設計の基本方針 平成25年度 社会基盤ME養成講座 1. 盛土と擁壁 2. 3. 13:00~16:15 平成25年9月4日 岐阜大学工学部 使用目的との適合性,構造物の安全性,耐久性,設計品 質の確保,維持管理の容易さ,環境との調和,経済性を考 慮すること。 想定する作用に対して要求性能を設定し,それを満足する ことを照査すること。 論理的な妥当性を有する方法や実験等による検証がなさ れた手法,これまでの経験・実積から妥当と見なせる手法 等,適切な知見に基づいて行うこと。 重要 公共工事のコスト縮減を図るため,新工法や新製品が提案されているが,安易に採用 してはならない。経済性や施工性だけでなく,類似条件での施工実積・災害事例等を 十分に調査し,総合的な観点から検討しなければならない。また,計算のみに依存す るのではなく,従来から用いられてきた擁壁との相違や被災事例等も考慮して工学的 判断を行う必要がある。 (株)第一コンサルタンツ 右城 猛 1 擁壁の要求性能の水準 区分 性能の限界状態 性能1 性能2 性能3 健全性を損なわない 設計の手順と照査項目 擁壁の 形状寸法 満足すべき性能 安全性,修復性 損傷が擁壁として致命的とならない 安全性 転倒の照査 滑動の照査 支持力の照査 修復性:想定する作用によって生じた損傷を修復できる性能 地震時慣性力 機能、及び避難路や救助・救急・医療・消火活動・緊急物資の輸送路としての機能を維持 できる性能 2 自重 ② コンクリート 曲げ圧縮応力度 曲げ引張応力度 せん断応力度 滑動 載荷重 供用性:想定する作用による変形や損傷に対して、擁壁により形成される道路が本来有すべき通行 ① 転倒 自動車衝突荷重 安全性:想定する作用等による変状によって人命を損なうことのないようにするための性能 部材応力度 の照査 断面変化点で照査 自重 主働土圧 地表面載荷重 地震時慣性力 自動車荷重 落石荷重 水圧,浮力 安全性,修復性,供用 性 損傷が限定的であり,擁壁としての機能の回復 が速やかに行い得る 剛体的安定性 の照査 作用荷重 主働土圧 支持 ① ②③ コンクリート 曲げ圧縮応力度 せん断応力度 鉄筋の引張応力度 3 擁壁の重要度の区分 擁壁の重要度 重要度2 重要度の区分 区分の判断 重要度1 重要度1 重要度2 万一損傷すると交通機能に著 しい影響を与える場合,隣接 する施設に重大な影響を与え る場合。 上記以外 擁壁が損傷した場合の道路の交通機能 への影響と隣接する施設等に及ぼす影 響の重要性を総合的に勘案して定めるこ と。道路の交通機能への影響は,必ずし も道路の規格よる区分を指すものではな く,迂回路の有無や緊急輸送路であるか 否か等,万一損傷した場合に道路ネット ワークとしての機能に与える影響の大き さを考慮して判断すること。 始 重要度2 C区間 緊急輸送道路である B区間 yes no no 擁壁が倒壊しても通行可 擁壁が損傷すると 道路の交通機能へ の影響がある 4m以上 H+1m yes no 4m以上 yes yes 4m以上 迂回路 迂回路がある 擁壁が損傷する と隣接する施設 に重大な影響を 与える no H 道路幅員が十分ある 重要度1 重要度2 4 擁壁の要求性能の例 荷重の作用 5 地震動の作用の照査 重要度1 常時作用に対する照査 重要度2 重要度2 常時の作用 重要度 重要度1 性能1(安全性,修復性,供用性) 降雨の作用 地震動 の作用 擁壁高 レベル1地震動 レベル2地震動 H>8m H≦8m 性能2 性能2 (安全性,修復性) 地震動の作用に対する 照査は不要 性能2 性能3(安全性) (安全性,修復性) レベル1地震動の作用 に対する照査 レベル2地震動の作用 に対する照査 ①設計水平震度がkh=0.18程度以上になると地震時で決まる。 ②レベル1地震動で擁壁断面が決まることはほとんどない。 