1章ごみ処理の現状(PDF:944キロバイト) - 稚内市

第 1 章 ごみ処理の現状
市が処理する廃棄物の種類
廃棄物処理法において廃棄物は、
「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に区分されています。
一般廃棄物は、市民の日常生活に伴って各家庭から排出される「家庭系ごみ」と事業所か
ら排出される「事業系ごみ」があります。産業廃棄物は、事業活動に伴い排出される廃棄
物のうち、汚泥や燃えがらなど法令で定める 21 種類と輸入された廃棄物があります。な
お、事業系一般廃棄物と産業廃棄物をあわせて「事業系ごみ」と呼ぶ場合がありますが、
本計画において事業系ごみは、事業系一般廃棄物を指すものとします。
本市では、廃棄物処理法に基づき家庭系ごみと事業系ごみを処理しています。また、産
業廃棄物のうち条例※で定める 3 品目(表 1.1-1 参照)を併せ産廃として処理しています
1
ので、併せ産廃についても計画の範囲とします。
※稚内市廃棄物の減量と適正処理に関する条例
廃棄物処理法での分類
一般廃棄物
廃
棄
物
産業廃棄物
収集運搬による分類
家庭系ごみ
計画収集ごみ
事業系ごみ
(事業系一般廃棄物)
直接搬入ごみ
※産業廃棄物と事業系一般廃
棄物をあわせて事業系ごみ
とよぶことがあるが、本計
画において事業系ごみとは
事業系一般廃棄物のことを
言う。
図 1.1-1
処理する廃棄物の種類
表 1.1-1
種
排出者による分類
併せ産廃の種類
類
備
考
燃え殻
熱しゃく減量 15%以下に焼却したもの
汚泥
含水率 85%以下に脱水したもの
動植物性残さ
固形状のもの
出典:稚内市廃棄物の減量及び適正処理に関する条例施行規則
2
ごみ処理体系
図 1.2-1 に平成 20 年度におけるごみ処理フロー図を示します。
家庭系ごみは、一部の市民が、直接最終処分場へ持ち込むこと(家庭系自己搬入ごみ)
がありますが、ほとんどは市が計画収集しています。計画収集ごみの分別は、一般ごみ・
大型ごみ・資源物の 3 区分です。資源物はさらに 15 種類の品目に細分別しており、合計
21
3 種 17 分類の分別区分となっています。これらの資源物については、リサイクルセンタ
ーや委託処理等により選別、圧縮等を行い資源化しています。
一般ごみは、
「生ごみ」
「プラスチック類※」
「資源にならない紙」などが対象で、最終処
分場で埋立処分しています。
※容器包装プラスチック以外のプラスチック製品
大型ごみは、家電リサイクル法や資源有効利用促進法において、製造事業者等にリサイ
クルを義務付けている「テレビ」「冷蔵庫・冷凍庫」「洗濯機・衣類乾燥機」「エアコン」
「パソコン」、また市で処理が困難あるいは危険物であるとして受け入れしていない「タ
イヤ」
「バッテリー」
「消火器」などを除いた 40 リットルの袋に入らない大型のごみです。
これらも最終処分場で埋立処分しています
なお、平成 20 年度からは資源物集団回収奨励金事業を開始したので集団回収について
もフロー図に加えています。資源物集団回収奨励金事業の概要については「第 1 章 4 (2)」
で示しています。
事業系ごみは、事業者が一般廃棄物収集運搬業の許可を有する業者に委託し、最終処分
場へ搬入する場合(許可業者収集ごみ)と事業者が自ら最終処分場に持ち込む場合(事業
系自己搬入ごみ)があります。
図 1.2-1 では省略していますが、市で処理している廃棄物としてその他事業系ごみがあ
ります。これは主に海藻などが海岸へ打ち上げられた漂着ごみであり、これも最終処分場
で埋立処分しています。
一般廃棄物 排出量
20,903 t
(人口 39,527 人)
家庭系ごみ
事業系ごみ
14,144 t
6,759 t
集団回収
計画収集ごみ
直接搬入ごみ
281 t
12,820 t
7,802 t
資源物
資源物
大型ごみ
一般ごみ
281 t
3,367 t
20 t
9,433 t
リサイクルセンター
3,367 t
資源化量
家庭系
自己搬入
1,043 t
許可業者
搬入
4,409 t
最終処分場
3,648 t
図 1.2-1
ごみ処理フロー図(平成 20 年度)
22
事業系
自己搬入
2,350 t
17,255 t
3 ごみの排出量・処理量
3-1 ごみの排出量及び一人一日当たり排出量
過去 6 年間(平成 15~20 年度)の一般廃棄物の排出量実績を表 1.3-1 に示します。
表 1.3-1
ごみ排出量の実績
(単位:t/年)
区 分
15年度
一般ごみ
大型ごみ
資源物
小 計
家庭系自己搬入ごみ
直接 許可業者収集ごみ
搬入 事業系自己搬入ごみ
ごみ その他事業系ごみ
小 計
ごみ排出量
集団回収量
ごみ総排出量
計画
収集
ごみ
家庭系
ごみ
事業系
ごみ
(※その他事業系ごみを除いたごみ排出量)
(家庭系ごみの計)
(事業系一般廃棄物の計)
(※その他事業系ごみを除いた事業系一廃)
16年度
11,534
21
2,858
14,413
976
5,336
3,674
1,465
11,451
25,864
25,864
24,399
15,389
10,475
9,010
17年度
11,219
17
2,783
14,019
1,165
5,093
3,140
1,855
11,253
25,272
25,272
23,417
15,184
10,088
8,233
10,942
21
2,842
13,805
933
5,312
1,497
3,616
11,358
25,163
25,163
21,547
14,738
10,425
6,809
18年度
10,847
18
2,822
13,687
910
5,172
1,324
1,499
8,905
22,592
22,592
21,093
14,597
7,995
6,496
19年度
10,352
23
2,797
13,172
951
4,772
1,486
1,269
8,478
21,650
21,650
20,381
14,123
7,527
6,258
20年度
9,433
20
3,367
12,820
1,043
4,409
2,350
603
8,405
21,225
281
21,506
20,903
14,144
7,362
6,759
表 1.3-1 で示すごみ排出量は、市が処理した一般廃棄物の総量を示しており、この中
にはその他事業系ごみが含まれています。その他事業系ごみとは、清掃活動によるごみ・
不法投棄の回収ごみのほか、その多くが漁業活動等に支障が生ずる海藻類や海岸に打ち
上げられた漂着ごみであることから、年度によって排出量が大きく異なります。今後、
ごみ削減量などの数値目標の進捗管理を行う上では、家庭系ごみや事業活動に伴って排
出される事業系ごみと別に管理する方が望ましいと考えます。したがって、本計画では
断りのない場合、ごみ排出量にその他事業系ごみは含めないものとします。
30,000
