマグロブリン血症、好酸球増多、リンパ
節腫脹
肝
臓
黄 疸、 脂 肪 肝、AST(GOT)、ALT(GPT)、AL-P、
LDHの上昇
腎
臓
血尿、BUN、クレアチニンの上昇、蛋白尿
消 化 器
消化管潰瘍・出血、口内炎、腹痛、下痢、食欲不振、
嘔気・嘔吐、メレナ、イレウス、舌炎、口唇腫脹
皮
膚
光線過敏症注5)、紅斑、色素沈着、色素脱出、皮下斑
状出血、痤瘡、脱毛、結節、皮膚潰瘍
精
神
神 経 系
頭痛、眠気、目のかすみ、項部緊張、背部痛、しびれ
感、味覚異常、意識障害、めまい、錯感覚
呼 吸 器
咳嗽、呼吸困難
生 殖 器
無精子症、卵巣機能不全、月経不全、流産
そ の 他
膀胱炎、倦怠感、耳下腺炎、結膜炎、低蛋白血症、血
清アルブミン減少、関節痛、動悸、胸部圧迫感、浮腫
発熱
過 敏 症 注4)
血
肝
**
腎
消 化 器
嘔気・嘔 口 内 炎、
吐、食欲 下痢
不振
出血
低ガンマグロブリン血
症、好酸球増多、リン
パ節腫脹
ALT
(GPT)、
AST
(GOT)
の上昇
黄 疸、 脂 肪 肝、AL-P
の上昇、LDHの上昇
BUN、ク 血尿、蛋白尿
レアチニ
ンの上昇
食 欲 不 口 内 炎、
振、 嘔気 下痢、腹
・嘔吐
痛
消化管潰瘍・出血、メ
レナ、イレウス、舌炎、
口唇腫脹
光線過敏症 注5)、紅斑、
色 素 沈 着、 色 素 脱 出、
皮 下 斑 状 出 血、 痤 瘡、
結節、皮膚潰瘍
膚
意 識 障 眠気、目のかすみ、項
害、しび 部緊張、背部痛、味覚
異常、めまい、錯感覚
れ感
頭痛
精
神
神 経 系
呼吸困難 咳嗽
無精子症、卵巣機能不
全、月経不全、流産
倦怠感
頻 度 不 明
発疹、蕁麻疹、瘙痒
頻 度 不 明
蕁麻疹、瘙痒
生 殖 器
そ の 他
膀胱炎、耳下腺炎、血
清アルブミン減少、関
節痛、結膜炎、低蛋白
血症、動悸、胸部圧迫
感、浮腫
注4)投与を中止すること。
注5)投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
ALT
A L - P の 黄疸、脂肪肝
(GPT)、 上昇
AST
(GOT)、
LDHの
上昇
臓
臓
5%
未満
発熱、発
疹
呼 吸 器
出血、低ガンマグロブ
リ ン 血 症、 好 酸 球 増
多、リンパ節腫脹
液
臓
5%
未満
腎
皮
副 作 用 の 頻 度
5〜50%
未満
臓
5〜50%
未満
脱毛
◇ CMF療法
50%
以上
肝
消 化 器
注4)投与を中止すること。
注5)投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
頻 度 不 明
光線過敏症 注5)、紅斑、
色 素 沈 着、 色 素 脱 出、
皮 下 斑 状 出 血、 痤 瘡、
結節、皮膚潰瘍
皮
頻 度 不 明
液
5%
未満
脱毛
◇メトトレキサート通常療法及びM-VAC療法
血
5〜50%
未満
◇メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法
副 作 用 の 頻 度
5%
以上
血尿、BUN、クレアチ
ニンの上昇、蛋白尿
過 敏 症 注4)
消化管潰瘍・出血、腹
痛、メレナ、イレウス、
舌炎、口唇腫脹
血
-15-
液
0.1〜5%
未満
0.1%
未満
頻 度 不 明
発熱、発 瘙痒
疹
蕁麻疹
出血
低ガンマグロブリン血
症、好酸球増多、リン
パ節腫脹
副 作 用 の 頻 度
5%
以上
肝
0.1%
未満
頻 度 不 明
AST
L D H の 黄疸、脂肪肝
(GOT)、 上昇
ALT
(GPT)、
AL-Pの
上昇
臓
BUN、ク
レアチ ニ
ン の 上
昇、血尿
蛋白尿
腹痛、 イ メレナ
レ ウ ス、
消 化 管
潰瘍・出
血
舌炎、口唇腫脹
脱毛、 色
素沈着
光線過敏症 注5)、紅斑、
色素脱出、皮下斑状出
血、痤瘡、結節、皮膚
潰瘍
精
神
神 経 系
しびれ感、 背部痛
頭痛、味
覚 異 常、
眠気、意
識障害
目 の か す み、 項 部 緊
張、めまい、錯感覚
呼 吸 器
呼吸困難
咳嗽
腎
臓
消 化 器
皮
**
0.1〜5%
未満
膚
嘔気・嘔
吐、 食欲
不振、 下
痢、 口内
炎
生 殖 器
