解説記事(PDF,約1.5MB) - ニュートンプレス

Newton からのお知らせ
惑星が,星雲が,目の前にこんなに美しく見える !
最高の技術をほこる高橋製作所と Newton 共同企画の天体望遠鏡
Newton Star ★ SeekerⅡ
各月 50台限定の高性能望遠鏡
球状星団 M22
天文観測から本格的な天体写真の撮影まで,月のク
レーターから肉眼では見えない星々まで,使い方次
第でさまざまな楽しみ方ができる高性能望遠鏡を
Newton と高橋製作所が共同開発しました。
Newton Star ★ Seeker Ⅱで,果てしない宇宙観測の
すばる
感動をぜひ体験してください。
亜鈴星雲
Newton Star ★ Seeker Ⅱで撮影できる天体写真のイメージ。
望遠鏡の理想を追求した共同企画
一部の天体写真は,撮影した複数の写真を合成するなどの画像処理を施している。
・高精細な描像を生むために口径10センチを採用
月
・星を正確に自動追尾するために赤道儀を装備
・光度を下げずに色収差を補正するために蛍石レンズを採用
・倍率をワンタッチで切り替えられるようにターレットを標準装備
アクセサリーも豊富
見たい星を確実に指定できるパソコン制御装置,オートガイド装置,
拡大撮影用アダプター,太陽投影板,レデューサーなどの
アクセサリーをオプションで追加できる
木星
本格的な高級高機能の天体望遠鏡です。
ご購入の申込みをされる方へ
この Newton Star ★ Seeker Ⅱは完全受注生産のため,お届けま
で 6 か月程度要します。予めご了承ください。
定価 988,000 円(税込)
8 月号在中のハガキでの申し込み,またはお電話や HP でも受け
付け致します。
㈱ニュートンプレス 営業部
平日 9:00 ~ 17:00 ℡ 03-5352-6054 まで
http://www.newtonpress.co.jp
土星
お支払いについて 銀行振込にて生産請負金として 300,000 円を
指定口座にお支払いください。残金は,製品完成後,弊社から
製品をお届けしますので,製品受領後,前回と同じ指定口座に
お振り込みにてお支払いください。
なお,前払い一括お支払いの場合,定価より 1 万円の値引きと
させて頂きます。
お支払いの方法やお振り込み口座等は,お申込みされた方にお
知らせします。
146
Newton Star ★ Seeker Ⅱの完成予想 CG。
なお,一部のデザイン・仕様が変更になる可能性があります。
Newton Star ★ SeekerⅡ
フローライトレンズと光学レンズ
レンズが大きいほど,たくさんの光を集めること
ができるので,暗い天体を観測できる。
しかも,Newton Star ★ Seeker Ⅱでは,フローラ
けい せき
むらさき
イト(蛍石)のレンズ(水色)と光学レンズ( 紫 色)
を組み合わせることで,
色収差(150 ページで解説)
びょう ぞう
の少ない美しい描 像 が得られる。ただしレンズが
大きいほど,曲面を正確に加工するのがむずかし
くなる。
けん ま こん
とくにフローライトはやわらかいため,研 磨 痕 を
残さずに加工するには,高い技術が必要だ。
鏡筒部仕様
開発名 FC-100DN
対物レンズ 2 枚構成フローライト・アポクロマート
有効口径 100mm / 焦点距離 900mm / 口径比 1:9
分解能 1.16 秒 / 極限等級 11.8 等 / 集光力 204 倍
重量 約 5kg / 全長 970mm
駆動部仕様
開発名 EM-11T2M
形式 ドイツ式赤道儀架台(両軸モーター内蔵型)/ 極軸望遠鏡
視野照明内蔵 固定内蔵式(2030 年まで対応)/ 極軸調整部 方位角
可動範囲 ±7°
(ダブルスクリュー式)
,高度角可動範囲 20°〜 50°
(スクリュー式)/ 目盛環 赤経軸 10' 赤緯軸 2°/ 駆動機械部 ウォ
ームホイールギアー式 全周微動 / 駆動モーター ステッピングモー
ター(赤経赤緯軸ともに)/ 最高速 約 150 倍速(対恒星時)/ 駆動周
波数 約 100PPS / 質量 約 11kg / 搭載質量 約 8.5kg / 使用電源 定
格 DC 12V
球面収差図(左)/スポットダイアグラム(右)
球面収差図は,さまざまな波長の光の焦点の位置をあらわす。
スポットダイアグラムは,視野のさまざまな位置での光の集まり方
をあらわす。各色は,それぞれ光の波長をあらわす(青:436nm,
