肝 Arginase 作用に關する硏究 (第二報). 家兎肝自家融解が其の

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肝 Arginase 作用に關する硏究(第二報). 家兎肝自家融解が
其の Arginase 作用に及ぼす影 に就きて
住, 優
化学研究所講演集 (1939), 10: 135-139
1939-11-30
http://hdl.handle.net/2433/73668
Right
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Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
海
肝
住:肝Arginase作
用 に 關 す る 研 究(第
二 報)
Arginase作用 に關す る研究(第 二報)
家 兎 肝 自家 融 解 が 其 のArginase作
用に
及 ぼ す影 響 に就 きて
内 野
醫
著 者(1938)1)は
學
士
研
海
究
室
住
優
既 に 家 兎 に於 て燐 中毒 の場 合,其 の肝Arg玉nase作
其 の 血 液Arginase作
用 は著 明 に 増 彊 す る事 實 を報 告 せ り・ 一 方,燐
現 象 の 起 る事 は 既 に屡 汝述 べ られ し所 な るが,殊 に最 近 陳(1939)2)は
用 は 低 下 の 傾 向 を示 し,
中毒 の 際
肝 に 自家融 解
燐 中 毒 家 兎 肝 のKathe-
psin性 自 家融 解 現 象 の 著 し く促 進 せ し を観 察 せ り・薮 に肝 自 家 融解 が 肝Arginase作
用{z如 何
な る影 響 を及 ぼ すか を観 察 す るは興 味 あ る 問題 に して,一 に は 著者 の 報 告 せ るArginase作
用
低 下 の 理 由 の 閑 明 に資 せ ん とす る知 見 を得 ん と す る もの な り・
動 物 死 後 直 に 取 出 ぜ る家 兎肝 を磨 潰 し粥歌 とな し,之 をToluo1暦
に於 て37。C,24時
下 にPH
5・0,7・0或は7・6
問 保 置 した る後,之 等 各 々肝 粥 の遠 心 分 離 上 清 並 に そ の沈 渣 に就 き測 定 観
察 せ り.封 照 と し て氷 室 に保 置 した る試 験 も槍 査 せ り・
(一)PH
5.0に 於 け る試 験(第1表)・PH
5・0の調 節 液 を以 て製 した る肝 粥 浮 游 液 に於 て,
其 の調 製 後 直 ち に其 の 一 部 分 を遠 心 分 離 し,上 清 液 並 に沈 澄 の水 浮 游 液 に就 きArginase作
を槻 察 せ り.残 部 を 二 分 し,一 方 を温 室(37。C)に,他
方 を氷 室 に貯 へ,爾 者 共 に24時
用
聞後
遠 心 分 離 し,そ の上 清 液 並 に 沈渣 浮游 液 に就 き該 作 用 を観 察 せ り・調 製直 後 に於 て は其 の添 加
Arginin分 解 に依 る消 費 酸 量 は上 清 液 に 就 きて槻 れ ば3・90 ccm,沈 渣 浮li・L,就 きて観 れ ば1.20
ccmに
してArginase作
用 は 陽 性 な り・ 亦硫 酸Manganに
㏄m,沈
渣 浮 游 液30・30ccmに
て 賦 活 ぜ し場 合 は,上 清 液40.10
し て該 作用 は 著 明 に 増 彊 せ り・然 る に37。C,24時
肝 粥 浮 游 液 に 於 て は,其 のArginase作
關保置せ し
用 は賦 活せ し場 合 と難 も全 く陰 性 の結 果 を得 た り.封
照 と して 同 時 に 氷 室 に 放 置 せ る肝 粥 浮溝 液 に於 て は,其 のAaginase作
用 は調 製 直後 に於 け る
該 肝 粥 浮 游 液 の それ と殆 ん ど等 し きか或 は梢 々低 下 せ る値 を得 た り・ 師 ち上 記 の成 績 よ りPH
5・0に 於 て肝 粥 を 自 家融 解 せ しむ る と きは其 の含 有 せ らる 瓦Arginase酵
t135)
素 は 全 く其 の作 用 を
化
學
研
究
所
講
演
集
第
拾
輯
消 失 す る も の と 認 む.
