第3章 和歌山市水道事業の現状と課題 - 和歌山市水道局

和歌山市水道事業の現状と課題
紀の川源流からの水の旅(その3 明神滝)
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
第3章
和歌山市水道事業の現状と課題
3-1.和歌山市水道事業の現状
3-1-1.人口の動向について
過去10年間の行政区域内人口及び給水人口*は、ともに減少傾向を示しています。
水道普及率は、平成19年度実績で 98.2%となっています(図3-1参照)。
(人)
390,000
給水人口
385,000
行政区域内人口
380,000
375,000
370,000
365,000
360,000
355,000
350,000
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
(年度)
H18
H19
出典:和歌山市水道統計年報
図3-1
人口の動向(平成10年度から平成19年度まで)
3-1-2.水需要の動向について
給水人口*減少の影響で水需要も減少傾向にあります。1日最大給水量*も減少して
おり、平成15年度以降は 200,000m3/日を下回っています(図3-2参照)。
有収水量*は、用途別(生活用、業務営業用、工場用、その他)にみると 78%以上が
生活用水です。生活用水は減少しており、給水人口*1人当たりに換算した生活用原単
位*も節水型水使用機器等の普及などが影響して、平成10年度の 288ℓ/人/日から平
成19年度で 276ℓ/人/日まで減少しています(図3-3参照)。
12
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
(m 3 /日)
250,000
200,000
150,000
100,000
1日最大給水量
1日平均給水量
50,000
有収水量
0
H10
H11
H12
H13
H14
出典:和歌山市水道統計年報
図3-2
H15
H16
H17
H18
H19
(年度)
水需要の動向(平成10年度から平成19年度まで)
用途別有収水量
(m3 /日)
160,000
生活用原単位
(ℓ/人/日)
300
140,000
295
120,000
290
100,000
285
80,000
280
その他
工場用
業務営業用
生活用
生活用原単位
60,000
40,000
20,000
275
270
265
260
0
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
(年度)
和歌山市水道統計年報の口径別有収水量をもとに用途別を試算
図3-3
用途別有収水量*の動向(平成10年度から平成19年度まで)
13
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
3-1-3.水道施設の位置・規模について
地形条件
本市は、紀の川が中心部を東から西へと流れており、紀の川の北側(河西地区*)と
南側(河東地区*)に大きく分断されています。紀の川に沿って平野部が広がっている
ものの、市北部及び市南東部には、山間部もあり起伏に富んでいます。
施設配置
平成20年度現在、加納浄水場、出島浄水場、真砂浄水場及び滝畑浄水場の4か所
が稼動しています。基幹となる浄水場は、加納浄水場(施設能力 121,000m3/日)で全浄
水場の施設能力の 50%以上を占めています。この加納浄水場を含め、河東地区*には
真砂浄水場(施設能力 32,000m3/日)及び出島浄水場(施設能力 50,000m3/日)が配置さ
れており、河西地区*には小規模集落向けの滝畑浄水場(施設能力 34m3/日)のみが配
置され、主力となる浄水場が存在しません。河東地区*から河西地区*への水道水の供
給は、紀の川に架かる六十谷水管橋の1か所となっています(図3-4参照)。
浄水場の水源については、加納浄水場及び出島浄水場が紀の川表流水、真砂浄水
場は紀の川伏流水*、滝畑浄水場は滝畑川の伏流水*です。加納浄水場及び滝畑浄水
場は水源に近いため導水管*の距離は短いですが、紀の川から離れた位置にある真砂
浄水場及び出島浄水場には、長距離の導水管*が布設されています。水処理の方法は、
加納浄水場及び出島浄水場が急速ろ過方式*、真砂浄水場が緩速ろ過方式*、滝畑浄
水場が膜ろ過方式*です(図3-5参照)。
浄水場と送水管*で結ばれた一次配水池は、河西地区*が4か所(貴志、鳴滝、有功、
紀伊)、河東地区*が3か所(花山、秋葉山、城内)となっています。河東地区*は給水範
囲に比べて一次配水池が少ない状況であり、配水池容量のバランス改善と災害時給水
拠点を確保するため、出島浄水場の配水区域内に和佐配水池を建設中です。その他に
も、一次配水池から配水管*で結ばれた小規模配水池(二次配水池)があります。
14
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
N
滝畑浄水場
河西地区
スカイタウン
つつじヶ丘
高区配水池
スカイタウンつつじヶ丘
低区配水池
木ノ本高区
配水池
紀伊配水池
鳴滝配水池
木ノ本低区
配水池
貴志配水池
有功配水池
紀の川
大谷配水池
六十谷水管橋
加納浄水場
出島浄水場
小倉勝宝台配水池
城内給水場
花山配水池
和佐配水池
(建設中)
明王寺配水池
真砂浄水場
秋葉山配水池
黒谷配水池
新和歌浦
配水池
河東地区
凡例
浄水場
加納浄水場系
加納浄水場+出島浄水場系
出島浄水場系
真砂浄水場系
一次配水池
二次配水池
図3-4
水道施設の配置(平成20年度現在)
15
滝畑浄水場系
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
加納浄水場
供用開始:昭和48年
施設能力:121,000m3/日
【処理フロー】
後炭酸(炭酸ガス)
後アルカリ(消石灰)
後塩素(次亜塩素酸ナトリウム)
中間塩素
(次亜塩素酸ナトリウム)
急速ろ過池
給水
凝集沈澱池
浄水
紀の川表流水
粉末活性炭
前アルカリ(消石灰)
凝集剤
(ポリ塩化アルミニウム)
出島浄水場
供用開始:昭和37年
施設能力:50,000m3/日
凝集剤
(硫酸アルミニウム)
【処理フロー】
中間塩素
(次亜塩素酸ナトリウム)
急速ろ過池
ポンプ
図3-5(1)
浄水場の概要
コラム
急速ろ過池について
急速ろ過池を用いた水処理方法(急速ろ過方式*)は、緩速ろ過方式*に向かない高い濁度の
水源に対して、アメリカで発明されたものであり、現在世界で最も広く用いられています。
水処理にあたっては、原水中の懸濁物質を化学薬品である凝集剤*で凝集沈澱*処理し、残り
の濁質を 120m/日から 150m/日程度の速い速度でろ過することで除去します。急速ろ過池では、
緩速ろ過池のように生物反応が伴わないので溶解性成分をほとんど除去することはできません。
しかし、緩速ろ過方式*に比べて、狭い用地で大量の水を処理することができます。(出典:「よく
わかる水道技術」、水道技術研究会編著、日本水道新聞社、「浄水の技術」、丹保憲仁・小笠原
紘一共著、技報堂出版)
16
給水
水
源
凝集沈澱池
地 (導水管)
後塩素
(次亜塩素酸ナトリウム)
浄水
紀の川表流水
前アルカリ(消石灰)
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
真砂浄水場
供用開始:大正14年
施設能力:32,000m3/日
紀の川伏流水
【処理フロー】
後塩素
(次亜塩素酸ナトリウム)
緩速ろ過池
(導水管)
給水
浄水
水
源
地
ポンプ
滝畑浄水場
供用開始:平成15年
施設能力:34m3/日
【処理フロー】
膜ろ過
(UF→MF)
接触酸化
図3-5(2)
浄水場の概要
コラム
緩速ろ過池について
緩速ろ過池を用いた水処理方法(緩速ろ過方式*)は、19世紀の初めにイギリスで始められた
ものであり、ヨーロッパでは現在でも広く用いられています。日本でも戦前に建設された浄水場で
は、この方式のものが多いです。
水処理にあたっては、4m/日から 5m/日程度の遅い速度でろ過することにより、砂層表面及び
砂層内部に増殖した生物のつくるろ過膜によって水中の不純物(懸濁物質、溶解性成分等)を除
去します。高い濁度の水源ではすぐに目づまりするので、濁度が低い水源であることが条件とな
ります。しかし、特別な技術、装置及び薬品を用いずに良質なろ過水をつくることができるという利
点があります。(出典:「よくわかる水道技術」、水道技術研究会編著、日本水道新聞社、「浄水の
技術」、丹保憲仁・小笠原紘一共著、技報堂出版)
17
給水
活性炭ろ過
浄水
滝畑川伏流水
後塩素
(次亜塩素酸ナトリウム)
前塩素
(次亜塩素酸ナトリウム)
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
3-1-4.水道事業の財政状況について
水道事業の収益(営業収益*及び営業外収益*の合計)は、料金改定後の平成10
年度にピークを迎えたものの、その後、減少傾向にあります。費用(営業費用*及び営
業外費用*の合計)は、平成13年度にピークを迎え、その後、減少しています。これは、
人件費、委託料、企業債*利息等の動向が影響しています。費用面の抑制効果は、
経常収支*比率にも反映されており、平成17年度までは増加を示しています(図3-
6参照)。
(%)
(億円)
125
100
90
120
80
70
60
115
50
40
110
30
20
105
10
0
100
H9
H10
H11
H12
H13
出典:和歌山市水道統計年報
営業収益+営業外収益
営業収益+営業外収益(億円)
営業費用+営業外費用(億円)
経常収支比率(%)
図3-6
H9
81
78
104
H10
94
79
118
H14
H15
(年度)
H16
H17
営業費用+営業外費用
H11
90
78
116
H12
90
80
112
H13
88
81
108
H14
86
78
109
H18
経常収支比率
H15
85
77
110
H16
85
75
113
H17
84
74
114
経常収支*の動向(平成9年度から平成19年度まで)
18
H19
H18
83
74
112
H19
84
75
111
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
費用内訳をみると、人件費は、平成14年度以降、顕著に減少しています。また、借
入金による企業債*利息も徐々に減少しています。しかし、近年、管路整備への投資
が増えているため設備投資に伴う減価償却費*は、増加する傾向にあります。
費用全体としては、平成14年度から平成17年度まで減少していましたが、平成18
年度以降は増加傾向に移りつつあります(図3-7参照)。
また、施設整備の際に借入した企業債*の元金(元金償還金*)及び支払利息(企業
債*利息)を合計した返済額(元利償還金)は、利息が徐々に減少しているものの、元
金の支払いが増加しています。平成19年度は、低金利の企業債*へ借換えをしたた
め前年度より元金(元金償還金*)が大きく増加しています(図3-8参照)。
(億円)
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
その他
企業債利息
減価償却費
修繕費
動力・薬品費
委託料
H9
H10
H11
H12
H13
出典:和歌山市水道統計年報
H9
H10
その他(億円)
企業債利息(億円)
減価償却費(億円)
修繕費(億円)
動力・薬品費(億円)
委託料(億円)
人件費(億円)
合計(億円)
7
16
13
1
5
11
26
78
(億円)
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
H10
H12
8
15
14
1
4
11
25
78
H16
H13
8
16
15
1
4
12
25
81
H17
H14
9
15
16
1
5
12
25
82
H18
H15
8
15
17
1
4
10
24
79
H19
H16
8
14
18
1
4
10
23
77
人件費
H17
8
13
18
0
4
9
22
75
H18
8
13
19
0
4
9
21
74
H19
8
13
20
1
4
10
19
74
10
13
20
1
4
11
16
75
費用内訳の動向(平成9年度から平成19年度まで)
元金
H9
H11
8
16
13
1
4
10
27
80
図3-7
H14 H15
(年度)
利息
H11
H12
H13
H14
(年度)
H15
H16
H17
H18
H19
出典:和歌山市水道統計年報
H9
利息(億円)
元金(億円)
合計(億円)
H10
16
11
27
図3-8
H11
16
12
28
H12
15
13
28
H13
16
14
30
H14
15
16
31
H15
15
17
32
H16
14
18
32
H17
13
20
33
H18
13
21
34
元利償還金の動向(平成9年度から平成19年度まで)
19
