特集 - 学校法人北里研究所

特集
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E
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S
【特集】進行する創立記念事業プロジェクト
いのち
ほくしん
校歌「生命の北辰」
、完成
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進行する創立記念事業プロジェクト
14
北里逍遥
創立記念事業フラッグ(白金キャンパス)
未来のトビラ - 1 ー医療と健康の明日を見つめてー
【産後うつ】
出産後の落とし穴、
「産後うつ」
最良の薬は夫婦のコミュニケーション
北里大学看護学部 准教授
新井陽子
16
未来のトビラ - 2 ー温故知新の研究現場からー
先人を識る—
その体験が、明日を拓くカギになる
北里柴三郎記念室 事務長
森 孝之
【 特集】 進行する創立記念事業プロジェクト
校 歌「生 命 の 北 辰 」
、完 成
いのち
ほ くし ん
18
これ我が学問なり
個と向きあい、社会を見つめ
想いはいつも「人々の中へ」
北里大学メディカルセンター 小児科医員 助教(研究員)
飯島真紀子
20
北里 DNA ー北里の遺伝子を継ぐ者たちー
新たな視野を拓いてくれたのは、
前人未到の道だった。
厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 母子保健課 課長 桑島昭文さん 22
23
キタサトピックス
柴三郎のキセキ
「世に報いる」信念が開かせた、
新たな私立研究所
特 別 鼎 談
未来へ歌い継ぐ、
不変の精神と絆
北里大学創立 周年を記念して制作が進められてきた
待望の校歌が、2012 年 月、ついに完成した。
その完成披露発表会の当日、
作曲・編曲を手がけた作曲家の千住明氏と、
作詞者である俳人の まどか氏、
北里大学校歌制作委員会委員長を務めた
北里英郎医療衛生学部長の3人が膝を合わせ、
特集
進行する創立記念事業プロジェクト
き受けしました。
風 格 の 漂 う 当 時 の 木 造 の 建 物 が とて も 印
し て い た の で 馴 染 み 深 い 大 学 な ん で す。
子どもの頃に毎日、通学のバスから目に
千住 こちらこそ、伝統ある大学の校歌
を作曲させていただき光栄です。北里は
北里 このたびは素晴らしい校歌の制作、
ありがとうございます。
わ た り 楽 し く おつ き 合 い さ せ てい た だい
くださったのが最 初。それ以来、公私に
るときに、台本執筆者として声をかけて
のは、千 住さんがオペラ「万葉 集」を作
千住さんとは 年以上前からの知り
合いです。本格的にお仕 事をご一緒した
女流俳人の第一人者である まどかさん
を作詞者としてご紹介いただいて。
北里は昔から馴染みある大学でした
象に残っていますね。
ています。
北 里 あ り が た い こ と に 千 住 さ ん に は、
私も白金キャンパスの近くに住んで
いたことがあるんですよ。
千住 以前、自分と同世代の人と新しい
仕事をしたいと思ったとき、まず目に留
ら ど う し よ う と ヒ ヤ ヒ ヤ し てい た ん で す
しようと決めたときは、正直、断られた
員 会 の 総 意 で 千 住 さ ん に 作 曲 の お 願い を
北里 お二人にそう言っていただけると
うれしいです。実は北里大学校歌制作委
誉なことだと思っています。
北里のような歴史ある大学は初めて。名
これ までに 何 度 か 校 歌の 作 詞 を し た
こ と が あ る の で す が、 多 く が 新 設 校 で、
千住さんは本当に懐が深い方で、い
つも 私 の 言 葉 を そ の ま ま 生 か し て 作 曲 し
るんですよ。
があります。作曲家が存分に腕を振るえ
ろで、言葉の間にメロディを入れる余地
そ こが 他 の 作 詞 家 や 小 説 家 と は 違 う と こ
ぬい て 余 計 な 部 分 を そ ぎ 落 と し て い く。
たから。彼女は俳人なので、言葉を選び
まったのが さんだったんです。その仕
事 ぶ り は 同 世 代 で ひ と き わ 輝 い てい ま し
よ(笑)
。
きあがってくるのは分かっていましたか
てくれます。今回の校歌も、良い曲がで
キャンパスを肌で感じてから
ら安心して作詞できました。
知っていましたし、北里に進学した友人
制作をスタート
