稲作生産情報第6号 - アップルネット

稲作生産情報第6号
平成22年7月23日
青森県「攻めの農林水産業」推進本部
○ 適切な水管理で、幼穂の保護と根の老化防止に努めよう!
○ いもち病や斑点米カメムシ類の防除を徹底しよう!
1 県生育観測ほの生育状況
(1)生育状況(7月15日現在)
草丈、葉齢は平年を上回り、茎数は下回った。
(2)幼穂形成期の到達状況
ア 「つがるロマン」は、津軽地域が平年より3日早い7月11日、県南地域は
6日早い7月9日となった。
イ 「まっしぐら」は、津軽地域で平年より4日早い7月7日、県南地域は5日
早い7月10日となった。
表−1 生育観測ほの生育状況(7月15日現在)
各地域県民局地域農林水産部農業普及振興室調べ
地 域
草丈(cm)
茎数(本)
㎡当たり茎数(本)
葉齢(葉)
幼穂形成期
品種名
(地点数) 本年 平年 平年比 本年 平年 本年 平年 平年比 本年 平年 平年差 本年 平年
つがる
ロマン
まっし
ぐら
かけはし
注
平年差
津軽(7) 70.7 58.8 120 20.8 23.1 426
522
82
11.3 11.0 +0.3 7/11 7/14 3日早
県南(2) 72.1 60.6 119 19.2 20.0 438
460
95
11.5 11.0 +0.5 7/ 9 7/15 6日早
全県(9) 71.0 59.2 120 20.4 22.4 428
508
84
11.4 11.0 +0.4 7/11 7/14 3日早
津軽(6) 72.9 63.9 114 19.5 22.7 415
486
85
11.0 10.6 +0.4 7/ 7 7/11 4日早
県南(7) 71.8 60.8 118 19.7 22.4 436
502
87
10.7 10.1 +0.6 7/10 7/15 5日早
全県(13) 72.3 62.2 116 19.6 22.5 426
494
86
10.8 10.3 +0.5 7/ 9 7/13 4日早
下北(1) 57.6 53.3 108 15.7 20.6 349
452
77
9.7
9.7 ±0 7/ 9 7/13 4日早
平年値は調査地点により異なり、
「つがるロマン」が過去12∼14か年、「まっしぐら」が過去3∼
5か年、
「かけはし」が過去11か年の平均値。
2 農林総合研究所作況田の生育状況
(1)生育状況(7月20日現在)
黒石は、草丈が平年よりかなり長く、株当たり茎数は並み、葉齢は0.4葉多
かった。
十和田は、草丈は平年よりかなり長いが、株当たり茎数は少なく、葉齢は0.9
葉多かった。
(2)幼穂形成期の到達状況
黒石の「つがるロマン」は7月12日で平年より1日早く、十和田の「まっし
ぐら」は7月8日で4日早かった。
- 1 -
表−2
農林総合研究所作況田の生育状況(7月20日現在)
場 所
品 種 名
黒 石
草 丈 (cm)
茎 数 (本/株)
つがるロマン
本年
84.3
平年
64.6
平年差
+19.7
前年
63.6
本年
27.6
平年
27.2
十和田
まっしぐら
83.6
66.6
+17.0
69.5
18.9
22.8
場 所
品 種 名
黒 石
十和田
つがるロマン
まっしぐら
本年
585
459
茎 数 (本/㎡)
平年 平年差
576
609
+ 9
-150
平年差 前年
+0.4 32.2
-3.9
27.2
前年
本年
葉 齢(葉)
平年
平年差 前年
683
661
12.0
11.9
11.6
11.0
+0.4
+0.9
11.4
10.8
表−3 作況田における幼穂形成期、出穂期
場 所
品 種 名
幼穂形成期
出穂期
本年
平年
平年差
前年
本年
平年
前年
黒 石
つがるロマン 7/12
7/13
1日早
7/15
未
8/ 5
8/ 7
十和田
まっしぐら
7/ 8
7/12
4日早
7/13
未
8/ 8
