VOL.292 - 星クラブ横浜

星☆CLUB
星☆CLUB YOKOHAMA
星くず
2014 年 4 月号
VOL.292
星☆クラブ横浜
星くず April. 2014
会報
vol.292
☆☆☆ CONTENTS:目次
CONTENTS:目次 ☆☆☆
***********************************
☆REPORT1: 天文誌を比較して・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.2
☆REPORT2: 市内観望会参加記・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.5
☆REPORT3: 散々な週末・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.8
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表紙
撮影
toccicat さん
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天文誌を比較して
都々逸
これまで、「星くず」の中で、米国天文誌の特徴的な記事等をいくつか紹介
してきたが、今回、休刊となった雑誌を含めて内外の天文誌を形式的な観点か
ら比較してみた。
1.価格(円)
Sky&Telescope
天文ガイド
星ナビ
月刊天文
2014 年4月号
2014年4月号
2014年4月号
2006年12月号
*621 (割合)
(割合)
743
762
(割合)
667
(割合)
【総ページ数】
86
2.広告頁数
15
17.4%
48
28.6%
25
22.3%
5
4.6%
3
33.3%
23
47.9%
8
32.0%
4
80.0%
71
82.6%
120
71.4%
87
77.7%
103
95.4%
3
3.5%
14
8.3%
12
10.7%
7
6.5%
(内自社広告)
実質頁
3.投稿写真頁
168
112
108
(*)Sky&Telescope の価格は、米国での店頭価格 5.99 米ドルを3月 31 日現
在の三菱東京 UFJ 銀行の TTS 103.66 円/US$にて日本円に換算。
1. 比較した天文雑誌
・先ずは、国内誌として現在販売されている名門「天文ガイド」,そして初心
者も親しみやすい「星ナビ」。一方、海外誌としては「Sky&Telescope」。
(以
下 S&T)また参考として惜しまれながらも平成18年12月に休刊となっ
た「月刊天文」を取り上げた。
.
2. 価格
・国内誌の天文ガイドと星ナビは、ほぼ同価格。一方、S&T は、国内の洋
書売り場で購入すると1,260 円するが、現地価格では、為替レートにもよる
が、国内誌よりも低価格で買える。
・さらに、年間購読した場合さらに差が広がる。国内誌はディスカウン率は
ほぼ零だが、S&T は、1年購読で 40%割り引かれる。これは、販売部の差
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と物流コストの違いからくるのかもしれない。
3. 広告の量
・ これは、予想通り米国誌に比べ国内誌の広告紙面の割合が高い。とくに天
文ガイドは、紙面の約3割が広告で、しかもその内半分は自社広告が占め
ている。広告の掲載内容も毎月あまり変わらないことから、これが雑誌全
体にマンネリ感のイメージを与えてしまっているかもしれない。
・ それに対して、休刊となった月刊天文は際立って広告が少ない、というよ
り広告がつかなかったといったほうが正確なのかもしれない。
・ 因に、S&T の掲載広告は、MEADE をはじめとする米国国内の会社がほ
とんどだが、本誌4月号に掲載されていた日本の会社の広告は零。漸く見
つけたのが米国販売会社の広告中の、タカハシ FSQ106ED,ビクセン
R200SS-SXD 赤道儀、キヤノン 60Da といった機材。SXD(三脚付き)
は、通常価格の半額の Special Closeout(特別見切りセール)で 1,495 米ド
ル(日本円で約 155 千円)で売られていた。このセットは日本国内の K
産業では 249,700 円で販売されているのだが・・・。
4. 紙面構成
・ 投稿写真のページ数は国内誌が 10 数ページあるのに対して、S&T はわず
か3ページ。これはそのまま日本の天文ファンの写真派が多いことを示し
ているのだろうか。
・ 一方、S&T では頻繁に手作りドブソニアンの記事が掲載されているのが
特徴的である。今回取り上げられているのは、何と鏡の大きさが 70 イン
チ、焦点距離 11m のドブソニアン。さすがアメリカ!
どでかいドブソニアン
3
規模が違う。
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5.最後に
・ ここ数年の金環食、大彗星(?)による天文ブームもあって、心持ち店頭
に並ぶ天文誌の数も若干増えて来たような気もする。しかし一方で、星ク
ラブの皆さんの中で、天文誌を継続的に購入している方はどのくらいいる
だろうか?
