ISO/TC176 プサン総会報告(速報版) - 財団法人日本規格協会

ISO/TC176 プサン総会報告(速報版)
平成 18 年 11 月 22 日
(財)日本規格協会
規格開発部
規格第三課
第 24 回 ISO/TC176 総会が,2006 年 11 月 13 日(月)∼18 日(土)に,韓国のプサンで
開催された。総会には 39 ヶ国 9 機関の参加があり,日本からは飯塚悦功団長(東京大学大
学院教授,国内委員会委員長)を始めとする 12 名が参加した。
総会概要は以下のとおりである。
1.期
間:2006 年 11 月 13 日(月)∼11 月 18 日(土)
2.場
所:韓国,釜山,BEXCO
3.参
加:
39 カ国:オーストラリア,オーストリア,カナダ,中国,仏,独,日本,韓国,オラン
ダ,NZ, UK,USA など
9 機関:ISO/TC69,ISO/TC210,ASQ,CLEPA,INLAC,IPCA,EOQ,IQNet,IAEA
,
日本:飯塚委員長(SC2,SC2/WG18/POTG 副コンビナ),棟近委員(SC2/WG18/TG1.21)
平林委員(SC2/WG18/TG1.19),安藤委員(SC2/WG18/TG1.20),三浦委員(プロセ
スオーナーチーム),椿委員(SC1,SC1/WG1/TF1),水流委員(SC1,SC1/WG1/TF2),
山田委員(SC3,SC3関連 WG),JISC(小田・郡司)及び事務局(岡本・國分)
4.主なトピックス
4.1
ISO/TC176/SC1(ISO 9000)
ISO/TC176/SC1/WG1 では,ISO9000 の改訂に関する NWIP を回付する際の参考文書とな
る,予備的作業文書 ISO9000(以下,preWD9000)を作成した。
なお,preWD9000 は第 2 章の“基本”と第 3 章の“用語の定義”,及び附属書から構成されて
いる。
1)
第 2 章(基本)の検討
日本から提案した文書のレビューと,2005 年版 ISO9000 の第 2 章をレビューして,第 2
章の基本部分の検討を行った。日本提案がほぼ受入れられたほか,過去 10 年における品質
マネジメントシステムの新しい概念を導入することとなった。
2)
第 3 章(用語及び定義)の検討
現在 ISO/TC176/SC2 で改訂作業が行なわれているWD9004 からの用語の定義要請に応じ
て定義の検討(追加,修正)を行なった。
preWD9000 では,新たに 11 つの用語が追加され,4 つの用語の定義が変更となった。
また,ドイツからの提案に基づき,新たに,3.8 として“Determination”に関する用語の項
目を策定した。
3)
Annex B(用語集)
新しい ISO9000 には,Annex B として用語集を収録することとなった。用語集は,ISO9000
の第 3 章に定義されている用語以外に,規格の理解促進,規格作成者が規格を起草する際
の他の規格との整合性確保,翻訳容易性の観点から,現時点で 200 の用語が掲載されてい
る。
注:preWD9000 であるため,今後,用語の追加,定義の変更などの可能性がある。
4.2
ISO/TC207/SC2(ISO9001/9004)
ISO/TC176/SC2 では,ISO9001 については,規格の要求事項の明確化,ISO14001 との両
立性確保を目的とした追補作成作業,また,ISO9004 については,JIS Q9005/9006 をベース
文書とした改訂版作成作業が行なわれている。
なお,今回 ISO9001 追補/9004 改訂版を担当している WG18 のコンビナが不在のため,
WG18 の副コンビナである飯塚委員長が,コンビナ代理を務めた。
1)ISO9001
(1)ISO9001 は CD(委員会原案)へ
WD2. 9001 に対する WG18 メンバーのコメント(約 400 件)を検討し,CD1.9001 を作成
した。
(2)ISO9001 の修正点の変更
ISO9001 の追補に関する規格の設計仕様書(8章)の変更・追加(ただし,ISO9001 の追
補の作業範囲内)が承認された。
(3)追補作業範囲の拡大