6 7 重力式擁壁の設計条件 クーロンの土圧理論(すべり面を直線と仮定) 未知量はPとRの2個 力の多角形 転倒と支持力で決まる 単位体積重量 b=0.3~0.5m 無筋コンクリート23kN/m3 y 変位 過載荷重 q=10kN/m2 鉄筋コンクリート24.5kN/m3 α 土圧 自重 Ho H 1:n1 河川の場合は洗掘深 を考慮すること 1:n2 土圧 γ=19~20kN/m3 φ=30~35゜ S1 N1 δ ω W ω P φ R R ω−φ 0 ≤δ ≤φ B=0.7H c=0 三角関数 自重 Df=0.15Ho≧0.3m 90−(α+δ) 90−(ω−φ−α−δ) P α S2 N2 裏込め土 α+δ W W 正弦定理より 滑動で決まる x P W = sin(ω − φ ) sin{90 − (ω − φ − α − δ )} 0 B =(0.5~0.7)H c 土圧 P= 自重 sin(ω − φ ) W cos(ω − φ − α − δ ) A C b 2 3 δ = φ (道路土工指針) ω が決まればWとPが決まる a b c = = sin A sin B sin C a B sin(90 − A) = cos A φ=30~35゜ ω をどのようして決めるか 9 8 試行くさび法 土のせん断強度定数 土の分類 正解 64.25 b 細粒分 PA=64.21kN/m 粗粒分 主働土圧PA(kN/m) 64.20 粘土 64.15 砂 シルト 細砂 64.10 64.05 粒径 0.005 石分 中砂 0.075 0.25 礫 粗砂 細礫 0.85 2.0 4.75 石 中礫 粗礫 19 粗石 75 巨石 300 (mm) 64.00 63.95 63.90 57 W 58 59 60 61 62 すべり角 ω(゜) 礫 (少ない ) 礫 (多い ) 63 50% 以上 礫 50% 未満 50% 以上 砂 砂 (多い ) δ PA ω φ R 砂 (少ない ) ω (゜) b (m) W (kN/m) P A (kN/m) 58 2.00 154.97 63.95 59 1.90 150.17 64.14 60 1.81 145.47 64.21 正解 61 1.72 140.86 64.16 62 1.63 136.34 64.01 50% 以上 50% 未満 10 シルト,粘土 50% 未満 礫質土 砂質土 γ=20kN/m3 γ=19kN/m3 φ=35゜、c=0kN/m2 シルト,粘土 シルト,粘土 φ=30゜、c=0kN/m2 粘性土 γ=18kN/m3 φ=25゜、c=0kN/m2 11 道路土工指針と道路橋示方書の違い 片持ばり式擁壁の仮想背面に作用する土圧 道路土工-擁壁工指針による土圧計算法(試行くさび法) a a/2 「擁壁工指針は試行くさび法」、「道路橋示方書はクーロン式」というのは間違い。 試行くさび法はクーロンの楔理論の数値解析法。クーロン式は楔理論の解析解。 クーロン公式を誘導したのは、ミュウラ・ブレスロー。 道路土工-擁壁工指針 技術基準類 道路橋示方書下部構造編 力の多角形 q 仮想背面 β q q β α h PA α δ PA α δ h 3 土圧計算法 δ=β すべり面 PA W R PA 盛土形状 W δ=β δ h 3 > 試行くさび法 クーロン式 試行くさび法 2 3 土圧分布 φ PA ω PA = R sin(ω − φ ) W cos(ω − φ − δ ) クーロン式 未知量 1 2 δ= φ 壁面摩擦角 h 3 ω−φ PA,R,δ δ= φ 三角形 条件式 台 形 条件式が1個不足 ΣV = 0, ΣH = 0 土圧を求められない 仮想盛土面 δ=βと仮定 12 道路土工-擁壁工指針の考え方の変遷 13 衝突荷重 車両の前輪荷重25kN W 仮想盛土面の傾斜角βの考え方が変更になった 昭和52年版 P 昭和62年版,平成11年版 1.0m h 平成24年版 z a a a/2 45 ゚ M 有効幅 b=λ+z S 計算断面 a/2 β δ=β PA δ=β φ ω R PA β W W R PA 衝突荷重 P(kN) 支柱1本の最大支持力 (静的降伏荷重) T=25kN (前輪) δ=β φ ω 仮想背面 W 仮想背面 仮想背面 β φ ω 砂詰め固定 モルタル固定 作用高さh(m) SS,SA,SB 55 60 0.76 SC 50 60 0.6 A 50 60 0.6 B,C 30 40 0.6 P R W PA 14 擁壁天端からの 防護柵の種別 変更点 ①砂詰め固定とモルタル固定で衝突荷重が異なる。 ②衝突荷重と同時に前輪荷重25kNを載荷させる。 15 転倒に対する照査法 偏心量による方法 照査方法で安全性の評価結果が逆になる 安全率量による方法1 安全率量による方法2 0.4m 0.4m 0.4m R x PA C FsPA 形 b W RH b W RH 5m PAV FsPAH W RH RV Fs = 常時Ft≧3,地震時Ft≧1.5 W PA Fs = W ⋅ b + PAV ⋅ x PAH ⋅ y Fs = 常時Fs≧1.5,地震時Fs≧1.2 B 2e B=0.4m B’=2.9m B=1.9m ⎛ B' ⎞ ⎟ ⎜ ⎝ 2e' ⎠ 3.01 W ⋅b PAH ⋅ y − PAV ⋅ x −1.90 2.52 1.12 3.53 1.89 1.13 Ft = Fs = PA 5m R RV W ⋅b W ⋅b = PA ⋅ a PAH ⋅ y − PAV ⋅ x 1:0.5 W y B B 2e 5m R B=3.5m RV Ft = 状 a e PA W W ⋅ b + PAV ⋅ x PAH ⋅ y 3.01 6.67(1.13) 最も安全 最も危険 16 擁壁工指針の転倒に対する安定の照査 常 時 V e e H Qh q1 Qv 滑動の安全率 地震時 V 自立式 17 B e≤ 6 q2 B ≥ 3.0 Ft = 2e B e≤ H Qh q1 Qv Ft = B B 3 安全率 Fs = B ≥ 2.0 2e 原地盤面または計画地盤面 qt h Qh H q1 q2 B 0.5Pp H0 PP = 1 2 φ⎞ ⎛ γh tan 2 ⎜ 45 + ⎟ 2 2⎠ ⎝ V V d Qv H u = Vo μ + 0.5 PP 仮想地盤面 Qt もたれ式 底面が平坦の場合の滑動抵抗力 V0 1m以上 Hu ≤ 1.5(異常時1.2) Ho d≥ B 2 6d Fs ' = ≥ 3 .0 B d H Qh q1 Qv B d≥ q2 Fs ' = B 3 6d ≥ 2 .0 B 18 19 沈下量から決まる許容鉛直支持力度 1,000 600 300 600 300 300 200 200 100 岩 盤 礫 層 砂 質 地 盤 粘性土 地 盤 240~400 100~200 N=5H 400 q= 10kN/m2 30~50 20~30 15~30 10~15 「道路橋下部構造設計指針・直接基礎の設計篇(昭和43年)」,「道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編」に掲載 「荷重の傾斜角の正接(水平力/鉛直力)が0.1以下の場合で,かつ構造物の重要度が高くないと考えられる場合」 に適用。平成6年版からは削除 最大地盤反力度 q1(kN/m2) q d (kN/m2) 亀裂の少ない均一な硬岩 亀裂の多い硬岩 軟岩・土丹 密なもの 密でないもの 密なもの 中位なもの 非常に堅いもの 堅いもの 支持層と見なせるN値 目安とする値 一軸圧縮強度 N値 q u (kN/m2) 10,000以上 10,000以上 1,000以上 許容鉛直支持力度 基礎地盤の種類 支持層と見なせるN値の目安 300 L型擁壁 H0=0~H 200 H 100 逆T型擁壁 重力式擁壁 q1 0 1 2 3 4 5 擁壁高H(m) 最大地盤反力度 q1=50H 許容支持力度 qa≒10N 6 