感覚的にいうと、ベテランの方を含めて一部ではないかと思
われる。増してや定期購読者というと・・・。
・ 月刊誌は大なり小なりマンネリ化しやすいが、天文誌もその例外ではない。
天文の場合、正に天から降ってくる天文現象というイベントに助けられる
がために、とくに日本の雑誌はワンパターン化、ガラパゴス化しているよ
うな気がする。今後日本の天文誌が生き残っていくためには、より多様化
した視点での記事や、米国のように定期購読者へのディスカウントを行な
っていくことも必要だろう。
今回比較した天文 4 誌
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市内観望会参加記
たけ
3 月 21 日の市内観望会に参加した。昨年末に入会した私にとって、初めてのイ
ベント参加である。
回転花火さんからの案内メールによると、長津田近くの田奈という場所で、M82
に挑戦してくださいとあるので、久しぶりに赤道儀を使った直焦点撮影にトラ
イすることにした。
横浜に引っ越してきて 1 年半だが、広島にいた時も含めて赤道儀を使っての直
焦点撮影は長い間やっていない。
先日、赤道儀用の 12V バッテリーを充電しようとしたら完全にお亡くなりにな
っていたので、新しいシールドバッテリーは調達済みだったが、肝心の赤道儀
がちゃんと動くのか?という不安を抱えつつ、現地に向かった。
今回の目標は、初イベントに参加すること、赤道儀がちゃんと動くか確認する
こと、短時間露出+多枚数コンポジットにトライすることの3つだ。
現地に着くとすでに数名の方がセッティングをされていた。ということで無事
辿りつけたので、最初の目的はクリア!
この場所は、空は特段暗い訳でもないが、山の上でもないのに視界は結構開け
ている。
歩いて5分ほどの距離にコンビニもあり、トイレにも困らない。
この日の透明度は良い方で、肉眼で見えるのは3.5等くらいでまずまずだっ
たが、風が強くて寒かった。
久しぶりの赤道儀組み立てだったが、順調に進んだように思えたが、鏡筒も含
めて組み立て上げると何かがおかしい。
バランスが・・・・、あっ、バランスウェイトをつけるのを忘れていた。ひっ
くり返らなくてよかった。。。
急ぎバランスウェイトをつけ、そのうち北極星も見えてきて、無事極軸設定は
完了。
適当に明るい星を導入して恒星時追尾を開始。しばらく追尾してみたが、
EM-200 はちゃんと追尾していることが確認できたので、2つ目の目標もクリ
ア(^^)/
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そのうち、沢山会員の方が集まってきた。全部で9~10台くらいだろうか?
現場は畑の間の一直線の道路で、車と車の間にそれぞれ機材をセッティングし
ているので、先頭から終端まで全長150m近くずらっと一直線に並んだ状態
で、近所の人からすると怪しい存在だっただろう。
星クラブのイベントとしては、これだけ集まるのは珍しいとのこと。横浜市内
ということで、私も含め参加しやすかったのだろう。
初参加ということもあり、皆さんに一通り挨拶してまわる。これまでに例会に
2回、飲み会に1回参加していたので、顔は何となく分かる人も多いが、まだ
誰が誰だか良く分からない状態なので、
「こんばんは~」と声をかけるくらいし
かできない。
(おいおいと覚えて行くことにします。名前が分からず失礼がある
と思いますがご容赦を)
さて、3つ目の目標である直焦点撮影だが、M82 を狙おうとするも、なかかな
導入できない。
自動導入という文明の力を持っておらず、ファインダーでの眼視導入だが、元々
M81,M82 は、赤緯の高い天体なので導入が苦手。悪戦苦闘したが、郊外とは言
えさすがに横浜市内、空も明るく無理そうなので諦め、目盛環を使って導入。
とりあえずシャッター切ってみると、なんとか端っこに写っていたので、真ん
中に写るようにして撮影開始。
最近はコンポジット用の便利なソフトもあるので、オートガイダーもガイド鏡
も無しで、短時間露出の沢山枚数コンポジット(この日は目標60枚)にトラ
イすることにした。
タイマーリモコンをセットして、後は放っておけるので、とても楽。
昔々の銀塩の時代は、30分~1時間、ガイド鏡の暗視野装置と睨めっこしな
がら、手動ガイドしていた。
その後、デジタルカメラになっても、便利なコンポジットのソフトが無かった
ころは、1枚について15分とかの露出をガイド鏡を覗きながらガイドして、
それをパソコンで数枚重ねるとかしていたのを考えると、楽になったものだ。
ダーク、フラットも撮った後、M81 の撮影もトライしたが、途中で雲が流れ来
たことと、反射鏡筒が三脚に干渉しそうになってきたため、不本意ながら途中
で終了。
気が付くと、皆さん流れ解散に入っていたようで、10台ほどあった車は、4
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台くらいに減っていた。
22:30 頃、機材を撤収し帰宅しようとすると、地平線から真っ赤な月が昇ってい
、機材を撤収し帰宅しようとすると、地平線から真っ赤な月が昇ってい
た。
翌日自宅にて、撮影した M81,M82 をパソコンで処理したところ、超新星もバッ
チリ写っていた。
ということで、3つ目の目標も達成!
