イオン交換分離(その 7) 陰イオン交換カラム

イオンクロマトグラフ データシート テクニカルチップ
No.0026T_1006KF
イオン交換分離(その 7)
陰イオン交換カラム
溶離液や温度などで分離が最適化できない場合は、カラムの種類を変えることをお勧めします。異なる性能の
カラムを用いることで、イオン成分によっては分離能を大きく変えることができます。
カラムを選択する上で重要なパラメータが疎水性と交換容量です。疎水性の高いカラムおよび交換容量の高い
カラムは、保持が強く、分離が良好である傾向があります。一方で、分析時間が長くなるため、溶出力の強い溶離
液を用いる必要があります。疎水性の高い成分(I-、ClO4-など)はカラムに強く保持されやすいので、疎水性の低い
カラムを用いて早く溶出させるのが一般的です。また、高濃度のマトリックスを含有する試料を注入する場合は、
交換容量の高いカラムを使用してください。
ダイオネクスではカラムの疎水性は「超低」から「超高」までの 6 段階で、交換容量は 1 本のカラムで交換できる
イオン当量で示しています。ダイオネクスの代表的な陰イオン交換カラムのクロマトグラムと、疎水性、交換容量を
図に示します。A から C は炭酸系溶離液用カラムを用い、4.5 mmol/L 炭酸ナトリウムを溶離液としたときの分離
の比較、D から F は水酸化物系溶離液用カラムを用い、5 mmol/L KOH を溶離液としたときの分離の比較です。炭
酸系溶離液用カラム A と B の疎水性は同じですが、A は交換容量が高いため分離が良好である(強く保持されて
いる)ことがわかります。また、B と C の交換容量はほぼ同じですが、C は疎水性が高いため分離がよく、とくに価
数の高い成分が強く保持されていることがわかります。水酸化物系溶離液用カラムも同様のことが言えます。D と
E の疎水性は同じですが、E は交換容量が高く分離がよいことがわかります。また、E と F の交換容量はほぼ同じ
ですが、E は疎水性が高いため F よりもよく分離していることがわかります。このように、疎水性と交換容量はカラ
ムの分離特性を知るうえで重要です。
<炭酸系溶離液用カラム>
A) AS23
交換容量: 320 µeq/col
疎水性: 超低
1
3
2
3
12
B) AS22
交換容量: 210 µeq/col
疎水性: 超低
C) AS9-HC
交換容量: 190 µeq/col
疎水性: やや低
6
11
10
9
11
10
3
7
6
0
8
9
10
4
1
E) AS19
交換容量: 350 µeq/col
疎水性: 低
F) AS20
交換容量: 310 µeq/col
疎水性: 超低
0
8
6 7 89
12
<水酸化物系溶離液用カラム>
D) AS17-C
交換容量: 30 µeq/col
疎水性: 低
7
7. NO28. Br9. NO310. PO4311. SO42-
1. F2. 酢酸
3. ギ酸
4. ClO25. BrO36. Cl-
10
20
Retention time (min)
56
30
3
1
1
2 3
2
3
45
6
4 5
10
Retention time (min)
6
20
図 代表的な陰イオン交換カラムの分離の比較
A~C: 4.5 mmol/L Na2CO3 (1.0 mL/min), D~F: 5 mmol/L KOH (1.0 mL/min)
11
40