-----------------------------------------------------------------------------本書を開いて頂きまして、誠に有り難うございます。 それでは、この有名な物語をお楽しみ下さい。 -----------------------------------------------------------------------------「怪談」シリーズ ------ MUJINA ----- -----------------------------------------------------------------------------*「怪談」シリーズでは各作品とも、 下記の「はじめに」と「この本の読み方」は同じ内容です。 -----------------------------------------------------------------------------[ はじめに ] 英語を学びはじめた頃に、なんとか早く原文で英語の物語などを読めるようになって みたいものだ、と思ったことのある人は多いと思います。しかし原文を読むのは難しす ぎる。そこで英文と和文の両方で書いてある対訳書なら、もう少し楽に読めるのではな いかと考えて、対訳書を手にとって読み始めてはみたもの、思ったように簡単に読み進 めなくて、途中で本棚に飾って置く、だけになってしまった人も、これまた多いと思い ます。 本書は、従来の対訳本より楽に読める、新方式の「上下式対訳」で書いてあります。 きっと多くの読者の皆さんは、途中で投げ出すことなく、最後まで読み進むことが、 できると思います。 さて、これまでの英文対訳本の書式は、英文だけのページと、日本文だけのページに 分けて書かれていました。この書式は2つあります。 第1の書式は、本の左ページに英文を書き、右ページに和文を書いたものです。 第2の書式は、本の前半の部分に英文を書き、後半に和文を書いたものです。 従来の対訳本は、英語を学びはじめて間もない人が、英文を読んでいて判らない部分 を、和文のページを読んで判ろうとするのは簡単なようで、簡単ではなく、手間と時間 のかかるものでした。 例えば、第1の書式の左ページに英文、右ページに和文が書かれている場合は、左側の ページの英文を読んでいて、意味の判らない単語、文節、あるいは1つの文章に出あっ たら、右側のページの和文の部分から答えを探し出そうとします。 しかし右ページの和文を一目みただけで、探している答えの部分は、なかなか簡単に 探し出せません。結局は、答えのありそうな箇所を行ったり来りしながら読んでみて、 はじめて答えの見つかることが少なくありません。 翻訳には直訳と意訳の2つがあります。翻訳者が意訳に重点をおいて、すばらしい日 本語に翻訳してあれば、あるほど読者は、英文の疑問点を和文の中から探し出すのが、 難しくなります。 対訳書によっては、ページの下欄に、読者が判らないかもしれない、と思われる英単 語を書き出し、その発音と意味を書いてある場合があるます。しかし発音は発音記号で 書かれていますので、発音記号をまだ読めない人には判りません。また英単語の意味で も、下欄に自分が探している単語がなく、和文を見ても判らない時は、さらに辞典を引 かなければなりません。 また第2書式の、本の前半の部分に英文を、後半の部分に和文を書いてある場合は、 読者の手間と時間は、より多くなります。 上下式対訳では、4行が1組になっていて、第1段の行が発音、第2段が英文、第3 段が和文、第4段が訳す順序を示す数字で書かれています。 上下式の詳しい読み方については次の、「この本の読み方」をご覧ください。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- - 1 - [ この本の読み方 ] 本書では下記の例文のように、誰でも簡単に読み進めるように、発音、英文、和文、 訳す順序を示す数字の4行を1組として、各行が平行して書かれています。 従来の左ページに英文を右ページに和文が書かれているのを「左右式対訳」とすれば、 本書は「上下式対訳」となります。 例文 アイ I 私ワ 1 ゲッ tu アップ get−up 起きる 5 アッtu at に 4 シックス six 6 2 オクロック o’clock. 時 3 第1段には、発音が書かれています。英語発音の正書法は、発音記号ですが、ここで は日本語のカタカナとアルファベット文字を混ぜて書いてあります。和英辞典には「ロ ーマ字のつづり方」なる一覧表がのっていてます。この一覧表にない音声は、アルファ ベット文字をつかって書いてあります。 日本語のカナはデジタルですが、英語はアナログです。そこでアルファベット文字で の表記は、音のわかりやすいデジタル式に1音ずつ、分かち書きで表記してあります。 英語には長音記号がありませんので、長音の表示には、日本語の長音記号「ー」を使っ てあります。 次に「th」の発音表示の件です。たとえば英語では、「th」が清音のthinkも、濁音の thisも同じ「th」のつづりで、区別がありません。