H19
13
19
32
13
27
40
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
水道料金については、1か月当たり使用水量 10m3 で他の中核市*と比較すると、3
3市の中で10番目に低い料金となっています。使用水量 20m3 でも10番目に低い料
金となっています(図3-9参照)。
中核市(1か月当たり家庭用料金、口径別料金体系の場合は口径13㎜の1か月当たり料金)
1,580
長崎市
4,415
1,743
いわき市
3,234
2,163
郡山市
3,213
1,371
旭川市
2,872
1,470
高松市
2,835
1,302
大分市
宇都宮市
2,824
939
2,745
1,312
秋田市
2,730
長野市
1,228
2,688
高知市
1,222
2,660
1,785
豊田市
福山市
東大阪市
2,635
966
2,635
1,004
2,632
1,239
青森市
奈良市
976
松山市
1,050
2,604
2,604
2,600
1,228
岡崎市
2,562
1,029
下関市
2,529
1,333
金沢市
2,520
1,102
熊本市
横須賀市
2,520
934
2,509
1,207
鹿児島市
2,467
1,018
岡山市
和歌山市
和歌山市
2,446
945
2,415
1,029
宮崎市
2,394
840
高槻市
岐阜市
766
姫路市
750
2,310
2,236
2,100
945
川越市
2,047
861
富山市
745
函館市
1,869
819
倉敷市
850
豊橋市
0
500
使用水量10m3
m3
1,869
使用水量20m3
m3
1,827
1,438
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
4,500
(円:金額は税込み)
出典:平成18年度水道統計
図3-9
中核市*における水道料金の比較
20
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
3-1-5.職員及び組織構成について
水道事業に携わる職員は、平成20年4月1日現在で 248 名となっています。事務系
職員では、40歳未満の職員数及び勤続年数20年未満の職員数が極端に少ない状
況です。技術系職員では、55歳以上60歳未満の職員数が若干多いものの比較的ど
の年齢区分にも一定の職員がいますが、勤続年数でみると10年以上15年未満の職
員数及び30年以上の職員数が極端に多い状況です(図3-10・図3-11参照)。
(合計248人、全体平均年齢45.01歳)
事務系 (97人)
5
60歳以上
10
20
55~60歳
50~55歳
年
齢
区
分
技術系 (151人)
28
16
45~50歳
18
13
24
40~45歳
16
16
18
5
35~40歳
23
7
30~35歳
25~30歳
21
4
20~25歳
0
4
平均年齢47.08歳
20歳未満
40
30
図3-10
20
平均年齢43.04歳
10
0
10
職員数(人)
20
30
40
職員年齢構成(平成20年4月1日現在)
(合計248人、全体平均勤続年数20.00年)
事務系 (97人)
35
22
30年以上
25~30年
8
18
20~25年
勤
続
年
数
区
分
技術系 (151人)
19
32
13
6
15~20年
33
4
10~15年
8~10年
6
3
6~8年
9
2
13
5
4~6年
2~4年
1
平均勤続年数23.01年
2年未満
40
図3-11
30
20
4
10
6
9
0
10
職員数(人)
平均勤続年数18.00年
20
30
職員勤続年数構成(平成20年4月1日現在)
21
40
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
3-2.和歌山市水道事業の課題
本市水道事業が置かれている状況や今後の見通しをもとにして、国の水道ビジョンで掲
げられている長期的な政策目標に沿った5つの視点(下記参照)で、本市水道事業の課題
を整理します。
【課題整理の視点】
1.いつでも使えるように供給されているか(安定)
2.将来も変わらず安定した事業運営ができるようになっているか(持続)
3.安全な水、快適な水が供給されているか(安心)
4.環境への影響を低減しているか(環境)
5.国際協力に貢献しているか(国際)
3-2-1.いつでも使えるように供給されているか(安定)
人口及び給水量の減少
本市では、今後、給水人口*が減少する見通しです。給水量は、人口減少による使
用水量減少に加えて、節水型水使用機器等の普及などによる使用水量の減少が見
込まれることから、今後、減少する傾向にあります。給水量の減少は施設能力に余力
が生じることから、施設整備を計画するにあたっては過大な能力を見込まないように
注意する必要があります。また、給水量の減少は水道料金収入の減少につながりま
すので、財政面でも支障が出ないように計画していく必要があります。
人口及び給水量の将来見通し
《給水人口*の将来見通し》
給水人口*は、本市の上位計画(「第4次和歌山市長期総合計画」)に基づいた目
標値を平成29年度まで採用し、同じ傾向で平成30年度以降を推計しています。予
測結果は、今後も人口が減少し続けるものとなっています(図3-12参照)。
22
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
(人)
給水人口
350,000人
450,000
400,000
350,000
300,000
250,000
200,000
150,000
100,000
50,000
0
実績
予測
H9
H11
H13
H15
H17
H19
H21
H23
H25
H27
H29
H31
H33
H35
H37
H39
(年度)
H9
382,168
実績(人)
予測(人)
H13
376,105
H18
365,284
H22
363,378
H27
H32
H37
H40
355,868
340,886
323,408
311,772
*
図3-12
給水人口 の将来見通し
《給水量の将来見通し》
給水量(1日最大給水量*)は、平成9年度から平成18年度までの実績をもとに
時系列式*などで予測を行いました。
予測結果としては、給水人口*と同様に今後も減少し続ける見通しとなります(図
3-13参照)。
(m3/日)
1日最大給水量
300,000
250,000
200,000
150,000
100,000
実績
50,000
予測
0
H9
H11
H13
H15
H17
H19
H21
H23
H25
H27
H29
H31
H33
H35
H37
H39
(年度)
3
実績(m /日)
H9
243,065
H13
212,906
3
予測(m /日)
図3-13
H18
183,853
H22
H27
H32
H37
H40
181,516
171,712
161,444
150,914
144,378
1 日最大給水量*の将来見通し
23
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
水道料金収入の減少
近年、料金算定のもととなる有収水量*が減少し続けています。有収水量*が減
少することで水道料金収入も減少しています(図3-14参照)。今後も有収水量*
が減少し続ける見通しであることから、収益が減少し、財政面に悪影響を与えること
が懸念されます。
水道料金収入
(億円)
料金改定
H10.2.1
95
年間有収水量
3
(千m )
54,000
年間有収水量
90
52,000
水道料金収入
85
50,000
80
48,000
75
46,000
70
44,000
42,000
65
H9
H10
H11
H12
出典:和歌山市水道統計年報
図3-14
H13
H14
H15
H16
H17
(年度)
水道料金収入と有収水量*の推移
24
H18
H19
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
供給能力の状況
過去には浄水場から配水する水量のうち、年間で最も多く配水した日の水量(1日
最大給水量*)が施設能力に近い状態となっていたこともありました。近年は1日最大
給水量*が減少し続けているため、施設能力と1日最大給水量*の間に余裕が生じは
じめました。ただし、中核市の平均値*と比較すると特に大きな余裕があるわけではあ
りません(図3-15参照)。また、配水池の容量は、災害時への備えとしても増強して
いく必要があります。しかし、配水池の貯留能力をみると、中核市の平均値*より低い
値となっています(図3-16参照)。
浄水予備力確保率(指標番号2003)
計算式=[(全浄水施設能力-一日最大浄水量)/全浄水施設能力]×100
100.0
80.0
60.0
中核市の平均値
40.0
20.0
和歌山市の実績値
7.1
26.6
13.7
11.3
7.6
15.7
0.0
平成15
指標
番号
業務指標
2003 浄水予備力確保率
↑
望
ま
し
い
方
向
平成16
単位
望まし
い
方向
%
↑
平成17
平成18
平成19
和歌山市の指標値
平成15
平成16
7.1
7.6
平成17
平成18
11.3
平成19
13.7
中核市の
平均値
(H19)
15.7
26.6
この指標は、全浄水施設能力に対する予備力の割合であり、水運用の安定性、柔軟性及び危機対応性を示
す業務指標の一つである。
浄水予備力確保率(業務指標*)
図3-15
配水池貯留能力(指標番号2004)
計算式=配水池総容量/一日平均配水量
1.00
中核市の平均値
0.80
0.60
0.85
和歌山市の実績値
0.46
0.40
0.47
0.49
0.49
平成17
平成18
平成19
0.46
0.20
↑
望
ま
し
い
方
向
0.00
平成15
指標
番号
業務指標
2004 配水池貯留能力
平成16
単位
望まし
い
方向
日
↑
和歌山市の指標値
平成15
0.46
平成16
0.46
平成17
平成18
0.47
0.49
平成19
0.49
中核市の
平均値
(H19)
0.85
一日平均配水量の何時間分が配水池などで貯留可能であるかを表しており、給水に対する安定性、災害、事
故等に対する危機対応性を示す業務指標である。
図3-16
配水池貯留能力(業務指標*)
25
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
漏水防止への取組
施設の効率運営のためには、漏水量を少なくしていかなければなりません。しかし、
配水池から出た水が有効に使われているかを示す指標のひとつである有収率 *(有
効率*)は、中核市の平均値*の水準を下回っています(図3-17参照)。
本市では、他都市と比べて私道の割合が多く、そのために個人、民間業者等が布
設した給水本管*・給水管*が多いというのが特徴です。この内の鉛製給水管からの
漏水は有収率*(有効率*)の向上が遅延している大きな原因であると考えています。
現在、漏水防止の取組としては、老朽配水管 * の布設替並びに老朽給水本管*の
採納*及び布設替を継続的に実施しています。
有収率(指標番号3018)
計算式=(有収水量/給水量)×100
100.0
80.0
75.4
74.7
中核市の平均値 90.6
76.8
77.5
和歌山市の実績値
60.0
78.1
40.0
20.0
↑
望
ま
し
い
方
向
0.0
平成15
指標
番号
3018 有収率
業務指標
平成16
単位
望まし
い
方向
%
↑
平成17
平成18
平成19
和歌山市の指標値
平成15
74.7
平成16
75.4
平成17
76.8
平成18
77.5
平成19
78.1
中核市の
平均値
(H19)
90.6
この指標は、年間の配水量(給水量)に対する有収水量の割合を示す業務指標で、施設の稼動状況がそのま
ま収益につながっているかどうかが確認できる。有収率が高いほど施設の効率がよく収益性が高いといえる。
図3-17
有収率*(業務指標*)
26
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
水道の普及
普及率は、平成19年度末現在で 98.2%と高い値になっています(図3-18参照)。
未普及地域の解消のために行った調査結果により、既存配水池から当該各地区まで
の距離が離れているため配水管*内での滞留時間が長くなり水質が劣化するなど、水
道水質基準に適合しないおそれがあるため、高台地区や遠隔地等で未普及地域が
存在しますが、市民皆水道に向けて今後も未普及地域解消への取組が必要です。
普及率(指標番号2006)
計算式=(給水人口/給水区域内人口)×100
120.0
中核市の平均値 98.3
100.0
80.0
98.1 和歌山市の実績値
98.1
98.1
98.1
98.2
60.0
40.0
20.0
↑
望
ま
し
い
方
向
0.0
平成15
指標