無精子症、卵巣機能不
全、月経不全、流産
そ の 他
倦 怠 感、 結 膜 炎、 膀胱炎、耳下腺炎、血
低 蛋 白 胸 部 圧 清アルブミン減少、関
血症
迫感
節痛、動悸、浮腫
注4)投与を中止すること。
注5)投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5 .高齢者への投与
高齢者では腎機能等生理機能が低下していることが多く、メト
トレキサートの排泄遅延により副作用があらわれやすいので、
腎機能検査値に十分注意し、患者の状態を観察しながら慎重に
投与すること。
6 .妊婦、産婦、授乳婦等への投与
(1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが
望ましい。
[催奇形性を疑う症例報告があり、また、動物実験(マウス、ラッ
ト及びウサギ)で催奇形作用が報告されている。]
(2)母乳中への移行が報告されているので、授乳中の婦人には投与
しないこと。
7 .小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児(1歳未満)に対する安全性は確立し
ていない(使用経験が少ない)。
8 .臨床検査結果に及ぼす影響
トリメトプリム
(スルファメトキサゾール・トリメトプリム配合剤)
を併用した場合、2水素葉酸還元酵素(dihydrofolatereductase:
DHFR)を用いたメトトレキサート濃度の測定で見かけ上高値を
呈することがあるので注意すること。
9 .過量投与
徴候・症状:
外国で過量投与時に報告された主な症状は血液障害及び消化管
障害であった。また、重篤な副作用を発現し、致命的な経過を
たどった症例が報告されている。
また、髄腔内への過量投与の主な症状は、頭痛、悪心・嘔吐、
痙攣、急性中毒性脳症等の中枢神経症状であり、また頭蓋内圧
上昇による小脳ヘルニアを起こし、致命的な経過をたどった症
例も報告されている。
処置:
過量投与したときは、すみやかに本剤の拮抗剤であるロイコボ
リンカルシウムを投与するとともに、本剤の排泄を促進するた
めに水分補給と尿のアルカリ化を行うこと。本剤とロイコボリ
ンカルシウムの投与間隔が長いほど、ロイコボリンカルシウム
の効果が低下することがある。
[「その他の注意」の項参照]
また、髄腔内へ過量投与した場合には、ロイコボリンカルシウ
ムの投与、尿のアルカリ化に加え、必要により、支持療法等の
適切な処置を行うこと。
10.投与上の注意
◇メトトレキサート・ロイコボリン救援療法
(1)療法開始前、療法中の注意
1)本 療法前に臨床検査(血液検査、肝・腎機能検査、尿検査等)は
必ず実施すること。肝、腎、骨髄機能等がすべて正常又はこれ
に準ずることを確認し、本療法を開始すること。
2)尿を経時的にチェックしpH7.0以上に維持すること。
尿が酸性側に傾くと、メトトレキサートの結晶が尿細管に沈着
するおそれがあるので、500mLの補液あたり17〜34mEqの炭酸
水素ナトリウム(7%メイロン20mL1〜2管/補液500mL)をメトト
レキサート投与前日からロイコボリン救援投与終了まで継続投
与すること。同時に十分な水分の補給(100〜150mL/㎡/時間)を
行い、メトトレキサートの尿への排泄を促すよう考慮し、全尿
量のチェックを経時的(6時間ごと)に行うこと。
3)アセタゾラミドの投与を行うこと。
アセタゾラミドは利尿及び尿のアルカリ化作用を有するので、
アセタゾラミド250〜500mg/日をメトトレキサート投与前日か
らロイコボリンの救援投与終了まで経口又は静脈内投与するこ
と。
4)尿を酸性化する利尿剤(例えば、フロセミド、エタクリン酸、チ
アジド系利尿剤等)の使用を避けること。
(2)療法中、療法後の注意
1)白 血球・血小板数が著減した場合、白血球・血小板輸血等の適
切な処置を行い、必要に応じて抗生物質の投与を考慮すること。
2)メトトレキサートの血中濃度を経時的に測定すること。
メトトレキサートの血中濃度の危険限界は24時間値で1×10−5モ
ル濃度、48時間値で1×10−6モル濃度、72時間値で1×10−7モル濃
度であるので危険限界以上の濃度の際はロイコボリンの増量投
