に対する対応について(平成21年5月26日) - 別府市医師会

別医第200号
平成21年5月26日
会 員 各 位
別府市医師会長 河 野 幸 治
担 当 部 長 大 薮 久 憲
新型インフルエンザに係る症例定義の再改定に伴う大分県の対応及び
妊婦もしくは褥婦に対しての新型インフルエンザ感染(HⅠN1)に対する対応について
標記の件につきまして、平成21年5月23日付別医第193号「A型インフルエンザ確認時
における大分県医師会への報告について」でお知らせしましたが、この度、厚生労働省健康局結核
感染症課長からの症例定義の再改定の通知を受け、大分県新型インフルエンザ対策本部と大分県医
師会新型インフルエンザ対策本部とで、大分県内における取扱いについて協議し、一般の医療機関
に直接患者が受診した場合の医療機関の対応について、別紙の通り症例定義の再改定があった旨、
大分県医師会より通知がありましたのでご対応をよろしくお願いいたします。
また、先日大分県医師会よりお願いいたしました、A型インフルエンザを検出した際の報告に
つきましても、県内状況把握のためにも、ご協力の程お願いいたします。今回の対応は、現時点で
の判断であり、今後も県内発生状況等により対応についての変更があることを申し添えます。
なお、妊婦もしくは褥婦に対しての新型インフルエンザ感染(HⅠN1)に対する対応について
も、社団法人日本産科婦人科学会よりQ&A (医療関係者対象)が出ておりますのでご参考のため
に添付いたします。
重要
新型インフルエンザに係る症例定義及び届出様式の再改定(平成21年5月22日)
に伴う大分県の対応について
・症例定義及び届出様式の再改定に伴い、取り扱いを下記のとおりとする。
1
発熱相談センター(保健所)における電話対応について
(別紙1参照)
・下記の対象者を発熱外来(初診対応医療機関:県下 16 カ所)へ受診勧奨
38℃以上の発熱又は急性呼吸器症状があり、
かつ①②③のいずれかに該当
①発症前7日間に、感染が報告されている地域での滞在又は旅行歴がある
・まん延していると考えられる地域
(5月21日時点でメキシコ、アメリカ本土、カナダ)
・急速な患者数の増大が見られる地域
「患者や濃厚接触者が活動した地域等」(別紙3を参照)
(常時更新されるため厚生労働省のHPで確認)
②発症前7日間に、新型インフルエンザ患者との濃厚な接触歴がある
③職場、学校または家庭などにおいてインフルエンザ様症状を呈している者が、
患者の周囲に「3名以上」いる
・上記の①~③のいずれにも該当しない場合は通常の受診を指導
2
直接患者が受診した場合の医療機関の対応について
(別紙2参照)
・医師は、迅速診断キットによって A 型陽性となる等、新型インフルエンザが強
く疑われる場合は保健所に「連絡」をする。
・保健所は、医師及び患者から詳細な聞き取りを行う。
・保健所及び県健康対策課は、上記①~③に該当するなど、「新型インフルエンザ
にかかっていると疑うに足りる正当な理由のあるもの」に該当するか国と協議
する。協議の結果、「疑似症患者」と判断された場合は、保健所は医師にその旨
を伝え、医師は感染症法第12条1項の規程により保健所に「届出」を行う。
・迅速診断キットによって、A 型陽性であるが、上記①~③のいずれにも該当し
ない場合は、本人の同意を得た上で、サーベイランスを目的としたPCR検査
の対象とする。(5月16日から開始した58定点でのサーベイランスを全医療
機関に拡大)
-1-
(別紙 1)
新型インフルエンザが疑われる患者に対する対応(国内発生早期~感染拡大期)
保健所(発熱相談センター)に相談があった場合
平成21年5月22日(大分県健康対策課)
新型インフルエンザの感染が疑われる患者
(本人や家族が電話で相談)
新型インフルエンザの感染が疑われる
患者や家族から相談を受けた医療機関
保健所(発熱相談センター)
新型インフルエンザの感染を否定できない
*38度以上の発熱、急性呼吸器症状の有無
*①②③のいずれかに該当
新型インフルエンザを否定
*①②③いずれにも該当しない
初診対応医療機関の受診は
保健所等が連絡・調整を行う
最寄の初診対応医療機関 (他の患者との接触やPPEの確認)
かかりつけ医等の受診を勧める
詳細な問診と診察,咽頭ぬぐい液等を採取して
(サランラップで鼻をかんで鼻汁を採取しても良い)
受診
・迅速診断キットで検査を行う
A型陽性
A型陰性かつB型陰性
B型陽性
肺炎など重症な呼吸器症状
・保健所に「連絡」
・健康対策課は国と協議の上、
「疑似症」と判断された場合
主治医に「届出」を要請する
あり
なし
遺伝子検査を実施 (6時間で結果判明)
陰性
保健所は患者を感染症指定医療機関
