りんごのカットツリー苗育成において

平成24年度 普及に移す農業技術(第2回)
[分 類] 普及技術
[成果名] りんごのカットツリー苗育成において、ビーエー液剤を7~10回散布することでフ
ェザーがより安定的に発生する。
[要 約] りんごのカットツリー苗(フェザー付き2年生大苗)育成において、ビーエー液剤を
7~10回散布することで、5~50cmのフェザーが10本以上安定的に発生する。
[担 当] 果樹試験場栽培部
[部 会] 果樹部会
1
背景・ねらい
切り戻し、芽かき、ビーエー液剤の複数回散布による、りんご2年生わい性台木苗木(カット
ツリー)の樹冠形成技術が確立され(平成20年度普及技術、図1)、また、りんご新わい化栽培
に適する2年生わい性台木苗木(カットツリー)は、長さ5~50cmのフェザー本数が概ね10本以
上のものが望ましい(平成20年度普及技術)。しかし、実際にはフェザーが10本に満たない規格
外苗も認められ、よりロスの少ないフェザー苗木育成技術が望まれていた。そこで、ビーエー液
剤の多数回散布を試したところフェザー発生促進効果が認められたため、ビーエー液剤の7~10
回散布によるフェザー苗木育成技術を検討した。これまでの農薬登録では、使用回数は5回以内
であったが、平成24年11月7日付けで10回以内に拡大となったので情報提供する。
2 成果の内容・特徴
(1)りんごのカットツリー育成において、ビーエー液剤の散布回数を7~10回とすることで、従来
の5回散布と比べフェザー発生数が増加する。これにより、初期の果実生産に有効な長さ5~
50cmのフェザーを10本以上安定的に発生させることができる。
(2)ビーエー液剤の散布回数を増すことにより、新梢生育後半期にもビーエー液剤の散布が可能に
なり、最上段フェザーより上位の新梢長が短く、早期収量確保に有効な苗木を生産できる。
(3)散布間隔は概ね10日とする。7日間隔で散布すると重複散布になりやすい。重複散布された節
位からは複数のフェザーが発生しやすくなり、フェザーが混みすぎるため好ましくない。新梢の
伸長状況を確認しながら適度な散布間隔を保ち、新たに伸長した新梢先端部にのみ散布する。
図1 カットツリーの育成で、切り戻し、芽かき、ビーエー液剤散布を行う手順(果樹試験場)
a:台木に品種を接ぎ木し 1 年目は 1 本棒状に育成する。
b:発芽前までに、接ぎ木部から 40 cm 程度の高さで切り戻す。
c:展葉を過ぎた頃、頂端付近のおう盛な新梢を 1 本残して、他を取り除く。
d:残した 1 本の新梢の伸長に合わせて、新たに伸長した新梢先端部に、ビーエー液剤を繰り返して散布する(図 2 参照)。
4-1
【散布方法】
前回散布後、新たに伸長した新梢先端部分に対して散布する。
図2
カットツリーの育成で、切り戻した主幹先端部からの新梢に対する
ビーエー液剤の複数回散布の方法
(果樹試験場)
農薬登録内容
ベンジルアミノプリン液剤
[一般名および成分含有量] ベンジルアミノプリン 3.0%
[毒性]人畜毒性:普通物
[魚毒性]A
[対象作物に対する適用登録状況(平成25年2月19日JPPネット確認)]
ベンジルアミノプリンを
含む農薬の総使用
回数
りんご 側芽発生促 50~100倍 新梢伸長時 10回以内 新たに伸長 5~10ml/ 10回以内(但し、
(苗木) 進
した新梢部 苗木
立木全面散布は1
に散布
回以内)
作物名
使用目的
希釈倍数・
使用量
使用時期
本剤の
使用回数
使用方法
散布液量
3 利用上の留意点
(1)散布回数は合計10回以内とする。毎回、新梢の伸長に合わせて新たに伸長した新梢先端部にの
み散布する。
(2)ビーエー液剤の希釈倍数(散布濃度)はこれまでの使用方法に準ずる。フェザーが発生しにく
い「シナノゴールド」、「秋映」、「シナノスイート」などの場合は、登録基準上限の50倍とす
る。フェザーが発生しやすい「ふじ」、「シナノドルチェ」の場合は100倍とする。散布回数を増
加しても散布濃度を薄いと充分なフェザー発生促進効果は得られないので、従来の散布濃度を守
る。
(3)ビーエー液剤の散布は、葉面が十分濡れる程度に行う。新梢の真上方向からだけでなく、横方
向からも散布し、先端部分の小さな葉にも薬液がよく付着するように散布する。
