大峰奥駆道縦走

大峯奥駈道縦走
【 山行日 】2007 年4月 28 日~5月3日
【 費 用 】約 25,000 円
【メンバー】渡辺・野中
【 交
通 】夜行高速バス
4月28日(土)晴れ
【コースタイム】
阿弥陀ヶ森分岐の女人結界門の前にて
上野駅(27 日 23:10 発)=天理駅(28 日 6:30
着)++近鉄吉野駅(8:02 着-8:19)~金峯山寺(8:52)~金峯神社(10:30-11:05)~青根ヶ峯
(10:30-11:05)~四寸岩山(13:30-13:47)~二蔵宿小屋(14:42-14:56)~五番関(16:25 テント泊)
27日の夜に上野駅から奈良行きの高速バスに乗っ
た。翌日の早朝に天理駅で高速バスを下車し、電車(近
鉄)で吉野駅に到着。吉野駅から歩いて奥千本を目指
き ん ぷ
す。途中から道を間違え、バス道(上千本口~金峯 神
社:7 キロ)を歩いたので本来より余計に歩いてしまっ
き ん ぷ
た。奥千本から金峯神社を通り、青根ヶ峰で昼食。四
寸岩山を過ぎ、二蔵宿小屋で小休止。できるだけ先に
ごばんせき
吉野駅から奥駈道縦走が始まる
に ぞ う
進みたかったので五番関を目指す。二蔵宿小屋から真
っ直ぐ進むといつの間にか巻道に進んでしまった。後
で聞いた所、二蔵宿小屋で右に入らなければいけなかったらしい。入口は小屋のすぐ裏辺
りのようだ。僕らは巻いてしまったので大天井ヶ岳には上らずに五番関に到着。ここには
女人結界門があり、テントが張れるスペースがあった。今日はここでテントを張ることに
した。テント6~7張り・ツェルト1張り、10~11人。トイレなし。
4月29日(日)晴れ
【コースタイム】
五番関(5:55)~山上ヶ岳(8:53-9:15)~小笹宿(9:50-10:45)
~阿弥陀ヶ森分岐(11:14)~大普賢岳(12:19-12:50)~七曜
岳(14:15-14:32)~行者還岳分岐(15:22-15:27)~行者還岳
(15:35-15:42)~行者還岳分岐(15:46-15:48)~行者還小屋
(16:02 小屋泊)
5時ごろ目が覚めて準備を始める。他の人は5時半には
西ノ覗岩にて
どろつじ
出発していた。急いで支度をして僕たちも出発。今日は大峯奥駈道の核心部を歩く。洞辻茶
だ
ら すけ
と あ け
(5月3日~9 月 22
屋や陀羅助茶屋は5月3日に戸開をするので今日はまだ閉まっていた。
日は茶店や大峯山寺の開いている期間で修験者が多く入る)油こぼしを過ぎると次々に行
場の岩が現れる。特に西ノ覗岩は絶壁になっていて怖かった。そのまま登っていくと、大
と あ け
峯山寺に着く。本堂といくつもの立派な宿坊があった。戸開前なので閑散としている。本
堂からちょっと離れた所に山頂があり、写真を撮
る。山頂ではこれから進む弥山を始めとした縦走
路が見渡せた。大峯山寺を後にし、柏木方面へ歩
お ざ さ
き出す。途中の小笹宿では水が取れるので、少し
早いが昼食にした。ここで前日五番関に泊まった
人達から「行者還岳では水が乏しい可能性が高い
ので水を汲んだ方が良い」と聞き、水を補給した。
山上ヶ岳山頂にて
しかし、これが水を汲んだ人に重大な影響を及ぼ
すことになる。この日は暑かったのでバテてしま
ったのだ。僕ら以外で水を汲んだ人は翌日以降ペースがガクンと落ちてしまって予定の行
動を取れなかったようだ。
(行者還岳小屋の水場は少し細めだったが問題なく水は汲めたの
お ざ さ
で、小笹宿で汲まなくても良かった)小笹宿から30分ほどで阿弥陀ヶ森分岐に到着。こ
こは女人結界門があり、山上ヶ岳方面への入山は男性だけになる。分岐で女人結界門から
出て大普賢岳を目指す。ここから先は女性も登山できる。大普賢岳は日帰りハイカーで賑
わっていた。山頂からは昨年行った大台ヶ原も見えた。大台ヶ原はナダラカなのでピーク
は分かりにくい。暑かったので山頂で長めに休憩してから行者還岳を目指す。七曜岳を過
ぎょうじゃがえり
