第1章(761K) - CQ出版社

このPDFは,CQ出版社発売の「V850マイコン入門 」の一部分の見本です.
内容・購入方法などにつきましては以下のホームページをご覧下さい.
<http://shop.cqpub.co.jp/hanbai/books/MIF/MIFZ200906.htm>
第 1 部 V850 マイコンの基本知識
第
1章
まずは基板の組み立てと動作確認から始めよう
第
1
部
V850 マイコン基板で始める
組み込みプロセッサ入門
江崎 雅康
1. V850 マイコン搭載の
4 層基板
習教材にとどまらず,プロやアマチュアの評価・試作
基板として広く活用されることを期待しています.
● 32 ビット RISC プロセッサを搭載
Interface 2007 年 5 月号には,写真 1 のマイコン基
マイクロコントローラ(マイコン)は,NEC エレク
板「CQ_V850」が付属しました(2007 年 4 月号をお持ち
トロニクスが開発した 32 ビット RISC プロセッサ V850
でない方は,Appendix 1 を参照)
.NEC エレクトロニ
シリーズの「μPD70F3716GC」です.256K バイトのフ
クスおよび村田製作所の協力を得て,32 ビット RISC
ラッシュ ROM と 24K バイトの SRAM,そして多くの
(Reduced Instruction Set Computer)プロセッサ V850
周辺機能を内蔵しています.CPU クロック周波数は
に触れる機会を作りました.
表 1 は V850 マイコン基板(以下,V850 基板)の仕
様書,表 2 は部品リスト,図 1 は回路図です.
20MHz です.
プリント基板には 4 層ガラス・エポキシ基板(FR-4)
を採用しました.
ハードウェアに関心を持ちながら,今まで機会がな
本基板の出荷検査時に,簡易データ・ロガーのプロ
かった読者の皆さん.この基板を使って組み込みコン
グラムを内蔵フラッシュ ROM に書き込み,動作を確
ピュータのハードウェアに触れてみませんか.
認しています.このプログラムは Interface 2007 年 5
この V850 基板が組み込みマイコン・システムの学
40ピン拡張ヘッダ
CON1接続部
月号付属 CD-ROM,または TECH I Vol. 42 のサポート
32ビットRISCプロセッサ
μ
V850( PD70F3716GC)
(NECエレクトロニクス製)
LED
3.3V電圧レギュレータ
(NECエレクトロニクス製)
負荷容量内蔵チップ セラロック
(村田製作所製)
USB-シリアル変換IC
CP2102
USBコネクタ
Bタイプ実装位置
デバッグ用信号出力ヘッダ
CON3
32.768kHz
クロック用水晶発振子
実装位置
40ピン拡張ヘッダ
CON2接続部
動作モード切り替え
ジャンパ・ピンJ1∼J3
写真 1 マイコン基板「CQ_V850」
9
第 1 部 V850 マイコンの基本知識
表1
V850 基板の仕様書
32 ビット RISC プロセッサ V850(μPD70F3716GC,20MHz 動作)
内蔵フラッシュ ROM 256K バイト,内蔵 SRAM 24K バイト
搭載部品
供給電源電圧
プリント基板
外形寸法
表2
部品リスト
実
装
部
品
未
実
装
部
品
USB -シリアル変換 IC CP2102
LDO 電源レギュレータ μPD120N33TA-E1
負荷容量内蔵チップ(セラロック)CSTCR5M00G53
チップ LED LT1S67A
LVCMOS ロジック IC 74LVC06DF
3.9V ∼ 6.0V
4 層ガラス・エポキシ基板
53mm × 56mm
品 名
品 番
積層セラミック・コンデンサ
0.1μF
積層セラミック・コンデンサ
10pF
積層セラミック・コンデンサ
1μF
積層セラミック・コンデンサ
4.7μF
積層セラミック・コンデンサ
10μF
チップ LED ランプ
LT1S67A
集合チップ抵抗
EXB-38V102JV
集合チップ抵抗
EXB-38V472JV
集合チップ抵抗
EXB-38V103JV
チップ抵抗
0Ω
チップ抵抗
10 Ω
チップ抵抗
330 Ω
チップ抵抗
10MΩ
LVCMOS IC
74LVC05DR
V850 マイコン
UPD70F3716GC 注 1
USB- シリアル変換 IC
CP2102
LDO 電源レギュレータ
μPD120N33TA-E1 注 1
セラミック発振子
CSTCR5M00G53 注 2
(1)水晶発振子
32.768kHz
(2)電源コネクタ
DF1B_2P_2.5DSA
(3)ヘッダ・ピン(40 ピン)
A1-40PA-2.54DS
(4)ヘッダ・ピン(10 ピン)
10P
(5)USB B タイプ/ライト・アングル CU02SAH0000
−
(6)ジャンパ・ピン
−
(7)ショート・プラグ
数量
4
2
2
2
1
1
1
1
2
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
3
3
部品番号
C1,C2,C3,C8
C6,C7
C11,C4
C9,C5
C10
LED1
R3
R5
R2,R9
R7,R8
R1
R10
R6
U2
U1
U3
U4
X1
Y1
CON5
CON1,CON2
CON3
CON4
J1,J2,J3
J1,J2,J3
注 1 : NEC エレクトロニクス提供 注 2 :村田製作所提供
Web ページ(http://cqpub.co.jp/interface/
TechI/Vol42/)の¥sample¥adsample フォルダに
ソースを含めて収録してあるので,後から再書き込み
することで復元できます.