7 8 q1=qaとおくと N=5H 擁壁高H=3mの場合 支持層のN値は 5×3=15以上必要 20 地盤の極限支持力 テルツァギー式 (tanθ=0) 道路橋示方書の静力学公式 B=3m テルツァギー式を拡張 qd 荷重の偏心・傾斜,支持層への根入れ,基礎の形状・寸法効果を考慮 上載荷重 q=γ2Df a b π φ + 4 2 r0 π −φ 2 21 θ π φ − 4 2 Df π 4 − φ 2 e 極限支持力度 設計地盤面 π +φ 2 c 対数ら線形 基礎幅 q=γ2Df 根入れ地盤単重 上載荷重 粘着力 1 qd = c ⋅ N c + q ⋅ N q + γ 1 ⋅ B ⋅ N γ 2 Df qd 支持層 d r = r0e θ 根入れ地盤 γ2 θ tan φ V D’f H γ1,φ,c e Be 支持力係数(φの関数) B 2⎛π φ⎞ N q = tan ⎜ + ⎟e ⎝ 4 2⎠ N c = N q − 1 cot φ 載荷重 q = γ 2Df 形状係数 α = 1 + 0.3 π tan φ ( ) N γ ≈ (N q − 1)tan (1.4φ ) 1 qd = ακcN c Sc + κqN q Sq + γ 1βBe N γ Sγ 2 支持層への根入れの割り増し係数 γ1=0 22 κ = 1+ 0.3 Df ' Be Be L β = 1 − 0.4 Be L 寸法効果に対する支持力係数の補正係数 ⎛ c ⎞ Sc = ⎜ ⎟ ⎝ 10 ⎠ −1 / 3 , ⎛ q⎞ Sq = ⎜ ⎟ ⎝ 10 ⎠ −1 / 3 , Sγ = Be −1 / 3 道路橋示方書式の支持力係数(平坦地盤) 基礎幅 B 有効載荷幅Be Qu 1800 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 ωを変化させてquの最小値を探索 Nc qd=776.05kN/m2 ω=95.36゜ Nγ 60 63.3 66.5 69.8 73 76.3 79.6 82.8 86.1 89.3 92.6 95.9 99.1 102 106 qd(kN/m2) 平坦地盤の極限鉛直支持力度 ω (deg) qd θ 上載荷重 q=γ2Df a QH b (Ⅰ) ω π/2−φ π/4−φ/2 (Ⅲ) Df e π/4−φ/2 π/2+φ α 0.32 (a)Ncを求めるグラフ(q=0, γ1=0) Nq 地盤定数 (γ1、φ、c) (Ⅱ) 0.32 (c)Nγを求めるグラフ(c=0,q=0) d c 1 qd = ακcN c Sc + κqN q S q + γ 1βBe N γ Sγ 2 tan θ = c,φをどのように決めるかが問題 24 24 NEXCO設計要領の静力学公式(斜面地盤) N値=30 上載圧 港湾施設の技術上の基準(砂地盤) σ'v=50kN/m2 σ'v=100kN/m2 σ'v=200kN/m2 σ'v=300kN/m2 道路橋示方書式 内部摩擦角φ(゜) N値とφの関係 46 44 42 40 38 36 34 32 30 28 26 24 22 20 0.32 (b)Nqを求めるグラフ(c=0,γ1=0) H 330 = = 0.32 V 1,045 φ ⎞ ⎛π ⎞ ⎛ r' = Be tan⎜ 45 + ⎟ exp⎜ tan φ ⎟ 2⎠ ⎝2 ⎝ ⎠ β’ N1 = S=0の斜面の極限支持力度 qb0 qb0 = α ⋅ c ⋅ N 'c Sc + B 1 β ⋅ γ ⋅ Be ⋅ N 'γ Sγ 2 e φ = 4.8 ln N1 + 21 φ = 15 + 15 N θ S θ qf 170 N σ v '+70 β’ Sの余裕幅がある斜面の極限支持力度 qf = qd − qb0 S + qb0 R ⋅ Be σ 'v = γ t1hw + γ 't 2 ( x − hw ) 0 N1 = 10 170 N = 1.4 N 50 + 