“地域と行政をつなぐ地域サポーター”の職員研修を行いました! 集まった地域サポーターは、積極的に地域に飛び出し、地域まちづくりを具体的に実践していけるよ うな人材となることが期待されます。全国でも、地域に飛び出す自治体職員が増えています。第 1 回目となる今回、そんな元気な職員の事例を紹介するとともに、自分の力で地域の課題を発見する ヒアリングの技法を実践しました。 プログラム ● ● ● ● ● ● 2013 年 6 月 19 日(水) 13 時~15 時 19 名参加 レクチャー①地域に飛び出す自治体職員 レクチャー②聞く力・意見を引き出すコツ 実践:インタビュー 全体共有 チャレンジ! 喪失体験ゲーム 職員として大切にしたい価値観として、 「目標」「やりがい」「安定」「評価」 「仲間」「お金」と書いた紙をジャンケン で負けると、1 枚ずつ破いていきます。 どんな価値観を大切にしているのか、 再認識することができます。 studio-L(スタジオエル)は、山崎亮が 2005 年に設立。地位の課題を地域に住む人たちが解決するコミュニティ デザインに携わり、社会の課題をデザインの力で支援している。これまでに、いえしま地域まちづくり、海士町総 合振興計画、水都大阪、近鉄百貨店「縁活」プロジェクトなど、地域の課題を地域に住む人たちが解決するための コミュニティデザインに携わる。 http://wwws.tudio-l.org 講師:村岡詩織 林彩華 レクチャー① レクチャー② 地域に飛び出す自治体職員 聞く力、意見を引き出すコツ 事例 1|広島県福山市 F-net 4つの「聞く」 福山市の 13名の若手職員で結成された「F-net」。所属課も業務 初対面の方と話す聞き方から、相手の考えに共感し理解した上 内容も異なる彼らが、中心市街地活性化という目的のもとに集ま で、考えを整理し、行動に移していくための聞き方まで、聞く姿勢 り、studio-L と協働しながらワークショップを運営しています。ファ には4ステップがあります。 シリテーターとして参加することで、市民との間に今までにない強 いつながりが生まれています。そして、地域に新しい賑わいをうむ ための社会実験「フクノワ」の開催へとつながっていきました。 ①聞く ワークショップを盛り上げる F-net 社会実験「フクノワ」 事例 2|島根県海士町(あまちょう) 集落支援員 集落の維持活性化を図るため、総務省が平成20年に創設し た「集落支援員」制度。海士町ではこの制度を活用し、日常的 に生活をサポートする仕組みをつくっています。養成講座に参 加した支援員6名と役場若手職員30名が、実際に集落に入 って取り組みを進めています。また、「集落の自主運営能力を 高める」ことを目標に勉強会を定期的に開催しています。 ②共感して聞く ③理解して聞く ④整理して聞く 相手の考えを知りたい 対立がどこにあるか 事実の共有や確認 これからの行動を考 共通感覚を探る時 学ぶ時 える時 じっくり聞きたい時 2つの質問のカタチ クローズド クエスチョン オープン クエスチョン 「はい」や「いいえ」で答えられる質問 <初めて話す人や話すのが苦手な人に対して> 「はい」や「いいえ」で答えられない質問 <相手の想いや考えを引出したいとき> 前向きな話し合いを進める「Yes, and」 Yes, and 支援員6名と若手職員とで勉強会 集落の未来について話し合う支援員 いいね~、 さらにこうしてみようよ 提案型で話をすると、 たくさんのアイデアや意見を聞き だすのに有効です。 実践!インタビュー 3 人 1 組になり、インタビューアー・対象者・記録係の役割を決めます。インタビューの際、対象者は 配られたカードのキャラクターになりきりインタビューを受け、記録係はインタビューアーの良かった点・ 気になった点を付箋紙に書き出しました。 実践を通して気づいたインタビューのコツ ・楽しくインタビューする!趣味や楽しみを話題にすると相手の気持ちがほぐれた。 ・当たり障りのない質問もきっかけとしては有効。気さくに話しかけることが大切。 ・共感するあいづち(へぇ、大変だねぇ)は会話が弾み、良い雰囲気になる。 