そこで「t」の濁音は「d」ですので、 「th」の濁音は「dh」と表示しました。 また英語の発音には標準語がないとも言われています。辞典で単語の発音を調べると、 1つの単語に英国式、米国式など、複数の発音が発音記号で書かれてい場合が多いです。 本書では、できるだけ英語のつづりに近い発音を表記しましたが、いま述べましたよう に英語には、1つの単語に複数の発音がありますので、本書でも1つの単語に対して、複 数の発音表記をしている場合もあります。 第2段には、英文が書かれています。複数の単語からなる動詞や熟語などは、判りやす くするために、できるだけ単語と単語の間をマイナス「ー」記号で、むすんであります。 例えば、日本語の「起きる」を意味する熟語の「get up」は、「get−up」と しています。 また、さらに理解しやすくするために、英単語を付け加えた場合は、(which is) のよ うに半角の文字で書いてあります。 第3段には、第2段目の英語に対応する訳語が書かれています。英語の単語の長さを、 できるだけ超えないようにするために、例えば「であります」ではなく、短く「である」 と書いたりしています。 また英語にはなくて、日本語の特徴である「てにをわ」は、半角文字の「テニヲワ」で書い てあります。 第4段には、アラビア数字で単語を訳していく順序を示しています。 英語の場合は、「I give you a book.」のように言葉の順序が、「てにをわ」の働きをし ます。しかし日本語の場合は、「てにをわ」がありますので、例えば単語の順序を並べか えて、「私ワ 本ヲ (1冊) あなたニ あげます」「本ヲ 私ワ あなたニ あげます」 「あなたニ 本ヲ あげます 私ワ」などにしても同じ意味の文章になります。したがっ て読者の皆さんは、本書の訳す順序の数字を参考として、自分で違った順序で訳すことも、 ぜひ試みてください。 ところで通訳には、同時通訳、逐次通訳、その時だけ通訳があります。 「同時通訳」は、英語を日本語に通訳する場合に、通訳する人が、英語を聞きながら日本 語を話す、すなわち英語の話し手が話し終える前に日本語を話すという、すごい技です。 演説のような場合は、原稿が通訳者に事前に渡されることも多いようですが、人工衛星の 乗組員と地上の管制基地との会話の同時通訳などは、いきなり原稿なしの本番です。 これを文章の英文和訳に例えれば、凡人が英和辞典を片手にフーフーいいながら、文章 の後ろの方から順序に訳してくるのを、同時通訳の人は、英語の文章を初めから終わりま で読みおえる前に、和文に訳して書いて行くようなものですから、まさに神ワザです。 本書でいえば、英文を読みながら自動的に、訳す順序の数字と「テニヲワ」の付いた日本 文が、出て来るようなものです。 - 2 - 「逐次通訳」は、英語を日本語に通訳する場合に、英語の話し手が1区切りの文章を話し 終えたら、通訳者がそれを日本文にしていく一般的な通訳の方式です。英語と日本語を交 互に話すこになりますので、話す時間は2倍になります。 「その時だけ通訳」は、話し合いが当事者の間で直接おこなわれますが、判らない時だけ 同席している通訳者の助けを借りる方式です。この場合は、逐次通訳に比べて大幅に時間 の節約ができます。また「その時だけ通訳」の助けを借りるだけですむ、実力のある人で あれば、通訳者に同席してもらわなくても、代わりに辞書を同席させれば事がたります。 辞書は、英和辞典と和英辞典それに、できれば日本で出版された英英辞典です。日本で 出版された英英辞典といったのは、日本の出版社から出版されている英英辞典には、英文 での意味の他に、日本語での意味も少し書き加えられている事もあるので1回、辞書を開 くだけで両方の人が見られる事があるからです。 本書を読むにあたって、「その時だけ通訳」にならい、英文を読み進んでいって、発音の 判らない単語のところだけ上段の発音を見て、また意味の判らない部分だけ下段を見るよ うにすれば、読む能率が、ぐっと上がります。 おそらく皆さんの中にも、英語の教科書で、初めて出てきた発音と意味が判らない単語 には、単語の上に発音の「ふりがな」を、下に意味を書き込んた経験を持っている人もい ると思います。その書き込みが「その時だけ通訳」に相当します。 最後に一言。ご存じのように、日本人が英語を学ぶにあたって言葉の決まり事、あるい は言葉の法律ともいえる英文法と、発音記号を学ぶことは、とても大切です。 半角文字でのお願い この上下式英文対訳の書式は、A4版の用紙に、1ページを60行、1行を全角で40字 (半角換算で80字)、それに全角と半角の2つの字幅の「文字」と「空白のスペース」 を使って書かれています。ところが欧文のフォント(font,fount)には、行末の「右そろえ」 とか、単語の中の活字を「密着」させるために「半角より幅の狭いもの」が使われている 場合があります。 上下式英文対訳では、上下4段の文字の頭が、そろうようになっています。もし読者の 使っているソフトに欧文の半角より狭いフォントが働くようになっていますと、上下4段 の文字に不ぞろいが生じて読みにくくなりますので、欧文フォントが機能しないように設 定して読んでください。 