広島SSW研究会

広島SSW研究会ニュースレター・第5号
2003年 11月 10日 発 行
スクールソーシャルワーク
広島S S W研究会
News
Letter
第5号
2003年 11月 10日 発 行
発行人:広島SSW研究会
編集人:長崎和則
活動
会の目標
◆定例会
◆SSWについて学ぶ
日時:毎月第2土曜日
◆SSWの普及をはかる
18:00 ∼ 21:00
場 所 : 自 由 館 ( 福 山 市 北 吉 津 町 5-6-9 )
◆SSWの実践を行う
◆SSWを通じて,子どもの福祉を充実させる
スクールソーシャルワークと
子どもの人権
長崎 和則
(広島SSW研究会代表&
福山平成大学助教授)
皆さんはスクールソーシャルワークある
いは,学校ソーシャルワークという言葉を
聞いたことがありますか? 聞き慣れない
言葉でしょうか。では,スクールカウンセ
リングという言葉はどうでしょう。こちら
は,中学校や高等学校におられるので,知
っておられる方がおられるでしょうね。
ここでは,スクールソーシャルワークに
ついて,スクールカウンセリングと比較し
ながら,そして,子どもの人権との関係に
も触れながら説明したいと思います。
スクールカウンセリングとスクールソー
シャルワークの違い
スクールカウンセリングでは,困ってい
る子どもの話を,気持ちに焦点を当てて受
容的に聞き,その気持ちや言葉を相手に返
します。つまり,その子どもがどのような
ことで困っているのかを明らかにし,困っ
ていることを受け止めて,子どもが困って
いることを解決していくのです。
他方,スクールソーシャルワークでは,
子どもの話を受容的に聞くことに加え,学
校場面で傷つきやすく,抑圧されている子
どもに必要な情報,サービス,資源を知っ
てもらい,子ども自身がそれらを利用でき
るようにしていきます。そして,それがで
き な い と き に は ,一 緒 に 環 境( 家 族 ,友 人 ,
◆講演会の開催など
教員との関係や学校制度などの環境そのも
の)を変えようとします。
子どもの抱えている問題は,子どもの話
を聞くことで解決する場合がありますが,
それだけでは問題が解決しないこともあり
ます。スクールソーシャルワークでは,環
境に働きかけ,必要であればそれらを変え
るという視点がカウンセリングとの一番の
違いなのです。
自分で決めることができる力を高める
また,スクールソーシャルワークでは,
それぞれの子どもが自己決定できるように
支援します。自己決定とは,子どもが自分
自身のことについて必要な情報を集めて考
えた結果,自分で決めるということです。
そして,そのためには,子ども自身が学校
で過ごすための能力を高め,さらに環境を
変える能力を高め,自分のニーズ(生活に
必要な基本的欲求)を主張できる機会を作
っていきます。
スクールソーシャルワークでは,これら
のことができるように利用者が求める情報
を提供し,それについて充分納得できるよ
うに説明し,利用者自身の希望が実現する
ように支援をします。
子どもの権利を守る
スクールソーシャルワークでは,子ども
や家族のニーズを明らかにして,学校とい
う 制 度 に 関 係 す る さ ま ざ ま の バ リ ア( 障 壁 )
や教育サービスの格差をなくすようにしま
す。そして,学校で子どもの業績に影響を
与えるような要因をなくすようにします。
また,子どもの個別性を尊重し,すべての
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広島SSW研究会ニュースレター・第5号
2003年 11月 10日 発 行
子どもが自分自身のことを認められるよう
にし,それぞれの子どもの意見が尊重され
子ども自身が自らの学習を進めていくこと
ができるようにします。
これらの考えは,子どもには教育を受け
る権利だけでなく,一人の人間として個別
性を認められ,一人ひとりがかけがえのな
い存在であることを保障されるということ
です。しかし,学校という環境では,これ
らのことが保障されているわけではありま
せん。
スクールソーシャルワークでは,子ども
の権利を尊重し,これらのことができない
状況を改善するためにさまざまな関わりを
持ちます。子ども自身の問題だけでなく,
学校教育という制度にも問題があると認め
て,改善する必要があれば変えるというこ
会員紹介
となのです。例えば,子どもと家族,子ど
もと学校(教員や他の子ども)の関係の間
に関わることで,子どもの意見が主張でき
るようにしたり,子どもの意見を代弁(変
わりに主張すること)したりします。
教員を支える
学校制度の中では,教員自身もさまざまな
問題を抱えています。スクールソーシャル
ワークでは,教員自身が学校という組織の
中で抱えている問題を受容的に聞き共有
し,教員自身が尊重されるように支援しま
す。そして,必要であれば子どもに対して
行うような支援を行うのです。
注:この文章は,以前にPROP(女性と子どもの支
え合いの場)の機関誌に提供したものです)
(今回は,なんと2名も紹介します)
初めまして。山田昌代(まぁちゃん)と申し
はじめまして。
私の名前は熊谷英実
(く ま が い ひ で み )で す 。
ます。今年、広島に越してきたばかりの広島初
心者マークです。
私は現在、福山市内の精神病院でソー
今大学院の方でスクールソーシャルワークに
