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茨城大学重点研究
研究概要
重 点 研 究 名 : 茨城大学バイオ燃料社会プロジェクト
代 表 者 名 : 新田 洋司
所属: 農学部
職名: 教授
キ ー ワ ー ド : バイオ燃料,スィートソルガム、耕作放棄地、地域農業イノベーション
研 究 組 織 (研究体制の全体像が分かるように記入し、必要に応じて図表を掲載して下さい。)
第 1 チーム:地域生態系修繕と連動したバイオ燃料作物スィートソルガムの最適栽培システムの開発
新田洋司(農・教授,チーム長)
・浅木直美(農・准教授)
・井上栄一(農・准教授)
・成澤才彦(農・教
授)
・塩津文隆(農・講師)
・小久保敏明(農・非常勤研究員)
・加藤明(農・産学官連携コーディネーター)
第 2 チーム:農地オンサイト型バイオ燃料生産系システムの開発に関する研究
久留主泰朗(農・教授,チーム長)
・太田寛行(農・教授)
・長南茂(農・准教授)
・宮口右二(農・准教
授)
・豊田淳(農・准教授)
・長谷川守文(農・准教授)
第 3 チーム:バイオ燃料生産・流通の経済評価・環境改善評価
吉田貢士(農・准教授,チーム長)
・佐藤達雄(農・准教授)
・内田普(農・准教授)
・小松崎将一(農・
教授)
第 4 チームバイオ燃料のエンジン燃焼評価と地域交通システムの構築
金野満(工・教授,チーム長)
・金利昭(工・教授)
研究組織のホームページ:http://www.ibos.ibaraki.ac.jp/
研 究 目 的 (①背景・社会的重要性・緊急性等 ②学術的な特徴独創的な点 ③予想される結果と意義を記入して下さい。)
①背景・社会的重要性・緊急性等
わが国の農耕地は、化学肥料の多投入や連用により土壌に大きな負荷を与えており、とりわけ、リンの集
積や硝酸態窒素など窒素過多の問題が深刻である。また、農業従事者の高齢化等の要因で耕作放棄地が全国
で 28 万 ha にも拡大し、大きな社会問題となっている。茨城県も耕作放棄地面積が全国第 6 位(約 8,900ha)
であり、深刻な環境問題となっている。
一方、地球温暖化対策あるいは化石エネルギーへの依存脱却という観点から、食料生産・経済と競合しな
いバイオ燃料作物を利用したバイオエタノール生産の開発が世界的に注目されている。
加えて、東日本大震災で発生した津波により、沿岸部の農耕地土壌には多量の塩類が蓄積し、農作物の栽
培が不可能な状態になった。また、原子力発電所事故により放射性物質(セシウム等)が、農耕地ばかりで
はなく広範囲な地域の生活土壌にも蓄積している。
このような背景の中、本プロジェクトでは、①粗放的栽培が可能でエタノール高収量が得られるスィー
トソルガムに着目し、耕作放棄地や遊休地などを利用して生態系修繕と連動させるとともに、農地以外で
のバイオ燃料作物の栽培から製造までの一貫生産システムを確立すること、②スィートソルガム栽培によ
る農耕地土壌からの塩分除去,放射性物質の土壌からの吸収能力などの環境修復効果を検討し、東日本大
震災からの復旧・復興へ寄与するモデルを構築することを、目的としている。
②学術的な特徴独創的な点
本研究では、スィートソルガムを栽培することにより、津波被害を受け生産性が低下した農耕地土壌の迅
速な回復がはかられるとともに、バイオ燃料の生産システムに伴う環境・経済の両面からの影響評価が明ら
かになる。また、バイオ燃料だけではなく、飼料化・パルプ化などの新たな資源としての開発が期待される。
さらに、全国の耕作放棄地を含む農耕地が有効化し、土壌や水の汚染、リン・窒素の集積が緩和・修復さ
れて、地域生態系機能の健全化がはかられる。さらには、バイオ燃料(バイオエタノール、ブタノール)
製造の最適パッケージ・システムは国内における新しいバイオ燃料創出モデルとなる。
③予想される結果と意義
本プロジェクトは、従来にはなかった地域実践型・分野横断総合研究の展開が期待され、世界的にオリ