(4)ビーエー液剤の散布後6時間以内の強い降雨は、薬剤の効果を有意に低減させるので、散布後
なるべく降雨の予想されないタイミングで処理するのがよい。
(5)ビーエー液剤を10日間隔で10回散布する場合、苗木の新梢の伸長状態にもよるが、最終回の散
布は8月下旬~9月上旬頃になる。4月上旬以降、この時期までの苗木の生育は非常に重要であ
り、水分ストレスなどの生育抑制があると、ビーエー液剤を散布してもフェザーの発生が得られ
4-2
ないことがある。土壌水分管理や雑草抑制、病害虫防除などを徹底し、健全で良好な苗木の生育
を確保する。
(6)フェザーの発生程度は栽培条件により異なるため、状況に応じて登録の範囲内でビーエー液剤
の散布回数を増減する。充分なフェザー数が確保できる見込みであれば5回以内の散布でもよ
い。
4
対象範囲
県下全域
5 具体的データ
(1) 「ふじ」、「シナノスイート」、「シナノゴールド」のカットツリー苗育成において、ビーエ
ー液剤の5回を上回る多数回散布がフェザー発生に及ぼす影響について、平成22年の調査結果を
表1と図3に示した。いずれの品種でも慣行の5回散布区に比べ、7回散布区、10回散布区とも
に総フェザー長とフェザー本数が多くなった。目標とするフェザー本数は「ふじ」等主要品種で
は5~50cmのフェザーが10本以上である(平成20年度普及技術)。「シナノスイート」、「シナ
ノゴールド」の5回散布区では10本を確保できなかったが、多数回散布とくに10回散布の効果が
高かった。最上段フェザーより上位の主幹新梢長は、慣行の5回区に比べ、「シナノスイート」
の7回区と10回区、「ふじ」、「シナノゴールド」の10回区で50cm以下と短くなった。
表1
「ふじ」、「シナノスイート」、「シナノゴールド」のカットツリー苗育成における
ビーエー液剤の多数回散布がフェザー発生に及ぼす影響
(平成22年、果樹試験場)
主幹延長
フェザー長
フェザー本数 (本/苗)
最上段フェザー
品種
試験区
総長Z
新梢長
平均長Y
(希釈倍数)
以上主幹長W
総本数X
5~50cm
50㎝以上
(㎝)
(cm/苗)
(㎝)
5回
130.1 ± 12.2
344.0 ± 134.5
27.9 ± 7.4
16.3 ± 4.5
10.4 ± 3.6
1.4 ± 1.5
72.5 ±
(㎝)
7回
129.6 ±
3.4
327.1 ± 109.2
25.5 ± 6.1
17.5 ± 3.3
11.9 ± 2.4
0.8 ± 1.1
58.1 ± 17.6
10回
126.4 ±
5.0
422.4 ± 70.2
20.1 ± 4.8
27.3 ± 4.5
19.6 ± 4.0
0.4 ± 0.9
41.0 ± 18.5
5回
108.4 ±
9.6
120.0 ± 62.0
12.2 ± 3.3
14.6 ± 2.9
8.6 ± 3.6
0.1 ± 0.3
57.2 ±
8.4
ふじ
(100倍)
6.9
シナノスイート
7回
114.0 ± 13.2
171.8 ± 90.5
14.9 ± 3.3
16.3 ± 4.8
10.1 ± 4.5
0.0 ± 0.0
49.9 ± 12.4
10回
117.2 ±
8.2
307.8 ± 103.7
14.4 ± 2.5
25.1 ± 3.6
19.9 ± 3.1
0.0 ± 0.0
34.7 ±
3.9
5回
114.0 ±
9.1
139.7 ± 58.9
19.1 ± 12.7
14.5 ± 2.8
7.2 ± 3.4
0.3 ± 0.5
74.0 ±
9.6
7回
118.3 ±
9.4
166.0 ± 72.1
14.0 ± 3.5
17.3 ± 4.4
10.1 ± 3.3
0.3 ± 0.5
71.3 ± 16.1
10回
119.3 ±
6.8
373.9 ± 109.0
16.3 ± 2.0
28.7 ± 5.0
21.6 ± 5.4
0.1 ± 0.3
48.6 ±
(50倍)
シナノゴールド
(50倍)
平均値±標準偏差。Z:1cm以上のフェザー長の合計。Y:5cm以上のフェザー長の平均。X:1cm以上のフェザー本数。W:
最上段のフェザーよりも上の主幹延長新梢の長さ。