M82 の導入に手間取ってしまったが、久しぶりの有意義な時間であった。
『M82』
M82』
2014/3/21 20:27 から、ISO800
ISO800 RAW 30 秒露出×57 枚
MT-160
160 1000mm F6.3
Canon EOS 60D
DSS にてコンポジット
2倍にトリミング
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散々な週末
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こーだい
1/31(金)
新月期の金曜日。仕事後でも晴れているところがあれば出発。
たとえ撮影開始が 24 時を回ろうとも。
2/1(土)
機材を組み立てている時は晴れているのに、組み上がったとと思ったら雲。
「やれやれ」と思いながら、テントの組み立てを始める。
割と風があって、苦戦したことを良く覚えている。
さて、テントが組み上がったぞ。
と一息ついている間もなく、予想通り、快晴到来。
子午線付近の対象を撮影開始。
このとき、既に 01:30。
カメラのリモコンで露出時間決めて、
「この機材はいじる必要はないな」。
とりあえず一息。
「そうだ、夕飯食べていなかった」
買ってきたパックおでんを暖めて、遅すぎる夕食。
「なんか少し喉が痛いな。まぁ、あんま気になんないな。」
その後、撮影がうまくいっていることを確認。
認。
「さて、三脚とカメラはまだあるからもう一セット、セッティングするかな。」
と、その前に温度計を確認しておく。
-7.8 度。
「今までは動いていたからあんま寒く感じなかったけど、やっぱ結構冷えてるなぁ。
一度テントに入って、15 分眠ってから、その後撮影対象を決めるか。
やっぱ仕事の後の撮影はしんどいな。
最近は金曜日が天気よくて、土曜日が悪い週末が続いている気がするな。」
テントに入って、携帯のアラームを 15 分後にセットして就寝。
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・・・15 分後・・・のつもり。
目が覚める。
回りはまだ暗い。
時計を見る。
・・・03:30。
うわ、寝坊してるわ。
なんか変だと思ったんだよね。
でも遠征中にこういった寝坊は初めてだなぁ。
「あれ、なんかのどの痛み増してるや。」
と、ほんわか考えていて、青ざめる。
NGC2244(バラ星雲)
「撮影中の赤道儀!カメラと三脚干渉!!やばい、これはマジでやばい!
「撮影中の赤道儀!カメラと三脚干渉!!やばい、これはマジでやばい!!!」
冷静になればなるほど、今回の撮影対象の位置と、赤道儀の恒星時駆動、それに伴うカメラの動きのすべてを考えて、「やば
い」という結論。
慌てて飛び起きて、すぐに赤道儀を見る。
無事だ。
とりあえずクランプを緩めて姿勢を整えて、状況確認。
対象は既に沈んでしまっている。
オートガイドはガイド星どころか、オペレーターすら失ってた状態で動き続けていたようだ。
暴走したオートガイドは、何がなんだかわからないまま動き続け、幸運にもそのまま恒星時駆動していたら干渉していたであろ
う機材を救っていた。
と思うことにする。
これは、運が悪ければ逆の結果になり、機材に深刻なダメージを与えてしまう可能性もあった。
「寝坊は良くない。」
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さて、気を取り直して。
まだ少し時間があるから M82 超新星を撮ろう。
さっと望遠鏡を向けて、さっと撮影する。
まだ組み立てていない、撮影機材がある。
今から組み立てても 1 作品くらいは残せるはずだ。
でもなぜかそんな気分にはなれない。
なんだか体がだるいのだ。
薄明が始まるまであと 10 分。
そうだ、ラブジョイ彗星がまだ見えるはずだ。
彗星撮影中に薄明が始まる。
薄明は良い。
機材をかっこ良く撮るために、良い。
あぁ、夜が明ける。
機材を片付け、テントの中で眠ることに。
この日は、このあと、一年ぶりに会う知人らと貸しロッジで撮影、曇ったら天文談義に花を咲かせる、そんな予
この日は、このあと、一年ぶりに会う知人らと貸しロッジで撮影、曇ったら天文談義に花を咲かせる、そんな予定だ。
今いる撮影場所も、それを見越してその貸しロッジから近いところを選んだ。
10 時。
テント内で起床。
体が重い。これは風邪引いたか。
貸しロッジに向かう道中で温泉施設に寄り、冷えきった体を温める。
湯上がり、割と回復して、「なんだ風邪なおったわ」といい気になる。
14 時。