(初期は県立病院)に移送
陽性
引き続き入院
対応終了(自宅療養等
(別紙 2)
新型インフルエンザが疑われる患者に対する対応(国内発生早期~感染拡大期)
直接、医療機関を受診した場合
平成21年5月22日(大分県健康対策課)
発熱や急性呼吸器症状がある患者
医療機関(かかりつけ医等)受診
インフルエンザが疑われる患者
に対して迅速検査キットで検査
インフルエンザの疑いがない
A型陰性かつB型陰性
A型陽性
(迅速検査キット)
*発症後まもない場合は必要
に応じて再検査
B型陽性
診断をした医師は保健所へ連絡
通常どおり診察
症例定義改定についてのQ&A 問3「疫学的に感染の疑い
があるかどうか(別紙①②③に該当するか)」を確認
①②③いずれも該当しない
①②③いずれかに該当する
検体を採取
検体を採取(本人同意)
保健所が検体を搬入
健康対策課は国と協
議の上、「疑似症」と判
断された場合、主治医
に疑似症の「届出」を
要請する
協議の間、患者には抗インフ
ルエンザウイルス薬を投与し
て、自宅で待機(自宅での待
機が困難な場合は感染症指
定医療機関に任意入院)
衛生環境研究センターで遺伝子検査を実施
(午前9時もしくは午後1時から検査を開始)
衛生環境研究センターで
遺伝子検査を実施(随時)
保健所は患者を感染症指定医療機関
(初期は県立病院)に移送
陽性
感染症指定医療機関にて入院治療
検査の間、患者には抗イ
ンフルエンザウイルス薬
を投与して、自宅で待機
陽性
陰性
陰性
外来治療
(別紙
3)
事
務
連
絡
平成 21 年 5 月 20 日
各
┌
│
│
└
都道府県
保健所設置市
特別区
┐
│
│
┘
衛生主管部(局)長
殿
厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部
新型インフルエンザ対策本部幹事会「確認事項」における
感染拡大防止措置を図るための地域について(第5報)
新型インフルエンザ対策に多大なるご尽力をいただいております。
国の新型インフルエンザ対策本部が平成 21 年 5 月 1 日に決定した「基本的対処方針」について、5
月 16 日、新型インフルエンザ対策本部幹事会において、国の関係省庁間の「確認事項」として、
自治体、医療機関、事業者や関係団体と連携・協力し、国民の協力を得て講ずる措置について確
認いたしました。
その「確認事項」の「三」においては、「地域や職場における感染拡大を防止するため、患者や
濃厚接触者が活動した地域等において次の措置を講ずる」としております。ここでの「地域等」
とは、これまでの疫学的状況や学区等の区域を踏まえ、当面、次の通りといたしますのでご了知
ください。なお、今後の状況に応じて、この「地域等」の範囲は随時変更することも考えられま
すので、併せてご了知ください。
なお、三の(一)(積極的疫学調査)については、この区域に限られることなく患者及びその接
触者の行動等を踏まえて必要に応じて拡大して調査を実施する場合があることに留意してくださ
い。
(「患者や濃厚接触者が活動した地域等」の範囲)(5月20日18:00現在)
兵庫県神戸市の全域、兵庫県芦屋市の全域、兵庫県明石市の全域、兵庫県西宮市の全域、兵庫県
尼崎市の全域、兵庫県伊丹市の全域、兵庫県川西市の全域、兵庫県宝塚市の全域、兵庫県三田市
の全域、兵庫県加古郡播磨町の全域、兵庫県加古郡稲美町の全域、兵庫県加古川市の全域、兵庫
県高砂市の全域、兵庫県姫路市の全域、兵庫県豊岡市の全域、兵庫県養父市の全域、兵庫県朝来
市の全域。兵庫県美方郡香美町、兵庫県美方郡新温泉町の全域。大阪府大阪市の全域、大阪府豊
中市の全域、大阪府池田市の全域、大阪府吹田市の全域、大阪府高槻市の全域、大阪府茨木市の
全域、大阪府八尾市の全域、大阪府箕面市の全域、大阪府三島郡島本町の全域、大阪府豊能郡能
勢町の全域。滋賀県大津市の全域、滋賀県草津市の全域。
また、特に中学校及び高等学校の在校生に新型インフルエンザの感染者が増加している状況に鑑
み、広めの地域で中学校及び高等学校の臨時休業を要請することが適当と考えられることから、
中学校及び高等学校の臨時休業の要請に限り、「患者や濃厚接触者が活動した地域等」の範囲を
兵庫県の全域、大阪府の全域とします。
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/index.html
(更新をされますので、最新情報を確認願います)
-1-
別添
妊婦もしくは褥婦に対しての新型インフルエンザ感染(H1N1)に対する対応 Q&A (医療関係者対象)
Q1: 妊婦は非妊婦に比して、新型インフルエンザに罹患した場合、重症化しやすいのでしょうか?
