テクニカ扱い主要商品の紹介 「メータ(指示電気計器)」・ [VT・CT]に関するQ&A Q1 インバータの一次側、二次側に使用できるメータはありますか? (2)インバータの二次側 出力側電力は、高周波、高調波成分を含んでいるため測定できませ ん。 A 最近、インバータが各方面で広く使用されるのに伴い、インバータの一次側、二次側で使用できるメータについての質問が多くなって おります。 カタログにも、インバータ回路における、 メータの使用可否について記載しておりますが、 結論としては、インバータの一次側に使用する場合には、 メータの機種を選ぶ必要がありますが、一般的にほぼ測定することがでます。 しかし、インバータの二次側に使用する場合には、一部の機種のみが条件付で測定することができます。それは、二次側の交流波形が かなり変形した形となっているためで、現在のところ、正確に測定できる適当なメータが無いというのが実情です。 メータの主要機種についてご説明します。 少し詳しく、 1.電圧計 (1)インバータの一次側 高調波の影響で波形に歪みが生じることもありますが、商用電源 を測定しますので、 「可動鉄片形」もしくは、 「整流形」を使用する ことにより測定できます。 (2)インバータの二次側 高周波・高調波成分を含んだ出力電圧を測定しますので、正確に は測定できません。 目安程度に使用する場合は、基本波実効値に近い値を示す「整流 形」をご使用ください。 電 圧 (1)インバータの一次側 商用電源を測定しますので、一般の周波数計が使用できます。 (2)インバータの二次側 高周波、高調波成分を含んだ電圧波形となりますので測定できま せん。 インバータに装備されているアナログ出力端子からの信号を利用 して測定ください。 一般にDC0∼10V出力になりますので、直流電圧計に周波数目盛 板をセットしたメータで測定します。 形式 動作原理 インバータ APR(位相) 一次側 二次側 一次側 交流電流計 交流電圧計 交流電流計 交流電圧計 単相電力計 単相3 線電力計 三相電力計 三相無効電力計 三相平衡力率計 三相不平衡力率計 周波数計 FS-□形 FS-□形 FR-□形 FR-□形 FR-□W1形 FR-□W2形 FR-□W3形 FR-□V3形 可動鉄片形 可動鉄片形 整流形 整流形 変換器形 変換器形 変換器形 変換器形 FR-□FP3 形 変換器形 FR-□PFU形 変換器形 FR-□F 形 変換器形 ⃝ ⃝ × ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ × × ⃝ △ × △ × × × × × × × × 形式 インバータ ⃝ ⃝ × ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ × × ⃝ (2)インバータの二次側 インバータ素子をスイッチングする影響により不具合が生じます ので、使用できません。 電 圧 時間 二次側 ⃝ ⃝ × × × × × × × × × ●広角度メータ 品名 (1)インバータの一次側 一般の50/60Hz用品が使用できます。 入力電圧波形(一次側) 動作原理 APR(位相) 交流電流計 交流電圧計 単相電力計 単相 3 線電力計 三相 3 線電力計 三相 4 線電力計 三相 3 線無効電力計 三相 4 線無効電力計 三相 3 線平衡力率計 WM8AR□形 実効値応答形 × 三相 3 線不平衡力率計 WM8A2 □形 変換器形 三相 4 線力率計 周波数計 WM8A4 □形 変換器形 WM8VR□形 実効値応答形 ⃝ WM8C0 □形 変換器形 × × × × × × × × × × × × WM8P1□形 変換器形 ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ × × × ⃝ 形式 インバータ WM8C1□形 変換器形 WM8C2 □形 変換器形 WM8C3 □形 変換器形 WM8V2 □形 変換器形 WM8V3 □形 変換器形 WM8A1□形 整流形 × ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ × × × ⃝ 二次側 × × × × × × × × × × × × 6.