グリーン電力認証機構 WG1・3 合同会合 議事要旨 1.日時 :平成 18 年 2 月 14 日(火) 15:00∼17:15 2.場所 : (財)日本エネルギー経済研究所 10 階 計量分析部会議室 3.出席者: 【ワーキンググループ参加者】 飯田哲也(ISEP) 、鮎川ゆりか(WWF) 、大林ミカ(ISEP) 、沖伊知郎(政策投資銀 行) 、正田剛・今井有俊(日本自然エネルギー) 、手塚智子(PV-Net) 、中村成人・衣 笠正徳(ユーラスエナジー) 、本橋恵一(自然エネルギー.コム) 、渡部健(サミット エナジー) 【事務局】 工藤、伊藤(エネ研) 4.配布資料 ① WG1・3 の論点 【資料 0】 ② 表現等に関する発電者用ガイドライン(案) 【資料 1-1】 ③ SS 現場における PR 方法の要望について 【資料 1-2】 ④ 風力発電所で使用される電力の認証について 【資料 2-1】 ⑤ (単線結線図) 【資料 2-2】 ⑥ 「計量法への対応について」 (自然エネルギー.コム作成資料) 【資料番号なし】 ⑦ 個人宅太陽光発電の自家消費電力グリーン電力認証量算定方法に関するご提案 (太陽光発電所ネットワーク作成資料) 【資料番号なし】 5.議事概要 (1) 発電期間の設定について 現在、4-6 月、7-9 月、10-12 月、1-3 月という区切りの四半期を 1 単位とし、最大で連続する4 単位まで、申請する発電期間を設定できることになっている。この点について、申請者サミットエ ナジー㈱より、 「申請者の任意で発電期間を設定できるように変更してほしい」 という要望があった。 理由は、認定済みのバイオマス発電所において、冬場補助燃料の比率が高まり「化石燃料による発 電比率が 40%程度以下」という条件を満たせなくなるおそれがあり、それを回避するためである。 (主な議論) ・ 認証基準作成当初に化石燃料比率を 40%程度以下と決めたが、そもそもこの基準が妥当か も検討しなければならない。 ・ 当該発電所は年間平均ではどれぐらいの化石燃料比率なのか。 →(サミットエナジー)35%程度である。 ・ 申請する発電期間の最長限度を設ける必要はある。 年間では 40%を下回る化石燃料比率であるため、最長で連続する 1 年間とし期間の始まりと終わ りは申請者の任意で決められることで、委員会に諮ることとする。また、これに伴う認証事務取扱 要領の改訂についても、事務局で改訂案を作成し、委員会に諮ることとする。 (2) WG の編成について 1 個別電源毎の認証基準の策定がほぼ完了していることから、WG2(風力) ・WG4(太陽光・バイ オマス) ・WG5(水力)の 3 つを統合し、設備認定案件を扱う新 WG を設置することを、事務局よ り提案した。 (主な議論) ・ WG の統合については賛成である。座長はどなたにお願いするのか。 →現在は、WG2 が牛山委員、WG4 が小川委員、WG5 が座長不在となっている。牛山委 員は委員会の副委員長をされているため、小川委員に新 WG の座長をしていただくのが良 いと思われる。 以上について次回委員会に提案することとする。 (3) 変圧ロスの扱いについて 送電系統に流すための変圧器でロスされる電力量を認証の対象に含めるか否かについて、これま では明確な取り決めがなかった。よって、変圧器でのロス電力量の扱いについて、㈱ユーラスエナ ジージャパン作成資料も踏まえ、議論を行った。 (ロス分を認証の対象とする主な意見) ・ 発電設備の近くに需要があれば変圧する必要はなく、その需要に対して供給された(自家 消費された)はずの電力である。自家消費分は認証の対象であるため、変圧ロスも認証の 対象と考えられる。 ・ 風力発電所に関しては、風車が回っていない時でもさまざまな機器で待機電力のようなも のを消費しており同時に変圧器でも電力を消費している。発電していない時でも電力を消 費しているため、これらの消費は自家消費分と考えられる。 ・ 変圧器だけでなく、電気製品の使用や送電にもロスは発生している。ロスなく電気を使用 することは不可能だから、変圧ロスも有効な働きをしたとみなせる。 ・ 送電系統の電力も送変電においてロスがあることを考慮すれば、化石燃料消費を回避して いると考えることができ、認証の対象と言える。 ・ 現在の認証基準上は、発電補機での消費量を認証の対象としないこととなっている。変圧 器は、送電補機ではあっても発電補機ではないと考えられる。 (ロス分を認証の対象としない主な意見) ・ 発電設備がなければ変圧器は必要のないものである。 ・ 本来自家消費分とは、事務所の電灯など経済活動と呼べるようなものであり、有効に利用 されている電力量である。変圧器でのロスは有効な消費とは言えないため、認証対象に含 めるべき自家消費分とは言えない。 ・ 始めに需要があったならば自家消費分とみなせるが、送電が主目的であるならば自家消費 分とはみなせない。 ・ 海外での事例を参考にすると、風力発電等の送電を主目的にした発電設備は、変圧ロスを 含んでいない電力量をカウントしている。 (その他の意見) ・ 変圧ロスを認証の対象とした場合、変圧器改善のインセンティブをなくすことにならない か。 →認証の対象としたとしても、変圧ロスを少なくすることは利用できる電気の量を増やす ことになるので、変圧器改善のインセンティブをなくすことにはならない。 以上のような議論の後、送電のための変圧器でのロスは認証の対象に含めないことになった。認 証の対象となる電力量と変圧ロスが合わせて計量されている場合は、電力会社の例等にならい 3% 2 を変圧ロスとみなすこととされた。なお、変圧器のカタログ等で変圧器のロス率が示されている場 合は、その値を用いてロス量を算定しても良いこととされた。 また、送電のための変圧器でなく、自家消費のための変圧器でのロスについては、考慮しないこ ととされた。 以上の内容を次回委員会で諮ることとする。またこれに伴う認証基準の改定についても、事務局 で案を作成し次回委員会に諮ることとする。 (4) 電力量認証における電力量計の写真の必要性について 電力量申請時に用いる発電量等を証明、補足する目的で計量器の写真が必要か否かについて議論 を行った。 現状は、 利害対立のある主体もしくは客観的な第 3 者による確認がある場合は写真不要、 電力量計の読みやデータ収集に手作業的要素がある場合は写真必要となっているが、手作業的要素 はないが他者による確認もない場合については、設備毎に写真の提出義務が異なっている。 (主な議論) ・ 写真を提出する目的は何か。しようと思えば簡単に偽造や細工ができてしまうので、証拠 能力がないと思われる。 →目的は、手作業によるミスがないことを確認することと、虚偽の申請でないことを確認 することの二つである。確かに偽造や細工はできてしまうかもしれないが、それは他の書 類でも同じことである。写真を確認することは、多少なりとも虚偽申請に対する抑制力に なると思われる。 ・ 電力量計が数値を積算していく積算電力量計であれば、毎回写真を提出しなくても必要に 応じて立ち入り検査することができれば問題ないのではないか。 →積算値のリセット等があり得るので、積算電力量計であれば写真不要と判断することは できない。 ・ 「写真を提出すれば良い」と捉えられかねないので、 「写真の提出がのぞましい」という 考え方とし、設備毎に判断してはどうか。 以上の議論により、手作業的要素はないが他者による確認もない場合については、基本的には電 力量計の写真を提出することがのぞましいと考えられる。しかし実際の提出義務については、個々 の設備認定の際、写真以外での客観性・証拠力、写真撮影の手間等を考慮して決めることとする。 (5) RPS とのダブルカウントをしていないことの証明方法について 系統に流した電力量を認証の対象とする場合、RPS とのダブルカウントをしていないことについ て、これまでは設備認定時の申請者の誓約で確認していた。今後もこのような誓約による確認で良 いのか、もしくは RPS クレジット口座の情報等により随時確認すべきなのか、議論を行った。 (主な議論) ・ (日本自然エネルギー)弊社の申請した設備では、電気を受け入れた電力会社と発電者と 弊社の 3 者間で、ダブルカウントしないことを契約書で取り決めている。電力会社・発電 者が RPS クレジットを利用していないという両者からの誓約書はいつでも提出できるよ うになっている。 ・ 申請者の誓約ではない方法で確認すべきである。 ・ RPS クレジット口座にキャンセル口座(キャンセル機能)があれば簡単に確認できるが、 現状はない。 ・ RPS クレジットは、最初は誰の口座にカウントされるのか。発電者でなく電気を受け入れ た電力系統を持つ電力会社にカウントされるならば、その電力会社に「認証機構に申請し 3 た価値分は、RPS として利用しない、かつ他者にも売却・移転しない」と誓約してもらえ れば良いのではないか。 RPS クレジット口座によりダブルカウントしていないことを確認する方向で議論を行ったが、 RPS クレジット口座の形式上のルールが不明であったため、結論は出せなかった。当面は申請者の 誓約により、ダブルカウントしていないことを担保することとし、この件については引き続き検討 を行うこととする。 (6) 個人販売における発電請書の使用ついて 個人へのグリーン価値販売において発電請書( 「発電します」という契約書)を用いることについ て、議論を行った。 (主な議論) ・ (日本自然エネルギー)発電請書を用いて販売している理由は、買い手から見た場合、既 に発電したものを買うよりもこれから発電されるものを買う方が、グリーン電力の発電に 貢献したという意識を強く持てるためである。 ・ 個人は「発電請書自体にはグリーン価値がない」ということを知らず、発電請書をもって グリーン価値を PR してしまうので問題である。また、個人の場合は販売後のフォローが 完全に実施できるわけではないため、万が一発電請書にある量を発電できなかった場合に 問題となってしまう。以上の理由で、個人に対してはグリーン価値の移転が行えるように なってから(現状は、発電の後にグリーン価値移転可能)販売すべきであり、発電請書の 利用は控えるべきではないか。 →(日本自然エネルギー)発電請書(契約書)を利用することや、その後の PR のされ方 については、買い手が企業か個人かによる差はないのではないか。また、発電請書には「証 書は別途 Web にて発行される」旨記載している。 →そのような記載があるとしても、個人は契約書にある細かな文章に目を通し理解するわ けではない。 →申請者が「請書自体にはグリーン価値がない」と記載して販売しているのだから、その 後の過程で個人がグリーン価値を PR することまでは、制御できないのではないか。 →制御できないのは確かだが、認証機構として、 「制御できないことを容認する」立場を 取るのか、 「制御できないから発電請書を用いることは不可」という立場を取るのか、そ こが問題となっている。認証機構としては、後者の抑制的な立場を取るのが望ましいので はないか。 以上の議論を踏まえ、引き続き議論を行うこととなった。結論が出るまでは、発電請書を用いた 販売について制限することはしない。 (7) 計量法への対応について グリーン電力認証に関わる計量は、計量法の対象となると思われる。これまでは、 「適切な計量」 は認証要件であったが、計量法自体は認証要件になっていなかった。計量法の概要は以下の通りで ある。 目的:法文上「計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保し、もって経済の発展及び文 化の向上に寄与することを目的とする」とされており、国際化・技術革新への対応・ 消費者利益の 3 つの視点に基づき制定された。 対象:業務上の取引または証明に用いる計量 小口の太陽光発電設備の認定を受けている太陽光発電所ネットワーク(PVN)より、PVN 申請 4 設備における計量法への対応について提案が行われた。 (提案内容) ・ PVN 申請設備の発電量は、発電設備付属の計量器で計量している。この計量器は発電設 備メーカーが取り付けたものであり、計量法の定める検定を受けていない。 (電力会社へ の売電量は電力会社の計量器で計量しており、計量法に則ったものである。 ) ・ 全ての計量器を検定の通ったものにするとコスト回収に 7 年近くかかることとなり、ビジ ネスとしては成立しなくなってしまう。 ・ 対処方法の提案として、30 軒に検定を通った計量器を取り付け、既存の計量器と検定済 み計量器との誤差データを集め、そのデータを統計的に解析し最大のばらつきを算定する。 その最大のばらつき分を全ての設備の発電量から差し引くこととする。 ・ この算定方法は、CO2排出権取引におけるベリフィケーションの中でも認められている 「不確実性の定量的な評価手法」に準じたもので、国際的に根拠のある算定手法だと考え られる。 (主な議論) ・ (日本自然エネルギー、自然エネルギー.コム)計量法の対象であるとするならば、我々 の設備は順次検定済みの計量器に取り替えていく予定である。 ・ PVN さんのご提案は非常によく考えられており保守的な算定をしている。しかし、問題 となっていることは法律の話であり、保守的な算定手法を用いればクリアできるというも のではない。 ・ RPS の設備はどのように対応されているのか。 →電力量計については経済産業省から計量法を遵守するよう指示されたが、補助燃料の流 量計等については経済産業省からチェックされていない。 →RPS 設備に限らない話だが、経済産業省の指摘では、バイオガスのメタン濃度などにつ いては契約段階で数値の取り決めがなされていれば問題ないとのことである。 以上の議論に後、事務局が計量法の管轄官庁である経済産業省の見解を聞くこととなった。経済 産業省の見解を聞いた後計量法の対象と判断されれば、法令順守を前提とした上で特例措置がない かなどを検討することとする。 なお、議事次第にある「発電者の認証機構マークの使用について」と「認証前価値移転について」 の 2 議題は、時間の都合上議論できなかった。 以 上 5
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