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公立大学法人滋賀県立大学の労働,研究,教育条件に関する改善の要望書
2010(平成 22 年)年 12 月 8 日
公立大学法人滋賀県立大学
理事長 曾我直弘 様
滋賀県立大学が公立大学法人化されて既に 5 年目となり,来年度は中期計画の最終年
度を迎えるとともに,次期中期計画の策定が行われます。その間,県立大学に存在する
諸問題につきましては,その都度問題点を列挙し,理事会に対して改善・解消すべく要
望書を提出して参りました。これまでに,いくつかの点につきましては,前向きの回答
が得られたように見受けられますが,今なお多くの解消すべき問題点が顕在しておりま
す。これらの問題点と併せて組合員から寄せられた「労働,研究,教育条件に関する問
題点」に対する整備・改善を求めるとともに,そのために必要な予算措置をとることを
要望します。下記の要望事項に対しましては,各項目別に回答されることを求めます。
公立大学法人滋賀県立大学教職員組合
委員長 水野 章二
1.教職員の労働条件について
(1) 契約職員の待遇改善について
現在,契約職員(非常勤,嘱託職員)として 83 名が在職し,大学運営においては必
要不可欠な人材となっています。雇用期間が 4 年から 5 年に改善されたことは評価され
ますが,契約職員の職務のなかは,実習に際しての学生への対応など,高度な教養,専
門知識を必要とするものが多いこと,学生への指導,応対が主となる職場であること,
彦根という地理的要因を考えると,現担当者の退職後,同等の知識や技量を持つ人材を
再々確保することは困難です。今年度末には,在職者の 1/4 が期限を迎えて退職するこ
とになり,大学運営に大きな影響がでる恐れがあります。独立行政法人化により,地方
公務員法の束縛はないものと考えます。今後,従来よりも大学独自の方針により,長期
の雇用制度を導入いただくことを要望します。また,少なくとも年末一時金(現在は特
任教授・特定研究員のみ支給)の給付を行うなど待遇改善を要望します。現在滋賀大学
では,すでに雇用年限が撤廃されており,京都大学では,5 年の任用期限を過ぎたとき
に,必要に応じて再応募可能として,さらに「5 年を超えて勤務できる」措置が導入さ
れています。他の国立大学でも,雇用期間の 3 年から 6 年への延長がなされており,必
要な人材を確保する上で,雇用期間の延長あるいは期限の撤廃を要望します。
同時に,担当部署により業務量,職務内容に大きな差があるようですので,現状を正
確に把握された上で,均等な業務量,内容となるように改善を求めます。
(2) 事務職員の増員について
事務局職員の中には,業務量が非常に多いために日常的に超過勤務を余儀なくされて
いる部署・担当があるようですが,人材の疲弊,不満が蓄積しないように,増員を検討
くださいますよう要望します。現在の事務局職員数は,契約職員数を 20 名近く下回っ
ており,正規職員の増員による業務量の軽減が必要と考えます。また,有給休暇の取得
がままならないどころか,土日祝日出勤が多い職員がおります。講演会,入試等で土日
出勤を行った場合の代休取得がすでに困難な状況です。職員の分業体制の整備改善を求
めます。職員の業務量の偏りや労使協定を超えた超過勤務の実態を十分に把握された上
で,業務量の平滑化および効率化による超過勤務の縮減を求めます。
(3) 国際コミュニケーション学科設置について
平成 24 年度より,人間文化学部に国際教育センターの語学系教員を中心にして設置
される予定ですが,センターから移行しない教員については,大学における位置づけ,
職階・昇格,研究費などについて明確にされていないうえ,従来よりも多い科目を担当
するという条件が示されていると聞いております。全学教育は重要であり,担当教員が
軽視されることがあってはなりません。他の教員との格差が出ないような処遇を求めま
す。また新学科所属教員は教育にかかる負担が非常に大きく,卒業研究にかかる科目,
専門科目に加え,さらに語学など一般教育を担当すると伺っています。これは今までの
労働条件からの大きな変更となりますが,センターより移行する教員の納得を十分に得
た上でのものでしょうか。
(4) 平成 24 年度理事長候補者学内意向投票実施の要望
現在の理事長は,理事長選考会議において選考されるとともに,候補者となった際
に所信表明を行い,教員および幹部職員による選考会議前の意向投票においても信を得
た上で選任されています。教職員の意向を無視して選ばれた理事長では,大学の円滑な
運営に支障が出かねないため,多くの大学では意向投票が実施されています。教職員に
信任されているからこそ,理事長もその手腕を発揮することが可能になります。このよ
うなことから,今回の理事長選考において,全候補者の所信表明と意向投票の実施を強
く要望します。また,少なくとも県立大学に就職した法人職員の投票も必要と考えます。
2.教育・研究・設備等について
2.1 教育・研究予算
(1) 一般研究費,図書費
本年度予算は昨年度比で 30%減となりましたが,来年度については更なる予算削減
が予定され,一般研究費の配分額がさらに減少するといわれています。