参考までに、日本語ワープロ・ソフト、「一太郎、バージョン第8版」の設定方法を述 べます。第1に、画面上部のメニューバーの「ファイル」または「書式」から、「文書ス タイル」の項目を選んで開きます。第2に、「文書スタイル」の機能設定の画面から「フ ォント・サイズ」を選びます。第3に、現れた「欧文フォント」のフォントの中から「和 文フォント」を選んで設定します。これで欧文フォントは機能しなくなります。 一太郎の場合、文章の中に半角より幅の狭いフォントが使われているかどうかは、文字 の上でカーソルを移動させてみても判ります。カーソルの幅に、半角より狭いのが現れた 場合は、欧文フォントが機能していることになります。 --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 題 名 小泉八雲の「怪談」シリーズ 「むじな = Mujina 」 著 者 日本名、小泉 八雲 英語名、ラフカディオ・ハーン (Lafcadio Hearn) --------------------------------------------------------翻訳者 斎 藤 - 3 - 洋 一 --------------------------------------------------------ム ジ ナ MUJINA む じ な オン On に 5 ア a − dhi the − スロウプ slope 坂 ガ 11 ミーンズ means 意味する 7 ro ウ du Road, 通り 4 Akasaka 赤坂 3 コール du called 呼ばれる 10 dha the − イン in の 2 the ア there − Tokyo, 東京 1 イズ is ある 12 ウイッチ Kii−no−kuni−zaka,=which 紀伊 の 国 坂 ト それ ワ 6 7 8 9 1 スロウプ Slope 坂 ヲ 6 オ vu of の 5 dha the ー プ ro vi ンス Province 国 4 オ vu of の 3 Kii. 紀伊 2 東京の赤坂通りに、「紀伊の国坂」と呼ばれる坂がある。それわ、紀伊の国の坂を意味す る。 アイ du I do 私ワ − 1 オ vu of の 7 ノ tu not ない 11 dha the ー ノウ know 知ら 10 ウワイ why なぜ 2 プ ro vi ンス Province 国 6 イ tu イズ コール du it is−called それガ 呼ばれている カ 3 9 オ vu of の 5 dha the − スロウプ slope 坂 ト 8 Kii. 紀伊 4 私わなぜ、それが紀伊の国の坂と呼ばれているか知らない。 ワン サイ du One−side 片側 ニ 4 エイシャン tu ancient 古い 10 ハイ high 高い 12 オ vu of の 3 dhi ス this この 1 モウ tu moat, お掘 デ 11 グ ri- ン green 緑の草の 13 スロウプ slope 坂 2 di- プ deep 深く 6 バンクス banks 土手 ガ 15 アン du and て 7 ユー you − ve ri very たいへん 8 ra イジング アプ rising−up 昇り続いている 21 - 4 - si see 見エルノワ 5 アン an − ワイ du wide, 広い 9 tu to に 20 サム some ある 16 ウイ dhu with 生えた 14 プレイス place ところ 19 オ vu of の 18 ガー du ンズ gardens;= 庭 17 この坂の片側に見えるのわ、深くて、たいへん広い古いお濠で、高い緑の草の生えた土手 が、ある庭のところに昇り続いている。 アン du and そして 1 オン on − イクステン di du extend 続いている 11 アン an − dhi ア dhaサイ du the−other−side もう一方(=反対)の側 ニワ 4 dha the − ロング long 長く 5 アン du and て 6 オ vu of の 3 dha the − ロ fu ti lofty とても高い 7 ro ウ du road 道 2 ウオールズ walls 壁 ニ 10 オ vu of の 9 インピリアル パレス imperial−palce. 御所 8 そして、道のもう一方(=反対)の側にわ、長くて、とても高い御所の壁に続いている。 ビ foBefore 前に 6 dhi the − イ ra era 時代 ノ 5 dhi ス this この 7 jinrikishas, 人力車 3 ve ri very とても 10 オ vu of の 4 ロウンサム lonesome 寂し 11 ス tu ri- tu リャンプス street−lamps 街灯 1 アン du and や 2 ネイバーフ du neighbourhood 付近 ワ 8 ワズ was かった 12 ア fu ター ダーク after−dark; 暗くなってから 9 街灯や人力車の時代の前に、この付近わ暗くなってから、とても寂しかった。 