果樹試高山村ほ場のM.9ナガノ台木1年生苗(前年M.9ナガノに接ぎ木した株を定植し一本棒状に生育させた苗を移植せず
据え置き))を供試。区制:「ふじ」は1区20樹、「シナノスイート」は1区7~8樹、「シナノゴールド」は1区12樹)。
施肥量:N-約5kg/10a P、K無施用。台木長約40cm。地上部台木長約20cm。栽植距離:0.3m×1.0m。切り返し:4月8日。
芽かき:5月16日に先端1芽(最も伸長のよい新梢)を残して実施。
ビーエー液剤濃度を「シナノゴールド」、「シナノスイート」は50倍、「ふじ」100倍とした。
初回散布は新梢が20㎝伸びた頃とし、「ふじ」「シナノスイート」は5月31日、「シナノゴールド」は6月7日に新梢全体
に散布した。散布間隔は散布回数により各品種5回区(10日間隔(慣行・対照区))、7回区(10日間隔)、10回区(7日間
隔)とした。2回目以降は定法により5ml/苗程度を散布した。最終散布は「ふじ」「シナノスイート」5回区:7月10日、
7回区:7月30日、10回区:8月2日。「シナノゴールド」5回区:7月20日、7回区:8月9日、10回区:8月9日。
4-3
6.1
5回区
フェザー本数
フェザー総長
図3
10本
403㎝
7回区
10回区
12本
403㎝
22本
553㎝
「ふじ」のカットツリー苗育成におけるビーエー液剤の多数回散布が
フェザー発生に及ぼす影響
(平成22年、果樹試験場)
注)耕種概要等は表1に同じ
(2)「ふじ」、「シナノスイート」、「シナノゴールド」、「秋映」のカットツリー苗に対するビ
ーエー液剤5回を上回る多数回散布がフェザー発生に及ぼす影響について、平成23年の調査結果
を表2に示した。いずれの品種も10回散布区でフェザー発生が顕著に促進され、「シナノスイー
ト」7回区でも慣行の5回散布区と比べフェザー本数が増加した。「ふじ」では50cm以上の長大
なフェザーの本数が7回散布区と10回散布区で少なくなった。最上段フェザーより上位の主幹新
梢長は「ふじ」、「シナノスイート」、「シナノゴールド」において7回区、10回区とも慣行の
5回区に比べ短くなった。
4-4
表2
「ふじ」、「シナノスイート」、「シナノゴールド」、「秋映」のカットツリー苗育成に
おけるビーエー液剤の多数回散布がフェザー発生に及ぼす影響
(平成23年、果樹試験場)
主幹延長
フェザー本数 (本/苗)
フェザー長
最上段フェザー
品種
Z
試験区
新梢長
総長
Y
(㎝)
以上主幹長W
平均長
(希釈倍数)
総本数X
5~50cm
50㎝以上
(cm/苗)
(㎝)
5回
140.8 ±
9.4
446.1 ± 102.8
29.1 ± 3.6
18.6 ± 4.2
12.7 ± 3.0
2.3 ± 0.8
56.0 ± 18.8
(㎝)
7回
144.8 ± 11.6
403.0 ± 120.8
22.9 ± 5.1
20.8 ± 3.9
15.9 ± 3.1
1.0 ± 1.2
40.1 ±
ふじ
8.7
(100倍)
10回
147.8 ± 13.8
398.0 ± 150.5
19.2 ± 4.9
26.9 ± 7.0
18.6 ± 4.5
0.7 ± 1.1
27.3 ±
8.2
5回
120.8 ± 10.0
352.3 ± 89.0
15.3 ± 3.3
28.7 ± 3.7
21.3 ± 1.7
0.4 ± 0.5
51.3 ±
6.4
7回
129.1 ±
7.6
358.1 ± 70.2
12.8 ± 1.6
36.3 ± 3.8
25.7 ± 3.1
0.0 ± 0.0
43.1 ±
5.9
10回
138.9 ± 10.2
474.9 ± 87.6
12.9 ± 1.9
45.3 ± 5.3
34.8 ± 2.3
0.0 ± 0.0
33.0 ±
7.1
5回
117.0 ± 14.6
190.8 ± 109.5
16.9 ± 6.0
21.2 ± 4.5
10.0 ± 5.7
0.4 ± 0.5
53.6 ± 13.0
7回
119.4 ± 11.6
181.1 ± 78.0
11.5 ± 2.1
27.0 ± 5.3
12.4 ± 5.1
0.0 ± 0.0
32.3 ±
10回
129.3 ± 14.7
294.3 ± 137.8
13.0 ± 3.3