また,V850 内蔵のシリアル・ダウンローダとデバッ
ガ ID850 に対応しています.アマチュアのホビー用途
からプロの試作・評価まで,各種組み込みシステムの
蘆ソース・コード・デバッガ ID850 のインター
フェース
蘆フラッシュ ROM 書き込みツール FPL のインター
フェース
蘆 V850 基板とパソコンの間の USB 通信
などに使うことができます.
出荷時の V850 基板は,USB のバス・パワーで動作
開発に対応できます.
するように設定されています.USB ホストから電源の
● USB を装備――新幹線の中でも開発できる!
供給を受けられるので,別途電源を用意しなくても動
V850 基板は USB インターフェースを備えています.
さらに基板上には,USB-シリアル変換 IC である
CP2102 を搭載しています.USB インターフェースは,
10
作可能です.
ノート・パソコンの USB ポートに接続すれば,新
幹線の中でも開発ツールの学習や,開発プログラムの
+3.3
+3.3
+3.3
R10 680
1
7
2
2
LT1S67A
LED1
TXDA0
RXDA0
PCT6
D5/FLMD1
DCK
DMS
DDI
DDO
P05/INTP2/~DRST
FLMD0
P37
PCT6
4
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
3
5
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
2
6
CON3
10P
6
3
+3.3
5
4
AGND
CON2
A1-40PA-2.54DS
AN0
1
1
AN1
2
2
AN2
3
3
AN3
4
4
AN4
5
5
AN5
6
6
AN6
7
7
AN7
8
8
AN8
9
9
10 P50/TIQ01/KR0/TOQ01/RTP00
10
RXDA2
11
11
12 P51/TIQ02/KR1/TOQ02/RTP01
12
P41
13
13
TXDA2
14
14
P42
15
15
P32
16
16
P33
17
17
PCM2/~HLDAK
18
18
P34
19
19
~RES
20
20
~WR0
21
21
~WR1
22
22
~RD
23
23
PCM3/~HLDRQ
24
24
P35
25
25
P36
26
26
P02/NMI
27
27
PCM1/CLKOUT
28
28
P03/INTP0/ADTRG
29
29
P04/INTP1
30
30
P05/INTP2/~DRST
31
31
P06/INTP3
32
32
33
AN9
33
34
AN10
34
35
AN11
35
36
ANO_1
36
ANO_0
37
37
+3.3
R4 0
38
38
OPEN
39
39
40
40
R9
EXB-38V103JV
R5
EXB-38V472JV
8
7
ANO_1
ANO_0
AN11
AN10
AN9
AN8
AN7
AN6
AN5
AN4
AN3
AN2
AN1
AN0
R1 10
X2
AGND
G
1
5
3 13
10
4
3
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
100
2
61
62
63
64
68
PCT6
35
36
37
38
39
40
41
42
8
14
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
PCM0/~WAIT
PCM1/CLKOUT
PCM2/~HLDAK
PCM3/~HLDRQ
TXDA2
RXDA2
P50/TIQ01/KR0/TOQ01/RTP00
P51/TIQ02/KR1/TOQ02/RTP01
DDI
DDO
DCK
DMS
FLMD0
~RES
P02/NMI
P03/INTP0/ADTRG
P04/INTP1
P05/INTP2/~DRST
P06/INTP3
P40
P41
P42
TXDA0
RXDA0
P32
P33
P34
P35
P36
P37
+3.3
2
C5
C1 0.1μ F
C4
1μF
4.7uF
PDH5/A21
PDH4/A20
PDH3/A19
PDH2/A18
PDH1/A17
PDH0/A16
P915/A15/INTP6/TIP50/TOP50
P914/A14/INTP5/TIP51/TOP51