24,399
23,417
25,000
排出量[t/年]
20,000
21,547
9,010
8,233
21,093
20,381
20,903
事業系ごみ
6,809
6,496
6,258
6,759
15,000
10,000
15,389
15,184
家庭系ごみ
14,738
14,597
14,123
14,144
15
16
17
18
19
20
5,000
0
図 1.3-1
ごみ排出量の実績
23
ごみ排出量の推移(表 1.3-1 及び図 1.3-1)をみると、平成 20 年度を除くと家庭系ご
み、事業系ごみともに減尐の傾向にあります。平成 20 年度は、平成 21 年 4 月開始した
家庭系ごみ処理の有料化及び事業系ごみ処理料金改定に伴い 3 月に駆け込み排出があり
ましたので、その影響で排出量が増加しています。
表 1.3-2 の一人一日当たりごみ排出量(以下「原単位」という。)をみても、平成 20
年度を除くと平成 15 年度以降減尐傾向にあることがわかります。
一方、全国の原単位は約 1,100g/人・日前後でほぼ一定で推移、北海道は減尐傾向を示
しながら平成 19 年度(最新統計年)では 1,134g/人・日の排出量となっており、これら
と稚内市において最も排出量の尐ない平成 19 年度と比較しても、全国よりも 27%、北
海道よりも 22%多い状況です。また、前ごみ計画の中間目標年である平成 22 年度の目
標値(1,410g/人・日)と比較しても家庭系ごみの原単位が多く、そのため一般廃棄物総
量でも目標値を上回っています。
(前ごみ計画の数値目標との比較は参考資料で示してい
ます。)ごみ排出量は平成 21 年度のごみ処理の有料化の導入に伴い大きく削減していま
すが、なお一層の減量が課題としてあげられます。
なお、平成 20 年度から資源物集団回収奨励金事業により集団回収量を把握することが
できるようになりました。これに伴い平成 20 年度から家庭系ごみ排出量に集団回収量を
加えて原単位を算出しています。したがって平成 19 年度に比べ平成 20 年度の原単位が
多くなっているのは有料化前の駆け込み排出の影響とともに集団回収量を加えたことに
よるものです。
表 1.3-2 一人一日当たりごみ排出量の実績
単位:g/人・日
区 分
稚 内 市
家庭系ごみ 北 海 道
全
国
稚 内 市 ※1
※2
事業系ごみ 稚 内 市
北 海 道
全
国
稚 内 市 ※1
稚 内 市 ※2
計
北 海 道
全
国
15年度
1,000
763
743
680
585
491
363
1,680
1,585
1,254
1,106
16年度
999
763
727
664
542
459
355
1,663
1,541
1,222
1,082
17年度
982
792
782
695
454
429
349
1,677
1,436
1,221
1,131
18年度
979
782
776
536
435
411
339
1,515
1,414
1,193
1,115
19年度
961
763
766
513
426
371
323
1,474
1,387
1,134
1,089
20年度
980
511
469
1,491
1,449
-
出典:全国、北海道値 一般廃棄物処理実態調査(環境省)
注:稚内市※1 は、その他事業系ごみを含む値
稚内市※2 は、その他事業系ごみを含まない値
☆一人一日当たりごみ排出量(g/人・日)=
☆ごみ総排出量(t/年)=
ごみ総排出量( t/年) 6
 10
人口(人) 365
(日)
計画収集ごみ量 + 直接搬入ごみ量 + 集団回収量
24
1,800
1,680
1,663
1,677
1,700
稚内市実績※1
原単位[g/人・日]
1,600
1,541
1,515
1,585
1,500
1,491
1,474
稚内市実績※2
1,400
1,300
1,436
1,414
1,254
1,222
1,221
1,449
1,387
1,193
1,134
1,200
北海道
1,100
1,131
1,106
1,115
1,082
1,000
15年度
16年度
17年度
18年度
1,089
全 国
19年度
20年度
注:稚内市※1 は、その他事業系ごみを含む値
稚内市※2 は、その他事業系ごみを含まない値
図 1.3-2
一人一日当たりごみ排出量の実績
資源化量及びリサイクル率
平成 18 年度に衣類(繊維)、平成 19 年度から金属ごみ、廃蛍光管、廃乾電池、そして
平成 20 年度から容器包装プラスチックと白色トレイについて資源化しています。
これに伴い平成 20 年度の資源化量は、平成 15 年度に比べ 18%の増加となっています。
3-2
表 1.3-3 品目別の資源物量の実績
(単位:t/年)
ごみの種類
15年度
16年度
17年度
18年度
19年度
20年度
スチール缶
122
130
139
110
113
112
アルミ缶
100
79
103
108
82
103
びん
473
437
390
394
404
425
PETボトル
168
184
174
200
174
177
容器包装プラスチック
-
-
-
-
-
187
白色トレイ
-
-
-
-
-
8
12
11
10
5
10
10
新聞紙
716
728
1,031
832
995
782
雑誌
625
608
396
431
420
495
段ボール
601
569
594
731
581
811
41
37
5
10
9
74
金属ごみ
-
-
-
-
5
162
衣類(繊維)
-
-
-
1
2
19
廃蛍光管
-
-
-
-
1
1
廃乾電池
-
-
-
-
1
1
2,858
2,783
2,842
2,822
2,797
3,367
飲料用紙製容器
その他の紙
合 計
25
表 1.3-4 リサイクル率の推移
単位:%
区 分
15年度
16年度
17年度
18年度
19年度
20年度
稚 内 市 ※1
11.1%
11.0%
11.3%
12.5%
12.9%
17.0%
※2
11.7%
11.9%
13.2%
13.4%
13.7%
17.5%
14.0%
15.3%
17.2%
18.2%
18.8%
-
16.8%
17.6%
19.0%
19.6%
20.3%
-
リサイクル率 稚 内 市
(%)
北 海 道
全
国
出典:全国、北海道値 一般廃棄物処理実態調査(環境省)
注:稚内市※1 は、その他事業系ごみを含む値
稚内市※2 は、その他事業系ごみを含まない値
☆リサイクル率
=
直接資源化量  中間処理後再生利用 量  集団回収量
ごみの総処理量  集団回収量
☆ごみの総処理量
=
中間処理量 +直接最終処分量+直接資源化量
表 1.3-4 は稚内市のリサイクル率を北海道、全国とあわせて示しています。
稚内市のリサイクル率は、資源物の資源化によって確実に増加しており、平成 20 年度
