非定型抗酸菌の分布に関する疫学的研究 (第 2 報)

Title
非定型抗酸菌の分布に関する疫学的研究(第2報)
Author(s)
高桑, 栄松; 小野, 昌憲; 川村, 繁市; 有末, 四郎; 佐藤, 睦広;
小野, 英夫; 則武, 徳雄; 小池, 晃弘
Citation
結核の研究 = TUBERCULOSIS RESEARCH, 23-24: 37-41
Issue Date
1965_1966
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/26765
Right
Type
bulletin
Additional
Information
File
Information
23_24_P37-41.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
3
7
非定型抗酸菌の分布に関する疫学的研究明 2報)
高桑栄松・小野昌憲・川村繁市
〔北大衛生)
有 末 四 郎
(厚生省北海j
草地方医務局〉
佐 藤 睦 広
(国立 f
背広療養所)
小 野 英 夫
(国立療養所旭川病院)
則 武 徳 雄
(札幌中央保健所〕
小 池 晃 弘
(札幌市教育委員会〉
(昭和 4
0年 7月 3
0日受付〉
B 調査対象
1. ま え が き
北海道 A市及び O市郊外にある結核療養所入所中の患
非定型抗酸菌は人間に結核様病変をひきおこし得る細
菌として近年注目されているが,日本においても結核症
者4
77名及び S市にある中学生中ツベルクリン反応陽性
者1
2
5
3名を研究対象として抽出,夫々 A 群〔石井株一π
として入院中の患者で本菌を排出している症例が報告さ
ーπ
ーπ
)
. B群〔三池株-7Zと H37Rv
), C群(蒲
と H37Rv
れ,比日野等1Jによって臨床的な判定:基準が設定される
ーπ
生
材
、
ーπ と H37Rv
-π),D群 (P16 株 π と H37Rv
〉の
に至っている。また一方日比野幻,
武谷ら 3) は人から人
ーπ と非定
四群に分け,同一人に同時に,しかも H37Rv
への感染の可能性を暗示しており.
4)は
Chapman
型抗酸菌よりの πが左右交互になるように接種した。
c
o
n
t
a
c
t の調査で同様な感染経路を重視しており,
f
a
m
i
l
y
いわ
C 接種部位及び測定法
ゆる発病者の周囲には感染者の存在が当然考えられ,昭
接種部位は過去におけるツベルタリン反応の影響を出
和 36年以来非定型抗酸菌感染の疫学的研究委員会が中 心
来るだけさけるため両側前腕屈側中央部より前の方を用
d
になり,わが国で分離された非定型抗酸菌からの精製
い,前腕で初回部位の認定困難な場合は両側上腕の内側
ツベルクリンを用いた皮膚反応が全国的に実施されてい
に接種し .4
8時間後に発赤,硬結,二重発赤について測
る。われわれ 5) はその一環として昭和36年北海道におけ
定した。
る調査を行い,僅かではあるが非定型抗酸菌の感染を疑
わしめる者の存在することを報告した。今国更に Scoto・
chromogen株. Nonphotochromogen株. Photochromc
,
"
gen株より精製した πを用いて第 2次の調査を行ったの
でその結果について報告する。
2
.
研 究 方 法
A 使用したツベルタリン液
使用したツベルクリン液は非定型抗酸菌の疫学的研究
3
.
研 究 成 績
(
i
) 結核患者群
結核患者群で H37Rv-l!' 0
.
1
5r
/
0
.
1c
c(
2
0
0
0倍の!日ツ
液と等力価〕の接種によってlOm m以上の発赤を示し
た者は第 1 表のごとく H37 Rvーπ では 98.2%~100% を
示し,これと等力{屈の非定型抗酸菌 πでは,石井株47.5%
三池株 8
3
.
8,"6'.蒲生株 95.3%. P16株 93.8%で,いずれ
ー π に比較して反応の出現が弱い。
も H37Rv
また 6mm
委員会より譲渡された人型菌 H37Rv よりの π,非定型
ーπ で 9
以上の硬結を触うねした者は H37Rv
2
.
