コウバクニクジュヨウエキス含有食品が高齢者の - 日本抗加齢医学会

コウバクニクジュヨウエキス含有食品の作用
Received:Nov. 30, 2010
Accepted:Feb. 14, 2011
Published online:Apr. 8, 2011
Original Article
Effects of Health Food Containing Cistanche Deserticola Extract on QOL and Safety
in Elderly: An Open Pilot Study of 12-week Oral Treatment
Yoshikazu Yonei 1), Takahiro Kitano 1), Mari Ogura 1), Mio Hori 1), Miwako Watanabe 2), Umenoi Hamada 1),
Sayuri Matsuoka 3), Erika Ono 3), Tomohiro Ohno 3), Manzhen Shen 3)
1) Anti-Aging Medical Research Center, Graduate School of Life and Medical Sciences, Doshisha University
2) Tokyo Midtown Medical Center
3) FANCL Research Institute, FANCL Corporation
Anti-Aging Medicine 8 (2) : 7-14, 2011
(日本語翻訳版)
コウバクニクジュヨウエキス含有食品が高齢者の QOL に及ぼす影響
および安全性に関する無対照オープン試験
米井嘉一 1)、 北野貴大 1)、 小椋真理 1)、 堀 未央 1)、 渡邉美和子 2)、 浜田梅之井 1)、 松岡小百合 3)、
小野衣里日 3)、 大野智弘 3)、 申 曼珍 3)
1) 同志社大学大学院生命医科学研究科 アンチエイジングリサーチセンター
2) 東京ミッドタウンメディカルセンター
3) 株式会社ファンケル 総合研究所
抄録
【目的】 コウバクニクジュヨウ (Cistanche deserticola Y. C. Ma) エキス (CDX) 含有食品 (試験品) を経口摂取した際の
高齢者における有用性と安全性について検証することを目的とした。
【方法】重篤な疾患を有さない高齢者(68.4 ± 3.5 歳)25 例(男性 13 例、女性 12 例)を対象に無対照オープン試験を行っ
た。 被験者は CDX 100mg/ 日、 その他成分としてビタミン E、 コエンザイム Q10、 ビタミン B6、 亜鉛、 フコイダンを含有す
る試験品を 12 週間経口摂取し、 前後で身体情報を得た。
【結果】 自覚症状として 「目が疲れる」 「疲れが取れない」 スコアが有意に改善した。 身体計測検査では脈拍数が有意に
低下した (-8.0%、 p =0.002)。 血液生化学検査では白血球数 (-14.1%, p < 0.001)、 血小板数 (-4.3%, p =0.040)、 ア
ルブミン (-3.7%, p < 0.001)、 アルブミン / グロブリン (A/G) 比 (-3.7%, p =0.016)、 血糖値 (-10.2%, p =0.039) が有
意に変化した。 免疫機能検査では CD4 陽性細胞百分率の上昇 (6.1%, p =0.003)、 CD8 陽性細胞百分率の減少 (-7.7%,
p =0.022)、 CD4 / CD8 比の上昇 (20.2%, p =0.002)、 NK 細胞活性の上昇 (11.7%, p =0.024) など免疫機能の賦活化がみ
られた。 動脈硬化度検査では指尖加速度脈波検査で血管年齢の有意な改善 (-4.2%, p =0.016)、 CAVI (cardio ankle
vascular index) の有意な低下 (右 : -10.9%, p < 0.001, 左 : -12.6%, p < 0.001) を認めた。
【結論】 本試験品は高齢者の疲労感を軽減、 免疫機能を賦活化、 動脈硬化度を改善することで QOL 改善に貢献できる可
能性が示唆された。 試験品摂取による重篤な有害事象はみられなかった。
KEY WORDS: コウバクニクジュヨウ、 免疫機能、 CD4 / CD8 比、 NK 細胞活性、 安全性
Anti-Aging Medicine 8 (2) : 7-14, 2011
本論文を引用する際はこちらを引用してください。
(c) Japanese Society of Anti-Aging Medicine
( 1 )
〒 610-0321 京都府京田辺市多々羅都谷 1-3
同志社大学大学院生命医科学研究科アンチエイジングリサーチセンター
教授 米井嘉一
電話:0774-65-6382 FAX:0774-65-6394 メール:[email protected]
コウバクニクジュヨウエキス含有食品の作用
はじめに
カプセルとし、 括弧内は各成分 1 日量を示した。
抗加齢 (アンチエイジング) 医学の目標は、 日々の健康増
進を行い、 生活の質 (QOL: Quality of Life) を向上させ、 そ
の結果として健康長寿を達成することにある 1)。 抗加齢医療を
実践する医療機関では老化度ならびに老化を促進する危険因
子について評価し、 その結果に基づき個々のアンチエイジン
グ指導および治療を実践している。
生理機能の低下によって、疲労感や骨粗鬆症、認知症など、
一般に老化といわれる病気や様々な症状がおこる。 この生理
機能の低下 (老化) は免疫系、 内分泌系、 神経系の機能低
下が主体であるが、 特に 60 歳以降では免疫機能の低下が著
しい 2)。 そのため、 免疫力を強化することは、 高齢者の健康
を維持し、 QOL を向上させるために重要である。
生薬コウバクニクジュヨウについては免疫力向上に関する有
効性が報告されている 3)。 今回、 我々は、 高齢者の免疫力
向上を目的としたコウバクニクジュヨウエキス (CDX) 含有食
主成分の CDX は、 コウバクニクジュヨウ (学名 : Cistanche