8/11
注1 黒石は(地独)青森県産業技術センター農林総合研究所水稲栽培部、十和田は同藤坂稲作部の
作況試験のデータ。
2 移植日は、黒石が5月20日、十和田が5月14日
3 栽植株数は、黒石が21.2株/㎡、十和田が24.3株/㎡(平成17∼20年:27.5株/㎡)
4 平年値は、黒石「つがるロマン」は前3か年の平均値で、十和田「まっしぐら」は前5か年
の平均値。
3
出穂期の見通し
生育観測ほは、現在、多くの地点で穂ばらみ期(障害不稔危険期)となっている
ことから、出穂期は、津軽地域で7月29日∼8月4日頃、県南地域で7月30日
∼8月9日頃と予想される。
表−4
生育観測ほ「つがるロマン」の生育ステージ予測
地 点
移植日
5/17
5/23
5/19
5/14
5/17
5/16
青森
弘前
五所川原
鰺ヶ沢
三戸
十和田
表−5
移植苗
の葉齢
3.5
2.9
3.6
3.1
2.3
3.4
幼 穂
形成期
7/11
7/13
7/10
7/ 9
7/10
7/ 9
障害不稔危険期
始め
終わり
7/20
7/27
7/21
7/29
7/19
7/27
7/19
7/26
7/20
7/27
7/19
7/26
出穂期
8/
8/
8/
8/
8/
8/
3
4
2
1
3
2
生育観測ほ「まっしぐら」の生育ステージ予測
地 点
五所川原
つがる市車力
八戸
三戸
十和田
七戸
移植日
5/19
5/15
5/16
5/17
5/21
5/18
移植苗
の葉齢
3.5
2.7
3.2
2.9
3.1
2.8
幼 穂
形成期
7/ 5
7/ 4
7/13
7/ 4
7/ 9
7/10
障害不稔危険期
始め
終わり
7/15
7/21
7/13
7/20
7/22
7/30
7/14
7/21
7/19
7/26
7/20
7/27
出穂期
7/30
7/29
8/ 9
7/30
8/ 4
8/ 6
注)つがるロマン、まっしぐらとも、予測はアップルネットの「水稲生育診断」を使用した。
気象データは、7月20日までは本年値、それ以降は平年値を使用した。
- 2 -
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これからの農作業と管理
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<水管理>
1 穂ばらみ期
① これから出穂前までの期間に、平均気温が20℃以下、又は最低気温が17℃
以下になると予想される場合は、15cm以上の深水管理を徹底する。
② 高温が続く場合は、4cm程度の浅水にし、時々水の入れ替えや掛け流しかんが
いを行い、根の老化を防止する。特に、湿田、稲わらすき込み田及び耕作放棄地
から復元した水田では積極的に行う。
③ 水田の見回りを強化し、こまめな水管理と畦畔及び水口の整備・補強などによ
り、水温の調節や節水等に努める。
2 出穂・開花期
① 出穂後10日間は、最も水を必要とする時期なので、開花・受精に支障のない
ように5∼6cm位の水深を保つ。
② 低温(平均気温20℃以下)が続く場合には、開花・受精に障害となるため、
10cm程度の深水にして保温する。
3 登熟期
① 登熟期は2∼3㎝程度の浅水とし、中干しが不十分だった水田や湿田などでは
根の老化を防止するため土壌に軽く亀裂が入る程度の間断かんがいを行う。
② 低温(最低気温15℃以下)が予想される場合は、10㎝程度の深水にする。
4 落水時期
① 落水時期が早すぎると、玄米の肥大が抑えられ、収量や品質・食味の低下を招
くので、湿田では出穂後20∼25日、乾田では出穂後30∼35日を目安に落
水する。
<病害虫防除>
1 いもち病
(1)葉いもち
葉いもちの発生が各地で確認されており多発が予想される。早期発見・早期防
除に努め、穂いもちの感染源となる上位葉への感染を防ぐ。
(2)穂いもち
