尋常性乾癖の皮膚顕微鏡的研究 ただいま - 日本皮膚科学会雑誌 検索

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昭和38年2月20日
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尋常性乾癖の皮膚顕微鏡的研究
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泰 助*
山 崎
Capillary Microscopic
Taisuke
皮膚の微細構造を,皮膚顕微鏡を用いて,生体のまゝ
で観察しようとする試みぼLombard"
Miiller^,
10)
Gilje'
5),Davis6
study
of Psoriasis
Yamazaki
ところで,尋常性乾癖(以下乾癖と略すことがある)
(1912)に始まり,
9),その他多数の研究者
20)によって受けっがれ,皮膚科学領域ばかりでな
の病因については,従来から多くの研究が行われてきた
か,なお不明というほかはない.乾癖の病因探究の手掛
りとして古くから問題にされたのは,乾癖における次の
く,広く生理学や内科学の領域においても行われてき
ような特徴的な諸点である.即ち,(1)好発部位,
た,このような研究の進歩は,実験方法の改良に負う所
皮疹の性状,
(3)組織像,
(2)
C4)再発および(5)
が大である.従来は,普通の光学訟微鏡を改造した装置
Kabaer現象.筆者は皮膚顕微鏡を用い丈,乾癖皮疹の
を用いて生体観察を行い,所見を模写する程度であった
動的変化を直接に観察し,乾癖の病因解明に若干の寄与
が,最近では,光学機械の発達とDavisら6
を行おうと試みた.
9)によっ
て考案された装置の利用により,観察所見の写真撮影か
材料と方法,
j容易にできるようになり,更に映憲撮影の技術゛もとり
皮膚顕微鏡装置としては皮膚粘膜血管写真装置:Co-
入れられてきた.このように技術的に大いに進歩したこ
lumbia-FSC
の方面の研究は,現在,2つの方向に進みっつある.ひ
(富士工業製)に顕微鏡写真撮影装置(日本光
学製)を組合せたものを用いた,対物レンズはUltrapak
とっは皮膚病変そのものを直接に観察する方向で,病変
(Leiz製)
6.5×およびKalnew
(Shimadzu製)
3.5×,
ぐ部の動的変化を把握することを目的とする.他は爪廓の
4,6×,10×,18×,接眼レンズは5×,10×(Leiz
毛細血管像を観察する方向で,爪廓における毛細血管の
製)を用意した.しかし,高倍率では皮疹の全貌をと
変化を手掛りとして,全身の血管の状態を把握しようと
らえ難く,かっ焦点が浅くなるので,対物レンズとし
するものである.以上の2つの方向のうち,爪廓の毛細
て6.5χ,接眼レンズとして5×を常用した.使用カ
血管像に関する研究は内科領域でさかんに行われ,高血
メラはキャノソID.光源は観察用として,8Vのラ
圧症10)21)22)動脈硬化症1o)22)23),絆経症21)24)および各種
ジオ用パイpヽヅトランプを6個環状に並べたものを用
蜃脊髄疾患a5)Z6)にっいてのそのような研究はわか国にも
い,対物レンズを通して被検部位を垂直に照明するよう
亦なり多数ある21)25
31).皮膚科領域におけるこの方
にした.写真撮影のためにはフジスピードライト(スト
向の研究には山田32)徳永33J林33)351 島31)南36)な
ロボ発生装置)を用いた.フイルム:フジミニコピー,
ざの報告かある.もうひとっの,皮膚病変部を直接に観
フジカラーBIO,
擦する方向は,皮膚顕微鏡的研究のがんらいの目的であ
タクローム.対物レンズと被検部位との間の隙間には,
って,各種皮膚疾患の臨床的な鑑別診断に役立てようと
して行われてきた. 欧米においてはこの方向の研究3
‘13
18)20)37
R
100,
N50,サクラカラー,エク
Ultrapakの場合グリセリソを充たして油浸の如くし,
9)
42)はかなり多いが,わが国では,わずかに
Kalnewの場合はツェーデル油またはグリセリソを皮膚
に塗った.
嶺(小松"'),数種の皮膚疾患(中村ら“)),母斑(中島
材料は乾癖の皮疹が主な対象であるが,比較のために
Jy)および脱毛症(升水46))に関するそのような研究か
乾癖以外の若干の炎症性角化症および湿疹その他2,3
見られるだけである.
* 金沢大学医学部皮膚科学教室(主任 福代良一教授)
昭和37年10月8日受付
−89−
の皮膚疾患の皮疹を選び,また健康人皮膚の所見を全て
日本皮膚科学会畿誌第73巻第2を
90
健康人皮膚の皮膚顕微鏡所見
・の対照とした.材料の詳細はそれぞれの項目において述
べる.被検部位は原則として前腕屈側の皮疹または皮膚
Spalteholz">"> U身体各部の皮膚について,血管の,
とし,爪廓の皮膚も併せ観察した.前腕屈側に皮疹のない
分布と配列を詳しく調べ,表1のように区分した. 皮
場合は他の適当な部位を選んだ.被検者は実験開始前約
膚顕微鏡を用いると,そのような皮膚血管の分布,配列,
1時問できるだけ安静にさせた.観察は坐位で行い,被
がよく観察できる.たぶし,皮膚顕微鏡でよく見える範.
検部位を心臓とはゝ’同高になるように椅子の高さを調節
囲は表1の実線で囲まれた部分だけで,それより深部の
し,皮膚顕微鏡装置を配置したと同じ机の上に被検部位
kraftige Arteriolen およびtiefe
をおいた.被検部位である前腕の血液循環に多少とも影
えず,視野全体を淡紅色に染めているのかそれらであろ
響を及ぼすような衣服,時計バンド等はあらかじめ取り
うと推測されるだけである.
Venen
ははつきり見.
除いた.実験はできるだけ恒温下(ほぐO°C)に行うよう
表 1
にした.そのため盛夏時は実験を止め,冬期は室の暖房
Gerade
を加減した.実験に際して,爪廓以外の部位では,無処
Hautarterien
Arterielles Netzwerk
置のまゝで観察すると,角層の乱反射のため,毛細血管
Starke
(kraftige).
Arteriolen
der Haut
Verbindungs-Arteriolen
像がよく見えない.角層の乱反射防止には不揮発油,ツ
Zweige
ェーデル油,グリセリン等で皮膚を湿めらせる方法が従
der
Letzteren
Arterielles
轟
subpapillares
来から用いられている.次に,光源として従来は消費電
Netzwerk
Endarteriolen
力の大きい100W以上の電球が用いられ,かっ被検皮膚
Kapillaren
面に対して45度の角度から照明する方法が採られた.こ
Sammelvenea
の方法では被検部位を過熱する恐れが多分におった.最
近では,
Erster
Plexus
Ultrapak対物レンズが用いられ,対物レソズと
Zweiter
被検皮膚面との間にグリセリンまたはツェーデル油をみ
Kleinste
Gefasse
venSser
venftse
Plexus
VenSser
subpapillarer
Plexus
たして油浸の如くし,光来は垂直にレンズ軸を通過して
Verbindungsvenen
被検面に集光され,また光源も消費電力の少ないラジオ
Dritter
用パイロツトラソプが用いられているので,被検面を過
熱する恐れはほとんとかくたった.また,写真撮影にス
トロボライトが用いられるようになったので,被検面のI
動揺にっいてはほとんど心配の要がない,
Davis
&
法)を利用した.
strip method
Vierter
venSser Plexus
Gerade
Hautvenen
Venen
Lori-
材料と方法ご対象は健康な男6名,女12名,計18冬
ncz"は角層除去により毛細血管像の尖鋭度が増すこと
を見出し,角層除去法としてstrip
venSser Plexus
Verbindungsvenen tiefe
method"'
(角層剥離
はス=lツチテープの貼
で,年令は8才から50才まで.これらの人の前腕屈側
で,以前にも皮疹を生じたことがなく,現在も全く正常
と思われる部位を選び,スコッチテープによる角層剥離
布,剥離をくり返して徐々に角層を除去する方法で,角
層が完全に剥離されてマルピギー層上部が出てくると,
法を行い,約30分放置して反応性充血の消えるのを待っ
それはわずかに光沢を帯び,かっ湿って見える.筆者も
てから,観察した.単位面積(1mm2)内の毛細血管
この方法を応用したが,剥離面の大きさを大体1cm2程
の数の算出には,先ずある倍率で被検部を撮影し,つい
度とした.たゞし,角層剥離法を行うと,そこにかなり顕
で同じ倍率で対物ミクロタークーの目盛を写し,両者を
著な潮紅がおこるから,注意が要る.
Davis
& Lorincz"
は潮紅は数分で消極するといっているが,筆者の経験
では,それに10-・20分を要した.なお,
mating
machine
同一拡大で引伸して比較する方法によった.
成績ぐ図1∼8):乳頭下血管叢の所見として,淡ユ
skin
desqua-
(Davis&Lorincz6))というものかお
紅色の色調を背景に,乳頭下血管の分岐,吻合による・
網目状構造が見られる.この血管叢はある一定の,上下
に拡がった厚みを持つので,焦点をかえると種々の深さ
り,これを用いると角層と7ルピギー層の一部を剥離す
ることができ,より深い所の血管もよく見えるといわれ
るが,筆者はこり機械を利用する機会を持たなかった.
の網状構造が見られる.血管の太さも種々で,一般によ
り深部のものほど血管の太さか太いようであるか,深い一
所のも○ははつきり見えないので,計測による比較はで:
91
昭和38年2月20日
きなかった.血流ぱ乳頭下血管網では一般に見えないの
とんど見えず,個々の乳頭が同大の小円状をなして相接
で,動静脈の区別ぱつけ難かった.乳頭下血管網の最も
して見える.小円の辺縁部は中心部よりも明らかに色か
1浅い所から,各乳頭内へ毛細血管係蹄の分岐するのか見
黒い.個々の小円の中心には1個宛毛細血管係蹄が認め
られる.ここでは爪廓におけると異なり,係蹄の頂部の
られる.以上のようであった.
み見られるものが多いが,中には斜に見える係蹄も少数
小括および考按: (1)視野の色調:視野全体の淡
ある.係蹄の頂部は大体ヘアピンの頂部を見るようで,
紅色の色調は,顕微鏡下にはっきり見える乳頭内毛細血
屈曲や拡張は認められたいが,軽いねじれの見られる係
管や比較的浅い乳頭下血管網を除いた,より深部の細動
蹄がま・ゝ混在する.毛細血管係蹄の頂部で計測した係蹄
脈や細静脈内の血液の色調を反映する.従って,この色
の両脚問の幅は20∼50μであった.
調は皮膚顕微鏡で観察できない深部の小血管の状態を示
]mm2内の毛細血管係蹄数は,健康人18名について
していると考えられ,色調の変化はそういう小血管の動
44∼52個,平均47個であった(表2).性別による数の
きを知るためのひとっの目印になる.健康人の前腕屈側
差は認められなかった.年令は8才より50才にわたって
皮膚におけるこの色調は,用いられる光源によって多少
いるが,過半は20才台で,年令による係蹄数の差にっい
の差はあるか,筆者の使用した光源では,わずかに黄色
ては不明であった.