番号
2006 普及率
業務指標
平成16
単位
望まし
い
方向
%
↑
平成17
平成18
平成19
和歌山市の指標値
平成15
98.1
平成16
98.1
平成17
98.1
平成18
98.1
平成19
98.2
中核市の
平均値
(H19)
98.3
給水区域内に居住する人口に対する給水人口の割合であり、事業サービス享受の概況を総合的に判断する
ための指標、当該事業の地域性を示す業務指標の一つである。
図3-18
普及率(業務指標*)
27
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
災害対策への取組
本市は、東南海・南海地震の防災対策推進地域*に指定されており、中央構造線断
層帯での直下型地震の発生(図3-19参照)も懸念されていることから、震災への備
えが急がれています。しかし、主要な施設は老朽化が進んでおり耐震性も低い状況と
なっており、配水池への緊急遮断弁*の設置箇所も少なく、災害時の給水拠点となる
配水池も給水面積に比べて少ない状況です。
また、管路では、配水管*、給水本管*及び紀の川を横断する送水管*の耐震性が
低いことが問題となっています。施設や管路の構成もバックアップ機能が十分でない
ため、今後整備が必要です。このように取り組むべき課題が多く、早急に対策を行っ
ていくことが必要です。また、水道使用者アンケート調査の結果では、災害対策事業
への取組が最も望まれています(図3-28参照)。
中央構造線断層帯(金剛山地東縁~和泉山脈南縁)
M8.0程度 ほぼ0~5%
和歌山市
東南海地震
M8.1前後 60%程度
南海地震
M8.4前後 50%程度
(出典)全国を概観した地震動予測地図、平成17年3月23日
地震調査研究推進本部地震調査委員会
図3-19
平成17年1月1日から30年以内の地震発生確率
28
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
国の取組
国は災害対策基本法をもとに、各都道府県又は市町村で地域防災計画を作成す
ることを義務づけています。また、東海地震及び東南海・南海地震についても特別
措置法等により具体的な対策が定められています。水道施設に関する基準等につ
いては、水道法第5条及び水道施設の技術的基準を定める省令において、施設の
重要度に応じて地震力に対する安全性を確保するよう定められています。
コラム
東南海・南海地震について
太平洋沖にある南海トラフのプレート境界では、歴史的に見て、おおむね100年から150年の
間隔で海溝型の巨大地震が発生しています。
中央防災会議では平成13年の検討で、『東南海・南海地震は、現時点では直前予知は困難で
あるが、今世紀前半にもその発生のおそれがあり、甚大な津波被害等の発生のおそれがあるこ
と、被災範囲が広域にわたること等から、速やかに地震発生メカニズムや想定される被害等につ
いての検討を行い、必要な防災対策を実施していくことが重要である』と指摘しました。
このことを受けて平成14年7月には「東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する
特別措置法」が制定され、防災対策推進地域が指定されました。この地域では、地震防災対策に
関する各種計画を作成し、その実施を推進することが求められています。(出典:「東南海・南海
地震対策大綱」平成15年12月、中央防災会議)
東南海・南海地震の想定震度分布(内閣府防災情報ホームページより)
東南海・南海地震防災対策推進地域(内閣府防災情報ホームページより)
29
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
施設の耐震性
浄水場では、平成15年に建設された滝畑浄水場を除いて耐震性が低いというの
が実状です(図3-20参照)。配水池についても、全体的に耐震性が低い値となっ
ています(図3-21参照)。
浄水施設耐震率(指標番号2207)
計算式=(耐震対策の施されている浄水施設能力/全浄水施設能力)×100
100.0
80.0
60.0
40.0
20.0
中核市の平均値 13.9
0.02
0.02 和歌山市の実績値 0.02
平成15
指標
番号
業務指標
2207 浄水施設耐震率
平成16
平成17
単位
望まし
い
方向
%
↑
0.02
0.02
0.0
平成18
平成19
和歌山市の指標値
平成15
平成16
0.02
0.02
平成17
↑
望
ま
し
い
方
向
平成18
0.02
平成19
0.02
0.02
中核市の
平均値
(H19)
13.9
水道構造物に求められる耐震基準が満たされていると判断された浄水施設の能力を表わす業務指標である。
浄水施設耐震率(業務指標*)
図3-20
配水池耐震施設率(指標番号2209)
計算式=(耐震対策の施されている配水池容量/配水池総容量)×100
100.0
80.0
60.0
中核市の平均値
40.0
20.0
1.5
1.5
平成18
平成19
和歌山市の実績値 1.5
0.7
0.7
平成15
平成16
33.3
↑
望
ま
し
い
方
向
0.0
指標
番号
業務指標
2209 配水池耐震施設率
単位
望まし
い
方向
%
↑
平成17
和歌山市の指標値
平成15
0.7
平成16
0.7
平成17
平成18
1.5
1.5
平成19
1.5
中核市の
平均値
(H19)
33.3
水道構造物に求められる耐震基準が満たされていると判断された配水池の容量を表わす業務指標である。
図3-21
配水池耐震施設率(業務指標*)
30
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
緊急時給水拠点の状況
災害時に応急給水の拠点となる緊急時給水拠点は、市内の各配水池のほか、3
か所の公園に耐震性貯水槽*(100m3、図3-22参照)を設置していますが、拠点
数は給水面積に比べて少ないのが現状です(図3-23参照)。
また、多くの配水池には緊急遮断弁*が設置されていないことから、地震時に配
水池内の水が流出し、飲料水の確保に支障を来すおそれがあります。
図3-22
耐震性貯水槽*の模式図
コラム
耐震性貯水槽*について
水道施設、特に管路については、震災時にある程度の被害が発生することは避けられません。
また、停電などに伴って、発災後しばらくは給水機能が確保できなくなることが想定されます。そ
のような場合でも、飲料水は被災した住民の生命維持のために欠くことはできません。火災発生
に対しても初期消火活動に必要な水を確保することが重要です。
そこで、あらかじめ定められている避難場所や震災により断水が予想される区域等に耐震性
貯水槽*を設置し、災害時の飲料水及び初期消火用水の確保を行う取組が進められています。
耐震性貯水槽*は、長時間の滞留による水質劣化を防ぐため、常時水を循環させていますが、
地震の揺れを感知すると緊急遮断弁*が水の流れを止め、同貯水槽内に水道水が蓄えられる構
造になっています。(出典:「よくわかる水道技術」、水道技術研究会編著、日本水道新聞社)
31
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
給水拠点密度(指標番号2205)
計算式=(配水池・緊急貯水槽数/給水区域面積)×100
20.0
中核市の平均値
15.0
10.0
和歌山市の実績値
7.6
7.6
8.1
5.0
8.1
↑
望
15.5
ま
し
い
8.1
方
向
0.0
平成15
指標
番号
業務指標
2205 給水拠点密度
平成16
単位
望まし
い
方向
箇所/
100km2
↑
平成17
平成18
平成19
和歌山市の指標値
平成15
平成16
7.6
7.6
平成17
8.1
平成18
8.1
平成19
8.1
中核市の
平均値
(H19)
15.5
2
給水区域100km 当たりの拠点数であり、緊急時の利用しやすさを表わす業務指標である。
図3-23
給水拠点密度(業務指標*)
管路の耐震性
本市は紀の川で大きく2つの地域(河東地区*・河西地区*)に分断されており、両
地域を結ぶ送水管*は六十谷水管橋の1か所となっています。六十谷水管橋の耐
震性については、東南海・南海地震や中央構造線断層帯での直下型地震に対して
送水機能が確保されない可能性が高いので、耐震補強やバックアップルートの整
備を行う必要があります。
配水管*については、耐震管の割合が2割以上と中核市の平均値*に比べて高い
割合(図3-24参照)となっています。これは、中核市*の中でも配水管*延長が短
いためです。
一方で配水管*に代わる個人、民間業者等が所有している給水本管*が多く存在
しています。その給水本管*を含め、現在布設されている管路の多くは老朽化が進
んでおり、耐震性が低いのが実状です。
32
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
管路の耐震化率(指標番号2210)
計算式=(耐震管延長/管路総延長)×100
100.0
80.0
60.0
28.2
40.0
25.6
19.8 和歌山市の実績値 23.2
20.0
中核市の平均値 8.9
↑
望
ま
し
い
方
向
0.0
平成15
指標
番号
業務指標
2210 管路の耐震化率
平成16
平成17
平成18
平成19
和歌山市の指標値
単位
望まし
い
方向
平成15
%
↑
-
平成16
平成17
19.8
平成18
23.2
25.6
平成19
28.2
中核市の
平均値
(H19)
8.9
管路(導水管・送水管・配水管)の耐震化の進捗状況を表しており、地震災害に対する水道システムの安全性
及び危機対応性を示す業務指標である。ただし、給水管の管路延長は対象とならないことに留意する必要が
ある。
図3-24
管路の耐震化率(業務指標*)
紀の川に架かる六十谷水管橋
33
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
施設や管路のバックアップ機能
花山配水池は、加納浄水場及び出島浄水場の2系統から水道水を供給できます
が、その他の配水池は複数の浄水場から供給できる体制ではありません。配水管*
の構成も樹枝状に整備されているところが多く、ループ化されていない箇所がある
ため、どこか1か所で管路事故が発生すると、下流側で広範囲な被害を引き起こす
ことになります(図3-25参照)。このような状況を改善するためには、施設や管路
のバックアップ機能を強化していかなければなりません。
浄水場内の設備でも同様のことがいえます。特に受変電設備は、電力会社の1
つの変電所から受電するルートしか存在しません。そのため、地震等で変電所が被
災した場合、送電が停止することになります。水道施設は、水処理工程や配水池へ
の送水に電力を必要としますので、停電が長期に及ぶと断水する可能性がありま
す。現在、加納浄水場や出島浄水場には自家発電設備が設置されていますが、そ
の老朽化が問題となっています。
図3-25
配水管*の構成による被害イメージ
34
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
隣接市町村との協力体制
阪神・淡路大震災の教訓を生かし、隣接市町村との相互融通連絡管を整備する
ことで、災害時にも被災のない施設から水道水を供給することが可能となります。
現在は、岩出市との間で災害時及び非常時における飲料水の相互融通連絡配
水管を設置していますが、今後も可能な限り相互融通連絡管の整備を進めていか
なければなりません。
また、本市独自では対応しきれない災害の発生に備えて、周辺事業体と相互応
援協定を結んでいますが、緊急時に備え連携を密にしておく必要があります。
防災訓練の実施
平成18年度に「和歌山市水道局防災基本計画」を策定しました。災害時におけ
る迅速な復旧・支援体制を整えるため、今後も、防災訓練を定期的に行いながら、
災害に迅速に対応できるよう努めていく必要があります(図3-26参照)。
水道管の復旧(緊急漏水修理)
図3-26
応急給水所の設置
本市総合防災訓練の様子
35
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
渇水等への備え
水道水の水源は、そのほとんどを紀の川に依存しています。上流に建設されてい
る大滝ダムは、利水及び発電等の目的以外に洪水調整といった河川の流量を調整
する機能があります。完成すれば渇水のおそれもなくなるのですが、完成までの間
に紀の川で渇水が起こると市民生活に大きな影響を与えることになります。
紀の川では、平成5年から平成8年まで、平成13年、平成14年及び平成17年
に取水制限*が行われていますが、給水制限*までは至っていません。
また、渇水時に限らず地震時においても、紀の川上中流域で下水道施設が被災
し、未処理の下水が河川に放流されるといった事態が発生すると、場合によっては
取水停止*となることも考えられます。このため、紀の川表流水以外での水源を予
備として確保することや配水池の貯留容量に余裕を持たせる必要があります。しか