根気良く話を聞いたり、相手の興味の ある話を引き出すことで、聞きたい 内容を聞き出すことができました! 人事課 二宮さん 質問される相手の立場になって考え、 共感したり、質問することで、会話の 糸口を見つけることができました! 「うん、うん」と相手の話を聞く ことで、相手との信頼関係が築け たのではないかと思います! 危機管理室 市村さん 企画政策室 堀江さん 研修の感想 「聞くこと」が意外に難しいことが分かった/インタビューをする際にもっと工夫してみようと思う/日頃から、アンテナを広げて、 いろんな興味を持つことと、それをつなげようとする発想が重要と思う/自信を持って地域に溶け込んでいきたい “地域と行政をつなぐ地域サポーター”の職員研修、第 2 弾! 地域まちづくりを具体的に実践していく地域サポーターには、自分たちで地域の課題を発見し、解決 していく力を身につけていくことが必要となります。第 2 回目の研修では、前回、実践したヒアリング技 法を活用し、実際に地域に入り、ヒアリングをして得た情報をもとに、地域に潜む課題を発見し、解決 するためのアイディアを探るワークショップの技法を実践しました。 プログラム ● ● ● ● ● ● 2013 年 7 月 10 日(水) 10 時~12 時 19 名参加 レクチャー①:ファシリテーションについて レクチャー②:ワークショップをうまくまとめる手法 実践:地域サポーターとして地域にできることを考えよう 全体共有 チャレンジ! マーカーを使おう ワークショップでよく使う水性マーカー (クロッキー)には、読みやすく、字をうま く見せるための、持ち方や書き方にコツ があります。水性マーカーの特徴をい かして、色を使って文字を強調したり、 ポイントとなる文字を囲んだりして、 模造紙をわかり易くて印象に残る ものに仕上げていきましょう。 ●太い方を使う ●寝かせて持つ ●先のとがった方が左側 studio-L(スタジオエル)は、山崎亮が 2005 年に設立。地位の課題を地域に住む人たちが解決するコミュニティ デザインに携わり、社会の課題をデザインの力で支援している。これまでに、いえしま地域まちづくり、海士町総 合振興計画、水都大阪、近鉄百貨店「縁活」プロジェクトなど、まちづくりのワークショップや住民参加型の総合 計画づくりなどに携わっている。 http://wwws.tudio-l.org 講師:村岡詩織 林彩華 レクチャー① レクチャー② ファシリテーションについて ワークショップをまとめる手法 ワークショップとは 話し合いのルール ワークショップは、一方通行の知識や技術の伝達でなく、参加者が 意見の多様性を確保する 自ら参加・体験する中で、双方向的に学びあったり、創り出したりす ために、右にしめす基本的 る場です。そして、気軽に意見交換するための一つの方法です。 なルールを全員で共有し 【ワークショップを導入するメリット】 て、話し合いを進めます。 1.書いたり、つくったりする作業をとおして主体性を引き出す 2.みんなで作業することで一体感や達成感を生みチーム化できる 3.意見を平等に聞き、多様性を確保する 4.議論を見える化する ワークショップの進め方 参加者全員が対等な立場で意見を表明し、中立な立場のファシリ テーターが議事を進行する「テーブルワーク形式」で行います。 ふせんに 自分の考えを書く ふせんを貼る 関係性を まとめていく 「この人と話していると自分の考えがまとまった!」 1 枚につき 1 つの考えを書くこと がポイント 書いたふせんは、 模造紙の上に どんどん貼っていきます 似た意見をまとめ、 それぞれの関係性を 書きこんでいきます 参加者にそんな気持ちを促すのがファシリテーターです。 【グルーピング・KJ法】 ファシリテーターとは 「話していて楽しい!」「言いたかったことが素直にいえた!」 【ファシリテーターの役割】 アイディアを統合化する手法です。 1.話しやすい雰囲気をつくり、参加者の意欲を醸成する 意見を小さなグループにまとめ、それ 2.発言者のメッセージを受け止め、思いを引っ張り出す を中グループや大グループに分類し、 3.メッセージ全体をまとめて、整理する グループどうしの関係性をみつけなが 4.