(仮称)藤沢市リサイクルセンター整備・運営事業 事業者選定経過及び審査講評 平成 22 年 7 月 13 日 藤沢市 Ⅰ 事業概要 1 事業名称 (仮称)藤沢市リサイクルセンター整備・運営事業 2 事業の場所 神奈川県藤沢市桐原町 23 番地 1 他 3 事業期間 (ア) 破砕処理施設・資源化施設の設計・施工期間:特定事業契約締結から平成 25 年 3 月末まで (イ) 破砕処理施設・資源化施設の供用開始:平成 25 年 4 月 (ウ) 破砕処理施設・資源化施設の運営期間:平成 25 年 4 月から平成 45 年 3 月までの 20 年間 (エ) 本施設(破砕処理施設・資源化施設を除く)の設計・施工期間:特定事業契約締 結から平成 25 年 12 月末まで (オ) 本施設(破砕処理施設・資源化施設を除く)の供用開始:平成 26 年 1 月 (カ) 本施設(破砕処理施設・資源化施設を除く)の運営期間:平成 26 年 1 月から平 成 45 年 3 月までの約 20 年間 4 事業内容 不燃ごみ、大型ごみ、資源物について破砕選別等の処理を行うリサイクル施設を設け、 資源化物の回収を行う。 施設見学及び体感・体験学習の機会提供など、ごみの減量・資源化に効果的な環境学習 の拠点機能を備え、また、太陽光発電や屋上・壁面緑化、太陽光集光システム、太陽熱利 用システム、風力発電、雨水利用、ハイブリッド街路灯、LED 照明等を取り入れた省エネル ギー啓発施設としての側面を併せ持つ、総合的な資源循環施設を整備・運営する。 5 事業手法 本事業における破砕処理施設の整備・運営は DBO 方式(Design:設計、Build:施工、 Operate:運営))、資源化施設及び環境啓発施設は DBM 方式(Design:設計、Build:施 工、Maintenance:補修)により実施するものとし、市は、本施設の設計・施工及び運営・ 維持管理に係る資金を調達し、本施設を所有する。 1 事業者として選定された企業又は企業グループは単独又は特別共同企業体を設立し、本 施設の設計・施工を行う。 さらに、事業者は、本施設の運転・維持管理のために特別目的会社を設立し、20 年間の 運営期間にわたって、本施設の運転・維持管理等に係る業務を行う。 2 Ⅱ 選定結果 1 優先交渉権者 カワサキプラントシステムズ株式会社東京本社を代表企業とする企業グループ 代表企業:カワサキプラントシステムズ株式会社 協力会社:藤沢市資源回収協同組合 東京本社 提案金額(税込み) 9,280,950,000円 (内建設費 4,747,050,000円) (内運営費 4,533,900,000円) 2 次点者 株式会社タクマ東京支社を代表企業とする企業グループ 代表企業:株式会社タクマ 東京支社 構 成 員:株式会社タクマテクノス 3 Ⅲ 審査方法等 1 事業者選定の方法 審査及び選定は、公平性、透明性を確保した上で、民間の創意工夫を促す観点等から、 公募型プロポーザル方式により行った。 事業者の選定は、公募に参加する企業又は企業グループ(以下「応募者」という。)が募 集要項に規定する事業に参加するに足る資格を有しており、かつその提案内容が、本事業 の目的及び目標を達成し、技術的観点からも市が要求する性能要件を満足することが見込 める内容であることについて、段階的に審査した。 2 審査委員会 事業者の選定にあたり、専門的知見に基づく公正かつ公平な審査を実施するため、「(仮 称)藤沢市リサイクルセンター整備・運営事業審査委員会」を設置した。審査委員会を構 成する委員は、次のとおりである。 役職 氏 名 所属 委員長 新井 信行 藤沢市副市長 委員 山田 秀一 藤沢市副市長 委員 伊藤 和憲 専修大学商学部教授 委員 横田 勇 静岡県立大学 委員 河邊 安男 委員 原 和夫 藤沢市総務部長 委員 長瀬 光市 藤沢市経営企画部長 委員 伊勢 和彦 藤沢市財務部長 委員 杉渕 武 藤沢市計画建築部長 委員 小野 靖彦 藤沢市環境部長 財団法人 名誉教授 日本環境衛生センター 理事・環境工学部長 ※ 敬称略 4 3 事業者選定の流れ 公募公告から契約締結までの流れは、以下のとおりである。 