澤口会計事務所８月号２０１３年７月３１日武蔵野市境２－１３－４コスモス２Ｆ TEL 0422-67-0948 FAX 0422-67-0964 E-mail [email protected] 税理士澤口豊＜じぇじぇ！平山郁夫氏の相続で脱税～自宅に現金 2 億円！～＞驚いた時は「じぇじぇ！」が昨今ブームです。ということで毎朝、連続テレビ小説を見てから出勤しています。以前は 8 時過ぎに出かけていましたが意外にもエレベータが混雑するのでこれを避けるため時間を少しずらしました。油断すると「あまちゃん」の感想を話す有働さんらに引き込まれそのまま「あさイチ」も見てしまいます。それはさておき、平成 21 年に亡くなった日本画家・平山郁夫氏の遺産相続をめぐり、その妻、平山美知子氏（87 歳）が東京国税局から遺産隠しを指摘されていたことがわかりました。平山郁夫氏が絵画を売却して得た現金 2 億円を自宅に保管していたが、これを除外して申告していたとのことです。重加算税を含めた追徴税額は約 1 億 5 千万円にのぼるとみられており、既に修正申告をして納税も済ませたそうです。老い先そう長くはないと思われる年齢、相当な財産もあろうに「なぜ」というのが率直な感想です。お金持ちの心理は当方には理解できません。文化勲章受賞者でもある故人がこのような形で再び脚光を浴びてしまいあわれに感じます。この他に作品の著作権の評価額が過少だったとして約 1 億円の申告漏れが指摘されていますが、美知子氏側はこの処分を不服として国税不服審判所に審査請求したとみられています。遺産のうち、絵画などの美術品約 9 億円とアトリエなどに使用されていた不動産約 2 億 3 千万円など合計 11 億 4 千万円は、公益法人「平山郁夫シルクロード美術館」に寄付され非課税でした。まず現金 2 億円について考えてみます。自宅のタンスの中の紙袋から発見されたそうですが、事前に調査官があたりをつけて調査に臨んだ可能性が高いと思います。被相続人の所得からあるべき現預金を推測し、申告額が少なければ原因を探ります。不動産など他の財産に代わっていないかなど通帳や各種書類を調べたり相続人に聞き取り確認していきます。絵画の売却代金とのことですが、申告をした年の通帳に入金がなければ現金として残っているはず、なければどうしたか相続人に聞く、自宅内を捜索するなどしてタンス預金に行きついたのでしょう。相続税の税務調査での申告漏れ財産で一番多いのは現預金です。従って通常の相続税の税務調査においても、タンスまでは調べないまでも通帳などを保管している金庫、金融機関の貸金庫などを調べることはよくあります。預金の内、被相続人が所有管理している子供等の名義の通帳などいわゆる「名義貸し」財産は被相続人の財産、申告が必要ですが除外しているケースが散見されます。相続直前に銀行から引き出した現金も同様です。相続財産を隠していたと認定されると重加算税として本税の 35％の追加課税が発生します。自宅にあった 2 億円の現金、意図的に隠していたと認定され重加算税の対象とされました。仮に「じぇじぇ！こんな所にこんなにお金が～！」ということであれば隠していたことにはならないので重加算税は課されなかったかもしれません（あくまでも知らなかった場合です）。次に著作権についてみていきます。著作権の評価額は以下の算式で計算されます。年平均印税収入の額（過去 3 年間の平均） × 0.5 × ※評価倍率 ※精通者の意見等を基に推算した印税収入期間に応じて計算した倍率これについて妥当な金額（評価倍率）を算出するのは難しいところです。精通者の意見とされていますが、経済評論家が今後の株価を予想するがごとしです。見解の相違があってもおかしくありませんから平山美知子氏の請求は理解できる部分です。