4 - 新潟大学

MLPCおよびPMDC刺激培養による抗原特異的CTLの
誘導と誘導CTLのメモリーサブセットの解析
新潟大学医学部保健学科検査技術科学専攻4年
M09D326A 宮山和樹
背景と目的
① hTERTは白血病を含む85%以上の癌細胞で活性化しているが、正常細胞
における活性化はほとんどみられないため、hTERT特異的細胞傷害性T
細胞(CTL)を用いた抗腫瘍免疫療法は効果的であると考えられる。
そこで・・・
当研究室で樹立した白血病性形質細胞様樹状細胞株(PMDC cells)を抗
原提示細胞として用いて、末梢血からのhTERT特異的CTLの誘導が可能
であるかを明らかにすることを目的とした。
② 誘導された抗原特異的CTLの記憶 (メモリー) サブセットについては明ら
かになっていない。
そこで・・・
混合リンパ球ペプチド培養 (MLPC)法とPMDC刺激培養法により
CMVpp65特異的CTLを誘導し、そのメモリー細胞サブセットの割合につい
て明らかにすることを目的とした。
テロメラーゼについて
n テロメラーゼとは、真核生物のテロメアの特異的配列を伸長させる酵素で、リ
ボ核タンパク質酵素である(リボ核タンパク質とはRNAとタンパク質の複合体のこ
と)。テロメラーゼは、テロメア伸長の鋳型となるRNA構成要素と、逆転写酵素活
性を持つ触媒ユニットやその他の制御ユニットによって構成されている。
n ヒトテロメラーゼRNA構成要素であるhTERC、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素であ
るhTERT、ヒトテロメラーゼ関連蛋白であるhTEP1が主な構成要素で、このうち
hTERTの発現は、癌細胞などで高頻度に検出される。
p23
Hsp 90
TR
TERT
TEP1
Wojtyla A. et al
Molecular Biology Reports, 2011, Volume 38, Number 5, Pages 3339-3349
改変
混合リンパ球ペプチド培養法 (MLPC 法)
3,000rpm,
末梢血20mlを採取
10分間遠心
単核球
血漿
5U/mlトロンビン
37℃,1-2時間
血清
細胞数 3×105/100μl ,A24/hTERTペプチド 5μg/ml ま
たは、A24/CMVpp65ペプチド5μg/mlとなるように 5% 自
己血清加培養液 (RPMI1640) で浮遊させ、 100μl/well ず
つプレートの well に撒く
3日後
5%自己血清,IL-2 50U/ml加培養液100μl/well加える
3日後
各wellから上清を100μlずつ除き、新たに5%自己血
清,IL-2 50U/ml加培養液を100μl/wellずつ加える。
これを2日ごとに繰り返す。
培養2週目
各々のwellについてhTERTテトラマー陽性CD8+T細胞/
CMVpp65テトラマー陽性CD8+T細胞の割合をFACSを
用いて解析する。
PE-­‐hTERT tetramer 健常人末梢血単核球 (KM) を用いた2週間のMLPCでは、hTERT tetramer+
CD8+細胞の頻度は検出感度以下 (<1/3.9x106単核球)であった。
0/13
FITC-­‐CD8 PMDC刺激培養法について(CTL誘導)
"
A24/hTERTペプチド(9mer
VYGFVRACL)"
A24/CMVpp65ペプチド(9mer QYDPVAALF)"
CD8+T cell"
(HLA-A24+donor より分離)"
IL-2, IL-7"
Peptide pulsed PMDC cells"
共培養
培養前に放射線照射(30Gry)"
1週間ごとに再刺激"
培養2週目からTetramer解析
CD8+T cellがTCRを介して"
ペプチド/MHC classⅠ分子を"
認識し、抗原(hTERT)特異的"
CTLとして増幅、活性化する。"
TCR"
ペプチド/MHC class1分子
CTLが癌細胞表面の同様"
なペプチド/MHC classⅠ"
分子を認識し,INF-γ,TNF-α,"
perforin,granzzyme Bなど"
を分泌して傷害する。
細胞傷害性T細胞(CTL)"
マグネティックビーズを用いたカラム法によるCD8陽性T細胞の分離
K.M"
cells"
MNCs"
CD8-"
CD8+"
