名古屋城本丸御殿復元工事レポート 第13号 【左官工事】玄関(貫伏せ) 取材日:平成 23 年 1 月 13 日(木) 場 所:素屋根内 昨年 11 月から玄関の左官工事を行ってい たけこまい ます。これまでに、壁の下地となる竹小舞を組 この日取材した壁 か む作業(小舞掻き)、その小舞下地に壁土を塗 り付ける作業(荒壁塗り)が行われました。 ぬき 今回は、壁の内部を通る貫という部材の上に 玄関 壁土等を覆いかぶせる「貫伏せ」という作業を 大廊下 紹介します。貫伏せは、貫部分の土壁の厚みが 薄いことにより生じるひび割れを防ぐために 車寄 行う重要な作業です。 ■主な材料 しっくい かんれいしゃ ひげこ、漆喰、寒冷紗、壁土 ひげこ 漆喰 寒冷紗 ■作業内容 1 ひげこ打ち 麻でできた「ひげこ」という左官材料を貫に 固定する作業です。 かなづち ひげこを金槌で貫に一定間隔に打ち付け、固 定します。作業後は、貫に白いひげが生えたよ うな状態になりました(写真①、②)。 2 漆喰の塗り込み ひげこの部分に、漆喰を塗り込む作業です。 まず貫周りの土壁に、はけで水分を含ませま こて す。続いて漆喰を鏝に載せ、ひげこを広げるよ ① ひげこ打ち うにして、ひげこの上に塗り付けていきます。 その後、貫の部分全体に漆喰を塗ります(写真 発行:名古屋市市民経済局名古屋城総合事務所 本丸御殿ウェブサイト:http://www.hommaru-palace.city.nagoya.jp ③) 。 その上に寒冷紗を貼り、ふたたび漆喰を塗り ます(写真④) 。 貫の部分は、他の部分に比べ土壁の厚みが薄 いので、ひび割れが生じやすいところです。ひ げこや寒冷紗には、この部分のひび割れを防ぐ 役割があります。 3 壁土の塗り込み 漆喰を塗った部分の上に、壁土を塗り重ねて、 ② ひげこ打ち後の様子 貫伏せが完了します(写真⑤、⑥)。 今回実施した貫伏せの作業により、貫の部分 の土壁が他の部分に比べ盛り上がった状態と なりましたが、このあと壁土を塗り重ねる作業 を何度も行い、最終的には壁全体の厚みは均等 になります。 ■次回の工程 ふりく 次は、壁全体に壁土を塗り込み、不陸(デコボ おおむらなお コのこと)を直し壁の厚みを整える「大斑直し」 ③ ひげこを広げるように漆喰を塗る という作業を実施する予定です。 ④ 寒冷紗を貼り、漆喰を塗る ⑤ 漆喰の上に壁土を塗る ⑥ 貫伏せ後の様子
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