どれか特定の手(例:グー)の確率を高くすると,相手はその手 に勝てる手(パー)の確率を高くする方が理に適っているため, 戦略を変更する動機を持つことになる ゼロ和ゲームと非ゼロ和ゲーム プレイヤー1 プレイヤー グー チョキ 1/3 プレイヤー2 プレイヤー グー パー 1/3 引き分け 負け 1/3 勝ち 1/3 チョキ 勝ち 引き分け 負け 負け 勝ち • 利得構造の性質による区分: 一方のプレイヤーの利得が分かればもう一方 の利得が分かるのがゼロ和ゲーム, 分からないのが非ゼロ和ゲーム – ゼロ和ゲームの時には利害が完全に対立してい るが,非ゼロ和ゲームの場合は必ずしもそうでは ない,従ってゲームのバリエーションも非常に多い 1/3 パー1/3 引き分け 全てを均等にするやり方がNash均衡になる ゼロ和ゲーム: お互いの利害が完全に対立する 非ゼロ和ゲーム: 利害が対立するとは限らない Aさん 行動1 Aさん 行動1 行動2 行動2 Bさん Bさん 10 行動1 10 行動1 -10 -10 10 10 -10 行動2 -10 行動2 10 10 15 10 -10 -10 ゼロ和ゲームのときのNash 均衡 ミニマックス戦略とマックスミニ戦略 • ゼロ和ゲームの場合利害が対立しているので, 片方が利得を大きく(損害を小さく)することはもう 片方の利得を小さく(損害を大きく)することと等しい – 最低限の利得を最大化するような戦略をミニマックス戦略,最大限の 損失を最小限にしてくれる戦略をマックスミニ戦略という プレイヤー2 -10 -10 行動1 • ゼロ和ゲームの場合互いの利害が対立するため,最低限 の利得を出来る限り大きくすることは,“合理的な相手に 出来る限り得を得させた中で,自分の得を最大限にする” ,という点で合理的かつ理性的な意思決定者の行動指針 と考えることができる 行動2 プレイヤー2 行動1 行動2 プレイヤー1 プレイヤー1 行動1 行動2 0 2 -2 行動1 0,0 -2,2 行動2 2,-2 0,0 0 ともにミニマックスを取った得 の結果は,行動2同士の組合 せ,そうするとそこはこの場合 Nash均衡 1 Pareto優位 ミニマックス定理 • 混合戦略を認めると,ミニマックス戦略とマックスミ ニ戦略の組み合わせでNash均衡を表現できる • ミニマックス定理:ゼロ和ゲームの場合,混合戦略 を認めるならば,お互いが最小限の利得を最大化 する戦略をとった場合にNash均衡に落ち着く • 社会的にみてより望ましい状態 – Pareto優位:2つの戦略の組S(s1,・・・sn),T(t1, ・・・tn)について,全てのプレイヤーにとってf (si)>f(ti)であるとき,SはTに対してPareto優位で あるという – また,Sに対してパレート優位であるような戦略 の組が無いとき,SはPareto最適であるという 囚人のジレンマ 囚人のジレンマ • 2人の囚人は犯罪の共犯で分離拘留され ている.彼らの選択できる決定は黙秘,自 白のどちらかしかない. • 黙秘,あるいは自白をした場合のお互い の判決結果は次のようになっている • どうしたらいい? 囚人A 黙秘する 3年 黙秘する 3年 自白する cooperate? ? 自白する 囚人B 不起訴 無期 10年 無期 不起訴 10年 betray? ? 囚人のジレンマ • 2人の囚人は犯罪の共犯で分離拘留されている.彼らの選択 できる決定は黙秘,自白のどちらかで,それぞれの場合のお 互いの判決結果は下のようになっている.どうしたらいい? 囚人A 黙秘する 自白する Aにとって・・・ 囚人B 3年 黙秘する 3年 不起訴 < 無期 Bにとって・・・ 不起訴 < < 自白する 無期 < 10年 Nash均衡がPareto優位ではない • 期待効用最大化の立場から,お互いの行動を読 み合えば,どちらにとっても自白をすることが優越 戦略になり,それがNash均衡にもなる • しかしながら,それではお互いにとってよいPareto 優位(黙秘,黙秘)に達することができない • 個人の合理性と社会の合理性が相反する 10年 Nash均衡 2 歴史上の例 共有地の悲劇(G. Hardin) • キューバ危機(1962) • 誰にでも開かれた牧場がある,村人は共 有地で家畜を飼う,ただし動物の合計数は 共有地の飼育許容量より上 • 個々人が飼育する家畜を一匹増やすこと によって得られる利得は,家畜一匹の負 担は村人全体で賄うため,損失を上回る • しかし,皆がそう思って家畜を増やすと大 変なことになる – ケネディとフルシチョフの対立 ケネディ フルシ 撤退 撤退 引き分け 引き分け 負け 攻撃 攻撃 負け 勝ち 共倒れ 共倒れ チキンゲーム チキンゲーム Aさん 突進 勝ち 逃げる Aさん 戦略1 Bさん 戦略2 Bさん 突進 死 逃げる 負け 勝ち 1 戦略1 5 -2 Nash均衡 1 勝ち 死 引き分け -2 戦略2 5 負け -8 Nash均衡 -8 引き分け 鹿狩り(Stag Hunt) • ルソー 仲間 – 「鹿を捕らえようとする場合、各人はたしかにそ のためには忠実にその持ち場を守らなければ ならないと感じた。しかし、もし一匹の兎が彼ら のなかのだれかの手の届くところをたまたま通 りすぎるようなことでもあれば、彼は必ずなん のためらいもなく、それを追いかけ、そしてその 獲物を捕らえてしまうと、そのために自分の仲 間が獲物を取り逃がすことになろうとも、いささ かも気にかけなかった。」(「人間不平等起源論」( 岩波文庫1933)) 相手の結果 鹿狩り 兎狩り 自分の結果 5日分 3日分 鹿狩り 5日分 食料なし あなた 3日分 食料なし 兎狩り 3日分 3日分 3
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