ぎ、行 者 還 岳の分岐にザックを置き山頂にピストンする。往復15分程であった。分岐に
戻り、小屋を目指す。行者還岳を巻いて水場を通り過ぎ、小屋に到着。行者還岳の絶壁の
下に小屋があった。立派なログハウスの小屋だった。13~14 人。トイレあり。
4月30日(月)晴れ
【コースタイム】
行者還小屋(4:56)~避難小屋(5:51-6:32)~奥駈道出合(6:51)~
聖宝ノ宿跡(7:34)~弥山(8:15-9:02)~八経ヶ岳(9:25-9:46)~七
日 迷 (10:55-11:33) ~ 楊 枝 ノ 宿 小 屋 (12:15-12:23) ~ 鳥 の 水
(13:30-13:56)~釈迦ヶ岳(15:18-15:54)~深仙小屋(16:25 小屋
泊)
今日は明るくなったらすぐに出発した。一時間ほど歩いて
避難小屋(荒廃)を過ぎた所で朝食にする。じっとしている
と寒かった。朝食を済ませて弥山を目指す。奥駈道出合から
は日帰りハイカーが沢山登ってくる。彼らは荷物が少ないの
で軽快だ。弥山は皇太子が登った時に整備されたらしく、木
の階段が続く。朝なのに日当りが良く、結構暑かった。例年
八経ヶ岳山頂にて
木の階段は残雪に隠れている所が多いようだが、今年は全ての階段が見えていた。弥山で
大休止し、八経ヶ岳へ。弥山から八経ヶ岳への道は鹿の食害対策の為、いくつかのフェン
スを潜って山頂へ。ここまでは日帰りの人で賑わっていた。ここから先に縦走する人はぐ
っと減る。やせた尾根を釈迦ヶ岳方面へ向かう。途中で昼食を摂る。今日も暑い。舟ノタ
ワは蒸して特に暑かった。例年、楊子ノ宿小屋まで残雪で迷いやすいとの事なのだが今年
は雪が残っていなかったので助かった。しかし、残雪が少ないので水場も水量が少ない。
じんせん
大峯奥駈道は尾根を歩いているのだから仕方がないが。宿泊予定地の深仙ノ宿の水場は極
めて水が少ないとの情報を得たので、途中の鳥の水で汲む事にした。鳥の水は細かったの
で3リットル汲むのに 10 分ほどかかった。二人で水を汲んだので時間がかかったが、無事
に水を確保して釈迦ヶ岳を目指す。岩尾根を進むと両部分けの岩場を通過。ここの岩場か
ら北部山岳地帯を「金剛界」、南部山岳地帯を「胎
蔵界」と分けているそうだ。
{大峯山脈を「曼荼
羅」として考えている}岩尾根を過ぎると急登
が続く。暑くて大変だったが、釈迦ヶ岳へ到着。
弥山
山上ヶ岳
山頂はお釈迦様の像を新しくする準備がされて
いて、お釈迦様はなかった。木陰でしばらく休
憩する。釈迦ヶ岳からは縦走してきた弥山、八
経ヶ岳方面が見渡せた。ここから急斜面を下り
じんせん
かんちょう
きった鞍部に深仙ノ宿があった。潅 頂 堂には戸
釈迦ヶ岳山頂にて
開の準備で山伏が来ていた。夜ラジオで天気予
報を聞くと明日は雨の予報であった。小屋5人、テント4張り4人。トイレなし。
5月1日(火)小雨
【コースタイム】
深仙小屋(5:41)~蘇莫岳(5:57)~天狗岳(6:41)~奥守岳(6:57)~道を間違い大峯奥駈道に出る
(10:22)~嫁越峠(10:28)~天狗の稽古場(10:40)~地蔵岳(10:47)~般若岳(11:03)~滝川辻
(11:14) ~ 涅 槃 岳 (11:59) ~ 阿 須 迦 利 岳 (12:44) ~ 持 経 ノ 宿 (12:57-13:14) ~ 平 治 ノ 宿
(13:57-14:05)~転法輪岳(14:33)~倶利迦羅岳(15:48)~行仙岳(16:05-16:09)~行仙山小屋
(16:27 小屋泊 1,000 円)
小雨だったので小屋で朝食を摂ってからテントを撤収し、出発。太古ノ辻までは渡辺さ
んと同じペースで歩いていたが、そこから先は渡辺さんが5分ほど前を歩いていた。奥守
岳のあたりで迷いそうになったが、何とか無事に縦走ルートに戻り、地蔵岳を目指す。迷
いそうになったあたりから同じ宿に泊まった齋藤さんと一緒に歩く。渡辺さんは前を行っ
