資料2

資料2
第11回マルチGNSSによる高精度測位技術の開発に関する委員会
平成26年度
マルチGNSS解析技術等の開発に向けた
衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
日立造船株式会社
東京海洋大学
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
平成23,24年度技術開発業務
23年度
24年度
複数衛星系の評価
GPS,GLONASS,QZSS
GPS,GLONASS,QZSS,
GPS-QZSS L2P-L2C,
GPS,QZS L2C 1/4cycle shift
複数衛星系の基線解析
同一衛星系でのみ
位相差を取る
異機種衛星系間で
位相差を取る
複数周波数による
基線解析
TCAR、3周波+ILS
L5、L1+L5
受信機ハードウェア
バイアス(ISB)
推定・適用方法の検討、
プロトタイプ実装
環境の変化による
影響調査
GLONASSチャンネル間
バイアス(IFB)
推定・適用方法の検討、
プロトタイプ実装
環境の変化による
影響調査
精密単独測位(PPP)
GPS+GLONASS
(後処理)
GPS+GLONASS
(リアルタイム)、AR調査
項目
2
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
平成25,26年度技術開発業務
項目
25年度
26年度
複数衛星系の評価
GPS,GLONASS,QZSS,
Galileo
BeiDou(検討のみ)
GPS,GLONASS,QZSS,
Galileo,BeiDou
複数衛星系の基線解析
異機種衛星系間で
位相差を取る
異機種衛星系間で
位相差を取る
受信機ハードウェア
バイアス(ISB)
GLONASSチャンネル間
バイアス(IFB)
安定性も含めた
環境の変化による
より詳細な影響調査
安定性も含めた
環境の変化による
より詳細な影響調査と
温度依存性調査
複数衛星系の
基線解析評価
GPS,GLONASS,QZSS,Galileo
全ての組み合わせ評価
GPS,GLONASS,QZSS,Galileo,
BeiDou
全ての組み合わせ評価
複数衛星系の
信号選択
品質が良好な信号を自動
で選択する方法
3
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
各種バイアスの定義
※第4回マルチGNSSによる高精度測位技術の開発に関する委員会「資料3」より抜粋
4
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
使用受信機・アンテナ
#
FW
受信機
1 JAVAD Delta
3.5.5 Mar.03.2014
Board Version : TRE_G3TH_8
2 Trimble NetR9 (2台) 4.81 2013.06.20
数量
1
2
Javad Deltaを基準点、Trimble NetR9 2台をターゲット点
#
アンテナ
数量
1 JAVAD RingAnt-DM (JAVRINGANT_DM)
2
2 Trimble Choke Ring Antenna (TRM59800.00)
1
0m基線ではJavadアンテナを使用
1m基線ではJavadアンテナ 2台もしくはJavadアンテナとTrimbleアンテナを使用
5
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
各受信機の捕捉信号と周波数
GPS
受信機
GLONASS
QZSS
Galileo
BeiDou
L1
C/A
L1
P(Y)
L2
P(Y)
L2
C
L5
L1
C/A
L1
P
L2
C/A
L2
P
L3
L1
C/A
L1
C
L2
C
L5
E1
E5
a
E5
b
B1
B2
B3
JAVAD
Delta
●
○
●
○
●
●
○
○
●
×
●
○
●
●
●
●
×
●
●
×
Trimble
NetR9
●
×
●
○
●
●
○
○
●
×
●
○
●
●
●
●
○
●
●
○
●:解析に使用、○:受信機捕捉可能、×:受信機捕捉不可
周波数(MHz)
GPS
QZSS
Galileo
GLONASS
BeiDou
L1, E1, B1
1575.42
1575.42
1575.42
1602.00+
0.5625K
1561.098
L2, E5b, B2
1227.60
1227.60
1207.14
1246.00+
0.4375K
1207.14
L5, E5a
1176.45
1176.45
1176.45
―
―
※K=-7,…,6
6
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
観測条件
#
1
観測条件
観測場所
観測期間
1m基線
アンテナ個体差
アンテナ交換
2 0m基線
3
0m基線
4
0m基線
6
0m基線
7
0m基線
受信機再起動