穂いもちの防除は、予防防除を基本とし、防除適期を逃さないようにする。
【茎葉散布剤による防除】
① 出穂直前と穂揃期の2回散布を行う。
表−6 散布時期の判断の目安
散布時期
判 断 の 目 安
出穂直前 ほ場で走り穂が見えたとき
穂揃期
ほ場で8割の穂が出穂したとき(ただし、出穂期間が低温に
より長引いた場合は、穂揃期に達していなくても出穂直前散
布7日後頃に散布する)
- 3 -
②
上位葉に葉いもちが発生している場合は、穂揃期5∼7日後にも再度散布
を行う。
【水面施用剤による防除】
① 水面施用剤ごとに使用時期が異なるので、防除適期を逃さないよう、よく
確認して使用する。
・アチーブ粒剤7、アチーブ1キロ粒剤24は、出穂20∼10日前に散布
する。
・コラトップ粒剤5、コラトップジャンボは、出穂15∼5日前に散布する。
・キタジンP粒剤は、出穂10∼7日前に散布する。
② コラトップ剤は、穂いもちの多発が予想される場合には、出穂直前と穂揃
期の茎葉散布も併せて行う。
③ キタジンP粒剤、アチーブ剤は、穂いもちの多発が予想される場合は、穂
揃期以降の茎葉散布も併せて行う。
④ 水面施用剤は、止水期間を1週間程度とする。その間の入水は水尻を止め
たままで行う。
【耐性菌対策】
次のグループの薬剤は同一薬剤とみなされるので、耐性菌出現を防ぐため連
続使用しない。
表−7
同一薬剤とみなされるグループ
グループ
A
B
C
薬 剤 名
ウィン剤、デラウス剤、アチーブ剤
嵐剤、オリブライト剤、アミスター剤
キタジンP剤、ヒノザン剤、フジワン剤
2 稲こうじ病
(1)穂ばらみ期の低温、少照、多雨で発生が多くなる。また、窒素施肥量が多い場
合も発生が多くなる傾向があるので、適正な施肥管理に努める。
(2)前年発生の見られた水田では、出穂20∼10日前に薬剤散布する。
3
斑点米カメムシ類
斑点米を発生させる主要カメムシのアカヒゲホソミドリカスミカメは、第1世代
(第2回目成虫:7月の世代)の発生量がやや多くなると予想されている。また、
7月の気温が高く、少雨で経過していることから、本格的に水田内に侵入する第2
世代がやや多い∼多くなると予想されるため、次のように適期防除等を徹底する。
(1)茎葉散布剤による防除
○1回防除
① 茎葉散布剤の施用時期に応じて適期防除を行う。
・キラップフロアブル、キラップ粉剤DLは、穂揃期∼穂揃7日後に散布す
る。
・ジノテフラン液剤(スタークル液剤10、スタークルメイト液剤10)、
ジノテフラン顆粒水溶剤(スタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水溶剤)
、
ジノテフラン粉剤(スタークル粉剤DL、アルバリン粉剤DL)、ダント
ツ水溶剤、ダントツフロアブル、ダントツH粉剤DLは、穂揃7∼14日
後に散布する。
- 4 -
②
登熟後期にカメムシ類が多い場合は、追加防除を行う。
○ 2回防除体系
① 1回目の防除を穂揃期に行い、その7∼10日後に2回目の防除を行う。
② その後もカメムシ類の発生が多い場合は、2回目防除の7∼10日後に3
回目の防除を行う。なお、天候不順によりイネの登熟が遅れている場合は、
散布時期を遅らせる。
(2)水面施用剤による防除 ※
① 水面施用剤の施用時期に応じて適期防除を行う。
・ダントツ粒剤は、出穂5日前∼穂揃期に施用する。
・スタークル粒剤、アルバリン粒剤、スタークル1キロH粒剤、スタークル
メイト1キロH粒剤は、穂揃期∼穂揃14日後に施用する。
② 天候不順によりイネの出穂期間が長くなると予想される場合は、各薬剤と
も散布時期を5日程度遅らせる。
③ 水面施用剤は、止水期間を1週間程度とする。その間の入水は水尻を止め
たままで行う。
※ 水面施用剤は、ドリフトを絶対避ける必要がある場合などに使用する。
(3)薬剤散布は、水田だけでなく畦畔や水田周辺の雑草地にも行い、地域ぐるみで