deserticola Y. C. Ma) からエタノールで抽出し乾燥させた粉
末である。 コウバクニクジュヨウは強壮 ・ 強精における重要な
生薬として知られ、 神経衰弱で元気がない、 倦怠感を感じる
などの症状に用いられる生薬である 3)。 遺伝毒性試験では、
復帰突然変異試験、 染色体異常試験では安全性に関する問
題はなく、小核試験では 2500mg/kg で異常を認めず、フェレッ
ト催吐試験では 750mg/kg で異常を認めなかった(社内資料)。
90 日間反復投与毒性試験 (SD ラット、 投与量 625、 1250、
2500mg/kg) では、 高用量の 2500mg/kg 群では雄に総コレス
テロール、 トリグリセリド、 総ビリルビンの上昇、 雌に BUN、 空
腹時血漿グルコース (FPG) の上昇を認めたが、 病理学的検
査においては器質的な変化を認めていなかった (社内資料)。
安全と確認された投与量は雄雌ともに 1250mg/kg である (社
内資料)。 体重 60kg 換算で 75g/man/day に相当し、 今回の
用量 100mg/man/day の 750 倍に相当する。
品を経口摂取した際の、 ヒトにおける有用性と安全性について
検証することを目的とし、 主として QOL と免疫機能の観点から
・試験デザイン
無対照オープン試験を行ったので、 その結果を報告する。
本試験は対照の無いオープン試験とした。 摂取量はソフトカ
プセル 1 日 6 カプセル、 1 日 2 回 (朝食後と夕食後) にわけ
て 1 回 3 カプセルずつ摂取した。 試験品は水と一緒に摂取し
方法
た。 摂取期間は 12 週間であった。 試験開始前および 12 週後
の計 2 回、 以下に述べる自覚症状調査、 身体計測検査、 血
・対象
液生化学的検査、 免疫機能検査、 動脈硬化度検査を行った。
本人から本試験への参加の同意が文書で得られ、 下記の
生活習慣については、 試験期間中は暴食や過激な運動、
除外基準に抵触しない 65 歳以上から 80 歳未満の健常ボラン
睡眠不足を避けるよう指導した。 アルコール飲料の摂取習慣
ティア 25 名 (男性 13 名、 女性 12 名、 平均年齢 68.4 ± 3.5
を以前と変えないこととした。
歳、 BMI 22.7 ± 3.2 kg/m2) を対象とした。 本試験では脱落
試験参加者は生活日誌に試験期間中の有害事象の有無 ・
者はなかった。
程度、 試験食摂取状況、 生活習慣、 食事 ・ 運動習慣につい
除外基準 :
て記録した。
① 重度な循環器系疾患、 肝疾患、 腎疾患、 消化器系疾患、
免疫系疾患、 ガン疾患がある者
試験期間は 2010 年 2 月 19 日~ 2010 年 5 月 14 日とし、マリー
シアガーデンクリニック (東京都新宿区) において実施した。
② CoQ10、 ビタミン E、 亜鉛が配合された医薬品 ・ サプリメン
トを摂取している者
③ コウバクニクジュヨウエキスを配合した医薬品 ・ 医薬部外品
・検査方法
(養命酒など) を常用している者
自覚症状
④ ワルファリンを服用している者
⑤ その他、 試験監督医師に本試験の参加に不適当だと判断
された者
自覚症状の評価は、 「 身体の症状」 と 「心の症状」 に分
け、 既報の如く抗加齢 QOL 共通問診票 (Anti-Aging QOL
Common Questionnaire: AAQol) を用いてポイント 1 ~ 5 の 5
段階に分けて評価した 4)。
・試験品
試験品である CDX 含有食品 (剤形 : ソフトカプセル) は株
身体計測・理学的検査
式会社ファンケル (横浜市中区) より提供された。 1 カプセル
身長、 体重、 血圧、 脈拍のほか、 既報の如く 4) 生体電気
中配合成分 (括弧内は 1 日量) は CDX16.7mg (100mg/ 日 )、
インピーダンス法体組成計 (BC-118D、タニタ、東京都板橋区)
ビ タ ミ ン E33.3mg (200mg/ 日 )、 CoQ10 (ubiquinone) 10mg
を用いた体組成測定を行った。
(60mg/ 日 )、 ビ タ ミ ン B6 0.23mg (1.4mg/ 日 )、 亜 鉛 2.5mg
(15mg/ 日 )、 メカブ (Undaria pinnatifida ) 抽出物 (フコイダン
血液生化学検査
含有) 1.7mg (10mg/ 日 ) である。 摂取目安量は 1 日あたり 6
( 2 )
末梢血液検査として、 白血球数 (WBC)、 赤血球数 (RBC)、
コウバクニクジュヨウエキス含有食品の作用
ヘ モ グ ロ ビ ン 量 (Hb)、 ヘ マ ト ク リ ッ ト 値 (Ht)、 MCV、 MCH、
Ver.5 (SAS Institute Inc., Cary, North Carolina, USA) およ
MCHC、 血小板数を測定した。 生化学検査としてビリルビン、
び Dr.SPSSII (エス ・ ピー ・ エス ・ エス社、 東京都渋谷区)
AST、 ALT、 LDH、 ALP、 γ -GTP、 CPK、 尿酸、 尿素窒素、
を使用し、 いずれも有意水準を両側検定で危険率 5% 未満と
クレアチニン、 糖脂質代謝は総コレステロール (TC)、 LDL コ
した。 また、 安全性評価項目に関しては個別の有害事情の発
レステロール (LDL-C)、 HDL コレステロール (HDL-C)、 中
生の有無にて評価を行った。
性脂肪 (TG)、 動脈硬化指数、 血糖値 (FPG)、 蛋白代謝は
総蛋白 (TP)、 アルブミン (Alb)、 A/G 比、 電解質はナトリウム
(Na)、 カリウム (K)、 クロール (Cl)、 カルシウム (Ca)、 鉄
(Fe) を測定した。 血液生化学検査は三菱化学メディエンス
株式会社 (東京都港区) で実施した。 また、検査結果を基に、
結果
動脈硬化指数 { (TC - HDL-C) ÷ HDL-C 基準値 4 以下 }
・自覚症状の評価
を算出した。
AAQol による自覚症状スコアについて Table 1 に示した。 身