は、前述のとおり容器包装プラスチックと白色トレイの分別収集の開始と資源物集団回
収奨励金事業の導入によって大きく増加しており、前ごみ計画の中間目標年に定めた平
成 22 年度における目標値 14%を上回る 17.5%となっています。
(前ごみ計画の数値目標
との比較は参考資料で示しています。)
しかしながら全国のリサイクル率は平成 19 年度(最新統計年)において 20.3%、北
海道は 18.8%であり、稚内市のリサイクル率は全国や北海道と比較すると依然として低
い値となっています。
22%
20.3%
19.6%
20%
全 国
19.0%
北海道
17.6%
リサイクル率[%]
18%
16.8%
18.2%
17.2%
15.3%
16%
14%
10%
13.2%
11.7%
17.5%
17.0%
稚内市実績※2
14.0%
12%
18.8%
13.4%
13.7%
11.9%
12.9%
12.5%
11.1%
15年度
11.0%
16年度
11.3%
17年度
稚内市実績※1
18年度
19年度
20年度
注:稚内市※1 は、その他事業系ごみを含む値
稚内市※2 は、その他事業系ごみを含まない値
図 1.3-3
リサイクル率の推移
26
3-3
最終処分量
過去 6 年間(平成 15~20 年度)の一般廃棄物の処理量実績を表 1.3-5 に示します。
最終処分量については、ごみ排出量の削減と資源物の回収量の増加により、大きく減
尐しており、この 5 年間で▲5,148t、▲22%となっています。一方、減量処理率は本市
の中間処理施設は、資源物の資源化処理を行うリサイクルセンターのみであることから、
平成 20 年度で 16%程度であり、全国、北海道を下回っています。
表 1.3-5
ごみ処理量の実績
(単位:t/年)
区 分
15年度
リサイクルセンター 資源物
計画 一般ごみ
収集
ごみ 大型ごみ
家庭系自己搬入ごみ
直接 許可業者収集ごみ
最終
搬入
処分場
ごみ 事業系自己搬入ごみ
その他事業系ごみ
16年度
17年度
18年度
19年度
20年度
2,858
2,783
2,842
2,822
2,797
3,367
11,534
11,219
10,942
10,847
10,352
9,433
21
17
21
18
23
20
976
1,165
933
910
951
1,043
5,336
5,093
5,312
5,172
4,772
4,409
3,674
3,140
1,497
1,324
1,486
2,350
1,465
1,855
3,616
1,499
1,269
603
最終処分量 計
1)
23,006
22,489
22,321
19,770
18,853
17,858
最終処分量 計
2)
21,541
20,634
18,705
18,271
17,584
17,255
1)
25,864
25,272
25,163
22,592
21,650
21,225
2)
ごみの総処理量
ごみの総処理量
24,399
23,417
21,547
21,093
20,381
20,622
1)
11.1%
11.0%
11.3%
12.5%
12.9%
15.9%
2)
11.7%
11.9%
13.2%
13.4%
13.7%
16.3%
減量処理率
減量処理率
※1:その他事業系ごみを含む値
※2:その他事業系ごみを含まない値
表 1.3-6
減量処理率の推移
単位:%
区 分
15年度
16年度
17年度
18年度
19年度
20年度
稚 内 市 ※1
11.1%
11.0%
11.3%
12.5%
12.9%
15.9%
※2
11.7%
11.9%
13.2%
13.4%
13.7%
16.3%
71.2%
75.4%
80.6%
83.8%
86.7%
-
96.4%
96.6%
97.1%
97.5%
全
国
出典:全国、北海道値 一般廃棄物処理実態調査(環境省)
注:稚内市※1 は、その他事業系ごみを含む値
稚内市※2 は、その他事業系ごみを含まない値
97.5%
-
減量処理率 稚 内 市
(%)
北 海 道
☆減量処理率
=
☆ごみの総処理量 =
直接焼却量+資源化等 の中間処理量+直接資 源化量
ごみの総処理量 中間処理量 + 直接最終処分量 + 直接資源化量
27
4
ごみの発生・排出抑制への取組
前ごみ計画では、家庭や事業所からごみを出さない方策として「周知・啓発の徹底」、
「生ごみの自家処理の推進」、
「集団回収の推進」と「有料化の実施」をあげておりますが、
これまでに実施したごみの発生・排出抑制への取り組み状況を以下にまとめます。なお、
詳細は「参考資料 2 前ごみ処理基本計画(平成 17 年 12 月策定)」で示しています。
これらの取り組みにより、前ごみ計画のごみ排出量実績(平成 15 年度)と最新の実績
値である平成 20 年度を比較すると排出量で▲1,593t/年、▲11%(家庭系ごみ量で比較)
の削減となっています。平成 20 年度は有料化前の駆け込み排出という特殊な事情があり
ますが、それでも平成 15 年度と比べると大きな削減量となっています。
(1)ごみ処理の有料化
家庭系ごみの有料化については前ごみ計画において推進すべき事項としてとりあげ
ています。このため平成 19 年 11 月に稚内市廃棄物等減量等推進審議会※に諮問し、ご
み処理有料化の具体的な検討を行っていただきました。そして平成 20 年 1 月の中間答
申及び平成 20 年 5 月の最終答申を受け、平成 21 年 4 月 1 日より実施しています。
※「第 6 章
その他ごみ処理に関する計画」で審議会の概要を示しています。
ごみ処理の有料化の導入に当たっての基本的な考え方を中間答申より抜粋し、以下に
示します。
(1)市と市民のパートナーシップによるごみの減量化
市民は、ごみの有料化の実施により排出量に応じて費用負担が発生するため、費用負担を軽減し
ようとするインセンティブ(動機付け)が生まれる。これは、ごみ処理費用を意識し、ごみ問題を
真剣に考える契機となり、自らの責任問題として意識の向上を促すことにより、ごみの排出量の抑
制や減量化が期待できる。また、行政も常にごみ処理に関する説明責任を果たさなければならず、
ごみ問題は、行政と市民とのパートナーシップが重要であると認識せざるを得なくなるからであ
る。
また、市民は、ごみの発生が尐ない商品の選択や不用・不急の商品購入の抑制、製品の再使用の
促進などの行動が生まれ、その継続した行動が事業者に対してもごみの出ない製品作りや簡易包装
を促すことがき、結果としてごみの減量とリサイクルの推進が期待できる。
(2)ごみ処理費用負担の公平性の確保
ごみの排出量に応じて費用を負担することにより減量化が推進され、減量した市民は尐ない費用
負担となり、減量の努力が報われることになる。さらに、住民未登録者など納税していない人がご
み処理サービスを受けるという不公平も排除される。
このように、排出量に応じて手数料を徴収することで、より費用負担の公平性が確保できる。