の実施や広域一斉散布で防除効果を高める。
(4)出穂期間近の草刈りは、斑点米カメムシ類を水田に追い立てることになるので
行わない。出穂2週間前∼出穂後4週間の間にやむを得ず草刈りを行う場合は、
雑草地に殺虫剤を散布した後に行う。
(5)これまで下北、東青地域で発生していたアカスジカスミカメについては、近年、
県南地域でも発生が拡大していることから、同様に防除に努める。
4 ホールクロップサイレージ(WCS)及び飼料用米の病害虫防除
(1)ホールクロップサイレージ(WCS)
① いもち病及び斑点米カメムシ類の防除には、水稲に登録されている農薬のう
ち、畜産物への残留性が低いものを使用することとし、農薬の選定に当たって
は、地域の農業普及振興室、農協等の指導を受ける。
② WCS用イネの収穫は、主食用イネより1週間∼10日程度早い時期(黄熟
期)に行われるため、農薬の使用に当たっては、農薬のラベルに記載されてい
る収穫前日数を遵守する。
(2)飼料用米
① 籾米のまま、もしくは籾殻を含めて家畜に給与する場合は、穂が見える前に
散布を終える。
② 出穂期以降に農薬の散布を行った場合には、家畜へは籾摺りをして玄米で給
与する。
5
薬剤散布上の注意
① クリーンライスや特別栽培米等について、それぞれ定めた農薬の使用計画を
確認し、その範囲内で使用する。
② 散布の際は、近隣の転作大豆、野菜、WCS等の農作物に飛散しないよう十
分注意する。
③ 養蜂地では、ミツバチや巣箱に農薬がかからないよう、散布前に養蜂業者に
散布計画を伝達するなど情報交換に努める。また、ハチ類への毒性がある農薬
の使用を避ける。
- 5 -
<台風対策>
① 大雨に備えて排水路や畦畔の整備を行う。
② 台風通過時に高温・乾風が予想される場合は、6㎝程度のやや深水にして稲
体の水分を維持し、乾燥による不稔の発生等を抑制する。
③ 冠水や浸水した場合は速やかに排水し、土砂の流入等があった場合は、速や
かに排除する。
④ 倒伏した場合は、なるべく早く稲株を引き起こし、登熟の促進に努める。
⑤ 海沿いの水田で、潮風害を受けた場合は、直ちに散水して塩分を洗い流す。
∼
みんなで防ごう!カメムシ被害
∼
薬剤散布は、水田のほか畦畔や周辺の雑草地にも行い、地域ぐるみで被害防止
に努めよう!
∼「農薬危害防止運動」実施中(6月1日∼8月31日)∼
○農薬使用の前に、必ずラベルを確認し、記載されている「使用基準」を守りま
しょう。
○散布の際は、農薬の飛散を防ぐなど、周辺の環境や農作物に配慮しましょう。
○水田から河川への農薬流出を防ぎましょう。
○農薬を使ったら「使用記録」を残し、全ての農薬は安全な場所に施錠して保管
しましょう。
○健康管理に注意し、農薬中毒などの事故を防ぎましょう。
○農薬を使用する場合には、必ず最新の農薬登録内容を確認してください。
<農林水産省「農薬情報」(http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_info/)>
∼
県産米レベルアップ作戦
∼
○「県産米7・8・9作戦」を徹底して食味・品質の底上げを図り、ブレのない
米づくりで、商品力アップに努めよう!
○自分の水田の土壌タイプに合った、きめ細かな栽培管理を行おう!
「県産米7・8・9作戦」の生産目標
玄米たんぱく質含有率7.0%以下、整粒歩合80%以上、1等米比率90%以上
-----------------------------------連 絡 先 農産園芸課稲作振興グループ
県庁内線 3456・3457
直
通 017−734−9480
------------------------------------
◎
次回の稲作生産情報の発行予定は9月10日(金)です。
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