最後に公益法人「平山郁夫シルクロード美術館」に寄付され非課税とされた財産についてみていきます。相続財産については非課税のものが限定列挙されています。以下一般的なものです。（１）墓地、墓石、仏壇など（２）相続人が受け取る死亡保険金のうち 500 万円×法定相続人の数まで（３）相続人が受け取る死亡退職金のうち 500 万円×法定相続人の数まで（４）申告期限までに国等に贈与した財産上記（４）の国等には、国、地方公共団体、公益法人、国公立学校、私立学校などが含まれます。従って公益法人である「平山郁夫シルクロード美術館」に寄付された財産は非課税となりますが、美知子氏が理事長を務めているというところが少々気になります。＜国外財産調書制度～罰則規定があります＞一定の国外財産を有する場合、税務署にその明細書を提出する制度が創設されました。国外財産に係る所得や相続財産の申告漏れが近年増加傾向にあり、その防止対策として設けられました。罰則規定があります。その年の 12/31 時点において 5,000 万円を超える国外財産を保有する方は、その年の翌年 3/15 までに国外財産の明細を記載した調書を税務署に提出しなければなりません。評価額は 12/31 時点の「時価」又は時価に準ずる「見積価額」です。日本円で記入するため 12/31 の為替レートで円換算する必要があります。明細書の記入内容は以下の通りです。（１）不動産区分（土地、建物）、用途（事業用、一般用）、所在地、面積、価額等（２）預貯金種類（普通預金、定期預金）、用途（事業用、一般用）、金融業者名、住所、価額等（３）有価証券種類（銘柄等）、金融業者名、住所、数量、価額等上記以外の財産についても、資産内容、種類、用途、所在地等を記入します。なお預貯金については、その預貯金を預け入れた金融業者の営業所の所在地で判断します。外国銀行の預金でも日本支店に預け入れてあれば申告の対象外です。逆に邦銀の外国支店に預け入れたものは申告の対象になります。有価証券も同様、口座を開設した金融業者の営業所の所在地により判断します。従って海外の有価証券でも日本に所在する金融業者を通じて取引したものについては対象外になります。逆に、海外の営業所で取引したものは例え日本の株式であっても申告の対象になります。当初は国内の営業所で購入した海外株式等も申告の対象となっていましたが、国内の金融業者を通じて取引したものについての財産把握はたやすいことと投資家の負担が大きいことから改められました。正当な理由がなく国外財産調書を提出しなかった場合や、虚偽記載については、1 年以下の懲役又は 50 万円以下の罰金に処されます。＜路線価発表～5 年連続の下落も下げ止まり傾向～＞ 7/1、国税庁が今年の路線価を発表しました。全国平均では 5 年連続下落したものの、下落幅は前年の 2.8％から 1.8％と減少しました。都道府県庁所在地の最高路線価を比較してみると 7 市が増加しています。その中で上昇率 1 位は金沢市の 6.3％。平成 27 年春開業予定の北陸新幹線の延伸が影響しているものとみられます。次いで 5.8％の那覇市。3 位は 5.1％の横浜市でした。最高路線価は 28 年連続で中央区銀座 5 丁目鳩居堂前で昨年と同額の 2,152 万円／㎡でした。東京スカイツリー開業効果により台東区浅草 1 丁目雷門通りが 9％上昇し 146 万円／㎡でした。大阪では大阪市阿倍野区阿倍野筋 1 丁目が 35.1％も上昇しました（154 万円／㎡）。高さ 300ｍ、日本一の超高層ビル、来年春開業（一部開業済み）の「あべのハルカス」など再開発が影響しているようです。