2006 年 6 月の ISO/TC176/SC2 インタリム会議でニュージーランド及びフランスから提案
された ISO9001 の追補の作業範囲の拡大に関しては,当初の目的の範囲外であり,また,提
案の内容に具体性が欠けることから取り下げられた。
2)ISO9004
(1)ISO9004 は CD(委員会原案)へ
WD2. 9004 に対する WG18 メンバーのコメント(約 500 件)を検討し,CD1. 9004 を作成
した。
3)今後のスケジュール
2006 年 11 月
ISO/TC176 総会(プサン)
2007 年 02 月
CD1(コメント)回付
2007 年 01 月
ISO/TC176/SC2 総会(ヘルシンキ)
,CD2 作成
2007 年 08 月
CD2(投票)回付
2008 年 01 月
ISO/TC176 総会(カタール予定),DIS 作成
2008 年 05 月 DIS 回付(5 ヶ月)
2008 年 11 月 ISO/TC176 総会,FDIS 作成
2009 年 01 月 FDIS 回付(3 ヶ月)
2009 年 05 月
4.3
IS 発行
ISO/TC207/SC3
1)ISO10014(経済効果)
ISO10014 については,2006 年 6 月に発行済みである。現在,ISO10014 の市場評価(市場
における活用性)の調査を開始している。
2)ISO/TS10020(顧客満足の監視測定)
ISO10020 の規格番号の変更について検討を行い,ISO 中央事務局に要請することになっ
た。また,当初 TS とする予定であったものを IS とすることも提案された。
3)ISO19011(品質/環境マネジメントシステム監査)
2007 年が ISO19011 の発行 5 年にあたるため,定期見直しを実施することとなった。
ISO19011 の策定時には,ISO/TC176 と ISO/TC207 との協働作業クループ(JWG)を設置し,
検討を行ったが,今回は,何れか一方の TC が規格作成に関する運営管理に責任を持つよう
にとの指示が ISO 中央事務局からあった。これをうけ,ISO/TC176/SC3 は,ISO19011 の改
訂に関して次のような提案を行なった。
(1)規格作成の運営管理
規格改訂作業の運営管理を ISO/TC176 が行なう
(2)ISO17021 との整合性
第 3 者認証機関の審査員の要求事項を規定する ISO17021-2(開発中)との整合性を確保
する
(3)範囲の変更
現在の ISO19011 は第 1 者,第 2 者,第 3 者監査を対象としているが,改訂版については
第 1 者監査,第 2 者監査のみとし,第 3 者監査を範囲から削除する
(4)適用範囲の拡大
適用範囲を,ISO9001/ISO14001 だけでなく,ほかのマネジメントシステム規格へ拡大す
る(対象は第 1 者監査及び第 2 者監査)
(5)構成
改訂作業においては,主に ISO/TC176 及び ISO/TC207 から構成し,そのメンバーに関し
てはバランスをとるようにする。また,CASCO 及び ISO においてマネジメントシステム規
格開発を行っている TC をリエゾンとする。
5.次回会議
5.1
ISO/TC176/SC2 インタリム総会
2007 年 6 月 11 日(月)∼17 日(日)に,フィンランドのヘルシンキで開催予定
目的:ISO9001/9004 の CD2 作成
5.2
ISO/TC176/SC1/WG1 会議
2007 年 6 月 11 日(月)∼17 日(日)に,フィンランドのヘルシンキで開催予定
目的:ISO9000 の WD 作成
5.3
ISO/TC176 総会
2008 年の初旬にカタールで開催予定
6.
報告・説明会
国内委員会では,11 月 29 日(水)に本 ISO/TC176 総会の報告会を開催する予定である。
(詳細は http://www.jsa.or.jp/standard/meeting_02.asp?fn=061129-tc176pusan.htmCD1.9001/9004
を参照。)また,CD 発行後には,規格改訂動向説明会を開催する予定である。