えないんです。それに北里英郎先生は慶
應幼稚舎の先輩ですからね。喜んでお引
進行する創立記念事業プロジェクト
北里 お二人に校歌の制作を依頼すると
も何人かいるので、無関係の大学とは思
慶 應 義 塾 大 学の 医 学 部 を 創 設 し たこと も
千住 断るなんてとんでもない。私は幼
稚舎から慶應なので、北里柴三郎博士が
北里 そうでしたか。不思議なご縁を感
じますね。
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新しい校歌に寄せるそれぞれの思いを語り合った。
特集
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特集
難しい注文だったと思いますが、完成し
る も の に し て ほ し い と お 願 い し ま し た。
なおかつ幅広い人に末永く歌ってもらえ
ネルギーがみなぎっていましたよ。
がありますが、北里には将来に対するエ
千住 みんな生き生きとして明るかった
ですね。私もあちこちの学校に行く機会
きには、北里の精神がしっかりと伝わり、
た 校 歌 を 聞 い た ら 言 う こ と な しの 出 来 栄
同じ日に訪ねた白金キャンパスでは、
北里柴三郎記念室など興味深い施設を
イメージがすごく膨らみました。
大 学 の 雰 囲 気 や 歴 史 を 肌 で 感 じ る こ とで
ス を 案 内 し て い た だ け た の が 良 か っ た。
千住 ありがとうございます。やはり曲
を作る前に、白金と相模原の両キャンパ
れています。私たちが望んでいたことを、
北里 作っていただいた校歌には、学祖・
北里柴三郎の生涯や精神、大学の全体像
ることができましたね。
根 底 に 流 れ る 精 神 や 伝 統 に リ ア ルに 触 れ
えでしたね。
相模原キャンパスはちょうどオープ
ンキャンパスの日で、学 生さんたちが勉
余すところなく形にしていただけました。
末永く歌われる、
などが、壮大な曲調の中、見事に表現さ
じっくり 見せていただきました。北里の
強 の 内 容 や 学 生 生 活 を とて も 親 切 に 紹 介
ド を 持 って 役 割 を 果 た し て い る ん だ な、
校歌の王道を目指しました
してくれたんです。一人ひとりがプライ
と感心しました。とにかくどこへ行って
ができました。私は音楽鑑賞が趣味なの
なモノをもらっちゃいました(笑)
。
しいですね。
北里 実際に詞や曲の制作に取り掛かる
も大歓迎で、学生さんたちからいろいろ
ですが、聞けば聞くほど、歌えば歌うほ
そう、私も同じ考えです。科学技術
が進歩すれば必ずどこかでジャッジが求
ど味が出てきますね。
められると思うし、それを行 うのが、道
徳や倫理、宗教や哲学などの文化なので
北里 ところで、今回の校歌の制作にあ
たって千 住さんと さんには、北里大学
の学問分野や各学部についてもご紹介さ
と い う 意 味 で は、 日 本 の「 八 百 万 の 神 」
球上のあらゆる生命に価値を見出し尊ぶ
芸術も自然科学も、突き詰めれば同じ
せていただきましたが、こうした生命科
への思いにも通じる部分があるんですよ。
はないでしょうか。今回、歌詞 を作って
学 分 野 に 対 して お二人 は どん な 関 心 を お
ば常に最先端を行くイメージですが、地
いて気づいたのですが、生命 科 学といえ
持ちですか。
北里 なるほど。言われてみればそうで
すね。
千住 今、生命科学の最先端はすごいと
ころまで来ていますよね。ほとんど神の
「人間はどこまで踏み込んでいいのか」と
も、ぜひこうした生命への敬意や慈しむ
中にも息づいています。北里の学生さん
日本には、あまたの生命を敬う文化
が昔からあり、それは俳句という文芸の
いうこと。だから生命科学を学ぶ人には、
気持ちを養ってほしいですね。北里大学
領域のような。そうなると問われるのは、
技術や知識に加えて道徳心を養って、生
文学部俳句学科なんてどうですか(笑)
。
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置かれたのでしょう。
とき、お二人はどのようなことを念頭に
たからね。
かも生命を扱う尊厳も表現されていまし
なくて、ちゃんとストーリーがあり、し
進行する創立記念事業プロジェクト
やはり名門校らしい格調の高さは大
切にしました。同時に、すぐに意味は分
ありがとうございます。千住さんの
曲も素晴らしいですよね!