アン du and そして 1 ビレイ ti du belated 遅くなった 2 ピデス tu ri アンズ pedestrians 通行人 ワ 3 ウ du would ものだった 12 ゴウ マイルズ アウ tu オ vu dhe ア ウエイ go−miles−out−of−their−way 何マイルも回り道をした 11 マウン tu mount 登る 8 dha the − ra dharather むしろ 10 Kii−no−kuni−zaka, 紀伊の国坂 ヲ 7 - 5 - dha ン than より 9 アロン alone, 1人 デ 6 ア fu taafter の後に 5 サンセ tu sunset. 日没 4 そして、遅くなった通行人わ、日没の後に1人で紀伊の国坂を登るよりも、むしろ何マイ ル(1マイル=約1.6キロ)も、回り道をしたものだった。 dha ラース tu The−last 最後 ノ 4 オウル du old 老いた 10 マン man 人 ワ 5 マーチャン tu merchant 商人 11 フー who ソシテ、彼ワ 1 ダイ du died 亡くなった 6 dhi ス This これ ワ 1 イズ is である 6 フー who (トコロノ) 3 オ vu of の 8 dha the − アバウ tu about およそ 2 dha the − ソー saw 見た 2 dha the − Kyobashi 京橋 6 tha- ti thirty 30 3 ストリー story, 話し 5 Mujina ムジナ ヲ 1 アズ as トオリノ 4 イアーズ years 年 4 ヒ he 彼 ガ 2 ワズ was だった 12 アン an ある 9 クオーター quarter, 地区 7 アゴウ ago. 前 ニ 5 トウル du told 語った 3 イ tu it:= − ムジナを見た(ところの)最後の人わ、京橋地区の、ある老いた商人だった。そして彼わ、 およそ30年前に亡くなった。 これわ彼が彼が語ったとおりの話である。 ワン One ある 1 ナイ tu night, 夜 2 ア tu at に 5 ハー ri- ング アップ hurrrying−up 急いでいた 8 dha the − ヒ he 彼 ワ 10 ア a − パー siー vu du perceived 気づいた 20 モウ tu moat, お掘り 13 オール all たった 11 ア a − アウアー hour, 時刻 4 ヒ he 彼 ワ 6 Kiino−kuni−zaka, 紀伊の国坂 ヲ 7 ウーマン woman 女 ニ 19 アロン alone, 1人 デ 12 レイ tu late 遅い 3 アン du and そして 16 ク ra ウチング crouching うずくまり 15 ウイーピング weeping 泣いている 18 ワズ was− ウエン when その時 ニ 9 バイ dha by the のそばに − 14 ビタリー bitterly. 激しく 17 ある夜、遅い時刻に彼わ紀伊の国坂を急いでいた。その時に彼わ、たった1人でお堀のそ ばに、うずくまり、そして激しく泣いている女に気づいた。 - 6 - fi ア ri ング Fearing 恐れ テ 5 dha tu that のを 4 ハーセル fu herself, ヒ he 彼 ワ 6 アシスタンス assistance 助け 11 シー she 彼女 ガ 1 インテン du tu intended−to をするつもりである 3 ストップ du stopped 立ち止まった 16 オア or か 12 tu オ fato−offer 申し出るために 15 カンサレイシャン consolation 慰め ヲ 13 du ra ウン drown− 身投げ 2 ハー her 彼女に 14 イン in ノ範囲で 9 エニ any 何かの 10 ヒズ his 彼の 7 パワー power. 力 8 彼女が身投げをするつもりであるのを恐れて、彼わ彼の力の範囲で、何かの助けか、慰め を彼女に申し出るために立ち止まった。 シー She 彼女 ワ 1 アピアー du tu ビ appeared−to−be のように見えた 8 ア a − スライ tu slight ほっそりし 4 アン du and て 5 パースン ビ-イング ハンサムリー person, (being) handsomely 人 美しく 7 2 du re ス du dressed; 着物を着こなし 3 ヘアー hair 髪 ワ 3 dha tu that − オ vu of の 5 ワズ ア re インジ du was−arranged 結われていた 9 ライク like ように 8 オ vu of の 7 グレイス fu ル graceful 上品な 6 アン du and そして 1 ア a − ハー her 彼女の 2 ガール girl 少女 6 グー du fya ムリー good−family. 良家 4 彼女わ美しく着物を着こなし、ほっそりして上品な人のように見えた。そして彼女の髪わ、 良家の少女のように結われていた。 ”O−jochu,” お女中 ト 1 ヒ he 彼 ワ 2 アプ ro ウチング approaching 近づきながら 4 ”O−jochu, お女中 1 イクスクレイム du exclaimed, 叫んだ 5 ハー her,= 彼女に 3 du ノ tu do−not ない デ 5 クライ cry 泣か 4 ライク like ように 3 dha tu that! その 2 「お女中」と、彼わ彼女に近づきながら叫んだ。「お女中、そのように泣かないで。 - 7 - テル Tell 話シテクダサイ 5 アン du and そして 1 アイ I 私ワ 8 ミ me 私に 4 イ fu if もし 2 ウワ tu what 何に デ 2 dha the − dhe ア ビ there−be あるなら 7 シャル ビ shall−be ましょう 12 tu ra ブル trouble 問題 ワ 1 ニ any 何かの 5 グリャ du tu glad−to 喜んで 10 ウエイ way 道 ガ 6 イズ is; あるカ 3 tu ヘルプ to−help − 助ける 4 ヘルプ help 助け 11 ユー you, あなた ヲ 3 ユ you.” あなたヲ 9 問題わ何にであるか私に話してください。そして、もし貴方を助ける何かの道があるなら、 私わあなたを喜んで助けましょう」 ヒ (He 彼 ワ 1 ri アリ really ほん 5 メン tu meant 気だった 6 fofor なぜナラ 1 ヒ he 彼 ワ 2 ア a − ワズ was ダッタカラ 6 フワ tu ヒ セイ du what he said; 事 ニ (彼ガ) 言った 4 2 3 ve ri very とても 3 カイン du kind 親切な 4 マン man.) 男 5 (彼わ(彼が)言った事に本気だった。なぜなら彼わ、とても親切な男だったから) バッ tu But しかし 1 fe イス face 顔 ヲ 12 シー she 彼女 ワ 2 カン ti ニュー du continued 続けた 15 fu ro ム from から 10 ヒム him 彼 9 ウイ dhu with で 8 tu to − ウイープ ハイ di ング ハー weep,=hiding her 泣き 隠して (彼女の) 14 13 11 ワン one 片方 7 ノ vu ハー ロング of her long の (彼女の) 長い 6 3 4 スリー vu ズ sleeves. 袖 5 しかし彼女わ(彼女の)長い袖の片方で、彼から(彼女の)顔を隠して泣き続けた。 ヒ セイ du アゲン アズ ジェン tu リー アズ ”O−jochu,” he said again, as−gently−as− お女中 ト 彼 ワ 言った 再び やさしく 1 2 7 6 5 ヒ ク du プリーズ he−could,=”please, (彼ガ)できるだけ どうか 3 4 1 プリーズ please どうか 2 - 8 - リスン tu ミ listen−to−me! 聞いてください 3 「お女中」と、彼わ(彼が)できるだけ、やさしく再び言った。「どうか、どうか聞いて ください」 dhi ス This ここ ワ 1 イズ is です 9 ノウ no ない 8 ナイ tu night! 夜 2 オウンリ only ただ 1 tu to を 5 プレイス place 所 デ 7 du ノ tu Do−not なさるな 5 テル ミー tell me 話シテクダサイ(私ニ) 10 9 fofor のいる 6 ク ra イ cry, 泣き 4 ハウ how ドウシタラ 2 ア a − ヤング young 若い 4 アイ I (私ワ) 1 レイ di lady ご婦人 5 ア tu at に 3 インプロアー ユー implore you!= お願いします (あなたニ) 3 2 アイ メイ ビー I may−be 私ガられるか ヲ 3 8 オ vu of − サム some イクラカデモ 6 ヘルプ help 助け 7 ユー you!” あなた 4 ここわ、夜に若いご婦人のいる所でないです。(私わ、あなたに)お願いします。泣きな さるな。ただ、どうしたら私があなたを、いくらかでも助けられるかを、(私に)話して ください」 スロウリー Slowly ゆっくりと 1 tu to ヒム him, 彼 7 ビハイン du behind の陰 デ 12 シー she 彼女 ワ 2 ro ウズ アップ rose−up, 立ち上がった 3 アン du and そして 9 ハー her 彼女の 10 バ tu but しかし 4 カン ti ニュー du continued 続けた 16 ターン du turned に向け 8 tu モウン to−moan 声をあげ 13 ハー her 彼女の 5 アン du and て 14 バック back 背中 ヲ 6 ソブ sob すすり泣き 15 スリー vu sleeve. 袖 11 ゆっくりと彼女わ立ち上がった。しかし彼女の背中を彼に向け、そして彼女の袖の陰で、 声をあげて、すすり泣き続けた。 