光技術情報誌「ライトエッジ」No.32(2009年5月発行) JEITAディスプレイ専門委員会 (電子情報技術産業協会) 2009年2月 完全水銀フリーバックライト光源 :XEFL Ⓡ ウシオ電機株式会社 田川幸治 水銀レスバックライト技術について 水銀レス希ガス蛍光ランプ XEFL® の構造 :競合する光源との比較 完全水銀フリー・外部電極型光源 “ XEFLⓇ ” 図1 図4 1. XEFL®の構造と光発生機構 Contents ランプの外部電極に 高電圧を加える ・要約 ・水銀レス希ガス蛍光ランプXEFL®の構造 :競合する光源との比較 ・XEFL®の特性 ・XEFL®の環境面での優位性 ・XEFL®のデジタルサイネージにおける特長 ランプバルブ(内面に蛍光体塗布) ガラス表面が帯電する 放電開始 希ガス(Xe)原子が励起 Xe エキシマから、172nm が放射される VUV 光が、蛍光体によって 可視光に変換される 外部電極 保護膜(電極の上のみ) 図2 図5 要約 ・水銀を全く使用しない 高効率な希ガス(Xe)蛍光ランプを開発 弊社商品名: XEFLⓇ 2. XEFL®/CCFL の違い :発光メカニズム CCFL XEFL® 電子 ・主な特長 ①大画面に対応しやすい ②輝度の温度依存性が、ほぼ無い ③使用条件に関係なく、長寿命 Xeエキシマ Hg 蛍光体 ・デジタルサイネージなどの 屋外・半屋外使用のディスプレイ用光源として 適している 図3 24 セミナー 誘電体バリア放電による Xe 172 nmで蛍光体を励起 図6 冷陰極放電による Hg 254 nmで蛍光体を励起 光技術情報誌「ライトエッジ」No.32(2009年5月発行) 完全水銀フリーバックライト光源:XEFL Ⓡ 3. 従来のバックライト光源:CCFLの構造 発光管内:バッファガス(Ne,Ar) 蛍光体 CCFL Hg XEFL® の特性 冷陰極放電 CCFL用 インバータ ・CCFLは、内部電極間の冷陰極放電を行う 図7 図11 4. 従来のバックライト光源:EEFLの構造 7. 発光スペクトル Relative intensity(a.u) EEFL Hg 外部電極 (導電性樹脂など) XEFL® type1 1.2 発光管内:バッファガス(Ne,Ar) 蛍光体 冷陰極放電 EEFL用 インバータ XEFL® type2 1.0 XEFL® type3 0.8 CCFL tri -col or 0.6 0.4 0.2 0.0 400 ・EEFLは、ガラス管を介した冷陰極放電を行う 図8 450 500 550 600 650 Wave length(nm) 700 750 図12 5. 水銀フリー光源:XEFL®の構造 8.色再現性(色度座標) 蛍光体 0.650 XEFL®用 インバータ 誘電体バリア放電 外部電極 発光管 XEFL ® type 1 CCFL 4波長タイプ NTSC XEFL ® 0.550 y value XEFL® Xeガス 色再現性 ® XEFL type1 ® XEFL type3 CCFL 3波長タイプ Green 0.750 type3 0.450 CCFL 0.350 0.150 Blue 0.050 0.100 ・ XEFL®は、発光管(ガラス管壁)を介した 誘電体バリア放電を行う ( 3波長タイプ) Red 0.250 CCFL (4波長タイプ ) NTSC 0.300 0.500 x value 67% 75% 71% 75% 100% XEFL® type3は、CCFLの 4波長タイプと同等 0.700 ※ 色再現性が良い typeは、CCFLと同様に発光効率が低くなる 図9 図13 6. 比較表(CCFL、EEFL、XEFL®) 9. UV(紫外線)放射 150 XEFL® CCFL EEFL 放電形態 冷陰極放電 冷陰極放電 UV 電極 発光 Hg 外径 (mm) 内部電極 3~4 誘電体 バリア放電 CCFL用 インバータ Hg 外部電極 3~4 EEFL用 インバータ Xe 外部電極 9.8~ 12 XEFL® 用 インバータ (容量結合型) XEFL® 点灯電源 点灯方 式 高周波・ 高電圧 印加 CCFL 100 相対強度 光源 Lamp ® XEFL UV(紫外線) (水銀の発光) 光放射 可視光 ユニットの紫外線に よるダメージ 無し UV(紫外線)+ CCFL 樹脂の劣化 可視光 50 可視光 (青色発光蛍光体) 0 250 300 350 400 450 × 500 波長( n m) 樹脂劣化を引き起こす400 nmより短波長のUV光が出ない 図10 図14 セミナー 25 光技術情報誌「ライトエッジ」No.32(2009年5月発行) JEITAディスプレイ専門委員会 (電子情報技術産業協会) 2009年2月 13.