＜８月の税務など＞・７月分源泉所得税、住民税の特別徴収税額の納付納付期限８月１２日（月）・６月決算法人の確定申告（法人税等、消費税等）申告期限９月２日（月）・１２月決算法人の中間申告（法人税等、消費税等）申告期限９月２日（月）・消費税の年税額４００万円超の３月、９月、１２月申告期限９月２日（月）決算法人の中間申告・個人事業者の当年分の消費税等の中間申告申告期限９月２日（月）・個人事業税の第１期分の納付８月中において都道府県の条例で定める日・個人の住民税の第２期分の納付８月中において市町村の条例で定める日・健康保険・厚生年金保険の賞与支払届の提出支給日より 5 日以内＜あとがき＞人気のバスツアーがテレビで取り上げられたり、バスツアー広告を目にする度に 10 年程前に参加した宿泊バスツアーの苦い体験が思い起こされます。「寿司食べ放題」という殺し文句についつい申し込んでしまいました。初日は筑波山観光、イチゴ農園でイチゴ食べ放題、聞いたことのない大金温泉に宿泊してイカしゃぶ、タコしゃぶの夕飯。2 日目は那珂湊漁港で寿司食べ放題、水戸偕楽園観光など盛り沢山の企画です。当日は新宿から出発、筑波山観光、イチゴ食べ放題まではよかったのですが宿泊した大金温泉グランドホテルは照明代を節約しているのか薄暗く廃墟の一歩手前状態。こなきじじいのような支配人の長い挨拶が余計でした。温泉も楽しみの一つ、早速大浴場に向かいました。ホテル周辺にはあきれる程何もなく、ホテル内にも娯楽施設が全くないことから他のバスツアー客も同様に浴場に殺到、くつろげる状況にありませんでした。露天風呂は通路から丸見えで目の前には畑が広がりその先にある一般道路からもほぼ丸見え、入浴がためらわれました。カランの半分くらいが壊れていたので身体を洗うのも順番待ちと最悪でした。夕食は大広間にきちきちにお膳が並べてあり、そこにしゃぶしゃぶ用のイカ、タコが数枚と焼き鳥が数本並べてありました。しゃぶしゃぶという響きはよいのですが、単に刺身を並べただけという感じ。しかも鮮度が悪そう、というか明らかに悪い。生では無理なのでよくしゃぶしゃぶする必要がある、つまりしゃぶしゃぶでないと食べられないという代物でした。その他の食べ物については会場内にある屋台に取りに行くとのこと。この屋台、何と餅だけです。あんころ餅やきなこ餅、夕食のメインが餅とは驚きです。屋台もそれ程多くなく行列ができていました。寿司食べ放題に予算がとられたためであろうとあきらめて早々に夕食を済ませ床につきました。翌日は益子焼に寄った後、那珂湊港に。新鮮な魚介類が販売され、焼き蛤のいい香りに食欲をそそられましたが寿司があるので我慢です。しかし期待の寿司食べ放題は何と回転寿司。カウンター越しにあれこれ注文することを連想していただけに期待を裏切られました（今思うとこれは過大な期待であったのか）。席に座ってしばらくするとベルトコンベアーが回り始め製造工程不明の裏の方から皿が流れてきます。座った席が後の方だったのでなかなか流れてきません。長い流しそうめんの後の方の順番待ちと同じです。やっとのことで流れてきた寿司は当然のことあまり人気のないネタ、しかもしゃりが通常の 2 倍はあろうかという大きさです。しゃりは残さないよう注意されていたので全て食べるしかありません。ネタも漁港のわりには鮮度、質には首を傾げざるを得ず近所の回転寿司の方がよっぽどおいしいと感じました。敗北感を背に帰りのバスに乗り帰路についたわけですが、車内でアンケート用紙が配られました。当然のこと悪い評価を記入し終わったところで前の席の若い OL と思われる女性のアンケート用紙を見ると何と結構好評価、驚きです。あんたどういう感覚しとるんじゃいと別の人のアンケートを見ても意外と好評価。「どうかしてるぜ！」と絶叫しそうになりました。あまりにも強烈なインパクトを残したこの旅行、ことあるごとに話題になるため思い出という面でのコストパフォーマンスは高いものとなりました。旅行シーズン、皆様バスツアー、特に「寿司食べ放題」には要注意です！