与・ロイコボリン救援投与の延長等の処置を行うこと。
3)メ トトレキサート投与48時間後の血中濃度値は副作用モニター
の観点から重要な指標となるので、48時間後の血中濃度の測定
は必ず実施すること。
4)通常、ロイコボリン救援投与はメトトレキサート投与終了3時間
後から開始し、72時間行うこと。しかし、72時間後もメトトレ
キサートの血中濃度が1×10−7モル濃度以上の場合には、血中濃
度が1×10−7モル濃度未満になるまで十分な水分の補給、尿のア
ルカリ化及びロイコボリンの増量投与・ロイコボリン救援投与
の延長等の処置を行うこと。
5)激 しい口内潰瘍、下痢、下血等の症状があらわれた場合には適
切な処置を行うこと(例えば、1日数回100mLの水にロイコボリ
ン15mgを加えた液を含嗽させた後、そのまま内服させる試みが
報告されている)。
6)メ トトレキサートの高い血中濃度持続による重篤な骨髄抑制、
肝・腎機能の著しい低下、持続する口内潰瘍、下痢、下血等の
副作用があらわれた場合には大量のロイコボリン救援投与を実
施すること。
7)メ トトレキサート投与後4日目に臨床検査(血液検査、肝・腎機
能検査、尿検査等)を実施すること。なお、必要に応じ継続実施
すること。
◇メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法
(1)療法開始前、療法中の注意
1)本 療法前に臨床検査(血液検査、肝・腎機能検査、尿検査等)は
必ず実施すること。肝、腎、骨髄機能等がすべて正常又はこれ
に準ずることを確認し、本療法を開始すること。
2)メ トトレキサートによる腎障害の予防のため、500mLの補液
あたり34mEq炭酸水素ナトリウム(7%メイロン20mL2管/補液
500mL)をメトトレキサート投与開始時から2時間かけて投与す
るとともに利尿及び尿のアルカリ化作用を有するアセタゾラミ
ド250mgをメトトレキサート投与前約30分、投与後約5時間に経
口又は静脈内投与すること。
3)尿を酸性化する利尿剤(例えば、フロセミド、エタクリン酸、チ
アジド系利尿剤等)の使用を避けること。
(2)療法中、療法後の注意
1)通 常、メトトレキサート投与後24時間目よりロイコボリンとし
て1回15mgを6時間間隔で2〜6回、経口、静注又は筋肉内投与す
る。
ロイコボリンの投与回数の目安は次のとおりである。
腎機能の低下傾向などによるメトトレキサートの排泄遅延の
おそれのある患者、又は一般状態の悪い患者(特に低栄養状態)
では、投与回数を多くすることが望ましい(6回)。一般状態が
良好で、かつ腎機能が正常な患者では、投与回数を少なくす
ることができる。
-16-
2)本 療法により重篤な骨髄抑制、肝・腎機能の著しい低下、強い
食欲不振、悪心、嘔吐、口内潰瘍、下痢、下血等の副作用があ
らわれた場合には、ロイコボリンの増量投与・投与期間の延長
などの処置を行うこと。
3)嘔 吐、激しい下痢のある患者には、ロイコボリン注射剤の投与
を考慮すること。
11.適用上の注意
(1)投与時
筋肉内注射にあたっては、組織・神経などへの影響を避けるた
め下記の点に注意すること。
1)筋肉内投与はやむを得ない場合にのみ、必要最小限に行うこと。
なお、特に同一部位への反復注射は行わないこと。
また、新生児、低出生体重児、乳児、小児には特に注意すること。
2)神経走行部位を避けるよう注意すること。
3)注 射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場
合は、直ちに針を抜き、部位を変えて注射すること。
(2)調製方法
調製した注射液は速やかに使用し、残液は廃棄すること。
なお、調製にあたっては細菌汚染に注意すること。
12.その他の注意
(1)本剤を長期使用した患者あるいは本剤と他の抗悪性腫瘍剤を併
用した患者に、悪性リンパ腫、急性白血病、骨髄異形成症候群
(MDS)等の二次発癌が発生したとの報告がある。
(2)免疫機能が抑制された患者にワクチンを接種した場合、抗体反
応の欠如が報告されている。
(3)メトトレキサート通常療法
メトトレキサート通常療法で副作用が発現した場合には、適切
