2.問題点と課題の整理 (1)大分駅周辺の道路交通現況 - 大分県

2.問題点と課題の整理
大分市の交通現況について既存資料を基に整理し、状況確認を行うとともに、撤去時の問題点と課題を整理します。
大分駅周辺(特にJR日豊本線南側)の自動車交通現況について、道路交通センサスを基に整理します。
(1)大分駅周辺の道路交通現況
国道 210 号(大道町3)
国道 10 号(大分市元町)
・日交通量の推移をみると、平成2年以降約2
万5千台で推移している。
・日交通量の推移をみると、平成2年の 5 万 8
千台から、平成 11 年には6万台を越えてい
る。
・ピーク時旅行速度の推移をみると、やや改善
傾向にある。
・ピーク時旅行速度の推移をみると、平成11
年では 33.6km/h と、平成6年から改善さ
れている。
・時間帯別・上下線別交通量をみると、上りで
は7時台に、下りでは17時にピークがみら
れる。
・時間帯別・上下線別交通量をみると、上りで
は朝に、下りでは夕方にピークがみられる。
・上りの交通量のピークは 7 時台であり、7
時から 18 時までの上りの交通量合計
11.3%を占める。
・上りの交通量のピークは 8 時台であり、7
時から 18 時までの上りの交通量合計の
10.5%を占める。
・7時台の交通量の上下比率は 1.8、8時台
は 1.5 となっており、上り方向に大きく偏
っている。
・7時台、8 時台の交通量の上下線比率は 2
倍以上となっており、上り方向に大きく偏
っている。
交通量(台/日)
80,000
〈大道町3〉
日交通量
ピーク時旅行速度
70,000
58,207
60,000
80,000
60,000
60,136
33.5
56,320
30,000
17.7
20.0
20,000
ピーク時
旅行速度(km/h)
50.0
40.0
32.1
50,000
30.0
19.4
日交通量
ピーク時旅行速度
70,000
40.0
50,000
40,000
〈元町〉
交通量(台/日)
ピーク時
旅行速度(km/h)
50.0
40,000
21.2
30,000
27,159
30.0
22.6
20.0
25,243
23,179
20,000
10.0
10,000
10.0
10,000
0
0.0
0
H2
H6
0.0
▲道路交通現況(H11 年道路交通センサス)
H2
H6
H11
▲日交通量とピーク時旅行速度(元町)
H11
▲日交通量とピーク時旅行速度(大道町 3)
上下線比率 2.13
〈大道町3〉
0
7時台
8時台
9時台
500
1000
1500
2000
2452
1151
2487
1250
11時台
1553
2080
1541
13時台
2153
1660
10時台
12時台
1754
1497
1603
16時台
1747
1770
17時台
18時台
1844
80,000
〈北下郡10〉
日交通量
ピーク時旅行速度
70,000
ピーク時
旅行速度(km/h)
50.0
30,000
40.0
2087
1886
1985
▲時間帯別・上下線別交通量(大道町 3)
8時台
9時台
42,478
40,860
30.0
23.3
22.4
10 時台
11 時台
35,624
20.0
13.0
12 時台
13 時台
20,000
上り
下り
〈北下郡10〉
0
7時台
60,000
40,000
1912
15時台
ピーク率
10.5%
交通量(台/日)
50,000
1876
1787
1683
1818
1687
14時台
2500
〈元町〉
(主)大分臼杵線(北下郡10)
10.0
10,000
14 時台
15 時台
0
0.0
H2
H6
H11
▲日交通量とピーク時旅行速度
(北下郡 10)
16 時台
17 時台
500
1000
1500
1374
1496
1251
1387
1236
2000
2500
1761
ピーク率
11.3%
1000
上り
下り
10時台
・時間帯別・上下線別交通量をみ
ると、上りでは7時台にピーク
がみられ、上りの交通量合計の
11.3%を占める。
13時台
11時台
12時台
14時台
15時台
16時台
922
908
955
764
2000
2500
ピーク率 11.3%
上下線比率 1.77
807
697
813
789
697
641
748
754
833
687
818
790
654
806
767
17時台
18時台
1500
1093
619
8時台
・ピーク時旅行速度をみると、平
成11年では 23.3km/hと、
依然走行性は低い。