味を帯びた淡紅色を呈していた.皮膚色の濃い人ではこ
の色調か淡褐色調を示した.視野の色調はまた,種λの
浪2 健康人の前腕屈側皮膚における毛細血管
機械的,化学的刺戟によって容易に変化し,蒼紅色から
係蹄数および係蹄幅
強い紅色調にまで変わる.
1皿2内の
係蹄数
(2)毛細血管の形態:爪廓
番号
年令
性
係蹄幅(μ)
以外の皮膚では,乳頭内毛細血管はほとんど全て皮膚面
1
8
男
45
20―50
に垂直な走行をしているので,一般にその頂部しか見ら
2
24
男
47
20―50
れないか,中には斜に走っているように見えるのも少数
3
38
男
48
30―50
あり,また,顕微鏡軸をかたむけることにより,係蹄脚
4
28
男
48
20―50
をある程度見ること屯できる.このようにして見た所見
5
20
男
48
20―50
によると,前腕屈側皮膚の毛細血管係蹄は,爪廓のそれ
6
26
男
50
20―50
と同様,ヘアピン状を呈することがわかる.中には,僅
7
23
女
45
20―50
8
50
女
47
30―60
9
かなねじれを示す係蹄屯ある.血流は,爪廓の場合と異
なり倍率を変えても一般に認められない.この係蹄の両
20
女
49
10
19
女
44
20―50
20―40
U
35
52
20−50
12
24
45
20一50
13
30
女
女
女
48
20―50
^palteholz"'">の解剖学的所見と一致する.係蹄の個
14
21
女
48
20―50
部で計測した両脚間の幅は20∼60μで,この値は爪廓部
15
18
女
46
20−40
毛細血管について計測された諸家の値2)213
16
24
女
46
20―50
一致する.痙お,色の黒い人では,乳頭下血管網はほと
17
20
女
48
20―50
んど見えず,個々の乳頭が小円状を呈し,その中に乳頭
18
30
女
45
20−50
内毛細血管係蹄が1個宛入っている所見を示すことぱさ
47.2
20−50
きに述べた通りである.
平 均
脚が乳頭下血管網の一部から派生するのか観察できる.
乳頭下血管叢は複雑な分岐,吻合によって網目状構造を
なし,これかおる厚さをもって存在する.この所見は,
Davis
&
32)38)29)33)36)に
Lorincz"は,このよ
うな所見を「鳥の眼様外観」と表現している.(8)単
角層剥離法を行った直後と潮紅が去ったあととで所見
を比較すると.視野全体の色調や乳頭下血管の拡張.充
位面積(lmmつ内の毛細血管係蹄数:18名の健康人の前
腕屈側皮膚で得られた数は44から52まで,平均47であっ
血の程変にはかなりの差が認められたか,乳頭内毛細血
管の形態および1m
「内の係蹄数にはほとんど差はな
かった.
た.この数をWetzel
は44,
Lawler
&
&
Zotterman=°>は47,
Lumpkin"'は51と述べており,筆
皮膚色の濃い人では.それの淡い人にくらべて,いく
者の場合と大差はない.この数の算出方法として,
占か異なった所見か得られた.即ち,乳頭下血管網はほ
Wetzel
&
Nesterow'"
Zottennan=°>およびNesterow"'らは顕微
日本皮膚科学会嬌誌 第73巷 第2号
92
鏡下に観察しながら数えたが,
Lawler
&
が,この操作を余り強く行うとAuspitz現象が現れて
Lumpkin^^'
は写真法によった.写真法とは,人の皮膚を撮影したの
観察の妨げになるので,皮膚顕微鏡で観察しながら慎重
と・全く同じ条件で対物ミクロメーターを写し,両者を同
に剥離を行った.正常皮膚の角層はなかなか剥がれにく
大に引伸して比較し,写真の上で数を数えるのである.
く,スコッチテープの貼布・剥離の操作を50∼100回もゝ
筆者もこの方法を利用した.この方法は.ピントが全体
くり返す必要があったが,乾癖皮疹の鱗屑は比較的容易
によく合った写真を必要とするか,正確度では直接観察
に除去され,操作の回数は10回内外で充分であった.皮
下の数え方よりも優れている.単位面積内の毛細血管係
疹のほかに,皮疹をとりまく外見上正常の皮膚,同じぐ
蹄数は身体の部位によつ≒かなりの差かおり,手と前腕
で最も多く,頬で最も少ない(16∼19/mm2)といかれ
前腕屈側において皮疹から充分離れ,現在無疹で,既往1
る.なお,乳頭内毛細血管は,常にその全部か活動・充
にも皮疹を生じたことのない皮膚ならびに無疹の爪廓皮
盈しているわけでなく,中には一時的に閉塞して血流
膚にりいても観察を行った.
が途絶し,皮膚顕微鏡下に見えないものもあるといわれ
成績(図4∼8):陳旧な皮疹(図4∼7)ご第1に気
る.つまり,個々の毛細血管の血流には間獣性があると
いうのである(Krogh=≫',
Bordley
et al.">).
Clark
&
Clark"'√Lewis
Miiller"は単位面積内の毛細血管数
付くことは,毛細血管係蹄の大きさおよび分布・配列が
',
全体として一様で,規則正しく見え,かつその数の多い
ことである.次に,乳頭内毛細血管の拡張の顕著なこと
が,温浴の前後において,2倍から4倍屯変動すること
に気付く.個々の毛細血管について見ると,拡張はー様
を認めた.スコッチテープによる角層剥離法も亦この数
でなく,所々がやゝ不規則に膨れているような状態であ
に影響を及ぼすであろうことは想像できることで,事
る.この所見は,爪廓の毛細血管像で病的状態のひとつ
実,筆者の実験においても,角層剥離の前後における毛
としてしばしば認められる穎粒状血行に相当するもので
細血管数に差のあるらしい事は判った.しかし,角層剥
ぱないかと考えられるか,爪廓以外の皮膚では,毛細血
離前の観察では,角層における光の乱反射のため毛細血
管の血流がはつきり見えないので,果して穎粒状血行で
管係蹄かはつきり見えないので,数を出すことはしなか
あるのか,あるいは血栓形成を示すものであるか,わか
った.角層剥離直後と80分後とでは,視野全体の色調お
らない.更に,毛細血管係蹄の著しい延長と係蹄上半部
よび乳頭下血管の拡張・充血度にかなりの差が認められ
の強い屈曲・蛇行か顕著な変化として認められる.この
たか,乳頭内毛細血管の数にはほとんど差がなかった.
場合,前腕屈側では普通,毛細血管係蹄の頂部しか見え
更に,剥離後1時間日の数にも差はなかった.爪廓の皮
ず,かつ血流もはつきりしないので,動脈脚,静脈脚の
膚では,角層剥離法を行わなくても,そのヨいゝで毛細血
どちらか強く屈曲・拡張しているか,はつきりしない
管が良く見える.筆者の数えた爪廓での値は従来の報告
が,ただ,皮疹辺縁部で両脚かやり
の値£321)22)23)29)32)34)36)に一致した.試みに,爪廓で角層
流も少しは認められる処の所見によると,静脈脚の方に
剥離法を行つてみたか,操作の前後における係蹄数にほ
屈曲・拡張かより顕著のようであった.係蹄の下半部で
とんど差はなかった.
は,ほとんど屈曲は認められず,両脚の幅がむしろ狭く
乾癖皮疹の皮膚顕微鏡所見
なつているように見えた.屈曲した係蹄頂部の最大幅を
材料と方法,:尋,常性乾癖31例を対象とした.症例の内
両脚間の幅とすると,陳旧な皮疹では,その中央部で約
訳は男19例,女12例,年令は5∼68才であった.皮疹が.
170μ,皮疹の辺縁で約50μであった.乳頭下血管網は
全身各所にかなり広く分布しているものが23例あり,あ
全く見えず,視野全体がかなり濃い紅色調を呈した.
との8例では肘や膝などの好発部位の他は小部分にのみ
新鮮な皮疹(図8):毛細血管像の変化は陳旧な皮疹
皮疹が認められた,また,31例中に病変の拡大・進行の
におけるよりも一般に軽度であった.即ち,乳頭内毛細l
傾向あるものが17例,病勢が静止していると思われるも
血管の拡張も軽く,係蹄屈曲のうねりも大きく.単純な
のが14例あった.原則として前腕屈側を検杏部位とし,
蛇行状態が見られた.しかし,個々の毛細血管には,陳
そこに在る新旧,大小各種の皮疹を皮膚顕微鏡で観察し
旧な皮疹と同様,所々に膨らみか見られた.乳頭下血管
たが,前腕屈側に皮疹の認められなかった少数例におい
網が不鮮明ながら透見できた場合もあり,また皮疹の辺
ては,前腕伸側および手背の皮疹を調べた.観察に当
縁部でそれか見られる場合もあった.できたばかりと思
っては,予め皮疹の鱗屑を角層剥離法を用いて除去した
われるような粟粒大の丘疹で,頂点に白色鱗屑を附けた
昭和38年2月20日
93
表3 乾癖例における毛細血管係蹄数
症 例
年 今
性
皮疹の分布
皮疹の拡大
煩 向
lm2内の係蹄数
皮 疹
治癒後
無疹部
1 河 本
33
女
広
+
67
2 宇 枝
52
男
広
-
69
3 畑
51
男
広
-
79
49
53
4 高 島
42
男
広
+
74
54
49
5 田 島
52
女
広
-
50
6 山 田
22
女
広
-
70
7 丹 波
60
男
小
-
51
8 町
54
男
広
-
52
女
女
小
-
53
広
広
升
68
47
46
丑
66
55
49
75
9 重 山
7
50
●●●
●●●
・●●
●●・
46
48
・・・
●I●
47
●●●
49
●●●
10 羽 田
11 白 沢
23
12 官 前
62
女
広
13 森 田
35
男
広
+
+
14 高 田
56
女
50
49
男
小
小
-
15 山 本
-
51
16 谷 ロ
60
男
48
46
68
男
67
59
46
18 室 谷
66
男
-
70
55
49
19 倉 元
54
男
広
広
広
広
57
17 松 本
+
+
55
51
48
20 上 野
22
男
広
+
丑
45
45
46
21 尾 崎
22 長谷川
26
広
小
升
60
61
52
12
男
女
-
46
46
43
23 西 田
48
女
小
-
49
24 番
48
男
広
+
46
25 情 水
5
男
-
49
26 本 田
47
男
小
広
広
広
+
+
70
50
51
59
55
45
丑
+
+
61
50
47
55
55
43
-
51
65
男
27 河 野
54
男
28 舟 木
12
29、宮 木
14 ,
女
女
30 上 田
63
男
広
広
31 南
67
女
小・
平 均
64
63
59.4
●喀●
53
●l●
●骨●
●●●
47
●●●
●●●
●●●
47
49
羽
47,
47
46
49
●●●
●●●
51.3
47.4
皮疹にっいての観察でも,すでにその中心部の毛細血管
ついても係蹄数を算出したが,それらは43∼53の範囲内
に延長,拡張および軽い屈曲か認められた.この丘疹は
にあり,平均47であった.新鮮な皮疹でぱづ
数週間後に普通の乾鰐皮疹にまで発展した.新鮮な皮疹
が多く,無疹部の係蹄数との差が大きかったか,陳旧友
における毛細血管係蹄の両脚間の幅は中心部で約80μ,
皮疹では係蹄数はそれほど多くなく,無疹部との差は著
辺縁部で約40μであった.