水色:486nm,黄緑色:546nm,黄色:588nm,赤:656nm)
。
0.0000/ 0.0000mm
0.0000 / 5.0000mm
0.0000/10.0000mm
鏡筒設計図
注:一部のデザイン・仕様が変更になる可能性があります。
この天体望遠鏡は,どこまで精細な星空を見せてくれるのか。天
体望遠鏡の性能は,夜空のかすかな光を取りこむ口径の大きさ,
光を一点に集めるレンズの性能,天体を正確に追尾する赤道儀の
性能と,それらを支える三脚の頑健さで決まる。 Newton Star ★ Seeker Ⅱの構造を見ていこう。
手順 1. 望遠鏡を設置する
さん きゃく
観測しやすい高さになるよう,三脚の高さ
を調整する。次に,極 軸 望遠鏡をのぞき,
北極星の位置をもとに,地球の自転軸(極
軸)と極軸望遠鏡の向きを一致させる。こ
の「極軸合わせ」を行うことで,赤道儀が
地球の自転運動に合わせて動くことができ
るようになる。
きょく じく
フード
横からの光をさえぎ
る役割がある。
付属品
ファインダー 7 倍 50mm / 接眼鏡 Abbe 6mm 150 倍(実視野 17'36")
Abbe 12.5mm 72 倍(実視野 36'40") Abbe 32mm 28 倍(実視野 1°33')
4 頭ターレット 31.7mm(天頂プリズム組みこみ)/ 三脚 伸縮メタル
三脚(ステンレス三脚)約 7kg / シールバッテリー 12.7V・7A 充電
器付き / 電源コード 2 メートル / 望遠鏡カバー Newton Star ★
Seeker Ⅱのロゴ入り ※ その他組み立て工具・取り扱い説明書
望遠鏡の内部を徹底図解
きょう とう
い
っ
ち
せき
鏡筒
レンズは,鏡 筒 に正確に取り付けられてはじ
はっき
めて,その性能を発揮できる。
光が一点に集まるよう,レンズの取り付け位
置は熟練の技術者の手で何度も微調整される。
また鏡筒は,どのような角度にしても自重で
しょう てん
ゆがんで焦 点 がずれたりしないよう,軽く強
いアルミニウムの合金でできている。
絞り環
なな
どう
ぎ
手順 2. 天体を視野におさめる
はん
び
斜 めから入ってくる,観測の邪
ま
魔 になる光(迷光)をさえぎる
輪の形の金属板。鏡筒の強度を
い じ
維持する役割ももつ。
ちょう せい
だい
せい
じゃ
い
まず,空の広い範 囲 を見ることができる低倍
率のファインダーをのぞき,望遠鏡の向きを
おおまかに決める。次に,接眼レンズをのぞ
きながら,付属のハンドコントローラーで鏡
筒の向きを微 調 整 し,天体を視野の中央にお
さめる(導入)
。独力ではるかかなたの天体を
とらえるのは,天体観測の醍醐味だ。
なお,別売のソフトウェアを用いて,パソ
コン制 御 で自動的にねらった天体を「自動導
入」することも可能である。
ご
み
ぎょ
ファインダー
望遠鏡の向きをおおま
かに決めるための低倍
率の望遠鏡。
赤道儀
地球の自転の動きに合わせて望遠鏡を自動的に動かす装置。
一つの天体を長時間観測したり,長いシャッタースピードで
さつ えい
撮影したりする際に必要になる。
上に乗るカメラなどのアクセサリの有無や,鏡筒の角度にか
せき どう ぎ
かわらず赤道儀が正確に動作するかどうかは,望遠鏡の性能
を決める重要な要素だ。
か だい
なお,望遠鏡の位置を設定する装置を「架台」といい,赤道
けい い だい
儀架台と,より簡便な「経緯台式架台」があるが,長い観測
や撮影には赤道儀が向いていることから,Newton Star ★
Seeker Ⅱでは赤道儀架台を採用している。
ドローチューブ
極軸望遠鏡
北極星をとらえ,赤道
儀の向きを地球の自転
軸(極軸)に合わせる
ための望遠鏡。
合焦ハンドル
望遠鏡をのぞく人の眼に,ピン
トが合った像を見せるには,そ
えい きょう
こう りょ
の人の遠視や近視の影 響 を考 慮
する必要がある。
ごう しょう
合 焦 ハンドルでドローチューブ
をのびちぢみさせてピントを調
整する。
接眼レンズとターレット
150 倍,72 倍,28 倍に拡大できる。
ターレットを回転させることで簡単
に倍率を切りかえられる。
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Newton Star ★ SeekerⅡ
理想の天体望遠鏡を,初心者でも容易に扱えることを実現する
ために Newton が高橋製作所と共同企画・製作しました