70 20 30 40 標準貫入試験のN値 φ = 4.8 ln(1.4 N ) + 21 N=20なら φ ≈ 4.8 × ln(1.4 × 20) + 21 = 37゜ 50 γt1 γ’t2 hw φ ⎞ ⎛π ⎞ ⎛ r' = Be tan⎜ 45 + ⎟ exp⎜ tan φ ⎟ 2⎠ ⎝ ⎝2 ⎠ x θ qd B e 26 B 平坦地盤の極限支持力度(道路橋示方書式) 1 qd = α ⋅ c ⋅ N c Sc + β ⋅ γ ⋅ Be ⋅ N γ Sγ 2 支持力の算定方法 ブロック積擁壁の安定の照査 ブロック間の結合や製 品寸法による分類 平 坦 斜 軟弱地盤 普通地盤 岩 盤 通常規模 (H≦8m) 方法② 方法① 方法① 方法③ 大規模 (H>8m) 方法② 方法② 方法① 方法③ 岩 設計方法 通常のブロック積(石 原則として胴込めコンクリートを設 通 常 の ブ 積)擁壁 ける練積みで,水平方向の目地が直 表Aを用いた「経験に基づく ロック積 線とならない谷積み等で積み上げる 設計法」による 擁壁 積みブロックの控長を 形式 35cm の ま ま 大 型 化 し たブロック積擁壁 面 普通地盤 構造特性 盤 方法① 通常のブロック積(石 控長の大きい大型積みブロックで, 表Bを用いる。 ブロック間の結合にかみ合わせ構造 積)擁壁に準じた構造 や突起等を用いたり,胴込めコンク 直高が5m以上は支持に対する 安定の照査を行う。 大 型 ブ の大型ブロック積擁壁 リートで練積みにした形式 ロック積 擁壁 控長の大きい大型積みブロックで, 表Cを用いて,もたれ式擁壁 もたれ式擁壁に準じた 鉄 筋 コ ン ク リ ー ト や 中 詰 め コ ン ク に準じて擁壁の安定性及び部 大型ブロック積擁壁 リート等を用いてブロック間の結合 材の安全性を照査する。 を強固にした形式 方法① 方法① 地盤種別やN値で経験的に推定 方法② 道路橋示方書の静力学公式 表C もたれ式擁壁に準じた構造の大型ブロック積擁壁の最小控長 方法③ NEXCO設計要領の静力学公式 1:03 背面勾配 直 高 H (m) ~5.0 最小控長 b (m) 0.15H 以上 28 ブロック積擁壁擁壁鉛直地盤反力度 1:0.4 1:0.5 ~7.0 0.12H 以上 ~8.0 0.1H 以上 29 ブロック積み擁壁の滑動に対する安全率 q=10kN/m2 間知ブロック 控え35cm 盛土を砂質土にすると滑動の安全率が1を下回る 盛土を礫質土にすると滑動の安全率が1.5を下回る 裏込コンクリート厚(cm) PA 1:n 滑動安全率 裏込め材 Vo qV 2 = B 1.2Vo B 盛土 背面勾 配 切土 裏込めコンクリート厚(cm) ~1.5 1:0.3 1:0.4 1:0.5 1:0.3 1:0.3 1:0.4 1:0.5 5 10 15 20 表B 通常のブロック積擁壁に準じた構造の大型ブロック積擁壁の直高 1:03 1:0.4 1:0.5 50cm以上 - ~3.0 ~5.0 75cm以上 ~4.0 ~5.0 ~7.0 背面勾配 控長 100cm以上 ~5.0 ~7.0 W + PA sin(δ − α ) μ PA cos(δ − α ) 2 2 1.5 1.5 qd=600kN/m2 μ=0.6 W 1.5~3.0 3.0~5.0 5.0~7.0 滑動安全率 表A 通常のブロック積擁壁 直高(m) d Fs = δ ~8.0 1 0.5 30 滑動安全率 直高 qV1 α H 砂質土 γ=19kN/m3 φ=30゜ 3 4 5 6 擁壁高H(m) 7 8 1 0.5 礫質土 γ=20kN/m3 φ=35゜ 3 4 5 6 擁壁高H(m) 7 8 簡便法による鉛直地盤反力度の算定 設計水平震度と壁幅 qt Qt qV 1 = l2=ηl 1:n qt = H η = l2 / l l Qt = l1 M0 QH H0 qV1 dV=ξB qV2 QV B 2Qt η ⋅l QV = V 0 − Qt sin θ , Q H = H 0 + Qt cos θ V0 θ 2QV (2 − 3ξ ) 2QV (3ξ − 1) , qV 2 = B B 自重のみ η = l2 / l 1.00 ξ = dV / B 0.58 M 0 − ξ ⋅ B ⋅ V0 ⎛ η⎞ B sin θ (1 − ξ ) + l ⎜1 − ⎟ 3⎠ ⎝ 土圧や地震時慣性力を考慮 1:0.3 0.50 1:0.4 0.60 1:0.5 0. 