(二)PH
し,前
1・0に 於 け る 試 験(第2表)・PH
述PH
調 節 液 を 用 ひ て 家 兎 肝 粥 浮 游 液 を調 製
5・0に 於 け る 試 験 と 同 様 の 検 査 を 行 ふ ・ 調 製 直 後 に 於 け る 添 加Arginin分
依 る 滑 費 酸 量 は,上
清 液36・80ccm,沈
せ し場 合 は 上 清 液43・10ccm,沈
す.次
7.0の
に37。C,24時
13.60ccmに
渣 浮 游 液15・00
渣 浮 游 液25.80
ccmな
ccmな
り・ 亦 硫 酸Manganに
て賦活
り.帥
ち 著 明 な るArginase作
用 を呈
間 放 置 し た る肝 粥 浮 游 液 に 就 き て 観 る に 上 清 液24.30
し て 賦 活 せ し場 合 は 上 清 液25.20
ccm,沈
渣 浮 游 液17.20
ccm,沈
ccmな
は 其 の 含 有 ぜ ら る 曳Arginase酵
(三)PH
7.6に
7.6の 調 節 液 を 用 ひ て 家 兎 肝 粥Suspensionを
渣 浮 游 液18.40
渣 浮 游 液30・40
該 肝 粥 浮 游 液 を37。C,24時
沈 渣 浮 游 液H.'Occmな
溝 液 は14・10ccmな
用 は調 製 直
7・0に 於 て 肝 粥 を 自 家 融 解 せ し む る と き
調 製 し上 述 の 二 例 と 同 様 の 検 査 を 行 ふ ・ 調 製 直 後 に 於 て は 其 の 添 加Arginin分
液49・50ccm,沈
ccmな
ccmな
解 に依 る漕 費 酸
り・ 硫 酸Manganに
依 り賦 活 せ し場 合 は 上 清
り・ 帥 ち著 明 にArginase作
用 を 誰 明 し得 た り・ 次 に
悶 保 置 せ し も の に 就 きArginase作
り・ 硫 酸Manganに
用 を 観 た る に 上 清 液28のO
て 賦 活 せ し場 合 は,上
り.自 口ち 調 製 直 後 よ りは 明 に 減 弱 せ り.一
せ し む る と き は そ の 含 有 せ ら る エArginase酵
清 液32.70
ccm,沈
7.6に 於 て 肝 粥 を 自 家 融 解
5・0の 場 合 な り・ こ の 場 合 はArginase作
用 全 く陰 性 と な る 故 に 該 酵 素 は 完 全 に 破 壊 を 受 く る も の と 考 へ ら る.Edlbacher並
びPin6sch(1937)4はArginaseにTrypsinを
用 の 消 失 す る事 を認 め, Arginase分
蛋 白 性 のKolloider
化 せ ら れ,惣
Tr臠erよ
ζArginase分
り成 立 し,こ
PH
7.0或
分 解 し菰 にArginase分
は7.6に
於 てArginase作
に 微 弱 な る も の に て,か
の 蛋 白 性Kolloider
のArginase作
作 用 に 依 り破 壌 を 受 く る もの と 考 へ ら る.帥
10ider Tr臠erを
子 はManganが
にZeller
作 用 せ しむ る 時,
關 與 せ るW三rkungsgrupPeと
Tr臠erがTrypsinの
子 の 破 壌 が 起 る も の な ら ん と提 唱 せ り.前
粥 の 自 家 融 解 を 起 さ し め た る 際,そ
渣浮
素 は 其 の 作 用 を減 弱 す る も の と 認 む ・
以 上 の 成 績 を 通 覧 す る に 最 も顯 著 な る 憂 化 はPH
Arginase作
ccm,
方封 照 と して 氷 室 に 放 置 せ る も
の に 就 き て 該 作 用 を 観 る に 略 々 調 製 直 後 の 成 績 に 等 しV・.邑pちPH
(193/}3」 次 で 叉Edlbacher及
ち調 製 直
素 は其 の作 用 を減 弱 せ らる 玉もの と認 む ・
於 け る 試 験(第3表)・PH
量 は 上 清 液39.80ccm,沈
渣浮 游液
り.郎
後 に 比 し減 弱 ぜ り・ 封 照 と し て 氷 室 に 貯 へ た る 肝 粥 浮 游 液 に 就 き て のArginase作
後 に 於 け る そ れ と殆 ど 等 し き成 績 を 示 ぜ り・ 即 ちPH
解 に
述 のPH
爲 に消
5・0に 於 て 肝
用 の 消 失 は 該 酵 素 がKathepsin性
ち 肝KathepsinがEdlbacherの
自家 融 解
所 謂 蛋 白 性Ko1-
子 の 破 壌 が 起 る もの と 詮 明 せ ら る ・
用 の 減 弱 を 観 る と は 云 へ, PH
5・0の 場 合 に 比 す れ ば 遙
瓦る 減 弱 を 生 す べ き要 因 は 弱 滴 反 慮 に 於 け る 上 述Kathepsinの
(136)
低下
海
佳
:肝Arginase作
用 に{關 す る 研 究(第
せ る 作 用 に 依 る も の な ら ん と も 想 像 せ ら る 瓦 も,弱
ylase等
の 作 用 も顯 著 な る 故 に,其
上 述 の 観 察 成 績 に 依h,著
二 報)
滴 反 憲 に 於 て はPeptonase,
Peptidase,
の 何 れ に 起 因 す る か は 断 言 す べ か ら ざ る 所 と な す.