千住 私は校 歌には二つあると思ってい
るんです。新しい感覚を取り入れた軽快
からなくても、長く歌い続けたり、後で
気づく重層的な歌詞を目指しました。最
今回は「これぞ校歌」という王道に挑戦
な も の と、 伝 統 的 で 重 厚 感 あ る も の と。
思い出したりしたときに、新しい意味に
初の一行のイメージが浮かんだら、あと
そして歌の最後には、天球の中心にある
か も「 紺 青 」 は 北 里 の ス ク ー ル カ ラ ー。
を追求する。この発想は見事ですね。し
れている星を探すように、ひたすら真理
北里 「紺青尽くす天穹にひとつの星を探
すごと」という出だしですね。青空に隠
てくる」ものが必ずあります。今回は時
すが、不思議なもので「出さないけど出
味、自分の色を出さないことでもありま
ドックスなものなんです。それはある意
くならない校歌というのは、結局オーソ
し、作 曲してきましたが、いつまでも 古
北里 本当に、末永く歌い継ぎたい校歌
しました。今までいろいろな校歌を研究
北極星、
「北辰」がきらりと姿を現す。ま
代 を 超 え て ぶ れ ない 校 歌 が 自 分 な り に 作
てんきゅう
さに重層的でドラマチックな歌詞です。
れたと思いますね。
こんじょう
は気持ちよく作詞できましたね。
千住 最初に歌詞を見たときは感動しま
したよ。 ただ校風や精神を並べたのでは
込んだ後、一人ひとりが自分の道や存 在
最初に基礎があり、それをしっかり叩き
千住 両方を学んで感じるのは、結局突
き 詰 め れ ば 全 く 同 じ と い う こ と で す ね。
気づくことはありますか。
したが、芸術と自然科学の世界を比べて
る 前 は 慶 應 義 塾 大 学 の工 学 部 で 学 ば れ ま
北里 ご提案ありがとうございます(笑)
。
そ うい え ば 千 住 さ ん は 東 京 藝 術 大 学 に 入
北里 お二人に作っていただいた校歌は、
卒 業 後もさまざまな場で歌われ、北里の
ています。
りを応援する力になったらいいなと願っ
にあります。この歌が大学の魂をのせて
いるときが一番 安 全ですが、目的は航海
ば、完成披露発表会は進水式。船は港に
いただけたらうれしいですね。船でいえ
お忙しいところありがとうございました。
絆を深めていくに違いありません。本日は
皆 さんと一緒に世 界へ旅 立ち、一人ひと
のは学生さんの役 割。心を込めて歌って
の意味を追求していく。何も変わらない
精 神 を思い出させるとともに、母 校 愛や
進行する創立記念事業プロジェクト
千 住 さ ん も 私 も 全 身 全 霊 を 込 めて 作
りましたけど、校歌に本当の魂を入れる
うに手渡せたらと思います。
文化を、校歌と共に次世代へバトンのよ
粋が込められています。こうした優れた
入っていますし、詞の中には日本文学の
の 曲の 中 には 西 洋 音 楽の 数 百 年の 基 礎 が
育ってくれよ、という 気 持ちですね。こ
校歌をお渡ししますので、後はしっかり
千住 音楽は人に聞かれ、歌われて初め
て命を持つものです。もうすぐ皆さんに
んなお気持ちなのでしょう。
るのか本当に楽しみですが、お二人はど
学 生 が ど ん な 演 奏 と 歌 声 を 聴 か せて く れ
北里 さて、本 日はこの後、いよいよ校
歌の完成披露発表会があります。北里の
校歌に魂を入れてほしい
心を込めて歌い、
んです、音楽も文学もサイエンスも。
大学客員教授。
(2012 年 12 月現在)URL:http://madoka575.co.jp
京藝術大学作曲科卒業。同大学院を首席で修了。代表作に羽田空港