免疫機能
体症状 32 項目中、 試験前に比べ 12 週後に有意なスコア
免疫機能については血液中の CD4 陽性細胞数、 CD8 陽
性細胞数、 CD4 / CD8 比、 既報の如く 5) NK 細胞活性を測
定した。 検査は三菱化学メディエンス株式会社で実施した。
動脈硬化度検査
動 脈 硬 化 検 査 指 標 と し て、 既 報 の 如 く 4) Cardio Ankle
改善を認めた項目は 「目が疲れる」 (p =0.005)、 「抜け毛」
p =0.022) の 2 項目であった。 疲労関係の追加項目として 「疲
れが取れない」 が 2.4 ± 1.0 から 12 週後 2.0 ± 0.9 (p =0.045)
へ有意に改善した。 心の症状 21 項目中、 12 週後に有意なス
コア改善を認めた項目はなかった。 生活習慣において試験前
後で有意差のある項目はなかった (Table 2)。
Vascular Index (CAVI ; 心臓足首血管指数) および Ankle
Brachial Pressure Index (ABI ; 足関節上腕血圧比)、 指尖加
速度脈波を用いた。 CAVI は血管固有の硬さ ・ 緊張度を示し
6,7)、
・身体計測
ABI は下肢動脈の狭窄 ・ 閉塞を評価する 8)。 測定には
身体計測の結果を Table 3 に示した。 体組成および血圧に
VaSeraVS-1000 (フクダ電子、 東京都文京区) を用いた。 ま
は有意な変化を認めず、 脈拍数は 12 週後に有意に減少した
た指尖加速度脈波計 (acceleration plethysmogram) (ダイナパ
(-8.0%、 p =0.002)。
ルス SDP-100、 フクダ電子) を用いて指尖加速度脈波を測
定、 血管年齢を算出した 9-11)。 すなわち指標 b/a, c/a, d/a,
e/a を使って second derivative of plethysmogram aging index
・血液生化学検査
(SDPTGAI) を算出、
血液生化学検査の結果を Table 4 に示した。 血液生化学
男性 : 血管年齢= 43.50 × SDPTGAI+65.90
検査については試験前後で± 3.0%以上の有意な変化を認
女性 : 血管年齢= 41.67 × SDPTGAI+61.75
めた項目は白血球数 (-14.1%、p < 0.001)、血小板数 (-
の式に従い血管年齢を計算した。
4.3%、p =0.040)、アルブミン (-3.7%、p < 0.001)、A/G 比 (-3.7%、
p =0.016)、 血糖値 (-10.2%、 p =0.039) であった。
・倫理基準
本試験はヘルシンキ宣言に基づく倫理原則および個人情報
・免疫機能
保護法を遵守し、 「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する
免疫機能に関する指標の変化いついて Fig 1 に示した。
省令 (GCP)」 (平成 9 年 3 月 27 日厚生省令第 28 号) を参
CD4、 CD8 については試験前に比べ 12 週後に CD4 陽性
考にして、 第三者機関において実施した。 同志社大学にてヒ
細 胞 百 分 率 (6.1%、 p =0.003) が 上 昇、 CD8 陽 性 細 胞 百
ト試験倫理委員会を開催し、 試験の倫理性および妥当性につ
分率 (-7.7%、 p =0.022)、 CD8 陽性細胞絶対数 (-14.9%、
p =0.008) が有意に減少、 CD4 / CD8 比 (20.2%、 p =0.002)
は有意に上昇した。 NK 細胞活性は試験前 54.0 ± 17.0% から
12 週後 60.3 ± 16.4% に有意に上昇した (11.7%、 p =0.024)。
いて審議を行い、 承認のもとに開始され、 承認された試験計
画書に準じて実施した。
・統計解析
試験結果は平均値±標準偏差として表した。 摂取前と摂
・動脈硬化度検査
取 12 週後の比較を、 ノンパラメトリックなデータに関しては
指 尖 加 速 度 脈 検 査 で は SDPTGAI (p =0.025) が 有 意 に
Wilcoxon の符号付順位検定を、 パラメトリックなデータに関し
低下し、 血管年齢が試験前 63.6 ± 8.0 歳から 12 週後 61.0
ては対応のある t 検定を行った。 統計解析ソフトは Stat.View
± 7.0 歳 に 有 意 に 改 善 し た ( -4.2%、 p =0.016) (Table 5)。
( 3 )
コウバクニクジュヨウエキス含有食品の作用
Table 1
Physical and mental symptoms
Week 0
Physical symptoms
Tired eyes
Blurry eyes
Eye pain
Stiff shoulders
Muscular pain/stiffness
Palpitations
Shortness of breath
Tendency to gain weight
Weight loss; thin
Lethargy
Lack of sense of wellness
Thirst
Skin problems
Anorexia
Early satiety
Epigastralgia
Liable to catch colds
Coughing and sputum
Diarrhea
Constipation
Hair loss
Gray hair
Headache
Dizziness
Tinnitus
Lumbago
Arthralgia
Edematous
Easily breaking into a sweat
Frequent urination
Hot flashes
Cold skin
Additional questions for fatigue
Easy to become tired
Feeling tired all the time
Difficult to get up because it
feels heavy in the morning