図表1 公募公告から契約締結までの流れ <公募公告> 資格審査 <資格審査申請書類の提出> <資格審査> 参加資格要件を確認 No 失格 Yes <資格審査通過者との対話> <応募書類の提出> <形式審査> 要求水準書に規定する各種性能要件を満足できるか否かを確認 事業計画書が事業として妥当性を有しているか等を確認・審査 Yes 本審査 <非価格要素審査> 評価項目ごとに審査基準に基づき審査し、非価格要素点を算定 <最終審査対象者へのヒアリング> 提案内容についての確認 <価格審査> 提案価格及び審査基準をもとに価格点を算定 <総合評価> 非価格要素点と価格点の合計により評価 <優先交渉権者の決定> <特定事業契約の締結> 5 No 失格 4 審査及び選定の手順 審査及び選定は以下に示す手順で行った。各段階の審査に関しては、2に規定する審査 委員会において審査及び評価を行い、その結果を受けて、市が優先交渉権者を決定した。 (1)資格審査 応募者の参加資格要件の確認は、提出された資格審査申請書類に対する書類審査により 行った。 (2)対話の実施 市は、以下のとおり、資格審査通過者と対話を行った。 ① 対話の目的 ア 本事業の位置づけや市の意図の理解促進 本事業は、「~一人ひとりの行動がうみだす循環型都市~あなたの努力が未来の藤沢 市をつくります」という事業コンセプトに基づき実施され、以下に示す特徴を有するこ とから、応募者が、市にとっての本事業の位置づけや特徴を理解した上で、提案を作成 できるよう、必要な情報を的確に伝えた。 ① 破砕処理施設はDBO方式、資源化施設及び環境啓発施設はDBM方式とすることか ら、市と民間事業者等の契約形態が施設間で異なること。 ② 北部環境事業所(焼却施設)において破砕処理施設の残渣を適正に処理し、また同事 業所より発電電力の供給を受ける等、施設間で深く連携を取る必要があること。 ③ 資源化体制の維持に向け、熟練技術者が運転する資源化施設との連携が必要であるこ と。 ④ 「体験学習」や「市民リーダーの育成」を軸に、循環型都市形成の拠点として相応し い環境学習機能の創出を目指すこと。 ⑤ 限定された敷地内において、既存施設の運営を継続しつつ、スケジュールに従った施 設の整備を行うこと。 ⑥ 湘南東ブロックごみ処理広域化実施計画における2ヶ所のリサイクルセンターの一つ として、緊急時等における他リサイクルセンターとの連携を十分に考慮する必要があ ること。 イ 要求水準未達の防止と創意工夫の発揮 本事業は性能発注により行われるため、応募者に事業条件等を正しく伝えることがで きない場合、応募者の提案内容が要求水準未達となる可能性がある。応募者と提案内容 に関する対話を行うことで、事業条件等に対する認識の齟齬を解消し、民間の創意工夫 を引き出しつつ、要求水準未達となる事態を回避した。 6 (3)提案審査 ①形式審査 形式審査は、資格審査通過者が提出した応募書類に基づき、市の規定する要求水準を 満足するものであるか等について、審査した。 ア 応募書類についての審査 ア) 必要な書類がそろっているか イ) 書類間で整合しているか イ 技術提案と要求水準及び提案金額内訳との適合性等の確認 ア) すべての業務について、要求水準を満たした技術提案がなされているか イ) すべての業務について、技術提案と提案金額内訳が整合しているか ウ) すべての業務の要求水準及び契約条件を遵守する約束をしているか これらを満たすことが確認された資格審査通過者に対してのみ、次段階の非価格要素 審査及び価格審査を実施した。 ②総合評価点の算出 非価格要素と価格要素の評価値から、以下の算式に基づき、総合評価点を算出した。 (総合評価点)=(非価格要素点)+(価格点) 「非価格要素点」及び「価格点」の合計によって総合評価点を算出し、提案価格が予 定価格の範囲内の最終審査対象者のうち、上記において算出した総合評価点が最も高い 者を優先交渉権者とした。 ア 非価格要素点と価格点の割合 総合評価点は 100 点を満点とし、非価格要素点、価格点の比率は 40:60 とした。 ③非価格要素審査 非価格要素審査では、最終審査対象者へのヒアリングを実施した後、応募書類につい て評価を行った。 ア 評価項目と配点 評価項目と配点は図表2のとおりとした。 7 図表2 非価格要素評価項目 評価の視点 配 点 適切な建設計画 ・施設の運転を妨げない、建設・解体・仮設計画 ・試運転時の運転員への教育方法 4 モニタリング効果を高め るための工夫 ・セルフモニタリングの具体策 ・市のモニタリングとの連携 3 評価項目 安全・ 安心 リスクマネジメント 処理対象物の変化への対 応 環境性 リサイクルの推進に向け た具体策 市の環境政策との整合性 SPC の財務的な安定性 経済性 機能性 地域と の共生 ・作業者の安全確保、動線計画等 ・資源化施設の運転員の支援体制 ・爆発等突発的な事故時への対応 ・北部環境事業所へ搬出する破砕残渣中の不燃物 除去対策 ・多品目混載時への対応 ・処理対象物の季節変動への対応 ・資源化品目の変化への対応 ・破砕処理後の資源化物純度の確保等 ・資源化施設における選別工程への配慮 ・「一人ひとりの行動がうみだす循環型都市」に 適合したデザイン、地球環境への配慮 ・SPC への財務的な支援方策 ・運営体制及び維持管理体制の信頼性 ・破砕処理施設における安定運転及び、維持管理 施設の運営能力 補修計画における工夫 ・資源化施設の運転と維持管理補修の連携方策 ・事業期間終了時の具体的な対応 人材育成・ノウハウ継承 ・マニュアル整備、人材研修や教育訓練 ・配置計画、施設間の動線計画等 施設間連携 ・北部環境事業所の停止時の対応 ・見学者対応の考え方、見学ルートの妥当性 啓発・環境学習機能の向上 ・教育効果の向上策 策 ・環境学習の運営団体への支援策 ・地域内の行政部局や資源化施設、環境啓発施設 市、関連組織との関係作り の運営に係る関連組織との協働 ・地元経済との連携 地元経済への貢献 ・地域雇用への配慮 合計 イ 評価の方法 各応募者の提案内容について、各項目に関して図表3に示す「非価格要素点の付与の 考え方」に基づいて評価を行い、非価格要素点を算出した。 8 4 3 3 3 2 4 2 3 3 3 3 40 図表3 非価格要素点の付与の考え方 判断基準 非価格要素点の算出方法 A 高い効果が期待できる 配点×100% B 効果が期待できる 配点× 75% C 普通 配点× 50% D やや不安な点がある 配点× 25% E 不安がある 配点× 0% ※非価格要素点の算出にあたっては、小数点以下第 2 位を四捨五入し、小数点以下第 1 位までもとめる。 ④価格審査 価格審査では、価格提案書に記載の金額が予定価格の範囲内にある場合に合格とし、 合格した者について評価を行った。 ア 価格点の点数化方法 価格点の点数化は、価格提案書に記載された提案価格について、以下の算式に基づ いて行った。なお、評価において現在価値換算は行っていない。 (価格点)=(応募者内での最低価格/提案価格)×60.0 点 (例)応募者Ⅰの提案価格 14,000 百万円、応募者Ⅱの提案価格 12,000 百万円(最低価格) の場合 ◆応募者Ⅰの価格点=(12,000 百万円/14,000 百万円)×60.0 点=51.4 点 ◆応募者Ⅱの価格点=(12,000 百万円/12,000 百万円)×60.0 点=60 点 ⑤総合評価 総合評価では、非価格要素審査と価格審査に基づく総合的な評価を行い、最も高い 点数の者を優先交渉権者、2 番目に高い点数の者を次点者として選定した。 ア 総合評価点の算出 非価格要素点、価格点が算出された後、応募者の総合評価点を算出した。 (例)非価格要素点:32.0 点、価格点:48.0 点の場合 ◆総合評価点=非価格要素点+価格点=32.0 点+48.0 点=80.0 点 9 Ⅳ 事業者選定の経過及び結果 1 資格審査 平成 22 年 1 月 8 日に募集要項(第 1 部)の公表を行い、3 グループから資格審査申請書 類の提出があった。 審査の結果、全 3 グループについて、参加資格を有することが確認された。 2 対話の実施 平成 22 年 3 月 17 日に資格審査通過者との対話を実施した。 3 公募プロポーザル 平成 22 年 4 月 30 日に、対話に参加した全 3 グループより応募書類の提出があった。 ①形式審査 提出された応募書類について確認を行い、全 3 グループの提案について、市の規定す る要求水準を満足するものであることを確認した。 ②非価格要素審査 平成 22 年 6 月 24 日に、最終審査対象者へのヒアリングを実施するとともに、応募書 類について評価を行った。図表2に定める非価格要素評価項目について、適切に提案が 記載されているかを審査し、非価格要素点を算定した。 非価格要素審査の結果は、次のとおりである。なお、非価格要素審査を行った 3 グル ープを、便宜上 A・B・C グループとして記載している。 図表4 非価格要素点 応募者名 A グループ B グループ C グループ 非価格要素点 34.3 30.0 32.3 ③価格審査 平成 22 年 6 月 24 日に、価格提案書の開札を行った。3 グループとも提案価格が予定価 格を超えていないことが確認された。 各グループの提案価格及び価格点は,図表5のとおりである。 10 図表5 価格点 応募者名 A グループ B グループ C グループ 提案価格(千円) 11,392,500 9,324,000 9,280,950 価格点 48.9 59.7 60.0 ※提案価格については、税込み価格 4 総合評価点 非価格要素点と価格点から総合評価点を算出した結果、C グループが最も高い総合評価点 となった。各グループの総合評価点は、以下のとおりである。 図表6 総合評価点 応募者名 A グループ B グループ C グループ 非価格要素点 34.3 30.0 32.3 価格点 48.9 59.7 60.0 総合評価点 83.2 89.7 92.3 5 優先交渉権者の決定 以上の審査結果より、 C グループを優先交渉権者、B グループを次点者として決定した。 6 審査講評 審査委員会による審査講評は、別添のとおりである。 11 別 添 (仮称)藤沢市リサイクルセンター整備・運営事業審査委員会 審査講評 1 審査手続きについて 本事業の審査手続きについては、透明性、公平性を確保する形で進められた。その結果、 本事業を実施するにあたり十分な実績を有する 3 グループより、積極的な提案が行われた。 2 非価格要素提案に係る審査講評 非価格要素の各評価項目について、各応募企業グループの提案内容に対する講評は、以下 のとおりである。 ①非価格要素の各評価項目に対する審査講評 図表1 評価項目 適切な建設計画 モニタリング効果を高めるため の工夫 リスクマネジメント 非価格要素の審査講評 講評 ・ 全グループの提案において、第一期、第二期工事を適 切に実施するに必要な建設計画が、具体的かつ明瞭 に記載されていた。 ・ 特に、A グループの提案について、試運転時の資源化 施設の運転員への教育方法が具体的であり、教育効 果が高い点が評価された。一方、C グループの提案に ついて、北部環境事業所の計量機を使用する際の車 両渋滞の発生可能性を懸念する意見があった。 ・ 全グループの提案において、モニタリングの実施体制、 実施内容、市との連携方法に関する提案が、具体的 かつ明瞭に記載されていた。 ・ 各グループともに、モニタリング効果を高める工夫が 相応に提案されており、優劣をつけがたい提案内容 であると評価された。 ・ 全グループの提案において、安全性の高い車両動線や 安全性向上に資する方策、及び資源化施設の安定運 転のための支援体制や連携方法に関する提案が、具 体的かつ明瞭に記載されていた。 ・ 特に、A グループの提案において、破砕機での爆発防 止対策のための選別プロセスに関する提案や、北部 環境事業所へ搬出する破砕残渣中の不燃物除去に関 する提案が、効果が高いと評価された。また、C グル ープの収集ごみと一般持込みごみに対する内容物検 査の具体方策について、懸念する意見があった。 12 評価項目 処理対象物の変化への対応 リサイクルの推進に向けた具体 策 市の環境政策との整合性 SPC の財務的な安定性 施設の運営能力 人材育成・ノウハウ継承 講評 ・ 全グループの提案において、混載車両の複数回計量や、 受入設備の貯留量、処理対象物の季節変動、資源化 品目の変化への対応に関する提案が、具体的かつ明 瞭に記載されていた。 ・ 特に、A グループと C グループの複数回計量に関する提 案について、効率的な計量が可能と評価された。 ・ 全グループの提案において、破砕後の資源化物純度を 遵守するためのシステムや、余裕をもった選別工程 に関する提案が、具体的かつ明瞭に記載されていた。 ・ 特に、C グループの提案において、要求水準を上回る 資源化物純度の確保が期待できる点や、プラスチッ ク製容器包装のライン構成が充実していた点が高く 評価された。 ・ 全グループの提案において、周辺地区に対する景観へ の配慮や、環境負荷を低減するための計画に関する 提案が、具体的かつ明瞭に記載されていた。ただし、 全グループの提案において、市の環境政策に対するよ り積極的な協力内容の提案を期待する意見があっ た。 ・ また、C グループの提案において、周辺の景観と施設 外観の具体イメージが不明確との意見があった。 ・ 全グループの提案において、SPC の経営の安定性を事 業期間にわたり確保するための事業計画や、財務的 な対応策、及び代表企業による支援の枠組みに関す る提案が、具体的かつ明瞭に記載されていた。 ・ 各グループとも、SPC に対する支援方針を明確にして おり、本事業に対する代表企業の支援姿勢がうかが えると評価された。 ・ 全グループの提案において、運営主体となる SPC に対 する支援策や、維持管理における代表企業の支援体 制に関する提案が、具体的かつ明瞭に記載されてい た。 ・ 各グループの提案は、運営体制の信頼性や、破砕処理 施設における維持管理補修計画の工夫、資源化施設 の運転と維持管理の連携の面において、実績に基づ く適切な提案をしていると評価された。 ・ 全グループの提案において、事業期間終了後の引継ぎ や安定運転確保に向けたサポート体制、マニュアル 整備、人材教育等に関する提案が、具体的かつ明瞭 に記載されていた。 ・ 各グループの提案は、施工企業としての責任を念頭に おいた提案となっており、施設のライフサイクルに わたる安定性の確保に必要な人材育成・ノウハウ継 承に関する提案が相応に行われていると評価され た。 13 評価項目 施設間連携 啓発・環境学習機能の向上策 市、関連組織との関係作り 地元経済への貢献 講評 ・ 全グループの提案において、施設全体を一体的に運用 するための配置計画や、構内道路の安全性への配慮、 市民の一般持込車両の動線に関する提案が、具体的 かつ明瞭に記載されていた。 ・ 特に、A グループの提案について、破砕処理施設と資 源化施設における搬出入車両と作業車両が交錯する 可能性の高いプラットフォームの安全性が確保され る点や、北部環境事業所停止時の貯留量の変動に対 する対応能力が高い点が評価された。 ・ 全グループの提案において、見学者に配慮した見学者 対応のコンセプトや、工夫された見学ルート、教育 効果の向上に資するハード・ソフト面の設計に関す る提案が、具体的かつ明瞭に記載されていた。 ・ 特に、A グループと C グループの提案について、環境学 習の運営主体への支援策に関するより積極的な提案 があった点が評価された。