0,
"
6
'~98.1 %
抗酸的│の Scυ(ochrol11ogen の石川11:.三池株よりの π,
を示し石井ドf;2
S
.
5,
"
o
. 三池株 f
i
f
i
.
7,"6'.蒲生株7
8
.
2,
"
6
'.
Nonphol,
)chromogcn の蒲f
l
l
lよりの π,Pho(ochrolllo
:tくよりの π を{即日した。
gen の Pl6 t
I
'
JstP5.9
,
"
6で. ,¥ 、ずれも H37RVーπ に比較して反応の r
U
mが弱 L。、 次に H37Rvπ の反応の発赤径が 9111m以下
一
型
3
:
:
;
第 1表 発 赤 l Omm以上,硬結 6mm以上の反応を示すもの(結核患者〉
IB
群 (1町名)出竺~IH: 群 (112名〕
山
H
3
7Rvπ│石井株 πlH
山
H3
7Rvπ 同生株 πIH
πl三池株 πI
πIp岬
π
発赤径 10mm
I 120 I 57 I 105 I 88 I 109 I 105 I 110 1 105
以上の出現率
1
1
0
0
.
0
,
9
6147.5% I
1
0
0
.
0
がI
8
3
.
8,
9
'
,
;
'I
99.0% 199.3% I
98.2% 193.8%
蹴 径 6mm I 1
1
7 I 2
3 I 1
0
3 I 7
0 I
以 上 の 出 現 率 い7併
,
1
I 8
6 I 103 I 8
5
胤
判 叫 66叫 94.6,96'
2
8
判 92叫 75.9,96'
9
8
7
8
第 2表 H
3
7Rvπ で疑闘生以下,非定型 πで陽性の反応を示すもの(結核患者〕
l
石井株
i三 池 株 │ 蒲 生 株
司
「
立 長 π <9mmI 0
I 0
違|非定型 π>1伽~I 万円ゆ)IIEE(0 附
8
I
f¥
i¥n/¥
I
f¥
1
P
1
6株
I
I
I
11百 (0.9%)|IIE(18N)
f¥n/¥
f¥ '-"n/¥
E
I
伝記[トムマルイふん i古 川
ーπ の
第 1図非定型抗酸菌一π と H
3
7Rv
発赤値度数分布(結核患者〕
で非定型抗酸菌 πの反応で発赤径がlOmm以上を示し
たものは第 2表のごとく石井株,
三池株では観察され
%
一・・;p婚主宰
l
0
.
9,
9
6
),P
1
6株で 2名(1.8%). また
ず蒲生株で 1名 (
Rv
H37
一π の反応で硬結径が 5mm以下, 非定型抗酸菌
の反応、で硬結径が 6mm以上を示したものは石井株,
ー
-H~7Rv
1
¥
~O
刊
ヘ
¥
FI
¥
J
L
、
¥i
¥
t
三池株では観察されず,蒲生株で 6名 (
5
.
4%
)
, P1
6
株で 1名 (0.9%) であった。
37Rv
π で
発赤の度数分布をみると第 1図のごとく H
はいずれの群でも 14mm~30mm にわたり 2 ないし 3 峰
¥
¥
o
、、-~
4
-
12mm~22mm にわたって 1~2 峰性の分布を示すが,
布を示し,
H
3
1Rvπ に比較して反応の分布が夜結径の
小さい方にかたよっており,特に石井株では反応が弱
。
、
L
ーπ の
次に発赤径で非定型抗酸菌 πの 反 応 が H
3
7Rv
反応より大きいものの出現率は第 3表のごとく,石井株
0名 (
9
.
1
1名 (0.8%),三池株 2名(1.9%),蒲生株 1
患者の病型別にみると第 4表のごとく非定型抗酸菌 π
ーπ の反応より大きいものの出現率
の発赤反応が H
3
7Rv
2,
9%と向く,居fU也日J
I
にl
よると蒲ノ七株で都市
が F塑に 1
群 18.9,"',;'と向く地域内'~な弟がなられた。
.
.
l
4 28
3
2 3
6 40
l、
、
供、
.
f
f
.
.
