OnBase ScanConnect for ERP 佃 浩太郎 * 山香 浩 ** Kotaro Tsukuda Hiroshi Yamaga * ** システムソリューショングループ 第一システム事業部 OnBase ソリューション部 営業グループ マーケティング統括部 紙文書を簡単に電子化し,紙文書のイメージデータと ERP のデータを容易に連携させる,パッケージソ フト「OnBase ScanConnect for ERP」のご紹介.紙を伴う業務改善に伴う課題とそれを解決する有用 な機能についてご紹介する. This paper introduces OnBase ScanConnect for ERP - the packaged software that facilitates conversion of paper documents into electronic form, as well as creating links between image data of paper documentation and data on ERP. This paper also introduces the challenges to be dealt with for improving business operations that require paper documentation, and the software's useful functionality to address such challenges. 1 2 まえがき ビジネスの全体最適化を推進していく上で,欠かせ ないツールとなっている ERP(統合基幹業務システ 紙を伴う従来システムの課題と 本製品の特長 (1)紙を伴う従来システムの課題 ム) .従来 ERP システムでは,受注売上データといっ 紙を伴う業務を改善するうえで,紙文書の電子化が た取引明細,顧客データといった会員情報を電子データ 有効な手段であるが,その実現にあたっては,従来より で蓄積・管理していた.一方,関係する注文書,仕様書, 以下の 3 点が大きな課題となっていた. 入会申込書等の紙文書に関しては,そのまま紙文書とし て保管しているのが一般的であった.そのため ERP 1)電子化作業の効率改善 日々発生する紙文書の電子化を,いかに簡単に,し システム上のデータと紙文書を照合・確認するための作 かも短時間で実現できるか 業がわずらわしく,いかに紙を伴う業務を改善するかが 2)既存業務システムからのスムーズな参照 大きな課題となっている. 既存の業務システムで作業をしている中で,電子化 今回ご紹介するパッケージソフト「OnBase ScanConnect for ERP」 注1) は,紙文書を簡単に電 参1) 子化し,紙文書のイメージデータと ERP のデータを 容易に連携させ,これらの課題を解決する(図−1参照) . 次章でこのソフトの特長について説明する. された紙文書をいかに簡単にすぐに参照できるか 3)短期間で妥当なコストでのシステム導入 システムを,いかに短期間に妥当なコストで導入で きるか (2)OnBase ScanConnect for ERP の特長 OnBase ScanConnect for ERP は,スキャナメ ーカーである PFU の豊富な経験による工夫が盛り込ま 注1)OnBase は,米国ハイランド・ソフトウェア社が開発し た,統合コンテンツ・マネージメント・システム(ECM) である. PFU は「OnBase」を日本におけるマスターリセラーと してお客様へご提供している. OnBase は,ハイランド・ソフトウェア社の登録商標で ある. 50 れ,これらの課題を解決,紙文書を電子化し,電子化し た文章を ERP から簡単に参照,確認することを実現 している. 本製品は以下の三つの特長を持つ. 1)紙文書を高速スキャナで読み取り,文書の種類や PFU Tech. Rev.,18, 1,pp.50-55(05,2007) OnBase® ScanConnectTM for ERP 紙文書の電子化 ERP から文書を照合・確認 ERP の画面 紙文書の種類を認識 キーワード情報を抽出 ERP システムの画面 管理番号 1234 発注日 電子化 ・紙文書の種類 ・キーワード情報 画面上の文字 (伝票番号など) に 対応するキーワード情報を持つ イメージデータを表示 イメージデータ スキャナ 2006/06/17 ●図―1 OnBase ScanConnect for ERP のしくみ● (Fig.1-Mechanism of OnBase ScanConnect for ERP) キーワード情報を自動認識 紙文書の種類 会員申込書 キーワード 会員番号 2)ERP からワンタッチで関連文書を参照 3)あらゆる ERP システムと連携が可能 3 OnBase ScanConnect for ERP の詳細 前項の特長について以降に詳しく説明する. 3.1 紙文書を高速スキャナで読み取り,文書の種 類やキーワード情報を自動認識 高速ドキュメントスキャナと帳票認識,文字認識 (OCR)技術により,大量の紙文書を高速に電子化する. 以下のような機能が用意されているので,通常は時 間のかかる電子化作業を,かんたん操作で,スピーディ ー,しかも効率的に行うことを可能としている. (1)帳票フォーマット定義を容易とするツールを提供 帳票フォーマット定義ツールで,読み込む帳票のフ ●図―2 帳票フォーマット定義例● (Fig.2-Example of defining document format) (図−3参照) . (3)認識結果の確認,修正もらくらく 専用画面で,読み込んだイメージを確認しながら, キーワードの認識結果の確認や修正を簡単に行える (図−4参照) . (4)イメージデータをキーワードつきでデータベース ォーマットとキーワードの位置を,システムに定義・登 管理 録できる. イメージデータは,文書の種別毎に分けて保存され 帳票の種類は 100 種類まで,1 帳票から認識するキ る.