Feeling heavy in the head
Mental symptoms
Irritability
Easily angered
Loss of motivation
No feeling of happiness
Nothing to look forward to in life
Daily life is not enjoyable
Lose confidence
Reluctance to talk with others
Depressed
Feeling of uselessness
Shallow sleep
Difficulty in falling asleep
Pessimism
Lapse of memory
Inability to concentrate
Inability to solve problems
Inability to make judgments readily
Inability to sleep because of worries
A sense of tension
Feeling of anxiety for no special reason
Vague feeling of fear
2.9
2.8
1.5
3.0
2.8
1.7
1.8
2.9
1.4
2.0
1.8
2.0
1.9
1.5
1.7
1.5
1.8
1.7
1.5
2.1
2.5
4.0
1.7
1.4
1.4
2.1
2.2
1.5
2.2
2.3
1.8
2.1
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
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±
±
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±
±
1.0
1.1
0.6
1.2
1.2
0.9
1.0
1.3
0.6
0.9
1.0
0.8
0.8
0.8
0.8
0.7
0.7
0.7
0.7
1.2
1.0
0.9
0.8
0.6
0.8
1.1
1.0
0.7
1.1
1.2
1.0
1.1
Table 2
Week 12
2.4
2.6
1.5
2.7
2.7
1.5
1.7
2.9
1.4
2.0
1.8
2.2
1.8
1.5
1.6
1.4
1.8
1.8
1.6
2.0
2.0
3.7
1.7
1.5
1.5
2.0
2.0
1.4
2.2
2.1
1.7
2.0
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
1.0
1.1
0.8
1.3
1.2
0.8
0.9
1.2
0.7
1.0
0.8
0.8
0.7
0.7
0.6
0.8
0.8
0.9
0.8
1.2
0.7
1.1
0.8
0.8
1.0
1.2
1.0
0.6
1.2
1.1
0.9
0.9
Lifestyle-related behaviors
p value
Week 0
0.005 **
0.166
0.851
0.153
0.808
0.305
0.615
0.806
0.405
0.782
0.813
0.334
0.467
0.666
0.564
0.593
>0.999
0.589
0.822
0.564
0.022 *
0.205
0.813
0.366
0.180
0.516
0.138
0.317
0.675
0.197
0.509
0.635
Smoking
Alcohol consumption
Frequency of alcohol drinking
Converted into ethanol
Exercise
Sleeping hours
Water consumption
VDT working hours
2.2 ± 0.9
2.0 ± 0.9
1.6 ± 0.8
0.132
0.045 *
0.527
1.7 ± 0.9
1.6 ± 0.8
0.813
1.6
1.8
1.9
1.9
1.7
1.7
1.6
1.7
1.6
1.6
2.3
2.0
1.9
2.9
2.2
1.9
1.7
1.9
2.0
1.7
1.5
1.6
1.7
2.0
1.8
1.6
1.8
1.2
1.4
1.4
1.6
2.1
1.8
1.6
2.7
2.0
1.6
1.6
1.8
1.8
1.6
1.3
>0.999
0.366
0.271
0.655
0.257
0.248
0.132
0.071
0.248
>0.999
0.308
0.153
0.106
0.446
0.379
0.088
0.317
0.467
0.439
0.516
0.248
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
0.6
0.8
1.0
0.9
0.9
0.9
0.9
0.8
0.7
0.6
1.2
1.1
0.8
1.2
1.1
1.0
0.7
0.8
0.8
0.7
0.6
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
0.7
0.7
0.8
0.9
0.9
0.9
0.9
0.9
0.6
0.9
1.3
1.1
0.6
0.9
0.8
0.6
0.6
0.9
0.7
0.7
0.5
p value
0.9 ± 3.6 0.846
Cigarettes/day 0.9 ± 3.5
192 ± 237 245 ± 252 0.119
ml/day
3.1 ± 2.8
3.0 ± 2.8 0.815
times/week
10.6 ± 16.1 9.7 ± 14.0 0.487
ml/day
3.5 ± 2.6
3.4 ± 2.4 0.724
days/week
7.1 ± 1.2
7.0 ± 1.0 0.634
hours/day
1.5 ± 0.7
1.4 ± 0.8 0.365
l/day
4.4 ± 1.8
4.1 ± 2.2 0.398
hours/day
Average ± SD, n = 25, Wilcoxon signed rank test.