者 の 獲 表 せ る 燐 中 毒 の 場 合 に 於 け る 家 兎 肝Arginase作
用 の減 弱
を 來 す 理 由 に 就 き て 蕪 に 之 を 読 明 し得 る 一 新 知 見 を 得 た る も の に し て,尚Arg五nase酵
Edlbacher(1937)3;4;等
Ac-
の 提 唱 ぜ る,そ
の 蛋 白 性 知 見 に 就 き て も,之
素に關 し
に 一 致 せ る實験 結 果 を得
た る も の な り と 信 す.
實
験
健 康 な る 家 兎 を 其 の 後 頭 部 を 叩 き屠 殺 し て,直
る 瓦血 液 を 拭 ひ 去 り,之
倍 容 量 の 各 種PHの
(PH
部
に そ の 肝 を 捌 出 し吸 牧 紙 を 以 て 押 へ 其 の 含 ま
を 細 く磨 潰 し て 粥 状 と な す.薮
調 節 液,帥
ち(1)Citratpufferl
7.0),(3)Phosphatpufferlpsung(PH
7.6)を
に 得 た る 肝 粥 を 三 分 し ・ そ の 各kに10
sung(PH
5.0),(2)Phosphatpufferl
加 へ よ く混 和 し,三
sung
種 の 肝 粥 浮 游 液 を 造 る.
以 上 の操 作 は 可 及 的 迅 速 に且 冷 所 に於 て行 ふ ・
次 に 之 等 三 種 の 肝 粥 浮 游 液 の 各 々 に 就 き て 夫 々下 記 の 實 験 を 行 ふ ・
(A)上
記 の 如 く調 製 せ る 肝 粥 浮 游 液 三 分 し て次 の 如 き 塵 置 を 施 す ・
(1)Toluolを
重 暦 して37。Cの
(2)Toluolを
重 暦 し て 氷 室 に 貯 へ24時
(3)直
に(B)に
(B)
し,次
温 室 に 貯 へ24時
間 後,(B)に
に 残 留 沈 渣 に,分
示 す如 き操 作 を な す・
(C)Arginase作
韓,15分
聞)し
て,先
づ其 の上 清 液 を傾 倒 分 別
別 した る 上 清 液 と 等 量 の 水 を 加 へ て 浮 游 液 と な す ・ 蕪 に 得 た る 上 清 液
並 に 沈 渣 浮 游 液 を 酵 素 液 と な し,そ
Urease法
操 作 を な す・
示 す操 作 を な す・
こ の 肝 粥 浮 游 液 を 遠 心 分 離(2000廻
38。C,2時
間 後,(B)の
のArginase作
用 を測 定 検 査 す ・
用 検 査 は 本 試 験 と し て 女 に 示 す 如 き 試 験 液 に 就 き,反
間 保 置 分 解 せ し む ・ 當 該 分 解 試 験 液 中 の 添 加 総Argininよ
慮PH
9・0の 許 に
り分 解 獲 生 せ る尿 素 量 を
を 用 ひ・
て,0.02n一 硫 酸 中 に 蒸 溜 測 定 せ り・ 封 照 試 験 と し て は 基 質 を 含 有 せ ざ る 酵 素 液
調 節 液 を 同 一 條 件 下 に 庭 理 した る 場 合 の 尿 素 稜 生 量 を測 定 せ り・ 表 に は 本 試 験 値 よ り封 照 試 験
値 を 差 引 き た る,薮
にArginase作
た る と見 る 可 き0・02n一 硫 酸 のccm数
試
験
用 に 依 り獲 生 せ し尿 素 よ り獲 生 せ る 安 門 中 和 に 消 費 ぜ ら れ
を掲 ぐ・
液
5.O ccm
O.1Mol
Arginin盤
2.O ccm
酵
液
1.O ccm
水(非
素
酸 璽(中
和 使 用 す)
賦 活)
(137}
化
學
研
究
所
或 は0・005Mol硫
7・Occm
O・1 Mol
消
素
pH
費
酸
置
氷
3曾 加
酵
素
M・rイ
調
製
・・時 間
酸
氷
そ のArginase作
2)家
O.02n-SO盛H2)
渣 浮 游 液
加
量
(ccm
清
渣
浮
游
液
(・)1(・)
「一-43.42.7…00
…一 ㎜ 『15.0015.50
… :
25.2025.10
室i37.3035.(OI41.50140.10
pH'・6に
間)
残
(・)
3636SO30
25.3025.10
O.02n-SO2H4)
液
(一)
5・0,7・0或 は7・6に
1:89
於 け る 試 験(37。C,24時
上
・」
3938:;8
13.6013.50
25.8024.90
17.20118.00
13.0013.30i24.7022.80
於 け る 試 験(37。C,24時
総
兎 肝 をPH
調 節 液 す).