70 0.56 32 盛土の締固め度と強度定数c、Φ 設計水平震度と粘着力 常時土圧で設計したもたれ式擁壁 内部摩擦角 φ (゜) 必要粘着力 c (kN/m2) 摩擦係数 μ=0.6 滑動安全率 Fs=1.2 8 1:0.5 6 H=8m 礫質土 γ=20kN/m3 φ=35゜ 160 50 40 30 0 0.15 0.20 100 80 60 0 80 85 90 95 100 締固め度 Dc (%) 0.10 120 20 75 0.05 140 40 20 2 0 不飽和土 飽和土 180 不飽和土 飽和土 60 b=0.9m 4 200 70 14 10 礫質土ρdmax=1.968g/cm3 礫質土ρdmax=1.968g/cm3 粘着力 c (kN/m2) 常時土圧で設計したもたれ式擁壁の 滑動安全率1.2を確保するのに必要な粘着力 12 33 105 75 80 85 90 95 100 105 締固め度 Dc (%) 0.25 設計水平震度 kh データは「川崎廣貴,長澤正明:高盛土の沈下挙動と地盤の性能評価技術,基礎工、2009.7」による 34 35 鉄筋のかぶり 演習問題1 重力式擁壁の安定性の照査 プレキャストコンクリート 現場打ち コンクリート C min = α ⋅ K ⋅ c0 現場製造 30≦σck<35N/mm2 工場製品 σck≧35N/mm2 1.荷重の算定 30≦σck<35N/mm2 σck≧35N/mm2 たて壁 40 40 32 32 底 版 70 70 56 56 25 45 自重 単位体積重量 23kN/m3 主働土圧 試行くさび法 y xA PA α+δ xc ボックスカルバートは25mm 土木構造物設計マニュアル案(H11年) 2.荷重の集計 Wc yA 70mm以上 x 110mm 0 3.安定性の照査 底版厚 40以上 d e 転倒 滑動 支持力 偏心量 e B/2 110mm 100mm 100 ∑H ∑V 70mm以上 壁厚 鉛直荷重 ∑V 水平荷重 ∑H 作用位置 d 偏心量 e 37 演習問題2 ブロック積擁壁の支持力照査 b=0.85m 控長 0.7 6m 演習問題3 直接基礎の支持力 基礎に作用する鉛直力∑V q=10kN/m2 ΣV = Wc + PA sin(α + δ ) α = −26.565゜ 2 2 φ = × 35 = 23.33゜ 3 3 α-δ = -26.565 + 23.33 = -3.23゜ 直高 7.0m 1:0 Wc 0.16 B=0.93m qV1 裏込土 砂質土 3 単位体積重量γ=19kN/m せん断抵抗角φ=30゜ α+δ 粘着力 c=0 PA sin(α + δ ) < 0 となる δ 0.25 qV2 土圧を無視する(安全側) PA 支持地盤 砂質地盤 N値 20~30 θ δ= .5 ∑V 0.50 全高 H=7.5m α=−26.565゜ ΣV = Wc かかとの地盤反力度 qv 2 1 qd = ακcN c S c + κqN q S q + γ 1β Be N γ Sγ 2 1.2Wc 1 .2 Σ V = = B B 38 39 4.1高盛土部の函渠が破壊 高知県南国市根曳峠 0.5 0.5 2.5 2.5 技術基準の勉強不足 国道32号 0.5 H=3.5m 0.5 ボックスに作用する土圧は土被り圧より大きい 技術基準の勉強不足 