ヒ He 彼 ワ 1 レイ du laid 置き 8 ヒズ his (彼の) 6 ショウルダー shoulder, 肩 3 ハン du hand 手 ヲ 7 アン du and そして 9 ライ tu リー lightly 軽く 5 プリー di du pleaded:= 嘆願した 10 - 9 - アポン upon の上に 4 ハー her 彼女の 2 ”O−jochu! お女中 1 リスン tu ミ Listen−to−me, 聞いてください 4 O−jochu! お女中 2 O−jochu! お女中 3 ジャス tu just ほんの 1 ワン リ tu ル モウメン tu one−littel−moment! ちょっと 2 fofor の間 3 O−jochu! お女中 5 O−jochu” お女中 ト 6 彼わ彼女の肩の上に軽く(彼の)手を置き、そして嘆願した。 「お女中、お女中、お女中。 ほんのちょっとの間、聞いてください。お女中、お女中」と。 dhe ン Then すると 1 dha tu that その 2 ターン du ra ウン du turned−round, 振り向き 4 O−jouchu お女中 ワ 3 アン du and そして 5 du ro プ du dropped 降ろし 8 ハー her 彼女の 13 fe イス face 顔 ヲ 14 ハー her 彼女の 6 ウイ dhu with で 12 スリー vu sleeve, 袖 ヲ 7 ハー her 彼女の 10 アン du and て 9 ス tu ro ウク du stroked なでた 15 ハン du hand;= 手 11 すると、そのお女中わ振り向き、そして彼女の袖を降ろして彼女の手で彼女の顔をなでた。 アン du and すると 1 dha the − ノウズ norse 鼻 6 マン man 男 ワ 2 オア or も 7 ソ saw 見た 11 dha tu that こと ヲ 10 マウ thu アン du mouth,=and 口 モ それで 8 1 シー she 彼女ニワ 3 ヒ he 彼 ワ 2 ハ du had − ノウ no ない 9 スク ri- ム du screamed 悲鳴を上げ 3 アイズ eyes 目 4 オア or も 5 アン du and て 4 ra ン アウエイ ran−away. 逃げだした 5 すると男わ彼女にわ、目も鼻も口もないことを見た。それで彼わ悲鳴を上げて逃げだした。 アップ Up 上 エ 2 Kii−no−kuni−za 紀伊の国坂 ヲ 1 ヒ he 彼 ワ 3 ra ン アン du ra ン ran−and−ran; ひた走りに走った 4 - 10 - アン du and そして 1 オール all 全てガ 2 ワズ was だった 8 ブラック black 黒く 5 アン du and て 6 インプ tiempty 空っぽ 7 ビ fobefore 前で 4 ヒム him. 彼の 3 紀伊の国坂を上え、彼わひた走りに走った。そして全てが、彼の前で黒くて空っぽだった。 オン アン du オン On−and−on どんどん 4 ヒ he 彼 ワ 5 バック back; ア tu ラース tu at−last ついに 2 ソウ so とても 2 アン du and そして 1 faアウエイ far−away 遠かった 3 グリーム gleam 光り 7 オ vu of の 6 ra ン ran, 走った 6 dha tu that ので 4 fa イアー fu ライ firefly; ホタル 5 ネ vanever せずに 3 ヒ he 彼 ワ 3 イ tu it それワ 1 デア ri ング daring あえて 1 ソー saw 見た 6 ア a 1つの 4 ルック du looked 見えた 9 アン du and そこで 1 ヒ he 彼 ワ 2 tu ルック to−look− 振り向こうと 2 リャンターン lantern, 提灯 ヲ 5 ライク like のように 8 メイ du fomade−for 方向に進んだ 4 dha the − イ tu it. その 3 あえて振り向こうとせずに、どんどん彼わ走った。そして、ついに彼わ1つの提灯を見た。 それわ、とても遠かったのでホタルの光のように見えた。そこで彼わ、その方向に進んだ。 イ tu It それワ 1 プ ru- vu tu proved−to とわかった 8 ビ be ある 7 アン an − イ ti ナ ra ン tu itinerant 夜泣き(=巡回) 3 セラー soba−seller, ソバ屋 4 ダウン down ヒズ his (彼の) 4 ス tya ン du stand 屋台 ヲ 5 オウンリ only ただ 2 バイ by に 3 dha the − dha the − リャンターン lantern 提灯 デ 6 フー who ソバ屋ワ 1 オ vu of の 5 ハ du セ tu had−set− 据えていた 6 ro ウ du サイ du road−side; 道ばた 2 それわ、ただ夜鳴き(=巡回)ソバ屋の提灯であるとわかった。ソバ屋わ道ばたに(彼の) 屋台を据えていた。 