要旨 - 石川県立自然史資料館

石川県立自然史資料館研究報告 第4号
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付着生物で覆われたケセンガニ
本尾 洋
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キーワード:ケセンガニ クモガニ類 カモフラージュ 付着生物 石川県 日本海
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はじめに
結果と考察
ケ セ ン ガ ニ は 本 邦 日 本 海 で は 北 海 道, 津 軽 海
ケセンガニ
峡・男鹿半島沖・十三潟湖( K&;&/(>"LDMM ),最上
B4$C)'&/(C4/D&#&-C"?+$3",LDME>"AAB"FQGFD>"8$R)G¿21B"
碓(鈴 木,LDND ) か ら 石 川 県( K&;&/(>"LDEOP" 新
EMGEQ.
谷,LDOL;陸田,LDDL;伊藤・本間,EHHL;本尾,
B4$C)'&/(C4/D&#&-C"寺崎,LDHE>"AAB"EMNGEMO>"L 図.
EHHM ),さらに山陰の鳥取県沖(武田ほか,EHLL )
B4$C)'&/(C4/D&#&-C" 酒井,LDMI,AAB"LLLGLLE>"<.B"IM>"
にかけて分布する冷水性種である.今回,全身に付
¿2B"L.
着生物を纏ったケセンガニ L 個体を入手したので,
B4$C)'&/(C4/D&#&-C" 武 田 ほ か,EHLL>"AAB"FQGFI>"OQ>"
その概要を報告する.
図 LF"SQDT.
Dana 1851
ケセンガニはかつてはクモガニ科 6(U-#($ に入れ
方 法
られていたが(三宅,LDOM ),現在はケセンガニ科
付着生物で覆われたカニは EHLM 年 I 月上旬,石
7'$2&3--#($ に属している( V2"$%(/#B>"EHHO ).
川県加賀市橋立沖の水深約 LHH"4 の砂泥域で操業中
採捕されたのは L 匹の雌で,その頭胸甲は長めの
の三重漕ぎ刺網にかかったものである.このカニは
洋梨型を呈する(図 LGJ>"W )
.額棘は基部から E 本に
捕獲後,漁獲者によってエタノール溶液中に保存
分かれて細長く伸び,先端部で幾分外前方に開いて
され,同年 I 月 MH 日,筆者に手渡された.そこで
いる(図 LGW>"X )
.鋭い眼後棘はやや湾曲して前方に
同日,カニを接写し,その直後,HBL"44 単位まで
伸びて眼を保護する形状を呈している(図 LGW>"X )
.
読み取れるノギスを使って,体各部を測定した.な
今回の個体の形態的特徴として,付属肢を含めて
お,付着生物の大まかな分類は内海( LDIF )に従
背面全域が付着生物でびっしりと覆われていること
った.
が挙げられる(図 LG! ).これらは主に腔腸動物のウ
ミカラマツ類( E'%&F/%+$-"1AB )や苔形動物のフサコ
ケムシ類( !"C"#/"1AB )であり,加えてその腹部に
日本海甲殻類研究会,〒 DEFGHHEI 白山市平木町 FH 8+$"J'=1)(%$(3"?&%-$)/"&9"@(A(3"?$(>"FH"5-'(2->"5(;=1(3>":1+-;(0(>"@(A(3"DEFGHHEI
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