浸透圧の研究 ジ 熊本市立湖東中学校 2年 宮瀨 1 研究の動機 調味料には代表的なさ ( 砂糖 ) し ( 塩 ) す ( 酢 ) せ ( 醤油 ) そ ( 味噌 ) があり、何種類かを1つ の料理に使用する場合はさしすせその順番で味付けすると聞いた事がある。それには何か科学的根 拠があるのではないかと思い調べたところ、 浸透圧にたどりついた。液体と液体をしきる膜 ( 半透膜 ) に影響を与えるものは何か。液体の種類や液体の濃度の違いについて実験で確かめることにした。 2 研究の目的及び方法 ⑴ セロハン膜を使った実験 図1の実験装置で2種類の食塩水 ( 高濃度、低 濃度 ) 砂糖水 (27%) 醤油 ( 原液 ) について調べる。 ①ストローから基準位置まで液体を流し込み、印 をつけ、上のカップの空気穴をビニールテープ でふさぐ。 ②①のカップを、水の入った水槽に浸ける。 ③水槽に浸けた時を 0 分とし、20 分おきに液面の 図1 高さを測定する。 ⑵ セルロースチューブを使った実験 図2の実験装置で次の 8 種類に ①セルロースチューブを 12cm に切る。 ついて調べる。 ②チューブの下を釣糸で縛り、16㎖の液 体をピペットで注ぐ。 ・20%食塩水 ・10%食塩水 ③ストローを差込み、溝の部分で空気を ・醤油(原液) ・20%砂糖水 入らない様に釣糸で縛る。その際、微 ・20%アルコール 調整をし、基準位置に印をつける。 ④大型試験管に基準位置程度の水を注 ・食酢 ぎ、チューブを浸し、0 分とする。 ・20%食塩水 in20%砂糖水 ・20%砂糖水 in20%食塩水 ⑤ほぼ 3 分おきに液面の高さを測定する。 図2 ⑶ うす皮状態の卵を使った実験 次の液体に浸け、卵の膜の中 ①殻の付いた卵を 10%塩酸で、殻を完全に溶かす。 と外のどのような液体の移動が ②うす皮状態になった卵をよく水洗いする。 あるか調べる。 ③ビーカーに6種類の液体を 230㎖注いで置く。 ・水 ・20%食塩水 ・食酢 ④②の卵をペトリ皿にのせ、デジタル秤で重さを測 ・10%食塩水 ・20%砂糖水 定し、それぞれの液体につけ 0 分とする。 ・20%砂糖水 ・50%アルコール ⑤ 1 時間おきに、デジタル秤で重さを測定する。 ⑷ アロエを使った実験 図3のような実験装置に次の 5 種類の液体を使い、アロエの葉の表面の膜について調べる。 - 106 - ①葉肉の厚いアロエを 20cm 程度に切る。 ・水 ②切口の水分を拭取り出なくなるのを待つ。 ・20% 食塩水 ③円筒ガラス容器にアロエと同じ高さ程度に ・20%砂糖水 なる様同じ量ずつ5種類の液体を入れる。 ・食酢 ④②の切口に水を入れたストローを差込み、 ・50%アルコール 水位が安定した所に印をつけ、基準位置と する。その時を0分とする。 ⑤5分おきに、液面の高さを測定する。 図3 3 研究の結果 60 80 60 80 時間(分) 時間(分) 時間(分) 20 40 20 40 時間(分) 18 20 18 20 0 14 0 16 0 時間(分) 14 1 0 16 80 12 60 12 時間(分) 40 8 20 セルロースチューブの実験 10 0 2 1 8 80 セルロースチューブの実験 10 60 6 40 6 20 4 0 3 2 2 10 4 3 4 21 5 4 20%食塩水 20%砂糖水 20%アルコール 20%食塩水 10%食塩水 20%砂糖水 20%アルコール 食酢 10%食塩水 醤油 20%食塩水in20%砂糖水 食酢 20%砂糖水in20%食塩水 醤油 20%食塩水in20%砂糖水 20%砂糖水in20%食塩水 2 32 14 12 14 10 12 8 10 6 8 4 6 2 4 0 2 -2 0 -4 -2 -4 0 低濃度 43 0 液体の種類の違い 5 0 4 醤油 30%食塩水 醤油 27%砂糖水 30%食塩水 27%砂糖水 液体の種類の違い トロ のー 水の スト ロ スー 位水 (c位 m)(cm) 高濃度 低濃度 高濃度 濃度の違い 濃度の違い 位 m位 ) (cm) ストロー スの トロ ー (c 水 の 水 ス トロ スー ト ロのー水の位水( c位m()c m ) ⑴ カップを使った実験 ⑵ セルロースチューブを使った実験 ⑶ うす皮状態の卵を使った実験 ⑷ アロエを使った実験 量化 卵の重 卵の重 さの変 さの 化変 (g量 ) (g) 40 30 30 20 卵の実験《変化量》 卵の実験《変化量》 0 0 -1 -1 -2 -2 -3 -3 -4 -4 20 10 10 0 0 -10 -10 0 1 2 3 4 5 0 1 2 3 4 5 6 時間 6 時間 水 20%食塩水 水 20%食塩水 アロエの実験 アロエの実験 ス トスロトー ロの ー水 の位 水位 ( ㎝()㎝ ) 40 水 20%食塩水 水 10%食塩水 20%食塩水 20%砂糖水 10%食塩水 食酢 20%砂糖水 50%アルコール 食酢 50%アルコール 7 8 9 10 16 24 37 7 8 9 10 16 24 37 0 0 5 5 10 10 15 20 時間(分) 15 20 時間(分) 25 25 30 30 35 35 4 研究の考察 ⑴ 濃度の異なる食塩水では、濃度の高い方が上昇が大きく、浸透圧が高いことが分かった。また、 醤油、食塩水、砂糖水の順で上昇が見られ醤油は塩分がかなり高いのではないかと思われる。 ⑵ ⑴に比べ短時間で外液が浸入し、20% 食塩水、醤油の順で上昇が著しく上昇があった。この現 象により浸透圧の大きさの比較が出来た。半透膜は大きな分子は通せないが、この実験で使用し た液体の分子は小さいため、浸透圧の関係で液が移動し、時間が経つと食塩水や砂糖水も外に出 ることが硝酸銀水溶液やベネジクト液の反応から分かった。 ⑶ うす皮状態の卵は 1 日後に水を 30g 透し、膨れた。これは、卵内部の濃度が高いためだと考え られる。酢や砂糖水は 10g 程度の増加。アルコールは変化が少ない。食塩水は逆に減少したこと から、この実験でも食塩水の浸透力がいかに大きいかが分かる。 ⑷ 水はほぼ変化がなく、食塩水は水位の減少が見られる。数日後、食塩水とアルコールに浸けた アロエは変化があり、特に食塩水は枯れた状態になった。しかし、砂糖水に浸けたアロエは一番 弾力が残り、出入りが少ないと考えた。アロエの切口の液体をベネジクト液で調べたところかな り濃い糖が含まれていることが分かった。糖同士なので、移動が少ないと考えられる。 - 107 -
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