VDT; visual display terminal.
Table 3
Anthropometry
Week 0
Height
Weight
Percentage body fat
Amount of fat
Lean body mass
Water content
Basal metabolic rate
BMI
Systolic blood pressure
Diastolic blood pressure
Heart Rate
cm
kg
%
kg
kg
kg
kcal
mmHg
mmHg
bpm
159.3
58.0
26.4
15.5
42.5
31.1
1166
22.7
133
82
82.0
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
Average ± SD, n = 25, paired t-test. ** p < 0.01.
BMI; body mass index.
2.5 ± 1.0
2.4 ± 1.0
1.7 ± 0.8
Week 12
Average ± SD, n = 25, Wilcoxon signed rank test. * p < 0.05, ** p < 0.01.
( 4 )
8.2
11.4
7.6
5.6
8.5
6.3
239
3.2
19
14
13.5
Week 12
58.2
26.7
15.7
42.5
31.1
1167
22.8
132
82
75.4
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
11.8
7.7
5.6
9.0
6.6
252
3.3
19
14
10.3
p value
0.382
0.199
0.197
0.938
0.884
0.477
0.663
0.892
0.002 **
コウバクニクジュヨウエキス含有食品の作用
Table 4
Biochemical examination.
Week 0
White blood cell
Red blood cell
Hemoglobin
Hematocrit
Platelet
MCV
MCH
MCHC
Total protein
Albumin
A/G ratio
AST
ALT
LDH
Direct bilirubin
Indirect bilirubin
ALP
γ-GTP
CPK
BUN
Creatinine
Uric acid
Na
Cl
K
Ca
Fe
TC
LDL-C
HDL-C
TG
FPG
Atherogenic index
/μl
×104/μl
g/dl
%
×104/μl
fl
pg
%
g/dl
g/dl
IU/l/37°C
IU/l/37°C
IU/l/37°C
mg/dl
mg/dl
IU/l/37°C
IU/l/37°C
IU/l/37°C
mg/dl
mg/dl
mg/dl
mEq/l
mEq/l
mEq/l
mg/dl
μg/dl
mg/dl
mg/dl
mg/dl
mg/dl
mg/dl
-
6,116
440
13.5
43.2
24.0
98.5
30.7
31.2
7.6
4.5
1.5
25.0
24.6
205.6
0.1
0.7
216.0
52.2
113.6
15.3
0.84
5.7
142.9
103.7
4.1
9.7
96.4
230.1
132.2
67.8
118.8
93.9
2.5
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
1,517
43
1.3
3.8
4.5
4.7
1.7
0.8
0.4
0.2
0.2
9.7
14.3
30.0
0.1
0.2
69.6
54.1
66.6
4.6
0.24
1.3
1.3
2.4
0.3
0.3
28.1
42.9
37.9
13.6
66.7
21.7
0.9
Table 5
Week 12
5,256
439
13.4
42.8
23.0
97.4
30.7
31.4
7.4
4.3
1.4
24.8
22.7
201.6
0.1
0.8
205.1
53.5
110.4
15.2
0.85
5.7
141.9
102.1
4.1
9.6
107.6
224.5
130.8
65.8
127.6
84.4
2.5
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
1,274
41
1.3
3.6
5.1
4.4
2.1
1.0
0.4
0.2
0.2
12.8
11.5
31.0
0.1
0.3
54.3
64.6
43.1
4.3
0.24
1.2
1.8
2.2
0.5
0.3
34.7
45.6
42.3
15.1
102.0
8.6
0.9
p value
<0.001 **
0.871
0.779
0.184
0.040 *
0.005 **
0.973
0.145
0.021 *
0.000 **
0.016 *
0.913
0.287
0.351
0.664
0.009
0.052
0.672
0.722
0.784
0.514
0.818
0.008 **
<0.001 **
0.810
0.236
0.075
0.198
0.680
0.251
0.475
0.039 *
0.702
Examination for arteriosclerosis
Week 0
Finger tip acceleration pulse wave analysis
63.6 ±
Vascular age
years
0.00 ±
SDPTGAI
−
–0.50 ±
b/a
−
–0.23 ±
c/a
−
–0.41 ±
d/a
−
0.13 ±
e/a
−
91 ±
b-a
ms
151 ±
c-a
ms
195 ±
d-a
ms
289 ±
e-a
ms
796 ±
a-a
ms
1.17 ±
PTGAI
−
CAVI
9.4 ±
CAVI (right)
−
9.4 ±
(left)
−
1.16 ±
ABI (right)
−
1.15 ±
(left)
−
8.0
0.20
0.15
0.15
0.11
0.06
14
18
31
30
117
0.15
0.8
1.1
0.10
0.14
Week 12
61.0 ±
±
±
±
±
0.14 ±
94 ±
145 ±
190 ±
283 ±
826 ±
1.15 ±
7.0
0.17
0.12
0.13
0.11
0.06
23
25
40
28
105
0.12
0.016 *
0.025 *
0.468
0.275
0.068
0.746
0.419
0.292
0.576
0.292
0.102
0.430
8.4
8.3
1.13
1.13
1.1
1.1
0.11
0.13
<0.001 **
<0.001 **
0.313
0.379
–0.05
–0.48
–0.20
–0.36
±
±
±
±
Average ± SD, n = 25, paired t-test.* p < 0.05, ** p < 0.01.