・7時台の交通量の上下線比率
は 1.3 となっており、上り方
▲時間帯別・上下線別交通量(北下郡 10) 向に偏っている。
18時台
7時台
500
9時台
1243
1147
1166
1135
1055
1128
1276
1262
1112
1270
1258
1136
1315
1303
1271
1448
1307
1385
・日交通量の推移をみると、平成
2 年の 3 万 6 千台から、平成1
1年には4万台を越えている。
0
580
986
852
上り
下り
▲時間帯別・上下線別交通量(元町)
2
大分市内の渋滞ポイントと渋滞状況について整理します。
3
(2) 公共交通現況
鉄
鉄道、路線バスなど公共交通の整備、運行状況について整理します。
道
バ
(1)運行状況
(1)朝のピーク時の運行状況
①朝のピーク時の状況
・7、8時台の運行本数は各路線とも毎時3
本もしくはそれ以上の本数であり、約 20
分に1本の割合で運行されている。
5
5
4
3 3 3
3 3 3
2
1
桑原上
1
1
10
8
日豊本線
西大分駅
6時
久大本線
豊後国分駅
7時
8時
豊肥本線
大分大学前駅
9時
▲朝のピーク時(各方面→大分駅)
15
3
22
2
33
3
1
2
1
1
2
本数
6時
1
▲公共交通現況(鉄道・バス)
17時
18時
19時
久大本線
21時
22時
(九州旅客鉄道㈱)
通勤通学における利用交通手段の状況
(2)乗車人員
1%
乗車人員:定期(千人)
ほぼ横ばいであるが、平成 14 年度にお
いては、豊肥本線で若干の増加がみられる。
4,418 4,471 4,399
4,495 4,424 4,378
2%
703 721729725787
709
0
市内利用
交通手段
10年度
久大本線
11年度
12年度
▲各路線の乗車人員
豊肥本線
13年度
自家用車通勤
が 5 割以上
0%
鉄道・電車
乗合バス
勤め先・学校のバス
8%
自家用車
ハイヤー・タクシー
11%
0%
オートバイ
25%
56%
日豊本線
平成9年度
8%
19%
6%
1%
391 337 365
377 336 363
3%
28%
3,000
2,000
徒歩のみ
8%
17%
6%
1%
4,000
1,000
8時
9時
元町経由
9
7
4
3
6時 7時 8時 9時
(大分バス㈱)
豊肥本線
▲夕方のピーク時(大分駅→各方面)
5,000
5
(2)利用状況
・乗車人員は、年々減少傾向にあり、平成 14
年度は平成9年度の約8割にとどまる。
・営業キロ数は、平成 12 年度をピークに減
少している。
20,000
20時
10
8
6
4
2
0
▲各方面から県庁前への運行本数
0
日豊本線
(別府方面)
7時
大道経由
1
日豊本線
(佐伯方面)
6
0
2
11
4
5
二豊団地入口
6 6 7
0
3
222
6時 7時 8時 9時
11
10
4
3
1
光吉入口
外円:大分市
内円:福岡市
自転車
その他
14年度
(大分市ホームページ)
▲市内居住者の市内通勤通学における利用交通手段
・大分市では、自家用車の利用による通勤
通学割合が最も高く、全体の5割以上を
占めている。
・九州内において、公共交通の発達した福
岡市と比較すると、自家用車分担率は福
岡市の 25%に対し、大分市は 56%と
非常に高い。
・自転車利用による通勤通学割合は2番目
に高く、全体の2割近くを占める。
・鉄道や乗合バスといった公共交通機関の
利用者は、全体の1割程度にとどまって
いる。
乗車人員(千人)
本数
33 3
5
0
(九州旅客鉄道㈱)
4
4
5
4
2
②夕方のピーク時の状況
・17、18 時台は各路線ほぼ 20 分に 1 本
の割合で運行されている。
・19、20 時台は各路線で差がみられ、19
時台は久大本線で1本、日豊本線佐伯方面
で3本、20 時台は日豊本線で各2本、豊
肥本線で4本運行されている。
5
5
6
本数
日豊本線
牧駅
本数
0
16,315 15,753
600
15,368
578
580
14,226 13,681 13,036
560
559
563
559
540
15,000
10,000
5,000
513
520
515
500
0
営業キロ数(km)
本数
3
2
2
朝の7、8時台における各方面から県庁前
への運行本数をみてみると、光吉方面からの
本数が多く、大道経由が約7分に 1 本、元町
経由が約 10 分に1本運行されている。また、
二豊団地方面からも約7分に1本運行され
ている。一方、桑原方面からは、12 分に1