な処置を行いながら、本剤の拮抗剤であるロイコボリンカルシ
ウムをロイコボリンとして、通常、成人1回6〜12mgを6時間間
隔で4回筋肉内注射する。あるいはロイコボリンとして、通常、
成人1回10mgを6時間間隔で4回経口投与する。なお、過剰投与
した場合には、投与した本剤と同量のロイコボリンを投与する。
(4)CMF療法、M-VAC療法
CMF療法、M-VAC療法で本剤によると思われる副作用が発現し
た場合には、適切な処置を行いながら、本剤の拮抗剤であるロ
イコボリンカルシウムをロイコボリンとして、通常、成人1回6
〜12mgを6時間間隔で4回筋肉内注射する。あるいはロイコボリ
ンとして、通常、成人1回10mgを6時間間隔で4回経口投与する。
なお、過剰投与した場合には、投与した本剤と同量のロイコボ
リンを投与する。
*
【製造販売】
【販売】
-17-
〔使用上の注意〕
〈改訂後〉
**2011年 8 月改訂
*2010年 6 月改訂
(6)本剤と放射線療法の併用により軟部組織壊死及び骨壊死の発
現頻度が高まるという報告がある。併用治療を行う場合には
当該症状の発現を考慮すること。また、併用治療後は観察を
十分に行い、
異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
(7)メトトレキサート・ロイコボリン救援療法においては、尿が
酸性側に傾くと、メトトレキサートの結晶が尿細管に沈着す
るおそれがあるので、尿のアルカリ化と同時に、十分な水分
の補給を行い、メトトレキサートの尿への排泄を促すよう考
慮すること。
なお、利尿剤の選択にあたっては、尿を酸性化する薬剤(例
えば、フロセミド、エタクリン酸、チアジド系利尿剤等)の 使用を避けること。
(8)免疫機能が抑制された患者への生ワクチン接種により、ワク
チン由来の感染を増強又は持続させるおそれがあるので、本
剤投与中に生ワクチンを接種しないこと。
(9)B型又はC型肝炎ウイルスキャリアの患者に対する本剤の投与
により、重篤な肝炎や肝障害の発現が報告されており、死亡
例が認められている。また本剤投与終了後にB型肝炎ウイル
スが活性化することによる肝炎等の発現も報告されている。
B型又はC型肝炎ウイルスキャリアの患者に対し本剤を投与す
る場合、投与期間中及び投与終了後は継続して肝機能検査や
肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型又はC
型肝炎ウイルス増殖の徴候や症状の発現に注意すること。
【警 告】
メトトレキサート・ロイコボリン救援療法:
メトトレキサート・ロイコボリン救援療法は高度の危険性を伴
うので、投与中及び投与後の一定期間は患者を医師の監督下に
置くこと。
また、緊急時に十分に措置できる医療施設及び癌化学療法に十
分な経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例
についてのみ行うこと。
なお、本療法の開始にあたっては、添付文書を熟読のこと。
【禁忌(次の患者には投与しないこと)
】
1 .本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
2 .肝障害のある患者
[肝障害を増悪させるおそれがある。]
3 .腎障害のある患者
[本剤の排泄遅延により副作用が強くあらわれるおそれが
ある。]
4 .胸水、腹水等のある患者
[胸水、腹水等に長時間貯留して毒性が増強されることが
ある。]
【使用上の注意】
3 .相互作用
併用注意(併用に注意すること)
1 .慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1)骨髄機能抑制のある患者
[骨髄機能抑制を増悪させるおそれがある。]
(2)感染症を合併している患者
[骨髄機能抑制により感染を増悪させるおそれがある。]
(3)水痘患者
[致命的全身障害があらわれることがある。]
薬剤名等 2 .重要な基本的注意
(1)骨髄機能抑制、肝・腎機能障害等の重篤な副作用が起こるこ
とがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能