No. of cells"
2.85×107"
7.50×106"
2.4×106"
MNCs/CD8-FITC"
58.14%"
CD8+ cells/R1"
35.09%"
R1/total"
58.14"
74.25"
74.25"
M1/total"
20.40"
0.69"
68.41"
M1/R1"
35.09"
1.41"
92.14"
CD8- cells/CD8-FITC"
74.25%"
CD8+ cells/R1"
1.41%"
No. of CD8+ cells" %recovery"
5.81×106"
100"
4"
5.18×10
0.89"
1.64×106"
28.2"
CD8+ cells/CD8-FITC"
74.25%"
CD8+ cells/R1"
92.14%"
抗原特異的CTLの誘導
使用した抗原提示細胞の種類
n PMDC05:白血病性形質細胞様樹状細胞株オリジナル
n PMDC11-3:CD80遺伝子導入PMDC05
n caTLR4-PMDC11-3:constitutively active Toll様受容体4(caTLR4)遺伝子導入PMDC11-3 n caTLR4-PMDC11-3 (Dox):doxycycline添加によりcaTLR4発現増強を試みたPMDC11-3
分離したCD8陽性細胞と抗原提示細胞の共培養の様式
① PMDC05
② PMDC05 (A24/hTERTペプチドパルス)
③ PMDC11-3 ④ PMDC11-3 (A24/hTERTペプチドパルス)
hTERT
⑤ caTLR4-PMDC11-3 [Dox 1µg/ml] ⑥ caTLR4-PMDC11-3 [Dox 1µg/ml] (A24/hTERTペプチドパルス)
①medium
②medium(A24/CMVpp65ペプチド)
③PMDC11-3(A24/CMVpp65ペプチド)
④caTLR4-PMDC11-3(A24/CMVpp65ペプチド)
CMVpp65
CD8+細胞 (MLPC法で陰性だったドナーから分離) を用いたPMDC刺激培養法
(2-6週間)ではhTERT tetramer+CD8+細胞の明らかな誘導は認められなかった
PMDC11-3"
PMDC05"
hTERT"
peptide"
-"
hTERT-tetramer"
3weeks"
+"
0.02"
hTERT"
peptide"
4weeks"
0.01"
010. PMDC05 (-).010
0.07"
-"
+"
0.01"
+"
011. PMDC05 (+).011
0.03"
10 0 10 1 10 2 10 3 10 4 10 0 10 1 10 2 10 3 10 4
CD8-FITC
CD8-FITC
-"
+"
0.00"
-"
+"
006. PM DC11-3 (-).006007. PMDC11-3 (+).007
0.05"
0.03"
10 0 10 1 10 2 10 3 10 4 10 0 10 1 10 2 10 3 10 4
CD8-FITC
CD8-FITC
CD8"
0.03"
0.04"
caTLR4-"
PMDC11-3"
PMDC11-3"
PMDC05"
-"
caTLR4-"
PMDC11-3"
-"
+"
008. caTLR4 (-).008
0.06"
009. caT LR4 (+).009
0.05"
10 0 10 1 10 2 10 3 10 4 10 0 10 1 10 2 10 3 10 4
CD8-FITC
CD8-FITC
MLPC法とPMDC刺激培養法で誘導したCMVpp65テトラ
マー陽性T細胞のメモリーサブセットの解析
方法
MLPC法:
末梢血単核球(EO)にA24/CMVpp65 ペプチド (5µg/ml)を加えて3.0×105/well (96
well plate)の細胞数で14日間培養した細胞について、メモリー細胞サブセットの解
析を行った。
PMDC刺激培養法:
CD8+細胞 (EO)をペプチドパルス(A24/CMVpp65 )したPMDC細胞で繰り返し刺激
した細胞について、メモリー細胞サブセットの解析を行った。
使用した抗体:
CD8-FITC, CMVpp65-tetramer-PE, CD45RA-ECD, CD27-APC
二次応答で著名な増殖
能を示し細胞障害活性
も示すため記憶免疫応
