広報紙 にんぎょうとうげ 2012年度№1 第53号 - 日本原子力研究開発機構

2008年1月号
第27号 発行日 平成24年7月31日
2012年度NO.1
第53号
発行: 独立行政法人日本原子力研究開発機構
人形峠環境技術センター 総務課
岡山県苫田郡鏡野町上齋原1550
電話 0868-44-2211 FAX 0868-44-2502
HPアドレス http://www.jaea.go.jp/04/zningyo/index.html
す。方面残土処理につきましては、レンガ加工場跡地を
整備し、本年6月30日に、計画通り鳥取県に返還させて
いただき、終了することができました。これまで永きに渡
り、地域の皆様のご理解のもとに、これら事業を進める
ことができましたことに対し、感謝の意を表すると共に、
今後とも、地域の皆様との信頼関係を堅持すべく努めて
まいります。
人形峠環境技術センターは、ウラン
探鉱、製錬、転換及び濃縮の技術開
発 を 終 え、廃 止 措 置 を 進 め て い ま
人形峠環境技術センター(以下「センター」という。)
は、安全確保を最優先とし、製錬転換施設の設備解
体、遠心機処理と鉱さいたい積場の跡措置対策の継
続並びに放射性廃棄物の処理・計測技術等の技術開
発を推進するとともに、東京電力㈱福島第一原子力
発電所の事故の収束に向けた取り組みを継続しま
す。また、環境活動並びに地域社会との共生への取り
組みを継続します。
平成24年度のセンターの取り組み事項は以下のと
おりです。
1.事業(開発・研究等)に関すること
1)製錬転換施設は、付帯設備の解体・撤去に
着手します。
2)濃縮工学施設は、遠心機処理の継続及び
澱物の処理プロセスの設定検討を実施しま
す。
3)ウラン濃縮原型プラントは、第一運転単位
(DOP-1)の滞留ウラン除去・回収の準備工
事及び施設・設備の解体手順等の検討を継
続します。
4)鉱山施設は、適切な維持管理の継続及び
鉱さいたい積場の跡措置工事、今後の措置
に必要な調査等を継続します。
5)人形峠レンガ加工場跡地は、整地後、鳥取
県に返還します。
6)放射性廃棄物の適正な保管管理の継続及
びセンター各施設の安全な維持管理を継続
します。
7)東京電力㈱福島第一原子力発電所の事故
の収束に向けた取り組みとして、環境修復
の技術開発や除染活動等への人員派遣の
支援を継続します。
2.安全確保・環境保全に関すること
1)安全確保、法令順守の徹底及び「環境・品
質マネジメントシステム」の確実な運用によ
り、無事故無違反の達成を目指します。
2)ISO14001環境マネジメントシステム自己宣
言事業所として、計画的なエネルギー管理
等を推進し、地球温暖化防止等の環境に配
慮した事業活動を継続します。
3.地域・社会への対応に関すること
1)地域振興への支援、説明会等への対応、
広報紙の配布等を継続し、地域との積極的
なコミュニケーションを図り、地域社会との共
生に努めます。
2)地元大学、高専との連携協力の強化、地元
民間企業との交流を図り、産学との連携交
流の推進を継続します。
3)センターホームページ等で、事業内容の紹
介、研究開発成果及び環境モニタリング
データ等について、適時、分かり易い情報発
信を継続し、地域社会への理解と安心の向上
に努めます。
(計画管理室)
1
研究用原子炉を利用したがん治療
医学関係にも放射線を使って協力させて頂いて
います。ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)といっ
て、ガン細胞に選択的に集まるホウ素化合物を患
者に投与しておき、腫瘍にホウ素(10B)が集まっ
た時に熱中性子ビームを照射すると、ホウ素化合
物を取り込まない正常細胞はダメージを受けませ
んが、ホウ素をたくさん取り込んだ腫瘍細胞では
細胞内部でホウ素と熱中性子の核反応が生じ、
核反応により発生したアルファ粒子と7Li粒子が腫
瘍細胞のみを破壊する放射線治療です。
大きな利点は、アルファ線も7Li粒子もおよそ10
ミクロンしか飛ばないため、正常細胞を傷つけるこ
となく腫瘍細胞のみが選択的に治療でき、治療後
の生活の質が高い特徴が
あります。現在は9つの大学
病院等で行われています。
人形峠ビジネス
コーディネーター
(池田、白水、本庄)
福島第一原子力発電所の事故による環境汚染
の除染モデル実証事業のため、3月に福島へ行
き、作業を行いました。
私は南相馬市、川俣町、浪江町、飯舘村エリア
のモデル除染担当として、除染作業によって発生し
た除去物の仮置場の管理が主な業務です。現場作
業では冬に積もった雪や氷が
解け始め、排水管理が忙しく
なっていました。浸出水中の
放射性物質の確認のための
サンプル採取、分析を行う採
水班と排水を行う排水班に分
バキュームブラストによる かれて対応します。
コンクリート面の研削
業務は忙しく、片道約1時間
の道のりを2往復する事もあり、移動の大変さを
感じました。
今回の業務では、除染エリアと仮置場の除去
物量の多さに驚き、今後進めていく除染作業にお
いて除去物等をいかに減らしていくかが重要な課
題であると感じました。また、冬期の除染や仮置
場設置は雪や氷が混入し、後々の浸出水増加の
原因になるため、本格的な除染を実施する季節
についても注意が必要であ
ると感じました。
今後もセンターは福島支
援業務に携わっていきます
が、多くの人に福島の現状
を知ってもらえたらと思いま
す。
(遠心機処理技術課 S・T) ブラシによる屋根の洗浄
東日本大震災により発生したがれきの処理では、
廃棄物にかかる放射性物質濃度の基準で、判断に
迷われるケースが見られます(セシウム137の場合、
主に廃棄物1kgあたり100ベクレル(Bq/kg)と8000Bq/
kg)。これらは、「廃棄物をどのように扱っていくか?」
という点で大きな違いがあります。
具体的には、100Bq/kgは「廃棄物をリサイクルす
る(ク リ ア ラ ン ス 制 度)」た め の 基 準、8000Bq/kg は
「廃棄物を処理する」ための基準です。これらは、年
間被ばく量が
●リサイクルする場合:最大10マイクロシーベル
ト(μSv)、
●処理する場合:処理作業中(保管、運搬、埋立
作業など)では年間で最大1000μSv(1ミリSv)
埋立終了後では最大10μSvとなるような放射性
物質濃度を計算したものです(ちなみに、胸のX線
集団検診が1回で50μSv、日本の自然放射線量が
年間で1500μSvほどになります)。
処理される廃棄物は、例として、管理された最終
処分場に埋め立てられるような、リサイクルされな
いものです。リサイクルされる廃棄物は、例として、
原子力施設内の階段で使った鉄を溶かして、フェン
スとして再利用するなど、私たちの身の回りのもの
に使われることを想定していますので、処理される
廃棄物よりも低く設定しています。(参考:災害廃棄
物の広域処理、環境省)
(安全管理課)
広報紙 にんぎょうとうげ
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