資料2-1 第10回マルチGNSSによる高精度測位技術の開発に関する委員会 衛星系の組み合わせに関する技術開発、 地殻変動解析に関する技術開発 成果報告 平成26年6月23日 国土地理院測地観測センター 1 衛星系の組み合わせに関する 技術開発 2 平成25年度業務内容 衛星系 GPS、準天頂衛星(QZSS)、GLONASS、Galileo BeiDou (他の衛星系との組み合わせが可能か検討) 受信機ハードウェアバイアス(ISB)、擬似距離バイアスの 推定方法と調査 • 異なる衛星系間の擬似距離ISB、搬送位相ISBの推定方法 • GPSのL2P(Y)とL2C間の擬似距離バイアスの推定方法 • メーカや機種、温度変化、アンテナ機種等による影響 ⇒ 安定性等も含め、より詳細に調査 衛星系の組み合わせが測位解の精度及び安定性に与える影響 異なる衛星系間で位相差を取る場合(統合解析)も含め、 全ての組み合わせを解析して比較 GPS、GPS-QZSS、GPS-QZSS-GLONASS、GPS-QZSS-GLONASS-Galileo、 GLONASS、GLONASS-QZSS、... Galileo、Galileo-QZSS、... 3 ISB(Inter System Bias) 異なる衛星系の信号を処理 する際に受信機の回路で発生 するバイアス → 同一機種の受信機間でも、 異なる衛星系を用いた統合解 析では補正が必要 GPS 準天頂衛星 GLONASS Galileo GPS QZSS GLONASS Galileo 擬似距離 搬送波位相 4 搬送波位相ISBの値 A社(S/N1) 受信機基準 搬送波位相ISB 平均値 単位:m 受信機 A社(S/N2) B社 C社 D社(S/N1) D社(S/N2) GPS-準天頂 L1 L2 L5 0.000 0.001 0.001 0.002 0.002 0.000 0.002 0.005 0.002 0.002 0.005 0.002 GPS-GLONASS L1 L2 0.003 -0.104 0.118 0.142 -0.200 -0.339 0.025 -0.058 0.027 -0.058 GPS-Galileo L1 L5 -0.001 0.001 0.093 0.133 0.037 -0.002 0.037 -0.002 搬送波位相ISBが2cmずれ ると FIX率が低下し始め、 7cmではFIX率が0%となる 搬送波位相ISBの補正値を変化させた場合のFIX率の変化 5 搬送波位相ISBの変動(GPS-GLONASS) A社受信機基準 各受信機の組み合わせで5cmずつずらしてプロット A社 B社 C社 D社1 基準局再起動 D社2 全台再起動 5cm 全台再起動 受信機再起動、温度変化で変動が見られる 事前に推定した値での補正は困難 6 搬送波位相ISBの変動 搬送波位相ISBの観測条件による変動量 単位:m ×:2cm以上変化あり、△:5mm以上変化あり、○:変化なし 衛星系 GPS準天頂 GPSGLONASS GPSGalileo 信号 1m アンテナ タイプ 再起動 30度の 温度変化 受信機 個体差 アンテナ 個体差 L1 ○ ○ ○ ○ ○ ○ L2 ○ ○ ○ ○ ○ ○ L5 ○ ○ ○ ○ ○ ○ L1 ○ ○ × △ ランダム (17mm) ○ ○ L2 ○ △ × △ △ (8mm) ランダム (14mm) ○ L1 ○ - ○ ○ ○ ○ L5 ○ - - ○ ○ ○ (6mm) GPS-Galileoの搬送波位相ISBは、値が0でないため補正 は必要だが、観測条件により変動しない 7 GPS+Galileoの統合解析 GPSとGalileoを利用した統合解析における ISB補正の効果 ISB補正量:L1=0.093, L5=0.133 GPS+Galileo(ISB補正なし) GPS+Galileo(ISB補正あり) ●Fix解 ●Float解 ±4cm Fix率 0.0% Fix率 100% 測位方式:キネマティック 基線長:0m 観測時間:2時間30分 事前に推定した搬送波位相ISBを用いて、GPS-Galileoの 統合解析は可能 8 衛星系間で位相差を取る解析 GPS-QZSS、GPS-Galileoの組み合わせ 