ITストラテジスト (PDF 174KB - アイテック

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平成24年度秋
IT ストラテジスト試験分析速報
2012,10,22
(株)アイテック
情報技術教育研究部
1.試験全体の講評
新試験制度に変わってからの傾向を引き継いでおり,今年も大きな変化はありませんで
した。全体としての難易度は例年通りで「中」程度です。ただし,全体的に経営戦略や事
業戦略に関連するより上流の内容に関連する出題が増えてきている印象を受けます。午後
Ⅰに関しては,問1,問2が比較的難しい問題でしたが,問3,問4が比較的答えやすい
問題でした。午後Ⅱに関しては,問1,問2が比較的オーソドックスな問題で,比較的対
応しやすい内容でしたが,組込みシステム対応の問3は比較的解答しにくい内容でした。
2.午前Ⅰ(共通知識)試験講評(多肢選択式問題)
共通知識として幅広い分野から 30 問が出題される午前Ⅰ試験ですが,従来どおり,全て
の問題が,応用情報技術者試験の 80 問からの抜粋になっています。
出題分野の内訳はテクノロジ分野が 17 問,マネジメント分野が 5 問,ストラテジ分野が
8 問で,前回に比べてマネジメントが 1 問増加し,ストラテジが 1 問減っています。
出題内容に関して,今回の試験では新傾向問題がいくつか出題されています。
問 10 データウェアハウスにデータを取り込むツール(ETL ツール)
問 11 非同期通信技術を利用した検索候補の逐次表示(Ajax)
問 15 攻撃と対策の適切な組合せ
問 17 プログラムの著作権侵害
問 28 PLM の目的
問 30 国際標準として決められた会計基準(IFRS)
計算問題や用語問題,考える必要のある問題が前回(平成 24 年度春期)よりも少なくな
り,文章の正誤を判断する問題が増えました。やや難しい問題もありましたが,難易度と
しては前回とほぼ同じといえます。
高度種別の午前Ⅰ試験は出題範囲が広いので,日頃からしっかり学習をすることが大切
です。基本的な用語や計算問題は確実に理解してください。
3.午前Ⅱ(専門知識)試験講評(多肢選択式問題)
午前Ⅱはここ数年の傾向として目新しい用語が多く出ていましたが,今年は特に経営や
マーケティングに関する最近の用語が多く出題されており,難しく感じた受験者も多かっ
たと思います。これらの問題に対応していくためには,最近の動向や経営手法などについ
て,日頃から注意を払っておくことが重要です。目新しい問題としては,具体的には以下
のようなものがありました。
問 3 内閣府の“事業継続ガイドライン"による事業継続計画の継続的改善のプロセス
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問 7 LBO
問 11 クロスセリング
問 12 コンジョイント分析
問 17 プロダクトライン開発
問 24 連結決算の計算
4.午後Ⅰ試験講評(記述式問題)
全体的には,出題傾向に大きな違いはなく,問題文のヒントを確実に捉えていけば,解
答が導ける問題でした。ただし,問1と問2はヒントと設問の関係が少し分かりにくい設
問もありました。問3,問4に関しては,比較的ヒントが分かりやすく,解答しやすい問
題でした。
問1
産業用エネルギー機器の製造・販売を行う企業におけるメンテナンスサービス事業
最近一部の企業で実施され大きな効果を上げている,機器に通信モジュールを装備し通
信回線を介して機器の運転状況のデータを収集し,そのデータをメンテナンス活動や販売
活動に活用するシステムの問題です。ヒントは問題文に書かれていますが,どのヒントを
どの設問に使っていくかについて少し迷う問題でした。
問2
食品会社における営業業務の改革
食品販売会社の販売管理システムに関する問題で,業務的には多くの人が馴染みのある
業務内容でしたが,本社の支店の業務の切り分けが分かりにくいので,そこをきちんと把
握できるかどうかが,点数に大きな影響を与える問題でした。
問3
卸売業者の物流業務の改善
過去にも何回か出題されている卸売業者の物流業務の改善の問題でした。業務の内容も
理解しやすくヒントも明確に書かれているので,非常に解答しやすい問題でした。問題文
をしっかり読んでヒントを見落とさないようにすることが重要です。
問4
電機メーカの事業展開
従来と同様,問4は組込みシステムに関する問題でした。しかし,内容的には組込みシ
ステムに関する知識はほとんど必要なく,誰でも取り組める問題でした。ヒントも明確に
書かれているので,比較的解答しやすい問題でした。
5.午後Ⅱ試験講評(論述式問題)
過去3年間と異なり,問1,問2とも旧上級シスアド分野ではなく,旧システムアナリ
ストの分野の問題でした。問3は過去3年間と同様に,組込みシステムの問題でした。
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問1
IT を活用した事業戦略の策定について
非常にオーソドックスな十分に予想されたテーマでしたので,多くの受験者がこの問題
を選んだのではないかと思います。事業戦略がテーマでしたが,ITを活用することが前
提の問題なので,IT戦略の立案で準備をしていた受験者も十分対応可能な問題でした。
設問イは,オーソドックスにITを活用した事業戦略の内容を述べればよいので,比較
的書きやすかったと思われます。設問ウは,経営トップ,事業責任者に対してどのように
提案し,どう評価されたかを述べる必要があるので,いかに説得力のある効果の説明が出
来たかどうかが評価のポイントになったと思われます。
問2
事業継続計画の策定について
これも十分に予想できた事業継続計画の策定の問題でした。内容的には,このテーマの
基本的な項目を問う設問になっており,比較的書きやすかったと思われます。ただし,設
問ア,設問イについては,設問の指定が非常に具体的に指示されているので,この指示に
忠実に従って書くことが重要です。設問ウは,事業継続計画の実効性を高めるために工夫
した点なので,比較的自由に書けますが,ここでしっかり工夫点をアピールできるかどう
かが,重要になる問題でした。
問3
技術動向の分析に基づいた組込みシステムの企画について
過去3年間と同様,組み込みシステムに関する問題でしたが,技術動向の分析がメイン
のテーマなので,組込みシステム固有の知識はほとんど必要ありませんでした。技術動向
の分析は,決まった方法があるわけではなく,技術分野によってその分析内容も変わって
くるので,どのような解答をするか少し迷う設問でした。
以上
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