P913/A13/INTP4
P912/A12/SCKB3
P911/A11/SOB3
P910/A10/SIB3
P99/A9/SCKB1
P98/A8/SOB1
P97/A7/SIB1/TIP20/TOP20
P96/A6/TIP21/TOP21
P95/A5/TIP30/TOP30
P94/A4/TIP31/TOP31
P93/A3/TIP40/TOP40
P92/A2/TIP41/TOP41
P91/A1/KR7/RXDA1/SCL02
P90/A0/KR6/TXDA1/SDA02
PCT6/ASTB
PCM0/WAIT
PCM1/CLKOUT
PCM2/HLDAK
PCM3/HLDRQ
PDL15/AD15
PDL14/AD14
PDL13/AD13
PDL12/AD12
PDL11/AD11
PDL10/AD10
PDL9/AD9
PDL8/AD8
PDL7/AD7
PDL6/AD6
PDL5/AD5/FLMD1
PDL4/AD4
PDL3/AD3
PDL2/AD2
PDL1/AD1
PDL0/AD0
P38/TXDA2/SDA00
P39/RXDA2/SCL00
P50/TIQ01/KR0/TOQ01/RTP00
P51/TIQ02/KR1/TOQ02/RTP01
P52/TIQ03/KR2/TOQ03/RTP02/DDI
P53/SIB2/KR3/TIQ00/TOQ00/RTP03/DDO
P54/SOB2/KR4/RTP04/DCK
P55/SCKB2/KR5/RTP05/DMS
FLMD0
RESET
P02/NMI
PCT1/WR1
P03/INTP0/ADTRG
PCT0/WR0
P04/INTP1
P05/INTP2/DRST
P06/INTP3
PCT4/RD
P40/SIB0/SDA01
P41/SOB0/SCL01
XT2
P42/SCKB0
P30/TXDA0/SOB4
P31/RXDA0/INTP7/SIB4
P32/ASCKA0/SCKB4/TIP00/TOP00
P33/TIP01/TOP01
XT1
P34/TIP10/TOP10
P35/TIP11/TOP11
P36
P37
REGC
P11/ANO1
P10/ANO0
P711/ANI11
P710/ANI10
P79/ANI9
P78/ANI8
P77/ANI7
P76/ANI6
P75/ANI5
P74/ANI4
P73/ANI3
P72/ANI2
P71/ANI1
P70/ANI0
AVss
AVref0
AVref1
X2
C3 0.1μF
9
Vdd
70
BVdd
34
EVdd
C2 0.1μF
X1
U1
UPD70F3716GC
86
85
84
83
82
81
80
79
78
77
76
75
74
73
72
71
C7
10pF
32.768KHz
A21
A20
A19
A18
A17
A16
A15
A14
A13
A12
A11
A10
A9
A8
A7
A6
A5
A4
A3
A2
A1
A0
D15
D14
D13
D12
D11
D10
D9
D8
D7
D6
D5/FLMD1
D4
D3
D2
D1
D0
~RD
C6 10pF
~WR1
~WR0
15
16
67
66
65
7
6
60
59
88
87
58
57
56
55
54
53
52
51
50
49
48
47
46
45
44
43
Y1
R6 10M
+3.3
FLMD0
RXDA0
TXDA0
13
11
J3
1
J2
1
5
4
J1
1
5
3
~WR0
~RES
6
2
~WR1
10
12
74LVC06DR
U2F
74LVC06DR
U2E
ID850_PGFPL
2
U2C
74LVC06DR
6
ID850
2
PGFPL
2
7
+3.3
R2
EXB-38V103JV
1
8
~RD
CON1
A1-40PA-2.54DS
A0
1
1
A1
2
2
A2
3
3
4
A3
4
5
A4
5
A5
6
6
A6
7
7
A7
8
8
A8
9
9
A9
10
10
A10
11
11
A11
12
12
A12
13
13
A13
14
14
A14
15
15
A15
16
16
A16
17
17
A17
18
18
A18
19
19
20
A19
PCM0/~WAIT 21 20
21
P40
22
22
D0
23
23
D1
24
24
D2
25
25
D3
26
26
D4
27
27