話し合いをふりかえり、次回へ向けての意気込みを確認する ら組み立てて図解していく方法です。 実践!地域サポーターとして地域にできることを考えよう ヒアリング結果(地域の悩み)の共有 第 1 回目の研修で実践したインタビュー技法を活用し、実際に地域の方へヒアリングすることが宿題と なっていました。実施してきた地域でのヒアリング結果を、各テーブルで共有し合いました。 地区の会長や協議会のメンバー、民生委員、国際交流協会の方など、さまざまな方にヒアリングし、 それらを通して感じた「おもしろかった点」「特徴的なエピソード」を河内長野市の白地図の上に、書き 出していきました。 地域サポーターとして地域にできること テーブル内で、司会進行、書記、タイムキーパーの役割を決めます。 まず、青いふせんに「困っていること、取り組もうとしている課題」、ピンクのふせんに「自分の課に持っ て帰れること」を書き出します。ヒアリング発表で使った河内長野市の白地図の上にふせんを貼ってい き、出てきた意見をKJ法でまとめていきます。そして、アウトプットとして「サポーターとして地域にでき ること」を探っていきました。 それぞれの担当課と連携していく! ●課題(つながり、賑わい、安全) ・様々な世代のつながりがない ・駅前のにぎわい ・夜道が怖い ●地域サポーターができること ・防災訓練、災害支援を通して コミュニティづくりを行う ・駅前でのイベント開催 ・下校時の帰宅を早く促す取組 危機管理室 市村さん 地域でお金を地域で生み出していくなど、 地域の自立を支援していく! ●課題(交流、安心・安全) ・市民間の交流の場が少ない ・駅の無人化 ・防犯・治安が心配 ●地域サポーターができること ・自治会と子供向けのイベントを開催する ・コミュニティビジネスなどの支援 企画制作室 谷ノ上さん 地域へ情報を発信する広報マン! 地域に出ていき、地域のネットワークづくりに努める! ●課題(高齢化、人口減少、若者対策) ・スーパー、バスの数の減少 ・地域住民の問題意識の低さ ・行政と民間との意識のずれ ●地域サポーターができること ・市役所でできることを地域に発信していく ・庁内で連携をとり、問題意識を共有して いくことが大切 税務課 岩井さん 地域自らが考え、市が応援する、協働のまちづくりを進める! ●課題(つながり、活性化、子育て) ・人とのつながりが希薄、若者の参加 ・商店街、高齢化産業の活性化 ・子育て世代への支援の拡充 ●地域サポーターができること ・地域住民との関わりを深める ・防犯・防災などの情報発信 ・商店街の空き店舗を若者に貸す 自治振興課 上野さん “地域と行政をつなぐ地域サポーター”の職員研修、第 3 弾! 地域サポーターが地域まちづくりを具体的に実践していくためには、積極的に地域に入り、地域の中 で話し合いを進め、まとめていく力が必要になります。第 3 回目の研修では、想定した 3 つの地域、 【主体性がない地域】【協調性がない地域】【問題意識がない地域】について、ワークショップを通し て話し合い、まとめていく技法を実践しました。 プログラム ● ● ● ● ● 2013 年 7 月 10 日(水) 13 時~15 時 19 名参加 実践:話し合いをまとめよう 全体共有 リラックス! 総評 肩たたきマッサージ 午後の冒頭のあいさつの後、最初はペ アで、その後全員で輪になって肩をた たき合いました。ほんの数分でも体を動 かすことによって、身体と頭脳の両方を リフレッシュすることができ、作業の効率 もアップします。実は、チームワーク を高める効果もあるのです。 studio-L(スタジオエル)は、山崎亮が 2005 年に設立。地位の課題を地域に住む人たちが解決するコミュニティ デザインに携わり、社会の課題をデザインの力で支援している。これまでに、いえしま地域まちづくり、海士町総 合振興計画、水都大阪、近鉄百貨店「縁活」プロジェクトなど、まちづくりのワークショップや住民参加型の総合 計画づくりなどに携わっている。 http://wwws.tudio-l.org 講師:村岡詩織 林彩華 実践!話し合いをまとめよう 話し合いをまとめていく実践をワールドカフェ形式で行いました。