(3)ごみ処理費用の低減と財源の有効活用
今後のごみ処理は、環境への負荷の低減、循環型社会の実現が求められているが、このための健
全な財政運営は重要な課題である。
ごみの減量化を図ることは、中間処理施設や最終処分場など、今後整備が必要となる廃棄物処理
施設の規模は抑えられ、さらに、収集運搬や処理費用が低減され、最終処分場の延命化も図られる。
有料化を実施することにより、新たな財源を確保できるだけでなく、単なる増税とは違い、手数
料収入を分別の拡大やリサイクルの推進等、新たなごみ処理対策施策の財源に充て、有効活用を図
ることが期待できる。
28
(4)環境保全と美化への貢献
ごみ問題は、地球環境問題の中でも、我々に最も身近で基本的な問題であり、この取り組みが地
球環境保全や身近な地域の環境美化に向けた第一歩の取り組みでもある。
有料化の実施は、ごみ問題を真剣に考える契機となり、市民自らの責任問題として意識の向上を
促すことはもとより、循環型社会の実現を一層推進し、廃棄物処理の3R化(リデュース=発生抑
制、リユース=再使用、リサイクル=再生利用)を推進するためにも重要である。
※中間答申書(平成 20 年 1 月 25 日)から抜粋
具体的な有料化の方法は、一般ごみについては有料指定ごみ袋を使用することになり
ました。また、最大の指定ごみ袋に入りきらないものや枝などに使用するごみ処理券も
導入しました。
10 リットル用指定袋
20 リットル用指定袋
1 枚当たり 20 円(1 袋 10 枚入り)
1 枚当たり 40 円(1 袋 10 枚入り)
30 リットル用指定袋
40 リットル用指定袋
ごみ処理券
1 枚当たり 60 円(1 袋 10 枚入り)
1 枚当たり 80 円(1 袋 10 枚入り)
1 枚当たり 90 円
ごみ処理の有料化はごみの排出抑制等を目的に導入しましたが、乳幼児がいる家庭な
どごみの排出抑制が難しい乳幼児世帯や介護認定者世帯、障がい者世帯、在宅治療者世
帯については一定枚数の指定ごみ袋を無料で交付する支援事業を行っています。
また、ごみ処理の有料化の導入にあわせて、指定ごみ袋の未使用、分別が不適切なご
み袋に対する警告シール制を導入しました。
(2)資源物集団回収奨励金事業
町内会や小学校、中学校、PTAで行われている資源物の集団回収を積極的に進めて
もらうため、平成 20 年 4 月から資源物集団回収奨励金事業を開始しました。
奨励金は 1kg 当たり 3 円で、対象品目は缶類、びん類、紙類、プラスチック類、古着
類で、いずれも回収業者が引き取るものに限っています。
平成 20 年度は、8 学校、3PTA、1 町内会、1 商店街の合計 13 団体がこの制度を活
用し、281 トンの資源物を回収し、奨励金として 842,690 円を交付しました。
(3)減量等推進員
家庭系ごみの排出抑制や資源化について市民へ啓発すること、市民と稚内市との相互
間の情報交換や連携・協力、家庭系ごみの分別や排出マナーの指導、地域の環境美化を
推進することなどを目的として平成 20 年 4 月廃棄物減量等推進員制度を開始しました。
平成 21 年 12 月現在、68 町内中、45 町内から選出があり、計 258 名の推進員が活動
しています。
(4)環境教育推進事業
環境やごみに関する学習機会を拡充するため、子供達を対象とした学校、団体等への
出前講座の実施や、意識高揚を図るため関係団体と連携しながらイベント等を開催して
います。
29
また、稚内市のホームページやポスター、パネル等による情報提供を充実させるとと
もに、分別や資源化の方法を周知するための広報や啓発教材の充実に努めています。
(5)買い物袋持参運動
平成 12 年 6 月から実施した買い物袋持参運動については、事業者・消費者協会・稚
内市による三者協定を締結し、平成 21 年 4 月より市内スーパーにおいてレジ袋の有料
化を開始しました。
(6)分別拡大による排出抑制への意識高揚
平成 20 年度は 4 月から金属類、7 月から容器包装プラスチック類の分別拡大を行い
ました。分別拡大によって市民の皆さんのごみの発生・排出抑制への意識が高まり、容
器包装プラスチック類の分別導入の前の月である平成 20 年 6 月の一般ごみの排出量と、
導入後の一般ごみと容器包装プラスチック類を合計した月排出量で比較すると、毎月
100t 程度排出量が尐なくなっています。
このように分別拡大は単にごみを分けて資源として活用するという目的以外にごみ
の排出抑制の効果もあります。
(7)広報・啓発活動
上記以外にも様々な機会、媒体を通してごみの発生・排出抑制に関する広報啓発活動
を実施しています。主な取り組みを表 1.4-1 に示します。
表 1.4-1
広報・啓発活動の取り組み状況
実施項目
概
要
出前講座・説明会の実施
ごみに関する説明会や出前講座を実施している。平成 20 年度
はごみ処理有料化導入に当たって町内会、事業所などを対象
に計 170 回開催した。参加人数は延べ 6,676 人。
ごみ処理施設見学会
小学校や企業、団体からの申し入れにより最終処分場やリサイ
クルセンターの施設見学会を実施している。
広報わっかない
市の広報誌である「広報わっかない」にごみ処理に関する記事
を掲載している。
コミュニティ FM(FM わっぴー)の 市の広報番組「市政ふれあい通信」を活用してごみ処理に関す
活用
る啓発活動を実施している。
ガイドブックの作成・配布
家庭系ごみの「分別ガイドブック」を全戸に配布、事業系
ごみの「減量化とリサイクルの手引き」を全事業者に配布
30
5 収集運搬
5-1 分別区分
平成 20 年度から金属類、容器包装プラスチックと白色トレイの分別を開始しました。
これに伴い、分別区分は「一般ごみ」、「大型ごみ」、「資源物」の 3 種、さらに資源物は
15 分類となっており、合計 3 種 17 分類の分別区分となっています。
表 1.5-1
現在の分別区分
現 在(平成 21 年 12 月現在)
3 種 17 分類
(種類)
(1)一般ごみ
(2)大型ごみ
(3)資源物
5-2
(分類)
①一般ごみ
②大型ごみ
③缶
④びん
⑤ペットボトル
⑥紙パック
⑦新聞紙
⑧雑誌
⑨ダンボール
⑩その他の紙
⑪古着類
⑫乾電池
⑬蛍光管
⑭容器包装プラスチック
⑮白色トレイ
⑯金属
⑰水銀使用の体温計・温度計
収集運搬体制
現在の収集運搬体制は、以下のとおりです。
表 1.5-2 現在の収集体制区分
①収集体制
②収集方式
一般ごみ
委託業者収集
大型ごみ
委託業者収集
資源物
委託業者収集
ステーション方式(一部路線収集方式)
大型ごみは戸別収集方式
③収集頻度
④収集車両
一般ごみ
2 回/週(一部 1 回/週)
大型ごみ
2 回/月(一部 1 回/月)
資源物
1 回/週(全市とも)
4t パッカー車 6 台(塵芥収集車 4 台、資源物収集車 2 台)
分別収集車 3 台
トラック 2 台(ダンプ 1 台、平ボディ 1 台)