D5/FLMD1
28
28
D6
29
29
D7
30
30
D8
31
31
D9
32
32
D10
33
33
D11
34
34
D12
35
35
D13
36
36
D14
37
37
D15
38
38
39
A20
39
40
A21
40
8
0
1
U2B
9
10
13
14
15
16
17
1
28
27
26
25
24
23
3 9
12
11
2
4
3
2
1
CP2102
GND
NC
NC
NC
NC
NC
D+
VBUS
D-
NC
OUTPUT INPUT
U4
UPD120N33TA-E1
NC
NC
NC
NC
NC
NC
DCD
DTR
DSR
TXD
RXD
RTS
CTS
RST
REGIN
SUSPEND
SUSPEND Vdd
RI
U3
5
6
7
+3.3
R3
EXB-38V102JV
1
8
+3.3
CP_CTS
CP_RTS
CP_ TXD
CP_DTR
74LVC06DR
4
U2D
74LVC06DR
R7
74LVC06DR
2
U2A
C10 10μ F
1
1
8
5
3
22
21
20
19
18
4
8
5
3
6
7
+3.3
C9 4.7μF
3
4
CON4
USB_CON
1
2
1μF
1
2
DF1B_2P_2.5DSA
CON5
C11
+5V
C8 0.1μF
X1
CSTCR5M00G53
1 12
X1
Vss
11
EVss
33
GND
4
0
R8
UPD70F3716GC
BVss
69
GND
2
C
+5V
第 1 章 V850 マイコン基板で始める組み込みプロセッサ入門
図 1 CQ_V850 の全回路図
11
D[0..4],D[6..15],A[5..19]
第 1 部 V850 マイコンの基本知識
蘆統合開発環境: PM +
デバッグなどを行えます.
蘆 C コンパイラ&アセンブラ: CA850
CP2102 は,5mm × 5mm の QFP パッケージの中に
蘆ソース・コード・デバッガ: ID850
USB-シリアル変換機能だけでなく,
蘆フラッシュ ROM 書き込みツール: FPL
蘆 USB 用クロック発振回路
蘆パワー ON リセット回路
蘆 3.3V 電圧レギュレータ(最大 100mA)
も内蔵しています.CP2102 内蔵のリセット回路を
CA850 は評価版です.従来のフラッシュ ROM 容量
128K バイトの機能制限は,V850 基板企画に合わせて
256K バイトに拡張されています.
V850 基板に USB コネクタをはんだ付けし,パソコ
CPU のリセットにも活用しています.
● 256K バイトに対応した C コンパイラ,ソース・
コード・デバッガ
本書の Web サイトより,次のツールがダウンロー
ンと USB ケーブルを用意すれば,V850 マイコンの開
発環境が整います.
● USB バス・パワーから LDO 電源で 3.3V を生成
マイコン・システムを完成させるためには,CPU だ
ドできます.
コラム 1
はんだ付け入門
しゃると思います.V850 基板では,自分ではんだ付け
1,2 秒で図 B(d)のように部品と基板パターンにしみ込
..
み始めます.ここではんだごてを引くのがコツです.
する必要があることから,はんだ付けの出来不出来が完
この呼吸が大事です.早くこてを引きすぎると,はん
成基板の信頼性を左右します.そこではんだ付けの勘所
だは玉状になったままになります.これは「イモはんだ」
をお話ししましょう.
と呼ばれ,はんだ付け不良の代表です.
● はんだごてとはんだの選択
● 上手なはんだ付けのコツ
読者の中には,はんだ付けは初めてという方もいらっ
はんだごては 13W ∼ 15W 程度の先の細いものを用意
ロジンははんだを還元して粘性を少なくする働きをし
します.こて先は 2mm ∼ 3mm のものを選びます.30
ます.こてに付いたはんだは時間がたつと酸化して,ぱ
W,60W の大きなはんだごてでは,温度が上がり過ぎて
さぱさした感じになります.上手なはんだ付けのコツは,
うまく付けられないだけでなく,小さな部品を熱で破壊
粘性の少ない溶けたてのはんだを使って手早く行うこと
することもあります.
です.
はんだは径 1mm 前後の糸はんだを用意します.糸は
んだは図 A に示すようにはんだを糸状に加工して中心部
古くなったはんだは濡れたスポンジか雑巾でぬぐい取
ります.