本しか運行されていない。
4
3 3 3
3
ス
480
平成9年度 10年度
11年度
12年度
13年度
▲乗車人員および営業キロ数
14年度
(大分市ホームページ)
(3)バスレーン
・各方面から中心部に向かう幹線道路の図示
した区間(▲公共交通現況図参照)におい
て、朝のピーク時間帯にバス専用レーンが
整備されており、リバーシブルレーンと連
動した整備がされているところもある。
(平成 12 年国勢調査)
4
(3)撤去時の問題点
国道 210 号田室跨線橋と王子町椎迫線王子跨線橋の撤去時に想定される、交通問題について整理します。
問題点1)
特定路線への過度の交通集中による
大渋滞の発生
撤 去 時 の 課 題
・国道 210 号田室跨線橋や王子町椎迫線
の王子跨線橋の撤去時には、JR 日豊本
線断面における交通容量が不足するとと
もに、大道通り踏切や草場町踏切などの
既存踏切や国道 10 号に過度の交通が集
中することが予想される。
渋滞解消に関する課題
・道路空間活用の変更による道路交通容量
の拡大
・道路新設による道路交通容量の拡大
・公共交通への転換による自動車交通量の
抑制
・自動車の使い方の工夫による自動車交通
量の抑制
・適正な交通誘導による交通の分散
・ピーク時の集中緩和によるピークカット
良好な環境形成に関する課題
・適正な交通誘導による街区への通過交通
の排除
・一方通行規制などによる街区への通過交
通の侵入規制
問題点2)特定交差点への交通集中による渋滞の発生
・国道 210 号田室跨線橋と王子町
椎迫線の王子跨線橋の撤去によ
り、これまでこうした道路を利用
していた交通が国道 10 号等を利
用して、JR 日豊本線を越えなけ
ればならなくなる。
・そのため、朝ピークにはこうした
道路への分岐点となる椎迫入口
交差点や府内大橋北交差点での
右折交通量が特に増加すると考
えられる。
▲椎迫入口交差点(現況)
問題点3)街区への通過交通の侵入
・公共交通への転換による自動車交通量の
抑制
・国道 210 号田室跨線橋と王子町
椎迫線の王子跨線橋の撤去によ
り、これまで国道 210 号を利用
していた通過交通の一部が大道
通り踏切や草場町踏切を利用し、
一般街区へ進入することが予想
される。
・そのため、街区居住者の交通安全
性の低下が懸念される。
・また、大型車の進入も予想される
ため、騒音、振動などの環境悪化
が懸念される。
5
(参考)交通量配分結果(日交通量)からみたJR日豊本線断面の需給バランス
平成 22 年時の将来交通量配分結果を基に、JR 日豊本線断面(生石椎迫線~下郡中判田線)における需給バ
ランスをみる。
撤去しない場合の断面需給比 1.24 に対し、王子跨線橋(王子町椎迫線)を撤去した場合は 1.31、田室跨線
橋(R210)を撤去した場合は 1.63 になると推計される。
生石
椎迫線
王子町
椎迫線
田室町
春日線
国道
210 号
末広東
大道線
金池
桜ヶ丘線
県庁前
古国府線
六坊
中島線
国道
10 号
荻原
田原線
国道 10 号
■将来道路網(H22)
下郡
中判田線
(主)大分臼杵線
JR大分駅
4車 立 体
4車 立 体
(
(
(
川
)
(
分
)
面
大
2車 平
面
2車 立 体
4車 平
)
2車 未整備
(
)
2車 未整備
(
)
(
)
(
)
(
(
面
)
)
(
面
5車 立 体
3車 平
2車 立 体
2車 平
)
)
※H22 年時想定
資料:大分都
市圏将来交通
需要予測(平
成 17 年 1 月 24
日暫定値)
資料:大分都市圏将来交通需要予測(平成 17 年 1 月 24 日暫定値)
百台/日
500
439
:交通需要>交通容量(オーバー)
:交通需要<交通容量(アンダー)
400
360
386
308
300
288
97
80
65
43
96
下郡
中判田線
荻原
田原線
百台/日
断面需給比 1.29
下郡中判田線まで合計
国道
1 0号
六坊
県庁前
中島線
0
69
59
古国府線
0
84
金池
桜 ヶ丘 線
末広東
大道線
国道
2 1 0号
田室
春日線
王子町
椎迫線
生石
椎迫線
大分川まで合計
78
59
66
59
0
278
176
200
100
288
2,000
1,500
1,000
500
0
1,205
需要
断面需給比 1.24
百台/日
2,000
1,500
1,000
500
0
932
供給
1,869
需要
≪ H21 頃:王子町椎迫線のみ撤去時(1.31) ≫
百台/日
2,000
1,500
1,000
500
0
1,869