し、本市では、配水池容量が少なく、中核市の平均値*に比べて給水人口*一人当
たり貯留飲料水量が大幅に少ないのが現状です(図3-27参照)。
給水人口一人当たり貯留飲料水量(指標番号2001)
計算式=[(配水池総容量(緊急貯水槽容量は除く)×1/2+緊急貯水槽容量)/給水人口]×1000
200
中核市の平均値 157
150
107
111
109
108
100
111
和歌山市の実績値
50
↑
望
ま
し
い
方
向
0
平成15
指標
番号
業務指標
給水人口一人当たり貯留
2001 飲料水量
平成16
平成17
単位
望まし
い
方向
ℓ/人
↑
平成18
平成19
和歌山市の指標値
平成15
107
平成16
108
平成17
109
平成18
平成19
111
111
中核市の
平均値
(H19)
157
地震時などの災害時の飲料水確保のため、配水池総容量に対して一人当たりどれ位の貯留飲料水量として
確保できるかを評価した業務指標である。
図3-27
給水人口*一人当たり貯留飲料水量(業務指標*)
36
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
水道使用者の意識(災害対策について)
水道使用者アンケート調査で、今後取り組むべき施策として「水道水質向上」、
「鉛製給水管取替」、「災害対策事業」及び「地球環境保全への取組」の4項目に関
する質問を行いました。
水道使用者アンケート調査の結果では、「多少料金が上がってもできるだけ早く
取り組むべき」又は「料金への影響を少なく、時間をかけて取り組むべき」と回答し
た割合が最も多いのが災害対策事業であり、これら2つの「取り組むべき」との回答
に占める「多少料金が上がってもできるだけ早く取り組むべき」と回答した割合でみ
ても、災害対策事業が 39%と他に比べて最も高い割合でした(図3-28参照)。
このことから、水道使用者は、災害対策事業への思いが最も強いということが分
かりました。
わからない
101件(8%)
有効回答 1,246件
(未回答 3件)
多少料金が
上がっても
取り組むべき
209件(17%)
水質基準が
守られている
現在のままで
よい
253件(20%)
料金への
影響を少なく
取り組むべき
683件(55%)
209件
209件+683件
×100=23%
水道水質向上のための水道料金値上げ
わからない
129件(10%)
有効回答 1,232件
(未回答 17件)
水質が問題
なければ
取り替える
必要はない
154件(13%)
多少料金が
上がっても
取り組むべき
326件(26%)
料金への
影響を少なく
取り組むべき
623件(51%)
326件
×100=34%
326件+623件
鉛製給水管取替のための水道料金の値上げ
図3-28(1)
各種施策に対する水道使用者の思い(水道使用者アンケート調査)
37
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
取り組みの
必要はない
5件(0%)
わからない
152件(12%)
有効回答 1,225件
(未回答 24件)
多少料金が
上がっても
取り組むべき
415件(34%)
料金への
影響を少なく
取り組むべき
653件(54%)
415件
415件+653件
×100=39%
災害対策事業のための水道料金の値上げ
有効回答 1,223件
(未回答 26件)
わからない
187件(15%)
取り組みの
必要はない
9件(1%)
多少料金が
上がっても
取り組むべき
215件(18%)
料金への
影響を少なく
取り組むべき
812件(66%)
215件
215件+812件
×100=21%
地球環境保全への取組のための水道料金値上げ
図3-28(2)
各種施策に対する水道使用者の思い(水道使用者アンケート調査)
38
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
水道使用者アンケート調査について
調査目的
:和歌山市水道事業に対する水道使用者の意識、要望の把握
調査対象
:水道を使用している一般家庭及び事業者の登録データから
等間隔無作為抽出した 2,734 世帯
調査方法
:郵送によるアンケート票の配布及び記入後返送
回答期間
:平成19年12月7日から平成19年12月21日
回収数
:1,249 件(回収率 46%) ※回答期間終了後の回収票を含む
事業所
(工場、商店、
オフィスなど)
61件(5%)
未回答
129件(10%)
有効回答 1,120件
(未回答 129件)
店舗を併設
している
ご家庭
58件(5%)
ご家庭
1,001件(80%)
回答者の構成(ご家庭又は事業所)
未回答
45件(4%)
20歳代
22件(2%)
有効回答 1,204件
(未回答 45件)
30歳代
106件(8%)
70歳以上
282件(23%)
40歳代
181件(14%)
50歳代
263件(21%)
60歳代
350件(28%)
回答者の構成(年齢)
39
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
3-2-2.将来も変わらず安定した事業運営ができるようになっているか(持続)
老朽化施設・管路の増加
施設及び管路の両方で老朽化が進んでいます。今後、更新費用の増加が見込まれ
ますが、すべての施設及び管路を短期間に更新することは財政的に困難ですので、
優先度や重要度を考慮して計画的に更新していく必要があります。
老朽化施設の増加
平成15年に完成した滝畑浄水場を除いて、加納浄水場、出島浄水場及び真砂
浄水場の老朽化状況を簡易診断した結果では、老朽化のおそれがある設備が多く
存在します(表3-1参照)。一方で業務指標*は、“経年化した”という目安を法定
耐用年数* に達しているかどうかで判断しています。法定耐用年数 * を超えている
のは真砂浄水場だけなので数値が低くなっていますが(図3-29参照)、実態とし
ては老朽化が進んでいます。同様に、送水施設及び配水施設でも老朽化が現れて
います。
表3-1
浄水施設の
設備名称
着水井
沈澱池
緩速ろ過池
急速ろ過池
凝集用薬品注入設備
消毒設備
浄水池
排水池・排泥池
濃縮設備
天日乾燥床
粉末活性炭吸着設備
高圧受変電設備
自家発電設備
動力制御設備
計装設備
監視制御設備
主要な浄水施設の老朽化状況
老朽化状況
出島浄水場
●
●
加納浄水場
●
●
真砂浄水場
●
●
○
○
○
●
●
●
●
●
●
○
○
●
●
○
●
●
●
●
●
●
●
●
○
○
●・・・簡易診断結果では老朽化のおそれあり(詳細な診断が必要)
○・・・簡易診断結果では老朽化のおそれなし
40
○
●
●
●
●
●
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
経年化浄水施設率(指標番号2101)
計算式=(法定耐用年数を超えた浄水施設能力/全浄水施設能力)×100
100.0
80.0
60.0
40.0
20.0
15.0
和歌山市の実績値 15.0
15.0
15.0
中核市の平均値 3.4
0.0
平成15
指標
番号
15.0
望
ま
し
い
方
向
↓
平成16
業務指標
2101 経年化浄水施設率
平成17
単位
望まし
い
方向
%
↓
平成18
平成19
和歌山市の指標値
平成15
平成16
15.0
15.0
平成17
平成18
15.0
中核市の
平均値
(H19)
平成19
15.0
15.0
3.4
地方公営企業法施行規則に定められている法定耐用年数をもって施設の経年度とし、コンクリート構造物(浄
水施設)の法定耐用年数60年を超えた浄水施設の能力を表わす業務指標である。
経年化浄水施設率(業務指標*)
図3-29
老朽管路の増加
施設と同様に管路でも創設時のものが今でも残っており、早急な布設替が必要と
なります(図3-30参照)。さらに、昭和48年度から昭和52年度までに集中的な管
路整備が行われ、当時布設された管路も法定耐用年数*を迎え、今後更新が必要
となります。
経年化管路率(指標番号2103)
計算式=(法定耐用年数を超えた管路延長/管路総延長)×100
100.0
望
ま
し
い
中核市の平均値
方
向
8.7
↓
80.0
60.0
40.0
11.5
20.0
和歌山市の実績値
9.5
10.3
8.1
0.0
平成15
指標
番号
業務指標
2103 経年化管路率
平成16
平成17
平成18
平成19
和歌山市の指標値
単位
望まし
い
方向
平成15
%
↓
-
平成16
11.5
平成17
10.3
平成18
9.5
平成19
8.7
中核市の
平均値
(H19)
8.1
地方公営企業法施行規則に定められている法定耐用年数をもって施設の経年度とし、法定耐用年数を超えた
管路延長を表わす業務指標である。ただし、給水管の管路延長は対象とならないことに留意する必要がある。
図3-30
経年化管路率(業務指標*)
41
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
施設更新費用の試算
既存施設を対象にした今後の施設更新費用については、平成18年度固定資産
台帳*をもとに一定の確率で更新が必要な施設が発生するものと仮定して試算しま
した。
試算結果では、配水管*の更新費用が主であり、平成27年度まで徐々に増加し、
平成28年度以降は毎年 14 億円から 15 億円程度発生する見込みです(図3-31
参照)。ただし、この試算結果は、既存施設と同等の機能で更新する場合の費用を
表しています。
今後は、災害対策強化及び安全でおいしい水の供給に対応した新たな施設の建
設を行っていく必要があります。これらの費用が加算されるため、実際には、この試
算結果よりも多くの費用が発生するものと予想されます。
(億円)
16
14
12
配水管
機械及び装置
構築物
建物
10
8
6
4
2
0
H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38 H39 H40
(年度)
図3-31
施設更新費用の発生見通し(試算値)
42
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
経営健全化への取組
現在は良好な経営状況ですが、借入金への依存が高いことや事業規模に対する職
員数の割合、料金体系の見直しが課題となっています。今後は、水需要の減少による
料金収入の減少、災害対策や施設更新等に伴う費用の増加が見込まれています。水
道局が現在取り組んでいることを進めるにあたって、水道使用者アンケート調査の結
果では、多少の水道料金値上げもやむなしと考えておられる方が 69%いますが(図3
-39参照)、今後も引続き組織のスリム化及び効率化に向けて取り組んでいかなけ
ればなりません。
経営面の状況
供給単価*(収入)が給水原価*(費用)を上回っており、黒字経営を行っています
(図3-32~図3-34参照)。しかし、今後、水需要の減少に伴って水道料金によ
る収入(給水収益)が減少することを考慮して財政計画を立てていかなければなり
ません。
また、給水収益に対する企業債*残高の割合が中核市の平均値*より高く(図3-
35参照)、自己資本構成比率*は中核市の平均値*より低い(図3-36参照)状況
です。
経常収支比率(指標番号3002)
計算式=[(営業収益+営業外収益)/(営業費用+営業外費用)]×100
140.0
120.0
110.4
113.3
平成15
平成16
113.9
和歌山市の実績値 112.0
111.4
↑
望
中核市の平均値 108.7 ま
し
い
方
向
100.0
80.0
60.0
40.0
20.0
0.0
指標
番号
業務指標
3002 経常収支比率
単位
望まし
い
方向
%
↑
平成17
平成18
平成19
和歌山市の指標値
平成15
110.4
平成16
113.3
平成17
平成18
113.9
112.0
平成19
111.4
中核市の
平均値
(H19)
108.7
経常収支比率は、収益性を見る際の最も代表的な業務指標である。経常費用が経常収益によってどの程度ま
かなわれているかを示すもので、この比率が高いほど経常利益率が高いことを表し、これが100%未満である
ことは経常損失が生じていることを意味する。
図3-32
経常収支*比率(業務指標*)
43
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
供給単価(指標番号3014)
計算式=給水収益/有収水量
200.0
180.0
中核市の平均値
168.8
169.7
160.0
169.6
和歌山市の実績値 170.1
169.1
168.7
平成18
平成19
140.0
120.0
望
ま
し
い
方
向
↓
100.0
平成15
指標
番号
業務指標
3014 供給単価
平成16
平成17
単位
望まし
い
方向
円/m3
↓
和歌山市の指標値
平成15
平成16
169.7
169.6
平成17
平成18
170.1