⑤手数料
一般ごみは有料、資源物は無料
大型ごみは大きさによって 500 円、650 円、800 円
31
6
中間処理
中間処理施設には、資源物の資源化を目的としたリサイクルセンターがあります。処理
品目は缶・びん・ペットボトル、容器包装プラスチック、白色トレイです。リサイクルセ
ンターの概要は表 1.6-1 に示すとおりです。なお、紙類(飲料用紙パック・新聞紙・雑誌・
ダンボール・その他の紙)については市内古紙回収業者への処理委託を経て、平成 20 年
4 月からは古紙回収業者へ売却、古着類については町外の業者に売却していましたが、平
成 20 年 4 月からは市内の福祉施設へ処理委託しています。
表 1.6-1
リサイクルセンターの概要
①所在地
稚内市若葉台 1845-1
②建築仕様
鉄骨造平屋建
③延床面積
320m2
④処理方式
缶
選別圧縮機
びん
手選別
ペットボトル
圧縮減容機
容器包装プラスチック
圧縮減容機
白色トレイ
熱減容機
また、平成 24 年度の稼動を目指して生ごみの中間処理施設の整備をPFI事業により
進めています。施設及び事業の概要は「第 4 章 4 廃棄物系バイオマスの利活用の推進」で
示しています。
7
最終処分
最終処分場は、PFI事業により整備を行い、平成 19 年 10 月より管理・運営がスター
トしました。この最終処分場は埋立地を屋根で覆った被覆型(クローズド型)処分場と呼
ばれ、周辺環境に配慮した今までの処分場と異なる形式の処分場となっています。
なお、新処分場の供用開始とともにそれまで使用していた稚内市ごみ処分場は使用を中
止し、実質的に埋立終了の状態にあります。
表 1.7-1
最終処分場の概要
①所在地
稚内市新光町 1789 番地
②埋立対象物
一般ごみ、大型ごみ、リサイクルセンター処理残さ
③埋立期間
平成 19 年 10 月から平成 29 年 9 月
④埋立面積
27,000m2
⑤埋立容量
189,000m3
⑥埋立地概要
覆蓋(クローズド)型(4区画・移動式)
⑦浸出水処理施設
生物処理+凝集沈殿+砂ろ過+活性炭処理
能力 30m3/日
なお、最終処分場では家庭系ごみ、事業系ごみの区分で処理手数料を徴収しています。
手数料:家庭系ごみ 10kg につき 25 円
事業系ごみ 10kg につき 55 円(緩和措置として平成 21 年度は 10kg につき
25 円、平成 22 年度は 10kg につき 40 円)
32
8
その他の取り組み
環境美化や不法投棄対策などその他ごみ処理に関わる取り組み状況は以下のとおりで
す。
(1)不法投棄防止活動
不法投棄の防止と不法投棄が発生した場合に迅速かつ的確に対応するため「稚内市不
法投棄防止庁内連絡会」を設置し、連絡会が中心となって日常的なパトロールとごみ回
収を行っているほか、春と秋の年 2 回一斉パトロールと一斉回収を行っています。
(2)放置自動車対策
市内の公園や港湾用地において放置されている自動車については、稚内市不法投棄防
止庁内連絡会において、手続きのフローを作成し、警察などと連携しながら対策に取り
組んでいます。
(3)漂着ごみ対策
海浜地に漂着するごみを放置することは、景観上の問題やさらには不法投棄を助長す
る原因にもなりかねないことから、一斉清掃を行っています。平成 20 年度はメグマ浜、
平成 21 年度は夕来浜で行っています。
(4)ボランティアごみ処理券
家庭系ごみの有料化の実施に伴い、道路・公園・河川・海浜地等の公共の場所の清掃
ボランティア活動に対して無償でごみを受け入れする制度を導入しました。
(5)ごみステーション設置助成事業
家庭系ごみの有料化による財源を活用して、平成 21 年度より町内会等が設置するご
みステーションの費用について助成する制度を導入しました。
また、ごみステーションの改修や消耗品の支援、さらに消毒液の提供、ごみステーシ
ョンに不法投棄されたごみの撤去などごみステーション周辺の美化対策への支援を行
っています。
(6)共同住宅のごみステーション設置
条例により 6 戸以上の共同住宅の所有者または建設しようとする者に、家庭系ごみ用
のごみステーションを設置するよう求めていますが、専用のステーションの設置のない
共同住宅の入居者は、町内会設置のステーションを利用しています。
しかしながらごみの排出マナーが悪い状況が改善されないことから、平成 20 年度に
宅建事業者との懇談会を実施するなど改善への取り組みを行っています。今後は共同住
宅の所有者と直接面談するなど排出マナーの改善と専用ステーションの設置を働きか
けます。
33
9 ごみ処理費用
9-1 ごみ処理経費
平成 20 年度のごみ処理経費※は 645 百万円です。稚内市の平成 20 年度における歳出額
が 24,836 百万円となっていますので、ごみ処理経費が稚内市の総歳出額に占める割合は
2.6%となっています。
※ごみ処理経費は次の費用の合計を示しています。
・処 理 費 … 収集運搬から最終処分を行うために要した処理費や委託費。
産業廃棄物の処理に関わる費用は含んでいません。
・職員人件費 … ごみ処理に関わる市職員人件費。
・施設建設費 … 施設整備に関わる建設費や調査計画費。
過去 3 年間のごみ処理経費を表 1.9-1 に示します。ごみ処理経費の中で大きな割合を
占める施設建設費は、年度ごとに事業量が異なるため増減がありますが、処理費や人件
費は年々増加しています。
表 1.9-1
ごみ処理経費と市民一人当たりごみ処理経費
区 分
処
理
平成 18 年度
平成 19 年度
平成 20 年度
費
千円
207,373
236,372
292,426
職員人件費
千円
38,760
40,923
44,742
施設建設費
千円
447,644
307,842
0※
合
計
千円
246,133
724,939
645,010
人
口
人
40,868
40,244
39,527
円/人
6,023
18,014
16,318
1人当たり経費
※平成 18 年度は施設整備がなかった。
一人当たり経費
18,014
20,000
16,318
800,000
16,000
ごみ処理経費[千円]
724,939
645,010
600,000
12,000
施設費
447,644
400,000
307,842
8,000
6,023
44,742
200,000
246,133
38,760
人件費 40,923
4,000
207,373
処理費
236,372
292,426
平成18年度
平成19年度
平成20年度
0
0
図 1.9-1
ごみ処理経費と市民一人当たりごみ処理経費
34
一人当たりごみ処理経費[円/人]
1,000,000
ごみ処理経費のうち処理費についてごみの種類別に整理し、処理量当たりの単価で整
理します。
一般廃棄物(ここでは資源物を除いた一般ごみ、大型ごみ及び事業系ごみを総称して
用いています。)、資源物ともに費用は増加しています。特に平成 20 年度の資源物は容器