(△ 4 4 1 )
需要
供給
供給
≪ H22 頃:国道 210 号のみ撤去時(1.63) ≫
百台/日
1,428
1,508
2,000
1,500
1,000
500
0
1,869
1,148
■ソフト施策でのピーク時削減目標 撤去なし(1.24)を目標
ピーク時削減目標
(△ 7 2 1 )
約1540台/時
需要
供給
田室撤去時供給量
1148百台/日
断面比1.24とした目標量 1424百台/日
ピーク時比率 重方向率
(186900-142400)*0.0653*0.53≒1540
資料:大分都
市圏将来交通
6
(参考)交通処理計画の評価に用いるミクロシミュレーションの概要
■ミクロシミュレーションとは
■主要交差点の渋滞状況(現況再現結果)
自動車交通を対象としたミクロシミュレーションは、自動車1台1台の挙動をプログラムによって制御し、渋滞
▼主要交差点の渋滞状況(現況再現結果)
の発生状況など、現実に発生している交通現象をリアルに再現するとともに、将来における交通条件の変化(特定
区間の通行止め、車線数の変化、信号現示の変化、発生交通量の変化など)に応じた交通現象を予測するものであ
区分
る。なお、シミュレーションに用いる発生交通量や各交差点での分岐率(直進、右左折の割合)は、交通実態調査
の結果を基に推計、設定する。
朝ピーク
(7:30-8:30)
■本調査への適用性
予測に用いたミクロシミュレーションソフト「WITNESS」は、各交差点の形状や信号現示や各車線の方向
規制の設定はもとより、バス専用レーン、バス優先レーンなどの設定が可能であり、本調査のような様々なTDM
施策の検討やその効果を検証するのに適している。
夕ピーク
(17:00-18:00)
■ミクロシミュレーションを用いた将来予測と施策評価の流れ
撤去時のシミュレーション結果を勘案して問題
点・課題を把握し、それに対応した交通処理計画案
を提案する。また、各々の施策がどの程度の効果が
あるのか、ミクロシミュレーションを用いて検証・
評価する。
現 況 再 現 ( H 1 6 )
総走行台キロの伸び
将 来 予 測 ( H 2 2 )
平
常
時
撤
去
時
(分析)
(反映)
自動車削減量の推計
効
(検証)
等
2,000
1,800
実績交通量(台)
府内大橋北
大道陸橋北
国道210号
国道210号
国道10号
椎迫入口
羽屋
顕徳町3丁目
国道10号
国道210号
府内大橋北
大道陸橋北
国道210号
国道210号
椎迫入口
羽屋
※進入方向は概ねの方向であり、厳密な方角ではない
・事業者アンケート調査等
析
2,000
2000
R2=0.9992
1500
1000
1,000
1,000
800
800
600
600
400
400
200
200
0
2500
3000
推計交通量(台)
▲リンク交通量現況再現結果(朝ピーク)
実測値
夕ピーク
現況WITNESS
南
北
羽屋三 府内大
差路
橋北
踏切流入交通量
夕ピーク
1,600
1,200
-
制約条件交差点方向別交通量
(m)
1,800
1,400
朝ピーク
1,200
2000
分
実測値
現況WITNESS
朝ピーク
1,400
2500
1500
果
(m)
1,600
1000
国道10号
国道210号
東→西
南→北
南→北
東→西
西→東
南→北
南→北
東→西
南→北
北→南
東→西
西→東
北→南
南→北
<交通処理計画の評価・選定>
リンク交通量の現況再現結果(7:30~8:30)
500
顕徳町3丁目
交通量 最大渋滞長
(台/時)
(m)
2,045
185
997
158
1,845
144
1,060
295
771
82
2,398
884
946
226
1,674
212
851
260
1,591
89
1,298
171
1,536
116
2,144
1,754
937
151
交通処理計画の選定
3000
0
国道10号
進入方向
問題点・課題の抽出
<ミクロシミュレーション>
500
交差点名
交 通 処 理 計 画 案
施 策 適 用 時
・渋滞長
・通過台数
・通過時間
路線名等
東
西
大道陸橋北
南
椎迫
入口
東
南
顕徳町3
丁目
南
北
羽屋三 府内大
差路
橋北
東
西
大道陸橋北
北
椎迫
入口
東
南
顕徳町3
丁目
※WITNESS 推計渋滞長は、道路占有率が最も高い水準にある時間帯に
おける、信号を先頭とした滞留台数に平均車頭間隔を乗じ算出した
▲ピーク時主要交差点渋滞長現況再現結果
▲主要交差点における渋滞状況(現況再現結果:朝ピーク時)
7