.
.
_
---.芸品株
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l ¥
¥
J
O
I
l
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ノ
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L-4
,
4
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ー
-H
>7Rv
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i
へ
20
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j生 株
l ¥ 〆P ¥
v¥
/
九
八・
fo
,
ノ
4-・
茅6
4
4~
".噌宮崎
一-H"Rv
,
9
6
)
. P1
) と比較し
6株 3名 (2.7%) で 全 国 の 出 現 率6
Nonphotochromogen の蒲生株の出現率がやや高い。
,
z
・
ー
-H~7Rv
2O
応の分布が発赤径の小さい方にかたよっている。また硬
ー π では
結の度数分布をみると第 2図のごとく
H
3
7Rv
非定型抗酸菌 π では 8~18mm にわたりほぼ 1 峰性の分
.
・
%
性の分布を示すが,非定型抗酸菌 π では 8~22mm にわ
ーπに比較して反
たって 1~2 峰性の分布を示し. H
3
7Rv
u
'
i
t
• -_
.P
.・事辛
^、
/'
3
9
第 3表
AAB
ーπ の反応が
vπ の反応より大きし、もの
H31R
詰
RvVイ[卜三…んミ一ムH"
7次ベ
│
同
粧
問
株
わ
…
>
ιJλ
勺
域よ
一>一一
ぶ心1U1l ペ R~十1
(
2
.'
7
%
)
(1.5%)
中学生
全
第 2図
;
j
l
t
:
:
U
:
U
:
引
山
f
U
直
七
江
弓
二
竺よ
l
i
(
2
.
2f
o
)
!
北海道
J
;
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
U
;
;
;
U
ι
U
5
J
J
1
1
3
0
2
1
国
l
(
2
.
7
o
)
f
!
第 4衰 a 病型別にみた発赤反応、の出現率
π の
非定型抗酸菌 π と H
3
7Rv
硬結値度数分布(結核患者〕
(結核患者〕
H
3
7 AAB
¥
1H37>AAB 1
一
型
認
l
H37<AAB
与
ー-HvR.
--一石持串象
l
'
B
C
・
2
(
9
1
.
7
%
)
1
7
(1.0%)
(
7
.
3
%
)
1
96
96
Ml
号
!
器
一土 (
2
.
1%)
,
,
1
9
2
1
}2
F
ーー-H1TRv
.
.
. =.~歯車ま
川│弁
(
8
2
.
8
%
)
1
3
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(
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2
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2
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)
1
4 (
4
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1
o
)
1
2
.
9
.
:(
f
!
7
0
叫
_3_ (3.2%)
7
1
ーπ の反応、が大きいものの居住
第 4表 b AAB
地別出現率(結核患者〕
90
qd
MF
qG
一ハ υ
一
一%
同
一
一 1一日
2一
.
--H"R
,
時
事
事
-p
刊
株一勝一例
生一比一L
蒲一叫ぼ一1一日
h
P
1
6株
菌 π では,石井株 1 1. 8% ,三池株 29.6~弘蒲生株 68.0
五
之
品
9
却
農
村
株一勝一切
井一弘一 4
--...第主主事
都
市
ι
ー -H:l71{v
石一ト日一
.>2
三一 2一
日
一 2
切
一
株一切一切
井一弘一 L
j
.
.
9
1
'
π に比較して反応
%
, P1
3
7Rv
6株 75.4%で,いずれも H
の出現が弱し、。また 6m m以上の硬結を触知した者は
ーπでは 8
2.2%を示し,石井株 7.3%,三池株24.8
H
3
7Rv
π
.9 %でいずれも H
3
7Rv
%,浦生株 52.5%, P1
6株 51
に比較して反応が弱し、。次に H
3
7Rvπ の反応で発赤径
.
2
O
"
(
i
i
) 中学生群
ーπ0
.15rj
O
.
1
c
c の接種によって 1
0
中学生群で H
3
7Rv
が 9mm以下で非定型抗酸菌 πの反応で発赤径がlOm m
以上を示したものは第 6表のごとく,石井株では観察さ
0
れず,三池株 4名(1.3%),蒲生株 1
名 (3.2%),P1
6株
m m以上のた赤を示した r
tは 5第去のごとく, H37Rvπ
0
.