169.1
平成19
168.7
中核市の
平均値
(H19)
168.8
3
有収水量1m 当たりについて、どれだけの収益を得ているかを表す業務指標である。
供給単価*(業務指標*)
図3-33
給水原価(指標番号3015)
計算式=[経常費用-(受託工事費+材料及び不用品売却原価+附帯事業費)]/有収水量
200.0
中核市の平均値
180.0
159.8
155.8
165.3
155.6
160.0
和歌山市の実績値
140.0
157.6
159.9
平成18
平成19
120.0
望
ま
し
い
方
向
↓
100.0
平成15
指標
番号
業務指標
3015 給水原価
平成16
単位
望まし
い
方向
円/m3
↓
平成17
和歌山市の指標値
平成15
159.8
平成16
155.8
平成17
155.6
3
平成18
157.6
有収水量1m 当たりについて、どれだけの費用がかかっているかを表す業務指標である。
図3-34
給水原価*(業務指標*)
44
平成19
159.9
中核市の
平均値
(H19)
165.3
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
給水収益に対する企業債残高の割合(指標番号3012)
計算式=(企業債残高/給水収益)×100
700.0
600.0
557.3
545.0
608.5
581.6
619.9
500.0
和歌山市の実績値
400.0
中核市の平均値
300.0
349.5
200.0
100.0
望
ま
し
い
方
向
↓
0.0
平成15
指標
番号
平成16
業務指標
給水収益に対する企業債
3012 残高の割合
平成17
単位
望まし
い
方向
%
↓
平成18
平成19
和歌山市の指標値
平成15
平成16
545.0
平成17
557.3
平成18
581.6
608.5
平成19
619.9
中核市の
平均値
(H19)
349.5
給水収益に対する企業債残高の割合を示しており、企業債残高の規模と経営への影響を分析するための業
務指標である。この割合が大きいほど多額の借入金返済が必要な状態といえる。
図3-35
給水収益に対する企業債*残高の割合(業務指標*)
自己資本構成比率(指標番号3023)
計算式=[(自己資本金+剰余金)/負債・資本合計]×100
100.0
80.0
60.0
中核市の平均値 59.7
39.6
38.7
38.0
39.9
40.0
40.5
和歌山市の実績値
20.0
↑
望
ま
し
い
方
向
0.0
平成15
指標
番号
業務指標
3023 自己資本構成比率
平成16
平成17
単位
望まし
い
方向
%
↑
平成18
平成19
和歌山市の指標値
平成15
38.0
平成16
38.7
平成17
平成18
39.6
39.9
平成19
40.5
中核市の
平均値
(H19)
59.7
総資本(負債及び資本)に占める自己資本の割合を表しており、財務の健全性を示す業務指標の一つである。
事業の安定化のためには、この比率を高めていくことが必要である。
図3-36
自己資本構成比率*(業務指標*)
45
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
事業規模と職員数
中核市*との比較では、本市水道局の職員数が事業規模に比べて多いという結
果が出ています(図3-37参照)。これまでに一部業務の民間委託を実施し、職員
数の適正化に努めてきました。しかし、施設の老朽化が進んでおり、その更新等に
必要な資金をいかに調達するかが今後の課題です。そのために従来どおりの業務
運営や水道使用者へのサービスに支障を来すことのないよう、経営健全化のため
に事業規模に応じた職員数の適正化を図らなければなりません。
(人/人)
自己水源*の割合が50%以下
4,000
3,500
3,000
2,500
中核市平均(2,241人/人)
2,000
1,500
1,000
500
和歌山市
下関市
長崎市
函館市
高知市
大分市
福山市
いわ き 市
秋田市
奈良市
岡山市
熊本市
鹿児島市
青森市
横須賀市
高松市
長野市
郡山市
旭川市
宮崎市
高槻市
宇都宮市
岡崎市
倉敷市
川越市
岐阜市
東大阪市
豊田市
金沢市
姫路市
松山市
豊橋市
富山市
0
出典:平成18年度水道統計
図3-37
中核市*における水道職員一人当たりの給水人口*
事業運営の効率化
職員数の適正化及び民間活力導入に合わせて、組織をスリム化・業務の流れに
見合った形態に変更しなければならない状況にあります。組織・機構の再構築につ
いては、適宜見直しを行い、経営健全化に向けて事務事業の効率化を図りながら、
今後も職員数の適正化を図る上で、職員の能力や専門分野に応じた適材適所の
人員配置が必要です。
また、他都市では、隣接する水道事業体等が経営面や管理面での一体化等とい
った新たな広域化*を図り、スケールメリット*を働かせることで効率的な事業運営
及び財政基盤の強化に努めようという試みが検討されています。本市でも地域全
体での効率的な事業運営への取組として、隣接する水道事業体との管理の一体化
等を模索する時期が来ています。
46
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
水道料金の現状
本市では、現在、口径別料金体系を採用しています。水道料金は、平成10年2
月1日を最後に改定していません(平成16年4月1日に消費税を含む額に表記を
変更)。中核市*で比較すると給水原価*は平均以下と安価(図3-38参照)ですが、
ていぞう
現在の料金体系では、大口使用者の料金逓増率*が高いことや口径 13mm から
25mm までの従量料金(1~20m3 の部分)が極端に安いために、使用水量によって
は給水原価*を大きく下回る料金単価となることが問題となっています。
また、他都市の大口使用者では、近年、比較的安価に井戸の建設が可能となっ
たことから、地下水を水源とする専用水道を設けて水道使用量を減らすことで、水
道料金の支払額を下げる事例が増えてきています。本市でも大口使用者の料金
ていぞう
逓増率*が高いことから同様の事例が増えてくることも考えられます。
水道使用者間の公平で適正な費用負担を考慮し、料金体系の見直しを検討する
必要もあります。
一箇月当たり家庭水道用料金(10m3)(指標番号3016)
計算式=一箇月当たり一般家庭用(口径13mm)の基本料金+10m3 用時の従量料金
3,000
2,500
2,000
中核市の平均値 1,121
1,500
945
945
1,000
945
和歌山市の実績値
500
945
945
望
ま
し
い
方
向
↓
0
平成15
指標
番号
業務指標
一箇月当たり家庭水道用
3016 料金(10m3)
平成16
単位
望まし
い
方向
円
↓
平成17
平成18
平成19
和歌山市の指標値
平成15
945
平成16
945
平成17
945
平成18
945
平成19
中核市の
平均値
(H19)
945
1,121
標準的な家庭における水使用量に対する料金を表すもので、水道使用者の経済的利便性を示す業務指標の
一つである。
図3-38
1 箇月当たり家庭用料金(10m3)(業務指標*)
コラム
ていぞう
逓増型料金体系について
ていぞう
逓増型料金体系とは、水道使用量が多いほど料金単価が高くなるというもので、多くの水道事
業体で採用されています。この料金体系を導入した背景には、過去において、水道需要が急増
する一方で、新規水源の確保が困難又は多額の費用を必要とした時期に、大口使用者の料金単
価を高くすることでより水道使用を抑え、水需要の抑制につなげようという考えがありました。さら
に小口使用者の水道料金が相対的に低くなることから、小口使用者が中心となる生活用水の料
金を低廉化する方策としても有効でした。(出典:「水道サービスが止まらないために」、宮脇淳・
眞柄泰基編著、時事通信社)
47
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
水道使用者の意識(水道料金について)
水道使用者アンケート調査の結果では、家族構成が多くなるにつれて水道料金
への不満(水道料金が高い)が高くなる傾向があり、現在の料金体系に対する検討
が必要といえます。
水道局が現在取り組んでいることを進めるにあたってどの程度までの水道料金
の値上げを受け入れることができるかとの問いに対して、水道使用者アンケート調
査の結果では多少なりとも「水道料金の値上げを受け入れることができる」と考えて
いる方が 69%いました。しかし、27%の方は「水道料金の値上げは受け入れられな
い」という回答であり、安易に水道料金の値上げにつなげるべきではないと考えて
います(図3-39参照)。
(回答割合)
100%
15件
90%
80%
55件
47件
71件
水道料金が・・・
↓
高い
25件
127件
70%
73件
60%
やや高い
102件
50%
妥当である
40%
やや安い
86件
30%
206件
88件
20%
10%
0%
3件
8件
6件
1件
1件
2件
1人暮らし
2人世帯
3人世帯
安い
111件
2件
1件
4人以上世帯
有効回答1,100件
(未回答88件)
家族構成と水道料金への意識
値上げは
受け入れ
られない
319件(27%)
その他
45件(4%)
有効回答 1,188件
(未回答 61件)
100円値上げ
276件(23%)
5000円値上げ
3件( 0%)
69%
3000円値上げ
3件(0%)
200円値上げ
248件(21%)
2000円値上げ
6件(1%)
1500円値上げ
3件(0%)
1000円値上げ 500円値上げ
66件(6%)
219件(18%)
※1世帯当たり、1か月の値上げ
水道料金の値上げへの受入れ
図3-39
水道料金への意識(水道使用者アンケート調査)
48
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
水道使用者へのサービス提供
窓口業務の改善や積極的な広報・PR活動に努めているのですが、水道使用者アン
ケート調査の結果では、水道局の広報紙を「知らない」又は「見たことがない」との回
答が多く(図3-41参照)、活動そのものに対する認知度が低いというのが現状です。
今後は認知度を高めるため、水道使用者の関心を引く情報を様々な媒体を通じて提
供できるようにしていかなければなりません。また、水道事業の公益性という面からも
水道使用者のニーズを定期的に把握し、水道使用者へのサービス提供に結び付けて
いく仕組みを構築していかなければなりません。
国の取組
水道水の安全性に対する水道使用者の不安感、不信感の増大を背景として、平
成14年4月1日の水道法改正では、水道使用者に対する情報提供の推進を水道
事業者の責務として位置づけられました。水道使用者へ提供すべき情報としては、
毎年1回以上定期に行うものとして、水質検査の計画、結果及び水道水の安全性
に関する事項、水道事業の実施体制に関する事項、水道事業に要する費用及び料
金負担等のコストに関する事項、給水装置及び貯水槽水道*の管理に関する事項
等が定められています。
情報提供の状況
広報・PR活動として、平成16年1月から広報紙「水道だより」を配布して水道事
業の各種取組の紹介を行い、情報公開に努めています。
水道局ホームページも平成16年1月から開設し、各種コンテンツを提供して随時
情報の更新を行っています(図3-40参照)。
ニーズ把握の状況
今まで水道局に対するお客さまの要望は、窓口や電話が主になっていました。平
成19年度に水道使用者に対して水道局独自のアンケート調査を行うなど、近年で
は、水道事業運営の透明性確保等の観点から、事業実施にあたって第三者機関等
による評価や検討を事業計画に取り込む活動に力を入れています。また、本ビジョ
ン策定にあたっては、学識経験者等を交えた和歌山市水道事業経営問題研究会を
設置しました。
49
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
水道事業に係る情報の提供度(指標番号3201)
計算式=広報誌配布部数/給水件数
6.0
4.9
4.9
5.0
中核市の平均値
和歌山市の実績値
4.0
2.4
2.6
3.0
2.0
1.2
1.0
1.2
↑
望
ま
し
い
方
向
0.0
平成15
指標
番号
業務指標
水道事業に係る情報の提
3201 供度
平成16
平成17
単位
望まし
い
方向
部/件
↑
平成18
平成19
和歌山市の指標値
平成15
平成16
1.2
2.6
平成17
4.9
平成18
4.9
平成19
1.2
中核市の
平均値
(H19)
2.4
水道事業に係る情報の提供度は、事業への理解や透明性の確保等を目的として行っている広報の活動状況
を示す業務指標である。
図3-40
水道事業に係わる情報の提供度(業務指標*)
サービス提供の状況
お客様サービスの向上を図るため、平成18年1月からコンビニエンスストアでの
収納サービスを実施しています。今後は、クレジットカード、電子マネー等の新たな