ていると思っていたので先を急ぐ。嫁越峠を過ぎると天狗の稽古場に着いた。このあたり
は草によって足跡が判り難くなっている。赤テープも少ない。齋藤さんと2人でルートを
じゅんぷ
間違えないように注意しながら歩いた。地蔵岳を過ぎ、涅槃岳で順峰の3人組に出会う。
ぎゃくふ
{我々は逆峰である}その3人組に「他の人に会わなかったか?」と聞くと「二人に会っ
じきょう
た」との事。渡辺さんは先に行ったと思い、昼食予定の持経ノ宿を目指す。齋藤さんとは
その後も同じペースだったので持経ノ宿には一緒に到着。小屋を開けると昨日一緒に泊ま
った杉田さん一人だけであった。杉田さんに「渡辺
さんは来ていないのか?」と尋ねると、
「見ていない」
との返事。どこでどう道を間違ったのかわからない
し、待つしかないので小屋で待つ事にした。小屋で
待っていると、予定を変更して持経ノ宿に戻ってき
た4人組が火を起こして宴会を始めたので暖をとる
ことができた。杉田さんと齋藤さんは1時間ほど昼
食休憩をして先に発った。僕も渡辺さんを待ってい
合流後の転法輪岳にて
る間に昼食を摂った。持経ノ宿に着いてから3時間
ほどでようやく渡辺さんが到着。どうやら嫁越峠で違う道(地図上では廃道になっている)
に行ってしまったらしい。この道は近年、地元の宗教団体が整備したらしく、階段や赤テ
ープのあるしっかりした道になっていたようだ。渡辺さんは1時間 30 分ほど下ってから登
り返して元のルートに戻ってここまで来たそうだ。後日、渡辺さんはこのアルバイトによ
るストックの多用が原因で右手首の腱鞘炎になった。宿で少し休憩した後で予定通り先に
へ い じ
進む。途中の平治ノ宿で小休止。疲れていたが順調に進む。行仙岳直下はぬかるみの急登
ぎょうせん
で大変だったが無事に宿泊予定地の 行 仙 宿山小屋に到着。杉田さん、齋藤さんや他の宿泊
者が迎えてくれた。水は汲みに行く予定だったが小屋の物を分けてもらった。
小屋はすでに管理人(新宮山彦グループ)によって火を起こされていたので暖かかった
が、煙の抜けが悪かった。アクシデントもあったが無事に着くことができてほっとした。
宿泊者は一人 1,000 円以上の協力費。今日は 11 人。トイレあり。
5月2日(水)晴れ
【コースタイム】
行仙山小屋(5:38)~笠捨山(6:53-7:00)~分岐(7:19)~
地蔵岳(7:50-7:56)~香精山(8:51-9:02)~736 ピーク
(10:16-10:27)~岩ノ口(10:36)~昼休憩(10:50-11:33)
~玉置山展望台(12:44-12:56)~玉置山(13:19-13:43)
~ 玉 置 神 社 (13:55-14:15) ~ 玉 置 辻 (14:36) ~ 林 道
(14:55 テント泊)
早朝から発電機で小屋の電気を点けてくれたので、
行仙宿山小屋での朝食風景
明かりの点いた状態で朝食を済ませることができた。管
理人さんは宿泊者を送りだす度に法螺貝を吹いていた。管理人さんと記念写真を撮り、法
螺貝の音を聞きながら出発した。齋藤さんとはほぼ同じペースだったので今日も一緒に歩
く。1時間程で笠捨山に到着。寒いので写真を撮ったらすぐに出発する。槍ヶ岳を過ぎ、
鎖場をやり過ごして地蔵岳へ。ここの鎖場は滑りやすい岩場だったが無事に通過できた。
こうしょう
じゅんぷ
香 精 山あたりをすぎると植生が変わり杉林になる。急坂を下ることが多かったので順峰(熊
野→吉野)だったら急坂の登りで大変だと感じた。この辺
りから昨日宿に一緒に泊まった佐藤さんとも一緒に歩く。
稚児ノ森を過ぎて林道に降りた所で4人共に昼食休憩を
取った。ここからは玉置山まで登りだけになる。途中の玉
置山展望台で歩いてきた大峯山脈を見渡す事ができた。逆
はて なし
方向には果無山脈も見ることができた。カツエ坂を登りき
ると玉置山頂上に到着。ここでは眺望は得られなかったの
で、展望台の方で景色を楽しんでおいて良かった。頂上で