3
1名 (
ー π の反応、で硬結径が 5m m
タ),また H
3
7Rv
JI
以下, .
A'型抗酸蘭 πの反応で硬結径が 6mm以上を示
7.o ,qô~95.2 タを示 L. これとすS);úffi の ~Fk)目.jM峻
では R
L たものは,石升 1t では観察されず,三池事~2 名 (O.h
4
0
第 5表 発 赤 l Omm以上,硬結 6mm以上の反応を示すもの(中学生〕
A 群
(
3
1
4名)IB
H3
吋石井株
I
7R
発赤径lOmm
以上の出現率
硬結径 6mm
以上の出現率
第 6表
群
(
3
0
7名) Ic群 (
3
1
6名)ID
蝿
E
1
π
π
山
同
同R吋 三 池 株 │
H
7
1137im191l290i2151 m
[
m
5l
引
1
.8
5
.
2
日
1
.8
.
3
5
μザ 2
9
.
6
5
μ'
5
μ 1
8
.
0
5
μ 1
1
9
61
2
.
5
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ザ
61
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5
.
4
%
9
6
8
タ
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幻
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“
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鈎
町
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1
百
7
.
2
9
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」
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7
.
3
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(石井株│三池株
示
112217iLJ
幻
布
回
l蒲 生 株 I
Jι(3.2%)
M 1 L μ司会
(
0
.
6
6
)
f
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1恭
(
3
.
2
%
)
P16
i
6
I3
株
(
0
.
3
μ
)
会
I
(
0
.
6
6
)
f
!
第 4図 非 定 型 一π と H37RVーπ の硬結値!変数
分布(中学生)
←
•
5
包
4ミ
却
-
H37Rv
-
-
ハ
,
1
'
且
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2
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2
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.
8
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1
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2
.
5
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2
.
2
%1
.9%
7
3
.
4
%l
51
!
第 3図 非 定 型 π と H37Rvπの発赤値度数分布
(中学生〕
l
(
3
1
6名〕
ーπ で疑陽性以下,非定型抗酸菌一π で陽性の反応を示すもの(中学生〕
H37Rv
H邸主
制
群
H
五
A一
2争
瓦1
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2
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H
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孟4-
:
:
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}.2マ~~
~軸同
告
-H'7Rv
一
鴫p..
・ 司
詠
20
20
ー
一-H"R"
a
一九抹
U 」アツん/
川 i
'
"
物
・
ー
ー
一-HnRν
-・・ 5
歯生砕
UJ
川
--・・三タ色事宇
Jf:¥
4
-
o
l
.
1
16
;8
2
"
' ,
.
:
1
2
.
4
1
%),蒲生株 1
0
名 (
3,
2%),P
1
6株 2名 (
0,6%) であ
1
) ツベノレクリン反応の陽生限界を発赤lOmm以上,
硬結 5mm以上とすると,結核患者群, 中学生群とも
った。
発赤の度数分布をみると第 3図のごとく, H
3
7Rvπ で
はいす、れの群でも1O ~20mm にわたり 2~3 峰生の分布
H
3
7RVπ の陽生率が高く,発赤値でみた陽性率が硬結値
でみた陽性率より高 L。
、
を示すが, 非定型抗酸菌 π では 4~14 mmにわたって
2
) H37Rv
ーπ の反応が発赤で 9mm以下,硬結で 5
1~2 峰性の分布を示し, H
3
7Rv
π に比し反応の分布が
m m以下,且つ非定型抗酸菌 πの反応が発赤で 10mm
発赤径の小さい方にかたよっている。また硬結の度数分
以上,硬結で 6mm以上の出現率は結核患者群で蒲生
布を見ると第 4図のごとく, H37 Rv.π では1O ~18 m m
株で 0.9~5.4,96', P 16 株で 0.9~ 1. 8% に,中学生群で三
にわたって 1~2 峰性の分布を示すが,非定型抗酸菌 π
池株 0.6~ 1. 3% ,蒲生株で 3.2,96', P16 株で 0.3~0 , 6%
では 8~10mm に頂点を有する 1 峰性の分布を示し,
を示した o
H3
7Rvn:に比較して反応の分布が硬結径の小さい方に
著しくかたよっており石井株の反応、が弱い。
n:の反
次に発赤径で非定型抗酸菌 πの反応が H31Rv応より大きいものの出現率は第 3表のごとく,石井株で
は観察されず,三池株 8名 (2.6%),蒲生株 2
4名 (
7
.