にロジン(松ヤニ)を入れ込んだ構造になっています.は
もったいないような気もしますが,酸化してぱさぱさ
んだは鉛とスズの合金ですが,筆者はスズ 60 %のもの
になったはんだは捨て去り,溶けたての新鮮なはんだで
を使っています.鉛フリーのはんだもありますが,高価
素早く…というのが上手なはんだ付けのコツです.
でより高度な温度管理を必要とします.初めての方は鉛
先
はんだの使用をお勧めします.
先
こて
● はんだ付けの呼吸
こて
糸はんだ
図 B ははんだ付けの手順を図示したものです.まず,
図 B(a)のようにはんだ付けする基板と部品を予熱しま
す.熱容量の小さな部品の場合は必要ありません.次に
糸はんだを当てて溶かします〔図 B(b)
〕
.
最初,図 B(c)のように玉状になっていたはんだは,
基板
部品
(a)こてを当てて予熱
はんだの玉
基板
部品
(b)糸はんだを溶かす
先
先
こて
こて
はんだ
ロジン
(松ヤニ)
図A
糸はんだの構造
12
・はんだは鉛とスズの合金
・通常のはんだはスズ50%∼60%程度
基板
部品
(c)最初,玉のようになって
いたはんだも…
図 B はんだ付けの手順
基板
部品
(d)基板のスルー・ホールの
中へはんだがしみ込む
第 1 章 V850 マイコン基板で始める組み込みプロセッサ入門
けでなく,確実にシステムを立ち上げるための電源リ
基板に差す足
(3)
セット IC や安定した電源電圧を供給する LDO(Low
(5)
Drop-Out)電源回路,安定な発振周波数を得るクロッ
(1)
ク回路などが必要です.
(7)
V850 マイコンの動作電圧は 3.3V です.V850 マイコ
(2)
ンの消費電流は,クロック周波数 20MHz で 45mA,
CP2102 や LED ランプの消費電流を加えても 75mA 程
度です.
CP2102 内蔵のレギュレータでも動作可能ですが,
応用回路の消費電流を考慮する必要があります.今回
(6)
は NEC エレクトロニクスの協力を得てμPD120N33
TA-E1 という電圧レギュレータを搭載しました.300
写真 2 追加部品のすべて
mA までの電流を出力できますが,SC-74A パッケー
数字は表 2 部品リストにおける未実装部品の番号.
(4)
ジは最大消費電流 180mW という制限があります.5V
入力で 100mA,3.9V 入力で 300mA の負荷電流を得る
ことができます.
ず必要な部品は
(5)USB コネクタ(B タイプ)
(6)ジャンパ・ピン(6 ピン)
(7)ショート・プラグ
2. 部品を実装し,動作させよう
です.
Interface 誌付属 V850 基板には雑誌へのとじ込みと
USB コネクタは,「足」が基板に差せるものを選ん
梱包上の制約から,コネクタやジャンパ・プラグなど
でください.図 2 に USB コネクタの外形寸法を示し
の機構部品が付いていないので,コネクタ類を接続す
ます.
る必要があります(V850 マイコン・リピート基板はコ
V850 基板とパソコンの間を接続するために,写真 3
ネクタなどの部品を実装済みのため,はんだ付け不
に示す USB ケーブルも必要です.このケーブルはパソ
要).電源には USB のバス・パワーを使えます.電源
コン・ショップで販売しています.
ジャンパ・ピン(J1 ∼ J3)は V850 マイコンの動作
用の部品などを特に用意する必要はありません.
表 2 の部品リストのうち,
「未実装部品」の欄の部品
を読者の皆さんの手ではんだ付けしてください.基板
上に追加部品の配線パターンが用意されているので,
ダ・ピンが使えるレイアウトになっています.
表 3 はジャンパ・プラグの設定と動作モードの一覧
表です.すべて開放(OFF)で「通常実行モード」にな
はんだ付けは容易です.
写真 2 は V850 基板の全追加部品です.このうち必
ります.V850 基板とパソコンを写真 3 に示す USB
2
3
1
4
7.78
10.30±0.3
0.80
3.18
12.2
8.45
5.60
16.00±0.3
5.69
モードを設定するためのものです.3 ピン× 2 列のヘッ
0.7±0.2
2.84
2.63
2.71
0.85
4.71
0.40
10.28±0.3
単位:mm
図 2 USB コネクタの外形寸法
2.50
12.04
写真 3 USB ケーブル
13