内部監査チェックリスト作成/演習 あどばる経営研究所/A.V.MANAGEMENT 1 1.チェックリスト作成に関する基本的理解 (1)作成の目的 チェックリストを作成する目的は、内部監査を効果的に行うことである。監査員は抜取方式でその品質システ ムの要素を評価する。 チェックリストは、抜取方式で、"何処をどのよう方法で監査するかをまとめたものである。 内部監査は、チェックリストに基づいて行われるが、これはチェックリストに記載がないものは調査してはい けない、という意味ではない。 (2)品質システム記述文書の事前確認 チェックリストを作成するに当たって、監査員は、事前に被監査側が作成した品質マニュアル、手順書類の調 査を行うべきである。これは後述する効果的なサンプリングにも役立つ。 (3)過去の不適合のレビュー チェックリストを作成するに当たって、過去に実施した内部監査などで発見された不適合及び評価結果のレビ ューを行い、そして、これらのフォローアップも計画に入れる必要がある。 (4)チェックリストの作成 内部監査で何を調べるかに当たっては、何を見ようとするのか、何を見出そうとするのか、対象部署の主な機 能(キーワーク)は何か、に留意してチェックリストを作成する。 (5)チェックリストの様式 チェックリストは、内部監査を実施する上の道標である。従って決まった様式はない。一般的にチェックリス トは各監査員が作成する。あるいは、予め作成された標準様式があるかもしれない。 チェックリストを作成する時は次のことを考慮するとよい。 ①監査で発見された不適合の客観的な証拠をメモできるように空欄を設けておく。 ②予め調べたい記録、文書の具体的な(監査証拠となる)名称をメモしておく。 ③調べようとする項目が何の基準文書のどの条項にあるかをメモしておく (6)監査のサンプリング 内部監査は、サンプリングに基づくものである。予め、監査対象の母集団を調べ、サンプリング方法を決めて おくとよい。 2 2.チェックリストの利点 チェックリストの利点は色々とあるが、主な利点は次のようなことである。 ①事前に調査項目を準備しているので、質問が、まごつかずに進められ監査時間の節約になる。 ②監査中、記憶に頼る必要がなく重要事項のし忘れを防止し、重要項目を見落とさないですむ。 ③調査項目を合理的な順番に並べて円滑に進められ、秩序だった監査ができる。 ④確認する項目を系統立てて質問できるように、ある程度の深さまで事前に計画でき、監査の一貫性と深さを 確保できる。 ⑤被監査者が質問に対してとんでもない回答をするかもしれない。この時、監査者は、話をもとに戻し、質問 が目的から外れるのを防止できる。 ⑥調査に与えられた時間から、どのくらいの質問をするのかを前もって決められる。 ⑦チェックリストを標準化して、修正または改善して繰り返し使用できる。 ⑧監査結果の記録を作成する際のメモを取るのに便利。 3.チェックリストの注意点 チェックリストを作成するにあたり「Yes/No」式のチェックリストにならないように注意しなければならな い。又、一方では、質問の柔軟性を妨げることのないように気をつける必要がある。これらのことに気をつけて、 型通りの監査にならないようにすることである。 4.監査のサンプリング 監査では、問題点の有無の判定にサンプリングの概念が必要となる。限られた時間の中で、限られた監査員で 実施されるわけであるから監査対象のシステムに含まれる全ての活動、作業、工程、文書及び記録を調査するこ とは不可能である。 従って監査は、効率の良いサンプリングを行わなければならない。監査で発見された不適合は、全システムの 中の一部であり、水平展開して改善に取組む必要があること、及び、実地監査はサンプリング監査であることを、 内部監査員及び被監査側の双方が理解しておく必要がある。 5.チェックリストの例 Aタイプ:要求事項1項目につき1枚のチェックリストを作成し、 「深さ」を監査する。 Bタイプ:予めチェック項目を標準設定しておき、1枚のチェックリストに複数項目を設定することにより、 「広 さ」を監査する。 3 Aタイプ OHSAS監査チェックリスト 日付 200X年10月02日 監査対象(項目) :目標及び実施計画 被監査部署 製造部/生産管理課 監査員 監査 太郎 応対者 要求事項 :4.3.3項 生産管理課長 引用規格 組織は、その目標を達成するための実施計画を策定し、実施し維 持しなければならない。 質問及び確認事項 ①生産管理課の実施計画と製造部の計画の関係は明確か→監査証拠/目標のブレークダウン、方針と目標の関係 ②目標値は具体的か→監査証拠/測定可能、実現可能性、必要性の程度 目標達成の手段・方策、日程、担当 ③レビューの仕組みはあるか→監査証拠/定期的・計画的、レビュー者、記録、フォローアップの仕組み ④目標の必要条件・十分条件は→監査証拠/法的要求事項、技術上の選択肢、財務上配慮、事業上の要求事項 ⑤目標の達成度合いの監視・測定は具体的か→監査証拠/記録、フォローアップ、分析、グラフ化、予防的実績指標 ⑥マネジメントレビューでの取り扱い→監査証拠/インプット情報、目標の見直し、目標のフォロー記録、トップの見解記録 問題点及び観察事項 フォローアップ 4 Bタイプ 5 6.演習 (1)設問① OHSAS18001:2007の要求項目の内、下記項目から4項目を選択し、要求項目1項目 につき1つの質問項目を設定しなさい。 注:網がけ項目は優先選択対象とする 4.2 4.5.1 4.3.1 4.5.2 4.3.2 4.5.3 4.3.3 4.5.4 4.4.1 4.5.5 4.4.2 4.6 4.4.3 4.4.4 4.4.5 4.4.6 4.4.7 要 領:要求項目「・・・すること」に対して「・・・しているか」という質問表現にする。 (2)設問② 「・・・しているか」の背景として、不適合を想定し、そのときの「監査証拠」として何を確認するかを 考え、列挙しなさい。 (3)検討結果の発表 *グループとしての結論をグループの代表から発表して頂きます。 6
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