命を扱うのにふさわしい人間になってほ
特集
句集『てっぺんの星』
(本阿弥書店)
、
随筆『引き算の美学』
(毎日新聞社)
、
キャスター。
(2012年12月現 在 )URL: http://www.akirasenju.com
ウイルス)
。高校・大学時代は Wagner Society Orchestraに所属(クラリネット)
。
編著『まんかいのさくらがみれてうれしいな』
(バジリコ)など。京都橘
賞歴多数。東京音楽大学客員教授。2011年4月よりNHK
「日曜美術館」
究科教授、12 年より医療衛生学部長。専門分野はウイルス学(ヒトパピローマ
の作詞(共に、作曲:千住明)など、俳句に限らず幅広く活躍。近刊に、
楽も担当。作曲家・編曲家・音楽プロデューサーとして幅広く活躍。受
学院医療系研究科講師に着任。2004 年より医療衛生学部・大学院医療系研
の台本執筆、福島県を世界に発信する歌「そして、春~福島から世界へ」
師 FA」
「マジック・ツリーハウス」
、TV「アイアンシェフ」など多数の音
学。帰国後、聖マリアンナ医科大学講師を経て、1998 年北里大学医学部・大
としてパリを拠点に活動。オペラ「万葉集(明日香風編・二上挽歌編)
」
もん」
「砂の器」
「風林火山」
「GOLD」
、映画「愛を乞うひと」
「黄泉がえ
科修士課程修了。慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博
句で第 40 回角川俳句賞奨励賞受賞。2002 年、
『京都の恋』で第 2 回
り」
「風が強く吹いている」
、アニメ「機動戦士Vガンダム」
「鋼の錬金術
士。慶應義塾大学医学部助手を経て、フランス・ドイツ・チェコに各 3 年間留
山本健吉文学賞受賞。10 年 4 月~ 11 年 3 月、文化庁「文化交流使」
環境音楽「四季」やオペラ「隅田川」
「万葉集」など。ドラマ「ほんま
きたさと・ひでろう/慶應義塾大学工学部卒業。北里大学大学院衛生学研究
まゆずみ・まどか/ 1962 年神奈川県生まれ。94 年、
「B面の夏」50
せんじゅ・あきら/ 1960年東京生まれ。慶應義塾大学工学部を経て東
北 里 英 郎
まど か
千 住
北里大学校歌制作委員会委員長
俳 人
明
作 曲 家
の
ち
ほ く し ん
団は、学内だけでなく学外のメンバーが
文化会所属の交響楽団と合唱団。交響楽
演奏と歌唱を担当したのは、この日に
備 えて 練 習 を 重 ねて き た 北 里 大 学 北 里 会
演にふさわしい舞台が整えられた。
百人分の座席が用意され、記念すべき初
ナ。華やかな飾りで彩られた館内には数
行われた。会場は総合体育館 2階アリー
校歌「生命の北辰」の初演セレモニーが
した」
(医学部2年/浅野真莉 フルート)
張しましたが、それ以上にワクワクしま
「この曲は最初のイントロのフレーズが
好きです。中心的なパートを吹くので緊
ルを行った。
交響楽団員、合唱団員と入念なリハーサ
当 日、 本 番 の3時 間 前 か ら 会 場 に 入 り、
を代表する作曲家の一人である千住明氏。
この完 成 披 露 発 表 会で演 奏の指 揮 を
執ったのは、作曲・編曲を手がけた日本
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特集
キャンパスに初めて響く壮大な調べ。
い
校歌「生命の北辰」完成披露発表会を開催。
ほくしん
2012年 月2日、相模原キャンパスの総合体育館において、
いのち
北里大学の初めての校歌「生命の北辰」の完成披露発表会が開催された。
多くの聴衆を前に、北里大学の交響楽団と合唱団の学生が、