受信機FW
温度変化
受信機個体差
平成26年12月9日
東京都江東区越中島
東京海洋大学 第4実験棟屋上 オープンスカイ環境
目的
備考
Javadアンテナスワップ
Javadアンテナから
Trimbleアンテナに交換
13日間
アンテナ個体差、種類
の違いによる影響調査
9日間
受信機メーカや機種の違い
による影響調査
5日間
受信機再起動
による影響調査
24時間おきに
受信機を再起動
6日間
受信機ファームウェア
の違いによる影響調査
Trimble NetR9受信機の
FWを4.81→4.85に変更
19日間
温度変化
による影響調査
25℃から55度まで10℃
ずつ温度を変えて観測
同一機種同一ファーム
ウェアの受信機個体差調査
Trimble NetR9 2台で
観測
-
※6の温度変化観測 : Trimble NetR9のFWを4.81->4.85にアップ
7
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
データ観測 温度計測結果
受信機
観測点種別
設定温度
Javad Delta
基準点
35度一定
Trimble NetR9 (1)
ターゲット点
35度一定
Trimble NetR9 (2)
ターゲット点
25度→35度→45度→55度
受信機内部温度
55℃設定
25℃設定
35℃設定
45℃設定
54℃
63℃
45℃
35℃設定
45℃
41℃
Trimble NetR9受信機内部温度を温度取得コマンドで5分おきに取得しプロット
※10月22日から10月27日の35℃一定条件の温度計測に失敗
8
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
BeiDou衛星情報
IGSのThe Multi-GNSS Experiment (MGEX) で公開されているBeiDou情報
(http://www.igs.org/mgex/constellation#BeiDou)
衛星情報
GEO
IGSO
MEO
Common Name
BEIDOU M1
BEIDOU G2
BEIDOU G1
BEIDOU G6
BEIDOU G3
BEIDOU G4
BEIDOU G5
BEIDOU IGSO 1
BEIDOU IGSO 2
BEIDOU IGSO 3
BEIDOU IGSO 4
BEIDOU IGSO 5
BEIDOU M3
BEIDOU M4
BEIDOU M5
BEIDOU M6
SVN
C001
C002
C003
C016
C004
C005
C011
C006
C007
C008
C009
C010
C012
C013
C014
C015
Int. Sat. ID NORAD ID
2007-011A
31115
2009-018A
34779
2010-001A
36287
2012-059A
38953
2010-024A
36590
2010-057A
37210
2012-008A
38091
2010-036A
36828
2010-068A
37256
2011-013A
37384
2011-038A
37763
2011-073A
37948
2012-018A
38250
2012-018B
38251
2012-050A
38774
2012-050B
38775
PRN
C30
n/a
C01
C02
C03
C04
C05
C06
C07
C08
C09
C10
C11
C12
C13
C14
Notes
Suspected clock problems (Hauschild et al. 2012)
Inactive; uncontrolled
140.0° E
80.3°E
110.5°E
160.0° E
58.75° E
~120° E
~120° E
~120° E
~95° E
~95° E
PRN:C02は日本で観測する場合、低仰角で静止しているため観測データのノイ
ズが多く、基線解析でフィックス解が減少するため、本業務では解析から除外した
9
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
GPS-BeiDou異機種受信機混合解析
基準点、移動点の座標を固定したFixedモードでキネマティック解析
2014年8月9日0時から24時間
基準点:Javad Delta、移動点:Trimble NetR9(1)
L1残差
L2残差
擬似距離
±10m
搬送波位相
±10cm
仰角
SNR
GPS,
BeiDou MEO, IGSO
BeiDou GEO
BeiDou GEOとMEO間、BeiDou GEOとIGSO間でL1搬送波位相に
1/2サイクル(約10cm)のバイアスが発生
ISTB (Inter-satellite-type bias)
Nandakumaran Nadarajah, et.al, “The mixed-receiver BeiDou inter-satellite-type bias and its impact on RTK positioning”, GPS-Solution 2014
