抗ウイルス活性を有する細菌を用いた 魚類ウイルス病の制御に関する研究 COEセミナー 平成 18 年 4 月 26 日 北海道大学大学院 水産科学院 海洋生物防疫学研究室 リサーチアシスタント 清水智子 ◇ 魚類病原ウイルス(IHNV, IPNV, OMV )の 環境水中での生存性 ◇ 抗ウイルス活性を有する細菌の有効利用 ・ サケマスの例、マツカワの例 ・ ウイルス性表皮増生症(ヒラメ) ・ コイヘルペスウイルス病(コイ) ウイルス感染価 (Log. TCID50/mL) IHNV OMV 5.8 5.8 4.8 4.8 高圧滅菌 Killed bacteria 3.8 3.8 無処理 With bacteria 2.8 高圧滅菌 Killed bacteria 濾過除菌 Bacteria free 2.8 1.8 1.8 無処理 With bacteria 0.8 0.8 0 5 10 15 ウイルス添加後の日数(日) 0 5 濾過除菌 Bacteria free 10 15 ウイルス添加後の日数(日) 魚類飼育水中における IHN ウイルスおよび OMV の生存性(15 ℃). 高圧滅菌 ろ過除菌 (0.22μm) 無処理 検出限界 環境水中におけるウイルスの不活化には, 抗ウイルス物質産生細菌が関与している. (Fish Pathol., 21: 222-231, J.Aquat.Animal Health, 1: 12-20) 魚類飼育環境からの抗ウイルス物質産生細菌の分離 サンプル 供試菌数 90% プラーク減少率 森 水 底泥 170 156 1 (0.6 %) 28 (17.9%) 七飯 水 底泥 194 190 8 (4.1 %) 7 (3.7%) 茂辺地 水 底泥 199 177 46 (23.1 %) 13 (7.3%) 七重浜 水 底泥 176 196 18 (10.2 %) 5 (2.6%) 1458 126 (8.6 %) 場所 合計 (吉水・絵面,1999) 実験室規模でのさけ・ます類の場合 ウイルスの感染により, 細胞死が観察される 抗ウイルス物質により ウイルスが不活化され, 感染を防いでいる. 餌に混ぜて食べさせることにより,病気の防除が 可能になるのでは? 抗ウイルス活性を有する細菌を用いた 魚類ウイルス病制御の試み(マツカワ) 消毒した アルテミア卵 通常飼育 受精卵 孵化直後 消毒した アルテミア卵 :抗ノダウイルス活性を有する 抗ウイルス活性を 有する細菌優勢 Vibrio sp. 9715株 アルテミア 腸管内容物・飼育水に 抗ウイルス活性あり (吉水・絵面、1999) 抗ウイルス活性を有する細菌を用いた 魚類ウイルス病制御の試み(ヒラメ) 消毒ワムシ卵 通常飼育 受精卵 孵化直後 消毒ワムシ卵 :抗ウイルス活性を有する細菌 腸管内容物・飼育水に 抗ウイルス活性あり 抗ウイルス活性 を有する細菌を 添加したワムシ ワムシ複相単性生殖卵の消毒(渡辺ら、2005) 抗ウイルス活性を有する腸内細菌添加 によるワムシ細菌叢の制御 ワムシ卵 孵化 消毒 グルタールアルデヒド (1250 mg/L で 30 分間) V. splendidus V-15 株 (ショ糖非分解菌) 添加 無処理区 消毒区 菌添加区 ヒラメ腸内細菌叢の制御 ワムシ 未処理区 ワムシ 消毒区 ワムシ 菌添加区 給餌 給餌 14 日後のヒラメ腸内細菌叢 (Vibrio 属細菌の内訳) 62 % 106 cfu/g (SA 培地) 106 cfu/g (V-1 培地) 58 % 104 cfu/g (SA 培地) 103 cfu/g (V-1 培地) 100 % 106 cfu/g (SA 培地) 106 cfu/g (V-1 培地) : V. splendidus V-15 株 ⇒ ショ糖非分解菌 ショ糖非分解 Vibrio spp. ショ糖分解 Vibrio spp. 抗ウイルス活性 (2005 年 V. alginolyticus V-5 株, V-23 株投与試験) 抗ウイルス活性 (AU) ヒラメ 検出限界 800 飼育水 8 600 6 400 4 200 2 10 日目 20 日目 30 日目 ND 103~104 20 日目 30 日目 ワムシ給餌後の日数 ワムシ給餌後の日数 生菌数 (cfu/g) 10 日目 103~105 V. alginolyticus V-5 株添加区 V. alginolyticus V-23 株添加区 102~103 102~103 102 Vibrio sp. V-13 株添加区(対照区) ND: Not determined
© Copyright 2025 ExpyDoc