検査、尿検査等)を行うなど、患者の状態を十分観察すること。
異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行う
こと。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあら われ、
遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。
メトトレキサート・ロイコボリン救援療法においては、投与
後一定期間は頻回にメトトレキサートの血中濃度を測定し、
メトトレキサート投与開始後24時間のメトトレキサートの濃
度が1×10 −5モル濃度、48時間の濃度が1×10 −6モル濃度、72
時間の濃度が1×10 −7モル濃度以上の時、重篤な副作用が発
現する危険性が高いので、ロイコボリンの増量投与・ロイコ
ボリン救援投与の延長等の処置を行うこと。
(2)出血性腸炎、消化管潰瘍・出血等の消化管障害があらわれる
ことがあるので、口内炎、激しい腹痛、嘔吐、下痢等の症状
があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
また、患者に対し、口内炎があらわれた場合には、直ちに連
絡するよう注意を与えること。
(3)感染症、出血傾向の発現又は増悪に十分注意し、異常が認め
られたときには投与を中止し、適切な処置を行うこと。
また、患者に対し発熱、倦怠感があらわれた場合には、直ち
に連絡するよう注意を与えること。
(4)小児及び高齢者に投与する場合には、副作用の発現に特に注
意し、慎重に投与すること。
(5)小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合に
は、性腺に対する影響を考慮すること。
サリチル酸等の
非ステロイド性
抗炎症剤
メトトレキサートの副
作用(骨髄抑制、肝・
腎・消化管障害等)が
増強されることがあ
る。頻回に臨床検査を
行うなど観察を十分に
行い、異常が認められ
た場合には、メトトレ
キサートの減量、休薬
等適切な処置を行うこ
と。また、メトトレキ
サートの拮抗剤である
ロイコボリンカルシウ
ムを投与すること。
主として、非ステロ
イド性抗炎症剤の腎
におけるプロスタグ
ランジン合成阻害作
用による腎血流量の
低下及びナトリウ
ム、水分貯留傾向の
ためメトトレキサー
トの排泄が遅延する
ためと考えられてい
る。
スルホンアミド
系薬剤
テトラサイクリン
クロラムフェニ
コール
フェニトイン
バルビツール酸
誘導体
メトトレキサートの副
作用(骨髄抑制、肝・
腎・消化管障害、血液
障害等)が増強される
ことがある。頻回に臨
床検査を行うなど観察
を十分に行い、異常が
認められた場合には、
メトトレキサートの減
量、休薬等適切な処置
を行うこと。また、メ
トトレキサートの拮抗
剤であるロイコボリン
カルシウムを投与する
こと。
併用薬剤が血漿蛋白
と結合しているメト
トレキサートを競合
的に置換遊離し、メ
トトレキサートの濃
度を上昇させ、その
毒性を増強させる。
スルファメトキ
サゾール・トリ
メトプリム
ペニシリン
(ピペラシリン
ナトリウム等)
プロベネシド
-18-
臨床症状・措置方法 機序・危険因子
両薬剤の葉酸代謝阻
害作用が協力的に作
用するためと考えら
れている。
併用薬剤がメトトレ
キサートの腎排泄を
競合的に阻害するた
めと考えられている。
薬剤名等 **
シプロフロキサ
シン
レフルノミド
ポルフィマーナ
トリウム
難等の呼吸器症状があらわれた場合には、速やかに胸部X線
等の検査を行い、本剤の投与を中止するとともに副腎皮質ホ
ルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
臨床症状・措置方法 機序・危険因子
メトトレキサートの副
作用(骨髄抑制、肝・
腎・消化管障害、血液
障害等)が増強される
ことがある。頻回に臨
床検査を行うなど観察
を十分に行い、異常が
認められた場合には、
メトトレキサートの減
量、休薬等適切な処置
を行うこと。また、メ
トトレキサートの拮抗
剤であるロイコボリン