SDPTGAI, second derivative of plethysmogram aging index.
PTGAI, plethysmogram aging index.
CAVI, cardio ankle vascular index; ABI, ankle brachial pressure index.
Average ± SD, n = 25, paired t-test. * p<0.05, ** p<0.01.
MCV, mean corpuscular volume; MCH, mean corpuscular hemoglobin; MCHC,
mean corpuscular hemoglobin concentration; A/G ratio, albumin/globlin ratio;
AST, aspartate aminotransferase; ALT, alanine transaminase; LDH, lactate
dehydrogenase; ALP, alkaline phosphatase; γ -GTP, γ -glutamyl transpeptidase;
CPK, creatine phosphokinase; BUN, blood urea nitrogen; Na, sodium; Cl,
chlorine; K, potassium; Ca, calcium; Fe, iron; TC, total cholesterol; LDL-C, low
density lipoprotein-cholesterol; HDL-C, high density lipoprotein-cholesterol; TG,
triglyceride; FPG, fasting plasma glucose.
Fig. 1. Immune function test
( 5 )
p value
コウバクニクジュヨウエキス含有食品の作用
Table 6
ID Sex
2
M
Profile of cases with abnormal values in the biochemical examination
Age
66
Week 0
Week 12
February 19th May 14th
Up or
down
% change Effect
(%)
size
Item
Standard
values
AST
10 - 40
50
80
↑
60.0
ALT
5 - 45
40
53
↑
32.5
Fe
50 - 200
144
207
LDL-C
65 - 139
87
44
TG
30 - 149
248
482
– 0.8
–7.5
43.8
11.7
–49.4
–1.1
↑
94.4
7.4
↑
↓
3
M
68
LDH
120 - 240
232
278
↑
19.8
–2.0
5
F
66
K
3.5 - 5.0
4.1
5.2
↑
26.8
0.6
–6.2
–8.2
–8.1
–0.1
–0.2
–1.1
–0.9
7
M
75
RBC
430 - 570
452
424
↓
Hemoglobin
13.5 - 17.5
12.2
11.2
↓
Hematocrit
39.7 - 52.4
42.1
38.7
↓
BUN
8.0 - 20.0
19.1
24.3
Fe
50 - 200
51
49
TC
120 - 219
219
230
LDL-C
65 - 139
131
27.2
↑
–3.9
11.7
↑
5.0
145
↑
10.7
–2.4
–1.1
↑
4.5
–7.5
–16.3
–2.9
↓
8
M
68
9
F
71
ALT
5 - 45
44
46
10
M
65
HDL-C
40 - 85
43
36
Platelet
14.0 - 34.0
33.5
35.7
↑
6.6
11
F
69
TC
120 - 219
217
231
↑
6.5
LDL-C
65 - 139
119
140
↑
17.6
–4.3
–2.4
–1.1
Uric acid
2.5 - 7.0
6.1
7.2
↑
18.0
–0.6
MCH
28.0 - 34.0
33.3
34.3
ALP
100 - 325
129
80
Indirect bilirubin
0.2 - 1.0
1.2
1.5
14
F
70
17
M
69
19
M
65
20
M
66
K
3.5 - 5.0
3.8
3.1
LDL-C
65 - 139
133
146
Cl
98 - 108
100
97
↓
3.0
0.0
–38.0
–5.0
↑
↓
25.0
10.4
–18.4
0.6
9.8
–1.1
–3.0
–1.5
↑
↓
↑
↓
21
M
66
Uric acid
3.8 - 7.0
6.5
7.1
↑
9.2
–0.6
23
M
66
Indirect bilirubin
0.2 - 1.0
1.3
1.6
↑
23.1
10.4
24
F
67
25
F
72
MCH
28.0 - 34.0
28.5
27.6
–3.2
0.0
Total protein
6.7 - 8.3
8.2
8.5
↑
3.7
–2.0
Indirect bilirubin
0.2 - 1.0
0.8
1.1
↑
37.5
10.4
TG
30 - 149
131
226
↑
72.5
7.4
TC
120 - 219
303
342
↑
12.9
LDL-C
65 - 139
197
229
↑
16.2
–2.4
–1.1
↓
-
( 6 )
Comment
Judgment
He drank alcohol on May
13th.
No correlation with the test
product due to alcohol intake.
Currently being treated
for gout and renal
dysfunction.
No correlation with the test
product due to the diagnosed
illness.
Increased and decreased K were
noted in the study and judged
due to food intake. Low
correlation with the test product.
Currently being treated
for chronic heart failure.
No correlation with the test
product due to the present
illness.
No correlation with the test
product due to food intake.
Currently being treated
for liver dysfunction,
elevated ALP and γ-GTP.
No correlation with the test
product due to the present
illness.
Low correlation with the test
product, the cause is unclear.
She caught common cold
3 times during the study.
No correlation with the test
product due to food intake and
prevalence of common cold.
No correlation with the test
product due to food intake.
RBC was low and MCV
was high during the study.
Low correlation with the test
product. The cause remains
unclear.
Low correlation with the test
product. Both increased and
decreased K were noted and
judged due to food intake.