A1:季節性インフルエンザに関しては、心肺機能悪化のために入院を必要とする率が高くなることが報告され
ています。肺炎などの二次感染を合併し重症化すると胎児機能不全を引きおこすことがあります。新型インフ
ルエンザに関してはまだデータが不十分ですが、季節性インフルエンザと同様であると推定されています。
Q2:妊婦が38℃以上の発熱と急性呼吸器症状を訴えた場合、どのように対応すればよいでしょうか?
A2:発熱外来を開設している病院(地域の保健所に連絡することによりわかります)への受診を勧めます。
Q3: 妊婦に新型インフルエンザ感染が確認された場合の対応(治療)はどうしたらいいでしょうか?
A3: 米国では抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ)の投与が勧められています。本邦においても患者
に説明同意のうえ、それらの投与が勧められます。
Q4: 妊婦が新型インフルエンザ患者と濃厚接触した場合の対応はどうしたらいいでしょうか?
A4: 米国では抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ)の予防投与が勧められています。本邦においても患
者に説明同意のうえ、それらの予防投与が勧められます。
Q5: 抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ)は胎児に大きな異常を引き起こすことはないのでしょうか?
A5: 2007 年の米国疾病予防局ガイドラインには「抗インフルエンザ薬を投与された妊婦および出生した児に
有害事象の報告はない」との記載があります。
Q6: 抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ)の予防投与(インフルエンザ発症前)と治療投与(インフ
ルエンザ発症後)で投与量や投与期間に違いがあるのでしょうか?
A6: 米国疾病予防局の推奨(http://www.cdc.gov/h1n1flu/recommendations.htm)では以下のようになって
いますので、本邦妊婦の場合にも同様な投与方法が推奨されます。
1.タミフルの場合
予防投与:75mg 錠 1 日 1 錠(計 75mg)、 治療のための投与:75mg 錠 1 日 2 回(計 150mg)5 日間
なお、本邦の 2008 年 Drugs in Japan によれば、治療には上記量を 5 日間投与、予防には上記量を 7 日~10
日間投与となっています。
2.リレンザの場合
予防投与:10mg を 1 日 1 回吸入(計 10mg)、治療のための投与:10mg を 1 日 2 回吸入(計 20mg)
なお、本邦の 2008 年 Drugs in Japan によれば、治療には上記量を 5 日間吸入、予防には上記量を 10 日間吸
入となっています。
Q7: 予防投与の場合、予防効果はどの程度持続するのでしょうか?
A7: タミフル、リレンザともに 2008 年 Drugs in Japan によれば、これらを連続して服用している期間のみ
予防効果ありとされています。
Q8: 予防投与した場合、健康保険は適応されるのでしょうか?
A8: 予防投与は原則として自己負担となりますが、自治体の判断で自己負担分が公費負担となる場合がありま
す。
Q9: 抗ウィルス剤を服用しながら授乳することは可能でしょうか?
A9: 母乳自体による新型インフルエンザ感染の可能性は現在のところ知られていません。季節性インフルエン
ザでは母乳感染は極めてまれです。授乳時に抗インフルエンザ薬を投与する場合には、薬剤の児への潜在的リ
スクと母乳栄養による利益を考慮した上で患者と相談の上、決定して下さい。なお、米国疾病予防局の推奨で
は抗ウィルス剤を服用しながら児に授乳することは可能であるとされています。同時に児への感染リスクを最
小限にするため頻繁に手洗いしたりマスクをつけるなどの処置を必要とします。母児分離を行なうべきとの勧
告は今のところなされていません。
平成 21 年 5 月 19 日
社団法人
日本産科婦人科学会