包装プラスチックなどの分別拡大に伴い大きく増加しており、また一般廃棄物ついては
ごみ有料化のための準備費用などで費用が増加しています。
また、それぞれのごみ処理量当たりの単価についても同様に増加傾向にあり、一般廃
棄物(資源物は除く)の処理量 1 トン当たりは平成 18 年度 6,782 円が平成 20 年度は 10,863
円と 1.6 倍、資源物は平成 18 年度 25,970 円が平成 20 年度は 29,234 円と 1.1 倍となっ
ています。
表 1.9-2
区
ごみの種類別の処理費とごみ 1 トン当たりの処理単価
分
平成 18 年度
平成 19 年度
平成 20 年度
一般廃棄物※1
千円
134,085
162,285
193,994
資源物
千円
73,287
74,087
98,432
一般廃棄物※1
t/年
19,770
18,853
17,858
資源物
t/年
2,822
2,797
3,367
一般廃棄物※1
円/t
6,782
8,608
10,863
資源物
円/t
25,970
26,488
29,234
処理費
排出量
処理単価
※1
資源物を除いた一般ごみ、大型ごみ、事業系ごみの処理に要した費用
35,000
資源物
26,488
29,226
一般廃棄物
8,608
10,863
ごみ1トン当たり処理単価[円/t]
30,000
25,979
25,000
20,000
15,000
10,000
6,782
5,000
0
平成18年度
平成19年度
平成20年度
図 1.9-2 ごみ 1 トン当たりの処理単価
35
9-2
施設整備費
平成 19 年 10 月から使用を開始した最終処分場と、平成 20 年 7 月から稼動を開始した
容器包装プラスチック中間処理施設のそれぞれの整備事業費は、表 1.9-3、表 1.9-4 に
示すとおりであり、最終処分場の総事業費が 2,146 百万円、容器包装プラスチック中間
処理施設が 141 百万円となっています。
表 1.9-3 最終処分場の整備事業費
区分
事業費(千円)
備考
施設整備費
1,932,024
付帯工事費
123,892
平成 16~19 年度
計画支援費
90,101
平成 15~19 年度
①:整備総事業費
②:補助金
2,146,016
510,336
①-②
平成 19~29 年度(割賦料計)
平成 17~19 年度
1,635,680
表 1.9-4
容器包装プラスチック中間処理施設の整備事業費
区分
事業費(千円)
備考
施設整備費
109,725
平成 20 年度
車両購入費
28,336
平成 20 年度
設計費
①:整備総事業費
2,898 平成 19 年度
140,959
②:交付金
41,434
①-②
99,525
36
平成 20 年度
10
一般廃棄物処理システム
環境省では、一般廃棄物の標準的な分別収集区分や適正な循環的利用、適正処理の考え
方を「市町村における循環型社会づくりに向けた一般廃棄物処理システムの指針」(以下
「システム指針」という。)として平成 19 年 6 月に公表しています。
ここでは稚内市におけるごみ処理の現状とこの指針を対比してみます。
10-1 一般廃棄物の標準的な分別収集区分
表 1.10-1 にシステム指針による一般廃棄物の標準的な分別収集区分を示します。
稚内市では焼却処理を行っていないため、標準的な分別収集区分で示される「燃やす
ごみ」と「燃やさないごみ」の分別を行っていませんが、容器包装については全品目(た
だし紙製容器包装には、はがき・封筒・コピー用紙などの雑紙も含めて収集)を実施し
ており、ダンボール等の古紙類、布類の資源物の分別収集も実施しています。したがっ
て現時点で類型Ⅱに区分されます。
さらに、平成 24 年度稼動の生ごみバイオガス化施設の稼動にあわせて「生ごみ」や「廃
食用油」の分別を開始する予定となっていることから、これらの分別拡大によって類型
Ⅲに該当し、最も進んだ分別収集区分に移行する予定です。
表 1.10-1
類型
類型Ⅰ
類型Ⅱ
類型Ⅲ
一般廃棄物の標準的な分別収集区分
標準的な分別収集区分
①-1 アルミ缶・スチール缶
素材別に排出源で分別するか、又は、
①-2 ガラスびん
一部又は全部の区分について混合収
集し、収集後に選別する
①-3 ペットボトル
②資源回収する古紙類・布類等の資源ごみ(集団回収によるものを含む)
④燃やすごみ(廃プラスチック類を含む)
⑤燃やさないごみ
⑥その他専用の処理のために分別するごみ
⑦粗大ごみ
①資源回収する
①-1 アルミ缶・スチール缶
素材別に排出源で分別するか、又は、
容器包装
①-2 ガラスびん
一部の区分について混合収集し、収集
①-3 ペットボトル
後に選別する(ただし、再生利用が困
①-4 プラスチック製容器包装 難とならないよう混合収集するものの組
合せに留意することが必要)
①-5 紙製容器包装
②資源回収する古紙類・布類等の資源ごみ(集団回収によるものを含む)
④燃やすごみ(廃プラスチック類を含む)
⑤燃やさないごみ
⑥その他専用の処理のために分別するごみ
⑦粗大ごみ
①資源回収する
①-1 アルミ缶・スチール缶
素材別に排出源で分別するか、又は、
容器包装
①-2 ガラスびん
一部の区分について混合収集し、収集
①-3 ペットボトル
後に選別する(ただし、再生利用が困
①-4 プラスチック製容器包装 難とならないよう混合収集するものの組
合せに留意することが必要)
①-5 紙製容器包装
①資源回収する
容器包装
②資源回収する古紙類、布類等の資源ごみ(集団回収によるものを含む)
③資源回収する生ごみ、廃食用油等のバイオマス
④燃やすごみ(廃プラスチック類を含む)
⑤燃やさないごみ
⑥その他専用の処理のために分別するごみ
⑦粗大ごみ
稚内市
○
○
○
○
△
△
○
○
○
○
○
○
○
○
△
△
○
○
○
○
○
○
○
○
予定
△
△
○
○
資料:システム指針をもとに加筆
37
10-2 適正な循環的利用・適正処分の方法
表 1.10-2 にシステム評価における標準的な分別収集区分に対応する適正な循環的利
用・適正処分の方法を示します。
表 1.10-2
分別収集区分
①資源回収す ①-1 アルミ缶・
る容器包装
スチール缶
①-2 ガラスびん
①-3 ペットボトル
①-4 プラスチッ
ク製容器包装
①-5 紙製容器
包装
②資源回収する古紙類・布類等の
資源ごみ
③資源回収する生ごみ、廃食用
油等のバイオマス
④燃やすごみ
⑤燃やさないごみ
⑥その他専用の処理のために分
別するごみ
⑦粗大ごみ
適正な循環的利用・適正処分の方法
適正な循環的利用・適正処分の方法
素材別に排出源で分別するか、又は、一部の区 ○アルミ・スチール缶の回収業者等への売
分について混合収集し、収集後に選別する(た
却等による再生利用
だし、再生利用が困難とならないよう混合収集す
るものの組合せに留意することが必要)こととなる ○容器包装リサイクル協会の引き取り等に
