台湾や中国ではかなり有名になっている…らしい 世界はARMだけじゃない!?台湾発! 32ビットCPUコアAndesCore 前編 Cortex-M/A に相当する五つのアーキテクチャ 圓山 宗智 組み込み機器向けマイコンは ARM の独壇場になりつつ ありますが,ここに来てオリジナル設計の高性能 32 ビット 台湾発 CPU コア AndesCore が登場しました.16 ビット長 と 32 ビット長の混在命令セットをもち,シリーズの一つ N1033A コアを ARM926 と比較すると,周波数あたりの性 能は 1.4 倍,コア面積は 0.8 倍,周波数あたりの消費電力は 0.6 AndesCore と 周辺モジュールを 実装した FPGA 倍程度のベンチマーク結果で ARM とほぼ同等です.実験 維使用した評価ボードを写真 1 に示します. AndesCore は CPU コアだけでなく,コンパイラを含む開 発環境,SoC 開発環境,リアルタイム OS なども用意され ています. 本稿では台湾 Andes Technology 社の新しい CPU コアと その関連技術を紹介します.今回は Andes 社の技術の全体 像と命令セット・アーキテクチャ,各 CPU コアの種類を説 明します. 写真 1 CPU コア AndesCore 評価基板 台湾 Andes Technology 社製評価基板.個人で入手するのはまだ難しい.AndesCore 搭載汎用マイコンは台湾ベンダが出しているらしい. 主として Andes 社からの情報をもとにしていますが,採 もらっている世の中になったといっても過言ではないでしょ 用する際にはよく評価する必要があります.次回は筆者の う. 行ったベンチマーク結果も示してみます. ● 台湾発! ARM じゃない CPU コアがある (編集部) 実はマイコンや SoC 向けの CPU コアの IP ベンダは表 1 に 世界の CPU コアを取り巻く状況 示すように ARM 社以外にもいくつか存在しています.ARM 社の一人勝ちのような現状でも,さらに新興 CPU コア IP ベ ● 世の中は ARM だらけ ンダが誕 生しました. それが本 稿で解 説する台 湾 Andes マイコンは今や英国 ARM 社の IP(Intellectual Property) Technology 社( 以 下 Andes 社 )です.Andes 社は 2005 年に がデファクト・スタンダードになっています.8 ビット,16 設立された比較的新しい会社で,その製品は台湾や中国など ビット,32 ビットの汎用マイコンの分野では,独自 CPU で のアジア圏の SoC やマイコンに多く採用されています. 台湾 頑張ってきたメーカもありますが,特に外資系のマイコン・ は,TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing メーカはほぼ全部といってよいくらい ARM 社の Cortex-M Company)などの半導体ファウンダリ,LSI設計ハウス, ター 系のコアを採用するようになりました.スマートフォンやタ ン・ キー( 製 造 管 理サー ビス )会 社は山ほどありますが, ブレット型 PC などに使われる SoC(System on a chip)も同 Andes 社のような IP ベンダは珍しいと思います. じく Cortex-A 系のコアに席巻されており,私たちの自宅や ● 汎用マイコン製品の移り変わり…8051 → Cortex- 職場を見渡せば,何十何百もの ARM 系コアがあちこちの機 器に組み込まれて働き続けてくれています.ARM に支えて 130 MO →ちょっと待った! Andes!? 昨今のマイコン・メーカの動向として,CPU コアの選択 May 2013
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