バ tu but しかし 1 エニ any どんな 2 ライ tu light 明かり デモ 3 アン du and そして 4 エニ any どんな 5 カンパニャンシップ companionship 仲間 デモ 7 ワズ was かった 12 グー du good よ 11 - 11 - ヒューマン human 人間の 6 ア fu ター after の後 デワ 10 dha tu that あの 8 イクスピ ri アンス experience; 経験 9 アン du and それで 1 ア tu dah fi- tu オ vu at−the−feet−of の足もとに 4 ク ra イング アウ tu crying−out, 大声で叫んだ 8 ヒ he 彼 ワ 2 dha the − fu ラング flung 投げ出し テ 6 ヒムセル fu himself (彼自)身 ヲ 5 ダウン down セラー soba−seller, ソバ屋 3 ”Aa=aa=aa!!!” ああ ああ ああ ト 7 しかし、どんな明かりでも、そしてどんな人間の仲間のでも、あの経験の後でわ、よかっ た。それで彼わ、ソバ屋の足もとに(彼自)身を投げ出して、「ああ、ああ、ああ」と、 大声で叫んだ。 ”Kore! これ 1 kore!” これ ト 2 ra fu リ roughly 荒く 4 イクスクレイム du exclaimed 叫んだ 5 dha the − マン soba−man. ソバ屋 ワ 3 ヒアー ”Here! まあ 1 ウワ tu イズ dha ミャター What−is−the−matter− どうしたのですか 3 ウイ dhu with エニボ di Anybody 誰か ガ 1 ハー tu hurt 痛めた ノカ 3 ユー you? (あなたワ) 2 ユー you?” あなたヲ 2 「これ、これ」と、ソバ屋わ荒く叫んだ。「まあ、(あなたわ)どうしたのですか。誰か が、あなたを痛めたのか」 ノウ ノウボ di ”No=nobody いや 誰も 1 2 ハー tu hurt 痛メナカッタ 4 ミ me,” 私 ヲ 3 ピャン ti du panted アエギナガラ言ッタ 8 dhi ア dhathe−other, モウ一方ノ者(=商人) ワ 7 オウンリ ”only...Aa!−Aa!” ただ ああ ああ ト 5 6 「いや、誰も私を痛めなかった」「ただ・・・ああ、ああ」と、もう一方の者(=商人) わ、あえぎながら言った。 オウンリ スケアー du ユー クアリー du ”Only=scared you?” queried ただ 脅した ノカ (誰かガ)貴方ヲ 尋ねた 1 3 2 7 - 12 - dha the − ペ du ラー pedler, 行商人(=ソバ屋)ワ 5 アン si ンパ the ti カリー unsympathetically. そっけなく 6 ro バーズ ”Robbers?” 強盗か ト 4 「ただ、(誰かが)貴方を脅したのか」「強盗か」と、行商人(=ソバ屋)わ、そっけな く尋ねた。 ノッ tu ”Not ない 2 ro バーズ ノッ tu robbers,=not 強盗 デワ ない ト 1 4 テ ra fa イ du terrified おびえた 5 マン man. 男 6 ro バーズ robbers,” 強盗 デワ 3 アイ ”I 私ワ 1 ソー アイ saw...I 見た 私ワ 2 3 バイ dha by the そばデ − 5 モウ tu アン du moat;=and お掘り そして 4 1 シー she 彼女 ワ 2 キャノ tu cannot ない 13 テル tell 話せ 12 ウワ tu what もの ヲ 10 ユ you 貴方 ニ 11 ソー saw 見た 7 ショウ du showed 見せた 4 シー she 彼女 ガ 7 ガースプ tu gasped あえいだ 7 ア a − ウーマン woman= 女 ヲ 6 ミ me...Aa 私に ああ 3 5 ショウ du showed 見せた 9 dha the − アイ I 私 ワ 6 ミ me!” 私に 8 「強盗でわない。強盗でわない」と、おびえた男わあえいだ。「私わ見た。私わ、お堀の そばで女を見た。そして彼女わ、私に見せた・・・。ああ、私わ彼女が私に見せたものを、 貴方に話せない」 ”He! ヘッ 1 シー she 彼女ガ 2 ワズ イ tu Was it でしたカ ト − 9 ショウ du showed 見せた 4 ス tu ro ウキング stroking なでた 15 ビケイム became なった 21 ユー you?” あなた ニ 3 ヒズ his 彼 12 ライク like のよう 19 エニ thi ング anything 何か 6 オウン own 自身の 13 アン tu unto に 20 ライク like ようなモノ 8 ク ra イ du cried 叫ん デ 11 fe イス face 顔 ヲ 14 アン an − dha the − dhi ス THIS この 7 dha tu that もの ワ 5 マン soba−man, ソバ屋 ワ 10 ウイッチ =which スルト、ソレ(=顔)ワ 16 the ア ウイ dhu therewith それと共に 17 エグ Egg... 