彩の国さいたま人づくり広域連合 平成23年度 行政課題研究セミナー(すてっぷあっぷ講座) 「自治体コミ二ティ政策について考える」 安全安心で快適なまちづくりを進めるためには、コミュニティ活動を基礎としたまちづくり が重要です。しかし最近、その基礎となるコミュニティ活動もリーダーの高齢化や後継者不足、 地縁的つながりの希薄化など様々な問題が指摘されています。そこで、今回のセミナーでは「自 治体のコミュニティ政策」をテーマに取り上げしました。 第1部 ◎ 基調講演 『自治体コミュニティ政策とまちづくり』 名和田是彦氏プロフィール ◆所属・役職 法政大学法学部・教授 ◆専門 法社会学、コミュニティ論 ◆経歴 東京大学法学部卒業後、横浜市立大学、東京都立 大学を経て、現職。横浜市を中心にコミュニティと 住民参加の実態を研究するとともに、自らも市民活 動団体「まちづくりフォーラム港南」の代表として、 まちづくり活動を実践している。 総務省「新しいコミュニティのあり方に関する研 究会」座長、横浜市地域福祉保健計画策定推進委員 会副委員長、横浜市地域まちづくり推進委員会副委 員長、横浜市市民活動運営支援事業審査委員会委員 長などを務める。 ◆著書 『コミュニティの法理論』(1998年 創文社) 、 『コミュニティの自治−自治体内分権と協働の国際 比較』 (編著 2009年 日本評論社)など多数。 第1部の基調講演では、法政大学法学部教授 の名和田是彦氏を講師にお招きしました。 名和田氏は、バブル経済崩壊後、行政サービ スが縮小・重点化する中、民間が担う公共サー ビス(「新しい公共」)への期待が高まっている ことについて述べられました。その内、自治会 が行っている公共サービスは、フリーライド (ただ乗り)が生じやすいため、住民全員が会 員であることが必要とされるにもかかわらず、 加入率は低下傾向にあるという現状について 説明されました。さらに、合併等で大規模化し た市町村とコミュニティとが乖離している現 状を指摘し、自治体内分権の仕組みが必要であ ると説明されました。 そして、自治体内分権による地域活性化等に ついて、多くの事例を交えながら説明されまし た。その中で、コミュニティを活性化するため には、開かれた交流拠点で公共の場を形成する ことが必要であると述べられました。 第2部 ◎パネルディスカッション 『コミュニティの輪の広がりと住民参加のまちづくり』 第2部では、コーディネーターに名和田氏、そしてパネリストとして、立正大学文学部社会学科教 授の小宮信夫氏、入間市文化創造アトリエ・アミーゴ館長の水村雅啓氏、武蔵大学社会学部メディア 社会学科教授の粉川一郎氏の3名をお招きし、パネルディスカッションが行われました。 小宮氏は、地域安全マップづくりに必要なのは不審者を探すことではなく、犯罪が起こりそうな場 所どうかの判断力をつけることであると説明されました。そしてマップづくりがきっかけとなり、住 民同士や行政とのコミュニケーションが活性化することで、地域社会の問題解決能力が向上すると述 べられました。水村氏は、住民と自治体との協働を進める際に大切なのは、計画段階から一緒に考え、 情報の共有など連携できる環境を整えることだと説明されました。また、自身が館長を務める文化施 設において、「憩う場所」としてのコミュニケーションづくりを大事にしていると述べられました。 粉川氏は、市民電子会議室や自治体のホームページなどの事例とツイッターやフェイスブックの可能 性について触れ、オンラインコミュニティを活性化していくためには、日常的なコミュニケーション の要素を取り入れていくことが必要だと述べられました。 その後の質疑応答においても、パネリストの方と会場との活発な意見交換が行われ、盛況なパネル ディスカッションとなりました。 小宮信夫氏プロフィール 水村雅啓氏プロフィール 粉川一郎氏プロフィール ◆所属・役職 立正大学文学部社会学科・教授 ◆専門 犯罪社会学 ◆経歴 中央大学法学部卒業。ケンブリ ッジ大学大学院犯罪学研究科終 了。法務省、国連アジア極東犯罪 防止研修所などを経て現職。 地域安全マップの考案者とし て、東京都の防犯アドバイザーを 務めるなど全国各地で技術指導 に従事し、犯罪に強いまちづくり を支援している。 ◆著書 『犯罪は「この場所」で起こる』 (2 005年 光文社新書)、 『犯人目 線に立て!−危険予測のノウハ ウ』 (2007年 PHP研究所) など多数。 ◆所属・役職 入間市文化創造アトリエ・アミーゴ 館長 ◆活動 「入間市文化創造アトリエ・アミ ーゴ」の立ち上げから市民ボラン ティアとして関わり、平成16年 から現職。 市民ボランティアらと共に設 立したNPO法人入間市文化創 造ネットワークが、平成20年4 月から指定管理者として運営を 受託。アミーゴでの事業展開を中 心に、文化芸術によるまちづくり やコミュニティの形成などに取 り組む。いるま「太鼓」セッショ ン、入間万燈まつり等の運営にも 中心となって活動している。 (財) 入間市振興公社理事、入間市観光 協会理事。 ◆所属・役職 武蔵大学社会学部 メディア社会学科・教授 ◆専門 ソーシャルメディア、 NPO評価及び行政評価、 行政と市民とのパートナーシップ ◆経歴 筑波大学大学院修士課程環境科学 研究科修了。三重県生活部NPO室 市民プロデューサー等を経て現職。 藤沢市市民電子会議室に立ち上げ より世話人として参加。現在、公益 的活動の評価を行うNPO法人コミ ュニティシンクタンク「評価みえ」 の理事も務める。 ◆著書 『協働と市民活動の実務』 (共著 20 05年 ぎょうせい)、 『社会を変え るNPO評価−NPOの次のステッ プづくり』 (2011年 北樹出版)、 『パブリックコミュニケーションの 世界』 (共編著 2011年 北樹出 版)など多数。
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