36.1 ± 7.7
18.3 ± 6.9
0.1 ± 0.4
24.5 ± 11.5
5回
126.4 ± 11.4
187.3 ± 79.7
16.7 ± 5.8
19.2 ± 2.5
10.1 ± 5.3
0.8 ± 0.8
58.6 ± 11.3
125.0 ± 13.0
252.0 ± 125.9
13.5 ± 3.9
26.6 ± 3.2
15.6 ± 5.2
0.5 ± 0.8
51.8 ± 10.6
シナノスイート
(50倍)
シナノゴールド
7.2
(50倍)
秋映
(50倍)
10回
平均値±標準偏差。Z:1cm以上のフェザー長の合計。Y:5cm以上のフェザー長の平均。X:1cm以上のフェザー本数。W:最
上段のフェザーよりも上の主幹延長新梢の長さ。
果樹試場内42号ほ場のM.9ナガノ台木1年生苗(前年M.9ナガノに接ぎ木した株を定植し一本棒状に生育させた苗を移植せず
据え置き)を供試。区制:「ふじ」は1区10樹、「シナノスイート」は1区7~9樹、「シナノゴールド」は1区7~10樹、
「秋映」は8~9樹。施肥量:無施肥。 台木長約40cm。地上部台木長約20cm。栽植距離:0.3m×1.0m。
ビーエー液剤散布はハンドスプレーを用い、初回散布は新梢が20㎝伸びた頃とし、「ふじ」は5月31日、「シナノスイート」、
「秋映」は6月3日、「シナノゴールド」は6月10日に新梢全体に散布した。散布間隔は各処理区とも10日間隔。2回目以
降は定法により5ml/苗程度を散布した。最終散布は「ふじ」5回区:7月8日、7回区:7月29日、10回区:8月29日。「シ
ナノスイート」と「秋映」5回区:7月14日、7回区:8月3日、10回区:9月1日。「シナノゴールド」5回区:7月18日、
7回区:8月9日、10回区:9月7日。
(3)「秋映」のカットツリー苗に対するビーエー液剤5回を上回る多数回散布がフェザー発生に及
ぼす影響について、平成24年の調査結果を表3に示した。7回散布区、10回散布区ともフェザー
本数が5回散布区と比べ顕著に増加し、フェザー発生促進効果が認められた。また、最上段フェ
ザーより上位の主幹新梢長は、7回散布区、10回散布区とも5回散布区と比べ短くなった。
表3
「秋映」のカットツリー苗育成におけるビーエー液剤の多数回散布がフェザー発生に
及ぼす影響
(平成 24 年、果樹試験場)
主幹延長
フェザー長
フェザー本数 (本/苗)
最上段フェザー
品種
試験区
新梢長
総長Z
平均長Y
以上主幹長W
総本数X
(希釈倍数)
(㎝)
(cm/苗)
5~50cm
50㎝以上
(㎝)
(㎝)
秋映
5回
148.2 ± 14.4
385.5 ± 148.6
26.8 ± 5.5
18.3 ± 5.1
11.9 ± 3.7
1.8 ± 1.5
55.5 ± 20.4
(50倍)
7回
153.1 ± 15.1
504.8 ± 116.4
23.8 ± 3.7
24.3 ± 2.0
20.0 ± 3.0
0.8 ± 0.7
45.3 ± 12.8
10回
164.7 ± 11.4
749.1 ± 178.5
24.3 ± 3.7
34.9 ± 2.8
28.1 ± 3.8
1.8 ± 1.6
39.3 ±
6.3
平均値±標準偏差。Z:1cm以上のフェザー長の合計。Y:5cm以上のフェザー長の平均。X:1cm以上のフェザー本数。W:
最段のフェザーよりも上の主幹延長新梢の長さ。
果樹試場内25、26号ほ場のM.9ナガノ台木1年生苗(前年M.9ナガノに接ぎ木した株を定植し一本棒状に生育させた苗を移植
せず据え置き)を供試。区制:1区11~9樹。施肥量:N-P-K:6.4-2.4-3.6kg/10a。 台木長約40cm。地上部台木長約20cm。
栽植距離:0.3m×1.0m。ビーエー液剤散布はハンドスプレーを用い、初回散布は新梢が20㎝伸びた頃の6月1日に新梢全
体に散布した。散布間隔は各処理区とも10日間隔。5回区は14日間隔、7回区と10回区は10日間隔とし、2回目日以降は
定法により5ml/苗程度を散布した。最終散布は5回区:7月26日、7回区:7月31日、10回区:8月30日。
4-5
(4)「ふじ」、「シナノスイート」、「シナノゴールド」、「秋映」のカットツリー苗に対する5
