第3章 環境保全対策の総合的推進

第1部 序 説
第3章 環境保全対策の総合的推進
このような状況にあって、「環境の時代」における環境の
第1節 環境基本条例の推進
平成5年11月、「環境基本法」(平成5年法律第91号)
目指す姿を定め、環境施策・行政のあり方の基本的な指針と
が制定されたことにかんがみ、本県においても、公害の防止
するため、新たな「岐阜県環境基本計画」を平成18年3月
や生活環境の保全に加えて、地球環境問題などに対し積極的
に策定した。
に対応するとともに、健康に良い豊かで快適な環境の保全及
この計画は、県政の政策総点検(平成17年2月∼平成18
び創出を図るため、「岐阜県環境基本条例」を平成7年3月
年1月)の結果を踏まえて策定している。
23日に制定し、同年4月1日から施行している。
表1−3−1 環境基本計画の役割
岐阜県環境基本条例の特色
1 公害の防止のほか地球環境など環境施策の総合的な推
① 「岐阜県環境基本条例」第10条に定める、豊かで
進
快適な環境の保全と創出に関する目標、施策の方向、
2 健康に良い水環境等快適環境の積極的な創出
配慮の方針等を明らかにする。
3 県民環境の日、環境総括責任者の設置など県民総参加
② かけがえのない「飛山濃水」の美しい自然を守り、
による取組
環境対策、循環型社会づくりを推進するための施策
4 環境教育・学習及び環境保全活動の自発的・積極的推
の基本的な方向を明らかにする。
進
③ 県民、事業者、行政の積極的な連携・協力のもと、
5 環境基本計画の策定など総合的、計画的な推進
環境の保全及び創出に関する取組を推進するための
引き続き「岐阜県環境基本条例」に盛り込まれた各種施策、
施策の基本的な方向を明らかにする。
環境保全対策の総合的推進
県民環境の日の普及、環境影響評価の推進、環境教育・学習
④ 「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の
の充実等に努める。
推進に関する法律」第8条に規定する環境保全の意
欲の増進及び環境教育の推進に関する方針、計画等
第2節 環境基本計画の推進
を兼ね備える。
1 策定の背景
策 定:平成18年3月
本県は、平成7年3月に制定した「岐阜県環境基本条例」
計画期間:平成18年度から平成22年度まで(5年間)
に基づき、平成8年3月に「岐阜県環境基本計画」を策定し、
策定根拠:岐阜県環境基本条例第10条
平成13年3月に同計画を改定し、環境の保全及び創出に関
する取組を推進してきた。
平成13年3月に改定された「岐阜県環境基本計画」では、
2 環境基本計画の概要
「協働」「循環」「共存」「地球環境の保全」の4つを基本
⑴ 基本理念
目標としたが、これらは、着実に諸施策に浸透してきた。
はぐく
一方で、平成13年3月の「岐阜県環境基本計画」の改定
から5年が経過し、本県の環境をめぐる情勢も変化してきた。
「飛山濃水」の豊かな自然と文化を守り育み、県民協働
により循環型社会の形成をめざします。
産業廃棄物の不法投棄による環境破壊、アスベストの飛散に
日本のほぼ中央に位置する岐阜県は、「飛山濃水」と
よる健康被害など、新たな危機事案が発生、あるいは発生が
称されるとおり、変化に富んだ地形と、清らかで美しい
危惧された。さらに、地球温暖化対策では「京都議定書」が
「水」と「緑」に恵まれた豊かな自然を有している。その
発効し、循環型社会形成への取組では「循環型社会形成推進
中で私たちは永い間自然と共生しながら生活の歴史を刻み、
基本法」や各種リサイクル法が施行されるなど、環境問題は
個性ある文化を育み、ふるさとを築いてきた。
新たな局面を迎えた。
しかし、物質的豊かさを追い求める私たちの生活や、エ
また、環境問題の多くが私たちの日常生活や事業活動に起
ネルギーや資源を大量に消費する現在の社会経済の仕組み
因しており、自らが原因者であり、被害者でもあるケースが
は、地球温暖化など地球環境をも大きく変化させようとし
一般化している。環境問題を解決していくためには、県民、
ている。私たちは、これまでのライフスタイル、社会の仕