各種別には属性として設定されるキーワードが定義 ーワードは 10 項目まで定義可能である.OCR による されている.各文書は,イメージデータの実体とキーワ 認識は,活字だけでなくバーコードや手書き文字にも対 ード値のセットで構成される.異なる文書種別に共通の 応している(バーコードは標準で CODE39 に対応) キーワードを設定しておくことで,文書の種別をまたが (図−2参照) . って関連文書を紐付け参照することが可能となる(図− (2)添付資料にも対応した帳票フォーマット認識 5参照) . 登録フォーマットに従って紙文書の種類を認識して 自動的に仕分けるので,異なる種類の紙文書を重ねて一 度にスキャナにセットできる. 3.2 ERP からワンタッチで関連文書を参照 ERP 画面に表示されている伝票番号や取引先名など フォーマット登録した文書の後ろに添付文書を重ね のフィールドをダブルクリックするだけで,対応する文 てスキャンすると,自動的に添付文書として認識される 書,関連する文書を迅速に表示することができる.既存 PFU Tech. Rev.,18, 1,(05,2007) 51 OnBase® ScanConnectTM for ERP の ERP システムの画面からワンタッチで紙文書を表 「アプリケーション・イネーブラー」 , 「クロスリファ 示する機能は,OnBase の 「アプリケーション・イネ レンス」機能についての詳しい説明は以下のとおりであ ーブラー」機能,また簡単に関連文章を参照するために る. 「クロスリファレンス」機能を使って実現している (1)アプリケーション・イネーブラーとは お客様が使っている ERP システムの画面での操作 (図−6参照) . により OnBase に登録されている文書を画面上に表示 納品書 させる連携機能である.あたかも ERP システム上に 添付資料 関連文書の表示機能が追加されたように扱うことができ 添付資料 る. 購入依頼書 注文書 この連携機能は,ERP システムの画面上の伝票番号 や注文番号の表示フィールドで「マウスのダブルクリッ ク」や「ファンクションキーを押す」といった特定の操 作をすることで実行するように設定しておくことができ る(図−7参照) . この特定操作が行われた時,本機能は,ERP の画面 ●図―3 スキャナ読取りにおける添付資料認識● (Fig.3-Recognizing attached documentation when scanning) に表示されている情報を読み出し,その内容を検索条件 イメージデータ 文書の種別=注文書 キーワード A =1004 キーワード B =第一営業部 : イメージデータ 文書の種別=購入依頼書 キーワード A =1004 キーワード C =山田太郎 : ●図―4 認識結果確認画面例● (Fig.4-Example of the recognition result check window) ●図―5 イメージデータ管理例● (Fig.5-Example of image data management) サムネイル表示 クロスリファレンス アプリケーション ・イネーブラー ワンタッチ ワンタッチ ERP システムの画面 注文書の表示 購入依頼書の表示 ●図―6 ERP からワンタッチで関連文書を参照● (Fig.6-Referencing related documentation from ERP with a single operation) 52 PFU Tech. Rev.,18, 1,(05,2007) OnBase® ScanConnectTM for ERP が何を目的としたシステムか,には依存しない.つまり, として OnBase 内から自動的に文書を検索する. 今現在お客様が日々使っている業務アプリケーションと (2)クロスリファレンスとは も連携させる事が可能となる. 現在表示されている文書の画面から,関連文書をワ 連携可能なアプリケーションと検索条件について以 ンタッチで表示する機能である. 下に説明する. 業務において関連文書を照合したり確認したりする シーン,例えば, 「注文書に対する承認済みの購入依頼 (1)連携可能なアプリケーション アプリケーション・イネーブラー機能は,次頁の連 書を確認する」というようなケースで効果を発揮する. 携をサポートしている(図−10参照)注2). 本機能は,関連づける文書の種別と,紐付けに使用 する共通のキーワード(例えば「注文番号」 )を予め設 定しておくだけで,利用者はすぐにこの機能を使うこと ができる(図−8参照) . ワンタッチ 3.3 あらゆる ERP システムと連携が可能 注文書 購入依頼書 No.5678 B社 前節で紹介した「アプリケーション・イネーブラー」 No.5678 印 印 機能は連携する ERP システムの改造を行うことなく, 3 ステップのかんたんな画面操作で設定できる(図−9 参照) . また,ERP システム画面に表示されている文字をキ 文書の種類 注文書 ーワードとして文書を検索するので,連携する ERP 注文書 No.9012 B社 注文書 印 No.5678 B社 注文書 印 No.1234 + A社 印 キーワード 取引先 注文番号 発注日 : 文書の種類 購入依頼書 購入依頼書 No.9012 購入依頼書 No.5678 購入依頼書 No.1234 印 印 印 キーワード 取引先 注文番号 発行日 : ●図―8 ワンタッチの関連文書読み出し操作● (Fig.8-Retrieving related documentation with a single operation) ●図―7 OnBase 登録文書読み出し操作例● (Fig.7-Example of retrieving OnBase-registered documentation) Step 1 Step 2 Step 3 連携する ERP システムの画面および 検索キーとなる入力・表示項目を選択する. 