よる再商品化
ため、分別の程度や混合収集するものの組み合
わせに応じ、中間処理施設において異物の除 ○除去した異物について、熱回収施設又は
最終処分場で適正処分
去、種類別の選別を行い、種類に応じて圧縮又
稚内市
実施
実施
実施
実施
実施
は梱包を行う。
排出源で分別し、集団回収又は行政回収により
集め、必要最小限度の異物除去、必要に応じて
梱包等を行い、そのまま売却
排出源で分別する
生ごみ
①メタン化(生ごみに
併せ紙ごみ等のセル
ロース系のものをメタ
ン化することもある)
②堆肥化
③飼料化
廃食用油
④バイオディーゼル
燃料化(メチルエステ
ル化する)
剪定枝等木質ごみ
⑤堆肥化・チップ化
排出源で分別せず燃や
すごみと混合収集し、生
⑥メタン化
ごみ等のバイオマスを選
別
最終処分場で
焼
適正処分
却
セメント原料化
灰
灰溶融しスラグ化
ストーカ方式等による
薬剤等により安
従来型の焼却方式(灰
ば
定化処理し最
溶融方式併設を含む)
い
終処分
じ
セメント原料化
ん
山元還元
スラグ化
薬剤等により安
ば
定化処理し最
ガス化溶融方式
い
終処分
ガス化改質方式
じ
セメント原料化
ん
山元還元
最終処分場で
焼
適正処分
却
セメント原料化
灰
灰溶融しスラグ化
固形燃料化又は炭化
して燃料を焼却する方
薬剤等により安
ば
定化処理し最
式
い
終処分
じ
セメント原料化
ん
山元還元
金属等の回収、燃やせる残さの選別、かさばる
ものの減容等の中間処理
性状に見合った処理及び保管
修理等による再使用、金属等の回収、燃やせる
残さの選別、かさばるものの減容等の中間処理
○回収業者等への売却等による再生利用
○除去した異物について、熱回収施設又は
最終処分場で適正処分
実施
予定
予定
○回収したメタンの発電や燃料としての利
用、バイオディーゼル燃料の燃料利用
○回収した堆肥・飼料の適正利用、チップ
の燃料利用
○除去した異物について、熱回収施設又は
最終処分場で適正処分
他処理
他処理
予定
検討
他方式で
予定
最終処分
○焼却に当たっては回収した熱をエネルギ
ーとしてできる限り利用することを基本と
する。エネルギー利用は、発電及び蒸気
又は温水による熱供給(発電と熱供給の
組合せを含む)をできるだけ行うこととす
る。
○焼却に当たっては回収した熱をエネルギ
ーとしてできる限り利用することを基本と
する。エネルギー利用は、発電及び蒸気
又は温水による熱供給(発電と熱供給の
組合せを含む)をできるだけ行うこととす
る。
○固形燃料・炭の焼却に当たっては、ダイ
オキシン類対策の完備した施設で、回収
した熱をエネルギーとして特に効率良く
利用しなければならない。エネルギー利
用は、発電及び蒸気又は温水による熱供
給(発電と熱供給の組合せを含む)をでき
るだけ行うこととする。
最終処分
最終処分
最終処分
最終処分
最終処分
最終処分
最終処分
最終処分
最終処分
最終処分
最終処分
最終処分
最終処分
最終処分
最終処分
○金属等の回収業者等への売却等による
再生利用
○除去した異物について、熱回収施設又は
最終処分場で適正処分
最終処分
○性状に見合った再生利用又は適正処分
実施
○修理等して再使用
○金属等の回収業者等への売却等による
再生利用
○除去した異物について、熱回収施設又は
最終処分場で適正処分
実施
資料:システム指針をもとに加筆
38
稚内市では、
「燃やせるごみ」と「燃やせないごみ」は一般ごみとして混合収集し、そ
のまま最終処分しているため、これらはシステム評価と異なりますが、一般ごみを除く
と平成 24 年度の生ごみ中間処理施設の稼動後においてはシステム評価で示される適正
な循環的利用・適正処分の方法と一致します。
10-3 一般廃棄物処理システムの評価
システム評価では、各市町村の一般廃棄物処理システムについて、環境負荷面、経済
性等から客観的な評価を行うための標準的な評価項目を示しています。このうちの一部
の評価項目について試算します。
表 1.10-3
視点
循環型社会形成
標準的な評価項目
指標で測るもの
指標の名称
単位
試算
g/人・日
○
%
○
廃棄物の発生
人口一人一日当たりごみ総排出量
廃棄物の再生利用
廃棄物からの資源回収率
エネルギー回収・利用
廃棄物からのエネルギー回収量
MJ/t
該当なし
最終処分
廃棄物のうち最終処分される割合
%
○
地球温暖化防止
温室効果ガスの排出
廃棄物処理に伴う温室効果ガスの人口一
人一日当たり排出量
kg/人・日
○
公共サービス
廃棄物処理サービス
住民満足度
-
-
経済性
費用対効果
人口一人当たり年間処理経費
円/人・年
別に掲載※
円/t
別に掲載※
円/MJ
該当なし
円/t
-
資源回収に要する費用
エネルギー回収に要する費用
最終処分減量に要する費用
※経済性に関する視点は「9 ごみ処理費用」で示しています。
資料:システム指針をもとに加筆
(1)循環型社会形成
循環型社会形成の視点から「廃棄物の発生」、
「廃棄物の再生利用」、
「最終処分」につ
いて試算します。
表 1.10-4 循環型社会形成の視点
指標
人口一人当たりごみ排出量
平成 20 年度
1,491 g/人・日
備考
その他事業系ごみを含む
廃棄物からの資源回収量
17.0 %
その他事業系ごみを含む
廃棄物のうち最終処分される割合
83.0 %
その他事業系ごみを含む
平成 20 年度の稚内市の人口一人当たりごみ排出量(その他事業系ごみを含んでいま
す。)は 1,491g/人・日です。年度は異なりますが、北海道の最新の実績値は 1,134g/
人・日(平成 19 年度)ですので、北海道より 31%多い排出量となっています。
また、廃棄物からの資源回収量については 17.0%ですが、平成 19 年度の北海道は
18.8%ですので、北海道より下回っています。
さらに廃棄物のうち最終処分される割合は 83.0%ですが、平成 19 年度の北海道は
24.1%であり、圧倒的に多くなっています。
39
(2)地球温暖化防止
地球温暖化防止の視点から「温室効果ガスの排出」について以下の項目を試算します。
①収集車両の燃料消費に伴う温室効果ガス(CO2)
②自動車の走行に伴い燃料消費・電気使用に伴う温室効果ガス(CO2)
③中間処理において燃料消費・電気使用に伴う温室効果ガス(CO2)
④一般廃棄物の焼却に伴う温室効果ガス(CH4,N2O)
⑤廃プラスチックの焼却に伴う温室効果ガス(CO2)
⑥最終処分において燃料消費・電気使用に伴う温室効果ガス(CO2)
⑦廃棄物の直接埋立処分による温室効果ガス(CH4)
ただし、稚内市では焼却処理を行っていませんので、④と⑤の排出はありません。
上記の項目を試算したところ、稚内市において廃棄物の処理に伴って排出される温室
効果ガスは二酸化炭素換算で一人一日当たり約 0.82kg-CO2 となりました。このうちの
ほとんどは廃棄物の直接埋立処分によるものです。我が国において廃棄物分野から排出