10
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
GPS-BeiDou異機種受信機混合解析ISTB補正
キネマティック解析
2014年8月9日0時から24時間
基準点:Javad Delta、移動点:Trimble NetR9(1)
1/2サイクルシフト補正前
1/2サイクルシフト補正後
Fix 0.0%
Fix 99.7%
測位座標
測位座標
東西
南北
上下
±5cm
24時間
移動局Trimble NetR9受信機のB1に
+ 1/2サイクルシフト補正でフィックス率向上
11
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
検証用プログラム開発
RTKLIB v2.4.2 p8に含まれるRTKPOSTを使用
① 異なる衛星系間で位相差を取る統合解析機能追加
衛星二重差グループ変更機能を実装
②
② GLONASS IFB補正機能追加
GLONASS-GLONASSのみでなく
他の衛星系との組み合わせにも適用
③ 擬似距離ISB、搬送波位相ISB補正機能追加
GPSと他の衛星系の補正値で入力
内部で他の衛星系との組み合わせに変換
③
④ QZSS L2C 1/4サイクルシフト補正機能追加
QZSS L2Cで発生する1/4
サイクルシフト補正機能実装
①
⑤ BeiDou B1 1/2サイクルシフト補正機能追加
BeiDouで発生する1/2
サイクルシフト補正機能実装
⑤
④
12
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
擬似距離ISB、搬送波位相ISBの推定
RTKLIB v.2.4.2 p8 RTKPOSTを改良した
プロトタイププログラムを使用し、
擬似距離ISB、搬送波位相ISBを推定
推定した擬似距離ISB及び搬送波位相ISBの
温度依存性評価
13
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
解析
衛星系の組み合わせ
・BeiDouと他の衛星系(GPS、GLONASS、Galileo、QZSS)の組み合わせ
受信機の組み合わせ
・Javad受信機を基準、Trimble受信機(2台)をターゲットとした組み合わせ
擬似距離ISB推定、搬送波位相推定 解析設定
解析設定
設定値
測位方法
Fixedモード
アンテナ精密位置
電子基準点93023千葉市川のF3解を基準としたGPS
のみStaticモードによるFix解
仰角マスク
15度
解析使用周波数
BeiDou - GPS, GLONASS, Galileo, QZSS : L1 + L2
解析使用暦
放送暦
解析使用データ期間 24時間
電離層遅延補正
放送暦
対流圏遅延補正
Saastamoinenモデル
14
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
擬似距離ISB推定 推定値
平成26年12月9日
BeiDouと他の衛星系の組み合わせ
Javad Delta基準Trimble NetR9(1,2)
擬似距離ISB 0m基線9日間の平均値
5m
Ref
Jd
Jd
Code ISB
Rov
Tr1
Tr2
L1
2.169
1.910
GPS
L2
-14.247
-14.609
GLONASS
L1
0.163
-0.122
L2
-24.997
-25.369
Galileo
L1
0.400
0.105
L1
1.059
0.789
QZSS
L2
-17.731
-18.181
15
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
擬似距離ISB推定温度依存性プロット
BeiDouと他の衛星系の組み合わせからGPSと他の衛星系の組み合わせに変換
Javad Delta基準Trimble NetR9 (2)<温度変化あり>と
Javad Delta基準Trimble NetR9 (1)<35℃一定>の差分
 最も温度変化の大きいGPS-BDS L1でも受信機内部温度30℃の温度差で
擬似距離ISBの変化は0.169mのため測位に与える影響は小さい
 擬似距離のコードタイプで同じ温度変化の傾向を示す
16
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
擬似距離ISB変動まとめ
0m基線を基準として評価、受信機再起動はその前後、受信機FWはFWアップ前後で評価
衛星系
BDSGPS
BDSGLO
BDSGAL
BDSQZS
信号
1m
アンテナ
個体差
アンテナ
タイプ
L1
●
○
○
○
(46cm)
(15cm)
(23cm)
(14cm)
●
○
●
●
(35cm)
(25cm)
(31cm)
(84cm)
L2
L1
L2
L1
L1
L2
受信機
再起動
受信機
FW
●
●