ただし、各グループの提案 について、運営主体への支援を行う際には、市と協 議の上、支援内容を決定すべきとの意見があった。 ・ 全グループの提案において、公共と民間、関係組織間 の連携を円滑に行うための枠組みづくりに関する提 案が、具体的かつ明瞭に記載されていた。 ・ 各グループの提案は、地域内の行政部局や、資源化施 設、環境啓発施設の運営組織との連携が、相応に期 待できる提案であると評価された。 ・ 全グループの提案において、業務の一部発注等、地元 経済に貢献するための提案や、本事業に付随して発 生する運転員等に地元人材を採用する等の提案が、 具体的かつ明瞭に記載されていた。 ・ 各グループの提案は、地元経済への一定の波及効果を 期待できる内容であると評価された。 14 3 総評 (仮称)藤沢市リサイクルセンター整備・運営事業は、既存施設の老朽化に対応し、さ らなる循環型社会の形成を推進するため、 「~一人ひとりの行動がうみだす循環型都市~あ なたの努力が未来の藤沢市をつくります」というコンセプトに基づき、破砕処理施設及び 資源化施設を効率的に更新し、新たに整備する環境啓発施設とともに、長期間にわたる良 好な運営・維持管理を実現することを目的とした事業である。本事業は、市民、民間事業 者及び市が協力してリサイクルに取り組む「藤沢方式」を継承するため、破砕処理施設は DBO 方式、資源化施設、環境啓発施設は DBM 方式により整備・運営するという先進的な事業 であった。 本事業では、リサイクルセンターの整備・運営を公設民営方式により実施することで、 民間事業者の創意工夫の余地を高めた。特に、施設間の事業方式が異なる点に加え、隣接 する北部環境事業所との施設間連携や、熟練技術者が運転する資源化施設との連携が必要 となる点、限定された敷地内において、既存施設の運営を継続しつつ、スケジュールに従 った施設整備が必要となる点、「体験学習」や「市民リーダーの育成」を軸に、循環型都市 形成の拠点としての機能を内包する必要がある点など、先行事例にはない特徴を有してい ることから、その特徴を念頭においた創意工夫を求めた。また、20 年間にわたり民間事業 者に本施設の整備・運営を委ねることから、効果的なモニタリングを実施するための提案 を求めることで、公共サービスの信頼性を確保することにも留意した。 実施方針公表時より、多数の民間事業者から意見が寄せられ、最終的には3グループよ り充実した提案をいただいた。提案価格についても、各グループとも市の財政負担を十分 に軽減しうるものであった。これは、民間事業者の積極的な提案を促すための公募条件を 整え、各事業者の創意工夫を引き出すことができた結果であり、サービスの質を維持しつ つ、コスト削減に向けた提案を積み重ねた企業努力の結果であると認識している。昨今の 厳しい経営環境下において、3グループ全てが限られた事業費のなかで市の要求水準を満 たす提案を行っており、その実績に違わぬ提案内容は、優劣のつけがたいものであった。 今回、優先交渉権者となられた C グループの提案は、本事業の特徴を踏まえ、事業の安 全・安定性に配慮し、市の財政負担を最も低減しうる提案であった。しかしながら、提案 内容の効果についてやや疑義のあった箇所も一部あり、委員会でもいくつかの課題を指摘 したところである。 こうした点を踏まえ、優先交渉権者となった C グループにおかれては、今後、市と十分 な協議を重ねるとともに、市民生活の向上に資する公共サービスの実現に向けた検討を、 真摯に行っていただくことが望まれる。 15 平成 22 年 7 月 13 日 (仮称)藤沢市リサイクルセンター整備・運営事業審査委員会 16 委員長 新井 信行 委 員 山田 秀一 委 員 伊藤 和憲 委 員 横田 勇 委 員 河邊 安男 委 員 原 和夫 委 員 長瀬 光市 委 員 伊勢 和彦 委 員 杉渕 武 委 員 小野 靖彦
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