料金支払方法について検討が必要です。また、水道料金関係の窓口業務を一元化
した「和歌山市水道料金センター」を平成19年2月1日に開設しました。しかし、広
報広聴に関する事項、水道局指定の給水装置工事事業者に関する事項、水質に
関する事項、漏水及び濁水等に関する事項、その他の事項でそれぞれ問い合わせ
先が分かれています。今後は、これらの受付窓口を更に一元化した総合窓口の開
設を検討する必要があります。
水道使用者の意識(広報・PR活動)
水道使用者アンケート調査の結果では、水道局の広報・PR活動について、「(満
足とも不満とも)どちらともいえない」が全体の 42%、「(広報紙等を)知らない・見た
ことがない」が全体の 30%を占めており、水道使用者の関心を引きつけるような広
報広聴活動ができていないのが現状です。
情報提供の方法としては、水道使用者アンケート調査の結果によると「広報紙」、
「パンフレット」及び「テレビ・ラジオ」を望んでいるとの回答が最も多く、これからも紙
媒体での情報提供が主力となりますが、若年層では「ホームページ」との回答数が
他の年齢層に比べて多く、これからは「広報紙」と同様に「ホームページ」といったイ
ンターネットの活用にも力を入れていく必要があります(図3-41参照)。
50
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
満足
70件( 6%)
知らない・
見たことがない
360件(30%)
有効回答 1,209件
(未回答 40件)
どちらかと
いえば満足
212件(18%)
不満
17件( 1%)
どちらかと
いえば不満
37件(3%)
どちらとも
いえない
513件(42%)
広報・PR活動に対する満足度
見たことがある
44件(4%)
有効回答 1,227件
(未回答 22件)
見たことがない
1183件(96%)
水道局ホームページの認知度
853件
広報紙
パンフレット
532件
テレビラジオ
592件
158件
パソコンHP
携帯HP
46件
139件
窓口個別対応
その他
有効回答 1,249件
(複数回答)
21件
0件
200件
400件
600件
800件
1000件
回答数
望まれるPRの方法
図3-41
本市水道局の広報・PR活動について(水道使用者アンケート調査)
51
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
技術者の確保
水道施設の維持管理には特殊な技術を要するものがあり、技術者のもつ知識や技
術をどのようにして中堅・若手職員に継承していくかが課題です。今後50歳以上の技
術系職員が大量に退職する見通しであるため、技術の継承及び知識の向上が職員
に求められています。さらに、職員数の適正化を図っていく中で技術力の低下を招か
ないように、民間活力を効率的に活用していくことが必要になります。
技術継承・技能向上への取組状況
現状では、各課において事務処理マニュアルを整備し、情報の共有化を図って事
務・技術に関する情報の継承をしていますが、各課のすべての作業にマニュアルが
あるという状況に至っていません。
今までの技術継承は、職員から職員へ長期的かつ継続的に直接指導することで
伝えられてきた部分が多くありますが、熟練者の大量退職及び職員数の適正化を
図っていく中で、今までの方法による技術の継承が困難になることから技術的なマ
ニュアル整備が必要となります。また、職員研修時間についても、中核市の平均値*
に比べて不足しています。今後は、時間数を増加し、その内容についても充実させ
ていく必要があります(図3-42・図3-43参照)。
外部研修時間(指標番号3103)
計算式=(職員が外部研修を受けた時間・人数)/全職員数
7.0
中核市の平均値
6.0
6.5
5.0
4.0
2.3
3.0
2.0
2.1
0.7
1.0
0.8
和歌山市の実績値
0.8
↑
望
ま
し
い
方
向
0.0
平成15
指標
番号
業務指標
3103 外部研修時間
平成16
平成17
単位
望まし
い
方向
時間
↑
平成18
平成19
和歌山市の指標値
平成15
0.7
平成16
0.8
平成17
0.8
平成18
2.1
平成19
2.3
中核市の
平均値
(H19)
6.5
職員の資質向上のために実施されている研修時間を指す業務指標である。外部研修とは、水道事業に関係が
あると水道事業体が認めて職務として参加する研修であり、主催者が本人の所属する水道事業体以外のもの
をいう。
図3-42
外部研修時間(業務指標*)
52
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
内部研修時間(指標番号3104)
計算式=(職員が内部研修を受けた時間・人数)/全職員数
7.0
↑
望
ま
し
い
方
向
6.0
中核市の平均値
5.0
4.0
3.0
2.8
2.0
2.7
3.1
5.1
2.9
2.4
和歌山市の実績値
1.0
0.0
平成15
指標
番号
業務指標
3104 内部研修時間
平成16
平成17
単位
望まし
い
方向
時間
↑
平成18
平成19
和歌山市の指標値
平成15
2.8
平成16
2.7
平成17
平成18
3.1
2.4
平成19
2.9
中核市の
平均値
(H19)
5.1
職員の資質向上のために実施されている研修時間を指す業務指標である。内部研修とは、本人の所属する水
道事業体が独自に職務として参加させる水道事業に関する研修をいう。
図3-43
内部研修時間(業務指標*)
職員年齢構成の将来見通し
現在、事務系職員の高齢化が進んでおり、事務系及び技術系の両方で20歳前
半の職員数が少ない職員構成となっています。
今後も事業規模に応じた職員数の適正化が望まれる中、特に今後10年間で採
用する職員数が少なくなることや今後15年間で事務系職員が大量に定年を迎える
こと等、極端な世代交代で技術等の継承に支障を来さないように注意するとともに、
バランスの取れた職員構成に近づけるよう適正な配置にしていかなければなりま
せん。
民間活力の導入状況
職員数の適正化を図っていく中でも従来どおりの業務運営に支障を来すことがな
いように、検針業務、修繕業務、浄水場等の運転管理業務及び水道料金等収納業
務の民間委託を実施しています。今後は、業務ごとに実施している委託の中で、ま
とめることができるものなどを再整理していく必要があります。
53
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
3-2-3.安全な水、快適な水が供給されているか(安心)
原水水質の悪化
水道水の水源は、そのほとんどを紀の川に依存しています。紀の川では、近年、か
び臭原因物質(2-MIB*、ジェオスミン*)及び有機汚濁の進行によるトリハロメタン*前
駆物質が増加し、クリプトスポリジウム*の指標菌である大腸菌も検出されています。
紀の川における原水水質悪化は、水道使用者も感じ取っており、平成19年度に実
施した水道使用者アンケート調査の結果でも水質に関する情報や水質監視への取組
に対して、水道使用者が大きな関心を抱いていることがわかっています。
現在、浄水場では、適切な水処理を行うことで、水道水質基準に適合した水道水の
供給に努めています。加えて、定期的な水質検査、かび臭連続測定装置及びバイオ
アッセイ*(魚類を用いた監視装置)による水質監視も常時行っています。また、毎年
水質検査計画を策定し、紀の川の水源調査、浄水場の入口・出口での水質検査及び
配水区域ごとの水質検査を行っています。しかし、今後も原水水質は、悪化する傾向
にあります。そこで、高度な水処理技術を導入し、水道水質への信頼性を向上させて
いくことが必要です。
かび臭原因物質の増加
紀の川では、過去にかび臭の問題は発生していませんでしたが、平成17年度春
に大きな影響が出ました。
かび臭原因物質は、紀の川の上流や中流域だけでなく、下流域にある閉鎖性水
しゅんせつ
域も発生源の一つとなっています。平成19年度には河川の浚 渫 *を行い、閉鎖性
水域での藻類発生を抑制したこと(図3-44参照)から、かび臭原因物質の発生も
抑えられていますが、今後も紀の川流域内でかび臭発生の原因となる藻類が増殖
する可能性があります。
おおぜき
阪和自動車道
せき
紀の川大堰 新六ヶ井堰
国道24号線
しゅんせつ
浚渫箇所
閉鎖性水域
加納浄水場
有本水源地
小豆島
松島水源地
紀の川
JR阪和線
しゅんせつ
浚渫箇所
図3-44
加納浄水場付近での閉鎖性水域
54
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
コラム
かび臭の発生及び高度浄水処理について
わが国は、昭和30年代頃から都市への人口集中及び産業の急速な発展により、生活排水及
び工場排水が増加し、水道の原水水質の汚染が進みました。この結果、特に湖沼等の閉鎖性水
域での富栄養化が進行し、昭和40年代頃から首都圏の水道でかび臭等の異臭味の苦情が寄
せられるようになりました。
かび臭発生のメカニズムは、まず、水源での有機物や窒素・リンの増加によって、窒素・リンを
栄養とする藻類が大量に繁殖するようになります。藻類の中には、藍藻類(オシラトリア、アナベ
ナ、フォルミジウム等)といってかび臭をつくりだすものがあり、放線菌の仲間でもかび臭をつくり
だすものがあります。これらの生物が繁殖することによって、その中に含まれる2-MIB*及びジェ
オスミン*というかび臭原因物質が極微量でも水道水中に入り込むと、飲んだときにかび臭を感じ
させます。このかび臭は、飲むと不快感を与えるものですが、人の健康に影響はないと言われて
います。水道水質基準では、2-MIB*、ジェオスミン*ともに 0.00001mg/ℓ以下となっています。
かび臭原因物質は、塩素処理等の従来処理で除去することができません。そこで、かび臭対策
として、当初、粉末活性炭*で対応していましたが、その後、オゾン処理*に粒状活性炭処理*を
組み合わせた高度浄水処理施設が東京都、大阪市、沖縄県等で次々と導入されてきました。現
在では、かび臭原因物質の除去にとどまらず、トリハロメタン*等の化学物質による健康影響へ
の不安なども高まっているので、様々な高度浄水処理方式が研究・導入されています。(出典:
「水道サービスが止まらないために」、宮脇淳・眞柄泰基編著、時事通信社、「よくわかる水道技
術」、水道技術研究会編著、日本水道新聞社)
大
大
おいしい
おいしさ
まずい
高度浄水処理
(オゾン+生物活性炭)
安全性
高度浄水処理
(粉末活性炭処理)
従来処理
小
出典:「よくわかる水道技術」、水道技術研究会編著、日本水道新聞社
高度浄水処理水及び従来処理水の水質比較
55
小
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
トリハロメタンの増加
紀の川での有機物汚濁が進行しているため、水道水中の総トリハロメタン*濃度
の数値が水道水質基準値である 0.1mg/ℓに近づきつつあります(図3-45参照)。
トリハロメタン*は、原水中にあるフミン質等の有機物を前駆物質として塩素処理
によって生成されます。クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン及
びブロモホルムの合計を総トリハロメタン*といい、クロロホルムは発がん性物質で
あることが知られています。
河川への有機物流出は下水道の整備によってある程度抑制できますが、紀の川
中流域にある3つの流域下水道事業では、一部供用開始した状況であったり、流
域幹線や処理場の建設工事が進められている状況であり、現在は有機物流出抑
制への取組は始まったばかりです。当面は、トリハロメタン*の生成を抑えるために、
浄水場では塩素の注入点を変えたりpH*を調整することで対応していきますが、紀
の川の水質改善が実現しなければ、従来の浄水処理方法を変更する必要があり
ます。
総トリハロメタン濃度水質基準比(指標番号1107)
計算式=(総トリハロメタン最大濃度/総トリハロメタン濃度水質基準値)×100
100.0
91.0
95.0
80.0
58.0
55.0
60.0
和歌山市の実績値
41.0
54.0
40.0
中核市の平均値
20.0
望
ま
し
い
方
向
↓
0.0
平成15
指標
番号
業務指標
総トリハロメタン濃度水質
1107 基準比
平成16
単位
望まし
い
方向
%
↓
平成17
平成18
平成19
和歌山市の指標値
平成15
55.0
平成16
58.0
平成17
95.0
平成18
54.0
平成19
91.0
中核市の
平均値
(H19)
41.0
より安全な水を給水するための業務指標の一つとして、総トリハロメタンで評価したものであり、検出されない
場合は0%となる。
図3-45
総トリハロメタン*濃度水質基準比(業務指標*)
56
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
クリプトスポリジウムへの対応