6
3
) 発赤の度数分布では結核患者群
,ド学生群とも非
1
-
定型抗酸菌 πの反応が H
37Rv
π の反応に較べて発赤筏
の小さいものが多い。また硬結の度数分布でも同様な傾
向がみられた。特に石井株は反応が極めて弱し、。
4
) 非定型抗酸菌 πの反応が H37Rvπ の反応、より大
%
)
, P1
6株 7名 (2.2%) で 全 国 の 出 現 率 と 比 較 し
きいものの出現率は,結核患者群で石井株 l名 (0.3%).
Scotochromogen の三池株. Nonphotochromogen の蒲
三池株 2名(1.9%). 蒲生株 1
0名 (9.1%). P1
6株 3名
生株の出現率が高い傾向にあった。
(2.7%). 中学生群では三池株 8名(2.6%). 蒲生株 2
4
名
(7.6%). P
1
6株 7名(2.2%) で全国に比較し阿群とも蒲
4
. ま と め
生株にその出現率が高かった。
非定型抗酸菌によって肺に病変をおこしたと思われる
ーπ
5
) 結核患者群で非定型抗酸菌 πの反応が H
3
7Rv
症例はわが国においても染谷 7
) の報告以来約4
0
例をかぞ
の反応より大きいものの出現率は,病型別には F型に高
えているが,これ等の排菌者のほかに何等の自覚症状を
く,また都市居住者と農村居住者別に見ると蒲生株では
呈しない感染者のあることは欧米においても確認され,
差がみられた。
またわが国においても昭和 3
5年に行った非定型抗酸菌
感染の疫学的調査幻からも推定出来るところである。こ
れ等の感染者の認知に広く応用が出来,
しかも手技が
本論文の要旨は第 1
8回日本公衆衛生学会において発表
した。
簡単で集団の感染状況を知る上に,皮膚反応がすぐれて
いることは言うまでもない。しかし人型菌と非定型抗酸
文
菌の聞や非定型抗酸菌相互間には共通抗原の存在が認め
献
られ,皮膚反応の判定上に影響を及ぼすことが考えられ
1
) 第3
7回日本結核病学会総会発表
る。岡田等 8) は動物実験,結核未感染者,結核感染者,結
2
) 日本医師会雑誌
核患者及び非定型抗酸菌症の患者などにおける皮膚反応
3
) 非定型抗酸菌感染の疫学的研究班報告昭和 3
6
の成績を分析し人型菌から精製したツベルタリン液と
非定型抗酸菌から精製したツベノレクリン液の両者を同時
に注射し,感染を区別することが可能であり,非定型抗
酸菌よりの πの反応が人型菌よりの πの反応より 25%以
上大であるときには感染の疑いが濃いと考えるべきこと
を述べている。われわれは昭和3
6
年非定型抗酸菌の疫学
的研究委員会の一員として北海道における調査を行い,
1
9
6
2
4
8
. 271. 昭和 37年
年
4
) ChapmanJ
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6
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4
7
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9
6
2
5
) 高桑栄松,川村繁市他:結核の研究 1
9
.3
6
.
1
9
6
3
6
) 非定型抗酸菌感染の疫学的研究班報告
昭和 3
7
年
感染の疑いあるものの存在はきわめて僅かではあるが
7
) 染谷四郎:日本細菌学雑誌 7
.6
0
5
. 昭和2
7年
否定出来ないことを報告したが,今回更に地区を拡大し
8
) 岡 田 博 :2
2
. 2007. 昭和 37年
て第 2次の調査を実施した。