周辺の盛土の沈下によって,凾渠上の盛土が引きずり込まれる 盛り土沈下曲線 盛土 盛り土荷重 W 盛り土 h=22m 鉛直土圧係数(カルバート工指針) 摩擦力 F h F H B 岩盤 鉛直土圧 P=W+2F 摩擦が荷重として作用 横断方向クラックと 遊離石灰のつらら h/B<1 αV=1.0 1≦h/B<2 αV=1.2 2≦h/B<3 αV=1.35 3≦h/B<4 αV=1.5 4≦h/B αV=1.6 h/B=22/3.5=6.3>4 鉛直土圧係数αvと頂版中央の応力度(N/mm2) 縦方向クラック(垂れ下がり10cm) コンクリート 曲げ圧縮 鉄筋露出 鉄筋 引 張 αv=1.0 6 132 αv=1.6 11 264 許容値 7 140 41 40 経験不足 5.1 破壊状況 経験不足 42 H=6.0m ブロック高4.4m 舗装厚600 ブロック高4.4m 5.1 20年前のブロック積が倒壊 用水路 43 5.2路面が陥没し,幅2.5m、深さ13mの空洞経験不足 アスファルト撤去中に30mにわたり突然崩壊 2010年6月,須崎市安和の県道久礼須崎線 6月28日 アスファルト舗装の撤去 作業中に突然擁壁が崩壊 6月28日 再度路面沈下が発生した ため,路床部をセメント混合する目的 でアスファルト舗装の撤去作業 5月25日 路面沈 下が発生したため オーバーレイ 舗装厚600 舗装厚600 緩み・空洞 緩み・空洞 吸い出し 用水路 45 44 穴内川の増水で川岸が浸食 路側部が崩壊したのはなぜ? 1999年7月29日の豪雨で,大豊町敷岩の国道32号が崩壊 路面が沈下 擁壁崩壊直後 国道32号 山留め擁壁 当初地盤 穴内川 4m 大型ブロックで復旧 崩壊直前 D.H.W.L. 崩壊後 W.L. 高知新聞朝刊1999.7.30 46 47 トラブル回避術 一.盛土・切土 法肩歩け 二.法肩亀裂は 滑りの前兆 三.法のはらみは 水のせい 四.水みち塞ぐな それ通せ 五.水を止めるな 列車を止め ろ 六.無いより悪い 破れた水路 七.小石パラパラ それ来るぞ 八.湧き水濁る 崩壊近い 九.雨が止んでも 安心するな 十.上を見ながら 崩土の始末 旧国鉄の法面防災十訓 1. 地質の推定誤差(ミス)に伴う設計変更がトラブルの要因。 9 事前調査を多くして、設計変更を極力回避する。 9 些細な変更でも分からなければ専門化に相談する。 2. 設計条件が現場と一致しているか確認せよ。 9 地形、土質、N値が一致しているか。 9 構造物の形状、根入れ、施工法・手順が一致しているか。 3. 根拠がハッキリしているか。 4. 類似構造物と寸法や数量を比較し、妥当か確認せよ。 9 擁壁高と底版幅の比 9 コンクリート1m3当たりの鉄筋重量 5. 過去のトラブル事例を調べ、対策を練る。 9 会計検査院のホームページで指摘事例を調べる。 9 日経コンストラクションなどの専門誌を購読する。 49 48 大事なことは思考すること 土木技術者としての心得 1. マニュアルは作るもの。分かって使わないと過ちのもと。 マニュアルは技術者の思考を停止させる 適用できる範囲が不明,他に応用が効かない 問題が起きない→技術の進歩がない 2. 言葉に誤魔化されるな。定義を明確にして,本質を見抜け。 3. 使う数式は自分で誘導せよ。前提条件を理解して使え。 自分の目で見て 4. 一見は百聞にしかず。自分の目で確かめよ。答えは見方 によって異なる。 目標 5. 現象をイメージせよ。できなければ実験して確かめよ。 問題(課題) 現状 自分で行動する 6. 仮説は正しいか,現象を上手く説明できているか,現地で 確認すること。 自分で考えて 7. 聞いたことは、忘れる。見たことは、覚える。やったことは、 分かる。見つけたことは、できる。 自分で決めて 畑村洋太郎 50 8. インターネットで重要な情報は得られない。会って話すこと が大事。当たって砕けろ。 51
© Copyright 2024 ExpyDoc