関節リウマチの治療と注意点 - 倉敷成人病センター

関節リウマチの治療と注意点
倉敷成人病センター
リウマチ膠原病センター
リウマチとは関節の火事です
炎症 とは ほのお
(炎)
火事のことです。
関節炎の起こりやすさを数字(パーセント)で示しています
治療はリウマチの火事を消すことです
水・消火剤
化学消火剤
火事だ!
非ステロイド
性抗炎症薬
ステロイド薬
抗リウマチ薬
焼跡が残りやすい
生物学的製剤
健康食品やサプリメントでは火を消すことができません。
主な抗リウマチ薬
ケアラム(イグラチモド)
リウマトレックス(メトトレキサート)
リマチル(ブシラミン)
アザルフィジンEN
(サラゾスルファピリジン)
プログラフ(タクロリムス)
アラバ(レフルノミド)
生物学的製剤
TNF阻害薬
IL-6阻害薬
共刺激阻害薬
商品名
レミケード
エンブレル
ヒュミラ
シンポニー
シムジア
アクテムラ
オレンシア
一般名
インフリキシマブ
エタネルセプト
アダリムマブ
ゴリムマブ
セルトリズマブペゴル
トシリズマブ
アバタセプト
田辺三菱
ファイザー
武田
アッビィ
エーザイ
ヤンセン
田辺三菱
UCB
アステラス
中外
ブリストル
小野
4週に1回
8mg/kgを
1時間で
点滴する。
体重<60kg:500mg
60~100kg:750mg
≧100kg:1000mg
を0, 2, 4週に、
その後は4週
に1回30分で
点滴する。
製薬会社
投与法
皮下注射
皮下注射
自己注射
3mg/kgを0, 2, 6
週に、その後は
3~10mg/kgを8
週間隔で約2時
間で点滴する。
*投与間隔は4
週まで短縮でき
るが、その場合
は最高6mg/kg。
週1回25~50mg
または
週2回10~25mg
を皮下注射する
(自己注射可能)。
MTX併用
必須
推奨
1か月の
およその
費用(3割
負担、体
重50kg)
3~7万円
(3~10mg/kg)
(4回目以降)
4~4.3万円
皮下注射
自己注射
40mgを2週に1回
皮下注射する
(自己注射可能)。
MTXなどの抗リ
ウマチ薬を併用
しない場合は1回
80mgまで増量可。
皮下注射
自己注射
MTX併用の場合
50~100mgを4週
に1回皮下注射
する。
MTXを併用しな
い場合4週に1回
100mgを皮下注
射する。
400mgを0, 2, 4週に、
その後は2週に1回
200mgまた4週に1回
400mgを皮下注射す
る(自己注射可能)。
推奨
推奨
推奨
不要
推奨
4.3万円
4万円(50mg)
7.8万(100mg)
4.3万円
(4回目以降)
2.7~3万円
3.7万円(点滴は
4回目以降)
皮下注射
自己注射
162mgを2週に1
回皮下注射す
る(自己注射可
能)。
皮下注射
自己注射
初回は(点滴と同時
に)125mgを皮下注
射し、その後は週に
1回皮下注射する
(自己注射可能)。
※MTXはメトトレキサート (リウマトレックス®、メトレート®など)のことで、関節リウマチ治療におけるアンカードラッグ(中心となる薬)です。
※費用には採血や内服薬などを含んでおりません。医療費について詳しいことは当院のメディカルソーシャルワーカーが相談に乗ります。
ゼルヤンツ(トファシチニブ)
• 効果:生物学的製剤と同等の効果がある。
• 費用:生物学的製剤と同等の値段で高い。
• 副作用:生物学的製剤と同様に感染症に対
する注意が必要。また、新薬なので未知の副
作用(発癌など)が起こる可能性がある。
リウマトレックスを飲み忘れたら
内服日
○
×
翌日
翌々日以降
飲み忘れに気付いたのが翌日な
ら、その週は1日ずらして内服し
てください。翌週からは、通常の
曜日に戻して飲んでください。
飲み忘れに気付いたのが翌々日
以降なら、その週は飲まずに、翌
週から再開してください。
グルコサミン、コンドロイチンについて
• 関節リウマチに対する効果は示されていません。
• 膝や股関節の変形性関節症に対して、グルコサミン
1500mgを毎日3年間飲むと関節の隙間が約0.3mm狭
くなるのを防ぐ効果があり、グルコサミンもコンドロイチ
ンも痛みや動きやすさが改善するという報告があります。