ジナリティが高い。この研究が順調に進めば、未曾有の被害を受けた東日本大震災からの被災農耕地の修
繕と新たな活路を開き、わが国における低炭素型地域モデルの推進がはかられると同時に、耕作放棄地の
解消、ひいては地球温暖化対策、エネルギー安全保障などへの貢献が期待される。
茨城大学重点研究
研究概要
研 究 内 容
研究概要
食料生産と競合しないバイオ燃料作物スィートソルガ
ムを用いて、農耕地生態系の機能改善を図るとともに、栽
培からアルコール生産までの一貫生産システムを開発し、
バイオ燃料地産地消モデルを構築すること、を目的とする。
具体的には以下の 4 つのサブテーマ(チーム)で研究を
実施している。
(研究内容を簡潔に記入して下さい。
)
サブテーマ 1:地域生態系修繕と連動したバイオ燃料作物
スィートソルガムの最適栽培システムの開発
耕作放棄地等でスィートソルガムを栽培し、食料生産・
農学部で栽培されているスィートソルガム
経済と競合しない最適栽培システムを開発する。さらに、
セシウム等の放射性物質の土壌からの吸収能力(除染)を明らかにし、被災農耕地への高い復旧手法を提案
する。
サブテーマ 2:農地オンサイト型バイオ燃料生産系システムの開発に関する研究
次世代バイオ燃料として、
ディーゼル燃料と代替が有望なブタノールをスィートソルガムから生産するた
めのシステムを開発する。
サブテーマ 3:バイオ燃料生産・流通の経済評価・環境改善評価
スイートソルガムからのバイオ燃料製造が産業として成立した場合の、他産業への波及効果や産業構造の
変化を考慮したシナリオに基づく環境影響および経済性の評価を行う。
サブテーマ 4:バイオ燃料のエンジン燃焼評価と地域交通システムの構築
エンジン燃焼場に適用可能なエタノールの詳細素反応モデルを構築するとともに、ガソリンや軽油等の実
用燃料との組み合わせによりディーゼルエンジンや HCCI エンジンへ応用することで、エタノールの利用
範囲を拡大することを明らかにする。
研 究内 容概 要図
(研究内容の概要が分かるポンチ絵・図表を掲載して下さい。
)
茨城大学バイオ燃料社会プロジェクト
IBOS(Ibaraki University Bio-fuel Society Project)
背景・課題
社会・地域への貢献・効果
 農耕地の土壌・水の汚染,リン・窒素過多
 耕作放棄地の拡大(全国で28万ha,茨城県は第6位)
 地球温暖化・CO2濃度上昇
再生可能エネルギーへの
 原油価格の高騰
ニーズ拡大
緊急課題として
 東日本大震災で発生した被害
放射性物質を飛散させた福島第一原発
研究
課題
地域の耕作放棄地・農耕地の有効化技術・施策
土壌・水の汚染、リン・窒素集積の修復による地域生態系機能改善
東日本大震災・原発事故における被災農耕地の復旧・復興
スィートソルガムの新たな機能の開発(パルプ・製紙化,飼料化)
バイオ燃料作物研究の深化モデル
従来にはなかった地域実践型・分野横断総合研究
耕作放棄地(茨城県阿見町)
地域連携
新たな課題・展開
研究体制&研究内容
●バイオ燃料作物を利用した地域生態系修繕・バイオ燃料生産・消費システムの開発
●東日本大震災による農耕地の放射性物質の蓄積への対応(除染,除塩)
第1グループ:食料生産・経済と競合しないスィートソルガム栽培
最適栽培技術の確立
多面的機能の開発(パルプ,ペレット)
第2グループ:オンサイト型バイオアルコール生産システム
効率的なアルコール生産
次世代燃料ブタノール生産
第3グループ:バイオ燃料生産・流通の経済評価・環境改善評価
ライフサイクルアセスメント評価
霞ヶ浦流域等の土壌中のリンや窒素過多の軽減
茨城大学で栽培中のスィートソルガム。
栽培適地が広く、バイオ燃料生産性が
高い。
第4グループ:バイオ燃料のエンジン燃焼評価と都市および交通計画の開発
ガソリンエンジン燃焼評価
CO2削減下における
地域交通システム
地域の生活・交通空間の
デザイン