名を超える団体で、年に
「最初に歌詞を見たときは難しいな、と
感じたのですが、込められた意味を理解
披露している。
リスマスにもキャンパスで美しい歌 声 を
期演奏会や各種の式典をはじめ、毎年ク
仰ぎ精力的に練習。交響楽団と同様、定
作曲家、千住明氏の指揮のもと、堂々と演奏を披露した。
記念すべき初演は学生の手で
北里大学相 模原キャンパスの一大イベ
ント「北里祭」を翌日に控えた晩秋の日、
一度の定期演奏会のほか入学式などの式
したら良さがわかりました。それが伝わ
周 年 を 記 念 して 作 ら れ た
典、病院での演奏など多彩な活動を展開
るように歌えたらいいですね」
北里大 学 創 立
している。一方の合唱団は少人数ながら
(理学部2年/鈴木翔太 合唱)
参 加 する総 勢
も、毎月プロの音楽家の本格的な指導を
特集
進行する創立記念事業プロジェクト
と来場。作詞を手がけた俳人の まどか
氏も列席した。
ほくしん
北里大学校歌
いのち
生命の北辰
(団友・大学2年/中村和博 バイオリン)
聴かせられるようがんばりたい」
「伝統ある大学の歴史に名を残せて光栄
です。これからも生き生きとした演奏を
ととなった。
集まった人々の胸により深く刻まれるこ
計 ら い に よ り、 格 調 高 い 旋 律 と 歌 詞 は、
に、も う一度、演 奏 を 繰 り 返した。この
なや千住氏は、聴衆の期待に応えるよう
およそ 5分間の演奏が終わって湧き起
こる大きな拍手。その音が鳴り止むやい
絆が生まれた瞬間であった。
北里に集 う 者の心を一つに結ぶ、新しい
鳴り響いた。初めて耳にする母校の校歌。
せ、
「生命の北辰」の壮麗な調べが会場に
演奏がスタート。千住氏のタクトに合わ
岡 安 勲 学 長 と北 里 大 学 校 歌 制 作 委 員 会
の北里英郎委員長、そして千住氏と 氏
の挨拶が終わり、一同の期待が高まる中、
てんきゅう
作詞 まどか
作曲 千住 明
こんじょう
紺 青 尽くす天穹に ひとつの星を探すごと
しろかね
も と
白金の地にひたすらに 学祖が追求めし医の真理
あんねい
安寧の世を築くため
いかずち
雷 のごと 貫いて
ひら
拓きし道を 歩む我らぞ
や
この学び舎に励みしを 風雪に堪えいつの日か
いただ
えいち
月桂冠を戴きて 未来につないでゆく叡智
ぜってん
その絶巓を極めんと
まきば
切磋琢磨の 実学を
世に捧げるを 報恩とせり
あかつき
暁 告げる産声は 牧場を渡る風に乗り
は
白波立つるわだつみの 底にひしめく 命美し
雨に照る日に 虹かけて
あめつち す
天 地統べて 揺るぎなし
ああ北里は く北辰
いのち
ニーは無 事に終 了した。また、この日の
演奏の後、千住氏から岡安学長の手に
「生命の北辰」のスコアが渡され、セレモ
いのち
朝な夕なに とこしえに
あまたの星を従えて
「歌詞が表す状況を思い浮かべながら歌
いました。北里の全体を表しているこの歌
多くの聴衆に祝福されて校歌が誕生
演奏の模様はインターネットで学外に同
ああ北里は 生命の北辰 生命の北辰
を、これからも大事にしていきたいですね」
リハーサルが終わりいよいよ本 番。日
が暮れ始めた体育館に、北里祭の準備を
時中継されるとともに、学生の初演とし
(医療衛生学部2年/米山実緒 合唱)
終えた学生をはじめ、卒業生、学生の父
てCDにも収録された。
(医療衛生学部1年/笹尾優平)
じさせてくれます」
(看護学部1年/ 原柚子)
「雄大な曲調は北里の未来の可能性を感
目指すという歌詞に共感しました」
「北極星のように中心でぶれないものを
(医療衛生学部2年/小林早紀)