カルシウムを投与する
こと。
発現機序の詳細は不
明であるが、メトト
レキサートの腎尿細
管からの排泄が阻害
されるためと考えら
れている。
光線過敏症を起こすこ
とがある。
ポルフィマーナトリ
ウムは光感受性を高
める作用があるた
め、光線過敏症を起
こしやすい薬剤の作
用を増強する。
7)
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
(いずれも頻度
不明)
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群等の重篤な皮膚障害
があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、紅斑、
そう痒感、眼充血、口内炎等があらわれた場合には投与を中止
し、適切な処置を行うこと。
併用により骨髄抑制
等の副作用を増強す
るためと考えられて
いる。
8)出血性腸炎(5%未満)、壊死性腸炎(頻度不明)
出血性腸炎、壊死性腸炎等の重篤な腸炎があらわれることが
あるので、観察を十分に行い、激しい腹痛、下痢等の症状が
あらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
9)膵炎(頻度不明)
膵炎があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察
し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を
行うこと。
4 .副作用
メトトレキサート・ロイコボリン救援療法において副作用集
計対象となった222例中、212例(95 . 5%)に臨床検査値異常を
含む副作用が認められた。その主なものは食欲不振(77 . 0%)、
嘔気・嘔吐(71 . 2%)、ALT(GPT)上昇(43 . 7%)、AST(GOT)
上昇
(35.6%)等であった。
[再審査終了時の集計]
なお、本項には自発報告等副作用発現頻度が算出できない副
作用報告を含む。
(1)重大な副作用
1)ショック、アナフィラキシー様症状(いずれも頻度不明)
ショック、アナフィラキシー様症状(冷感、呼吸困難、血圧
低下等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、
異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う
こと。
10)骨粗鬆症(頻度不明)
骨粗鬆症があらわれることがあるので、患者の状態を十分に
観察し、骨塩量減少等の異常が認められた場合には、投与を
中止するなど適切な処置を行うこと。
11)脳症(白質脳症を含む)、その他の中枢神経障害、ギランバ
レー症候群(いずれも頻度不明)
脳症(白質脳症を含む)、その他の中枢神経障害(痙攣、麻
痺、失語、認知症、昏睡)、ギランバレー症候群があらわれ
ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場
合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
(2)
その他の副作用
以下のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適
切な処置を行うこと。
メトトレキサート・ロイコボリン 救援療法
副 作 用 の 頻 度
50%
以上
2)骨髄抑制(頻度不明)
汎血球減少、無顆粒球症(前駆症状として発熱、咽頭痛、イ
ンフルエンザ様症状等があらわれる場合がある)、白血球減
少、血小板減少、貧血等の骨髄抑制、再生不良性貧血があら
われることがあるので、頻回に血液検査を行うなど患者の状
態を十分に観察し、異常が認められた場合には減量、休薬等
の適切な処置を行うこと。
過敏症注3)
肝 臓
消 化 器
蕁麻疹、
そう痒
出血
低ガンマグロブ
リン血症、好酸
球増多、リンパ
節腫脹
ALT(GPT)、
AST(GOT)
の上昇
黄疸、脂肪肝、
AL-Pの上昇、
LDHの上昇
B U N 、ク 血尿、蛋白尿
レアチニン
の上昇
食欲不振、 口内炎、下