地域住民組織、NPO、事業者、行政などの環境保全意識の
組みを改め、限られた資源を有効に利用しながら、環境へ
高揚を図り、社会経済活動及びライフスタイルの変革や環境
の負荷を低減する循環型社会への転換を図り、持続可能な
保全活動への参加へ導いていくことが重要である。
社会づくりを進めなければならない。
−6−
第1部 序 説
私たちは、地域社会、地球社会の一員として自覚と責任
表1−3−2 各圏域ごとの目指すべき環境像
を持って、協働しながら、環境にやさしい行動を実践し、
豊かな環境を保全し、将来の世代へ引き継ぐ。
⑵ 基本目標
岐阜圏域
アユが泳ぐ清流と心安らぐ緑をたたえた都市環境地
域の形成を目指します。
西濃圏域
豊富な水が循環し、恵まれた自然と人の共生するう
るおいと安らぎのある循環型社会を形成します。
中濃圏域
環境教育の充実及び環境保全活動の活性化を図りな
がら、環境産業の育成を進め、資源循環型社会の先
進的地域を形成します。
東濃圏域
丘陵地に広がる豊かな里山林などの自然環境や景観
と調和した地域を目指します。
飛騨圏域
飛騨の豊かな自然、伝統文化、景観を保全し、「日
本の心のふるさと飛騨」を目指します。
基本理念をより具体的なものとしていくため、5つの基
本目標を定めている。
Ⅰ 自然生態系を保全する
私たちは、自然から豊かな恵みを受けている。自然は、
そこで生きる多種多様な生物と環境という生態系のバラン
スの上に成り立っている。私たちは生態系の構成員として
共生をめざし生態系を守る。
Ⅱ 生活環境を守る
安全、安心で快適な生活を確保することは私たちの共通
の願いである。良好な大気、水、土壌環境を保全し、化学
物質による汚染を防止するとともに、歴史的、文化的な景
観を大切にし、豊かな生活環境を守る。
Ⅲ 循環型社会をつくる
大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会経済の仕組みを
荷を低減しなければならない。家庭や事業所などのごみの
出所からなるべく近いところでごみ排出量を少なくしたり、
再利用を進めるなど、3R対策(リデュース(発生抑制)、
リユース(再使用)、リサイクル(再生利用))を推進し、
循環を基調とした社会をつくる。
Ⅳ 地球環境を保全する
地球温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨など地球規模の環
境変化が進んでいる。私たちのライフスタイル、事業活動
を見直し、環境にやさしい行動を実践し、良好な地球環境
を保全する。
Ⅴ 県民協働を進める
環境問題は、経済社会活動、生活全般に深く関わること
から、県民、地域住民組織、NPO、事業者、公共団体な
どといったすべての主体が、参加、連携して取り組むこと
が必要である。情報の共有、ネットワークの形成を図り、
具体的な行動に向けて協働を進める。
⑶ 圏域ごとの取組
圏域ごとの地域特性、環境特性を踏まえ、より地域に密
着した環境行政を展開していくため、5つの圏域ごとに独
自の計画を策定している。
−7−
環境保全対策の総合的推進
見直し、資源やエネルギーの消費を少なくし、環境への負
第1部 序 説
3 環境基本計画の進捗状況
表1−3−3 環境基本計画の進捗状況
項 目
担
当
課
1 環境づくり県民会議参加団体数
環境生活政策課
2 間伐実施面積
森 林 整 備 課
3 針広混交林・複層林面積
森 林 整 備 課
(多様な森林づくり面積)
4 指定希少野生生物の保護
平成21年度末
平成19年度末
平成22年度末
(現況値)
(中間目標値)
(目標値)
189団体
72,167㌶
16,582㌶
216団体
220団体
42,800㌶
74,000㌶
(H17年度∼H19年度) (H17年度∼H21年度)
15,271㌶
18,400㌶
(H23 年度末)
地 球 環 境 課
(岐阜県希少野生生物保護条例)
・指定希少野生生物の種の数
・指定希少野生生物の保護区の数
16種
−
20種
5保護区
6保護区
7保護区
5 ビオトープの設置地区数
農 地 整 備 課
14地区
11地区
14地区