ゆっくりした後、玉置神社へ向かい、水をもらう。玉置神
社は立派な建物で、予約しておけば宿泊もできる。佐藤さ
んは神社に泊まるのでここでお別れ。齋藤さんと3人で宿
4人でカツエ坂を歩く
泊適地の林道まで下る。玉置辻から林道を入ってしばらく
歩くと分岐点があり、宿泊適地になっている。今日はそこでテント泊をすることにして準
備をした。天気が良かったので昨日雨で濡れた物を広げて乾かした。齋藤さんと3人で食
事をし、明日に備えて就寝。テント1張り、ツェルト1張り、3人。トイレなし。
5月3日(木)晴れ
【コースタイム】
林道(5:21)~大平多山分岐(6:00)~大森山三角点
(6:28-6:32)~切畑辻(6:57)~五大尊岳(7:22-7:40)
~六道ノ辻(8:33)~大黒天神岳(8:48-9:02)~宝
経 塔 (9:38) ~ 吹 越 宿 跡 (9:57-10:08) ~ 吹 越 峠
(10:43-10:51)~七越峰(11:00-11:16)~熊野川手
前 (11:38) ~ 本 宮 旧 社 地 (12:15) ~ 熊 野 本 宮
(12:25)=湯峯温泉(13:00 着-14:36 発)==新宮駅
(15:46-20:00 発)==大宮駅(4 日 7:05 着-7:07
発)++小山駅(8:00 着)
吹越峠で対岸の熊野本宮旧社地の大鳥居
を望む
テント内で朝食を済ます。すぐそばの登山道
を誰かが先に歩いて行った。行仙山小屋で一緒に泊まった後藤さんだった。後藤さんは林
道の入口でテントを張っていたらしい。我々もテントを撤収して出発する。大森山を経由
して五大尊岳で休憩を取る。後ろから玉置神社に泊まった佐藤さんが追いついて来た。こ
こからまた昨日の4人で一緒に歩くことになった。ここから先はアップダウンを繰返しな
がらだんだんと標高を下げて行く。大黒天神岳ではセミが鳴いていた。だいぶ暑い。暑い
ので要所で休みを取りながら熊野本宮を目指す。吹越峠あたりで先に歩いていた後藤さん
に追いつく。ここからは 5 人で歩く。吹越峠では対岸に熊野本宮旧社地の大鳥居が見える。
疲れていたが、やっとゴールが見えたので皆が元
気を取り戻す。七越峰に登り返し、やっと熊野川
に下るかと思ったが、もう一山登ってからだった。
暑くてバテ気味になりながらやっと熊野川の河
原に到着。水量も少なめ、天気も晴れていたので
5人で熊野川を渡渉することにした。一番先に渡
辺さんが渡る。他の4人もそれに続く。一番深い
所は水深が 70cm あったが、皆無事に川を渡渉す
靴を脱ぎ熊野川を渡渉する
ることができた。もう少し上流に浅瀬がある事に
気づいたが、渡った後だった。(浅瀬の所にピンク
の旗が立っていた)ゴールの本宮はもうすぐだ。河原からほどなく旧社地に到着。ここに
は大鳥居と世界遺産登録地の石碑が建っていた。皆で記念写真を撮る。ほぼゴール地点な
ので5人とも笑みがこぼれる。ここは観光客で賑わっていた。ここで佐藤さんと別れ、10
分ほど先の本宮に向かって歩き出す。本宮に到着後、バス停で湯峰温泉行きの時間を見る。
まだ1時間以上あったのでゆっくりお参りすることにした。境内の入口で記念切手を買う。
販売の郵便局員に相談すると、タクシーをつかまえてくれた。お参り後、4 人でタクシーに
乗込み、湯峰温泉へ。ここでは
「くすり湯」
(源泉そのもの)と
「公衆浴場」
(源泉+水)が選べ
るので「くすり湯」(380 円)に
入浴。けっこう熱めのお湯でし
た。湯峰温泉からは新宮方面、
田辺市方面のバスが出ている。
齋藤さん(福井)
・後藤さん(滋
賀)のふたりは田辺市方面へ。
我々は新宮駅から大宮行きの高
速バスに乗るので、新宮行きの
バスに乗った。新宮駅に到着後、
世界遺産登録地の石碑前にて5人で記念撮影
高速バスの出発までは時間があ
ったので熊野速玉大社にお参りした。速玉大社近くのお店で名物のめはりずしを食べ、20
時にバスに乗り翌日の早朝に大宮駅到着。無事に帰宅することができました。