しくなかった.
単位面積(lm
皮疹の境界部における毛細血管像(図7):皮疹が肉
「)内の毛細血管係蹄数: 各症例で
8∼6個の皮疹について係蹄数を算定し,それらの平均
眼的に境界鮮明であるのと同様に,皮膚顕微鏡的にも毛
値を出した(表8).症例全体として係蹄数は79∼45の範
細血管変化の境界は一般に鮮明であった.陳旧で静止状
囲内にあり,平均59であった.同時に各症例の無疹部に
態にあると思われる皮疹ではそれか特に明らかで,皮疹
94
日本皮膚科学会雑誌 第73巻 第2号
の最外側の異常毛細血管列の直ぐ隣りには,ほぼ正常の
の尖端の肥大,尖端の上方にある表皮層の非薄化,乳頭
ヘアピン状の毛細血管列か見られた.しかしながら,現
体の延長に見合う表皮突起の延長,乳頭および同下層の
われて間もない,小さい,まだ大きくなると思われるよ
血管拡張などを特徴とする57
うな皮疹では,辺縁における毛細血管像とその外側のそ
剥がせば,乳頭体上部の血管はよく見える筈であり,そ
れとの間にはっきりした区別がっきにくく,陳旧な皮疹
れらは延長・拡張・屈曲している筈であり,また乳頭下
6へ これらから,角層を
におけるよう次一線を書した如き所見は見られなかっ
層の血管網は見え次いで,ただ視野の紅色調が強い筈で
た.換言すると,肉眼的に皮疹の境界線の直ぐタト側の,
ある.
正常皮膚と思われる部位の毛細血管像にも,皮疹の中心
乾癖皮疹の毛細血管係蹄頂部の幅:これは著しく拡大
部におけるよりも変化は軽いが,毛細血管の拡張,屈
しており,筆者の計測では,陳旧な皮疹で170∼50μ,
曲・蛇行などの変化か見られたのである.
新鮮な皮疹で80・ヽ,4伽であった(正常皮膚のそれは50∼
無疹部の毛細血管像:これは前述の健康人対照のそれ
20μ).中村ら44)は皮疹の中心部では120μのものが多か
と全く同じであった.病勢発展期にあると思われる症例
ったと述べている.
でも然りで,皮疹に見られたような特徴的な変化は何も
乾癖皮疹の単位面積(1mm2)内の毛細血管係蹄数:
底かった.視野の色調および乳頭下血管網にも異常はな
筆者の測定では79∼45,平均59であった.これを正常人
かった.単位面積(1mm2)内の毛細血管係蹄数は平
皮膚および乾癖患者の無疹部皮膚の数(平均47)に比べ
均汀で,健康人の場合と一致した.なお,無疹の爪廓の
るとかなり顕著な増加といえる.なお,新鮮な小さな皮
毛細血管像にも異常はなかった.
疹では係蹄数の増加か顕著であり,陳旧な皮疹ではそれ
小括および考按: 以上の実験成績から,乾癖皮疹の
が著明でなかったことは前に述べた,陳旧な皮疹では,
毛細血管像の特徴をまとめると次のようになる.即ち.
焦点を少しずらして見ると,拡張・屈曲の著しい係蹄の
(1)毛細血管係蹄の大きさがほぶ一様で,配列か規則
間に,それまで見えなかった背丈のやゝ低い係蹄が現れ
正しいこと,
てくる.従って同一視野内には見えない係蹄もあること
(2)乳頭内毛細血管の拡張と係蹄の延長.
(3)毛細血管係蹄上半部の強い蛇行・屈曲,(4)単
に底乱これが陳│ロな皮疹における,いわば見かけの係
位面積内の毛細血管係蹄数の増加,
蹄数増加の著しくない理由であろう.
(5)乳頭下血管網
の見えにくいこと,および(6)視野の色調が濃い紅色
Davis & Lawler"
は,乾癖において期待されたほどの数の増加はなかつた
調を示すこと,以上である.ところで,尋常性乾癖の皮疹
と述べている.この他には,乾癖皮疹について毛細血管
が特徴的な皮膚顕微鏡所見を示すことは,
係蹄数を問題にした先人はない.乾癖皮疹における係蹄
Bettmann="
C1926)によって初めて指摘され,その後の研究3
38
7)
40)42)44)57)によって確められた.それらの所見はほぼ
数を実際に数え,その増加を証明したのは筆者か始めて
である.ほかに皮膚疾患で単位面積内の毛細血管係蹄数
一致しているから,次にGilje"の記述を代表としてあ
を数えたのに,
げる.乳頭下血管網は表皮肥厚のため見えない.乳頭内
デスの無疹部における記録かおるだけである.
毛細血管は等間隔をおいて規則正しく配列し,個々の毛
乾雁皮疹の周辺の毛細血管像: 筆者の観察では,陳
細血管係蹄はほ公同大のball
旧な皮疹の辺縁における毛細血管変化の有無の境界は鮮
appearanceを呈する.皮
Lawler &
Lumpkin・)のエリテフトー
疹の辺縁では毛細血管係蹄は皮疹の内側に向って斜めに
明で,それは肉眼的な境界に一致した.反之,生じたば
傾むいて見える.従って,皮疹中心部では見えない毛細
かりの拡大傾向のある新鮮な皮疹では,肉眼的に皮疹の
血管係蹄の両脚が皮疹辺縁部では観察できる.皮疹辺縁
境界は鮮明に見えても,血管変化の有無の境界は必ずし
では係蹄頂部のもっれはなく,係蹄の拡張と軽度の屈曲
も鮮明で次く,いくらかぼけて見える.即ち,皮疹の周
が見られるだけである.以上,係蹄頂部の屈曲・蛇行の
辺にもある程度の血管変化かおる.従って,逆に,皮疹
外観にっいては,
周辺の健常皮膚と思われる部位の毛細血管像に多少の異
ball appearance
のほか,S字状,環
状,電球のフィラメント状等の表現かおる.以上,乾癖
常があれば,その皮疹はまだ拡大傾向をもっているとい
皮疹の特徴的な皮膚顕微鏡所見にっいては,筆者の観察
えるのである.
は先人の見たところと全く一致するのである.
眼的に一種の量のように見える,白っぽい層を認め,こ
乾癖皮疹の皮膚顕微鏡所見と皮疹の組織像との比較:
れをPseudoatrophischer
乾鰐皮疹は組織学的に不仝角化,真皮乳頭体の延長とそ
その症例の14%にこれを見たと云い,藤波・堀63)の場合
Woronoff"'は,陳旧な皮疹の周辺に肉
Hof
と呼んだ.
Kislowa"! i,±
昭和38年2月20日
95
は,彙の頻度はそれほど多くなかった.
Bettmann">は
このHofの部分の毛細血管像が他の健常部のそれと異
乾癖以外の若干の皮膚疾患における毛細血管像
材料と方法=乾癖との比較の意味から,次の諸疾患を
恋ると述べている.筆者の場合.陳旧な皮疹のどの例に
材料にした.即ち貨幣状湿疹5例,アトピー性皮膚炎5
もこのようなHofも,毛細血管像の異常も認められな
例,毛孔性苔癖5例,扁平紅色苔癖2例,毛孔性紅色枇
かった.
糠疹5例および続発性紅皮症3例である.方法はすべて
乾癖患者の無疹部における毛細血管像および係蹄数:
筆者の場合,これら2つとも正常人と異なるところは
前項に準じた.
成績(図33∼87):(1)貨幣状湿疹.乳頭内毛細血
忿かった. しかし,乾癖ではときどきKObner現象が
管は強く拡張している.1mm2内の係蹄数は平均60で
見られる事実から.見かけ上無疹の皮膚にも,準備状態
あった.湿潤した病巣または痴皮剥離後に紅色湿潤面を
とも云うべき,何らかの変化が存在するのではながらう
示す皮疹では,毛細血管の拡張のみか顕著で.蛇行・屈
かとの考え方かおる.それで,色々な方面から無疹の皮
曲はほとんど認められず,太いヘアピン状の係蹄が密に
膚の異常をとらえようとする試みがなされた.それらの
存在する所見が得られた.乳頭下血管網は全く見えなか
結果を表4に紹介した.無疹部に右変化ありとする論者
った.皮疹の辺縁では比較的急な正常毛細血管像えの移
行か見られた.病巣が乾燥し,発赤も消徒した皮疹では
喪4 乾癖における無疹の皮膚の変化
についての諸説
上半部に強く,球状に見える.この時期にも乳頭下血管
変化なし
変化あり
Giljeetal.4)
(毛細血管像)
Davis & Lorincz"
( 〃 )
毛細血管の拡張が減り,屈曲か現れてくる.屈曲は係蹄
網は透見できなかった.無疹部の毛細血管像には全く異
Madden≪≪ (組織像)
常かなかった. ‘
Kortanyshev65)(//)
(2)アトピー性皮膚炎.乙の場合は,前腕屈側の肘
Telner&Fekete42)
(毛細血管像)
Lawler & Vineyard"' Huff u. Taylor"'
( // ), (脈波計の所見)
嵩に近い,苔癖化の強い部位を観察した.乳頭下血管網
は全く見えない場合もあり,少し見えた例もある.乳頭
内毛細血管の拡張は一般に軽度で,ただ不規則な屈曲か
Milberg"'(反応性充血)
見られた.屈曲の模様は係蹄全体として一様でなかっ
Gougerot69)(皮膚電流)
た.苔癖化局面の周辺に散在する.紅い丘疹の所見は上
Graham68)
(Psycosomatic)
と異なり,拡張し,かっ軽い屈曲を伴った毛細血管が散
在し,かっ血管拡張の程度の異ったものか混在していた.