嘔気・嘔吐 痢、腹痛
**6)
間質性肺炎、肺線維症、胸水(いずれも頻度不明)
-19-
精 神
神 経 系
消化管潰瘍・出
血、メレナ、イ
レウス、舌炎、
口唇腫脹
脱毛
光線過敏症注4)、
紅斑、色素沈着、
色素脱出、皮下
斑状出血、 瘡、
結節、皮膚潰瘍
頭痛
意識障害、 眠気、目のかす
しびれ感 み、項部緊張、
背部痛、味覚異
常、めまい、錯
感覚
皮 膚
**
頻 度 不 明
発熱、
発疹
腎 臓
4)劇症肝炎、肝不全(いずれも頻度不明)
劇症肝炎、肝不全、肝組織の壊死・線維化、肝硬変等の重篤
な肝障害(B型又はC型肝炎ウイルスによるものを含む)があ
らわれることがあるので、頻回に肝機能検査を行うなど患者
の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中
止するなど適切な処置を行うこと。
間質性肺炎、肺線維症、胸水等があらわれ、呼吸不全にいた
ることがあるので、観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼吸困
5%
未満
血 液
3)感染症(頻度不明)
呼吸不全にいたるような肺炎(ニューモシスティス肺炎等を
含む)、敗血症、サイトメガロウイルス感染症、帯状疱疹等
の重篤な感染症(日和見感染症を含む)があらわれることが
あるので、患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合
には投与を中止し、抗生剤、抗菌剤の投与等の適切な処置を
行うこと。
5)急性腎不全、尿細管壊死、重症ネフロパチー(いずれも頻度
不明)
急性腎不全、尿細管壊死、重症ネフロパチー等の重篤な腎障
害があらわれることがあるので、頻回に腎機能検査を行うな
ど患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投
与を中止し、適切な処置を行うこと。
5∼50%
未 満
副 作 用 の 頻 度
50%
以上
5∼50%
未 満
呼 吸 器
5%
未満
呼吸困難
頻 度 不 明
咳嗽
無精子症、卵巣
機能不全、月経
不全、流産
生 殖 器
倦怠感
そ の 他
膀胱炎、耳下腺
炎、結膜炎、低
蛋白血症、血清
アルブミン減少、
関節痛、動悸、
胸部圧迫感、
浮腫
注3)投与を中止すること。
注4)投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5 .高齢者への投与
高齢者では腎機能等生理機能が低下していることが多く、メ
トトレキサートの排泄遅延により副作用があらわれやすいの
で、腎機能検査値に十分注意し、患者の状態を観察しながら
慎重に投与すること。
6 .妊婦、産婦、授乳婦等への投与
(1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと
が望ましい。
[催奇形性を疑う症例報告があり、また、動物実験(マウス、
ラット及びウサギ)で催奇形作用が報告されている。]
(2)母乳中への移行が報告されているので、授乳中の婦人には投
与しないこと。
7 .小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児(1歳未満)に対する安全性は
確立していない(使用経験が少ない)。
8 .臨床検査結果に及ぼす影響
トリメトプリム(スルファメトキサゾール・トリメトプリム
配合剤)を併用した場合、2水素葉酸還元酵素(dihydrofolate
reductase:DHFR)を用いたメトトレキサート濃度の測定で
見かけ上高値を呈することがあるので注意すること。
9 .過量投与
徴候・症状:
外国で過量投与時に報告された主な症状は血液障害及び消化
管障害であった。また、重篤な副作用を発現し、致命的な経
過をたどった症例が報告されている。
処置:
過量投与したときは、すみやかに本剤の拮抗剤であるロイコ
ボリンカルシウムを投与するとともに、本剤の排泄を促進す
るために水分補給と尿のアルカリ化を行うこと。本剤とロイ
コボリンカルシウムの投与間隔が長いほど、ロイコボリンカ
ルシウムの効果が低下することがある。
10.
