福祉ビジネスにおける 知的財産の活用 - 経営工学専攻 - 東京工業大学

福祉ビジネスにおける
知的財産の活用
東京工業大学大学院
社会理工学研究科
経営工学専攻
エンジニアリング知的財産講座
田中研究室
04M42321 野間口 一由
今後の発表展開(前期:国内)
„
第1回(終了)
福祉ビジネス概要、国内福祉市場動向、年度別比較、今後の福祉と特許
第2回
車いす技術概要
車いす技術特許状況
車いす製造企業の分析比較
„ 第3回
現在の福祉関係の特許出願からの市場予測
„
2005/4/27
(C)2004 Kazuyoshi Nomaguchi
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今後の発表展開(後期:国外)
第4回
米国、欧州における福祉市場と知財動向
„ 第5回
中国、アジアにおける福祉市場と知財動向
„ 第6回
国内、国外との比較検討
„
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3
第2回
„
„
„
車いす技術概要
車いす技術特許状況
車いす製造企業の分析比較
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良い製品を市場に出そう!
„
自動車産業・IT産業が盛んになったように、良い
製品を市場に多く排出することが重要である。昔
のままでは、ここまで大きな市場にはならなかっ
た。
„
車いす分野に関しても、市場は小さいけれども、
さらに技術革新を行い、技術分野からのノーマラ
イゼーションを起こせばいいと考える。
世間の見方も変わってくるのではないだろうか?
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車いす概要(JIS・ISO)
●自走用標準型車いす
日本工業規格(JIS)T9201のうち、自走用に該当するもの及びこれに準ずる
もの(前輪が大径車輪であり後輪がキャスタのものを含む。)をいう。
●介助用標準型車いす
日本工業規格(JIS)T9201のうち、介助用に該当するもの及びそれに準ずる
もの(前輪が中径車輪以上であり後輪がキャスタのものを含む。)をいう。
●普通型電動車いす
日本工業規格(JIS)T9203に該当するもの及びこれに準ずるものをいい方向
操作機能については、ジョイスティックレバーによるもの及びハンドルに
よるもののいずれも含まれる。
ISO分類(Wheelchairs)
ISO6440・7193・7176-1・7176-3・7176-8・7176-11・7176-13
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車いす概要(IPC)
●自走用車いす(自走・介助)
A61G5/00,510 車いす一般
A61G5/00,513 操舵
A61G5/00,511 介添者が推進するもの
A61G5/00,514 ブレーキ
A61G5/02
病人によって推進するもの
17分類
A61G5/02,501 車体
A61G5/02,502 フレーム
●電動式車いす
A61G5/02,503 折りたたみ
A61G5/04
A61G5/02,504 前後方向
A61G5/04,501 制御
A61G5/02,505 左右方向
A61G5/04,502 電気的制御
A61G5/02,506 座席
A61G5/04,504 制動
A61G5/02,507 アームレスト
A61G5/04,505 操舵
A61G5/02,508 フットレスト
A61G5/04,505 駆動源(モーター)
A61G5/02,509 背板
A61G5/04,506 車体
A61G5/02,510 車輪
電動機により駆動するもの
7分類
A61G5/02,511 キャスター
A61G5/02,512 駆動輪
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工業規格と特許
„
特許のIPC分類はJISを参考に分類されているは見てわかるが
明細書の記述においては特に統一されていない。
テキスト検索を行った時に弊害が出ると思われる。
【例】車いす=車椅子
背もたれ=背板=バックレスト 等
これは、業界内で言葉の統一を図る必要がある。
„
車いすも工業製品なので、JISの基準で試験は行われている
が、あくまで国内においての基準である。
寸法基準では幅が700mm以下や使用年齢における荷重試験等
しかし、輸出製品を考えた時には、ISO準拠で物を作る必要
があるのではないだろうか?
↑
国内の中小企業はそこまでは視野に入れていない所が多く
感じられる・・・。
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8
もっと身近に!
„
ノーマライゼーション
障害者等が地域で普通の生活を営む事を当然とする福祉の基本
的な考え方、1960年代に北欧から始まる。
„
集英社ヤングジャンプコミック
「リアル」 井上 雄彦著
車いすバスケットがテーマで、人気急上昇中
„
大阪体育大学 バスケット用車いす×20台納品
健常者が車いすバスケットを体験する。
学生に日常的に開放し休み時間等に自由にプレイできる。
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もっとアクティブに!
●ハンドサイクル
下肢に障害を持った人でも、自転車の要領で手でペダルを回し、車いす以上の機動性を持つ。
欧米では広く普及しており、夫婦や家族と共に週末を楽しむ際にも広く活用されている。
日本のノーマライゼーション化がまだまだ遅れているため、日本ではまだまだ浸透していない
状況である。道路環境整備、公園等の充実を図る必要があると思われる。
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さらにアクティブに!