一般研究費,図書費の削減は学生に対する教育・研究環境の質の低下に直結するもの
で,これ以上の削減は行わないことを求めます。来年度の県の財政状況が厳しいことは
承知していますが,一般研究費や図書費を削減する前に,大学当局として,予算を十二
分に効率よく活用すべく,何かこれ以外の策を講じたか,検討した,あるいは検討中の
対策があれば是非お教えください。
(2) 初年度教育研究備品の更新
大学設立後 16 年が経過し,初年度購入大型教育・研究備品を中心に教育・研究機器
の故障や陳腐化が顕著になっています。需要や技術革新などによる新機材への要望だけ
でなく,教育用実験機器の一部大型備品にも故障が見られ,学生実験に支障をきたして
います。当時の最新機種であっても,すでに補充用部品の配給,製造中止となっている
もの,あるいは本体が正常な状態に保たれているにもかかわらず,現在の OS では起動
できない PC 制御型の大型機器など,更新・購入するにも予算・申請できない状態です。
大学当局は,少なくともこれまで行われてきた教育・研究の質を維持するために,最
低限必要な機能を持つ初年度購入備品の同等品整備,教育・研究備品の更新,メンテナ
ンス費用の確保を行う責任があると考えますが,どのような策を検討されているかお聞
かせ下さい。
(3) 研究室 2 人部屋の解消
現在,助教・助手について,2 名共用の研究室(環境科学部:1 部屋,工学部:2 部
屋,人間文化学部:2 部屋,人間看護学部:教員 16 名のうち 12 名が 2 人部屋)を使用
しており,各教員個別による卒業研究や院生(修士論文・博士論文など)の研究指導を
はじめ,学生リポート作成やゼミなどでの学生指導に支障をきたしています。現在は助
教が講義および卒業研究の指導を担当する教育スタッフであり,研究データや講義資料
の整理,研究物品や調度品などの保管に必要な場所として,改めて一教員一研究室の確
保を要求します。
(4) TA 資格
環境科学部では,TA の不足(とくに適任者不足)が教員の過重労働をもたらしてい
ます。また,工学部では,電子システム工学科には院生がいなくて(現在最高学年 3 回
生在籍)
,機械システム工学科と材料科学科の 2 学科の TA で,電子システム工学科を
含む 3 学科の演習・実験実習を見なくてはならず,TA の過重労働であります。TA 要
員数とならびに質の解消策として,
例えば成績優秀な学部生の TA 資格認定登録と雇用,
専門知識を有する嘱託職員あるいは開学当初のように外部適任者の雇用対応策の検討
を求めます。
3.学内施設・職場環境の改善要求について
(1) 防犯対策
今年度も,南駐車場において車のガラスが割られる,あるいは不審者目撃,部屋への
侵入などのトラブルが発生しております。教職員や学生の通勤通学時の安全を守り,学
内の事件・事故を未然に防止するためにも,街灯・防犯灯の増設,駐車場の厳重な管理・
監視に努めていただき,いままで以上に防犯・安全対策を強化実行していただきますよ
うお願いします。
(2)学内の違法駐車車両・自転車・バイクの学内駐輪場
構内(例えば,体育館,環境科学部,工学部周辺)通路には,学生や不審者などによ
る違法駐車が多く見られています。また依然,講義棟・研究棟周辺への違法駐輪が見ら
れ,車椅子利用者,学外来訪者などの通行の妨げになっています。火災や震災時の緊急
を要するときの救援活動に支障をきたすことからも,マスターアーキテクトとの相談の
下で,違法駐輪の取り締まり,景観の妨げとならないような駐輪場の増設を検討される
よう要望します。
(3) 一時託児所の設置
昨年度オープンキャンパス開催時,入学試験実施の際に設置された「一時託児」につ
いて,今後も継続していただくように要望します。周知の時期について現在のように,
ほぼ一月前に周知いただくこと,今後,ミニオープンキャンパスや各種イベントなどの
大学行事開催時においても,「一時託児」が恒常的に実施されることを求めます。
また,現在は一時託児の対象が未就学児のみとなっていますが,これを現実的な状況
に合わせて小学校 3 年生程度まで拡大することを求めます。また,対象を,行事前後の
準備,片付けに拡大していただくことを要望します。
4.その他の理事長交渉懸案事項
これまでの理事長交渉の場で問題解決,改善されなかった要望事項を列挙します。こ
れら未解決の要望事項のうち,今後,一つでも多くの問題解決に向けて検討頂きますよ
うお願いします。
・教員の時間外労働の削減および待遇改善:休日に出勤した場合,振替の休暇は土曜日
の場合その前の週,日曜日の場合は翌週の平日に限られています。具体的にはオープ
ンキャンパス,入試などの業務を行ったときに取得することになりますが,前後に講
義,会議,定期試験などが予定されており,実際に休暇を取得することが非常に困難
です。休暇取得期日の拡大を求めます。
・任期付教員の再任手続きの明確化を要望します。
・アカデミックハラスメント,パワーハラスメント,セクシャルハラスメントなどが起
こらないような風通しの良い職場環境の確立
・工学部 C3 棟/C5 棟の 2 階から 3 階への階段の設置,人間文化学部D棟にエレベー
ターの増設,防犯のため環境科学部棟非常口の施錠あるいはオートロック化
以上