NGO等との連携(PDF/903KB) - JICA

実施体制:協力の形態
NGO等との連携 ─
国際協力の多様な担い手との連携
開発途上国における支援のニーズが多様化する
NGO-JICAジャパンデスク
なか、 ミレニアム開発目標
(MDGs)などの開発課
̶現地の日本のNGOの活動を支えるために
題に対して
「人間の安全保障」の概念に基づいて取り
開発途上国での日本のNGOの活動を支援するため、
組むためには、 日本の
「人」
「 知恵」
「 技術」を結集した
現在21カ国に
「NGO-JICAジャパンデスク」
を設置して
国際協力が必要です。 NGO
(Non-Governmental
います。草の根技術協力事業などでの活動に有用な、
Organization:非政府組織)
、大学、自治体などの多
現地の法律・制度や社会情勢、現地NGOの活動状況
様な担い手との連携は、特に地域の教育・保健・環境
などの情報を提供したり、各種相談に対応しています。
の改善、コミュニティ開発支援、平和構築・復興支援
などの分野で、ODA事業の効果的な実施に大事な役
■ NGO等の人材育成・組織強化支援
割を果たしています。
̶より質の高い国際協力の推進に向けて
JICAは対話、連携、支援の側面からもNGO等との
国際協力活動を行うNGO等の活動を支援するため、
連携に取り組んでいます。
JICAはプロジェクト管理手法の研修
(NGO、地方自治
体、大学等における国際協力担当者のためのPCM研
草の根技術協力事業
̶海外での国際協力活動の共同実施
修)
、人材育成を通じ、団体の組織強化を支援する研修
(組織力アップ! NGO人材育成研修)
や専門知識を有
草の根技術協力事業は、国際協力の意志のある日
するアドバイザーの派遣
(NGO組織強化のためのアド
本のNGO、 大学、 地方自治体や公益法人などの団
バイザー派遣、NGO海外プロジェクト強化のための
体が、これまで培ってきた知見や経験を生かした提案
アドバイザー派遣)
などの支援プログラムを実施してい
に基づき、開発途上国の地域住民の経済・社会の開
ます。2011年度は、378人が研修に参加し、28団体、
発を目的にJICAと共同で行う事業です。 特徴は、開
4海外プロジェクトにアドバイザーを派遣しました。
発途上国の地域住民の生活改善・生計向上に直接役
立つ内容で、草の根レベルのきめ細やかな活動が行
NGO-JICA協議会
われる事業である点です。2011年度は219件の事業
̶対等なパートナーシップに基づく連携のために
を世界48カ国で実施しました。 草の根技術協力には、
NGOとJICAが対等なパートナーシップに基づき、
開発途上国で一定程度の活動実績がある団体がこれ
より良い連携を進め、相互理解を深めるには、
「対話」
までの経験や技術を生かす
「草の根パートナー型」
、開
が重要です。JICAは、本部、在外事務所、国内機関
発途上国での活動実績が少ない団体による
「草の根協
で、それぞれの地域や課題についてNGOと意見・情
力支援型」
、地方自治体が主体となり日本の地域社会
報交換を行っています。また、年4回
「NGO-JICA協
のノウハウを生かす
「地域提案型」の3つの形態があり
議会」
を開催し、双方の関心事項や連携促進に関する
ます。
協議や、情報共有を行っています。
世界の人びとのためのJICA基金
̶寄附を通じた国際協力
JICAは
「世界の人びとのためのJICA基金」
を設置し、
寄附を通じて、 市民の皆様や法人・団体の皆様に国
際協力へ参加いただいています。 寄附金は、開発途
上国で活動するNGOなどの市民団体による事業に活
用して、現地の人々の貧困削減、医療や教育の向上、
トンガ・ババウ島の空缶リサイクル現場における状況調査
(地域提案型
「トンガ・美ら島バ
バウもったいない運動プロジェクト」
那覇市/沖縄リサイクル運動市民の会)
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環境問題の解決のために役立てています。2011年度
は7事業に対し本基金を活用しました。
事例
草の根技術協力事業
森づくりは人づくり。地域との長く深い関わりを生かして
コミュニティー・フォレスト実現を目指す
特
集
草の根パートナー型
「ラスタ郡農村開発事業̶住民参加による循環型農林業の試み」
特定非営利活動法人フー太郎の森基金
(F.F.F.)