の一人, Madden"'の根拠とした組織学的変化は毛細血
管の拡張と血管周囲の白血球浸潤である.これは変化あ
=りとするには良いとしても,乾癖に特異な変化とは云い
難いのである.また,
Telner
&
Fekete‘2)は前腕屈側
の無疹の皮膚の毛細血管像について,乾癖においてはそ
うでない人におけるよりも,より曲りくねった毛細血管
が見られるとのべている.しかし,筆者の観察による
と,健康人でも,前腕屈側では,爪廓よりも比較的しば
しば,毛細血管の多少のねじれが見られるのである.従
って,毛細血管の多少の屈曲だけで,これを直ちに乾癖
皮疹への準備状態とするのは早計のように思われる.筆
者はむしろ,後でKebner現象の項で述べるように,
プ乾癖皮疹への発展の前段階としての毛細血管像の異常は
血管の軽度の屈曲・拡張のほかに,このような血管が集
無疹の皮膚の毛細血管像に異常は認められなかった.
(3)毛孔性苔癖.この場合は前腕屈側に皮疹が見ら
れないので,上腕を被検部位とした.健康人の毛嚢のと
ころの毛細血管像では,係蹄が毛嚢をとりまいて環状に
並んで見え,乳頭下血管網は見えるが,特別の異常はな
い.毛孔性苔鐙では,乳頭内毛細血管の配列や形態に異
常なく,た公乳頭下血管の多少の拡張が認められただけ
であった.
(4)続発性紅皮症.乳頭下血管網は部分的に透見で
き.そこでは血管か拡張していた.視野の色調は正常よ
り令かなり濃い紅色調であった.乳頭内毛細血管は不規
則に屈曲するか,余り拡張しておらず,1m
「内の係
蹄数は40∼50で,増加は認められなかった.
(5)扁平紅色苔癖.乳頭下血管網は部分的に見え,
団を形成することにあると考える.このような見方から
それらは強い拡張を示した.乳頭内毛細血管も強く拡張
すると,筆者の場合,乾癖における無疹の皮膚の毛細血
し,かっ屈曲・蛇行しているか,乾孵の場合と異なり,
管像には異常がなかったのである.
屈曲・蛇行は頂部に限局せず,係蹄全体がそうであっ
日本皮膚科学会雑誌 第73巷 第2号
96
た.屈曲の形態は種.々で,係蹄の形も色べあった.l
表5 用いられた治療法
mm2内の係蹄数は50∼65で,増加か認められた.
(1 ) Gceckerman療法
(2)クリサロビソ軟膏
(6)毛孔性紅色枇糠疹.乾癖の比較的新鮮な皮疹と
拡張は軽度ないし中等度,屈曲は係蹄の上半部に強く,
(3)ステロイド軟膏
(4)ステロイド剤内服
(5)ステロイド剤およびGoeckerman療
個々の係蹄の形態は比較的そろつている.1m
法の併用
よく似た毛細血管像を示した,即ち,乳頭内毛細血管の
「内の
係蹄数は,50前後のは!こ正常値の皮疹屯あり,60前後の
成績(図9∼11): 治療法の如何を問わず,治療に
増加したのもあつたか,平均して乾癖より少なかった.
よる皮疹の軽快に伴い,先づ,乾癖に特徴的な毛細血
乳頭下血管網は見える例もあり,見えない例もあつた
管変化の一様性の消失が見られた.即ち,強い屈曲・拡
が,見えるものでは多少の血管拡張があった.視野の紅
張の残っている係蹄と軽い屈曲・拡張しか示さない係蹄
色調は正常人よりも強かった.局面の周辺に在る小丘疹
の混在が見られるようになる.視野の紅色調も補色しけ
では,毛細血管の拡張は中等度にあるか,屈曲はほとん
じめ,いくらか褐色調を帯びてくる.特にステロイド軟
どなく,乾癖の初期の皮疹とは明らかに鑑別できた・
膏の場合は,他の軟膏よりも,紅色調の徒色が早く現れ,
小括および考按: 貨幣状湿疹の乾燥した皮疹および
る.更に治療を進めると,主に皮疹の辺縁部から,大き
毛孔性紅色枇糠疹では,乾癖の比較的新鮮な皮疹のそれ
な皮疹では中心部から乱乳頭下血管網が部分的に透見
に似た毛細血管像か見られる.従って,少数の皮疹の毛
できるようにたってくる.この時期は,治療の種類や皮
細血管像だけで前2者と後者を区別するのは難しい場合
疹の状態でかなりの差はあるか,だいたい治療後20∼3ひ
が多い.しかし貨幣状湿疹では湿潤した皮疹を,また毛
日日である.
孔性紅色枇糠疹では周辺の小丘疹を調べると,それぞれ
照射による色素沈着のため,乳頭下血管網の透見できな
かなり特異な変化が見られるので,鑑別できる.
いことが多い.外見上,皮疹の潮紅・落屑が全く消失
アトピー性皮膚炎については,
し,隆起もなくたった頃にもなお,かなりの屈曲・拡張
Davis & Lawler"に
Goeckerman療法7o)例では,人工太陽燈
よると,乳頭下血管網ははつきり見えず,乳頭部毛細
を示す係蹄か残っており,その他の係蹄も全く正常とい
血管は拡張しており,無疹部には異常がたいという.こ
うわけでなく,拡張はほとんどないか,軽度の屈曲は残
れらの所見は,毛細血管拡張の強調されている点を除く
っている. 1m
と,筆者の所見と一致する.
人および無疹部のそれよりわづかに多い(表8).この時
扁平紅色苔孵のDavis
期は治療開始後80∼60日目である.この時期の生検所見
& Lawler"の記述によると,
乳頭内毛細血管のあるものは閉塞し,あるものは拡張・
「内の係蹄数は45∼61,平均51で,正常
では,真皮上層の血管周囲にわづかな細胞浸潤か見られ
屈曲を示す.係蹄は皮疹の中心部では規則正しく配列
るだけで,乾癖に特徴的な組織像は見られなかった.更
し,辺縁部では柵状に並んでいる.毛細血管および乳頭
に数例では,皮疹の治癒後1∼3ヵ月まで,皮疹のあっ
下血管の充血か高度で,視野は紫色調を帯びている.係
た部位の観察を続けたか,上述の毛細血管の変化は,軽
蹄の規則正しい配列という点を除くと,これらは筆者の
度ながら,なお残っていた.以上のような毛細血管像の
所見と同じである.
推移は.治療法の如何によらず,だいたい同じであっ
乾癖皮疹の毛細血管像の治療による変動
た.治療の目的ではないが,後の項目で述べように,皮
乾癖では皮疹の治癒後,同じ場所に再発することかし
疹に対する薬物の作用をしらべた際,アドレナリンを滴
ばしばある.そこで,皮疹が見かけの上で治癒した跡に
下した部位では,肉眼的に皮疹の紅色調唸滴下後数分で
も,何らかの毛細血管像の異常かおりはしたいかと考え
暗紅色となり,その色調はその後も持続し,皮疹の隆起
て,下記の実験を行った.
は日か経っにっれて徐々に扁平化してきた.皮膚顕微鏡
材料と方法:乾癖患者のうち入院治療を行った19例に
的には,毛細血管変化の一様性か乱れ,全体として治癒
ついて,各種の治療法を行いつつ,毛細血管像の推移を
過程の皮疹の所見に似ていた.
追求した.治療法としては表5の方法を使い分けた.軟
小括および考按: 以上,筆者の観察した,乾癖皮疹
膏療法の場合は,左右対称部位で異なる軟膏を用い,比
の毛細血管像の治療に伴う推移を要約すると,次のよう
較した.観察期間は21日より70日まで,観察の間隔は連
である.即ち,治療による皮疹の改善に伴って,(1)
日∼1週間毎とした.
毛細血管係蹄の変化の一様性か失われる.しかし.
C2>
97
昭和38年2月20日
係蹄の延長,拡張および屈曲の程度は全体として軽くな
を皮膚顕微鏡的に観察した.
る.
材料と方法:乾癖15例を対象とした.これらの症例は
C3)乳頭下血管網か部分的に見えてくる.(4)
視野の色調が次第に槌色する.
(5)肉眼的にほ2治癒
臨床的に次の様に分類された.
状態になっても,皮膚顕微鏡的にはまだかなりの変化が
I.発疹期(eruptive
stage)…………,…………6例
見られる.
L慢性静止期(chronic
stationary)………9例
(6)単位面積内の係蹄数が正常値に近づ
く.(7)このような推移は,治療法の如何によらず,
O)広範囲に分布(widespread)…………6例
だいたい同じである.
(2)小範囲に限局(localized)………………3例
Ⅲ.無疹期(symptomless)……………………O例
Gilje等4)は治療による変化として,係蹄変化の一様
性が失われ,(1)ちぢれ型(curled
斜形(oblique
up
type),
(2)
form)および(8)水平形(horizontal
被検部位は前腕屈側とし,現在皮疹がなく,既往にも
皮疹の出たことがなく,かっ現存する皮疹から充分離れ
form)の8種の係蹄が混在するようになると述べている
た場所を選び,次の3種の刺戟を加えた.(イ)角層剥
か,実際は,このよう底8種の形にはっきり分けること
離法:スコッチテープによるstrip
は難かしく,むしろ種々の形の係蹄が混在すると云った
きるだけ丁寧に行い,毛細血管出血を起さないように注
方がよい.
Vineyard'"リよ乾癖においてコー
意した.(ロ)乱切法:jスの先端で,血液がわずかに
Amethopterin投与,レ線照射
にじみ出る程度に乱切した.(ハ)陰圧法:いわしや製
Lawler
ルタールと紫外線照射,
&
method.
剥離はで
およびトリアムシノロン投与の4種の治療法を使い分け
紫斑計に直径2Cmの吸角をつけ,
て,皮疹の毛細血管像の推移を追求し,治療法による
圧を加えた.刺戟部位をガーゼでおゝい,他の刺戟が加
推移の差のないこと,また,臨床的治癒後も毛細血管像
重されないように注意し,刺戟後24時間目から3週目ま
の異常が永く残ることを認め,このことから.乾癖が容
で,連日観察した.観察の際,改めて角層を除去するこ
300∼500
M/Mの陰
易に再発をくり返すのであろうとした.筆者屯この考え
とはしなかった.乱切法の場合,あとでそこに血痴がで
方に賛成である.Madden64)は乾癖の治癒過程を組織学
きるので,血痴の一部をメスで注意深く剥がして観察し
的に追求し.8ヵ月以前に治癒した皮疹の跡にもなお乾
た.各症例とも,治療によって軽快した時期に,場所を
孵の特徴的な所見か見られたと述べているか,筆者は同
変えて,再度の実験を行った.また,皮疹にっいても,
様の試みにおいて,血管拡張と血管周囲性浸潤のみで,
その局面内および周辺において,角層(鱗屑)剥離およ
乾癖の特徴的な組織像は見られなかった.
び乱切り2種の刺戟を加えて観察した.健康人対照にら
Levi"'は乾癖の無疹部の皮膚にKfibner刺戟を加
いて払前述の3種の刺戟を加えて観察した.