表示させる文書の種別と,検索対象となる キーワード項目を選択する. ERP システムの画面でのアクションを選択 する.(ボタンのダブルクリック,など) ●図―9 アプリケーションイネーブラーの設定● (Fig.9-Setting up Application Enabler) 注2)アプリケーション・イネーブラー機能使用の際の留意事項 本機能は,各アプリケーションが持っている機能と連携するのではなく,Windows の画面表示の部分と連携するため,あらゆる ERP システムと連携できる可能性を持っている. お客様が導入している ERP システムや社内開発したアプリケーションと連携させる場合は,事前に動作検証を行っていただき, その結果連携可能であれば,現在お使いのアプリケーションに一切変更を加えることなく,そのアプリケーションに「関連文書の 参照機能」をアドオンできることになる. 対象となるアプリケーションのつくりによっては連携できない場合もある.また,OS やアプリケーションのバージョンが変わっ た場合に,以前の設定のままでは連携できない場合もありえる. PFU Tech. Rev.,18, 1,(05,2007) 53 OnBase® ScanConnectTM for ERP Windows アプリケーション HTML アプリケーション テキストベースの アプリケーション ●図―10 連携可能なアプリケーションの例● (Fig.10-Example of applications that can be linked to ERP) 1)Windows 注3)アプリケーション VB などで作成されたネイティブな Windows ア プリケーション 2)HTML アプリケーション Web ブラウザで動作する HTML アプリケーショ 伝票No. 1234 担当者 この伝票番号を持つ 発注書を検索する 取引先 型名 ン 3)テキストベースのアプリケーション 端末エミュレータ等のテキストベースのアプリケー ション 4)Java 注4)アプレット ●図―11 検索条件を一つ指定した例● (Fig.11-Example of a search when one criterion is specified) (2)検索条件 OnBase の文書を検索するための検索条件は,以下 のような設定が可能である. 1)検索条件が一つの場合 最もシンプルなパターンは,ダブルクリックされた 表示フィールドの内容を検索条件にして検索するもの 伝票No. 担当者 富士通 太郎 取引先 株式会社PFU 型名 である(図−11参照) . この担当者が担当した, この取引先に対する 発注書を検索する 2)検索条件が複数の場合 アプリケーションの画面上に表示されている複数の 項目を AND 条件として検索することができる(図− 12参照) . ●図―12 AND 条件による検索指定例(二つ指定した例)● (Fig.12-Example of a search when more than one criterion is specified using AND (two criteria specified)) さらに連携対象を複数設定することもできる(図− 13参照) . 4 むすび 以上 OnBase ScanConnect for ERP の特長につ いて紹介した.今回紹介した特長をうまく利用すること で,既存の ERP システムを改造することなく,電子 注3)Windows は,米国 Microsoft Corporation の米国およ びその他の国における登録商標である. 注4)J a v a は , 米 国 お よ び そ の 他 の 国 に お け る 米 国 S u n Microsystems,Inc.の商標または登録商標である. 54 伝票No. 1234 担当者 ここがダブルクリック されたらこの伝票番号を 持つ発注書を検索する 取引先 型名 AB000233 ここがダブルクリック されたらこの型名の製品 のカタログを検索する ●図―13 連携対象を複数設定した例● (Fig.13-Example of a search when multi criteria are specified) PFU Tech. Rev.,18, 1,(05,2007) OnBase® ScanConnectTM for ERP 化した紙文書のイメージデータを ERP の画面から容 月末時点)におよぶ豊富な導入実績をもつ ECM パッ 易に照会することが可能となり,紙を伴う業務を改善で ケージ OnBase の機能を組み合わせて実現している. きる. 本商品は,世界 No.1 シェア 今後は,さらにお客様の声を反映し,より使いやす の「fi シリーズ」 注5) い業務改善パッケージソフトとして進化させていきた で培ったノウハウと,世界で 6 200 社(2007 年 2 い. 注5)業務用イメージスキャナを対象とする.欧州・北米は 2005 年 InfoTrends / CAP Ventures 社の調査,日本は 2005 年 株式会社インフォトレンズの調査に基づき,集計. イメージスキャナ fi シリーズは,世界統一ブランドとして, 当社および富士通・富士通グループ各社にて販売している. 参考文献 参1)OnBase ScanConnect for ERP 紹介ホームページ http://www.pfu.fujitsu.com/products/ecm/erp/ PFU Tech. Rev.,18, 1,(05,2007) 55
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