6 ぎふクリーン農業表示制度における生産登録面積
農 業 技 術 課
12,377㌶
8,800㌶
12,000㌶
7 一般環境大気測定局の測定結果
地 球 環 境 課
・NO2に関する環境基準の達成率
100%
−
100%(各年度)
・SO2に関する環境基準の達成率
100%
−
100%(各年度)
・SPMに関する環境基準の達成率
100%
−
100%(各年度)
・ベンゼンに関する環境基準の達成率
100%
−
100%(各年度)
・トリクロロエチレンに関する環境基準の達成率
100%
−
100%(各年度)
・テトラクロロエチレンに関する環境基準の達成率
100%
−
100%(各年度)
・ジクロロメタンに関する環境基準の達成率
100%
−
100%(各年度)
・NO2に関する環境基準の達成率
100%
−
・SPMに関する環境基準の達成率
100%
−
51.2%
18.0%
8 有害大気環境汚染物質の監視測定結果
環境保全対策の総合的推進
9 自動車排出ガス測定局の測定結果
地 球 環 境 課
地 球 環 境 課
10 公用車における環境にやさしい車導入率
管
財
課
11 長良川の水質目標
地 球 環 境 課
・本川のBOD
・都市河川のBOD(桑原川)
12 魚が棲めるとされる水質環境基準の類型指定をする
上流∼中流
0.5∼0.7mg/ℓ
4.0mg/ℓ
地 球 環 境 課
水域の数(C類型以上の水域の数)
−
−
100%(各年度)
100%(各年度)
20.0%
(各年度)
1mg/ℓ以下
5mg/ℓ以下
68水域
67水域
69水域
13 汚水処理人口普及率
下 水 道 課
86.3%
−
91.7%
14 「ぎふ・ふるさとの水辺」認定数
地 球 環 境 課
32件
35件
50件
15 カワゲラウオッチング調査
地 球 環 境 課
参加団体数
85団体
90団体
5,500人
6,000人
190地点
200地点
90団体
延べ参加者数
4,965人
延べ調査地点数
121地点
16 水源かん養保安林の指定面積(民有林)
治
山
課
137,574㌶
(H20年度末)
17 騒音の環境基準達成率
−
136,700㌶
(H30年度末)
地 球 環 境 課
・一般地域
88.6%
94.0%
100%
・自動車騒音
97.2%
82.0%
100%
18 リスクコミュニケーション実施事業所数
地 球 環 境 課
24事業所
20事業所
30事業所
19 景観計画の数
都 市 政 策 課
10件
3件
6件
20 良好な景観づくりに向けて活動をしている住民組織
都 市 政 策 課
93件
46件
49件
の数
−8−
第1部 序 説
21 分別収集取組市町村目標数
廃 棄 物 対 策 課 (42市町村中)
・無色のガラス製容器
42市町村
42市町村
42市町村
・茶色のガラス製容器
42市町村
42市町村
42市町村
・その他のガラス製容器
42市町村
42市町村
42市町村
・その他の紙製容器包装
18市町村
23市町村
31市町村
・ペットボトル
42市町村
42市町村
42市町村
・その他のプラスチック製容器包装
39市町村
42市町村
42市町村
・鋼製容器
40市町村
42市町村
42市町村
・アルミニウム製容器
40市町村
42市町村
42市町村
・飲料用紙製容器
35市町村
40市町村
41市町村
(H21年度)
22 リサイクル認定製品の累計認定数
・排出量
廃棄物対策課
277件
277件 (H20年度末)370件
廃 棄 物 対 策 課 (H20年度) 768千t
758千t
707千t
・再生利用量
176千t
205千t
235千t
・中間処理による減量
519千t
464千t
399千t
64千t
89千t
73千t
・発生量
3,878千t
−
4,456千t
・再生利用量
1,640千t
−
2,060千t
・中間処理による減量
2,112千t
−
2,089千t
126千t
−
307千t
7事業所
17事業所
30事業所
10,819kℓ
−
17,888kℓ
3,751kℓ
−
6,476kℓ
23
一般廃棄物関係
・最終処分量