卵 18 「へっ、彼女があなたに見せたものわ、何かこのようなものでしたあか」と、ソバ屋わ叫 んで彼自身の顔をなでた。すると、それ(=顔)わ、それと共に 卵のようになった。 - 13 - アン du And, そして 1 si マルテイニアスリー dha ライ tu ウエン tu アウ tu simultaneously, the light went−out 同時に − 明かり ワ 消えた 2 3 4 そして同時に明かりわ消えた。 MUJINA 終 --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------知ったふりメモ、日本語と英語を比べてみれば 「かな」の音節を表す音声と文字の数 日本語の「読み、書き、話す」の土台をなしているのわ「かな」です。表記にわ漢字と仮 名文字が使われいますが、土台をなしているのわ「かな」で、漢字はカナの上に浮いてい るにすぎません。ワープロで漢字を画面に出すのに、最初カナで入力し、変換キーを押し て漢字を出すのが、よい例です。 文字を書くときわ上に述べましたように、仮名と漢字を混ぜて書いていますが、話すと きわ、百パーセント仮名の音声で話しています。 カナ文字わ原則として、1音1字の音節文字です。ちなみに広辞苑によると「音節とわ、 単語の構成要素としての音の単位で、1つの音の感じを与えるもの」とあります。それで 仮名文字わ、1字1音の音符文字とも言いえます。 それでわ、「カナの音節を表す音と文字の数」わ、それそれ幾つ有るでしょうか。普通 そのようなことを考えたりする事わありませんが、それを調べるのに参考になるるのが和 英辞典に付いている、「ローマ字つづり方表」です。 音の数 ローマ字つづり方表にわ、アイウエオから始まって、終わりのンまで合計117音と文字 が書かれていいます。しかし、この中にわヤ行のイエ、ワ行のイウエヲ、だ行のヂヅ、フ ァ行のフの合計9音が重なっておりますので、差引合計は108音です。 「かな」わ1音1音節なので、日本語の音節の数わ108個ともいえます。 文字の数 表の合計117文字から、ヤ行のイエ、ワ行のイウエ、ファ行のフの合計6文字が重なっ て書かれておりますので、差引合計は111文字です。 なお上記の数に、つまる音の小文字の「っ」と、長音記号「ー」は入っていません。この 2つを加えると、文字の数わ113個となります。 ローマ字のつづり方にわ、「訓令式」「日本式」「ヘボン式」「標準式」などがあり、それ ぞれの間に少し、つづり方の違いがあります。したがって音の数と文字の数も、人によっ てわ違いがあるかもしれません。 --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------著 者 の 略 歴 小 泉 八 雲(こいずみ・やぐも)、 英語名は ラフカディオ・ハーン (Lafcadio Hearn) 。 - 14 - 1850-1904。アイルランド出身で、英国の軍医だった父の赴任地のギリシャで 生まれる。 英国とフランスで教育を受ける。アメリカに渡って新聞記者となる。 1980(明治23)年に来日。島根県の松江中学の英語の教師となり、 地元の小泉節子と結婚して、日本名を小泉八雲とし、日本に帰化する。 その後、第五高等学校、東京大学、早稲田大学で教鞭をとる。 明治37年に、東京の西大久保ので自宅で没する。 本書の「怪談」シリーズは、彼の数ある作品の中でも、 とくに多くの日本人に親しまれている代表作の一つである。 ----------------------------------------------------------------------翻訳者の略歴 斎 藤 洋 一(さいとう・よういち) 1936年(昭和11年)に、旧日本領の樺太(からふと、現在のロシア国サハリン州) に生まれる。 秋田大学の鉱山学部を卒業。 鉱山開発、鉱物とエネルギー資源の貿易にたずさわった後に、 豪州大使館の商務官を務める。 退官後は、それまで手がけてきた丹田呼吸法や気、言語などの研究と 執筆をしている。 退官後は、それまで手がけてきた丹田呼吸法や気、詩吟、言語などの研究と 執筆をしている。 発明学会および、丹田呼吸法の指導と普及活動をしている調和道協会の会員。 著書に「長生きするならシャカ呼吸」「「ひらめき」を呼ぶメモ術」(いずれも、 はまの出版)、「奇跡の丹田呼吸法」(祥伝社の黄金文庫「シャカ呼吸」の文庫版) がある。 -------------------------------------------------------------------------------・・・本書の「ロクロ首」は、かってE社より電子本で出版されたものです。 --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- - 15 -
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