紀の川では、クリプトスポリジウム*の指標菌である大腸菌が検出されています。
これは、紀の川中流域で畜産業が盛んなことや紀の川流域での汚水処理人口普
及率が全国平均の約1/2と低く、生活排水等の汚染源が流域にまだ多く存在して
いることが要因です。
クリプトスポリジウム*は塩素で死滅しない病原性生物であり、水道施設では、濁
質の一部として物理的に除去できているかを計測するため、ろ過水濁度を 0.1 度未
満(水道におけるクリプトスポリジウム*等対策指針【平成19年3月30日健水発第
033005 号厚生労働省健康局水道課長通知】)に維持することが求められています。
けい さ
現在はろ過池の砂を複層化(アンスラサイト*+珪砂*)することで対応しています
が、紀の川の水質改善が実現しなければ、従来の浄水処理方法を変更する必要が
あります。
コラム
水道水質基準における発がん性物質の取り扱いについて
遺伝子障害性の発がん性物質は、摂取量がいくら少なくなっても、発がんの確率が低くなるだ
けで、摂取量が0でない限り発がんの可能性が存在し続けます。しかし、現実問題として摂取量
を0にすることが不可能なので、生涯にわたる発がんリスクが十分に低ければ、わずかな摂取は
許容できるものとして基準値等が設定されています。現在一般に用いられている生涯(70年と想
定)にわたる発がんの許容リスクは10-5 です。これは、70年間飲料水から発がん性物質を摂取
したことが原因で、10万人に1人程度の確率でがんが発生するリスクは許容できるという考えで
す。(出典:「よくわかる水道技術」、水道技術研究会編著、日本水道新聞社)
クリプトスポリジウム*について
クリプトスポリジウム*は、原生動物の原虫類に属する水系病原性生物です。この原虫に感染
すると、健康状態にもよりますが、1週間程度の潜伏期間の後、水様性の下痢、発汗、腹痛、痙
攣様腹痛といった症状が現れ、特に子供では吐き気や嘔吐、39度ほどの発熱を伴います。通常
は、1週間から2週間程度で免疫ができて自然に治癒します。
わが国では、平成8年に埼玉県越生町でクリプトスポリジウム*による感染症が発生し、大きな
問題となりました。
クリプトスポリジウム*は、耐塩素性の病原性生物です。このため、水処理にあたっては、この
病原性生物を除去することが求められます。汚染の有無は、指標菌である大腸菌及び嫌気性芽
胞菌が検出されるかどうかで判断することになっています。検出される場合には、汚染のおそれ
があるとして、必ずろ過池を設けて、ろ過池出口の濁度を常時把握し、濁度が 0.1 度以下(水道水
質基準では 2 度以下)に維持することになります。(出典:「水道におけるクリプトスポリジウム等対
策指針」平成19年4月、厚生労働省、「水道サービスが止まらないために」、宮脇淳・眞柄泰基編
著、時事通信社、「よくわかる水道技術」、水道技術研究会編著、日本水道新聞社)
57
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
水道使用者の意識(水道水の臭い、水質等に関する調査)
水道使用者アンケート調査の結果では、水道水の臭いについて、臭いを感じてい
る世帯が約4割あることが分かりました。水道水質の不安原因としては、「水源(紀
の川)の汚れが気になる」との回答が多く得られました。
水道水を「そのまま飲む」のは、回答全体の約4割であり、49歳以下で少ない傾
向が示されました。飲み水としての不満の理由は、「水質の安全性に不安」、「水道
水がおいしくない」及び「臭いがある」によるものでした。水道使用者の関心が最も
高い事項は、各年齢共通で「水道の水質に関すること」でした(図3-46参照)。
よく臭いを
有効回答 1,228件
感じる
(未回答 21件)
97件(8%)
ときどき
臭いを感じる
408件(33%)
臭いは
ほとんど
感じない
723件(59%)
水道水の臭い
おいしくない
76件
臭いがある
79件
24件
なまぬるい
13件
濁りがある
110件
水源の汚れが気になる
有効回答 138件
(複数回答)
17件
その他
0件
20件
40件
60件 80件
回答数
100件 120件
水道水質が不安な理由
図3-46(1)
水道水の水質や飲み方についての意見(水道使用者アンケート調査)
58
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
487件
そのまま飲む
795件
お茶やコーヒー
545件
沸騰・冷やす
385件
浄水器を利用
0件
有効回答 1,249件
(複数回答)
175件
飲用に使用しない
200件
400件
600件
800件
1000件
回答数
水道水の飲み方
(回答割合)
100%
43件
90%
80%
57件
71件
94件
115件
70%
60%
26件
92件
155件
35件
75件
139件
飲用に使用しない
浄水器を利用
97件
沸騰・冷やす
50%
40%
30%
水道水の飲み方
↓
154件
208件
163件
176件
お茶やコーヒー
そのまま飲む
20%
10%
76件
100件
132件
120件
50歳代
60歳代
70歳代
0%
49歳以下
有効回答1,204件
(未回答45件)
回答者年齢と水道水の飲み方
図3-46(2)
水道水の水質や飲み方についての意見(水道使用者アンケート調査)
59
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
194件
水質の安全性に不安
210件
水道水がおいしくない
204件
臭いがある
39件
濁りや着色がある
水道水は飲んだことがない
23件
その他
19件
0件
50件
有効回答 307件
(複数回答)
100件
150件
200件
250件
回答数
飲み水としての水道水への不満
510件
水源の状況
901件
水道の水質
375件
上手な節水方法
504件
水道料金の仕組み・使われ方
お客さま個人の情報
(水量・料金)
水道料金の支払方法や
水道の手続き
304件
79件
216件
家庭の水道管や水道機器
405件
水道管の工事や断水の情報
災害時の避難場所
(給水できる場所)
814件
183件
施設の整備の計画
その他
16件
0件
200件
有効回答 1,249件
(複数回答)
400件 600件
回答数
800件 1000件
水道事業に対する興味
図3-46(3)
水道水の水質や飲み方についての意見(水道使用者アンケート調査)
60
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
管路及び貯水槽等での水質劣化
浄水処理した水道水は、配水池や管路を通じて水道使用者のもとへ届けられます。
浄水場から家庭に届くまでの時間が長くなると水質は劣化します。また、マンション等
にある貯水槽*では、所有者による定期的な清掃等が実施されていないと貯水槽*内
での水質劣化が問題となります。
管路内での水質劣化
地区によっては、浄水場からの距離が長く高低差もあることから、浄水処理した水
道水が複数の配水池を経由して給水するところがあります。浄水場から家庭まで到
達する時間が長いことから、浄水場で注入した残留塩素*濃度が減少していきます。
また、行き止まりとなっている管路もあり、このような場所では、水道水の使用が少
ないと管路内で水道水が滞留し、残留塩素*濃度が減少するところもあります。
この対策として、浄水場での残留塩素 * 濃度を高くし、末端でも水道水質基準
(0.1mg/ℓ以上)を下回らないように努めています。しかし、浄水場での塩素注入量
を増加させると浄水場周辺の地区で残留塩素 *濃度が高くなるため、塩素臭の問
題が生じます。このため、塩素臭から見たおいしい水達成率は、中核市の平均値*
より低い水準にあります(図3-47参照)。
塩素臭から見たおいしい水達成率(指標番号1106)
計算式=[1-(年間残留塩素最大濃度-残留塩素水質管理目標値)/残留塩素水質管理目標値]×100
100.0
80.0
60.0
40.0
中核市の平均値
25.0
和歌山市の実績値
20.0
23.1
0.0
0.0
平成16
平成17
0.0
0.0
↑
望
ま
し
い
方
向
0.0
平成15
指標
番号
業務指標
塩素臭から見たおいしい
1106 水達成率
単位
望まし
い
方向
%
↑
平成18
平成19
和歌山市の指標値
平成15
25.0
平成16
0.0
平成17
0.0
平成18
0.0
平成19
0.0
中核市の
平均値
(H19)
23.1
おいしい水の要件である残留塩素濃度0.4mg/ℓを目標値にして評価した業務指標であり、最大濃度が0.4mg/ℓ
まで下がると100%となる。
図3-47
塩素臭から見たおいしい水達成率(業務指標*)
61
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
コラム
塩素臭・カルキ臭について
塩素は、広範囲の病原性微生物に消毒効果があり、その効果が残留すること、取扱が容易で
あること、安価であること等の理由から、水道用の消毒剤としてわが国をはじめ世界的に広く使
われています。水道で使われる塩素剤としては、液化塩素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸
カルシウムがありますが、安全性や取扱の面から液化塩素の使用が減り、次亜塩素酸ナトリウ
ムの使用が主となってきています。次亜塩素酸カルシウムは、一般に小規模の浄水場で使用さ
れています。
液化塩素(Cl2 )や次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)は、水中で水(H2O)と反応して次亜塩素酸
(HClO)と次亜塩素酸イオン(ClO-)に分かれます。この次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンをあわせ
て遊離残留塩素*といい、わが国の水道水では給水栓水で 0.1mg/ℓ以上に保持することが水道
水質基準で定められています。
Cl2 + H2O ⇔ HClO + HCl
NaClO + H2O ⇔ HClO + NaOH
HClO ⇔ ClO- + H+
また、水中にアンモニア(NH3)やアミノ酸類等の窒素化合物が存在すると、塩素(Cl2)はそれら
と反応してモノクロラミン(NH2Cl)、ジクロラミン(NHCl2)、トリクロラミン(NCl3)を生成します。この3
種類のクロラミンのうち、消毒力をもつモノクロラミン及びジクロラミンをあわせて結合残留塩素*
といい、わが国の水道水では給水栓水で 0.4mg/ℓ以上に保持することが水道水質基準で定めら
れています。
NH3 + Cl2 ⇔ NH2Cl + HCl
NH2Cl + Cl2 ⇔ NHCl2 + HCl
NHCl2 + Cl2 ⇔ NCl3 + HCl
消毒力のないトリクロラミンは、水道水のpH*の範囲で生成量が少ないものの、水道水にカル
キ臭を与える原因となっています。
水道水中での塩素臭については、浄水場での塩素注入量が多くなるために引き起こされるも
のです。これは、上記の水道水質基準を管路の末端でも保持するため、浄水場から管路の末端
までの間に消費される残留塩素*の量を考慮して、浄水場での塩素注入量を多めにしなければ
ならないからです。塩素のにおいは不快なものですが、水道水が病原菌等の汚染から守られて
おり、消毒された安全な水であることの証明でもあります。
「どうしても塩素臭が気になる」、「家庭で水道水をおいしく飲みたい」という場合には、水道水を
よく冷やして飲む。煮沸して飲む(沸騰して5分程すると一時的に水中のトリハロメタン*濃度が上
昇しますので、10分以上沸騰を続けた方がよいでしょう)。又は、レモンをしぼって飲むこと(レモ
ンに含まれるビタミン C と反応して残留塩素*が分解します)が、最も手軽な方法です。(出典:「よ
くわかる水道技術」、水道技術研究会編著、日本水道新聞社)
62
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
貯水槽等での水質劣化(国の取組)
貯水槽*(受水槽)の維持管理について、水道法では水質を保つため、有効容量
が 10m3 を超える貯水槽*を簡易専用水道と規定し、1年以内ごとに1回の清掃及び
定期的な検査を義務づけています。
有効容量が 10m3 以下の小規模貯水槽水道*の維持管理業務については、水道
法による規制がなく、広報において貯水槽水道*の管理を促すものの、対象数が多
いこと等のため指導が行き届きにくく、管理の不徹底による衛生上の問題が発生し
ていました。そこで、平成14年4月1日に水道法が改正され、給水条例に水道事業
者及び当該貯水槽水道*の設置者の責任に関する事項を適正かつ明確に定める
必要が生じました。
貯水槽等での水質劣化(本市の状況)
本市においても給水条例第20条の5で、貯水槽水道*設置者により貯水槽水道*
の管理及び定期検査を行う旨並びに水道局から貯水槽水道*設置者に対して指導、
助言又は勧告ができる旨が規定されました(図3-48参照)。