される温室効果ガスは 2007(平成 17)年度で 2,417 万 t-CO2※と報告されています。こ
れを国民一人一日当たりに換算すると 0.5kg-CO2 ですので、直接埋立を行っている結果、
温室効果ガスの排出量が多くなっていると考えられます。
※日本国温室効果ガスインベントリ報告書(2009 年 4 月)独立行政法人国立環境研究所
40
11
現状における課題
前節までの稚内市のごみ処理の現状をふまえ、現状における課題を整理します。
(1)ごみ排出量の削減に向けた取り組みの推進
平成 18 年度における道内 35 都市の一人一日当たりのごみ排出量を見てみると、稚内
市は 33 番目に排出量が多くとなっています(表 1.11-1 参照)。この排出量には海岸漂
着物など日常生活や事業活動とは関係なく排出されるその他事業系ごみも含まれてい
ますが、これを除いたとしても、道内他都市に比べ排出量は多いと言わざるを得ません。
平成 21 年度からごみ処理の有料化がスタートし、以前に比べてごみの排出量は削減
されていますが、さらなるごみ排出量の削減に努める必要があります。
(2)リサイクル率の向上のための取り組みの推進
ごみ排出量と同様、リサイクル率についても平成 18 年度は道内 35 市の中で 31 番目
に尐ない率(表 1.11-1 参照)となっています。平成 20 年度から資源物集団回収奨励金
事業を導入したことや容器包装プラスチック、白色トレイの分別収集の開始、さらには
平成 21 年度のごみ処理の有料化によってごみの排出量が削減されたことによりリサイ
クル率が向上する見込みですが、よりリサイクル率を向上させるための取り組みを推進
する必要があります。
(3)最終処分量の削減のための取り組みの推進
最終処分量については、ごみ排出量の削減とリサイクルの推進により前ごみ計画の策
定当時に比べると大きく減尐しておりますが、一般ごみを直接埋立しているため減量処
理率は低く、全国や北海道を大きく下回っています。
このため、減量処理率を向上させる取り組みを推進し、最終処分量を削減する必要が
あります。
(4)ごみ出しルール・マナーの向上のための取り組みの推進
資源物の分別排出やごみ出しルールやマナーはこれまでの取り組みで改善されてき
ているものの、他町内会のごみステーションに排出したり、無料である資源物に一般ご
みを混ぜて排出したり、依然としてごみ出しルールやマナーの悪い排出行動が一部で見
られる状況です。さらに不法投棄されるごみも依然としてなくなりません。これらの改
善に向けた取り組みを推進する必要があります。
(5)中間処理施設や最終処分場の計画的な整備
生ごみの中間処理施設については平成 24 年度の稼動を目指して計画を進めています
が、リサイクルセンターの一部の設備は耐用年数も経過し老朽化が目立っています。ま
た、平成 19 年 10 月に埋立を開始した新処分場も埋立期間は 10 年間となっています。
ごみ処理の有料化によるごみ排出量の削減によって埋立期間の延長が見込まれますが、
いずれにしても次期処分場の整備に着手する必要があります。
また、旧処分場については実質的に埋立終了の状況にありますので、廃止基準に基づ
く閉鎖管理を行い、廃止の手続きを行う必要があります。
(6)増加するごみ処理費用への対応
最終処分場の整備費や管理運営委託費、資源物の分別拡大に対する収集運搬費用など
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ごみ処理に要する費用は年々増加しています。今後も生ごみ中間処理施設の整備やこれ
に伴う生ごみの分別拡大を計画していますので、ごみ処理費用は増加する見込みです。
一方、平成 21 年度からの家庭系ごみの有料化や事業系ごみのごみ処理手数料の改定
によってごみ排出量の削減や資源化が進み、最終処分量が大きく減尐しています。この
結果、当初 10 年間を予定していた最終処分場の使用期間が 2~3 年延命できると見込ん
でいます。最終処分場の整備費には約 19 億円を要していますので、単純に計算すれば
整備費として、3.8~5.7 億円(19 億円÷10 年×2~3 年)の効果があったと考えられま
す。
今後も厳しい財政状況が見込まれる中、できる限り経費を抑えたごみ処理を進めると
ともに中間処理施設や最終処分場においてはできるだけ長く使用するための取り組み
が必要です。
表 1.11-1
道内 35 都市の原単位※1 及びリサイクル率(平成 18 年度)
原単位
リサイクル率
順位
都市名
(g/人・日)
(%)
1
歌志内市
841
1
富良野市
64.4
2
芦別市
847
2
赤平市
43.6
3
伊達市
910
3
留萌市
41.9
4
留萌市
920
4
芦別市
41.7
5
富良野市
926
5
深川市
39.4
6
赤平市
939
6
滝川市
39.0
7
江別市
968
7
砂川市
32.4
8
帯広市
998
8
江別市
31.7
9
士別市
1,002
9
帯広市
30.1
10
恵庭市
1,003
10
歌志内市
28.5
11
深川市
1,012
11
伊達市
27.8
12
砂川市
1,013
12
室蘭市
24.9
13
滝川市
1,039
13
三笠市
23.5
14
石狩市
1,072
14
士別市
22.9
15
三笠市
1,094
15
名寄市
21.4
16
名寄市
1,097
16
北見市
20.1
17
北広島市
1,100
17
石狩市
19.9
18
北見市
1,106
18
小樽市
19.9
平均※2 以下
19
北斗市
1,107
19
釧路市
18.8
20
小樽市
1,119
20
岩見沢市
18.1
21
旭川市
1,130
21
紋別市
18.0
22
登別市
1,186
22
恵庭市
17.7
23
室蘭市
1,197
23
北斗市
17.6
24
函館市
1,211
24
北広島市
17.0
25
釧路市
1,215
25
網走市
16.8
26
網走市
1,226
26
函館市
16.1
27
岩見沢市
1,311
27
旭川市
14.7
28
札幌市
1,321
28
札幌市
14.5
29
美唄市
1,346
29
千歳市
14.4
30
苫小牧市
1,379
30
登別市
14.1
31
紋別市
1,407
31
稚内市
12.5
32
千歳市
1,440
32
苫小牧市
11.2
33
稚内市
1,496
33
美唄市
11.0
34
夕張市
1,560
34
根室市
10.9
35
根室市
1,902
35
夕張市
3.0
平均※2
1,155
平均※2
23.4
※1 上記の稚内市の原単位及びリサイクル率はその他事業系ごみを含んで算出してい
ます。また 9 月 30 日付けの人口で原単位を算出しているため、表 1.3-2 で示した
原単位と異なります。
※2 35 都市の平均値です。
順位
都市名
42
平均※2 以上