分別解体による庁舎取壊事例 (富山防災センター旧庁舎)

分別解体による庁舎取壊事例(富山防災センター旧庁舎)
北陸技術事務所 富山出張所長 ’ 盛田義昭一
前富山出張所機械係長 笠原邦昭,
○富山出張所防災技術係長 松森亨
1.はじめに
富山防災センター(北陸技術事務所 富山出張所)は、富山市東部の常願寺川に隣接する揚所にあ
り、北陸地方整備局管内の西部地区を基本エリアとし、近隣の中部・近畿方面を支援エリアとする災
害活動拠点として、国土保全上の重要な役割を担う施設である。当センターは平成13年度に暫定供
用を、同15年度全体完成を目揃し整備中である。本報告は、平成14年与奪30日より施行される一
「建設リサイクル法」の運冊を前た、平成13年度に試行的に行った、分別解体による富山陣頭セン
ター旧庁舎取り壊しについて、工事施工報告を行うものである.
灘
2割、家庭ギミの約1.5倍もの量である。こ
景のもと、建設工事においては、平成14年5
月30員から建設リサイクル法(1建設工事に係
一楽
など様々な問題が発生していた。このような背
、一難蠕景.
犀.聾全
の処理をめぐって不法投棄や最終処分場の不足
筋斗雛、羅.
ている。これは、産業二恩で発生する『∼・ミ(窟約
、灘灘
建設廃棄物は、年間約8,000万t発生し
る資材の再資源化等に関する法律施行規則」(平
.成14年3月5日公布)・τ特定建設資材に係る
分別解体等に関する省令」!平成14年3月.5日
公布)など)が施行され、分別解体等再資源化
が義務付けられることとなった.、.
3・分刷解体による1日庁舎取り壊㌣
3.1冨山出張所旧庁舎
旧庁舎は、昭和41年に北陸平等事務所の前
身である富山技術事務所として建てられた。昭
=和50年に韓、事務所が新潟に移転し、引き続
き富山出張所として業務が行われ、平成13年
に解体されるまでの間、35年間旧庁舎で業務
が行われた。
図一ユ 旧庁舎 平面・立面図
一389一
魏,
雛鑛難灘灘
羅
2.建設リ・サイクル法
3。2旧庁舎の構造
旧庁舎の構造は以下のとおりである。鉄骨造り、地上1階、延床面積722m2、地表面からの高
さは最高5皿、最低1m、民家までの距離は200mであった。
3.3分別解体・再利用計画書の作成
分別解体にあたっては、分別がなるべく容易にできる解体方法が望まれる、そのために、解体前に
建鞠や内装品の詳細な調査を行い、解体の手順や分別の方法、処分方法を計画する必要があることか、
ら、分別解体・再利用の計画書を作成した。計画書では、老朽化した電化製品や机、書庫などの物品
に?いて、甫利用の検討を行いなるべく処分する量を少なくするよう考慮し、ゴミの減量化を目指し
た。
3.3.1分別解体計画
内部残留品や建物の構造を詳細に調査を行いギ 生晶=ガラス戸・窓ガラス・ガラス瓶等
各材料毎た分別方法や解体・処分計画を立案し 「 ・ .↓・
準体手順:人力による取外し、収
た・右図一2はギラスを例にした分別解体計画 ※ガラス戸及び窓ガラスは枠ごと撤去
であり・処分材料別た詳細な計画を立てるζと (枠ごと持ち込むことによ一り.ガラス・
に蜥全体の購画(図「・鋪一働率 の甦効率罪なる・)
的に立案できた。ま.た、分別解体計画め出来に 琿搬処分:運搬業者が運搬、処分を行う。
より.’
潟Tイクル押違いが出てくる5本工事 .一↓
生処理工場:工場で原料
では、旧庁舎内¢)鉄骨(H鋼)を災害対策用備
蓄材と∫して、再利用を検討したが、長さ、規格 ・ 図一2rガラスの分別解体計画
が不足であり、再莉用できなかった、
3二4分別解体の手順 .一
分別解体計画零η解体手順を決め『・個々に命 ・ −内部残留晶除去
:別解体の手順を綿黒作類1離し糧邑画趣..
骨・屋根一次破
した。家電製品や机、橋子ふま咋、通信機器や ↓...