同士や卒業生とのつながりも深まるはず」
「これまで以上に愛校心が生まれ、学生
(看護学部1年/伊藤由莉)
「千住先生、
先生という偉大な方が作っ
た校歌を歌えるのを誇りに思います」
(海洋生命科学部2年/加藤好美)
えが表現されていて感動!」
「歌詞の中に北里柴三郎先生の生涯や教
(看護学部1年/長谷川葵)
れる素敵な校歌でした」
「荘厳さと親しみやすさの両方が感じら
母 や 教 職 員 な ど 数 百 人の 聴 衆 が ぞ く ぞ く
進行する創立記念事業プロジェクト
演 奏 を聴 いた 学 生の声
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60
2014年に北里研究所創立100 周年を迎えるのを機に、
学校法人北里研究所では創立記念事業
大いなる歴史を未来の開拓につなげていくための多彩な行事や取り組みを展開している。
月
日の
特集
公開初日の 月 日には、北里研
究 所の 藤 井 清 孝 理 事 長 ほか 多 くの関
日~
北 里 大 学 が キャンパスと 附 属 病
院 を 置 き、 深 い 縁 の あ る 神 奈 川 県
月
係 者 列 席のもと盛大なオープニング
特別記念展「北里柴三郎 ―伝染病の征圧は私の使命―」
地域の人々に学祖の偉業を紹介
北里研究所創立100周年・
北里大学創立50周年記念事業
相 模 原 市 の 市 立 博 物 館 に お い て、
2012 年
周年特別記念展「北
期間、北里研究所創立 100 周年・
北里大学 創 立
里 柴 三 郎 ― 伝 染 病の 征 圧 は 私の 使 命
―」が開 催された。これは北里研 究
所 と 相 模 原 市 教 育 委 員 会の 共 催 に よ
るもので、日本の近代 医 学の父であ
る北 里 柴 三郎の生 涯 や 業 績 を 広 く 紹
介するために企画された。
展覧会場には、柴三郎直筆の手紙
や論 文の原 稿、愛用の顕微 鏡、実験
器具などさまざまな遺品のほか、そ
の業 績や歩みを解 説するパネル、写
真なども展示された。
セ レ モ ニ ー を 実 施。 内 覧 会 終 了 後、
一般観覧の開始となった。
また、本 特 別 記 念展の関 連イベン
トとして、 月 日には北里研 究 所
北 里 柴 三 郎 記 念 室の 森 孝 之 事 務 長 に
よる記念講演会「伝染病との戦い ―
月2
病原 体の正体を暴け ―」を、同 博 物
館 大 会 議 室にて開 催。さらに
日 に は 北 里大 学 薬 学 部 微 生物 研 究 会
所属の学 生の監 修で、実 験 教 室「 顕
微 鏡 による 微 生 物の 観 察 」 を 子 ど も
向 け と 大 人 向 けの2コースを 設 けて
実施。生命の不思議に触れる感動を、
多くの参加者が体験した。
特集
実験教室では子どもたちが乳酸菌を観察
進行する創立記念事業プロジェクト
著名パネリストが北里を語り合う
記念シンポジウム「近代医学の父―北里柴三郎」
―北里柴三郎」
。当日は、近代医学の
催 された。テーマは「 近 代 医 学 の 父
業の一環として記念シンポジウムが開
ホールをメイン会 場に、創 立記 念 事
2012 年 月 日、北里大学 白
金キャンパスの薬学部コンベンション
授 の 岡 本 拓 司 氏、 琉 球 大 学 大 学 院 医
東京大学大学院総合文化研究科准教
総 合 討 論 で は、 こ の2名 に 加 え て、
埋 め た 聴 衆 の 好 評 を 博 し た。 ま た、
た洞察に富んだ講演を行い、会場を
専齋~衛生立国をめぐって」と題し
氏 は「 北 里 柴 三 郎・後 藤 新 平・長 与
