建設労務安全 20・10 より 低所からの転落災害⑥ 斜面等 H20.12.20 本社安全管理室 高さの低い斜面や開口部、階段、段差などからの転落でも死傷することがある。高さ2m以上の高所 からの墜落・転落は皆が注目し、適切な防止措置が取られるが、低所からの転落災害は法規定から外れ、 被災者の不注意で片付けられることが多く見られる。 低所からの転落では安全帯は一般に機能せず、保護具として保安帽(飛来落下物・墜落時保護兼用) の正しい着用がある。また、作業に使用する履物は、作業に適したものを着用することが必要である。 ① 荷揚げ作業中、合図者が開口部から転落 被災者(鉄骨工49歳、経験14年)は、クレー ンで空調屋外機を吊上げてオペレーターに旋回 合図を送った。吊荷から離れようと後ろに下が ったところ、床開口部(高さ1.2m)から転落。 架台鉄骨に左脇腹を強打し、左脇腹肋骨骨折、 肺挫傷を負った。 原因 被災者の落ちた開口部には、手摺や覆い等の開 口部養生がされていなかった。高さが低いので 危険を軽視したと考えられる。手摺等がまにあ わない時は、ネット等で墜落防止措置を実施す る。 ② 擁壁に上り斜面の灌木除去中に足元が滑り、擁壁から転落 被災者(普通作業員66歳、経験5年)は、道路 の除雪作業に伴い、道路側面のコンクリート製擁 壁(高さ1.8m)に上がり、車両の通行に支障があ る灌木類の除去作業を行っていたところ、足元が 滑り、道路に転落。頭を強打し、脳挫傷で入院加 療4ヶ月後に死亡した。 原因 作業手順及び安全対策がなく、予定外の作業を単 独で行った。 被災者は、墜落時保護兼用の保安帽を着用してな かった。 ③ 斜面の草刈り作業中に転落し死亡 被災者(普通作業員61歳、経験1年)は、高さ 約80cmぐらいの斜面で測量の準備作業として、 草刈り作業を行っていた。被災者は、急斜面であ るにもかかわらず、高さが低かったため保護帽を 被らずに作業中、バランスを崩して仰向けに倒れ、 頭部を路面に強打し、脳挫傷で死亡した。 原因 被災者は、斜面の草を引き抜こうと力を入れ、 抜けた拍子に反動であお向けに倒れた。 経験の少ない高齢者の被災者に安全教育も行わず 作業に従事させたこと。 被災者が保護帽も被らず安易に行動したこと。 ④ 配管用ピットの開口部から落ちそうになる 被災者(電工30歳、経験4年)は、配管用ピット内(深さ1.75m) の電気工事を終え、床開口部(65cm角)から出て、木製の蓋を 閉じようとしていた。その時、他の作業員が通りかかったため、 避けようと蓋の上に乗ったところ、蓋が外れて足を踏外し墜落し そうになった。反射的に両腕を広げて踏ん張ったため、衝撃で右 肩を負傷した。 原因 開口部の周囲に囲い等がなかった。 木製の蓋の寸法が小さかった。 ⑤ 搬入用ステージから飛び降りて右足を骨折 被災者(塗装工45歳、経験18年)は、外壁塗装 工事の途中で、1階の資材搬入用ステージ(高 さ60cm)から昇降階段を使わずに道路に飛び 降りた際、縁石を踏んで右足をくじき骨折した。 原因 昇降階段を使用せず飛び降りた為 縁石とステージの間に微妙な隙間があるが ステージ上からでは見えない。ステージ周 囲に段差の表示等を行う。 保護帽の20のチェックポイント 今回の災害事例に保護帽の不適が ありました。左図は、保護帽メーカー のホームぺージにあったものです。 作業所においても左図等を参考に 保護帽の点検を安全大会等の機会に 実施してみてください。
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