答を司る主要な細胞で
ある。
抗原刺激を受ける前の"
T細胞(ナイーブT細胞)"
CD27"
Central Memory"
Naive"
Effector Memory"
Effector"
(Effector RA)
メモリー細胞には2
種類存在する"
・セントラルメモリーT細胞"
・エフェクターメモリーT細胞"
"
二次応答の際に、
perforin,granzzyme Bを産
生し細胞障害活性を示す
が増殖性に乏しい
CD45RA"
INF-γなどのサイトカインを"
分泌し、perforin,granzyme B"
を発現した細胞障害活性を"
有するT細胞(エフェクター"
T細胞)"
CD8"
0.65%"
65.16" 14.17"85.71" 10.20"
B7
B2
16.46"
4.21"2.04"
11.47%" 45.48" 11.79" 71.45"
2.29%"
Lymphocyte "
gated"
CD45RA"
CD27"
Lymphocyte "
gated"
CD27"
CMV-tetramer"
MLPC法で培養した細胞のメモリー細胞サブセットの解析
(培養2週目)
Lymphocyte
and"
CD8+tetramer+"
gated"
CD45RA"
28.28" 12.32" 85.61" 5.04"
2.04"
52.69"
2.69"
0.25%" 65.46"
6.71" 7.91"
1.44"
13.21"87.50" 6.25"
B8
B3
39.03" 3.70" 25.48" 0.38"
1.61%"
18.16" 3.18" 0.00"
71.23" 15.93" 70.00" 8.00"
B9
B4
1.72%"
10.17" 2.68" 22.00" 0.00"
1.35%"
6.92%"
1.06"
58.04" 14.22" 85.12" 7.16"
B10
B5
9.44"
6.92%"
43.76" 14.22" 85.11" 8.51"
35.60" 6.42" 5.32"
55.46" 31.15" 61.90" 28.57"
6.25"
3.95"
0.00"
35.60"
9.52"
59.59" 27.61" 85.12" 7.16"
2.29%"
6.42" 7.44"
0.28"
54.38" 16.52" 85.61" 5.04"
B11
B6
9.31"
3.49" 7.44"
0.28"
25.87" 3.22" 7.91"
1.44"
CM"
N
EM"
Eff"
ef
fe
ct
or
fe
ct
or
e
y
iv
or
na
em
y
CD8+tetramer+中の割合 (%)
week3
ef
m
or
or
0
em
ct
50
lm
fe
e
y
iv
or
na
em
ef
m
100
ra
or
y
150
nt
ct
or
CD8+tetramer+中の割合 (%)
week2
ce
fe
or
0
ef
ct
20
em
fe
e
y
y
iv
or
or
na
em
ef
m
em
40
lm
or
lm
60
ra
ct
ra
80
nt
fe
nt
100
ce
ef
ce
CD8+tetramer+中の割合 (%)
MLPC法で培養した細胞では割合で比較するとセントラルメモリーが
最も多いが、他のメモリーサブセットも存在していた。また、セントラ
ルメモリーの割合は週を追うごとに減少していた。 week4
150
100
50
0
マグネティックビーズを用いたカラム法によるCD8陽性T細胞の分離
No.of cells R1/total M1/total M1/R1 No. of T
cells % recovery MNC
3.7×107 58.4 17.0 29.1 6.3×106 100.0 CD8ー
1.4×107 59.9 1.46 2.44 2.0×105 3.17 CD8+
4.7×106 96.2 89.4 92.9 4.2×106 66.7 001 PBMNC .001
002 CD8(-).002
003 CD8(+).003
EO"
58.4%"
0
200
400
600
800
FSC
001 PBMNC .001
1000
0
CD8+cells/R1"
200
400
600
FSC
002 CD8(-).002
10 1
10 2
FITC-CD8
10 3