約束の貸しロッジ到着。
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まだ誰も来ていない。
ちょっと寝るかな、と車内で仮眠を取る。
14 時 30 分
知人が車の窓をたたく音で目を覚ます。
「!!?」
なんだ、この全身を襲うひどい関節痛は。
これは、明らかに異常だ。
知人らが揃い、近くの温泉施設に向かう
とのこと。
自分はその間、ロッジで休んでいることに。
布団を準備して眠りにつく・・・。眠れない。
寒い、体が痛い。
布団を追加しても暖かくない。
『M82』
M82』
この時点で、「今流行りのインフルエンザでは」という疑いが頭をよぎる。
少なくとも自分自身、「これは普通の風邪ではない」という認識が持てる。
幸いなことに花粉症対策で知人らと話をしていた時はマスクをしていたから、少しは気が和らいだ。
が、これ以上はやめよう。
百害あって一利なしだ。
18 時
この日は曇り。天文談義に花を咲かしたかったが、温泉帰りの知人らに別れを告げて帰宅することにする。
帰路の運転中、襲ってくる関節痛。
体温計はない。
20 時 30 分
自宅に最寄りの IC を通過。
コンビニで一度止まる。
土曜日、夜間診療している病院を
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携帯で調べる。電話、症状を説明。
インフルエンザの可能性が高いので、
早く来るように言われる。
21 時
帰宅せず、病院へ直行。
夜間受付の入り口から病院へ。
診療室に案内され、先生が来るまで耐えきれずに診察台で横になる。
看護師の方が来て、問診とインフルエンザの検査。
・・・どのくらい時間が経ったのか覚えていないが、振り返ってみるとこの時が最もしんどかった。
看護師の方が、「インフルエンザ A 型」だと告げる。
薬剤師の方が、なんか粉っぽい薬を飲ませてくれた。
正直にいうと、この辺りはあんまり覚えていない。
23 時
コンビニで食料を買い込んで、帰宅。
撮影機材のうち、望遠鏡だけ整備して、すぐに就寝。
2/2(日)
起床。
体が痛い。
汗かいて、着替えて、水飲んで、寝て。
『大きな赤い月』横浜田奈撮影会
『大きな赤い月』
何度繰り返したか、わからない。
撮影 toccicat さん
撮影:
夕方、体からだるさが消えた。
関節はまだ痛む。
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熱を測るとやや微熱。
概ね下がったようだ。
ーーーー
以降、月・火・水と休暇を取り、出社したのは木曜日から。
関節痛は水まで続き、念のため病院へ行ったところ、もう大丈夫との太鼓判をもらう。
いわゆる、「兵どもが夢のあと状態」で、「ウイルスが暴れた後だから色々傷ついているだけで、ウイルス本体はもういない」と
のこと。
感染経路。
幸いなことに、会社内の自分の回りの方にはうつしていなかった。
つまり、私は電車でインフルエンザをもらったことになると思われる。
これでも自宅に帰ったらうがい薬でのうがい、石けんを使った手洗いは習慣になっている。
にも関わらずもらってしまったことは非常に悔しい。
今年はインフルエンザの予防接種は受けていないが、受けた知人も同じ A 型にかかっていた。
「なんだ、結局かかるのではないか。」と思う事なかれ、予防接種を受けた知人は私がかなり苦しめられた「関節痛」の症状は
ほとんどなかったと言っていた。
個人差はあるかも知れないが、症状をある程度軽減してくれるものかも知れないから、来年以降はしっかり予防接種は受けよ
うと思った。
ちなみに、この2日後、沖縄・与那国島に行ったのだが、そこでの帰宅劇もまたミラクルな展開であったが、それはまた別のお
話。
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『お花見』
撮影: toccicat さん
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編集後記
桜満開で春爛漫!お外にでるのが、気持ちいい季節になりましたね。もっと暖かくなって、みんなでたく
さん綺麗な夜空をながめたいです。M.S
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2014 年 4 月 12 日発行
通巻 No. 292 号
発行
星☆クラブ横浜
発行者
樋口 孝
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