Low correlation with the test
product. The cause is unclear.
Currently being treated
for hypertension and
prostatic gland
hypertrophy at present
with elevated BUN and
creatinine.
No correlation with the test
product due to food intake and
illness.
Low correlation with the test
product, the cause is unclear.
No correlation with the test
product, due to food intake.
Diagnosed as
dyslipidemia, but receives
no medical treatment.
No correlation with the test
product due to food intake and
illness (dyslipidemia).
コウバクニクジュヨウエキス含有食品の作用
CAVI は両側とも有意に改善 (右:-10.9%、 p < 0.001、 左:
-12.6%、p < 0.001)した。 ABI には有意な変化を認めなかった。
CDX に関する動物実験では、 マウスにおいて免疫機能
の改善 28)、 水泳能力の向上を認め、 抗疲労作用があること
29,30)
が報告されている。 ラットにおける鎮静作用 31)、 げっ歯
類の実験モデルで鎮痛作用および抗炎症作用 32) が示されて
・試験品安全性
血液生化学検査にて異常値を呈した 16 例を Table 6 に示し
た。 内訳は末梢血液 (RBC、 Hb、 Ht、 血小板、 MCH) 4 例、
肝 機 能 (AST、 ALT、 LDH、 ALP、 間 接 型 ビ リ ル ビ ン ) 6
例、 腎機能 (尿素窒素、 尿酸) 3 例、 脂質 (TC、 LDL-C、
HDL-C) 6 例、 蛋白代謝 (総蛋白) 1 例、 電解質 (K、 Cl、
Fe) 5 例であった。 16 例中 5 例が原疾患 (通風、腎機能障害、
軽度慢性心不全、 肝機能障害、 高血圧、 脂質異状症) を有
し、 また 1 例が試験期間中に感冒に罹患した。 AST、 ALT の
異常にはアルコール摂取が関与していた。 脂質の異常には食
事摂取が影響した。 間接ビリルビン、 HDL-C、 ALP、 Cl の変
いる。 生殖毒性を有する Tripterygium wilfordii をマウスに投
与した実験では妊娠率の改善がみられた 33)。 老化に関する
実験成績として、 D-galactose 前処置した老化モデルマウスで
phenylethyanoid 投与により学習能力と記憶力の改善、 血清お
よび脳内 superoxide dismutase (SOD) 活性の増強、 血清およ
び肝臓内 malondialdehyde (MDA) 減少、 脾臓および胸腺機
能の改善することが報告されている 34)。
上述の如く CDX は実験的に免疫賦活作用に加え多彩な効
能を有することが示されている。 しかしこれまでヒトにおける臨
床試験の報告はなく、 本研究が初めてである。
動については原因を特定できなかったが、 試験品との関連は
少ないと判断した。 これらの症例のなかで試験品が原因で異
常値をきたした疑いがある項目はなかった。 また、 試験期間
中ならびに終了後において、 試験品摂取に伴う重篤な有害事
象は認められなかった。
・データ解析
本試験では、自覚症状として AAQol 身体症状 「目が疲れる」
「抜け毛」、 疲労関係の追加項目として 「疲れが取れない」 が
有意に改善していた。 コウバクニクジュヨウについてはマウスで
抗疲労作用が確認されており 29,30)、 「目が疲れる」 「疲れが
取れない」 の症状改善との関連が示唆される。 「抜け毛」 との
考案
関連は明らかにしえなかった。
・本試験の位置づけ
を認めた。 コウバクニクジュヨウについては抗炎症作用が報告
末梢血液検査で白血球数が基準値の範囲内で有意な低下
生理機能の低下によって、疲労感や骨粗鬆症、認知症など、
一般に老化といわれる様々な病気や症状がおこると考えられて
いる。 この生理機能の低下 (老化) は主に免疫系、内分泌系、
神経系の低下によって引き起こされるが、 特に 60 歳以降の免
疫機能の低下が著しい 2)。そのため、免疫力を強化することは、
高齢者の健康を維持し、 QOL を向上させるために重要である
といえる。
今回の試験品は、 免疫力を高める作用が報告されている 2)
CDX を主に含有する食品である。 その他の配合成分としては
フコイダン 12,13)、 ビタミン E
コエンザイム Q10
19)
14-16)、
亜鉛 17,18)、 ビタミン B 6、
を含む。 これらのサプリメントは滋養強壮
などの目的で、 漢方領域で古くから用いられ、 免疫機能の改
善効果が知られている。
免疫機能の上昇は、 老化による生理機能の低下を抑え、 す
なわち高齢者の QOL の改善につながると考えられる。 そこで
本試験品では、 実際にヒト、 特に高齢者が CDX 含有食品の
摂取によって、 自覚症状や QOL を改善するか否か、 免疫機
能を改善するか否か、 パイロット試験として検証を試みた。