電源装置など、再利用可能な.ものは計画書に基 礎土司三一ト;次破
↓
つぎ全τ新庁舎等で再利用:したr㌧層 D∵ @・, .分別集積
3.6内外装解体 … … .,『. ・↓
棄物積込運,
内外装解体.は、−1人力により、..天井材を先に落
とし搬出した後、内壁材を人力と機械(バジ嬬ウ) . ・ 図メー呂 分別解体の手順
1蘇蝋去P匝膏ボ7ドと木屑が耀らな嚇うに劫により分別を行う牽・また・・鱗時は庁叩
舎後方に県遣淋近接しているため、』飛散防止ネットを設置し通行車輌の安全対策を行った。
3.7建物本体の解体
建物本体の解体は、大型ブレーカーと油圧破砕機により行った。屋根材の撤去を先行した後に、鉄
一390一
骨を解体し、それを順次繰り返
した。屋根材と鉄骨は、機械と
人力1こより分別を行るた。,
作業では、』
d機災害を防止する
ため、分別する作業員と解体重
機の作業が重複しないよう安全
対策に留意した。
3.8基礎・土間コン夘一トの解体
写真一2 人力による内装解体 写真一3 機械による建物本体
屋塗壁、一鉄骨め撤去後に」
3.8廃棄物処理
分別解体に伴う廃棄物の処理は、表二1のとおりであり、血合類により努類した後、唱リサイクル可
能なものは中間処理を行い原料や燃料として・リサイクルされる.6リサイクル不可能なもφは安定型ま
たは管理攣処分場へ埋立される。
法分類
がれき類
品名(廃棄物種類)
廃コ7妙一ト
工種・種別
土間取壊処理
木くず
廃木材、木製品、木
内装・天井解体
@ 製内装材
ガラスくず及.び陶磁器くず
金属くず
窓ガラス
ゥ器タイル、れん韓藍
ツサイクル方法
原料として使用
14.62t
@ ’
燃料として使用
iチップ化)『
内装・天井解体、
A石綿楓石こうガrド
鉄骨、鉄筋くず、製 外壁・屋根鉄板・
S外壁材、電線くず、
789。06t
数量
0.85t
原料として使用
X8.0皿3
76.Ot
@※1
@※2
原料として使用
16.0恥3
原料として使用
@ −鉄骨解体・
@ 金属配管
廃プラスティ
@ ツク類
クロス、FRP製三等、
rニール床、シート、
一
熨普E天井解体
ワたは
タ定型処分場へ
@ 配管
紙くず
『紙、段ボール
内部残留品
o.lt
原料として利用
解体混合廃棄
最終的分別出来ない
全工種
0.1t
管理型埋立』
@ 物
@ 物
※1:石こうボードは管理難処分場へ埋立 ※2:石綿板等アスベ卦含有の場合は専用隔離埋立
表一1 分別解体に伴う廃棄物とリサイクル
記391一
写真一6石膏ボード
写真一7金属くず
写真一8木くず
写真一.9紙、.廃プラスチック
4。今後の課題
分別解体では、現在までの.ミンチ解体に比べ、廃棄物等の発生抽制、有効活用ができる曝か、最終
処分までを含めた解体費が軽減できるメリットがある。一方、分別作業は人力による作業がほとん.ど
であり、労力と時間がかかるデメリットがある。
本工事では、木くずのリサイクル率が分別解体を行ったごとにより100%となった。また、歩掛
調査の実施結果では、標準工種と比較してほとんどの工種で労務歩掛、稼働時間が増となった甲
本工事の施工結果より、今後の課題を下記のとおり整理した。
①発生抑制 ・:,計画・設計・施工の各段階において1.建設副産物の発生抑制に配慮する。
②再利用の促進 :分別困難な廃棄物の分別回収システムの構築、’新たな用途への.リサイクル材
の利用等.
③新技術の活用 :分別解体及び再資源化しやすい製品の開発
④分別解体・》サイクルゐPR,=現場見学会等の積極的なPR
⑤分別解体・リサイクル計画マニュアルの整備二. . ’, 一
リサイクル法により分別解体・再資源化が義務化され、工事実績カミ無いことから、分別解体・
リサイクルのシズテム等を記載したマニュアルを整備する。
5。まとめ
国土交騨では灘副産門下利用門生資源ρ糊縫等によ塑リサイクル「3R・騨
副産物の発生抑制(R・’d・ce)・再糊(恥u・・)・醐源化{R・・ye’lb)4やコスト.
徽に取り繍でき咋・.また・一新し・健設リサイクル三瀬案では建設二物全体の堺町埣
を2010年度には91%まで引き上げることとしている。今後は、建設リサイクル法の施行により、
灘工事で発興る獺資源鮪輝肌・循環墾会の形成に大きく骸移こと力雪期旧きる・一
参考文献
環境省率》一ムページ、層国土交通省のリサイクルホームページ
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