えたあと,1%アドレナリン液湿布を行うことにより
KSbner現象の発現を抑制し得たと述べ,
成績(図12∼20 ): 実験された乾癖15例のうち,
Nardelli"'も
刺戟部位に定型的な乾樹皮疹を生じたものは1例だけで
エピネフリンのKobner現象抑制効果を報告した.筆
あった.しかし,肉眼的に乾癖皮疹にまで発展せず,わ
者はアドレナリン液を滴下した皮疹が肉眼的に狐色と扁
づかに潮紅が認められる程度の場合でも,皮膚顕微鏡的
平化を示し,滴下後ある期間,そこの毛細血管像が治癒
には,新鮮な乾癖皮疹のそれに似た毛細血管像か刺戟貧
過程の皮疹のそれに似た所見を示すのを観察した.この
位とその周囲に,ある期間現れるのが認められた.な.
ことから直ちに,Levi71),Szodoray38)等の強調するよ
お,皮膚顕微鏡的に毛細血管変化の最強と思われる時期
うに,乾癖の初発病変が毛細血管にあり,その異常が表
に刺戟部位の生検を行つたが.表皮には極く軽度の不全
皮に伝達されて乾癖皮疹が成立つと考えるのは早計であ
角化と表皮肥厚かおるだけ,真皮には乳頭および同下層
るとしても,このアドレナリン実験の結果ならびに皮疹
の毛細血管拡張と周囲の極く軽い小円形細胞浸潤が認め・
の臨床的治療後も毛細血管の特微的な異常の残存する事
られただけであった.上述の,刺戟部位に現れた毛細血
実から考えて,乾癖の病因か皮膚毛細血管の機能と深い
管変化は次の如くである.・即ち,刺戟後24時間目にすで
関係にあることは確からしいと思われる.
に,乳頭下血管のかなり顕著な拡張・充血が認められた
Kobner現象と毛凋血管像
が,乳頭内毛細血管の変化は未だ軽く,わずかな拡張が
Kflbner現象の生起は乾癖の特徴のひとっとされ,乾
見られるだけで,形態の変化はなかった.48時間目から
癖皮疹の発現条件の研究に利用されてきた.筆者は乾癖
3∼4日目までは,乳頭下血管の変化は24時間目のそれ
の無疹部皮膚にKebner刺戟を加え,後におこる変化
と余り変らず,逆に乳頭内毛細血管の拡張が顕著になつ
98
日本皮膚科学会雑誌 第73巻 第2号
た.ある毛細血管では拡張が係蹄頂部に特に強く,係蹄
表7 乾癖例におけるKabner実験の方法と
の下半分では比較的弱く,係蹄の直径が不規則になり,
成績との関係
動静脈脚間の幅の増加が見られた.係蹄の形態はだいた
いにおいて梶棒状を呈した.ついで,5∼8日目から係
蹄頂部亡蛇行・屈曲かおこった,変化した係蹄は散在性
異 常 毛 細 血 管 像
症例
1
角 層
剥離法
+
乱切法
略治後 皮疹周辺
陰圧法 (再実験)
+
-
に認められるほか,ある範囲に集合性にも見られた.異
2
-
-
-
常係蹄の集団の中心は常に刺戟部位にあり,変化は周辺
3
-
4
十
+
+
にも波及するが,集団の中心か周辺に在ることはぽかつ
-
-
.た.また,集団の中心か毛嚢の場合もあり,毛嚢と無関
5
-
-
-
係のこともあった.このような係蹄の変化は平均して刺
6
-
-
-
戟後6日日に現れ,2∼8週後に次第に消失した.以
7
+
+
-
8
-
-
-
●●●●・●
9
-
-
-
●●●●●●
10
+
+
-
11
-
-
-
+
丑
+
+
-
上,乾癖15例における兆験成績と臨床症状との関係を示
すと表6および8の如くである.即ち,発疹期の症例で
はKobner刺戟による毛細血管異常の発現率が高く,
幔性静止期のものでは,皮疹分布の広狭に拘わらず,毛
細血管異常の発現率は低かった.次に,
K6bner刺戟に
より異常毛細血管像の現れた症例8例の中から5例を選
び.前述の各種治療により略治状態に恋った頃に,初回
+
13 1 升
工4
+
15
+
12
+
-
+
+
●●還●●●
●・●・●●
●考●●●●
●●●●●●
+
+
・●●■●・
-
十
●●●●・●
+
+
+
+
+
・●●●●●
●●・●●●
-
●●●●f●
-
-
…… | +
-
実験の反対側で,再度の実験を試みたか,成績はすべて
陰性に終った.刺戟方法と実験成績との関係を表7に示
表8 乾癖例におけるKebner実験の成績と
病型との関係
表6 乾癖例におけるKObner実験の成績
Kobner刺戟後の血管変化
症 例
1 河 本 35,女
病型
E. S.
2 畑 51,男 c.w.
有無
+
-
3 羽 田 23,女 E. S. +
継続期間
7∼18目口
●●●●甲●
4∼13目口
4 谷 ロ 60,男
C. L.
+
5 室 谷 66,男
C。L.
-
●●●●●●
●●●●●●
3∼12目目
病 型
異常毛細血管像
あ り
な し
1
5
0
広汎
0
2
4
限局
0
1
2
0
0
5
発 疹 期
慢 性
静止期
KObr.er
陽 性
(肉眼的)
略治往※
※ 略治後の5例・は,前の実験で異常毛細血管像を
示した8例中から選び,再度の実験を行つたも
のである.
6 本 田 47,男 c.w.
-
7 上 野.22,男
E. S.
+
8 尾 埼 26,男
9 長谷川 12,女
c.w.
-
●●●・●●
C.L.
-
●●●血●●
10 番 48,男
E. S.
+ 7 15目口(乱切)
30回目(角層剥離)
化は角層剥離法と乱切法の場合に見られ,乳頭下血管○
11 倉 元 54,男
CパV.
-
拡張が主な変化で,乳頭内毛細血管には軽度の拡張,係
12 河 野 54,男
CパV.
+
5∼14目目
13 舟 木 12,女
E. S.
升
8∼33目口*
14 宮 木 14,女
E. S.
+
6 21口口(乱菊)
`25回目(角層剥離)
15 上 田 63,男
o.w.
+
5∼21日目
6∼14回目
した.即ち,角層剥離法および乱切法では,それそれは
j半数に変化が発現したが,陰圧法では全く変化かおこ
らなかった.健康人にっいても同様の実験を行った.変
●●●●●●
註:E. S.は発疹期,
c.w.は慢性静上期(広汎),
C.L.は同上(限局).
* 以後定型的乾癖皮疹に発展,即ちKftbner現象
陽性.
蹄頂部の闘犬および極く軽い係蹄のねじれが見られたた
ずで,かっ変化した係蹄の集団をなすような所見は全く
見られなかった.このような変化は刺戟後3∼4日目が
瓦点で,7∼10日目に消失した.
次に,乾癖皮疹の局面内および周辺において,乱切法
および角層(鱗屑)剥離法の2種の刺戟を加えたあとの
毛細血管像の変化を調べた.皮疹の局面内では,鱗屑除
去後に,除去前の毛細血管像と特に異なる所見は見られ.
昭和38年2月20日
99
ヵ;かった. 鱗屑除去を強く行うと,
Auspitz現象か現
れて観察不能となった.また,皮疹の局面内では乱切に
である.報告者によって陽性率にかなりの差があるのは
(1)刺戟の種類,
(2)症例の病型(発疹期か静止期
よって容易に出血するため,乱切法による変化の追求は
か)および(8)刺戟部位などの条件の差によるものと
困難であった,前項で述べたように,比較的新鮮底皮疹
考えられる.
では,皮疹辺縁の直ぐ外側の正常に見える皮膚において
リジン貼布,刺戟薬物の皮下注,その他の各種刺戟を加
Szodoray'≪は16例について摩擦,カンタ
焉,ある幅をもって,血管変化,即ち,乳頭内毛細血管
え,カンタリジン貼布およびトリパンブラウ皮下注にお
拡張および係蹄両脚間の幅の軽度拡大か見られる.この
いて陽性反応を得,刺戟から反応発現までの期間は1∼
ような皮疹の周囲の部位に乱切および角層剥離の刺戟を
12日,平均7日であったと述べている.
加えると,肉眼的には数週後に,皮疹の辺縁か刺戟部位
20例について角層剥離,乱切および陰圧法の8種の親戟
まで拡大するのか見られた.たiし,皮疹拡大は刺戟部
を加え,乱切法で7例陽性,角層剥離法で8例陽性,陰
Reinertson'≪は
位全面に及ぶことはなく,皮疹辺縁からせいぜい数叩幅
圧法では全例陰性の結果を得た.
の処までであった.
Kebner実験の対象となった乾紺15
Kebner陽性は得られなかった. 筆者も15例について
Bom"'も陰圧法では
例のうち,比較的新鮮な皮疹の見られた12例に上述の実
Reinertson"'と同様の実験を行い,これを皮膚顕微鏡
験を行った.皮膚顕微鏡的には,刺戟のあと毛細血管は
的に追求した.肉眼的にKebner陽性は1例だけであ
次第に拡張し,屈曲・蛇行か強くなり,初めの境界線も
ったが,皮膚顕微鏡的には角層剥離で8例,乱切で7例
次第に不明瞭となり,皮疹が遂に境界線からぱみ出した
に陽性の結果を得,陰圧法ではすべて陰性であった.
ような状態になる.このような変化は12例全部に認めら
Kebner刺戟を加えてから反応発現までの期間は,大体
れた.
1週間であるといわれる.筆者の場合,肉眼的陽性の1
小括および考按:Kebner現象とは,周知のように,
K6bner">
(1872)が尋常性乾孵の無疹皮膚に物理的お
例ではそれか2週間,皮膚顕微鏡的陽性例では8∼8日
であった.即ち,肉眼的にKabner現象か発現する時
よび化学的刺戟を加えた場合,ある期間を経て,そこに
期より乱皮膚顕微鏡的陽性の発現時期の方が早いとい
定型的な乾鮮皮疹の発現するのを見出した,そのような
える.既往の受傷部位に,長年月を経たあと,皮疹の
現象を指すが,これは乾癖の発生機序ひいては病因の解
発生する現象は文身部位,陳旧癩痕等について記録かお
明えのよい手がかりとされ,従来,あらゆる角度から追
り,筆者も,10数年前にうけた骨髄炎手術の廠痕に一致
求されてきた.
して乾鰐皮疹の発生した1例(表8のN0,
Kebner現象は,実験的に作られる他
に,偶然の刺戟によっても生じうる.後者の中では,種
8)を見た・
たヽこし,これを真のKebner現象とするには疑問かお
痘痕にできるのが最も多く,また,表皮剥脱,切創など
る.
の微細な外傷に継発した例も74―77)多い.その他,陳旧
Kflbner現象の発現に影響する因子として(1)実験
煎痕,文身,凍傷,水痘.精製痘苗注射,
応,
74
Mantoux反
BCG注射,日光,デルモパン照射など多くの刺戟
81〉があげられている.自験例でも,眼鏡の枠の圧迫に
部位.