計器用変流器(CT) (1)インバータの一次側 ウサギの耳と言われる波高値の高い高調波電流を測定しますの で、高調波成分を含めた総合実効値を比較的正確に示す「可動鉄 片形」および「実効値応答形(RMS形)」をご使用ください。 (1)インバータの一次側 一般の50/60Hz用品が使用できます。ただし、高調波分を含みま すので、定格負担は大きく取ってください。 出力電圧波形(二次側) (2)インバータの二次側 高周波・高調波成分を多量に含んだ電流が流れることにより鉄損 が増加しますので、定格負担は、10倍以上の余裕をもたせてくださ い。 電 圧 ●メータリレー 品名 動作原理 APR(位相) 一次側 二次側 一次側 二次側 交流電流計 交流電圧計 電力計 WM4RA 形 整流形 SWL3-A 形 WM4RV 形 整流形 SWL3-A 形 WM4W □形 変換器形 × △ × × ⃝ × ⃝ × ⃝ × ⃝ × ⃝ × ⃝ × × × × × ⃝ × ⃝ × SWL3-E □形 無効電力計 時間 0 WM4V □形 変換器形 SWL3-E □形 力率計 WM4F □形 変換器形 SWL3-F □形 (注)1.運転周波数40Hz未満では、指示にふらつきが生じます。 2.可動鉄片形は、 キャリア周波数が5kHzを超える場合、計器内部の金属部 分に生じる過電流損が大きくなり、焼損する場合がありますので、5kHz以上 では使用しないでください。 APR(交流電力調整器)回路におけるメータの選定について 入力電流波形(一次側) APR(交流電力調整器)回路においても、サイリスタを用いて電源 の位相角制御を行っている関係上、メータの選定に当たっては注 意が必要です。 具体的には、富士指示電気計器カタログ(HS140)をご参照の上、 選定ください。 3.電力計 電 圧 時間 0 出力電流波形(二次側) インバータ回路における電圧、電流波形 16 4.周波数計 5.計器用変圧器(VT) 2.電流計 (1)インバータの一次側 電流成分は、高調波電流で、各相のバランスがとれていない状態が 多いため、正確に測定することは難しいが、使用する場合には、 「変 換器形」をご使用ください。 ●パネルメータ 一次側 二次側 一次側 0 (2)インバータの二次側 基本波電流に高調波成分が、重なった電流を測定しますので、すべ ての周波数領域で正確に測定することはできません。条件付で次 の機種が使用できます。 ・40∼60Hzの領域 可動鉄片形、整流形 ○:可 ×:不可 △:仕様により可 品名 時間 0 参考)インバータ回路におけるメータの設置について 周波数計 WM4FX 形 変換器形 SWL3-G 形 (注)1 インバータ 1次側 電圧:正弦波 電流:ひずみ波形 2次側 電圧:ひずみ波形高周波 電流:正弦波ですが周波数が40Hz以下になることがあり ます。 メータは40∼60Hz以内でないと正常に動きません。 また、電流波形がひずみ波形のものもあります。この場合 は動作原理が整流形のものは使用できません。 また可動鉄片形は、キャリア周波数が5kHzを超える場合、 焼損することもありますので、使用しないで下さい。 (注)2 APR(位相制御方式) 1次側 電圧:正弦波 電流:ひずみ波形 2次側 電圧:ひずみ波形 電流:ひずみ波形 (注)3 APR(サイクル制御方式) 全て測定不可能です。 17 テクニカ扱い主要商品の紹介 Q2 電力計・無効電力計の最大目盛値は、どのように選定したら良いのですか? A 電力計、無効電力計の最大目盛値を選定する場合は、富士指示電気計器カ タログ (HS140)21ページの「電力計、無効電力計の標準最大目盛一覧表」を使用 しますと、容易に選定することができます。 手順は、次の通りです。 1. まず、お客様の使用回路と電圧および電流を確認します。 2. 仮に、三相220V、電流100Aとした場合、 「電力計、無効電力計の標準最大目盛 一覧表」の a. 横軸より、 「三相 220V」を選定します。 (100/5A)」を選定します。 b. 