シャルワーカーとして働いていますが、
ついて研究をしています。研究内容としては、
スクールソーシャルワークというものがあ
SSWの 必 要 性 と 学 校 へ の 導 入 に 向 け て の 方 法 を
る と 知 っ た の は 、ご く 最 近 で し た 。長 崎 先 生( 恩
探りたいと思っています。出身は山口県で、大
師)に「スクールソーシャルワークってどんな
学 時 代 に は 社 会 福 祉 を 専 攻 し て い ま し た 。 SSW
ことをするのですか?」と尋ねたところ「学校
を知ったのは二年前。教育と福祉の連携が可能
でソーシャルワークをするのです」と答えが返
にはならないか、と模索していた時に出会いま
っ て き ま し た 。「 言 葉 の ま ま じ ゃ ん 」 と 思 い つ
した。研究会があることは広島に来てから知り
つも具体的なことが分からないその一言に興味
ました。
多方面からの参加者があるので、いろいろと
を引かれ前回の参加にいたりました。
最近、病院の外来で制服姿の生徒をよく見か
勉強になっています。ただ会場が福山というこ
けます。ソーシャルワークという存在を知らな
ともありなかなかスムーズに参加できていませ
い彼らからの私たちに対する需要はめったにあ
んが、皆勤を目指しているつもりです(もう駄
りません。そのような彼らを遠目で「この学生
目 か な ? )。 末 永 ー く よ ろ し く お 願 い し ま す 。
たちの環境の調整は誰が行っているのだろ
東広島に来られた時には是非声をかけてくだ
う?」と疑問に思っています。
さい。
この会に参加することで、現在の生徒を支え
るシステムを知り、個々の生徒がより良い環境
の 中で生活していけるような援助方法に
ついて考えていきたいと思っています。
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広島SSW研究会ニュースレター・第5号
2003年 11月 10日 発 行
◆今後の予定
第
第
第
第
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33
34
回 定 例 会 : 12 月 13 日 ( 土 )
回 定 例 会 : 1 月 10 日 ( 土 )
回 定 例 会 : 2 月 14 日 ( 土 )
回 定 例 会 : 3 月 13 日 ( 土 )
12 月 か 1 月 に 交 流 会 が し た い で
す 。 楽 し み , 楽 し み 。 o ( ^o^ ) o
ては,次回話し合うことになりました。
活動報告
前 回 の News Letter 発 行 か ら 今 回 の 発 行 ま
での間に,3回の定例会がありました。
ここでは,これらの会でどのような内容
があったのかについて,報告します。
9 月 13 日 ( 土 ) 午 後 6 時 か ら , 第 28 回
定例会を行いました。参加者は,8 名でし
た。今回も,新しい参加者がありました。
内 容 は , 調 査 に つ い て の 話 し 合 い と , 15
日に行く香川への旅についての打ち合わ
せ,そして,ジャーメインの本を使った学
習でした。
10 月 18 日 ( 土 ) 午 後 6 時 か ら , 第 29 回
定例会を行いました。参加者は,8 名でし
た。
内容は,調査に関する打ち合わせと,ジ
ャーメインの本を使った学習でした。
ジャーメインの本は,次回で予定してい
た第7章が終わります。今後の学習につい
11 月 7 日 ( 土 ) 午 後 6 時 か ら , 第 30 回
定 例 会 を 行 い ま し た 。参 加 者 は 6 名 で し た 。
内容は,調査に関する打ち合わせと,今
後の活動について,そしてジャーメインの
本を使った学習でした。
調 査 に つ い て は , 前 回 SSW に 関 す る 説
明について,わかりにくいのではないかと
いう意見があり,大学生にその文章を読ん
でもらい,わかりにくいところをチェック
してもらい,その結果をもとに説明につい
て話し合いました。その結果,本会として
新しいものを作ることになりました。
今 後 の 活 動 に つ い て は , も っ と SSW に
ついて知ってもらう必要があるのではない
かという意見のもと,講演会などの開催を
検討することになりました。
ジャーメインの本を使った学習は,今日
で終わりました。今後どのような本を読ん
でいけばよいのかということも話し合った
結 果 , 最 近 の SSW に 関 す る 論 文 な ど を 読
むことになりました。
第 5 号 の News Letter で す 。
も っ と 早 く 出 す は ず で し た が , ド タ バ タ し て , 11 月 に
なってしまいました。
今回も新しい会員を紹介します。1人の方は,東広島からこの会にはるばる
と参加してくださっています。その行動力には頭が下がる思いです。
さ て , 11 月 の 例 会 で , 活 動 の ひ と つ で し た , カ レ ル ・ ジ ャ ー メ イ ン の 本 を
終わりました。次回からは,SSWに関する論文などを読んでいくことになり
ました。ぜひ,ご参加ください。
(代表:長崎和則)
編集後記
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