(2)被検例の病型.
(3)刺戟の種類および
(4)治療の4つのものが考えられる.実験部位によっ
てK6bner現象の発生率に差がありとするものにNar-
よるもの(症例5),種痘や灸のあとにできたもの(症例
delli">がある.彼によると,乾癖患者の皮膚領域は乾
13)などがある.症例18は11才の小児例で,4∼5年前
癖性のPredispositionがあり,これの強弱によって,反
に発病,種々め治療によるも,完全に無疹になることは
応かおこったり,おこらなかったりすると云うのである.
穴く,春秋に増悪し,夏期には自然に軽快していた.9
Lipschiitz'^り余反対意見で,機械的刺戟かおる一定の刺
月末頃,発疹期に種痘をうけた所,痴皮の脱落した跡に
戟闇値に達すれば,
定型疹が現れた,また,また同じ頃,治療の目的で灸を
膚の部位的相違はないとした.筆者も後の説に賛成で,
うけた所,その部にも皮疹が発生した.以上,偶発的な
身体の部位によって素因に差があるのでなく,乾癖の好
刺戟には,種々の深さの外傷のほか,日光によるのもあ
発部位とされる処では,
り,皮膚のどの深さまで傷害か及んだときにKebner
加重され,刺戟闘値に達し易いのでないかと考える.筆
現象か起こるのか,また,刺戟からKObner現象発現
者は前腕屈側を被検部位に選んだか,その理由は(1)
までの期間はどうか等,興味ある問題である.実験的
前腕屈側は皮疹の比較的稀な場所で,無疹部位が得られ
KSbner現象の従来の記録をまとめると,表10の如く
やすく,他の偶発刺戟も少い場所であること,(2)皮
Kobnerは体の何処にでも起り,皮
KSbner刺戟に更に偶発刺戟か
日本皮膚科学会雑誌 第73巻 第2号
100
表9 Kabner実験における方法と成績の総括
膚顕微鏡観察の容易な場所であることおよび(8)刺戟
部位を保護し易いこと,以上である.
/
次に,被検例における乾癖の病型.即ち皮疹分布と病
勢がKobner現象の発生率に関係のあることは,各報
告者の一致して認める所で,皮疹分布が広範囲で発疹期
にある症例ではKobner現象か現れ易く,皮疹分布が
広範囲でも病勢が静止または軽快期の症例ではK6bner
異常毛細血管像
Kebner
陽 性
(肉眼的)
あ り
な し
角層剥離法
1
8
6
乱 切 法
1
7
7
陰 圧 法
0
0
0
現象は起りにくいのである.自験例でも,発疹期におっ
表10 K6bner実験に関する先人の成績
た6例ではすべて皮膚顕微鏡的にKabner陽性,逆に
分布か広範囲でも慢性静止期のものではKbbnerの発
報 告 者
現率は低かった(表8).
刺戟の種類とKobner現象の発現との関係にっいて
実験
例数
Lipschiitが6’は,
Kabner現象の発現が刺戟された皮膚
層の深尽に支配されるとし,マルピギー層よりも,乳頭
Bizzozero"'やSzodoray38)も乳頭層が刺
戟されて始めてKfibnerが発現するとしている.他方,
Szodoray38)
15
5
10
Schamberg83)
23
3
20
Reinertson"'
20
戸蛸
磯部89
27
5
22
白験例
15
1
14曇
Neumann'"
Iよ刺戟による定型疹の発生以前に
すでに,表皮細胞に脱水素酵素活性の上昇が認められる
「4)は(1)陰圧法,
2∼7日
2週間
は3∼8日.
めている.
とし,乾癖を加速された表皮角化過程に基づく病変であ
るとした. Reiaertsc
1∼12日
(平均7日)
剥離法で15例中8例;血管変化発現までの期間
でKebner現象を惹起させ得たと述べている.また,
&
27
皮疹発現ま
での期間
* 皮膚顕微鏡的陽性は乱切法で15例中7例,角層
Nardelli"'は毛細血管性出血を起さない表皮のみの乱切
Kiita
-
15
42
層を損傷した場合に,より著明にKflbnerが発現する
と報じた.
+
Nielsen"'
は,乾癖の初発病変か組織学的に皮膚のどの層にある
かという議論に関連して古くからとりあげられてきた.
Kebner現徽
乾癖皮疹およびその周辺に対するKobner刺戟の影
(2)表在
響については,筆者の実験では,角層剥離法でも舌L切法
性出血を伴う舌L切法および(8)角層剥離法の8種の
でも結果は同じで,皮疹の局面内では変化底く,皮疹周
深さを異にした刺戟を加え,20例中角層剥離で8例に
辺に加えられた刺戟により皮疹かおる程度拡大し,そこ
Kobner陽性,乱切で7例に陽性,陰圧法では全例に陰
に毛細血管異常屯認められた.この実験に使用された皮
性の結果を得た.彼はこの結果から,
疹は比較的新鮮なものでPseudoatrophischer
Kebner現象を惹
起するにはマルピギり
るが,角層剥離は常に血管反応を伴うから,剥離そのも
のかKebner現象を惹起するための根本条件であるか
どうかは決定できないとした.筆者もReinertson"'と
同様の実験を工5例に行い,肉眼的にはとも角,少なくと
も皮膚顕微鏡的にはEemertson"'"の結果とほ2一致す
る成績をえた(表9).
治療経過とK6bner現象との関係にっいては,一般
に治療法の如何を問わず,治療によって病勢か衰退して
くるとKebnerは起りにくくなる.筆者は,治療前に
Hof の
あるような古い皮疹では実験できたかった.以上の所見
から,乾癖の皮疹,特に比較的新鮮な皮疹の周辺は,皮
疹から充分離れた無疹部よりも,刺戟闘値が低下してい
るものと考えられる.
乾癖皮疹に及ぼす薬物の作用と毛細血管像
材料と方法:乾癖14例と健康人6名を対象とした.乾
癖例では,皮疹の持続期間によって急性と慢性に分ける
と,急性型5例,慢性型9例になる.同―息者で慢性の
皮疹と急性の皮疹の混在する場合は,幔性型に入れた.
観察は新旧,大小各種の皮疹につき,平均5つの皮疹
皮膚顕微鏡的Kebner陽性を示した5例に各種の治療
を選び観察した.前腕屈側にこのような各種の皮疹のな
を行い,軽快期に再度の実験を行った処,後の実験では
い場合は,前腕仲側,手背,下腿仲側などで観察した.
結果は全て陰性であった.Lipschatz86)も皮疹治癒後3
使用した薬物はアドンナリソ,ピロカルピソおよびアト
週間もたっとKObner現象はおこらなくなることを認
ロピンの3種類で,いずれも注射用アンプル入りの市販
101
昭和38年2月20日
品を用いた.薬物を全身投与した場合および皮疹に滴下
リセリソを丁寧K一拭い去り,今度は薬物含有グリ七りソ
した場合に分けて実験した.(1)全身投与の場合z実
を滴下した.全身投与および局所適用のいずれも,観
験前約1時間安静を守らせ,食事直後や極端な空腹時を
察は処置前10分から始め処置後30分まで,連続的に行っ
さけ,ほとんどの症例は午後3時から4時の間に検査し
た.
た.室温にっいては,初めに述ぺだ注意に従ったが,こ
成績(図21∼32 ):鱗屑剥離部にグリセリンを滴下
ゝでは特に,盛夏をさけ,室温が大体20°Cになるように
すると,患者は多少しみる感じを訴える.グリセリン滴
し,検査中に室温の急変がないように注意した.患者は
下が毛細血管に変化を及ぼすかどうかを見るため,本実
坐位とし,被検部位を心臓とほぐ
験に先立って,生理食塩水を滴下した場合とグリセリ
楽な姿勢をとらせた.観察しようとする皮疹は実験の30
ンを滴下した場合とを,それぞれ時間を追って観察した
分∼1時間前にスコッチテープによる鱗屑除去法で処理
が,筆者の使用した皮膚顕微鏡倍率(3.5×5∼10×5)
しておいた.薬物の投与量は自律神経機能検査の薬効的
では両者に差異は認められなかった.次に,‥角層剥離の
検査法89)のそれに準じ,上腕外側に皮下注射した.即ち,
影響を見ると,最初の項で述べたように,剥離直後では
0.1%塩酸アドレナリン,1%塩酸ピロカルピソおよび
乳頭下血管の拡張が顕著で,視野も濃紅色を呈するが,
0.1%硫酸アトロピンをそれぞれ体重10kgにつき0.13ml
乳頭内毛細血管の形態には著変かない.剥離後1時間経
宛を用いた.1日に1つの薬物のみの検査を行い,他の
つと乳頭下血管の拡張は消失して,旧に復し,視野も元
薬物の検査は翌日以降に施行するようにした.
の淡紅色調にかえり,安定した状態にある.剥離80分後
(2)局所
適用の場合;実験前の諸注意は全身投与のそれに準じ
でも所見は1時間目のものにだいたい同じであった.
た.薬物はすべて使用直前にアソプルを切り,グリセリ
(1)薬物の全身投与の場合(表n): アドレナリ
ソと混和して用いた.混和した溶液は次の様な組成であ
ン投与によって,注射後30秒から2分の間に,乳頭下血
った.
管および更により深い血管に収縮の認められたものが14
0.05%塩酸アドレナリン・グリセリン液
例中5例におった.収縮は比較的急速におこるので,そ
0.5
%塩酸ピロカルピソ・グリセリソ液
の時間が正確に判つたか,回復は徐ぺであるため,何時
%硫酸アトロピソ・ダリセリソ液
回復したかの記録はとりにくかった.しかし,アドレナリ
0.025
これらを,あらかじめ・鱗屑を除去しておいた皮疹の上
ン投与によって反応した5例すべてか観察終了時(80分
に滴下するのであるが,薬物含有グリセリン溶液を滴下
目)には,ほこ観察前の状態に戻っていた.乳頭下血管
する直前に,ダリ七リンのみ滴下して観察した後,グ
網がはつきり観察できない症例ではすべて,視野の色調
表n 乾癖における薬物の全身投与の場合の毛細血管像の変化.