●
○
(192cm)
(140cm)
(57cm)
(18cm)
○
●
●
○
(20cm)
(30cm)
(66cm)
(24cm)
●
○
○
(53cm)
(15cm)
(18cm)
●
○
○
○
○
(49cm)
(12cm)
(21cm)
(11cm)
(10cm)
○
○
○
(29cm)
(22cm)
(21cm)
受信機
個体差
温度
変化
○※
○※
○※
○※
○※
●:30cm以上変化あり、○:10cm以上変化あり、空白:変化なし
※:基準点とターゲット点で約20℃以上の温度差がある場合
括弧()内の数値は変化量の絶対値について、各受信機の比較で最大の数値
17
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
搬送波位相ISB推定 推定値 BeiDouと他の衛星系の組み合わせ
Javad Delta基準Trimble NetR9 (1,2)
搬送波位相ISB 0m基線9日間の平均値
5cm
Ref
Jd
Jd
Phase ISB
Rov
Tr1
Tr2
L1
-0.063
0.014
GPS
L2
-0.088
-0.126
GLONASS
L1
L2
0.003
0.092
0.077
0.055
Galileo
L1
-0.017
0.061
L1
-0.064
0.013
QZSS
L2
-0.083
-0.121
18
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
搬送波位相ISB推定値温度依存性プロット
BeiDouと他の衛星系の組み合わせからGPSと他の衛星系の組み合わせに変換
Javad Delta基準Trimble NetR9 (2)<温度変化あり>と
Javad Delta基準Trimble NetR9 (1)<35℃一定>の差分
 最も温度変化の大きいGPS-GLO L1でも受信機内部温度30℃の温度差で
搬送波位相ISBの変化は0.010mのため測位に与える影響は小さい
 搬送波位相の周波数で同じ温度変化の傾向を示す
19
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
搬送波位相ISB変動まとめ
0m基線を基準として評価、受信機再起動前後、受信機FWはFWアップ前後で評価
衛星系
BDSGPS
BDSGLO
BDSGAL
BDSQZS
信号
1m
アンテナ
個体差
アンテナ
タイプ
L1
L1
L2
●
●
(2.8cm) Tr
(7.0cm)※1
受信機
個体差
温度
変化
○※2
(5.5cm) Jd
●
●
(6.5cm) Jd,Tr
(9.5cm)※1
○
●
●
(1.5cm)
(9.5cm)Jd
(10.1cm)
●
●
(2.7cm) Tr
(7.0cm)※1
●
●
(2.8cm) Tr
(6.9cm)※1
L1
L1
受信機
FW
●
L2
L2
受信機
再起動
○※2
○※2
○※2
●
(5.3cm) Jd
●:2cm以上変化あり、○:1cm以上変化あり、空白:変化なし
※1:受信機再起動か受信機FW変更の影響かは不明 ※2:基準点とターゲット点で約20℃以上の温度差がある場合
括弧()内の数値は変化量の絶対値について、各受信機の比較で最大の数値
TrはTrimble受信機、JdはJavad受信機を示す
20
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
BeiDouと他の衛星系を組み合わせた解析
 擬似距離ISB及び搬送波位相ISBの値が大きい場合
これらを補正しないとフィックス解は得られない
 BeiDouと他の衛星系間の搬送波位相ISBが
受信機再起動で変化するため
ISBの補正値をテーブルとして与えることが難しい
衛星系の組み合わせと受信機再起動による搬送波位相ISBの変化
●:変化あり
衛星系
信号
Javad受信機
Trimble受信機
BDS-GPS
L1
L2
●
●
BDS-GLO
L1
L2
●
●
●
BDS-GAL
L1
●
BDS-QZS
L1
L2
●
●
BeiDouと他の衛星系で位相差を取らない混合解析
21
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
異なる衛星系を組み合わせた基線解析
1m基線の観測データについて
擬似距離ISB、搬送波位相ISBの補正値をテーブルとして与えて
様々な衛星系の組み合わせで基線解析

擬似距離ISB、搬送波位相ISBの補正値は0m基線の観測データで
推定した値を使用
GLONASSのIFBは0m基線の観測データで推定した値を使用


GLONASSと他の衛星系の組み合わせは位相差を取らない混合解析
BeiDouと他の衛星系の組み合わせは位相差を取らない混合解析

GPS、Galileo、QZSSの組み合わせは位相差を取る統合解析

22
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