3 つ用意されたテーブルごとに、 以下の異なる地域を想定し、「地域サポーターとしてできること」について話し合いました。 ●主体性がない地域:意見を言うが、何もしない ●協調性がない地域:取り組みを行っているが、連携がとれていない ●問題意識がない地域:問題が顕在化していていないもしくは無関心で取り組みが起きていない ワールドカフェとは 3 つの輪 4~5人のグループに分け、各テーブルに1人カフェマスターを決め Wish(望んでいること)、Can(できる ます。テーブルごとに設定されたテーマについて、マスターを中心に こと)、Needs(求められていること) 自由に語り合います。20~30 分語り合った後、マスターを残し、他 の 3 つがバランスよく重なる部分が、 のテーブルに移動します。マスターは自分のテーブルでどんな話が 新たな取り組みを行う上で重要とな あったかを紹介し、話し合いを進めていきます。何度かこれを繰り返 ります。このバランスを 3 つの輪で示 し、参加する全員の意見やアイディアを集めていきます。 したものです。 will・wish したいこと 夢 needs 趣味 ★ can 求められて 労働 できること いること Wish、Can、Needs の整理 ●主体性がない地域 Wish :市役所任せにしたい Can :情報提供、 他の地域の事例をあげる Needs:住民との情報共有 自主的な活動の支援 市として「出来ること・出来ないこと」をベ ースに置き、多くの住民から意見を聞くこ とが大切。「キーマン」となる人をみつけ、 職員が連携し、地域住民が自ら動いてい くような活動の提示が必要。 マスター:健康推進課 児島さん ●協調性がない地域 Wish :人・お金がほしい 各地域の情報がほしい Can :お金に関する判断 情報発信、とりまとめ Needs:連携づくり、お金の運用 地域の人の「特別扱いをしてほしい」とい うニーズに答えるためには、地域に入り、 関係作りをすることが大切。 「お金をかけない方法」を提案する。 マスター:企画政策室 梶本さん ●問題意識がない地域 人と知り合うきっかけを求めている人に対 し、イベントの提案や交流の場を設ける。 問題提起のきっかけ作りや意識改革を行 うことが大切。 Wish :そっとしておいてほしい人が大半 きっかけがほしい人もいるはず Can :イベント、交流の場の提案 Needs:意識改革を促す 公平性、信頼性の確保 マスター:交通政策課 水上さん 書記 それぞれの役割の感想 ●小さな付箋に意見をまとめるのが難しかった カフェマスター ●自分も意見を言いたいので、記録係に徹することが難しかった ●3 つの輪の「Can」の部分を考えるのが難しかった ●どこまで書いたらいいか分からなくなった ●最初は何から始めていいのか分からなくて戸惑ったが、 数を重ねていくことで、やり方が分かってきた ●うまくまとめられるか不安だったが、回数を重ねるにつれ ても意見がまとまっていく様子がおもしろかった 総評 ●話し合いに夢中で忘れてしまっていた タイムキーパー ●意見を出し合っている最中に、時間を言うタイミングが難しい ●時間がなかったわけではないので比較的簡単にでき、がおもしろかった 応急措置と予防措置 市役所が地域にできることには、応急処置的なことから予防処置的なものまであります。例えば、「主体性がない地域」 では、市役所が地域間の連携を図ることで、地域が取り組みを行うきっかけを作ることができます。また、「問題意識のな い地域」では、問題が顕在化していないため、問題を見える化したり、長いスパンで地域を捉えた取り組みが必要となりま す。このように、今すぐ対応が必要なのか、それとも今後、問題が表面化されるものなのかによって、アプローチ方法を考 えながら、地域の方たちとの連携を図っていくことが大切です。 研修の感想 どんな地域に対しても何らかの対応策があることが理解できた/地域の人の思いや意見をよく聴くところから、まずは取り組んで いきたい/地域サポーターとして、もっと積極的に地域に入っていこうと思う/見本となる他の事例をもっと知りたい
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