症 例
年 令
性
1
河 本
33
女
1分で視野穏色
2
森 田
35
男
変化なし
アドレナリン
ピロカルピソ
アトロピソ
変化なし
変化なし
〃
/Z
/y
〃
〃
〃
3
町
54
男
30秒で視野琵色
4
西 田
48
女
変化なし
5
室 谷
66
男
/Z
〃
Z/
6
本 田
47
男
〃
〃
/Z
7
上 野
尾 崎
22
男
男
//
//
26
変化なし
〃
//
宮 前
番
倉 元
河`野
舟 木
62
女
2分で視野毬色
〃
μ
48
男
変化なし
54
男
54
男
12
女
宮 木
14
8
9
10
n
12
13
14
女
1分で視野毯色
/Z
/Z
//
/Z
〃
//
//
〃
//
//
//
/y
/Z
1分で乳頷下血管の
収縮と視野疑色
102
日本皮膚科学会雑誌 第73巻:第2今尚
表12 乾癖におけるアドレナリン局所適用による毛細血管像の変化
/
1皿2内の係陪数
血 管 変 化
前
y∼1(y
1 河 本
58
33
49
2 森 田
E∼4'係踏歌減少
y∼ 係踏歌復元,血管拡張
58
49
65
3 町
30"∼3'係踊数強く減少
3'∼ 係蹄数復元,血管強く拡張
60
22
56
4 西 田
30"∼2'乳頷下血管縮少
y∼ 乳頷下血管拡張
49
48
48
5 室 谷
1 '30"∼2 '30"係踏歌減少
y∼ 係蹄歌復元,血管拡張なし
63
55
68
6 本 田
30″∼3 '30"係踏歌減少
ぐ∼ 係踏歌復元
70
26
60
45
40
41
8尼崎
30″∼2'係蹄数減少,視野蒼白
2 '30"∼ 係除数復元
帰雁教派少なし
F∼ 乳頷下血管拡張
60
60
61
9 宮 前
2'∼5'係諦歌減少
F∼ 係踏歌復元,血管拡張
73
55
63
10 番
1 '30"∼3'視野蒼白
3'∼ 乳頭下血管拡張
46
44
44
11 倉 元
ド∼10'価蹄数減少
1y∼ 係蹄数復元血管拡張
55
50
56
12 河 野
ミ『30″∼3'係踏歌減少強い,視野蒼白
3 '30"∼ 係踏歌復元
’59
42
55
13 舟 木
1'∼2'孫陪数変化なし
y∼ 血管軽度拡張
61
60
62`
14 宮 木
係啼数,形態に変化なし
3'∼ 血管経度拡張
55
55
52
7 上 野
の変化,即ち,蒼白化によって7L頭下血管叢収縮の状
態を判断した.乳頭内毛細血管の変化はほとんどなかっ
た.血管がいくらか収縮したように見えた例では,念の
ため写真を撮ったか,やはり認むべき変化は得られなか
った.1m
30″∼y
30"∼3'係諦数減少
3唱0り∼ 係蹄数復元,血管拡張
「内の係蹄数にも変化がなかった.健康人
表13 乾癖における薬物の局所適用の場合の
毛細血管の変化の総括
犬
血 管 変 化
アドレ
ナリン
ピロカ
ルピソ
7トロ
ピ ソ
1 河 本
丑
-
-
では,6名中1例に視野の蒼白化か認められただけであ
2 森 田
-
3 町
升
丑
+
丑
-
った.また,同様に乳頭内毛細血管にも変化は認められ
-
-
-
-
-
-
升
升
+
-
-
-
+
-
-
丑
+
+F
-
+
-
-
-
-
丑
+
+
-
-
-
-
-
-
なかった,ピロカルピンおよびアトロピン投与では,全
身的に発汗,羞明,口渇などを訴えた症例もあったが,
被検部血管に変化は全く認められなかった.健康人でも
4 西 田
5 室 谷
6’本 田
同様に変化は見られなかった.
7 上 野
8 尾 崎
(2)薬物の局所適用の場合: 変化は表12および13
9 宮 前
に示した通りである.即ち,0.05%アドレナリン・グリ
10 番
セリン液滴下によって,乾癖の14例全例に何らかの変化
11 倉 元
か見られた.先づ,14例中9例においては,滴下後30秒
12 河 野
から2分の間に,単位面積内の乳頭内毛細血管係蹄数が
13 舟 木
減少した.乳頭下血管網の見える例では,それの収縮か
14 宮 木
103
昭和38年2月20日
見られた.乳頭内毛細血管の収縮と乳頭下血管のそれを
数は滴下の前後で変化はなかった.ピロカルピンおよび
較べると,乳頭内毛細血管の収縮かわづかに早いようで
フトロピンも変化は全くなかった.
あった.2分から10分の間に,今度は逆に毛細血管の強
小括および考按:(1)薬物の全身投与の場合,アド
い充血・拡張がおこった.単位面積内の毛細血管の数は
レナリンでは14例中5例に視野の蒼白化か見られた.健
再び増加して,ほ引日に復した.乳頭下血管網の見える
康人の場合秀6名中1名に同様の所見があった.これら
例では,これの強い拡張・充血か起り,観察終了時(30
の反応か見られた場合でも,乳頭内毛細.血管および乳頭
分目)まで持続した.収縮に次いでおこる充血・拡張に
下血管網には著変は見られなかった.以上の所見から,
っいでは,収縮の場合のように変化か速やかでないの
全身的に投与されたアドレナリンは,末梢の血管に作用
で,時間をはっきりっかむことはできないか,乳頭下血
するとしても,ある程度の太さを持ち,血管それ自身
管の充血・拡張が乳頭内毛細血管のそれに先行するよう
に収縮能力のある血管に作用が強く現れ,その結果とし
に見えた.このような反応を示した9例は全例陳旧な皮
て,皮膚顕微鏡的には視野の蒼白化か唯一の所見になっ
疹を持つものであった.その中でも,貨幣大から小児手
たものと考えられる.そこで,どの深さの血管,特に動
掌大に及ぶ大きい皮疹では,乳頭下血管網ははっきり見
脈が自動的に収縮する能力を有するかか問題となる。
えず,た£視野全体の紅色調の変化によって,その収
Zweifach'"' &
縮,拡張がうかがわれた.このような皮疹では,乳頭内
きりした一層の筋層かおり,それより末梢では,所謂
毛細血管のアドレナリンに対する反応が特に強く現れ,
precapillary sphincter があって,これが自動性のない
1m
毛細血管に血流を与えているとしている.従ってアドレ
「内の毛細血管数の減少も極めて著明であった.
Schorr"∩よmetarterioleには,はっ
その場合,見えなくなった係蹄は屈曲・拡張の少ないも
ナリンか作用した場合,直接的効果の発現し得る血管は
のであって,屈曲・拡張の高度の係蹄か残った.次に,
metarterioleより中相側にあるといえる.組織学的の
14例中の残り5例は急性の小さい皮疹を示す例で,次の
metarterioleに相当するものは,皮膚顕微鏡的には,
2つの場合が見られた.ひとっの場合では,アドレナリ
ほ!ご乳頭下血管の深層の右のである.この部位は健康人
ンによる乳頭内毛細血管数の減少が起らず,たぐ軽い血
で乱表皮のかなり非薄な人でない限り,皮膚顕微鏡で
管収縮が見られ,同時に乳頭下血管も収縮して,視野全
鮮明に見えない.従って,皮膚顕微鏡的に鮮明に見える
体は蒼白となった.続いて乳頭下血管の拡張・充血と乳
血管はほとんど自動性のない筈のものである.しかし自
頭内毛細血管の拡張・充血がおこったか,視野はなお蒼
動性かない細小血管においても,その中相側に収縮ない
白のまいごあった.そのため,可視血管は蒼白の視野の
し拡張がおこれは,その影響をうけて,何らかの反応が
中に,はっきり浮びあかつて見えた.これは,可視血管
起りうるとも考えられる.他方,
よりもさらに深部の血管に収縮かなお持続していること
terioleにかけては生理的に多数の動静脈吻合が存在す
を表わしている.もうひとっの場合は,アドレナリン滴
るので, arterioleおよびmetarterioleより中相側の変
下による乳頭内毛細血管および乳頭下血管の収縮が全く
化が吻合部で緩和され,毛細血管までは伝わらず,影
見られず,3分から5分の間に乳頭下血管の拡張・充血
響が現れないこともありうると考えられる.筆者の実験
かおごった例である.
で,視野の蒼白化か見られた場合でも,可視血管に変化
0.5%ピロカルピン・グリセリン液滴下例では,14例
が認められなかった事実は,後のような考え方で説明で
中1例にだけ8分後に多少の毛細血管の拡張が見られた
きると思われる.
が,他の18例には,全く変化が見られなかった.
ところで,爪廓の毛細血管にっいての若干の文献19)25)
0.025
arterioleからme
tar-
%アトロピン・グリセリン液滴下によっては,14例中1
29によると,アドレナリンの全身投与によって,毛細血
例にだけ5分後から80分まで毛細血管が軽度に拡張した
管の狭少化,毛細血管数の減少,血流の緩徐あるいは
例があったが,他の18例は不変であった.
促進,視野の色調の蒼白化などが起るとされている.杉
健康人対象6名にっいての同様の実験によると,アド
浦25)は,アドレナリンによる血管収縮作用は身体の部位
レナリンでは乳頭内毛細血管および乳頭下血管の収縮す
によって強弱の差があるのみでなく,場合によっては,
る所見はなく,1∼3分後に徐々に視野が蒼白化するに
拡張作用もあると述べている.爪廓で観察されるこのよ
っれて,可視血管の充血・拡張が顕著になった.この状
うな毛細血管の変化か,前腕屈側で観察でき底かったの
態か30分まで持続して見られた.1m
は,皮膚の部位的な差異のほかに,爪廓では毛細血管係
「内の毛細血管
ロ本皮膚科学会雑誌 第73巻 第2号
104
図1 健康人の前腕屈側皮膚における
乳頭ド血管網(32.5×).
図2
健康人の前腕屈側皮府における乳頭内毛
細血管像(32.5×).係蹄の頂郎のみ見
えるものや係蹄脚も見えるものが混仁
図4
ヘアピソ状の係蹄が規則││モしく,屑状
古い乾雁皮疹中心部の毛細血竹像
(23×).矢印は毛孔.係蹄の規川
に並んでいる.
正しい分ぐが見られる.
図3 健康人の爪廓筒毛細血竹像(32.5×).
│刈6 古し乾疸皮疹中心部の毛釧血竹像(32.5×).
図5 古い乾雁皮疹中心部の毛細血竹像(32.5×)
係陪頂部州曲│い拡張が著しし.
顕微鏡軸を傾かけて兄たもの.
105
昭和38年2月20日
図7 jliい乾疸皮疹の辺縁昌の所見(32.5×).
図8 新鮮な乾疸皮疹における毛細血管像
図の左工から右下にかけて斜めに皮疹の
境界線かおり(矢印),皮店顕微鏡的にも
(17.5x).係蹄の屈曲・拡張は古し
皮疹に較べて軽い.
境界は鮮明である.
図10 同前,30日日(32.5×).乳頭ド血竹絹
が処々に見える.
図9 乾前皮疹の Goeckerman 療法20日口
の毛細血管像(32.5×).係蹄の大さが一
様でなく,屈曲・拡張卜まちまちである
図12 Kobner年礼 1)江川法,2)角川
剥離,トよび3)切傷の各刺我々加
えた以後のもの.
図H 同前, 401卜I (32.5x).臨床治癒状
態の皮疹部位.まだ処々に異常毛細
血管が残っている.