●チェアスキー
障害者においても、陸上、テニス、バスケット、ラグビー、ダンス、スキー等、色々とスポ
ーツはあり、それぞれの競技に専用の車椅子がある。それぞれの車いすは競技の激しい動き
にも耐えうるように設計製造されているのが特徴である。
写真はスキー用の車いすだが、これにもZ系の高強度アルミ、カーボンファイバーが使用され
ている。また、オートバイ用のサスペンションが前後に配置されている。
自動車のレース用サスペンションンメーカーとの共同研究で現在も開発されている。
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もっと産学連携を!
●フリーダム
有限会社トモと玉川大学工学部機械制御研究室(福祉工学研究室)との合同研究で行われて
いる階段昇降機能をもった車いす。重量も100kgあり、製品自体も大きいので、まだまだ一般
的に使用するには難しいと思うがこれからの技術開発に期待したい。
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特許出願状況
‹
車いすの利用対象者が障害者+高齢者に変わったこ
とにより、市場は拡大中でそれに伴い出願も増加傾
向にある。(1990年∼2001年7月)
車いす
1684件
手動式車いす
1032件
電動式車いす
746件
介助用 209件
自走式
フレーム
座
席
車
輪
ブレーキ
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933件
203件
427件
340件
87件
制
御
ブレーキ
操
舵
駆 動 源
車
体
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185件
60件
123件
229件
198件
13
特許出願件数(上位10社)
出願人
合計
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
スズキ
140
11
22
3
9
11
7
42
9
17
9
電動車出願多数
ヤマハ発動機
100
4
12
11
30
15
16
7
5
電動車出願多数
10
6
3
14
6
6
4
8
電動車出願多数
1
5
13
12
8
5
電動車出願多数
5
3
7
3
3
1
3
14
5
10
6
8
4
アッテクス
69
本田技研工業
44
いうら
44
2
松下電器産業
43
2
日進医療器
40
2
5
4
1
3
5
8
クボタ
37
4
10
2
6
3
8
2
ナブコ
36
6
1
4
10
5
3
ミキ
23
2
1
4
6
2
2
2005/4/27
2
2
10
8
10
2
3
4
(C)2004 Kazuyoshi Nomaguchi
病院使用車いす1
病院使用車いす1位
2
7
病院使用車いす2
病院使用車いす2位
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車いす技術開発の課題
車いすの技術要素毎に、技術開発
の課題とその解決手段を体系化
技術的な部分に関しては、この体
系化は非常に簡潔でよく出来てい
る。技術を抜いた部分でいえば、
製品開発コスト等の項目もいれて
考えたいものだ。
2005/4/27
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車いす技術開発の課題
1990年∼2001年の出願の中から登録及
び係属中の物
このバブルによりどこの技術課題に企
業が着目しているかが読み取れる。
また、企業がどこを重点的に開発して
いるかも読み取れる。
●自走式
負担軽減、走行性の向上、乗り心地の
向上、安全性の向上等
●介助式
多機能化
●電動式
操作性向上、走行性向上、安全性向上
全体的言える事は、安全性の向上
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スズキ株式会社
●電動式に多く出願
整備性の向上、特にバッテリー周
りの物が多く出願されている。
●安全性部分においても同様
スズキは自動車のディーラーでも
電動式車いすを扱っている。
メンテナンスを最寄のディーラー
で受けれる。
2005/4/27
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日進医療器株式会社
●自走式に多く出願
収納性の向上(携帯用、折りたたみ
式)、負担軽減が出願されている。
●安全性部分においても同様
日進医療器は自走式では国内1位の
シェアを持っており、270億円の内
55億円を売り上げている。
2005/4/27
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18
比較(2001年度データ)
„
„
„
„
„
„
【社名】
スズキ株式会社
ヤマハ発動機株式会社
アテックス株式会社
本田技研工業株式会社
【福祉機器関連売上】
48億円 (1兆2947億円)
9億円 (5902億円)
4億円 (40億円)
18億円 (3兆420億2200万)
日進医療器株式会社
株式会社ミキ
55億円 (55億円:福祉のみ)
20億円 (20億円:福祉のみ)
2005/4/27
(C)2004 Kazuyoshi Nomaguchi
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今後の技術開発の点での課題
„
車いすの移動機器としての性格上、転倒防止等の安全性の向上
や、直進性、旋回性等のより安定した走行性の向上、室内使用
における品質を損なわないコンパクト性、軽量化が求められる。
また室外使用においては、耐久性や操作容易性も求められる。
„
また、周辺環境のバリアフリー化が進むに伴い、車いすでの行
動範囲が広がり、さらに新たな技術開発の課題が発生するのは
必至であり、今後の発展が期待されるものである。
„
人的資源の確保、ユーザーの意見を取り込んだ技術開発
業界からの有効有用な発信!
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(C)2004 Kazuyoshi Nomaguchi
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参考文献
¾
2000年度・2001年度
福祉用具・共用品市場規模調査結果
【経済産業省】
¾
特許流通支援チャート 機械1 車いす
【社団法人 発明協会】
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