(Arch Intern Med 2003;163:1514-22)。
※ グルコサミンもコンドロイチンも日本では
認可された薬ではないため、表示内容以
外の不純物が混入していたり、内容量が
不正確である可能性があります。病院と
してお勧めするものではありません。
副作用対策
• 生物学的製剤を使用される方は、感染症予防の
ため、ワクチン接種をお勧めします。
• 関節リウマチの患者さんは骨粗鬆症になられる
方が比較的多く、特にステロイドを長期使用され
ている方は骨密度の測定をお勧めします。
• ステロイドを長期内服されている方は、白内障や
緑内障などの副作用が出現することがあるため、
定期的に眼科を受診されることをお勧めします。
• 免疫抑制剤を使用される方は、B型肝炎ウイルス
の検査をお勧めします。
ワクチン接種について
• 生物学的製剤を使用していると、インフルエンザや肺炎球菌のワクチ
ンの効果が弱くなるという報告がありますが、まったく効果がないとい
うことではありません。
• 日本リウマチ学会では「インフルエンザワクチンは可能な限り接種すべ
きであり、肺炎球菌ワクチン接種も考慮すべきである。」と提言してい
ます。
• 65歳以上で、これから生物学的製剤の使用を予定されている場合は
生物学的製剤導入前に肺炎球菌ワクチンの接種が推奨されます。
※ 生ワクチン(麻疹、風疹、おた
ふく、水痘など)は生物学的製剤
や免疫抑制剤 を使用している
場合には接種できません。
当院採用の主な骨粗鬆症治療薬(内服)
商品名
ビタミンK2製剤
グラケー
製剤写真
注意点
ワーファリン併用禁
カルシトール
活性化
ビタミンD3製剤
ワンアルファ
高Ca血症
エディロール
フォサマック
ビスフォスフォネート
製剤
アクトネル
顎骨壊死
*抜歯などの歯科治療
では休薬が必要です
ベネット
SERM(選択的エストロゲン受
容体モジュレーター)
エビスタ
静脈血栓塞栓症
ビビアント
当院採用の主な骨粗鬆症治療薬(注射)
商品名
製剤写真
使用法
注意点
カルシトニン製剤
エルシトニン
週一回 筋注
ビスフォスフォネート
製剤
ボナロン
月一回 点滴
顎骨壊死*
フォルテオ
毎日皮下注
最長24ヶ月間
自己注射
可能
テリボン
週一回皮下注
最長72週間
プラリア
半年1回皮下注
副甲状腺
ホルモン
抗RANKL
モノクローナル抗体
低Ca血症
顎骨壊死*
*抜歯などの歯科治療では休薬が必要です
B型肝炎ウイルスについての注意事項
2011年10月18日付けで日本リウマチ学会から『B型肝炎ウイルス
感染リウマチ性疾患患者への免疫抑制療法に関する提言』が発表
されました。
B型肝炎ウイルスの再活性化
B型肝炎ウイルスに感染すると、多くの方では肝炎の症状の有無にかかわら
ずウイルスは体内から排除され、なおります。このように、B型肝炎ウイルス感染
がなおった方を既往感染者と呼びますが、昨今の検査技術の進歩により既往感
染者の方でもB型肝炎ウイルスの遺伝子の一部が肝臓の細胞中に残ってしまう
ことが分かってきました。一方で、B型肝炎ウイルスに感染後、ウイルスが完全に
排除されず、肝炎を発症しないまま体内にウイルスを保有し続ける場合があり,
このような方を持続感染者(キャリア)と呼びます。
これらの既往感染者や持続感染者(キャリア)が、化学療法や免疫抑制療法を
受けている間あるいは終了後に、血中のB型肝炎ウイルスが検出されるようにな
る、あるいはウイルス量が増加してくる場合があり、これをB型肝炎ウイルスの再
活性化と呼び、さらに、血中のB型肝炎ウイルス量が十分に増加すると、肝炎を
発症する場合があることもわかってきました。
このため免疫抑制療法を受けられる方は、可能な限りB型肝炎に関する検査を
するよう、このたび日本リウマチ学会より推奨されました。
B型肝炎ウイルスについての注意事項
該当する薬剤
○副腎皮質ステロイド(中等量以上)
プレドニン メドロール リンデロン デカドロン
○抗リウマチ薬
リウマトレックス(メトトレキサート)
プログラフ(タクロリムス) アラバ ブレディニン
○生物学的製剤
レミケード
エンブレル ヒュミラ シムジア
アクテムラ
オレンシア シンポニー
○免疫抑制薬
イムラン
エンドキサン
ネオーラル
セルセプト