日本皮膚科学会雑誌 第73巻 第2号
106
図13 Kobner刺幟部位,乱切法,1日口
皿嚇,川」(UX)
(32.5×).毛細血管の拡張が見られ
るだけである.
図16 同前,4川日(32.5×).拡張のほか
図15 同前,3口目(32.5×).
に屈曲が現れ,それらか集け活作り
っっある.
M17 同面,6日口(32.5×).中央部
の黒い処は血痴である.
図18 日前,10日口(32.5×).
107
昭和38年2月20日
図19 同前,13日口(32.5×).
図20 同前,14日11
(32.5×).毛細血管の
変化が消極し始めた.
図21 yドレナリソ局所適川実験,実験前
(32.5X).
図22
同前,30秒後(32.5×).多くの
係蹄が見えなくなった.
│ヌ123 同前,1分後(32.5×).変化の
強い係蹄のみ残っている.
図24 同前,1分30秒後(32.5×).
108
日本皮膚科学会類誌 第73巻 第2号
閃25 同飢 2分後(32.5×).・‥・度祝野から
1刈26 1司前,2分30秒後(32.5×).
姿を消した係蹄が再び見えてきた.
図28 同礼 3分30秒(32.5x).係蹄数球
図27 同前,3分後(32.5×)
ほ丿口に復した処.
図29 同前,5分後(32.5×).毛細血竹が
実験前より更に強く拡張した所見.
図30 同礼10分後(32.5×).
109
昭和38年2月20日
図31 同前,15分後(32.5X).
M32 同前,30分後(32.5×).毛細血竹の
強い拡張状態がまだ続いでいる.
図33
貨幣状湿疹の皮疹辺縁における毛細血管
像(32.5×).図の中央より右よりに境
界線(矢印)かおる.係蹄の拡張はある
図34 毛孔性紅色組糠疹の皮疹における
が,屈問はない.
毛斜│此管m
図35 続発性紅皮症における毛細血管像(32.5×).
(32.5×).
図36 毛孔性苔疸における毛細血竹像(32.5×).
110
日本皮膚科学会雑誌 第73巷 第2号
図37 扁平紅色苔疸における毛細血管像(32.5×).
知られている.即ち,一般に健康底表皮は脂質膜ならび
に角層と穎粒層との間の電気的二重層の存在によって,
多くの物質の表皮内への侵入が阻ILされているといオ片し
る.たぐし,病的な場合には,種々の物質の通過は容易
となる.Monash92)はスコッチテープによる角屑剥離操
作により,局所麻酔剤章抗ヒスタミン剤等の通過が増大
することを認めた.また,
Davis & Lorincz'*'も角層除
去後に薬剤を適用すると,経皮吸収がすみやかに行わ
れ,各種の薬剤に対する血管の薬力学的反応の観察によ
いとしている.
次に,陳旧な以疹において,収縮の時期に続いて,乳
頭下血管および乳頭内毛細血管の拡張・充血か見られた
蹄が横から見えるのに,前腕屈側では縦の状態でしか見
えず,乳頭内毛細血管に関する限り,後者では微細な変
化をつかみにくいことにもよると考えられる.
ピロカルピンおよびアトロピンでは,各1例に多少の
変化の見られたほかは,他の13例では全く変化が恋かっ
た.爪廓の毛細血管では,ピロカルピン投りこの場合の変
化は両脚の拡張と毛細血管係蹄数の増加であり,アトロ
ピン投与では初め拡張,次いで収縮か現れるとされてい
が,これはアドレナリンが次第に表皮から真皮に移行
し, metarterioleに強い収縮かおこる結果,末梢部に彩
血現象がおこるためと考えられる.しかしこの時期でも
なお視野全体は蒼白で,30分の観察終了時まで続いた.
Szodoray"'は,乾癖皮疹に見られる拡張した毛細血
管がアドレナリンの全身投与によって収縮すること,お
よび乾癖皮膚でコリンエステラー七活性が高いことか
ら,乾癖患者の血管は副交感糾経緊張状態にあると述べ
た.しかし,普通の炎症性過程においても毛細血管の拡
る.
(2)薬剤の局所適用の場合: アドレナリンでは全
例に変化が見られ,その変化には次の3つの場合があっ
た.(i)始め毛細血管係蹄数の減少と視野の蒼白化か
張はしばしば起ることであり,これにアドレナリンが奏
効しても,それはアドレナリンの末梢血管収縮作用から
見て当然のことであり,また皮膚でコリンエステフーゼ
起り,続いて乳頭下血管および乳頭内毛細血管に充血・
活性の高いことは乾癖に特有とは限らないから,乾癖に
拡張が現れる.
おいて副交感祚経緊張状態を特に問題にするのは当らた
(ii)係蹄数の減少はなく,視野の蒼白
化のみで,続いて乳頭下血管および毛細血管に充血・拡
いと思われる.
張か現れる.
総括ならびに結論
(iii)視野蒼白化ないし毛細血管の縮少が
なく,乳頭下血管の拡張のみが見られる.以上である.
尋常性乾癖において,古くから組織学的,組織化学
川本29)は2000倍および5000倍アドレナリン溶液を健康人
的,血清化学的,生理学的並びに精紳身体医学的な各方
の爪廓縁に滴下して継時的に観察し,両脚の直径の縮少
面から追求されてきた種々の問題,特に乾癖皮疹の発生
と血流速度の緩徐を認め,反応開始時間は4∼6分であ
機序について,何らかの手掛りを得ようとの考えから,
るとした.この場合,爪廓部の角層はあらかじめ剥離さ
皮膚顕微鏡的に種々の検索を行った.得られた結果は次
れていなかった.筆者は上述の実験の予備実験として,
の如く要約される.
健康人6名および乾癖14例について,0.05%塩酸アドレ
(1)健康人の前腕屈側皮膚における所見は,乳頭下
ナリン・グリセリン,
リン,
0.5%塩酸ピロカルピン・グリセ
0.025%硫酸ア1ヽロピン・グリセリン溶液を爪廓
血管の網目状構造がある厚さをもって見られ,その最も
浅層から,ヘアピン状の乳頭内毛細血管の派生するのが
縁に滴下し,川本と同じように角層剥離を行うことなし
見られる.この乳頭内毛細血管の走行軸は,爪廓の場合
に,観察して見た.結果は健康人でも乾癖例でもひとし
と異なり,顕微鏡軸と平行に在るため,普通は係蹄頂部
く,薬物の影響による毛細血管像の変化は全く認められ
のみが観察される.1mm2内の係蹄数は44∼52,平均
なかった.従って,このような㈲験を行うためには,予
47であった.
め被検部位の角層を剥離しておくことが必要であると思
(2)前腕屈側で観察された乾癖及疹の特徴的な毛細
われる.角層剥離の必要な理由として次のようなこと屯
血管像は1)毛細血管係蹄の大きさが一様で,その分布
昭和38年2月20日
111
配列が規則正しいこと,2)乳頭内毛細血管の拡張と係
切法では7例に,一過性ではあるが,乾癖の特徴をそな
蹄の延長,3)毛細血管係蹄上半部の強い蛇行・屈曲,
えた異常毛細血管像が認められた.しか乱この場合,
4)単位面積内の係蹄数の増加,5)乳頭下血管網の見
異常毛細血管が集団をなして存在することが特徴的な
えないこと,および6)視野の色調が濃い紅色調を呈す
事実であると思われる.これは皮膚顕微鏡的なKobrer
ることなどであった.これらの所見のうち,4)の単位面
陽性と云えるであろう.これと臨床病型との関係では,
積内の係蹄数の増加の事実は筆者の初めて見出したこと
発疹期の症例に陽性が多く見られ,慢性静止期のもので
がらであり,他は先入の所見を確認したものである.乾
は陽性は少なかった.
癖皮疹における単位面積内の係蹄数について実測値をあ
(6)
げると,1mm2内の平均は59であった.これは健康人の
ピンおよびアトロピンの3種の薬物を全身的並びに局所
それに比べて顕著次増加と云える.皮疹の周辺の所見に
的に作用させ,起る変化を皮膚顕微鏡的に追求した.ピ
っいては,陳旧な皮疹でぱ,その周辺の毛細血管像に全
ロカルピンおよびアトロピンででは変化は見られたかっ
14例の乾鮮例においてアドレナリン,ピロカル・
く変化が底かったが,新鮮な拡大傾向をもっ皮疹では,
たが,アドレナリンの全身投与で多少の変化が,局所適
その周辺の毛細血管像に,軽度ながら,乾癖に特徴的な
用では顕著な変化カミ見られた.即ち,アドレナリンの局
変化が見られた.無疹部には全く変化が認められず,1
所適用によって,14例中9例に,30秒から2分の間に毛
mm2内の係蹄数も平均47で,健康人のそれと同じであ
細血管の収縮,単位面積内の係蹄数の減少,乳頭下血管
った.
の収縮および視野め蒼白化かおこり,続いて,2分から
(8)乾疸と鑑別を要する若干の皮膚疾患にっいて屯
10分の間に逆に可視血管の充血・拡張が見られた.
同様の検索を行った.そのうち,貨幣状湿疹および毛孔
以上の成績,特に,(イ)新鮮底拡大傾向のある友疹
性紅色枇糠疹のある種の陳旧な皮疹は乾癖に似た毛細血
の周辺に軽度ながら特有の血管変化が見られ,あとでそ
管変化を示した.しかし,これらにおいても比較的新し
こまで皮疹が拡大する場合のおりうること,(ロ)治療
い皮疹の毛細血管像は乾癖のそれと明かに異なる屯の
により臨床的治癒の状態に至った皮疹部にもか底り長
で,鑑別できることを知った.
期に亘りなお血管変化が残存すること,および(ノヽ)
(4)治療に伴う乾癖皮疹の毛細血管像の推移を見
Kebner刺戟部位に,肉眼的皮疹形成が見られなくて乱
た.皮膚顕微鏡的には皮疹の毛細血管像の推移に治療の
乾癖皮疹特有の血管変化が軽度ながら認められる場合の
種類による差異はなかった.また,臨床的に治癒したと
あること,これらの結果から乾癖における初発変化部位
思われる頃にもなお皮膚顕微鏡的にはかなりの血管変化
は皮膚乳頭内の毛細血管であると結論して秀よいように
かあった.このことは,乾疸にしばしばおこる再発の問
思われる.
題に関連した興味深い事実と思われる.
本研究の要旨は日本皮膚科学会第11回中部連合地方会
C5) 15例の乾疸例において角層剥離,乱切および陰
(昭和35年11月3日)および同第61回総会(昭和37年4一
圧法の3種の刺戟を加えてKabner現象発現の有無を
月3∼5日)で報告された.
見た.肉眼的にはっきりKobner現象の起ったのは1例
本研究は昭和34年および35年度文部省科学研究費の補
のみでそれは角層剥離および乱切法の部位に見られた.
助に依る.附記して謝意を表する(福代).
しかし,皮膚顕微鏡的には,角層剥離法では8例に,乱
文 献
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