せん めい
本格的な天体写真を撮るには
別売のオプション品でカスタマイズ可能
み りょく
Newton Star ★ SeekerⅡの魅力は,さまざまなオプション品で多様
な観測・撮影ができる点にもある。以下にオプション品の一例をあ
げた。
たい きゅう せい
高橋製作所の天体望遠鏡は,非常に鮮明な描像や耐 久 性の高さなどの点で,世界中の天文愛好家の高い支
自動導入システム
持を集めている。ほかの望遠鏡とは,いったい何がちがうのだろうか。
一台一台が,ある意味“オーダーメイド”
愛好家に支持される最大の理由は,望遠鏡を組み立てる精度の高さにある。レンズや鏡筒,赤道儀内部の歯
一眼レフカメラ
車などの部品は,どんなに高い精度でつくったとしても,それぞれわずかに“個体差”がある。そのため,そ
れらをただ組み立てただけでは,わずかな個体差が影響し,像がゆがんだり,なめらかに動かなかったりする。
かんぺき
星雲・星団撮影用アクセサリー ・カメラ回転装置(TSA-102)
そこで高橋製作所では,すべての部品が完璧に調和して動作し,像が一点に集まるまで微調整を行うのだ。
・FC-35 レデューサー 0.66x
星雲など,星空の広い範囲にある暗 ・CA リング 102
い天体を撮影する際に用いる。直焦 ・カメラマウント DX-WR(Nikon
点撮影(下の項目参照)にくらべ視
用または Canon 用を選択)
野を広くし,合成口径比を小さくで
合計 117,600 円(税別)
きる。
注:別途カメラが必要
はくへん
たとえば,レンズを取りつける際は,スズの箔片をはさみこむなどして,レンズの位置をわずかにかえては
望遠鏡をのぞき,像を確認することをくりかえす。また,赤道儀は,一定の速度で動くよう,一つ一つの歯車
のかみ合わせをけずる。鏡筒は,なめらかに動き,固定すると微動だにせずきちんと止まるように調整される。
このような作業を一台一台に対して行う結果,高橋製作所の望遠鏡はそれぞれが最適に調整された,言わば“オ
ーダーメイド品”になる。完成品になるまでに,半年かかるのはこのためだ。
望遠鏡の性能は「たくさんの光をいかに正確に集めるか」で決まる
高橋製作所では,1970 年代にはじめて,レンズ加工がきわめてむずかしいフローライト(蛍石)のレンズ
を一般向けの望遠鏡に採用し,天文愛好家から大好評を博した。
高品質な望遠鏡には,なぜフローライトのレンズが必要なのだろうか。
くっせつりつ
一枚のレンズを使って光を集め,像をつくると,光の色(波長)によって屈折率(光の曲がり方)がわずか
にことなるために,光が一点に集まらず,色がにじんでしまう。この現象を「色収差」という。
鮮明な天体写真を撮影するには,移動する天体を追いかけ,長いシ
ャッタースピードで撮影する必要がある。Canon,Nikon などの一
眼レフカメラのレンズを外し,
「マウント」という別売の部品など
(合計 19,600 円・税別)を介して接眼部に取りつけると,本格的な
天体写真を撮影できる。赤い光をさえぎる「ローパスフィルター」
のない機種は,肉眼では見えにくい赤い星雲を撮影できる。
なお,一眼レフカメラがなくても,その時観測している天体を気
軽に記録したい場合には,接眼レンズにスマートフォンや一般的な
デジタルカメラを当てて撮影することもできる。
か い
がレンズに吸収されてしまい,目に届く光が少なくなってしまうからだ。明るい昼間に使うカメラならレンズ
20 日新月
が 10 枚あっても問題ないが,夜の暗い天体の観察には致命的だ。
2月
7 日木星衝 / 19 日新月 / 22 日金星と火星が大接近
星々のかすかな光で正確な像をつくるには,大きな口径でできるだけたくさんの光をとりこみ,その光を最
3月
20 日新月
小限の枚数のレンズで一点に集めなければならない。フローライトは,光の透過率が高く,色収差の少ないす
4月
4 日皆既月食 / 19 日新月
5月
18 日新月 /土星衝
6月
7 日金星東方最大離角 / 16 日新月
7月
12 日金星最大光度 / 16 日新月
8月
14 日新月
9月
1 日海王星衝 / 13 日新月 / 21 日金星最大光度
10 月
2 日アルデバラン食 / 12 日天王星衝 / 13 日新月 / 26 日金星
西方最大離角,金星と木星が大接近。火星も近い
とう か
ぐれた素材だ。そこで Newton Star ★ Seeker Ⅱは,フローライトと光学ガラスを組み合わせて,2 枚の大きな