擬似距離ISB、搬送波位相ISBとも安定 事前に推定した値を用いて統合解析することが可能 GPS-QZSSは値が小さいため、補正は不要 GPS-GLONASSの組み合わせ 搬送波位相ISBが受信機再起動、温度変化で変動する 測位しながら搬送波位相ISBを推定する場合 • アンビギュイティとの分離が難しい • 未知パラメータを増やすと必要な観測データが増える GPS-GLONASSの統合解析は一般的には困難 GPS、QZSS、Galileo ⇒ 事前推定値でISB補正(統合解析) GLONASS ⇒ ISB補正が変動するため、従来通りの解析 9 地殻変動解析に関する技術開発 10 地殻変動緊急解析プログラムの基本設計 解析可能な点数は、最大1300点とする イベント発生後に緊急解析した観測点の座標の各成分の精度 (標準偏差)は水平1cm、上下2cm以下を目標とする。 イベント発生後に必要な観測時間及びそのデータの解析時間 の合計は、2時間以下を目標とする。 利用衛星は、GPS及びQZSSを必須とし、GLONASSも利用する ことが望ましい。 緊急解析以外に、1日分の全点データを用いた解析も可能であ ること。この場合の解析時間は、20分以内を目標とする。 など 11 大規模網基線解析とPPP-ARの比較 mm ■Bernese(GPS) ■Bernese(GPS+GLO) ■PPP(GPS) ■PPP-AR(GPS) 超速報暦を使用 1時間スタティック解析 による標準偏差中央値 電子基準点1300点あたりの 精度:基線解析(GPS)よりPPP(-AR)の方がばらつきが小さい 解析処理時間(分) 80 電子基準点1300点あたりの 電子基準点1300点あたりの 解析処理時間(分) 解析処理時間(分) 60 40 0 20 60 80 60 80 2分半! 20 00 40 20 40 ■基線解析(GPS) 電子基準点1300点あたりの ■基線解析(GPS+GLO) 解析処理時間(分) ■PPP(GPS) ■PPP-AR(GPS) 12 解析時間:基線解析よりPPP(-AR)の方が解析時間が大幅に少ない 比較検討(1) # 比較検討項目 1 測位計算の概要 大規模網基線解析 固定点からの相対位置を 計算 階層構造による基線解析 PPP-AR 絶対位置を計算 3 測位計算における観測網の 階層化・分割の必要性及び その方法 4 測位計算の結果から広域地 殻変動を把握する方法 計算機の能力により階層 化、分割が必要 必要なし 固定点の変位を考慮する 必要がある 観測点ごとに監視 5 測位計算における外部情報 の必要性及び入手可能性 衛星軌道(5分) 2 測位計算の手順、主要アル ゴリズム 外部情報を使用した精密 単独測位 衛星軌道(5分) 衛星時計(30秒) 二重差により衛星と受信機 アンビギュイティ補正情報 に起因する誤差を消去でき 無償で使用できるものは る 少ない 13 比較検討(2) # 比較検討項目 6 測位計算に必要な計算機の 能力 PPP-AR 大規模網基線解析 PC6台で24時間データ解析 PC6台で24時間データ解析 Bernese RTKLIB 計算時間:50分 計算時間:3分 メモリ:2.2Gバイト メモリ:0.12Gバイト GIPSY 計算時間:56分 メモリ:1.6Gバイト 7 イベント発生後、広域地殻変 水平1cm精度 動が得られるまでの時間と精 GLONASSも使用して2時間 度 の観測データを50分で解 析 基線長に測位精度が依存 8 観測時間短縮に向けたマル チGNSSの利活用 時間短縮に有効 水平1cm精度 最終暦と同等精度の暦が 得られるとして、1時間の観 測データを30秒で解析 外部情報の精度に測位精 度が依存 時間短縮に有効 (PPP) 14 地殻変動緊急解析プログラム 項目 計算速度 変位量の把握 マルチGNSSの利活用 外部情報 測位解の収束時間 測位精度 大規模網 基線解析 × △ ○ ○ △ 基線長に依存 PPP-AR ○ ○ ○ × △ 外部情報の精度 に依存 PPP-ARをベースに条件に応じて基線解析も可能なプログラム 地震・火山噴火等の災害時の 地殻変動情報の迅速な提供 15
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