投与上の注意
(1)療法開始前、療法中の注意
1)本療法前に臨床検査(血液検査、肝・腎機能検査、尿検査等)
は必ず実施すること。肝、腎、骨髄機能等がすべて正常又は
これに準ずることを確認し、本療法を開始すること。
2)尿を経時的にチェックしpH7.
0以上に維持すること。
尿が酸性側に傾くと、メトトレキサートの結晶が尿細管に沈
着するおそれがあるので、500mLの補液あたり17∼34mEqの
炭酸水素ナトリウム(7%メイロン20mL 1∼2管/補液500mL)
をメトトレキサート投与前日からロイコボリン救援投与終了
まで継続投与すること。同時に十分な水分の補給(100∼
150mL/m2/時間)を行い、メトトレキサートの尿への排泄を
促すよう考慮し、全尿量のチェックを経時的(6時間ごと)
に行うこと。
3)アセタゾラミドの投与を行うこと。
アセタゾラミドは利 尿 及び尿のアルカリ化作用を有するの
で、アセタゾラミド250∼500mg/日をメトトレキサート投
与前日からロイコボリンの救援投与終了まで経口又は静脈内
投与すること。
4)尿を酸性化する利尿剤(例えば、フロセミド、エタクリン酸、
チアジド系利尿剤等)の使用を避けること。
(2)療法中、療法後の注意
1)白血球・血小板数が著減した場合、白血球・血小板輸血等の
適切な処置を行い、必要に応じて抗生物質の投与を考慮する
こと。
2)メトトレキサートの血中濃度を経時的に測定すること。
メトトレキサートの血中濃度の危険限界は24時間値で1×10−5
モル濃度、48時間値で1×10−6モル濃度、72時間値で1×10−7
モル濃度であるので危険限界以上の濃度の際はロイコボリン
の増量投与・ロイコボリン救援投与の延長等の処置を行うこ
と。
3)メトトレキサート投与48時間後の血中濃度値は副作用モニタ
ーの観点から重要な指標となるので、48時間後の血中濃度の
測定は必ず実施すること。
4)
通常、ロイコボリン救援投与はメトトレキサート投与終了 3
時間後から開始し、72時間行うこと。しかし、72時間後もメ
トトレキサートの血中濃度が1×10 −7モル濃度以上の場合に
は、血中濃度が1×10−7モル濃度未満になるまで十分な水分の
補給、尿のアルカリ化及びロイコボリンの増量投与・ロイコ
ボリン救援投与の延長等の処置を行うこと。
5)激しい口内潰瘍、下痢、下血等の症状があらわれた場合には
適切な処置を行うこと(例えば、1日数回100mLの水にロイ
コボリン15mgを加えた液を含嗽させた後、そのまま内服さ
せる試みが報告されている)。
6)メトトレキサートの高い血中濃度持続による重篤な骨髄抑制、
肝・腎機能の著しい低下、持続する口内潰瘍、下痢、下血等
の副作用があらわれた場合には大量のロイコボリン救援投与
を実施すること。
7)
メトトレキサート投与後 4日目に臨床検査(血液検査、肝・
腎機能検査、尿検査等)を実施すること。なお、必要に応じ
継続実施すること。
11.
適用上の注意
調製方法
調製した注射液は速やかに使用し、残液は廃棄すること。な
お、調製にあたっては細菌汚染に注意すること。
12.
その他の注意
(1)本剤を長期使用した患者あるいは本剤と他の抗悪性腫瘍剤を
併用した患者に、 悪性リンパ腫、急性白血病、 骨髄異形成症
候群(MDS)等の二次発癌が発生したとの報告がある。
(2)免疫機能が抑制された患者にワクチンを接種した場合、抗体
反応の欠如が報告されている。
*
【製造販売】
【販売】
-20-