次に、縦軸より、 「100A c. そして、 a、 b. の交点を選ぶと「最小20kW」、 「標準40kW」、 「最大48kW」とな るので、一般的には、 「標準40kW」を選びます。 d. このときのVTは、220/110V(注)、CTは、100/5Aとなります。 (注)VTを使用しないで、直接接続できる機種もあります。 相線式 CT比 50/5 100/5 150/5 200/5 〔参考〕スケール値の計算式 スケール値=VT比×CT比=220/110×100/5=2×20=40 Q3 ■ 電力計・無効電力計の標準最大目盛一覧表 (一部分を抜粋) 目盛単位〔kW〕 単相2線 電圧 110 製作 範囲 VT ー 2.5 最小 5 標準 6 最大 5 最小 10 標準 12 最大 7.5 最小 15 標準 18 最大 10 最小 20 標準 24 最大 三相3線・三相4線 220 440 220/110 440/110 5 10 10 20 12 24 20 40 40 80 48 96 30 60 60 120 72 144 40 80 80 160 96 192 6600V回路に広角度メータは接続できますか? Q6 A CTの二次電流は、5Aが標準ですので、一般的には5A品が多く使用されています。1A品は、遠隔地で計測したい場合に使用します。 従来は、遠隔地で計測する場合、第1図の」ようにCTは、二次電流5A品を使用し、さらに、 トランスデューサや補助CT(5/1A品) を使用し ておりましたが、最近は、経済的な回路構成ができる二次定格1A品のCTと1A定格の電流計を組合せて使用するケースも増えております。 (現場) 5A CT 500/5A Q4 A VT仕様 6600/110V 3300/110V CT仕様 XA/5A XA/5A A A/TD トランスデューサ※ 1A A CT 500/1A 数百メートル ※補助CT 5/1A品でも良い 第1図 従来のトランスデューサを使用した場合 第2図 □/1A品を使用した場合 遠隔計測でCT二次側1A品を使用する理由は、5A品に比べ1A品は、CT二次側リード線の負担VAを1/25に軽減することができ、それだ け遠方での計測ができるからです。 〔二次電流(A)〕2× CT二次側リード線の負担VAは、 〔リード線の抵抗(Ω)〕で決まります。従って、二次電流1Aと5Aで同サイズのリード線 を使用した場合には、25倍長くリード線を配線できることになります。 具体的に、 「定格負担5VAのCT」と「1VA消費する電流計」を組み合わせた場合のCT二次電流1A品と5A品について比較してみると次 のようになります。リード線は、2mm2を使用するとします。 〔リード線2mm2の導体抵抗:9.24Ω/km〕 9.24(Ω) リード線の許容負担4VA= (1A) × × X(m) 1000(m) Xの最大リード線の長さは、432m(往復) となります。 従って、約200mの遠隔計測ができます。 2 高圧用計器用変圧器 NPE形 二次電流5Aの場合 9.24(Ω) (5A)2 × × X(m) リード線の許容負担4VA= 1000(m) Xの最大リード線の長さは、17m(往復) となります。 従って、遠隔計測距離は、約8mとなります。 (注)二次電流5A品でも、大きい定格負担品(例えば、15VA、40VA品) を 使用すれば、長い距離が取れます。 高圧用計器用変流器 NCE形 Q7 力率計(SWA2形)で、力率1を指したまま 計器用変流器(CT)の二次側をオープンにすると何故いけないのですか? A CT CTの場合、一次電流が流れている状態で、二次側をオープンにすると、 流れている一次電流に対して、二次電流を流そうとして二次側に高電圧が発 生します。 このため二次巻線が絶縁破壊し、短絡回路ができて焼損事故になる恐れがあ ります。 動かないのですが、どうしてですか? 誤配線や通電していない場合、力率1を指示します。 また、通電電流が定格電流の1/10以下ですと、強制的に力率1表示となります。 たとえば、5A定格では、0.5A以下になると力率1を表示します。 対策としては、CT比を変えるか、力率計に入る負荷電流を増すようお願いします。 