発 展 に 生 涯 を 捧 げ た北 里 研 究 所の 創
学研究科教授の田中勇悦氏、作家の
リ ス ト を 務 め、 北 里 大 学 名 誉 教 授 の
立者・北里柴三郎の業 績を振り返る
が行われた。
スカッションを展開。北里研究所と
山 崎 光 夫 氏、 そ し て 北 里 研 究 所 北 里
基調講演では、J T生命誌研究館
長を務める中村桂子氏とノンフィク
北里大学のさらなる飛躍と発展につ
とともに、日本の医学や生命 科 学の
ション作家の佐野眞一氏が登壇。中
ながる、多くの有意義な発言が交わ
新 村 拓 氏 の 司 会 の も と、 活 発 な デ ィ
村 氏 は「『 微 生 物 の 狩 人 』 か ら『 遺
された。
相 模 原 キ ャ ン パ ス で は 現 在、
2014 年 春 の 開 院 に 向 け て「 北
や省エネルギーに配慮した数々の
高効率熱源システムなど地球環境
代の病院が目指すのは、医療を取り
数1033 床 を 擁 す る、 こ の 新 世
利用空調」の導入も大きな注目を
冷暖房に生かす「地中熱エネルギー
ギーとして外気と地中の温度差を
自 動 制 御 照 明 や 節 電 型 の 医 療 機 器、
里大学新病院」の建設が進められて
巻くさまざまな環境の変化に対応
集めている。
進行する創立記念事業プロジェクト
「ゼロエナジー病室」をはじめ、
多彩なエコ技術を取り入れた
湯、 高 効 率 な LED 照 明 な ど
ている。太陽光発電や太陽熱給
う斬新なコンセプトも打ち出し
マート・エコホスピタル」とい
ロジーな医療環境を目指す「ス
さらに、この新病院では、こ
れからの時代に求められるエコ
す医療」を地域に提供していく。
者中心の医療」と「共に創り出
割を柔軟に進化させ、常に「患
医療ニーズに合わせて機能や役
体制を整えるとともに、新しい
セ ン タ ー な ど の 先 進 的 な 施 設・
医療センター、集学的がん治療
命救急センターや周産母子成育
で き る「 成 長 す る 病 院 」で あ る 。 救
い る。 地 上
提案を具現化。未利用の自然エネル
基調講演で生命科学の未来展望を語る中村桂子氏
階・ 地 下 1 階、 病 床
新病院プロジェクト進行中
次代を見すえた
「エコ医療環境」を実現
多様な視点で意見が交わされた総合討論
伝子の狩人』へ。そしてまた」、佐野
柴三郎記念室次長の森孝之氏がパネ
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未 来 を 展 望 す る基 調 講 演や 総 合 討 論
10
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50 プロジェクト 未来科学の創造~ Pioneer the Next ~」をスタート。
「Kitasato100
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会場は満席となり、サテライト会場も設けられた
着々と建設が進む北里大学新病院(2012年10月24日撮影)
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会場となった相模原市立博物館
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2012年に北里大学創立 50 周年、
展示品は日本の近代医学の歴史そのもの
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