ビル、マンション等の貯水槽水道*の管理は、設置者が行うことになっていますが、
管理が適切に行われていない場合、衛生面での問題が発生します。水道局として
も貯水槽水道*について、設置者、管理責任者及び水道使用者に対して更なる広
報活動を行い、管理状況の把握に努めて適切な指導を行う必要があります。なお、
貯水槽*を経由しない直結給水方式を拡大することにより貯水槽水道*における管
理問題及び水質劣化の解消を図ることができます。
図3-48
直結給水方式及び貯水槽水道*方式
63
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
鉛製給水管の残存
国の取組
鉛製給水管は、鉛溶出の問題等から国の「水道ビジョン」でも「鉛製給水管の総
延長をできるだけ早期にゼロにする」という目標が掲げられています。
本市の状況
本市では他都市と比べて私道の割合が多く、そのために個人、民間業者等が布
設した給水本管*・給水管*が多いのが特徴です。この給水管*の材質としては、鉛
製であるものが多く、鉛溶出の問題や漏水の原因となっているため、個人、民間業
者等所有の老朽給水本管*の採納*を進め、布設替を行うとともに鉛製給水管の改
善を図っていますが、埋設されている管路延長が長いためなかなか解消には至っ
ていません(図3-49参照)。
また、浄水場では消石灰及び炭酸ガスの注入によるpH*調整を行うことで、管路
の腐食及び鉛溶出を防止する対策をとっています。
鉛製給水管率(指標番号1117)
計算式=(鉛製給水管使用件数/給水件数)×100
100.0
80.0
54.9
和歌山市の実績値
51.0
60.0
47.2
43.8
40.3
40.0
20.0
中核市の平均値 20.4
望
ま
し
い
方
向
↓
0.0
平成15
指標
番号
業務指標
1117 鉛製給水管率
平成16
単位
望まし
い
方向
%
↓
平成17
平成18
平成19
和歌山市の指標値
平成15
54.9
平成16
51.0
平成17
47.2
平成18
43.8
平成19
40.3
中核市の
平均値
(H19)
20.4
鉛製管を給水管として用いている給水契約者の数で評価した業務指標である。水質の安全性から、鉛製の給
水管は取り替える必要がある。
図3-49
鉛製給水管率(業務指標*)
64
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
水道使用者の意識(鉛製給水管取替)
水道使用者アンケート調査の結果では、「水道料金への影響を少なく、時間をか
けて取り組むべき」という回答が半数を占めていますが、「水質が問題なければ取り
替える必要はない」との回答が 13%あるため、水道使用者への啓発活動も必要で
す(図3-50参照)。
わからない
129件(10%)
有効回答 1,232件
(未回答 17件)
多少料金が
上がっても
取り組むべき
326件(26%)
水質が問題
なければ
取り替える
必要はない
154件(13%)
料金への
影響を少なく
取り組むべき
623件(51%)
図3-50
鉛製給水管取替について(水道使用者アンケート調査)
コラム
鉛溶出について
鉛は、安価で加工が容易なため、水道管の材料として古くから使用されてきました。現在は、つ
なぎ目から漏水が起こりやすいこと、溶け出した鉛が有害であることから、新たな鉛管の使用は
認められていません。
鉛の溶出については、管路内での水の滞留時間が長いほど、そして水温が高いほど、(一概に
はいえませんが)鉛管の長さが長いほど多くなる傾向があります。
鉛の溶出を抑制するには、水のpH*値を 7.5 程度以上にすること、消石灰(水酸化カルシウム)
を用いてカルシウム硬度を高めることが有効です。また、鉛管を使用している場所での調査結果
では、長い時間鉛管内に滞留させた水からは水道水質基準値(0.01mg/ℓ)を超える鉛が検出され
ることが多いが、10ℓ以上流した後の流水ではめったに鉛が基準値を超えることはありませんでし
た。したがって、鉛製給水管を使用している水道使用者では、他の材質の管に取替えるのが最善
の策ですが、取替えるまでは、朝起きて開栓した直後の水を飲用以外に使用するといった暫定的
な対策が必要です。(出典:「よくわかる水道技術」、水道技術研究会編著、日本水道新聞社)
65
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
3-2-4.環境への影響を低減しているか(環境)
環境対策への取組
国際的な地球温暖化防止に向けた取組の中で、水道事業も省エネルギー対策や新
エネルギー*の導入を推進していく必要があります。また、環境への負荷が少ない資
源循環型社会*の実現を目指していく中で、浄水処理で発生する汚泥のリサイクルに
も取り組んでいく必要があります。
国の取組
平成9年9月に京都で地球温暖化防止に関する会議(地球温暖化防止京都会議
気候変動枠組条約第3回締結国会議、COP3)が開催され、先進諸国の温室効果
ガス*の削減目標が定められました。日本は、平成20年から平成24年までの間で
温室効果ガス*の排出量を平成2年比で 6%削減することになっています。
水道事業も全国の電力使用量の約 1%を占めており、CO2削減に向けた取組が
求められています。国の動きとしても、「環境基本計画」(平成12年12月22日閣議
決定)、「循環型社会*形成推進基本法」(平成15年3月策定)及び「水道事業にお
ける環境対策の手引き」(平成16年3月作成)といった法整備等が進んでいます。
水道事業では一部で取組があるものの、全事業体で省エネルギー、廃棄物減量化
及び資源の有効利用に取り組んでいかなければなりません。
本市の状況
本市水道事業の配水システムは、安定した配水圧を確保し、自然流下で配水で
きることから標高の高い位置に配水池を設置しています(図3-51参照)。このた
め、浄水場から配水池へ送水するためにはポンプ圧送が必要となり、浄水場から
自然流下方式で配水できる水道事業と比較して配水量1m3 当たりの電力消費量は、
中核市の平均値*より大きな値を示しています(図3-52参照)。
地球温暖化の防止に向けては、省エネルギー対策とともに新エネルギー*の導入
に取り組む必要があり、太陽光発電システムや小水力発電 *(マイクロ水力発電)
はいくつかの水道事業において導入が進められています。本市水道局においては、
これらの新エネルギー*の導入検討(「和歌山市上・工業用水道事業省エネルギー
事業化FS調査」平成15年2月、図3-53参照)が進められているものの、現状とし
ては未着工の状況です。今後、世界的に地球温暖化の防止が求められる中、新エ
ネルギー*の導入を図っていく必要があります。
また、環境への負荷が少ない資源循環型社会*の実現を目指していく中で、水道
事業においては、浄水処理で発生する汚泥のリサイクルを進めていくことが求めら
66
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
れています。本市水道事業では、浄水汚泥の有効利用を実施しておらず、産業廃
棄物として処分しています。このことから、資源循環型社会*の実現を目指して浄水
汚泥の有効利用を進めていく必要があります。
配水池
河川
取水施設
(取水口)
配水池への送水
ポンプを稼動させ
るために多くの電
力を消費する
送水管
導水管
配水管
P
浄水場
送水
ポンプ
蛇口
浄水場での水処
理で電力を消費
する
メータ
給水管
図3-51
水道システムの概要
コラム
水道システムについて
水道は、そのシステム構成を見ると、水源から水道使用者までの間に「取水施設」、「導水施
設」、「浄水施設」、「送水施設」、「配水施設」及び「給水装置」があります。このうち、「取水施設」
から「配水施設」までを水道事業体が所有しています。
これら施設の配置については、地形に整合*し、地形を極力利用すること。都市の将来の発展
に適合したものとし、将来の施設の拡張、改良・更新に支障を生じないこと。非常時でも、できるだ
け断水しないこと。将来にわたり良質な原水を安定的に得られること。施設の建設及び維持管理
が安全かつ容易に行えるとともに、合理的・経済的となるよう配慮されていること。広域的に見て、
他の水道事業との間で合理的かつ相互融通的な施設の配置とすることが基本となっています。
「取水施設」とは、水源から必要量の原水を取り入れるための施設であり、水源の種類によっ
て取水口、井戸等があります。「導水施設」とは、取水後の原水を浄水施設まで輸送するのに必
要な諸施設であり、主なものとしては導水管*があります。「浄水施設」とは、原水の質及び量に
応じて処理を行い、水道水質基準に適合する水道水をつくるための施設であり、浄水場がそれに
あたります。「送水施設」とは、浄水施設でつくった水道水を配水施設まで輸送するための施設で
あり、ポンプ所及び送水管*があります。「配水施設」とは、水の需要変動を吸収し、水道水を一
定以上の圧力で水道使用者へ供給する施設であり、配水池、配水管 * 等があります。「給水装
置」とは、配水管*から分岐して水道水を水道使用者の蛇口まで届ける装置であり、水道メータ、
給水管*等があります。(出典:「水道施設設計指針 2000」、日本水道協会、衛生工学演習、海老
江邦雄・芦立徳厚共著、森北出版)
67
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
配水量1m3当たり電力消費量(指標番号4001)
計算式=全施設の電力使用量/年間配水量
0.500
0.400
和歌山市の実績値
0.423
0.421
0.420
0.424
0.425 中核市の平均値
0.300
0.341
0.200
0.100
望
ま
し
い
方
向
↓
0.000
平成15
指標
番号
業務指標
3
当たり電力消
4001 配水量1m
費量
平成16
単位
望まし
い
方向
kWh/m3
↓
平成17
平成18
平成19
和歌山市の指標値
平成15
0.423
平成16
0.420
平成17
0.421
平成18
0.425
平成19
0.424
全施設の電力使用量を年間配水量で除した値であり、電力使用の効率性を表わす業務指標である。
図3-52
図3-53
配水量 1m3 当たり電力消費量(業務指標*)
和歌山市水道事業省エネルギービジョンの概要
68
中核市の
平均値
(H19)
0.341
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
3-2-5.国際協力に貢献しているか(国際)
国際貢献への取組
国の取組
日本では現在 90%を超える高い水道普及率となり、水処理に関しても高度な技
術力を持っています。しかし、世界に目を向けると安全な飲料水を利用できない人
口が約11億人存在するといわれています。特にアジア・太平洋地域では約7億人
が安全な飲料水を利用できないという実態があり、日本としてもあらゆる面での支
援を行っていく必要があります。そこで、我が国の水道ビジョンにおいては、水道事
業者や水道関係企業の有する技術・ノウハウを世界市場に提供し、国際競争力を
強化していくことを提唱しています(図3-54参照)。
○安全な飲料水を利用できない人口(2004年度現在)
アジア・太平洋地域:7億人(世界約11億人の約60%)
国連・ミレニアム開発目標(MDGs)
2015年までに、安全な飲料水及び衛生
施設を継続的に利用できない人々の割
合を半減する。
※国連・ミレニアム開発目標(MDGs)とは、2000年9月の国連
ミレニアム・サミットで採択された国連ミレニアム宣言と1990年
代に開催された主要国際会議等で採択された国際開発目標を
統合し、一つの共通の枠組みとしてとりまとめられたもの
日本の技術・経験
○技術面、経営面において世界トップクラスの水道を作り上げてきた経
験や技術を活かし、アジア地域における安全な飲料水確保に向けた取
組を進めることが重要
100
200
80
150
60
100
40
50
20
0
水道普及率(%)
○日本は、全国どこでも蛇口から飲用可能な水が供給されている(2004
年度現在水道普及率97.1%)
水系伝染病患者数(x1,000)
250
○水系伝染病患者の削減に、水道も大きな貢献
0
1900
1925
1950
1975
水道普及率と水系伝染病患者との関係
出典:水道ビジョンフォローアップ検討会資料
図3-54
グローバル化の中における国際協力
本市の状況
国際化に対する積極的な取組について、できる限りの範囲内において、協力・参
加するようにしていますが、海外への技術派遣については実績のない状況です。経
営健全化に取り組んでいる中で、単独派遣は厳しい状況ですが、今後、海外からの
研修生の受入れを始め、国際貢献への取組を進めていくことが必要であると考えて
います。
69
第3章 和歌山市水道事業の現状と課題
紀の川源流付近で息づく生命(その 2)
クロボシヒラタシデムシ
甲虫の一種(シデムシ科)。山地に生息しており、黒色で胸部は赤色、胸部の中央に
斑点があります。
クロボシヒラタシデムシ
70