癒し通信システムの応用 東京電機大学 情報環境学部 情報ネットワーク環境研究室・知能コンピューティング研究室・情報心理研究室 駒嵜 雅則 1.はじめに 日々、ストレスは様々な原因で人に蓄積していきます。 その対処方の一つとして提案する中心の技術が、可視光 LEDを用いた方法です。 可視光というのは日常皆さんが目にしている 光のことです。 可視光を1/fという特性に従ってゆらがせる ことにより癒し効果のある光を発生します。 2. 1/fのゆらぎとは 1/fのゆらぎのfとはフリーケンシーの頭文字の f で 1/fの波長の変化をグラフに図示するとパワーレベルを縦軸、周 波数を 横軸に比例関数的にとったとき、周波数の低いところではパ ワーレベルが高く、周波数の高いところではパワーレベルが低いという 逆比例の分布が観測できます。 周波数に対してパワーレベルが反比例するので1/fゆらぎといいます。 この1/fのゆらぎは光、音、振動など広く自然界に存在しています。 例えば右図のように蛍を美しくはかない蛍の光などがそうです。 蛍の光は1/fのゆらぎでゆらいでいます。 ほかにも電車の中でゴトンゴトン揺られて 眠くなってしまった経験の人もいると思いますが 電車の揺れにも1/fのゆらぎが含まれています。 他には心拍なども挙げられます。 一説では1/fのゆらぎが心地よく感じるのは 母親の胎内にいたとき母親の心拍の音が 1/fのゆらぎに近い特性を持つと言われています。 3.ゆらぎ発生装置の作成 1/fのゆらぎの発生装置はAVRマイコンという下左図の装置を 作成し実験をすすめています。 ATmega168というチップを使用し、C言語で1/fのゆらぎの アルゴリズムを作成し出力しています。 下右図は作成したアルゴリズムで出力した数値をフーリエ変換して 図示したものです。縦軸をパワーレベル・横軸が周波数です。 4.1/fゆらぎオブジェの 生理的・心理的検証実験 項目3で紹介したAVRマイコンを容器で包み 3人の被験者に1/fのゆらぎの光を浴びてもらい、 生理的・心理的なデータを取得しました。 先行研究で1/fのゆらぎに心理的・生理的によい影響が あることが期待できています。 先行研究では1/fの1.3乗というゆらぎを 実験で使用しました。 今回紹介する実験は1/fの1.7乗と1/fの2乗に従うゆらぎを 使用しました。F の何乗分の1が優位性がありそうかを 検証する実験です 実験の写真が右図です。 実際には暗室の中で 行われています。 実験はクレペリンテストをしてもらい少しの疲労感を 感じてもらったところで 1/fのゆらぎの光を浴びてもらい心理評価と脳波計測を 実行する方法をとりました。 これは癒し効果がどの程度あるものかを見るためです。 下図は脳波計測の生理検証実験の結果となります。 具体的には脳波のα波のパワースペクトルです。 α波は安静時(リラックス時)に多く発生されます 青が1/fの2乗、赤が1/fの1.7乗と成ります 1/fの1.7乗の方が 多くのα波が分泌されています。 1/fの1.7乗のほうにより 安静効果がある可能性が あることが分かりました。 5.今後の課題と方向性 大学病院との共同研究が計画されています。 本研究は現場との連携できる貴重な体験です。 今後は可視光通信研究と綿密に関わりをもちながら 研究を進めていく予定です。 1/fゆらぎの光の中にデータを重畳させ通信する方式です。 下図は将来的な目標である遠隔医療の概念図です。 1/fのゆらぎを持つ光が可視光通信によって音楽や 匂いのレシピをPCの受信機に送る事が出来ます。 将来的には光・匂い・音楽での癒しを目指しています。
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