されており 32)、 炎症性サイトカインを沈静化し白血球数を低下
させた可能性がある。 炎症性サイトカインのなかで IL6 は血小
板増加作用があり 35)、IL6 の低下は血小板数の低下をもたらす。
血糖値の低下については、 試験品中の亜鉛が主たる原因と
考えている。 亜鉛はインスリン合成や分泌に必須で、 亜鉛欠
乏はインスリン分泌低下や血糖上昇に働く 36)。 特に 65 歳以
上の高齢者では亜鉛摂取が不十分な例が多く 17,18)、 亜鉛補
充による効果が顕著に現れた可能性がある。
アルブミン、 A/G 比の有意な低下については、 今回その機
序を明らかにできなかった。 いずれの変化も基準値の範囲内
で、 - 3.7%程度の低下なので、 生理的変動と判断した。
免疫担当細胞のなかで T 細胞は機能的に異なった細胞亜
群 (サブセット) に分類され、 このうち CD4 陽性細胞は、 B
細胞の免疫グロブリン産生を促進的に作用し、 CD8 陽性細胞
は抑制する。 リンパ性の悪性腫瘍や免疫不全症では、 CD4
陽性細胞、 CD8 陽性細胞の比率 (CD4 / CD8 比) が減少
するため、 診断や治療経過観察のため有用な指標となる。 今
回の試験では CD4 陽性細胞百分率の有意な上昇、 CD8 陽
性細胞百分率の有意な減少、 CD4 / CD8 比の有意な上昇
を認め、 いずれも免疫機能が賦活化されたことを示している。
NK 細胞は生体防御の初期段階で重要な役割を果たす。
・コウバクニクジュヨウについて
NK 細胞活性は 40 歳ごろから低下し、 ストレス負荷によりさら
CDX は様々な物質を含む。 主成分 phenylethyanoid につい
ては抗酸化作用 20)、 肝庇護作用 21-23)、 T 細胞増殖作用 24) を
有することが報告されている。 また抽出されるポリサッカライドは
T 細胞や B 細胞の増殖促進など免疫賦活作用を有する 25-27)。
に低下する。 NK 細胞活性が低下すると抵抗力がなくなりウイ
ルス感染を惹起しやすくなる 37)。 今回の試験では NK 細胞活
性の有意な上昇を認め、 免疫機能が賦活化されたことを示し
ている。
( 7 )
コウバクニクジュヨウエキス含有食品の作用
動脈硬化度については、 指尖加速度脈波法で血管年齢の
有意な改善を示し、 CAVI 値が有意に低下していた。 これら
通院中であれば担当医に申告するか、 3 ~ 4 ヶ月に 1 度血液
生化学検査を行うなどの配慮が必要であろう。
の検査法は血管壁の器質的硬化と血管壁の緊張の双方を反
映する。 12 週間という短い観察期間での器質的改善は困難
であることから、 今回の改善作用は主として血管壁の緊張が
緩和されたことによる。 血管緊張には血管内皮細胞由来 nitric
oxide (NO) と NO 由来フリーラジカルのバランスが反映され、
一般的に抗酸化物質は血管拡張性に作用し、 フリーラジカル
結論
は血管収縮性に作用して血管を緊張させる 38)。 本試験品は、
抗酸化作用を有する CDX
20,34)、
14-16)、
高齢者の免疫力向上を目的とした CDX 含有食品 (試験品)
コエンザイ
を 12 週間経口摂取した際の、 ヒトにおける有用性と安全性に
を含んでおり、 これらの成分が総合的に血管拡張
ついて検証することを目的とし、 重篤な疾患を有さない高齢者
性に作用し、 血管緊張が緩和した可能性が想定される。 その
25 例 (68.4 ± 3.5 歳) を対象に無対照オープン試験を行っ
結果、 心臓の循環負荷が軽減され、 脈拍数の有意な低下に
た。 自覚症状として 「目が疲れる」 「疲れが取れない」 が有
至ったものと思われる。
意に改善した。 免疫機能検査では CD4 陽性細胞百分率の上
ム Q10
19)
ビタミン E
今回用いた試験品はコウバクニクジュヨウ以外の機能成分
昇、 CD8 陽性細胞百分率の減少、 CD4 / CD8 比の上昇、
(ビタミン E、 コエンザイム Q10、 ビタミン B6、 亜鉛、 メカブフ
NK 細胞活性の上昇など免疫機能の賦活化がみられた。 動脈
コイダン) も含有している。 したがって得られた成績は単純に
硬化度検査では指尖加速度脈波検査で血管年齢の有意な改
CDX 成分に由来するものではない。 純粋に CDX の効能を確
善、 CAVI の有意な低下を認めた。 試験品摂取による重篤な
かめるためにはそれ以外の成分を除いた検証が必要である。
有害事象はみられなかった。 以上より本試験品は高齢者の疲
今回の観察期間は 12 週間であったが、 今後さらに長期間の
労感を軽減、 免疫機能を賦活化、 動脈硬化度を改善すること
検証も必要である。 これらの点が本研究の解析限界であろう。
で QOL 改善に貢献できる可能性が示唆された。
・安全性について
今回の試験参加者は 65 歳以上の高齢者であり、 生活習慣
病を有している者も多く、 なかには軽度の慢性心不全が疑わ
れる例も含まれた。 高齢者では飲酒量の変化、飲水量の変化、
脱水などの水分代謝が血液生化学検査に大きく影響する。 そ
のために試験期間中に異常値を呈した症例も 16 例にみられ
たが、 いずれも試験品との関連が少ないあるいは全くないと判
断された。 少なくとも重篤な有害事象は認めなかった。 以上よ
り本試験では試験品の安全性については問題なしと結論した。
ただし基礎疾患を有する高齢者が試験品を服用する際には、
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