24 産業廃棄物関係(農業系を除く)
廃 棄 物 対 策 課 (H20年度)
・最終処分量
地 球 環 境 課
26 新エネルギーの導入目標値
商 工 政 策 課
・太陽光発電
<供給側
・風力発電
(発電分野)>
・廃棄物発電
24,131kℓ
−
29,425kℓ
・バイオマス発電
35,301kℓ
−
35,453kℓ
・太陽熱利用
14,782kℓ
−
24,289kℓ
5kℓ
−
600kℓ
627kℓ
−
739kℓ
19,532kℓ
−
40,040kℓ
164,771kW
−
205,575kW
53,883kW
−
50,233kW
41kW
−
37,500kW
10,717台
−
55,020台
<供給側
・未利用エネルギー(含雪氷熱)
(熱利用分野)> ・廃棄物熱利用
・バイオマス熱利用
・コージェネレーション
<需要側>
(うち天然ガスコージェネレーション)
・燃料電池
・クリーンエネルギー自動車
27 環境学習地域ボランティア人材登録人数
環境生活政策課
66人
100人
120人
28 環境カウンセラーの登録人数
環境生活政策課
79人
80人
100人
29 自然ふれあいサポーターの登録人数
地 球 環 境 課
57人
75人
80人
30 大気環境木植栽本数
地 球 環 境 課
644,653本
627,000本
807,000本
31 一学校一森林づくりの学校林
林
課
65校
32 こどもエコクラブ ・クラブ
環境生活政策課
210クラブ
64クラブ
70クラブ
7,541人
2,100人
2,300人
登録数
政
・人
33 保健保安林の指定面積(民有林)
治
山
課
7,442㌶
(H20年度末)
34 環境ポータルサイト「岐阜県まるごと環境パビリオ
環境生活政策課
ン」アクセス件数
35 環境メールマガジン「Eネットニュース・ぎふ」の
環境生活政策課
毎月の配信件数
−9−
64校 (H23年度末) 85校
−
10,800㌶
(H30年度末)
32万件
330万件
360万件
739件
1,100件
1,350件
環境保全対策の総合的推進
25 環境創出協定締結事業所数
第1部 序 説
図1−3−1 岐阜県環境基本計画の施策体系
基 本 理 念 「飛山濃水」の豊かな自然と文化を守り育み、県民協働により循環型社会の形成をめざします。
【基本目標 Ⅰ】
自然生態系を保全する
【施 策】
【基本施策】
生物多様性の確保
野生生物の生息地、生育地の保護
希少野生動植物の保護
身近な自然環境の保全
身近な自然環境の保全
環境に配慮した社会基盤の整備
環境に配慮した社会基盤の整備
【基本目標 Ⅱ】
生活環境を守る
【基本施策】
大気環境の保全
【施 策】
汚染発生源の抑制
自動車排出ガス対策の推進
健全な水循環の確保
汚濁発生源の抑制
土壌・地下水保全対策の推進
水をとりまく環境の保全
地盤沈下、騒音、振動、悪臭の防止
地盤沈下対策の推進
騒音、振動及び悪臭の防止
環境保全対策の総合的推進
環境汚染化学物質対策の推進
ダイオキシン類対策の推進
PRTR制度の推進
生活空間と各種景観の保全と創出
良好な景観の形成
歴史的・文化的環境の保全
【基本目標 Ⅲ】
循環型社会をつくる
【基本施策】
資源循環型社会への転換
【施 策】
循環型社会形成の推進体制の整備
循環資源の有効利用
環境産業の育成支援
廃棄物対策の推進
廃棄物の適正処理の推進
不法投棄等の不適正処理対策の推進
災害時における廃棄物処理対策の推進
環境への負荷を軽減するための取組の推進
環境に関する調査及び研究
環境への負荷を軽減するための支援及び取組
【基本目標 Ⅳ】
地球環境を保全する
【基本施策】
地球温暖化対策の推進
【施 策】
県民運動の推進
温室効果ガス削減対策の推進
新エネルギーの導入促進
オゾン層保護、酸性雨対策の推進
オゾン層保護、酸性雨対策の推進
【基本目標 Ⅴ】
県民協働を進める
【基本施策】
環境教育、環境学習の推進
【施 策】
教えることのできる人材の育成と活用
学習の機会の提供及び活用
環境情報の共有
環境情報の共有
県民協働による環境保全活動の推進
県民協働による環境保全活動の推進
−10 −