Q5 A (遠隔地) 数百メートル (例) 6kV回路の場合 3kV回路の場合 (現場) (遠隔地) 二次電流1Aの場合 高圧用計器用変圧器(一次6600V/二次110V) 、や高圧用計器用変流器 (一次XA/二次5A) を使用すれば、接続できます。 、高圧用変流器(NCEシリー なお、高圧用計器用変圧器(NPE・PEC・APシリーズ) ズ)は、富士電機(株)で販売しております。 電流回路 メータスケール 0∼XA 0∼XA どのように違うのですか? ・ (CTの定格負担 5VA)―(電流計の消費 1VA)=リード線の許容負担4VA ・接続できるリード線の距離をX(m) とすると A 電圧回路 メータスケール 0∼9kV 0∼4.5kV 計器用変流器(CT)の二次電流に5A品と1A品がありますが、 SWA□-3形 力率計 計器用変流器(CT)の接続で、 kとlを逆に配線した場合、 どのようになりますか? ★計器用変圧器(VT)の二次側は、短絡しないでください。 同様に、計器用変圧器(VT)の二次側を短絡、 または低インピーダンスで 短絡することもお避けください。 VTの二次側を短絡、 または低インピーダンスで短絡すると二次巻線に 過大電流が流れ、二次巻線の焼損が一次巻線の絶縁破壊を招き、最終 的には相間短絡にいたる可能性があります。 開放はダメ VT U V 短絡はダメ u v 電流計は、kとlが逆になっても問題ありませんが電力計、無効電力計、力率計は指示不良となります。 誤配線は、誤計量や危険を伴うことがありますので、端子記号を充分確認して、絶対に避けるようご注意ください。 18 19 指示電気計器/低圧計器用変成器(CT)のQ&A Q8 A 変成器(CT)の定格負担とは? 変流器の使用負担の決定について ・使用負担の決定には、 メーターの負担に二次ケーブル負担を加算して決定する必要があります。 使用負担〔VA〕=メーター負担〔VA1〕+二次ケーブル負担〔VA2〕 ・二次ケーブル負担は下記の方法で計算することができます。 二次ケーブル負担の計算 VA2:二次ケーブル負担 〔VA〕 R :二次ケーブルの導体抵抗 〔Ω/km〕 L :二次ケーブルの往復の長さ 〔m〕 I :定格二次電流 〔A〕 とすると、 二次ケーブル負担 VAは VA2=R×L×I2×10-3 〔VA〕 VA1 (A) I R(Ω/km) L(m) 硬銅撚線表(参考) (例)定格2次電流5Aの変流器に二次ケーブルとして断面積2mm2 長さ5m(往復10m)の硬銅撚線を接続した場合。 硬銅撚線表より 二次ケーブルの導体抵抗 R=9.355〔Ω/km〕 二次ケーブルの往復の長さ L=5×2=10〔m〕 定格二次電流 I=5〔A〕 二次ケーブル負担 VA2=9.355×10×52×10-3=2.34〔VA〕 Q9 芯線構成 計算断面積 8mm2 5.5mm2 3.5mm2 2.0mm2 1.4mm2 0.9mm2 7/1.2 7/1.0 7/0.8 7/0.6 7/0.5 7/0.4 7.917mm2 5.498mm2 3.519mm2 1.975mm2 1.375mm2 0.8799mm2 最大導体抵抗 20℃ Ω/km 2.314 3.332 5.260 9.355 13.470 21.260 貫通形変流器(CT)の一次側を2ターンしたときの二次側電流は? 1ターン A 丸窓貫通形の定格電流はAT(アンペアターン)で表示され ますが取扱いは、右の通りです。 〔例〕変流器の定格電流が100AT/5Aの場合 1ターン貫通では 一次側に100Aの電流が流れると二次側に5Aが流れます。 2ターン貫通では 一次側に50Aの電流が流れると二次側に5Aが流れます。 AT(アンペアターン) 従って =一次側定格電流となり、 貫通ターン数 1台の変流器で貫通ターン数を変えることにより数種 の一次側定格電流に使用できます。 20 公称断面積 1ターン 5A A 0 10 2ターン 2ターン 5A 0A 5 銘板表示例 Prim.curr.(定格電流) Through No(ターン数) 100 1 50 2 25 4 20 5 10 10 A T
© Copyright 2024 ExpyDoc