800
1000
0
CD8+cells/R1"
29.1%"
10 0
96.2%"
59.2%"
200
600
FSC
003 CD8(+).003
10 0
10 1
10 2
FITC-CD8
10 3
800
1000
CD8+cells/R1"
1.46%"
10 4
400
92.9%"
10 4
10 0
10 1
10 2
FITC-CD8
10 3
10 4
120703"
抗原特異的CTLの誘導
使用した抗原提示細胞の種類
n PMDC05:白血病性形質細胞様樹状細胞株オリジナル
n PMDC11-3:CD80遺伝子導入PMDC05
n caTLR4-PMDC11-3:constitutively active Toll様受容体4(caTLR4)遺伝子導入PMDC11-3 n caTLR4-PMDC11-3 (Dox):doxycycline添加によりcaTLR4発現増強を試みたPMDC11-3
分離したCD8陽性細胞と抗原提示細胞の共培養の様式
① PMDC05
② PMDC05 (A24/hTERTペプチドパルス)
③ PMDC11-3 ④ PMDC11-3 (A24/hTERTペプチドパルス)
hTERT
⑤ caTLR4-PMDC11-3 [Dox 1µg/ml] ⑥ caTLR4-PMDC11-3 [Dox 1µg/ml] (A24/hTERTペプチドパルス)
①medium
②medium(A24/CMVpp65ペプチド)
③PMDC11-3(A24/CMVpp65ペプチド)
④caTLR4-PMDC11-3(A24/CMVpp65ペプチド)
CMVpp65
CD8"
Lymphocyte "
gated"
CD45RA"
CD27"
Lymphocyte "
gated
CD27"
CMV-tetramer"
PMDC刺激培養法で培養したCMVテトラマー+CD8+T細胞のメモリー
細胞サブセットの解析(培養3週目)
Lymphocyte
and"
CD8+tetramer+"
gated
CD45RA"
medium"
A24/CMV pp65 peptide"
medium"
0.00
11.61
76.82
0.00
0.00
10.05
0.00
0.00
1.52
32.67
16.56
95.74
3.99
42.69
8.08
0.27
11.39
77.37
0.00
0.00
9.61
0.00
0.00
1.62
caTLR4-PMDC11-3"
A24/CMV pp65 peptide"
PMDC11-3"
A24/CMV pp65 peptide"
1.25
0.00
0.00
2.85
29.50
23.34
89.24
10.06
35.44
11.72
0.58
0.12
PMDC刺激培養法で培養したCMVテトラマー+CD8+T細胞では、セント
ラルメモリーが、割合においては培養5週間まで高く維持され、その
絶対数が増加していた。
割合 (%)
絶対数
CD8+tetramer+細胞中の割合 (%)
central memory
central memory
150
150
100
100
50
50
0
0
0
2
4
培養期間 (週)
6
0
medium
peptide
PMDC11-3
caTLR4-PMDC11-3
2
4
6
PMDC刺激培養法で培養したCMVテトラマー+CD8+T細胞ではセント
ラルメモリーの割合がMLPC法に比べ増加していた。
p=0.0161
結論"
u 健常人におけるhTERTテトラマー陽性CD8+T細胞につい
ては、MLPC法では検出感度以下であり、PMDC刺激培養法
を用いてもその誘導は認められなかった。"
u 健常人におけるCMVpp65テトラマー陽性CD8+T細胞につ
いてのメモリー細胞サブセットの解析では、MLPC法から得
られたCTLに比し、PMDC刺激培養法から得られたCTLにお
いてセントラルメモリー細胞の割合が増加していた。"
u PMDC刺激培養法でより持続性のある免疫能をもったCTL
を誘導することが出来ると考えられた。"
謝辞
² 新潟大学医学部保健学科
高橋益廣 成田美和子
² 新潟大学大学院保健学研究科
内山孝由 山平晶恵 岩渕南 佐藤直哉
² 新潟大学医学部保健学科検査技術科学専攻4年
阿部江李 岩谷俊平 大岩恵理 小林徹 鷲澤徳子
岡庭いづみ 西澤幹則 本間千遥 丸山千夏