聞)
液1残
「温 室(37。C)124.3022.80
置
9.0に
.4038:1080_1--i.aoi.ao」30.3027.60_
0.500
8
iO.400
」
曾
1愚〔
一 … 養1-
第3表
1)家
(ccm
3.503.40
液
ホ
節(PH
量
輯
i,.)i(一)!(.、
pH'.0に
費
拾
活)
清
室
消
第
於 け る試 験(37。C,24時
ー
夏rl(.、
第2表
保
5.0に
製.直
後L_3:9050
灘(37°C)8
保
集
酸Mangan液(賦
液[上
M。,,オ
調
24糊
演
Glykokol1-NaCl-NaOH調
第1表
酵
講
間)
括
てToluo1暦
下 に 保 置,自
家 融 解(37。C)を
起 さ し め,
用 と の 關 係 を観 察 せ り ・
兎 肝Arginase作
用 は, pH
5・0に 於 け る 自 家 融 解(37。C)に
(138)'
際 し賦 活 叉 非 賦 活 い つ れ
海
住:肝Arginase作
用 に 關 す る 研 究(第
二 報)
の 場 合 も全 然 消 失 せ り ・
3)PH
7・0叉PH
7・6に 於 け る 自 家 融 解(37。C)に
際 し て は,家
兎 肝Arginase作
用 の量
的 に減 弱 す る を認 む る に過 ぎす ・
4)氷
室 に 各 試 験 調 製 液 を 貯 ふ る 時 は,其
す ・ 巳ロち 氷 室 内(24時
間)に
て はArginase作
5・0)に 塵 理 せ る場 合 に は,Arginase作
度(Aktivit舩)著
の 測 定 値 は 試 験 液 調 製 直 後 の 値 と殆 ど差 違 を認 め
用 は 殆 ど影 響 を 受 け す ・ 但 し弱 酸 性 反1(PH
用 の 全 賦 活 度(Vollaktivit舩)に
し く低 下 せ る は 甚 だ 注 意 す べ き成 績 な り ・Edlbacher及
等 も,盤 酸 酸 性 に 依 る 影 響 を 認 め 而 もMn"に
5)PH
5.0に
護 表)と
本 威 績 は,陳
併 せ 考 ふ る に,著
際,
Arginase作
氏(1939)2,燐
sch(1931)4
用 の 漕 失 す る は,恐
くKathepsin
中 毒 家 兎 肝 の 自 家 融 解 現 象 の 著 し く増 強
者 の 既 に 獲 表 せ る,燐
弱 の 理 由 知 見 と し て 甚 だ 興 味 あ る もの な り・ 樹Kathepsin性
作 用 の 清 失 は,Edlbacher等(1937)3'4)の
びPin
の 活性
依 り恢 復 す る を 報 告 せ り・
於 け る 自 家 融 解(37QC)の
作 用 に 依 る もの と信 ・
す
せ る 観 察(未
差 違 な き も,其
中 毒 家 兎 肝Arginase作
用 の減
自 家 融 解 現 象 と と も にArginase
提 唱 せ るArginase本
態 の 蛋 白 性 な り と云 ふ 報 告 と
一 致 せ る 成 績 知 見 な り.
本 研 究 は 服 部 報 公 會 の 研 究 援 助 を 受 け た る に 就 き藪 に 感 謝 の 意 を 表 す ・f苛恩 師 内 野 教
授 の 懇 切 な る 御 指 導 並 に 御 校 閲 の 螢 に樹 し衷 心 よ り謝 意 を 表 す ・
文
1)Kaiju,
M.,(1938),
2)Ch'駭,
T. T.,(1939),
3)
献
Iourn. of Biochem.,28,405
Tohoku
Journ exp. Med.,35,
Edlbacher.
S. und
Zeller, A.,(1937),
4=) Edlbacher,
S. und
Pin
sch, H.,
(139)
Zeits. f. PhysioL
(1937), ebenda,250>241
Chem.,245,65