レンズだけで色収差を最小限におさえている。
これは,小さなレンズをたくさん組み合わせるよりもはるかにむずかしい。単純な構造だからこそ,一つ一
つの部品や組み立てに高い精度が要求されるのだ。
観測から本格的な撮影までオールマイティに対応
しんどう
天体望遠鏡には,軽量で手軽な物もある。ただし,軽い三脚は振動しやすく,鏡筒に一眼レフカメラやオー
トガイド装置などのアクセサリを取りつけた場合にも不安定になりやすい。その点 Newton Star ★ Seeker Ⅱは,
三脚と赤道儀には十分な強度をもたせてあり,重量が大きいため,さまざまな周辺部品を追加してもその安定
はば
感はゆるがない。そのため観測から本格的な撮影まで幅広く対応できる。
生きた宇宙の姿をとらえる喜び
く し
た宇宙を目の当たりにする楽しさを,ぜひ味わってみてほしい。
150
11 月 12 日新月 / 26 日アルデバラン食
12 月 11 日新月
Newton Star ★ SeekerⅡは,完全受注生産のため,完成までに約 6
か月かかる。そのため,上では,2015 年の天文イベントをあげた。
赤字は観測におすすめの天文イベントである。
なお,観測の際には,星座早見盤を用意しておくと,目的の天体
を探しやすい。また,GPS 機能やコンパス機能のあるスマートフ
ォンに星図アプリをインストールしておくと,空にかざすだけで,
その日に見える天体を把握できる。
ば ん
満天の星空を見上げてねらいをさだめ,天体望遠鏡を駆使して肉眼では見えない天体の姿を探しだす。生き
Newton Star ★ Seeker Ⅱを 900mm ・CA35(50.8)
・カメラマウント DX-WR(Nikon
の望遠レンズとして用いることがで
用または Canon 用を選択)
きる。夜空に広がる星雲や星団を撮
影できるほか,日中,鳥や日中の風
合計 19,600 円(税別)
注:別途カメラが必要
景を撮影する際にも使用できる。
月・惑星撮影用アクセサリー
・カメラアダプター TCA-4
・カメラマウント DX-S(Nikon
月や惑星を拡大して撮影することが
用または Canon 用を選択)
できる。
合計 30,600 円(税別)
2015 年の天文カレンダー
1月
ち めいてき
直焦点撮影用アクセサリー
い っ ぱ ん
通常のカメラの場合は,色収差の少ない像をつくるために,ときに 10 枚以上の小さなレンズを内部に組み
こむ。しかし,天体望遠鏡の場合は,レンズの枚数をふやせない。なぜか。レンズの枚数が多いと,光の一部
・自動導入ソフト タカハシテ
レスコープトレーサー 2000※
天体を指定すると,望遠鏡が自動で
・
RS-232c
ケーブル
天体を望遠鏡の視野におさめてくれ
・USB シリアル変換ケーブル
る「自動導入」が可能になる専用ソ
フトウェア。ソフトウェアをインス
合計 25,600 円(税別)
トールしたパソコンと望遠鏡をつな
注:別途,Windows7 搭載の PC
が必要
いで使用する。
は
あ く
注:別途カメラが必要
太陽観察用アクセサリー
太陽を直接観測することは,失明の
危険があるので絶対に行ってはいけ
ない。太陽投影板は,望遠鏡でとら
えた太陽の像を映すスクリーンであ
・太陽投影板(15cm 投影)
る。太陽に望遠鏡を向け,接眼レン ・アクセサリーバンド(114mm)
ズからの光を太陽投影板に映して観
合計 18,400 円(税別)
察する。
オートガイド装置
Newton Star ★ Seeker Ⅱの赤道儀は,
非常に正確に天体を追いかけるが,
周期的にわずかなずれが生じる。オ
ートガイド装置は,より正確に天体
を追いかけるための装置である。望
遠鏡の像を分 析 し,目的の天体が正
確に中央にありつづけるように,赤
道儀の動きを微調整する。鮮明な天
体写真を撮影する際などに使われる。
鏡筒の上に取りつける。
ぶん せき
・オートガイダー α-SGR3
・オートガイダーケーブル M-A3
・ガイド鏡 GT-40
・C マウントスリーブ
・鏡筒バンド 114s-GT
合計 179,400 円(税別)
注:別途,Windows7 搭載の PC
が必要
※ このほかに,ステラナビゲーター Ver.10,The Sky Ver.6,
SUPER STAR Ⅳに対応している(すべて他社製品)。
a
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