エチオピアの世界遺産・岩窟教会で有
うもの。 苗木生産、植林地の確保など、
名なラリベラとその周辺は、山岳部の森
木を植えるまでの準備もさることながら、
林減少や不適切なごみ処理から、生活環
それ以上に頭を悩ますのが、植林後の管
境の悪化が進行しています。 本プロジェ
理です。村では植林地には家畜を入れな
クトでは、F.F.F.とラスタ郡政府がこの
いよう取り決めを行いますが、一部のエ
問題を改善するために、住民グループに
リアでは家畜による食害で、 せっかくの
よる有機ごみの堆肥化や、堆肥を活用し
苗木がことごとく枯れてしまうことも。
「村
た緑化、植林地と放牧地の適正な管理、
人の協力が得られなければ、これまでの
さらには子どもを対象とした環境教育を
努力が全く水泡に帰してしまう…」
。そん
トしました。 エチオピア側でもスタッフ
中心に、持続可能な育林システムの定着
な危機感を胸に、 現在は
「村人による自
はじめ関係者に大変な動揺が走ったもの
を目指した活動を行っています。
主管理を牽引するリーダーの養成」
と
「牧
の、事務所、スタッフの無事が確認でき
小学生への環境教育で人づくりも
草収入を組み合わせた持続的管理システ
た後は、幸いにも目標達成に向けての一
ムの構築」
に注力しています。
体感が高まりました。 私たちに注ぐ地元
プロジェクトコーディネーター
3月11日の大震災により、 本部事務
の人達の目も、以前にも増して暖かいも
藤村健司さん
所
(福島県相馬市)との連絡が途絶え、
のになったと感じます。
2009年からスタートした本事業は3年
現 地 の 活 動 資 金も一 時 底をつくなど、
被害に遭われながらも、活動を支えてく
間で一気に150万本の苗木を植えるとい
2011年度事業は想定外の状況でスター
ださる関係者の皆様に感謝申し上げます。
NGOスタッフの声
事
業
の
目
的
と
概
況
活
動
報
告
障害児をスムーズに受け入れられる教師を育成
草の根協力支援型
「ベトナムドンナイ省 インクルージョン教育研修システムの構築」
特定非営利活動法人アジア・レインボー
ベトナムには現在92万人の障害ある児
終了時には、インクルージョ
童がいます。そのうち学校教育を受ける
ン教育の専門家
(キーティー
機会を得ることができる児童は25%程度
チャー)
を育成し、ドンナイ省
です。ベトナム政府は、公立普通学校で
で継 続 的に障 害 児 教 育 研 修
障害ある児童を受け入れる
「インクルー
が展開できるよう、 研修シス
ジョン教育」
の実施を教育方針として示し
テムの構築を目指しています。
ています。しかし、多くの教師は障害児
ドンナイ省では2012年現在、746名の
いベトナムの学校で、個別支援教師なし
教育の研修を受けたことがなく、適切な
障害ある児童が自宅近くの公立小学校の
にインクルージョン教育の実現が本当に
指導ができなかったり、ストレスを感じた
普通クラスで学んでおり、その担当教師
可能なのか」、「インクルージョン教育を
りしています。
全員への研修が行われます。
実施するために必要な個別支援教育計画
プロジェクトでは、枯葉剤の影響が大
きく、障害ある児童が多いドンナイ省で、
実
施
体
制
聴覚に障害ある児童のため携帯用黒板と手話を用いた授業を展開
NGOスタッフの声
書を多忙なベトナムの教師が作成できる
のか」
。事業開始前からこのような壁を乗
り越えるために試行錯誤の日々を送って
インクルージョン教育の実施に取り組ん
プロジェクトマネージャー
でいる教師たちを支援しています。 小
馬場裕美子さん
きました。事業が実施されて1年が経ち、
学校の教師に対して、 障害ある児童を
ベトナムでインクルージョン教育支援
これらの壁をJICAの理解のもと、素晴ら
受け入れ、より良い教育を提供するため
事業を行うには、大きな壁がありました。
しい現地担当者のチーム力でひとつひと
の研修を実施しています。 プロジェクト
「画一教育で1クラスあたりの児童数が多
資
料
編
つ乗り越えています。
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