解析設定
衛星系の組み合わせ
・全ての組み合わせ
受信機の組み合わせ
・Javad受信機を基準、Trimble受信機(2)をターゲットとした組み合わせ
解析設定
設定値
測位方法
Kinematicモード
仰角マスク
15度、30度
アンビギュイティ決定レシオ 3.0
解析使用周波数
L1 + L2 + L5
解析使用暦
放送暦
解析使用データ期間
3時間(2014年7月26日 6時から9時<GPST>)
全衛星系を捕捉した時間帯
電離層遅延補正
放送暦
対流圏遅延補正
Saastamoinenモデル
23
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
仰角15度
衛星捕捉状況
最高32衛星、最低24衛星、PDOP平均1.1
GPS
GLONASS
Galileo
QZSS
BeiDou
時刻 (hh:mm) <GPST>
24
平成26年12月9日
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
仰角15度
衛星捕捉状況スカイプロット
GPS
QZSS
GLONASS
BeiDou
2014年7月26日6時0分0秒<GPST>のスカイプロット
Galileo
All
25
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
解析結果 フィックス率
仰角マスク15度と仰角マスク30度
 GLONASSとの組み合わせでフィックス率は低下
 低仰角の衛星を解析に使用しない方がフィックス率が改善
26
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
解析結果 座標の精度

平成26年12月9日
仰角マスク15度
GPS、GLO、BDS単体より衛星系を組み合わせることで
PDOPの改善により、特に上下方向の精度が改善する
27
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
解析結果 座標の精度

平成26年12月9日
仰角マスク30度
PDOPの改善による座標精度の改善効果は仰角マスク15度
より30度のほうが(上空視界の環境が悪いほうが)大きい
28
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
まとめ
 BeiDouと他の衛星系の組み合わせによる擬似距離ISBは、受信機
ファームウェアや1m基線、アンテナ個体差、アンテナ交換で変化するが
測位解に影響を与えるほど大きな変化はない
 BeiDouと他の衛星系の組み合わせによる搬送波位相ISBは、受信機
ファームウェアや受信機再起動で変化し、測位解に影響を与える
そのため、BeiDouと他の衛星系間で位相差を取らない混合解析とする
 擬似距離ISB、搬送波位相ISBとも受信機内部温度に依存して変化する
が、今回の受信機の組み合わせでは変化量は小さい
 GPS、GLO、BDS単体より衛星系を組み合わせることでPDOPの改善によ
り、特に上下方向の精度が改善する
 仰角マスク15度より30度のほうが、つまり上空視界が悪い方が、その改
善効果が大きい
29
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
品質が良好な信号を自動で選択し、より安定し
た解を計算する手法
– 上空写真による衛星選択
• 都市部観測データによる結果
– 信号強度観測値を用いた品質検定
– 擬似距離残差を用いた品質検定
• 都市部観測データによる結果
– まとめ
– 今後の課題
30
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
観測データと解析設定
データ取得
都市部(東京駅周辺)
2014年2月24日から25日
観測点:5(内基準点:1)
解析時間
各地点 24時間-1Hz (全エポック86400)
測位環境
都市部環境 ほぼ高層ビル
受信機
Trimble NetR9
解析環境
GPS/QZSS/GLONASS, 基線長1Km以内
仰角,HDOP マスク, Ratio
仰角>15度, HDOP<10, Ratio>3.0
解析手法
シングルベースラインの後処理キネマティック解析 L1+L2 の2周波
解析/ARモード:forward / instantaneous (GLONASS:On)
評価方法
利便性(FIX解数/ 全エポック)
信頼性(FIX解の水平絶対誤差が0.1m以下であった解数/FIX解数)
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平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
上空写真による衛星選択
解析方法
• 魚眼レンズ写真よりマスクを作成(オレンジ線)
• マスク:方位角(2.5度刻み)に対する遮蔽物の仰角