調光特性 10.ランプ効率の温度依存性 水銀フリーのため、周囲温度による 効率の変化は殆どない 100 120 100 80 60 XEFL® 40 80 Luminance(%) Relative Luminance(%) 10℃で各輝度を100%とした場合 140 CCFL 60 40 20 0 20 0 0 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 20 40 60 80 100 Duty比(%) 60 Temperature(℃) Duty比に対して、光出力は、比例している 図15 図19 11. 輝度の高速立ち上がり特性 14 -①.ランプへの印加電圧 120 120 100 100 I(%) 80 I(%) ランプへの印加電圧(Vo-p) 3000 60 40 80 60 40 20 0 20 0 0 20 40 60 0 0.5 1 t (sec) t (sec) CCFL 2500 2000 1500 1000 XEFL® 500 0 500 1000 1500 ランプ全長(mm) Xe からの VUV 放射のため高速の輝度立ち上がりが可能 XEFL® では、ランプ全長によらず印加電圧一定である 図16 図20 12 -①.輝度立ち上がりの温度特性:CCFL 14 -②.ランプ電圧波形 3.0 -10℃ I(a.u.) 2.5 0℃ 2.0 CCFL 10℃ 1.5 20℃ 1.0 0 正弦波 0 矩形波 30℃ 0.5 XEFL® 0.0 0 200 400 600 t(sec) 22型液晶TV用CCFLバックライトユニット CCFLでは、①輝度立ち上がりに数分の時間を要する ②周囲温度によって飽和輝度が変化する 図17 図21 12 -②.輝度立ち上がりの温度特性:XEFL® 15. XEFL®の輝度維持率 100% -10℃ 2.5 I(a.u.) Luminance maintenance(%) 3 0℃ 2 10℃ 1.5 20℃ 30℃ 1 0.5 0 0 100 t(sec) 200 30 0 セミナー 50% 40% 30% 20% 10% 1 10 100 1,000 10,000 100,000 Operating time(h) XEFL® の輝度維持率は、 CCFL(水平点灯)と同等 XEFL® では、①輝度立ち上がりは、瞬時に飽和輝度に達する ②飽和輝度は、温度にほとんど依存しない 26 70% 60% 0% 22型XEFL® 使用バックライトユニット 図18 90% 80% ※ 22型液晶テレビに組み込んだ XEFL®(φ8、450mm)の 輝度維持率(現在、23,000時間点灯) 図22 光技術情報誌「ライトエッジ」No.32(2009年5月発行) 完全水銀フリーバックライト光源:XEFL Ⓡ 19. XEFL®の構成部材 試料 Luminance maintenance(%) 16. 寿命試験①(室温動作試験) ラ ンプ 周囲温度 室温 試験機 ユニッ ト 実装 動作 点灯 入力 20W/m 本数 水平点灯: 200本 垂直点灯: 8 本 蛍光体 :希土類蛍光体 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% XEFL® 誘電体バリア放電 horizontal lighting Extrapolation line Vertical lighting 1 10 100 1,000 Operating time(h) 10,000 100,000 Xeガス 給電部 :銀-エポキシ接着剤 鉛フリーハンダ 発光管 :ソーダガラス系 または、硬質ガラス XEFL®用 インバータ 外部電極:Ag 保護膜:Bi系フリットガラス XEFL® の構成部材は、環境面での問題は無し レアメタルの使用も少ない 水平・垂直点灯で輝度維持率に差は生じない 6 万時間で 70%維持を目標(外気温度の条件なし) 図23 図27 20. XEFL®の環境面での特徴 高温動作試験 試料 ラ ンプ 周囲温度 100℃ 試験機 オーブン 動作 点灯 入力 20W/m 本数 10本 Luminance maintenance(%) 17.寿命試験②(高温動作試験) ・環境に有害な物質(水銀など)を使用していない。 ⇔従来の水銀を使用した蛍光ランプとの違い。 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% ・Xeを使用した実用的な光源としては、 現時点で、最高の発光効率を有する。 ・LEDで使用されるInやGaなどのレアメタルは使用しない。 1 10 100 1,000 Operating time(h) 10,000 100,000 ・光源としては、蛍光ランプの延長線上にあり、 信頼性の確保も含めて、使いやすい特性。 ・光学特性の温度依存性が無く、使いやすい。 高温動作において、 8,000 h時点で異常なし 図24 図28 21. XE FL ®の省電力化 18.寿命試験③(低温動作試験) ランプ 周囲温度 ―10℃ 試験機 環境試験機 動作 点灯 入力 20 W/m 本数 10 本 Luminance maintenance(%) 低温動作試験 試料 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% ・現状は、CCFL(φ4)の発光効率の70%。 1 10 100 1,000 Operating time(h) 10,000 ・XEFL® を使用することで省電力化しやすい方策 例として <フィールド・シーケンシャル方式> 光源の温度依存性が無いため、 短時間の点滅を行っても効率の低下が無い。 100,000 低温動作において、10,000 h時点で異常なし 図25 図29 XEFL® の 環境面での優位性 図26 XEFL® のデジタルサイネージ における特長 図30 セミナー 27 光技術情報誌「ライトエッジ」No.32(2009年5月発行) JEITAディスプレイ専門委員会 (電子情報技術産業協会) 2009年2月 22.XEFL®の主な特長 『コストメリット』 ・ランプ・インバータ費用の低減 ・・例えば、CCFL の2倍の入力でランプ本数が1/2 ・取り付け部品代・工数を低減・・ランプ本数を減らせるため費用削減 ・周辺部材のコストダウン・・反射シート・拡散板のUV対策不要(ランプはUVフリー) ・商品在庫を減らせる・・点灯姿勢は、縦/ 横自在 26.デジタルサイネージについて XEFL®ならできること②設置場所 輝度が周囲温度の影響が無いので →①ランプと拡散板の間 ②液晶と拡散板の間 を FAN で冷却できる 『その他メリット』 ・更なる大型化に対応・・ 70型以上の大画面モデルには「ランプ縦使い」 ・設置場所を選ばない・ ・ 低温下でも安定した輝度・寿命を維持 ・故障確率が低い・・金属とガラスのシール構造では無い ・長寿命・・縦でも横でも、周囲温度によらず 6 万時間 70%維持(推定) ・環境に優しい・・水銀フリー 冷却風 反射板 →液晶の温度上昇や、 拡散板や、BEF の「熱変形・熱劣化」 を防止 ランプ 拡散板+拡散シート+BEF FAN 冷却 図35 23.デジタルサイネージに求められる 光源の特性 ①大画面対応 100 型以上の大画面にも少量対応 ②設置条件を選ばない 外光に負けない高輝度、高温・低温下でも安定 ③高信頼性 設置場所によってはランプ交換が難しい 広告用では、高信頼性は不可欠 27.デジタルサイネージについて XEFL®ならできること ②設置場所 50℃付近(地域による) 40℃ 使用環境温度 図31 30℃ CCFL対応可能範囲 ® XEFL 対応可能範囲 10℃ 0℃付近 -20℃以下(地域による) オフィス 37~65型 ④省エネ パブリックスペース 46型~65型+α 画面サイズ 図32 図36 24.デジタルサイネージについて XEFL®ならできること ①大画面への対応 画面短辺側寸法(mm) 16対9短辺側寸法 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 XEFL® 縦使用により 最大120型まで対応可能 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 対角寸法(インチ) XEFL® を縦使用することにより現状120型まで対応可能 図33 25.デジタルサイネージについて XEFL®ならできること ②設置場所 ・輝度は、画面面積当りの入力にほぼ比例する。 (CCFLやLEDと違い、輝度飽和しにくい) ・ランプへの直接冷却が可能。 (CCFLでは、水銀を使用しているため不可能。 LEDでは、背面からの冷却のみ) →光学シート、LCDの温度を上げずに高輝度化。 ・LEDやCCFLと異なり、発光管は、 -10℃~80℃で、寿命に影響なし 図34 28 セミナー 屋外 108型以上
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