回を上回るビーエー液剤多数回散布が、良質なフェザー苗(5~50cmのフェザーが10本以上発生
した苗)の育成に及ぼす影響について、平成22、23、24年の調査結果を表4に示した。5~50cm
のフェザーが10本以上ある苗の割合で評価した。いずれの年次、いずれの品種でも、慣行の5回
散布に比べて、7回散布区、10回散布区ともフェザーが10本以上ある苗の割合が著しく高くなり、
10本未満のいわゆる格外品の割合が減少した。
表4
りんご主要品種のカットツリー苗育成におけるビーエー液剤の多数回散布が、
良質なフェザーの育成に及ぼす影響
(平成22~24年、果樹試験場)
試験年次
(試験ほ場)
平成22年
(高山村ほ場)
品種
(希釈倍数)
ふじ
(100倍)
シナノスイート
(50倍)
シナノゴールド
(50倍)
平成23年
(場内42号ほ場)
ふじ
(100倍)
シナノスイート
(50倍)
シナノゴールド
(50倍)
平成24年
(場内25、26号ほ場)
秋映
(50倍)
秋映
(50倍)
散布回数
(回)
5
7
10
5
7
10
5
7
10
5
7
10
5
7
10
5
7
10
5
10
5
7
10
5~50㎝のフェザー
10本以上の苗の割合(%)
55.0
75.0
100
37.5
50.0
100
16.7
66.7
100
90.0
100
100
100
100
100
80.0
71.4
100
55.6
75.0
72.7
100
100
耕種概要等
平成22年:表1に同じ。平成23年:表2に同じ。平成24年:表3に同じ。
(5)「ふじ」、「シナノスイート」、「シナノゴールド」のカットツリー苗育成におけるビーエー
液剤の多数回散布の散布間隔が、同節位のフェザーの複数発生に及ぼす影響について表5に示し
た。同節位のフェザー複数発生は、散布間隔が10日の場合は、10回散布でもさほど多くはなかっ
たが、7日間隔の10回散布では著しく増加した。7日間隔で散布すると、重複して薬液が掛かる
葉があり、その節位が複数のフェザーが発生する可能性が高いと考えられた。同節位からのフェ
ザーの複数発生は、フェザーが混み合い好ましくないので、7日程度の散布間隔は短いと考えら
れた。
4-6
表5
りんごのカットツリー苗育成におけるビーエー液剤の多数回散布の散布間隔が、
同節位のフェザーの複数発生に及ぼす影響
(平成23年、果樹試験場)
試験区
品種
(希釈倍数)
散布間隔(日)
ふじ
(100倍)
シナノスイート
(50倍)
シナノゴールド
(50倍)
散布回数(回)
10
10
7
10
10
7
10
10
7
5
10
10
5
10
10
5
10
10
同節位フェザー
発生ヵ所数Z
(ヵ所/苗)
0.1
0.4
3.0
2.9
4.1
10.3
0.2
0.8
5.3
Z:苗1本あたり、同節位からフェザーが2本以上発生している節位数。
果樹試場内42号ほ場のM.9ナガノ台木1年生苗(前年M.9ナガノに接ぎ木した株を定植し一本棒状に生育さ
せた苗を移植せず据え置き)を供試。区制:「ふじ」は1区10樹、「シナノスイート」は1区7~9樹、「シ
ナノゴールド」は1区7~10樹、施肥量:無施肥。 台木長約40cm。地上部台木長約20cm。栽植距離:0.3m
×1.0m。ビーエー液剤散布はハンドスプレーを用い、初回散布は新梢が20㎝伸びた頃とし、「ふじ」は5月
31日、「シナノスイート」、「シナノゴールド」は6月10日に新梢全体に散布した。散布回数と散布間隔に
より、10日間隔-5回区、10日間隔-10回区、7日間隔-10回区とした。2回目以降は定法により5ml/苗程
度を散布した。最終散布は「ふじ」:10日間隔-5回区7月8日、10日間隔-10回区8月29日、7日間隔-
10回区8月3日。「シナノスイート」:10日間隔-5回区7月14日、10日間隔-10回区9月1日、7日間隔
-10回区8月3日。「シナノゴールド」:10日間隔-5回区7月18日、10日間隔-10回区9月7日、7日間
隔-10回区8月11日。
6
特記事項
[公 開]限定なし。
[課題名、研究期間、予算区分]
台木利用等による果樹わい化栽培技術 平成 20~24 年度(2008~2012 年度)、県単素材開発
4-7