• 方位角に対する仰角マスクを+3度(天空面積:小)から-10
度(天空面積:大)まで変化させ解析
• それぞれのマスクにおけるFIX率と信頼性(解の精度が
0.1m以下の回数/FIX回数)を評価
地点 1
地点 2
地点 3
地点 4
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平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
上空写真による衛星選択 結果
地点 1
地点 3
地点 2
上空写真マスク
の適用なし
地点 4
上空写真マスク
の適用なし
• 正確な上空写真の撮影等、環境に依存
• 大きな効果が得られない
• 実用化は難しい
上空写真マスク
の適用なし
上空写真マスク
の適用なし
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平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
信号強度観測値を用いた品質検定
• 都市部(東京駅周辺)での観測データ
• 地点1 Trimble NetR9 受信機
• マルチパスと信号強度の相関あり
QZSS 01
GPS 01
GPS 04
あるべき信号強度
信号強度マスク
GLONASS 08
GLONASS 10
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平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
擬似距離残差を用いた品質検定
マルチパスによる擬似距離の延長
擬似距離残差による検定
Start
衛星数=N
擬似距離残差の
和≦閾値×N
衛星排除なし
Yes
No
閾値は3m
N回繰り返し
原因衛星の探索
1衛星づつ除外し残りの衛星群で
新たな擬似距離残差を計算
新たな擬似距離残差の和が最小
となる衛星を探索
• 擬似距離残差が大きい衛星⇒
マルチパスによる影響大
和が最小になった時の
1衛星を排除
擬似距離残差による検定
End
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平成26年12月9日
平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
信号強度観測値と擬似距離残差を用いた品質検定
結果
地点 1
地点 2
地点 3
地点 4
Fix
Reliability
( <0.1m )
Fix
Reliability
( <0.1m )
Fix
Reliability
( <0.1m )
Fix
Reliability
( <0.1m )
GPS/QZSS/
GLONASS
33.5 %
98.9 %
43.4 %
99.7 %
71.3 %
99.9 %
14.5 %
96.8 %
信号強度
検定cn6dB-Hz
37.8 %
99.0 %
38.3 %
99.7 %
70.9 %
99.9 %
15.5 %
96.5 %
擬似距離
残差検定
37.6 %
99.0 %
44.0 %
99.7%
72.6 %
99.9 %
16.0 %
97.2 %
信号強度
検定+
擬似距離
残差検定
39.1 %
99.1 %
38.6 %
99.7 %
71.6 %
99.9 %
16.5 %
97.2 %
• 信号強度観測値による品質検定の結果は環境により効果が異なる
• 擬似距離残差による品質検定は全ての地点において有効
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平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
まとめ
• 3種の衛星選択手法の提案、評価を行った。
• データ取得環境によっては効果的な手法も存
在し結果を向上させることができた。
• マルチパス誤差である反射波および回折波の
影響は、上空写真や信号強度より検知、排除
が難しいことから、逐次解析でのマルチパス排
除は困難であることが明らかになった。
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平成26年度マルチGNSS解析技術等の開発に向けた衛星系の組み合わせに関する技術改良業務
平成26年12月9日
今後の課題
• 今回提案した衛星選択手法において、利便
性と信頼性のバランスを両立させる閾値の自
動設定
• マルチパス影響による搬送波位相を起因と
する性能劣化とRTKの性能の関係
• 提案手法では判断が困難であったマルチパ
ス(特に回折波)の検知について、回折波を
受けはじめる初期段階(信号強度が少し揺れ
はじめる)での品質検定方法の確立
• Float解の向上(カルマンフィルタ等)による
FIX率の向上を目指す手法の確立
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